勇者物語� (381)
--------------------夜・A国・城下町--------------------
ドガシャァアン
店主「コラぁ!!!待てえーー!!!!」
「・・・!」ダダッ
店主「ああ・・!この!!」
ダダダダ
従員「ど、どうしました!!」
店主「食い逃げだ!!あのガキを追えーー!!!」
タタタタタ
「・・ハァ・・ハァ!!」
タタタタ
ズザ
「ふ~~!よし、もう追ってこない・・助かった!」ゼェ
「今日もなんとか無事だったな・・ひ~!」
店主「無事だと思ったか?」バッ
「あ!!」
店主「へへ・・」ニヤァ
「う・・・!」ダダッ [逃げる]
従員「おおっと!逃がさなねぇぜ!!」ババッ
「!!?」
店主「ふふふ、タダ飯を食われたお礼をタップリしてやる」
「うう・・・」
従員「へへへ・・」パキポキ
従員「フフ」パキポキ
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--------------------隠れ家--------------------
スタスタスタ
「・・・・・」トボトボ
野夫「・・ん?」
「ただいま」スッ
ドロロ
野夫「お、おい!どうしたんだその格好!!?」
「別に」
野夫「お前・・さてはまた食い逃げしたな!!?そうだろ!」
「・・・・」
野夫「どうりで飯の時間になってもこねぇわけだ・・ったく!」
野夫「前からやめろっつってんだろ!相手は大人だ、わかるだろ!」
「だって、腹減ってたから・・」
野夫「食いモンならここにあるじゃねぇか!」バッ
「俺はもっといろんなものが食いたいんだよ!!」
野夫「なにぃ!テメェのために用意してやってんだろうが!」
「うるさい!こんなのばっか食えるかぁ!」
野夫「なんだその言い草は!何様のつもりだ!」
勇者「何様でもないよ!悪いか好きなもん食って!!」
野夫「何を偉そうに!魔法もロクに使えねぇくせによ!」
勇者「なに~!?」
野夫「その腕輪のせいで何もできやしねぇじゃねぇか」
勇者「こんな腕輪そのうちぶっ壊してやるんだ!そしたら魔法だって使える!!」
野夫「無理だ、そいつは王の野郎が作ったんだ、壊れるわけがねぇ」
勇者「壊せる!」
野夫「この・・ったく、クソガキが」
勇者「フン!!」プイッ
野夫「とにかく、その服は捨てちまえ!新しいの持ってきてやる」
勇者「・・・・・・」ムスッ
野夫「おい、聞こえただろ、脱げ!」
勇者「いいよ、この服で」
野夫「・・・・」
野夫「わかった、捨てねぇから置いとけ、とにかく傷を見せろ」
勇者「・・・」ススッ
パサッ
野夫「こりゃあ・・ひでぇ傷だな、ずいぶんやられて・・」
勇者「こんなの大したことない」
野夫「いいから来い、治してやる」
勇者「・・・ふん」スッ
--------------------翌朝--------------------
勇者「・・zzzzZZZ」
トンカン
トンカン
勇者「・・ん」ムニャ
トンカントンカン
勇者「なんだ?」パサッ
スッ
野夫「ふぇ~い!よし、いい感じだぁ!」
勇者「・・?」
野夫「お、起きたか『勇者』!見ろ!!」
勇者「・・あ!これ、ドアじゃないか!」
野夫「すごいだろ!これで一気に我が家はコーキューハウスだ!」
勇者「すごいなぁ!」
野夫「ふふふ、驚くのはまだ早い・・こっち来てみろ」
勇者「え・・?」
野夫「ここを押せば・・・」スッ
チリーン
勇者「!」
勇者「鈴だ!鈴が鳴った!」
野夫「どうだ!」
勇者「すごい、流石だよオサン!」
勇者「・・でも、これって要るのか?」
野夫「な、何言ってる!いるに決まってんだろ!俺の技に無駄はない!」
勇者「そ、そっか」
野夫「当たり前だ・・!」
野夫「それより、これから山にでるから、準備しろ」
勇者「うん」
野夫「そこに直した服があるから、着ていけ」
勇者「え、服・・・あ、本当だ、直ってる」
野夫「苦労したんだぞ~似たような生地探すのに、大事に着ろよ!」
勇者「・・うん」
野夫「ん、じゃあ行ってこい」
勇者「・・・」
勇者「あ、ありがとう!」バッ
タッタッタッタッタ
野夫「ふふ・・」ニコ
野夫「おい待て!お前じゃ場所わかんねぇだろ!」
--------------------山の川辺--------------------
ザァァアア
勇者「・・・・・・・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・」
野夫「よっと!」グィ [引く]
バシャン
勇者「!」
ピチピチピチ [魚]
野夫「へっへ~!こいつはなかなかデカいな!うめぇぞきっと!」ピチピチ
勇者「・・うむむ」
チャプ [引き]
勇者「!!」
チャプチャプ
勇者「お・・おりゃあ!」グィ
バシャン
野夫「ん?」
ピチピチ [魚]
勇者「・・・あれ」
野夫「ハッハッハなんだそりゃあ!そんなの晩飯にもなんねぇよ!」
勇者「うるさい!」
--------------------夕方--------------------
パチッパチッ [火]
モグモグ
勇者「・・んまい!」
野夫「とれたてだからな、そりゃあうめぇさ」
勇者「うん、あとは持って帰るんだろ?」
野夫「ああ」
パチッパチッ
野夫「・・そろそろ戻るか、日も落ちてきたしな」
勇者「もう帰るの?」
野夫「そうだ、夜の山はあぶねぇからな、噂じゃ最近は人食いの化物がでるらしい」
勇者「え!?」
ババッ
勇者「・・は、早くかえろう!早く!!」
野夫「はっはっは、わかったよ」スッ
勇者「早く早く!」
野夫「わかってるって」
--------------------隠れ家--------------------
ゴソゴソッ
勇者「はぁ・・なんだか疲れたなあ・・・・」
野夫「はっはっは、いっぱい釣ったもんな」
勇者「先に寝ていい?」
野夫「ああ」
勇者「じゃ、おやすみオサン!」ガバッ
野夫「おやすみ」
パサッ
勇者「・・・・・スゥ・・スゥ・・」
野夫「・・・」ニコ
--------------------翌朝--------------------
ポカポカ
勇者「じゃ、出かけてくる!」
野夫「おお、気を付けてな」
勇者「うん!」
タタタッ
野夫「さてと・・」スッ
スタスタ
--------------------町--------------------
ワイワイワイ
ワイワイ
勇者「・・・」テクテク
「あ、お前!」
勇者「!」
