京子「触れるだけで意識が入れ替わる能力を手に入れた!」 (50)

結衣「そうか」

京子「なんだよーもっと驚けよー」

結衣「じゃあやってみろよ」

京子「よしきた!」

あかりに迫られて泣き出す京子かわいい

ゆらゆりだ
やったあ

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結衣(あれ、私がいる)

京子「な?」

京子「戻すよー」

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結衣「……」

京子「すごいだろー」

結衣「感動した……」

京子「だろー」

また西垣ちゃんのせいだなこれは

結衣「でも絶対悪用はするなよ」

京子「分かってるってー」

京子「ゆいが苦しいときには私が代わりにその苦しみを受け持ってやろう」

結衣「それはどうも」

京子「これでもう一心同体だね!」

結衣「そうだな」

京子「もー冷たいよー」

結衣「ちょっ、京子!」

京子ー!俺だー!握手してくれー!

ある日の帰り道、京子に『百合』という言葉を教えられた。
女の子どうしが好き合うことらしい。
そのあと京子はおすすめの百合漫画はあれだ、とか、私たちの日常を漫画にするならタイトルはこうだ、とか言ってたけど頭に入ってこなかった。
女の子どうしでもいいんだ。どこかで否定していたけどおかしいことでは無かったんだ。
嬉しかった。

京子「いや~それにしても電車なんて久しぶりだなー」

結衣「ふたりで行ったあの旅館以来だな」

京子「あのときは卓球やったり温泉入ったり楽しかったね」

結衣「そうだな」

京子「また今度行く?」

結衣「うん」

京子「それにしても地下鉄ってなんか怖くて私好きじゃないんだよねー」

結衣「だったら言ってくれればバスにしたのに」

京子「いいのいいの。こっちのほうが安いし。それにゆいがいれば怖くないから」

結衣「……」

京子「あれ、結衣赤くなってるー」

結衣「なってない」

京子「もーゆいは照れ屋さんだなー」

結衣「うるさい」

京子「あはは」

風呂入ります
すぐまた書き始めます

おう

あかりに押し倒されて涙目になる京子かわいい

あかりに嫌われ泣き出す京子かわいい

バッ

背後で音がした。
ひったくりだ。そいつが京子のカバンをひったくっていった。

結衣「ちょっと待ってて」

京子「あっ結衣」

あかりに殴られ呆然としている京子かわいい

あかりを見ただけで怯える京子かわいい

あと5メートル
あと3メートル
あと1メートル
私はひったくりの肩を掴んだ。
同時にひったくりにその腕を掴まれ線路に投げ飛ばされた。
丁度そこに電車が来る。
こんなに運が悪いことってあるんだ。

もう助からないだろうな。
ごめん京子






「ゆいっ!」
京子と目があった。
伸ばした京子の手に私は手を伸ばす。
どこかで期待した。もしかしたら助かるんじゃないかって。
頼りない京子の腕がすごい力で私を引っ張ってくれるんじゃないかって。
きっと京子は抱きしめてくれるって。
どこかで期待していた。


ふたりの手は指先がかすっただけだった。

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船見結衣の身体は吹き飛んだ。

あかりに足蹴にされる京子かわいい

あかりに無視され泣き出す京子かわいい

あれ……何で私座っているの?
何で京子はいないの?
目の前の真っ赤な液体は何なの?
ふと過去の京子の言葉がよみがえる。

『結衣が苦しいときには私が代わりにその苦しみを受け持ってやろう』

ねえ京子?
違うでしょ?
こんなときに何してるの?
ふざけないでよ……

結衣「うわあああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

二日後、私は京子のお葬式に出た。
正確には、船見結衣の。
葬式後、私は感謝されてしまった。
助けようとしてくれてありがとう、と。
違う。違う。違う。違う。違う。
私じゃない。私のせいなんだ。
でもそんなこと言えなかった。お母さんは悲しませたくないけど京子のお母さんだって悲しませたくない。
どうすればいいの?

あかりに髪の毛むしられる京子かわいい

気分が悪くなってトイレで顔を洗う。でも駄目だ。鏡には京子が映ってるんだから。
それを見ていたら涙が溢れてきた。
ゆ 京子……京子ぉ~
いろんな京子が頭を巡る。
笑う京子。怒る京子。拗ねる京子。泣く京子。
駄目だきりがない。こんなことをしてもらうために京子は私を守ったんじゃない。
そうだ。生きるんだ。京子のために。京子として。

私は、歳納京子だ。

あれから五ヶ月が立った。
京子になりきるのは大変だったけどこれが京子の残してくれた道。私の使命。
そう思えば何も苦しくない。

あかりに腹パンされる京子かわいい

あかりに塩かけられる京子かわいい

あかりに痴漢されて震える京子かわいい

ある日京子の日記を見つけた。
ちょっと気が引けたが好奇心には勝てず、開いて中を見た。
ふふ。ほとんどが『結衣と遊んだ。』だ。嬉しさと寂しさで涙が出てきた。
でもときどきまともなことも書いてある。