「お前、こないだ食い逃げしてボコボコにされたんだって?」
勇者「え!なんでそれを?誰だお前・・!」
「ふっふっふ」ニヤ
幸坊「俺はドチビ、この町一番のラッキーボーイだ」
勇者「ラッキーボーイ?」
幸坊「そう、お前に会いたいと思ってたんだよ」
幸坊「ここで会えたのも何かの縁だ、ふっふっふ!」
勇者「俺に会いたかったの?」
幸坊「そうさ、まあ歩こうじゃないか、話はそれから」
勇者「う・・うん」スッ
スタスタスタ
幸坊「あの店でタダ逃げするとは大した度胸だな、子供のくせに」
勇者「お前も子供じゃないか!」
幸坊「失礼な!おれは子供じゃない、カノジョだっているしな」
勇者「そうなんだ・・」
幸坊「あたりまえだ、男の子なんだからな」
幸坊「ところでお前、その腕にしてる変テコなヤツはなんだ?オシャレか?」
勇者「ああ、これは・・」スッ
幸坊「?」
勇者「カッコ悪いから外したいんだけど、外れないんだ」
幸坊「はっはっは!マヌケなやつだなぁお前!」
幸坊「そんなもん俺が壊してやるよ、かしてみろ」
勇者「いや、いい、無理だよ、普通のやり方じゃ壊れない」
幸坊「そうか?」
勇者「・・・・」
幸坊「ふーん、まあ俺についてこい、たらふく飯が食えるかもしれないぜ?」
勇者「え!どういうこと?」
幸坊「まあまあ、焦らない焦らな~い」ニヤ
幸坊「おとなしく俺のケライになるなら、連れてってやるぞ」
勇者「わかった、なる!」
幸坊「よ~しそんじゃあ今日からお前は俺のケライだ、いいな?」
勇者「・・おう!」
幸坊「ニッシッシ!」
--------------------チビの家--------------------
幸坊「ここが俺の家だ」
勇者「へえ、意外と大きいな」
幸坊「いずれもっと大きくなる予定さ」ニイ
幸坊「そんで・・えっと、おまえ名前なんだ?」
勇者「ん?」
勇者「ああ・・名前っていうか、俺『勇者』なんだ」
幸坊「え!?」バッ
幸坊「お前・・お前があの『勇者』なのか!?」
勇者「うん」
幸坊「ヒェ~驚いた、こんな子供だったのか」
勇者「だからお前も子供だろ!」
幸坊「ふ~~ん・・」ジロジロ
勇者「な、なんだよ」
幸坊「んまぁ、そんなことは置いといて、早速話の本題に入ろうじゃないか」
勇者「話?」
幸坊「そう、一攫千金の大チャンスだ!」
勇者「!」
幸坊「名づけて、『埋蔵金横取り大作戦』!!!」
勇者「『埋蔵金』~!!?」
勇者「・・でそれが何なんだ?」
幸坊「あら・・ったく、鈍いやつだな、教えてやるよ!」
幸坊「実はこの前、ふもとで大富豪の指輪らしきものが見つかったんだ」
勇者「大富豪の・・」
幸坊「そうさ、ということは、他にも大富豪のお宝がそこらに埋まってるはず」
幸坊「それをごっそり頂いて、俺はここに豪邸を建てるんだ!!」
勇者「・・・」
幸坊「どうだ!すごいだろ!やろう、一緒に!」
勇者「ん・・」
幸坊「実は、その事を知った山賊達もあのあたりを狙ってるらしいんだ・・」
幸坊「だから俺ひとりじゃ間に合わないし、危険だろ?」
幸坊「そこで、お前みたいな度胸のあるやつを探してたんだ!手伝ってくれよ!!」
勇者「・・・・・」
幸坊「な!いいだろ?」
勇者「ごめん、やっぱり俺はいいや」
幸坊「え?」
勇者「おカネに興味はないんだ、食い物とかならいいんだけど・・」
幸坊「おいおい!金があれば食いもんだって好きなだけ食えるんだぜ?」
幸坊「食い逃げなんて、ビンボーなことしなくて済むんだ!」
勇者「うん・・でもいいんだ、俺はこのままで」
幸坊「んん・・で、でも・・」
勇者「じゃあな」
幸坊「ま、まてよ!!」
勇者「?」
幸坊「腕輪!その腕輪だ!外したいんだろ?」
勇者「え?ああ・・」
幸坊「外し方を教えてやるから、埋蔵金見つけるの手伝ってくれ!!」
勇者「知ってるのか!?」
幸坊「お、おう!当たり前だ!」
勇者「・・・」
幸坊「頼むよ!!お前しかいないんだ~!!」
勇者「・・わかった」
幸坊「!」
勇者「手伝うから、ちゃんと外してくれよ?」
幸坊「おお~~!!ありがとぉ~~!!!」
--------------------隠れ家--------------------
野夫「・・・~♪」
チリンチリーン
野夫「ん?『勇者』が帰ってきたか?」スッ
チリーン
野夫「あいあい!今開けるから・・」
ガチャ
野夫「・・!!?」
「失礼する」スッ
野夫「お、お前らは・・!」
兵士「君がオサンかな?」
野夫「な、なんだ!何の用だってんだ・・!!」
兵士「間違いない、この者はオサンだ」
兵士「ふむ・・」
野夫「なんだって聞いてんだろ!!」
兵士「ん?」
兵士「我々は国王の命で、ある者を目下捜索中なのだ」
野夫「ある者・・?いったい誰を!?」
兵士「我が国の『守護神』、『勇者』だ」
野夫「(!!?)」
兵士「ここしばらくのうちに行方がわからなくなっていたんだが・・」ペラッ
兵士「このあたりで、よくその姿が目撃されているようなんだ」
兵士「そう、君ならなにか知っているんじゃないかなと思ってね」
野夫「・・・・」
兵士「どうなんだ?」ズィ
野夫「ぬ・・!」
兵士「言っておくが正直に話すほうがいいぞ、嘘を付けば牢屋行きだ」
野夫「(・・・)」
野夫「し、知らねぇ・・そんな奴」
兵士「そうか・・ならば他をあたろう、失礼した」
兵士「行くぞ」スッ
兵士「ああ」
ザッザッザッザ
野夫「・・・・」
野夫「どういうこった・・あいつら『勇者』を、どうするつもりだ?!」
バッ
野夫「くそぅ・・早く帰って来い『勇者』!『勇者』!!」
--------------------町--------------------
テクテクテクテク
勇者「なあ、こんどはどこに行くんだ?」
幸坊「秘密の場所さ、ふふふ!!」
勇者「?」
--------------------ふもと--------------------
勇者「ここは・・ふもと」
幸坊「そうさ」
勇者「もう埋蔵金探すのか?」
幸坊「いやいや、まだ準備が必要なんだ」
幸坊「みろ!」
バサッ [布を取る]
勇者「!」
勇者「トンネルだ!こんなところに、どうして・・?」
幸坊「俺が掘ったんだよ」
勇者「え?ひとりでか?!」
幸坊「ああ」
勇者「すごいな・・こんなに・・・」
幸坊「3日前から徹夜で掘り続けてたんだ」
幸坊「俺の考えでは、この先にお宝が埋まってるに違いない!」
幸坊「でも、一人で掘ってたら他のやつらに先を越される」
勇者「ああ、それで・・」
幸坊「そう!お前と二人で掘れば!絶対に一番乗りだ!!」
勇者「なるほど」
幸坊「手伝って・・くれるか?」
勇者「いいよ」
幸坊「よ~し!!」
幸坊「じゃあ早速今晩来てくれ!道具は俺が用意するから!!」
勇者「おお!」
--------------------隠れ家--------------------
チリーン
野夫「!!」
勇者「ただいま!」
野夫「おお『勇者』!やっと帰ってきたか・・!!」
勇者「うん、オサン、腹減ったな、飯に・・」
野夫「それどころじゃねぇ!引っ越しだ!」
勇者「え?」
野夫「ここにはもう居ない方がいい!逃げるんだ!!」
勇者「ど、どうして!?」
野夫「とにかく準備しろ・・!」
野夫「とりあえず南に居る仲間のところに行くから!早く!」
勇者「待って!なんでそんな急に!?理由は!!」
野夫「そ、それは・・」
勇者「?」
野夫「・・地震だ!!大地震が来るんだよ!近いうちに!!」
勇者「地震?」
野夫「そうだ!だからもうここは危ないから避難するんだ!!」
勇者「でも・・そんな・・」
野夫「食料は俺がなんとかする、お前は大事なもんだけもってけ!」
勇者「・・う・・・」
野夫「どうした!」
勇者「そ、その地震はいつくるんだ!?今日か?明日か?!」
野夫「・・わかんねぇよ!だからこそ今すぐ逃げんだろうが!」
勇者「だったらちょっと待って!ちょっとだけ!」
野夫「なに!?」
勇者「み、3日だけ!3日だけ待ってよ!!」
野夫「ダメだ!!今すぐ出ねぇと死んじまうぞ!」
勇者「友達と約束があるんだ!このまま逃げれない!!」
野夫「友達ってお前・・!」
勇者「いいだろオサン?!友達のためなんだ!!」
野夫「・・・・」
野夫「・・いやダメだ!」
勇者「オサン!!」
野夫「く・・仕方ねぇな!ホントのこと言ってやろう『勇者』!」
勇者「え?」
野夫「よく聞け!王国兵だ!王国兵がお前のことを探してんだ!」
勇者「!」
野夫「何だか知らねぇがここまで来やがった!見つかるのも時間の問題だ!」
勇者「どうして・・俺を?」
野夫「知らねぇよ!でも絶対ロクなことんならねぇ!逃げるんだ!」
勇者「・・・」
野夫「頼む『勇者』、来てくれ!俺にはお前しかいないんだ!」
勇者「・・ダメだ、やっぱりあいつは裏切れない」
野夫「おい!?」
勇者「大丈夫!ほんの何日かだけだから!見つかっても逃げればいい!」
野夫「そんなうまくいくわけ・・!」
勇者「オサン!!!」
野夫「・・!?」
勇者「初めての友達なんだ・・約束は守りたい!」
野夫「お前・・」
勇者「約束する、3日たったら逃げる!絶対に!」
野夫「・・・・・・」
勇者「お願い、オサン!」
野夫「・・わかった!た、ただし3日だけだからな!3日」
勇者「はあ!」パァ
野夫「3日たったら引きずってでもここを出るからな!わかったか!!」
勇者「うん!ありがとう!!」
野夫「・・はぁ~ちくしょうが!」
勇者「そうとわかったら、早速飯にしようぜ!」
野夫「あいよ・・」
-----------------夜・ふもと-----------------
ザックザック
幸坊「ふう~・・!」
「ちょっと休憩しましょうか」
幸坊「そうだな、ちょっと休憩しよう」
幸坊「・・それにしてもあいつ遅いな、約束したのに」
勇者「お~~い!」バッ
幸坊「おお!来た来た遅かったじゃないか!」
勇者「うん!」
「この人がそうなの、チビちゃん?」
幸坊「そうそう!」
勇者「誰だお前?」
幸坊「お前とは何だ!この子はバズレアちゃん、俺のカノジョだ」
索嬢「よろしく!」
勇者「ああ、うん」ペコッ
幸坊「ほい!これ」 [渡す]
勇者「ん?」
幸坊「お前の作業着だ、休憩が終わったらこれを着て作業再開だ!」
勇者「おう!」
カキンカキン [掘る]
カキン
幸坊「ヨイショ!」
勇者「よいしょ!」
索嬢「よいしょっ!」
カキン
カキン
勇者「はあ・・疲れるなぁ」
幸坊「当たり前だ!財宝を手に入れるのはそんな簡単なことじゃない!」
索嬢「そうよ!頑張りましょう!」
勇者「う、うん!」
カキンカキン
幸坊「・・・ふぅ」スッ
勇者「も、もうだめだ~手が痛い!」
索嬢「あたしも・・もうダメ~!」ヘナ
幸坊「日も出てきたな・・・よし、じゃあ今日はこのくらいにするか」
索嬢「そうしましょ!!」
勇者「疲れた・・!」
幸坊「汚れちまったから、お前、俺んちで風呂入っていけよ」
勇者「いいのか?」
幸坊「もちろん!俺たちはもう仲間だからな」
勇者「そうか、ありがとう!」
索嬢「うふふ!」
幸坊「よ~し!じゃあ帰るぞ!」
勇者「お~!」スッ
スタスタスタ
コソコソ
「・・・」チラッ
「ウヒヒ、見~つけた」ニヤ
「さっそくボスに報告だ!」
「おう!」
ザザッ
--------------------チビの家・居間--------------------
幸坊「ぐがー・・・zzZZZZ」
索嬢「も~チビちゃん!こんなところで寝たらダメだってば~!」
勇者「起きないな、放っておこう」
索嬢「う~ん、仕方ないなぁ・・」
勇者「それより風呂あるんだろ?早く入りたいな」
索嬢「そうね・・こっちよ」
チャプン
勇者「うあ~~!いいな、ちょっと狭いけど」
索嬢「文句言わないの」
チャプン
索嬢「それより、あなたって『勇者』なのよね?」
勇者「うん」
索嬢「ってことは、『守護神』?」
勇者「うん、そうだね」チャプ
索嬢「へえ~意外だわ、こんな子供が『勇者』だなんて」
勇者「そうかな」
索嬢「そうよ、だってお国を守るのが『守護神』なんだから」ゴシゴシ
勇者「うん・・」
索嬢「でも、なんで『守護神』が食い逃げなんてするの?」
勇者「え?」
索嬢「だって『守護神』ってお城からお金いっぱいもらえるんでしょ?」
勇者「ああ・・それは」
索嬢「噂じゃあすっごいお金持ちって聞いてるけど・・違うみたいね」
勇者「そうだね」
勇者「あんまり城とはうまくいってないんだ、よくわかんないけど」
索嬢「ふぅん・・」ゴシゴシ
索嬢「は~い終わり、今度は私の番よ」
勇者「うん」スッ
--------------------昼--------------------
索嬢「・・・・・zzZZZZ」
勇者「・・・・・zzZZZZ」
索嬢「・・・・・うぅん・・」
ムクッ
索嬢「ああ~~よく寝たわ~~・・!」ググッ
勇者「・・・・・zzZZZZ」
索嬢「起きて、起きて『守護神』さん!」
勇者「・・・ん」ムニャ
索嬢「お昼よ!そろそろ起きなきゃ」
勇者「ここは・・・???」