あかりに盗撮されて人間不信になる京子かわいい

『??月×日 今日結衣に百合のことを言った。ちょっと恥ずかしかったけど。結衣は私の気持ちに気づいてくれたかな。明日もとなりにいたいな。』

『??月☆日 この不思議な能力、結衣のために使いたいな。結衣に頼られたいよ。でも結衣が辛くないっていうのはいいことだよね。だけど結衣には我慢してほしくないな。寂しい時はすぐ会いにいくからね。』

『??月△日 今日は結衣とちょっとしたことで喧嘩した。私が悪いのになかなか謝れなかった。でも放課後には普通に話せてる。結衣といっしょならどんな時も今日が一番楽しい日だって思える。』

『??月??日 明日は結衣とお出かけ! 地下鉄なんて久しぶり。
遊ぶ約束はしたけど、ときどき不安になる。結衣は私といて楽しい? 自然と結衣をしばりつけちゃってない
? 結衣は、私と会えて、本当に幸せだよね?』

あかりに追いかけられて逃げ惑う京子かわいい

ネットでもあかりにつきまとわれて震える京子かわいい

日記はここで終わっていた。
自然となみだがこぼれる。
楽しくないわけないじゃん……。
しばられてなんてないよ……。
幸せだからいつもいっしょにいるんだよ……。
ずっと泣いていた。すると急に何か描きたくなり、鉛筆を持って机に向かった。

気づくと私は京子の絵ばかり描いていた。身体は京子のものだからか絵は自然と手が覚えていてとても上手だ。
京子のとなりになんとなく私、船見結衣を描いた。
そうだ。
漫画を描こう。
京子が主人公の漫画。
楽しくて。悲しくて。ちょっぴり切なくて。
そんな私たちの日常。
今はもう失われた私たちの日常。

それから私の生活は変わった。
学校にはもちろん行き、友達付き合いもするが、家に帰ればすぐ漫画の設定を考えては絵に描いていた。

お風呂に行った1といまかいてる人は他人?


主人公はもちろん京子だなー。そうだ。キャラクターを増やそう。明るくてみんなに優しい天使のような女の子。ちょっと完璧すぎるかな。
あと私のことが好きな女の子がいたら少しは妬いてくれるかな。
そうだ。京子が大好きなミラクルンに似た面白い女の子もつくろう。決まり。
四人もいれば部活もできるなー。
うーん、茶道部。は何やるのかわかんないし、だらだら部。だとてきとうにつけたみたいだな。
娯楽部。これだ!これにしよう。

>>42
ごめんID変わってるね。
ずっと>>1が書いてるよ

とにかく毎日が漫画だった。だって漫画を描けばいつでも京子に会える。
だから私は描き続けた。描くことが苦にならない。だってこんなに楽しいんだから。
もっといろんな人に見てほしいな。私たちの日常。私たちの娯楽部。
そんなことを思いながら私は今日も描き続けた。

あげ

七年後
プルルルルルル
結衣 「はいもしもし」

編集 「あ、先生。先生の漫画が季刊誌で連載することになりまして」

結衣 「本当ですか!?」

編集 「はい。そこでタイトルなんですがいくつか候補がありまして……」

結衣 「はい。どんなのでしょうか」

編集 「はい。ごらくぶっ! 、ごらくぶ、さどうぶ、さどうぶっ!?、おちゃのこっ!!、最後にゆるゆりです」

ん?
最後のタイトル……ゆるゆり? なんかどこかで……

ある日の帰り道

京子『なあゆい。百合って知ってる?』

結衣『百合?人の名前か?』

京子『ちがうよお。簡単に言えば女の子どうしが好き合う、みたいな』

京子『結衣はどう思う?百合について』

結衣『いいと思うよ』

京子『だよねー。まあ私たちの日常も百合一歩手前みたいなもんだしねー』

結衣『そうか?』

京子『私たちの日常を漫画にするならタイトルはずばり ゆるゆり だな』

結衣『なんだよそれ』

京子『ゆるい百合でゆるゆり どうよ』

結衣『ふふふ そうだな。ゆるゆりだ』

京子『そう! ゆるゆりだ!!』


編集「せぃ………先生? どれにしましょうか?」

結衣「あぁ、えっとじゃあ……」


憶えてる。

『私たちの日常は』

憶えてる。

『ゆるゆりだ!!』

ありがとう。

きっと忘れない。



おつ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月12日 (土) 07:15:25   ID: h9gvYGAc

ssで初めて感動した

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