索嬢「何寝ぼけてるの、ほら、着替えて!」
勇者「・・・・・・・」ムニャ
スッ
索嬢「チビちゃ~~ん!!」
シーン
索嬢「?」
勇者「ん?どうしたの?」
索嬢「チビちゃんよ、出かけちゃったのかしら?」
勇者「ああ・・あいつ下で寝てて・・」
索嬢「とにかく着替えて、チビちゃんを探しに行かなくちゃ!」
--------------------町--------------------
スタスタスタ
索嬢「いないな~チビちゃん」ペロペロ [お菓子]
勇者「いつもこのあたりにいるのか?」ペロペロ [お菓子]
索嬢「うん、でも今日は違う場所にいるのかしら・・」ペロ
--------------------たまり場--------------------
索嬢「ねえねえ、チビちゃん見なかった?」
「え?チビ?」
「見てないわよ、あんたは?」
「私も知らないわ」
「そう・・」チラッ
「ごめ~んバズレア、みんな知らないみたい」
索嬢「そう・・」
勇者「・・・」
「ん?その子はだぁれ?」
勇者「?」
索嬢「ああ、この子はチビちゃんと私のお友達よ」
「へえ~可愛い子だね!」
「こっち来てよ」スッ
勇者「・・え?」グィ [引っ張る]
「あ~~ん、かわい~~!」ゴシゴシ
「かわい~~!」
勇者「いでで!やめろ!」
索嬢「・・・」キョロキョロ
索嬢「あ!」
勇者「?」
幸坊「・・・・」ブツブツ
索嬢「いたいた!チビちゃん!」
勇者「・・!」
幸坊「う~ん・・」ブツブツ
索嬢「チビちゃん!」
幸坊「あ!お、お前ら!?なんでここに!」
勇者「いてて・・くそ~・・・」
索嬢「チビちゃんこそ、どうしてこんなところにいるの!探したんだから!」
幸坊「わりいわりい、ちょっと用事があって・・」
勇者「用事ってなんだ?」
幸坊「べ、別に何でもねぇよ!」
勇者「?」
幸坊「・・ん?」クンクン
索嬢「!」
幸坊「この匂い・・お前らアメケーキ食ったろ!!」
索嬢「あ!なんでそれを!?」
幸坊「匂いでわかる!も~買い食いはやめろっていってるだろ!」
索嬢「だ、だってこの子が食べたいって~・・」
勇者「言ってないよ!お前が食いたいって・・!」
幸坊「まったく!」
索嬢「・・・ごめんなさい」
勇者「ごめんなさい」
--------------------隠れ家--------------------
勇者「ただいま!」チリーン
野夫「おお!お帰り」
勇者「ただいま、オサン」
野夫「昨日帰ってこなかったから、心配したんだぞ!」
勇者「ごめん、でも、今日も帰って来れないと思う」
野夫「そうか・・まあ、無事ならいいんだが」
野夫「あぶねぇと思ったらすぐ戻ってこいよ?いいな!」
勇者「わかってるよ」
野夫「・・よし、じゃあ飯にするか?」
勇者「うん!」
--------------------夜・ふもと--------------------
幸坊「よぉ~し!じゃあはじめるか!」
索嬢「おお~!」
勇者「おお~!」
幸坊「それっ!」バッ
バサッ
幸坊「・・あれ?」
索嬢「どしたの、チビちゃん?」
幸坊「いやあ・・あの」
勇者「?」
幸坊「こんなに掘ってたっけ?俺たち」
勇者「(・・・)」
索嬢「どういうこと?」
幸坊「なんか昨日より深くなってる気がするんだ、気のせいかな?」
勇者「ん・・・確かに、なんか変だな」
索嬢「そうかしら」
幸坊「・・まあ、疲れてたからな、記憶が曖昧なのかも」
索嬢「そうよ、だって私たち以外はここを知らないはずだし」
幸坊「そうだよな・・・気のせいだ!」
勇者「うん、そうとわかったら、さっそくやろうよ!」
幸坊「おお!」スッ
ザックザック
ザック
ザックザック
ザックザックザック
勇者「ああ・・・はぁ・・」
幸坊「・・・ふぅ!」
勇者「全然出ない・・ホントにここでいいのか?」
幸坊「何言ってんだ!ここで間違いないんだ!!文句を言わずに掘れ!」
勇者「・・・うう・・」
索嬢「頑張りましょ!」
勇者「うん!」
ザックザック
ザック
ザック
勇者「・・ハァ・・ハァ」
ザックザック
ガキンッ
勇者「!」
幸坊「!!」
索嬢「!!」
幸坊「お、おい!今の音・・!」
勇者「見ろ!これ!!」
キラン [王冠]
幸坊「おおおお~!!!」
索嬢「キレーイ!!」
勇者「へへ~~!」
幸坊「すげぇえ!!お、おい!俺にも貸せよ!!」
勇者「すごいだろ!俺が見つけたんだ!」スッ [渡す]
索嬢「スゴイわ!『勇者』!」
幸坊「似合うか~!!いひひ!」 [かぶる]
勇者「ははは!お前チビだから似合わないよ!」
幸坊「なんだと!」
勇者「貸してみろ!俺の方が似合う!」スッ
勇者「・・ほら!」 [かぶる]
幸坊「お前も大して変わらねぇよ!チビだもん!」
勇者「お前よりはデカいよ!」
幸坊「そんなことない!お前のほうがチビだ!」
索嬢「わたしもわたしも!」
スッ [かぶる]
索嬢「どう?」
勇者「おお!似合うよ!女王様みたいだ!!」
幸坊「ホントだ、女王様だ!!」
索嬢「うふふ!」
幸坊「・・間違いない!やっぱりこのあたりに財宝はあるんだ!」
勇者「うん!」
索嬢「そうね!」
幸坊「この調子でどんどん見つけるぞー!!」
勇者「おおーーーー!!」
索嬢「おおーーーー!!」
--------------------翌日--------------------
勇者「・・・・zzZZZ」
索嬢「起きて、起きて『勇者』!」
勇者「・・ん」
索嬢「もうお昼だから起きて!ご飯作ったから」
勇者「うん・・・」ムニャ
モグモグ
勇者「・・・・・・」モシャモシャ
勇者「あれ、チビは?」
索嬢「いないのよ」
勇者「またか」
索嬢「でも、夕方くらいには帰ってくると思うわ」
勇者「そっか」スッ
勇者「ごちそうさま、俺出かけてくる」
索嬢「は~い」
--------------------隠れ家--------------------
チリリーン
勇者「お~い、オサン?」
シーン
勇者「・・・・・・」
勇者「?」ガチャ
スッ
ガラーン
勇者「・・・山に行ってるのかな?」
勇者「じゃあ、戻るか・・」
スッ
--------------------夜・ふもと--------------------
幸坊「よぉし、今日こそ財宝を見つけるぞ!」
勇者「おー!!」
索嬢「おー!!」
勇者「・・って、お前今日はどこ行ってたんだ?」
幸坊「え?」
索嬢「そうよ、起きたらいなかったじゃない」
幸坊「んん・・まあ野暮用だ!気にしない気にしな~い!」
勇者「そうか」
幸坊「そうそう!そんなことより財宝だ!行くぞ」
索嬢「ええ!」
勇者「うん」
テクテクテク
幸坊「・・ん?」
勇者「あれ・・?」
索嬢「?」
「・・・・」ゴソゴソ
「・・・・」ゴソゴソ
幸坊「(うわ!なんだあいつら!?か、隠れろ!!)」
勇者「(!?)」サッ
索嬢「(!?)」サッ
幸坊「(・・・・)」
索嬢「(な、何あいつら・・私たちのトンネルを!)」
勇者「(まさか・・!)」
山賊「アニキィ!みてくだせぇ、お宝がこぉんなに!」
山賊「おお!」
山賊「こいつを持ってけば、ボスも喜ぶだろうさ!」
山賊「ああ、ちげぇねぇ!ハッハッハ!!」
幸坊「(あいつら俺たちが見つけた財宝を!!)」
勇者「(そうか・・きっと、あいつらが俺たちがいない間にこっそり掘ってたんだ)」
索嬢「(そんなぁ・・!)」
勇者「(どうするんだチビ!)」
幸坊「(どうするもなにも・・・・あ、相手は山賊・・)」
勇者「(でも財宝が!)」
索嬢「(そうよ!とりかえさなきゃ!)」
幸坊「(ううん・・)」
山賊「よいっと!」ヒョイ
幸坊「(!)」
幸坊「(まずい!持ってっちまう!)」
索嬢「(チビちゃん!!)」
勇者「(・・こうなったら、奪い返すんだ!)」
索嬢「(そうね!)」
幸坊「(え?!で、でも!まずいって!!)」
索嬢「(なによ!じゃあこのまま黙って見てるって言うの?!)」
幸坊「(だって!あいつらはここらじゃ有名な極悪非道の山賊どもだぜ!?)」
幸坊「(見つかったら・・殺される!!)」
索嬢「(何ビビってんのよ!男のクセに!)」
幸坊「(だ、だってぇ・・)」
勇者「(行くぞ!)」スッ
幸坊「(やめろ!!!)」バッ
勇者「(なんだよ!?)」
幸坊「(無理だって!殺されるって!)」
勇者「(このまま引き下がれるか!せっかく苦労して頑張ったのに!)」
索嬢「(そうよ!)」
幸坊「(・・だ、ダメだ!俺はいかねぇ!)」
勇者「(チビ!!)」
幸坊「(だってよぉ!相手は山賊だ!勝ち目はねぇ!!)」
勇者「(じゃあこのまま横取りされていいのか!?)」
幸坊「(んなこと言ったって・・)」
勇者「(約束しただろ!お宝見つけるって・・!)」
幸坊「(!)」
勇者「(お前がそういうから、今日まで一緒にやってきたんじゃないか!)」
勇者「(最後にこんなのはイヤだ!一緒に、財宝を手に入れるんだろ!?)」
索嬢「(そうよチビちゃん!)」
幸坊「(・・く・・・・)」
勇者「(・・・)」
幸坊「(・・や、やっぱだめだ!死にたくねぇ!!)」
勇者「(!!)」
索嬢「(!)」
幸坊「(もういい・・俺は諦める・・宝なんていらない!命の方が大事だもん!!)」
勇者「(・・チビ!!)」
幸坊「(行くならお前たちだけで行け・・俺はいい!)」
勇者「(そんな・・じゃあ、今まで何のために!)」
幸坊「(仕方ねぇだろ!!殺されちまったら意味ねぇんだから!)」
勇者「(でも・・!!)」
索嬢「(ああ!山賊が!)」
勇者「(・・!)」
山賊「えっさ!」ザッ
山賊「ほいさ!」ザッ
ザッザッザ
勇者「・・・・・」
索嬢「ち、チビちゃん!!」
幸坊「・・知るか」
索嬢「そんな!」
勇者「本当にいいんだな、チビ!」
索嬢「!?」
勇者「お前が行かないなら俺たちだけで行く、それでいいんだな!」
幸坊「・・ああ、好きにしろよ」
索嬢「!!」
勇者「(・・・・)」
勇者「・・そうか、そういうことか」
幸坊「?」
勇者「いままで姿が見えなかったのは、山賊たちと会ってたからだろ!」
幸坊「は?」
索嬢「え・・?」
勇者「俺たちに手伝わせて、結局山賊に横取りされたと見せかけて・・」
勇者「お前は後で、山賊と宝を山分けするんだな、そうだろ!」
索嬢「!?」
勇者「どうなんだよ!」
幸坊「ちげぇよ!バカかお前!そんなことするわけねぇだろ!」
勇者「だったら!お前は今日どこに行ってたんだ!話せよ!!」
幸坊「だから!それは・・・・!」
勇者「ほら!話せないじゃないか!ダマしたな!!!」
幸坊「ダマしてなんかない!!ふざけんな!!」
勇者「じゃあ何してたか言えよ!!」
索嬢「ちょっと二人共・・!」
勇者「・・・・」
幸坊「・・・・」
勇者「なんだったんだよ、あの約束は・・・!」
幸坊「!」
勇者「いっしょに・・いっしょにやるって、言ったのに・・!」
勇者「お前のためにずっと頑張ってきたのに、こんなのって!」
幸坊「・・・ふん」
索嬢「ゆ、『勇者』くん・・」
索嬢「あの、もうちょっと話し合って・・」
勇者「帰る!」
索嬢「!」
幸坊「・・・」
索嬢「どうして!?」
勇者「意味ないよもう、チビが来ないなら」
勇者「それに俺は元々財宝なんてどうでもよかったんだから」
索嬢「そ、そんな・・」
幸坊「・・・」
勇者「じゃあな、バズレア」
索嬢「・・あ・・・」
スッ
スタスタスタスタ
索嬢「ああ!『勇者』くん!」
幸坊「・・・」
索嬢「ちょっと!追いかけなさいよ!」
幸坊「知るか、あんなやつ」
索嬢「あんなやつって・・チビちゃんのせいでしょ!」
幸坊「だったらお前も帰れ!バカ!」
索嬢「・・!!」
幸坊「・・・」
索嬢「・・・・・」
スッ
スタスタスタ
幸坊「・・・ふん、バカどもが」
--------------------町--------------------
スタスタ
勇者「・・・」
「ちょっと!」
勇者「!」
索嬢「『勇者』!」
勇者「バズレア・・」
索嬢「・・・」
勇者「チビは」
索嬢「・・う」ヒクッ
索嬢「どうして、こんなことに・・」
勇者「・・・」
スタスタスタ
勇者「・・・・」
索嬢「・・・・・」
「おお、お前ら」
勇者「?」
索嬢「?」
鍛冶「お前ら、たしかあのチビの連れだよな?」
勇者「誰だお前?」
索嬢「あなた、そこの鍛冶屋の人ね?」
鍛冶「ああ」
勇者「鍛冶屋?」
鍛冶「チビに頼まれて、腕輪の・・」
鍛冶「ああ!それのことか!」
勇者「え?」
索嬢「?」
鍛冶「外したい腕輪があるんだけど、不思議な金属のせいで無理なんだって聞いてよ」
鍛冶「お前さんがしてる奴のことだったのか」
勇者「俺の腕輪を・・」
鍛冶「おお、そんで俺に頼んできたんだ、それを外す方法教えてくれって」
鍛冶「知らねぇっつったんだけど、財宝くれるとか言ってさ!」
鍛冶「そんでまあ・・・俺もいろいろ考えたんだけど、やっぱり無理かな・・はは」
索嬢「・・『勇者』!」
勇者「ん?」
索嬢「きっとチビちゃん、その方法を探しに出かけてたんだよ!」
勇者「!」
索嬢「だから私たちには秘密に・・約束を守るために・・・!」
勇者「・・そうだったのか」
鍛冶「ん?なんだ?約束?」
索嬢「『勇者』!!」
勇者「・・腕輪のことなら、そうだって言えばいいのに!」
索嬢「『勇者』・・」
勇者「・・俺、あやまってくるよ」
索嬢「!」
勇者「約束したんだ、一緒に財宝見つけるって!」
索嬢「うん!」ニコッ
勇者「行こう、今なら間に合うかもしれない・・!」
索嬢「ええ!」
タッタッタッタ
鍛冶「あ、おい!」
鍛冶「チビによろしくなー!!財宝のこともな~!!へへへ!」
--------------------チビの家--------------------
ガチャ
索嬢「・・チビちゃん?」
勇者「・・・」
索嬢「チビちゃ~ん?」
シーン
索嬢「2階かしら・・」
スッ
索嬢「チビちゃん?ここ?」
勇者「チビ・・」
索嬢「・・・・・・・」
勇者「・・・・・・・」
索嬢「?」
勇者「?」
索嬢「あれ?居ないみたい・・」
勇者「帰ってないのか?」
索嬢「おかしいな、そんなはずは・・」
勇者「!」
勇者「あいつ・・まさか!」
索嬢「!」
--------------------山・ふもと--------------------
山賊「えっさ~♪」
山賊「ほいさ~♪」
山賊「へへへへ!!」
山賊「はははは!!」
山賊「なあ、ボスに持ってったら、俺らにも分けてくれるなぁ~?」
山賊「ったりめぇだ!こんな大手柄!」
山賊「は~はっは!!」
--------------------山賊のアジト--------------------
山賊「お~い!」
山賊「お~い!」
門番「!!」
門番「おお!お前ら帰ってきたのか!!」
山賊「見ろよこれ!!」
ドサァ
キラキラ
門番「うぉお!!なんじゃこれ~~!」
山賊「街のガキどもが例の財宝を見つけやがったんで、横取りしてきたんだ!」
門番「へっへっへ!そいつはお手柄だなぁ!!!」
山賊「おう!きっとボスも喜んでくれるに違い・・」
ザッ
山賊「!」
「待てぇえ!!!」
山賊「?」
山賊「む!」
幸坊「その宝を返せ、山賊ども!!!!」
山賊「なんだてめぇは?」
門番「ああん?」
山賊「あ!こいつ、宝を見つけたガキの一人だ!」
幸坊「そうだ!!」
山賊「ふ~んだ、こいつはもう俺たちのもんなんだ!帰んな、へへへ!」
山賊「そういうことだ!」
幸坊「ふざけるな!俺たちがみつけたんだぞ!!」
山賊「なんだとぅこのガキ!俺たちが誰だかわかってねぇようだな!」
山賊「おうよ!俺たちゃ泣く子も黙る山賊様だぜぇ?」
山賊「そうそう!ガキはおとなしくオウチに帰ってな、ひひひ」
幸坊「それが何だ!友達と約束したんだ、一緒に財宝を見つけるって・・!」
山賊「はぁ?約束?」
幸坊「・・お前らなんかに・・・横取りされてたまるかぁ!!!」
バッ
山賊「!!」
山賊「!」
幸坊「うぉぉぉおおおおお!!」
幸坊「やあ!」
ドン [パンチ]
山賊「うぉっと」
幸坊「おりゃおりゃ!!!」
ドドドドン
山賊「お~お~ガキのくせに大したもんじゃねぇか」
幸坊「うぉおお!!」ポカポカ
山賊「・・・おい」
山賊「ああ、わかってるって」
幸坊「お宝をかえせぇえええ!!!」
山賊「そや!」
ドガッ [一撃]
幸坊「・・!!?」
幸坊「・・あ・・・ああ・・・」フラッ
ドサッ [倒れる]
山賊「へへへ・・・悪くおもうなよ」
山賊「連れてけ」
山賊「おう」
スッ
「チビィ!!!!」
山賊「!!?」
山賊「!!」
門番「今度はなんだ!!」
勇者「!!」バッ
索嬢「チビちゃん!!」バッ
山賊「て、てめぇら!」
山賊「たしか、こいつの仲間だったな!」
勇者「チビ!」
幸坊「・・・・あ・・ぅ・・」
索嬢「チビちゃん・・まさか!」
勇者「お前ら・・チビを・・・!!!」キッ
山賊「ああん?」
勇者「チビに何をしやがった!!」
山賊「何かしたらまずいのか?」
勇者「許さない!!!」バッ
山賊「!?」
勇者「りゃあ!!」ドッ
山賊「うッ・・!?」
ドサッ
山賊「お、おい!?」
門番「!!」
勇者「財宝とチビを返せ!!この野郎!!!!」
山賊「く・・おい!しっかりしろ!」
門番「この野郎、よくも!」
勇者「うらあああ!」バッ
山賊「!」
勇者「はぁ!!」ヒュッ
山賊「・・っと!!」サッ [避ける]
勇者「!」
山賊「このぉ!!!」ブン
スカッ
山賊「ありっ!?」
勇者「おりゃあ!!」ブン
ガシッ [掴まれる]
勇者「・・!!!?」
門番「へへへ・・!」ググ
勇者「この・・!」グググ
索嬢「ああ!!」
ガンッ
勇者「・・う・・・!?」
ガクッ
山賊「手こずらせやがって、ガキが・・」
門番「ふふ」パッ [放す]
ドサッ
勇者「・・・・・ぅ・・」
索嬢「ああ・・あ・・」ガクガク
幸坊「・・『勇者』・・く・・」
山賊「よぉし、てめぇらおとなしくしてろよ」
門番「おい!!誰かいねぇか!こいつらを運べ!!」
--------------------アジト・牢--------------------
勇者「・・・・・・・」
「『勇者』!『勇者』!」
勇者「・・・・んぅ・・」
索嬢「『勇者』!」
勇者「・・・う!」
索嬢「あ、起きた!」
勇者「ここは・・?」
索嬢「山賊のアジトよ、私たち捕まっちゃったの・・」
勇者「・・・牢・・」キョロキョロ
勇者「!」バッ
勇者「チビは!?チビ・・!」
幸坊「なんだよ」
勇者「・・あ・・チビ」
幸坊「・・・」
幸坊「なんで戻ってきたんだ」
勇者「なんでって・・お、お前が心配だからだ!」
幸坊「心配!?余計なお世話だ!」
勇者「なんだと!」スッ
勇者「腕輪の外し方知らないくせにウソつくからだろ!」
幸坊「いッ!?」ギクッ
索嬢「そうよチビちゃん!」
幸坊「お前ら、なんでそれを・・!」
勇者「カジ屋のやつに聞いたんだ!カジ屋!」
幸坊「く・・」
勇者「なんで嘘ついたんだよ・・!」
幸坊「・・だって、約束したし」
勇者「いいんだよ腕輪なんて!どうせとれっこないし!」
幸坊「そんなの知らねぇよ!とるって言っちまったんだから!」
勇者「じゃあホントは知らなかったってあのとき言えよ!」
幸坊「言えるかカッコ悪い!」
勇者「・・・」
幸坊「・・・・」
勇者「ごめんな・・チビ」
幸坊「・・・うん・・・俺も、嘘ついてごめん」
索嬢「二人共・・」ニコ
勇者「じゃあまずここから出ないと!」
幸坊「ああ、でもここは牢の・・」
「おいてめぇら!!!」
勇者「!」
幸坊「!」
索嬢「!」
「ボスがお呼びだ!出ろ!!」ガチャ
幸坊「ぼ、ボスだって・・・!?」
勇者「・・・・・」
索嬢「チビちゃん・・怖い・・」
幸坊「大丈夫だ、お前は俺がちゃんと守ってやる!」
索嬢「・・う、うん!」
--------------------アジト・大広間--------------------
ザワザワ
ザワザワザワ
勇者「・・く」
幸坊「お、俺たちどうなっちゃうんだ・・」
索嬢「さあ・・助かるのかしら・・」
山賊「ボスのお出ましだぁ!!」
勇者「!」
ザッザッザッザ
「・・・ぐふふ」
幸坊「あわわ・・!」
索嬢「ひぃ・・!」
親賊「お前らが、あの財宝を見つけてくれたガキか」
幸坊「・・!」
勇者「そうだ!俺たちが見つけたんだ、返せよ!!」
索嬢「そ、そうよ!返しなさいよ!」
幸坊「お前ら・・!そんな怒らすようなこと・・」
親賊「そうはいかねぇ、俺はこいつを元にしてさらにアジトをでかくする」
親賊「そしてそのうち、この国を支配してやるのさ!ワハハ!」
索嬢「・・そんな」
勇者「そうはさせるか!国はともかく、その宝は俺たちのものなんだ!」
親賊「ぐひひひ・・元気なガキだなぁ・・喰い堪(ごた)えがありそうだ」
勇者「え・・!?」
幸坊「い!!?」
索嬢「く、喰うですって!?」
山賊「ったりめぇよ~アジトの場所を知られちゃあ生かして返すわけにゃいかねぇ」
山賊「それにボスはガキが好物なんだ、お前らみてぇな活きのいいのがな!」
幸坊「そんなぁ!!」
索嬢「いやぁあああ!!」
親賊「ぐっふっふ!」
勇者「う・・・」
親賊「まあでも、そこの女はカワイイから召し使いにしてやろう」
索嬢「・・え?」
山賊「はっはっは!良かったな小娘!」
山賊「よろしくなぁ・・うひひひ」
索嬢「い、いやよ!」
幸坊「そうだ!ば、バズレアに手を出すなぁ・・!」
山賊「るせぇ!チビ野郎!」
幸坊「なにぃ!?」
親賊「ふっふっふ、では、まずどっちから頂こうかな・・」ペロ
勇者「!」
幸坊「!」
親賊「おい!持ってこい!!」
山賊「へい!」
山賊「へい!」
山賊「へい!」
ゾロゾロゾロ
ゴゴゴゴゴゴ
勇者「な、なんだぁ?!」
幸坊「・・!」
親賊「ひっひっひっひ」
グツグツグツ
グツグツ
幸坊「うわあ!鍋!?」
親賊「俺はガキの唐翌揚げが好物なんだ」
索嬢「ひいいい・・」
幸坊「な、なんてやつだ」
親賊「でぇ、どっちからにするんだぁ?」
勇者「・・・・・・・・」
幸坊「・・・・・・・・」
親賊「ん~・・・」
親賊「よぉし!キメた!」
勇者「!」
親賊「まずは威勢の良かった眉(まゆ)無しのチビからにしよう」
幸坊「!!」ドキッ
勇者「・・・」ホッ
親賊「豪快に粉に放り込め!」
山賊「へい!!」スッ
幸坊「ま、待て!俺なんかよりこっちのやつの方がうまいぞ!!」
勇者「え!?」バッ
親賊「ん~?そうなのか?」チラッ
勇者「・・・!」ドキッ
勇者「(き、汚ないぞチビ!このやろう・・!)」
幸坊「(しょうがねぇだろ!俺まだ食われたくねぇもん!)」
勇者「(俺だって食われたくねぇよ!)」
親賊「確かにこっちの方がうまそうだなぁ・・」ニヤ
勇者「・・・!?」
幸坊「でしょ!?でしょ!?」
親賊「よし!じゃあまずこっちの髪型が変なチビからだ!」
勇者「!!?」
山賊「よっと!」グィ [持ち上げる]
索嬢「あ!」
幸坊「!」
勇者「うわああ!やめろぉおおお!!!」バタバタ
親賊「へへへ・・」ジュル
索嬢「ゆ、『勇者』!」
山賊「そぉら!」ポイッ
勇者「わ!」
ボサァン [粉]
モワモワモワ
勇者「うぇえ!ぺっ!ぺっ!なんだこれ!?」
親賊「特製のスパイスパウダーだ、これで丸揚げにすると絶品なんだ」
勇者「・・・!」
幸坊「(・・・)」
親賊「さあ・・!!鍋に放り込めぇ!!!」
山賊「へいッ!!」
勇者「うわああああ!!」
グラッ [粉台を傾ける]
幸坊「待ってくれぇえ!!!!」
親賊「!!」
山賊「!?」
山賊「!?」
索嬢「チビちゃん・・?」
勇者「・・!?」
山賊「なんだってんだ!」
幸坊「俺たち・・・実はほかにも財宝のありかをしってるんだ!!」
親賊「!」
幸坊「教えてやるから、命は助けてくれ!頼む!!」
山賊「な、なんだと!?ホントかガキ!」
幸坊「ホントだ!だから助けてくれ!」
山賊「どうします、ボス!?」
親賊「・・・・・・・」
幸坊「・・・」ドキドキ
勇者「・・・・・」
親賊「おい、じゃあどのあたりにあるのか言ってみろ」
幸坊「・・え?」
親賊「知ってるなら場所くらい言えるはずだ!言ってみろ!」
山賊「そうだそうだ!言ってみやがれってんだ!」
山賊「俺たちゃ山中を探し回ったんだぞ!それでもまだあるってのか!」
幸坊「そ・・それは・・・」
山賊「ああ~ん?」
幸坊「・・その・・・・」
親賊「まぁ、あるとすりゃあてめぇらが見つけた穴の南のあたりだなぁ」
幸坊「(南?そんなとこに・・?)」
親賊「そうなのか?」
幸坊「・・・」
幸坊「あ、ああ!そうだ!南だ!南に財宝が・・」
親賊「なにぃ!!」ガダッ
幸坊「え・・!?」ビクッ
親賊「嘘を付けぇい!!南は湖になってんだ!宝なんてねぇぞ!!」
幸坊「・・・あ」
勇者「ち、チビ!?」
索嬢「!!」
親賊「おい!このガキも放り込め!!」
山賊「へい!!」スッ [運ぶ]
幸坊「お、おい!?よせ!!」グィ
索嬢「ああ!」
幸坊「うわあ!」ドサッ
モワァアン
幸坊「ゲホッ!ゲホッ!!」
勇者「ゲホッ!ゲホッ!」
索嬢「二人共・・!」
親賊「ふふふ」
勇者「お前まで来てどうすんだよ!!・・・ゲホッ!」
幸坊「しょうがねぇだろ!!うまくいかなかったんだから!!」
勇者「うまくやれよ!助かるかもしれなかったのに!」
幸坊「なんだと!!この・・」
親賊「よぉ~し!!油にブチ込め!!!」
山賊「アイアイサー!!」
山賊「アイアイサー!!」
山賊「アイアイサー!!」
勇者「!!」
幸坊「!?」
グツグツグツ
勇者「うわああ!!!」バタバタ
幸坊「わぁあ!!!!」バタバタ
山賊「えいさー!ほいさー!」グイン
山賊「えいさー!ほいさー!」グイン
山賊「えいさー!ほいさー!」グイン
グラッ
索嬢「!」
勇者「わああ!落ちるーーー!!!!」ズルッ
幸坊「おわあああああ!!!?」ズルッ
索嬢「チビちゃん!!『勇者』!!」
親賊「いーひっひ!」
ガシッ
親賊「!」
山賊「!」
山賊「!」
勇者「うく・・!」グググ
幸坊「うう!」グググ
山賊「あ、あいつら!ロープに!?」
索嬢「ああ・・!」
親賊「おい!とっとと落とせ!!」
山賊「へい!」
グツグツグツ
勇者「・・・くそ~・・!」グググ
幸坊「ひぇええ・・!」
勇者「お、お前が先にいけチビ・・・!」
幸坊「はぁ・・!?」
勇者「先に行って湯加減みてこい!」
幸坊「やだよ!お前が行けよ!お前が先に来たんだろうが!!」グググ
勇者「なんでだよ!こうなったのはお前のせいだろうが!!」グググ
幸坊「違う!!お前が怒って帰ったりするから・・!」
勇者「なんだとぉ!?お前のせいだ!おまえが行け・・!!」グググ
幸坊「やだ!お前が行け!!」グググ
親賊「・・・おい!まだか!さっさと揚げちまえ!!」
山賊「へ、へぇ!」
勇者「!」
山賊「えいさー!!」グッ
山賊「えいさー!!」グッ
山賊「えいさー!!」グッ
勇者「わあああ!!!!!」グラッ
幸坊「あああ!!!!」グラッ
親賊「よし落ちた!」
山賊「ははは!!」
索嬢「きゃあああ!!!」
索嬢「・・・・・」
索嬢「?」
山賊「あ!」
勇者「・・・」ブラン
幸坊「・・・」ブラン
親賊「なっ!?」
山賊「あいつら!まだロープに!」
山賊「シブトいやつらめ!!落ちろー!!」
親賊「さっさと落とせ!!」
幸坊「へへへ!べーだ」ベー
山賊「このー!!」バッ
勇者「!」
山賊「この!落ちろ!!」ツンツン [つつく]
山賊「そりゃ!」ツン
勇者「うわあ~!やめろ!落ちるだろ!!」
幸坊「イテテッ!!」
山賊「落ちろっつってんだ・・このっ!!」ツン
勇者「いやだー!!」
親賊「早くしろ!!」
山賊「・・まてよ、このロープを切っちまえば」
勇者「え!」ギクッ
幸坊「あ!」ギクッ
親賊「ロープを切れ!!」
山賊「おい!剣を持って来い!!」
勇者「うわぁ!?やめろぉお!」
親賊「ひひひ、いよいよ丸揚げだ!」
幸坊「うわああ!」
山賊「よぉしこいつで!!」ギラッ [剣]
勇者「やめろぉおお!!」
幸坊「やめろぉおお!!」
山賊「そ~れ!!!」ブン
索嬢「いやあああ!!!」
「大変だぁあ!!!ボスーー!!!!」
親賊「!!?」
勇者「!」
門番「国王軍のやつらが!!突然・・・」
ドガッ [一撃]
親賊「!!!」
山賊「!!」
門番「うがぁ・・」ドサッ
索嬢「!?」
幸坊「なん・・だ・・?」
ザッ
麗剣「失礼するよ山賊の諸君!!」
兵士「・・・!」スッ
兵士「・・・!」スッ
兵士「・・・!」スッ
山賊「な、なんだでめぇら!!勝手に入りやがって!」
幸坊「なんだ?あいつ・・」
勇者「兵士みたいだな・・」
麗剣「私の名前はリジム、この国一番の剣士さ」
山賊「はぁ?」
麗剣「よろしく」ニコ
山賊「名前なんて聞いてねぇよ!とっとと出て行きやがれ・・・!!」
麗剣「そうは行かないよ、僕たちは国王陛下の命令でここまでやって来たのだから」
山賊「国王の!?」
麗剣「そうさ?でなきゃ、誰が好き好んでこぉ~んな薄汚いところに・・・」ニヤ
山賊「んだとぉ!?」
山賊「ぼ、ボス!どうします!?」
親賊「一体ぇ・・何の用だ!」
麗剣「ふっふっふ・・」ニヤ
バッ [降りる]
勇者「・・・」スタッ [着地]
幸坊「わととっ!」ドサッ [落ちる]
索嬢「チビちゃん!」
山賊「あ、てめぇら!?」
山賊「ガキどもが逃げる!捕まえろ!!!」
山賊「おう!!」
勇者「!」
ババッ
麗剣「待ちたまえ!!!」ズイ
山賊「!?」
山賊「!」
山賊「なんだってんだ!!」
麗剣「君たちはそこを動くんじゃない、我々の指示に従うんだ!」
山賊「なんだと!誰がてめぇらのいいなりになんか・・・!」
勇者「(おい!今のうちに!)」
幸坊「(ああ!)」コクッ [うなずく]
索嬢「(・・!)」コクッ
麗剣「どうしてもと言うのなら!好きにするといい!」
山賊「?」
麗剣「・・命が、惜しくないならな」
兵士「・・!!」ギラッ
兵士「・・!!」ギラッ
兵士「・・!!」ギラッ
山賊「く!」
親賊「おい答えやがれぃ!何しに来た!!」
麗剣「そうだったな、用件を・・・失礼失礼」
勇者「(・・・)」コソコソ
幸坊「(・・・)」コソコソ
索嬢「(・・・)」コソコソ
麗剣「用件は・・・」
親賊「・・・」
麗剣「あなた様です、『勇者』様!」キッ
勇者「・・・!!」
幸坊「え!?」
索嬢「え!」
山賊「!」
親賊「なに!?『勇者』だと・・!?」
麗剣「そうさ!」バッ
麗剣「キサマら、畏れ多くもわれらが『勇者』様にこぉんな仕打ちをしおって!」
親賊「こ、このガキが!?」
勇者「・・・・!」
麗剣「これは大いなる『国家反逆』!!!直ちに城へ連行だ!!!」
麗剣「皆の者!『勇者』様を『保護』し!無事城へ連れ帰るのだ!!」
兵士「おおおー!!!」バッ
兵士「おおおー!!!」バッ
兵士「おおおー!!!」バッ
兵士「おおおー!!!」バッ
兵士「おおおー!!!」バッ
親賊「・・・・!」
山賊「!」
山賊「!!」
麗剣「さあ!!速やかに山賊共を全員ひっとらえろ!!」
山賊「ボス!!」
親賊「・・やつら、俺の食事タイムを邪魔しやがった上に・・偉そうなことを・・」
バッ
親賊「野郎どもォ・・・!」
山賊「へい!!」
親賊「このくだらん兵士共を皆殺しにするんだァア!!!!!!」
山賊「アイアイサー!!!」バッ
山賊「アイアイサー!!!」バッ
山賊「アイアイサー!!!」バッ
麗剣「行けーーー!!!」
山賊「うぉおお!!!!」
ガシャァアン
ドカァアン
ワァアアア
ァァァァァアアアア
索嬢「ひぃいい!」
幸坊「お、おい!逃げるぞ!!」
勇者「ああ!!」
バッ
勇者「!」
麗剣「『勇者』様!」
幸坊「!」
索嬢「!」
勇者「お前!」
麗剣「さあこちらへ!ここは危険ですので、安全な場所までご案内を・・」ニコ
勇者「(・・・・)」
幸坊「ゆ、『勇者』・・」
麗剣「あなた方は『勇者』様のご友人で?」
幸坊「あ、ああ・・まあ」
麗剣「でしたら、我々とともにお出(い)で下さい!安全な場所まで・・」
索嬢「ち、チビちゃん!どうする!?」
幸坊「どうするって・・」
麗剣「さあ」ニヤ
幸坊「あ、ああ!・・行くよ!」
勇者「ダメだ!行くな!!」
幸坊「!」
索嬢「!」
麗剣「・・・・」
勇者「行くな!コイツらについていったらダメだ!!」
幸坊「な、なんでだよ!?助けてくれるって言ってるんだぜ?」
勇者「とにかくダメだ!こいつらは・・」
麗剣「なぁにをおっしゃいます『勇者』様!我々はただあなた様方のご安全を・・」
幸坊「そうだよ『勇者』!国王軍だぜ?何を心配してるんだ?」
索嬢「(・・・)」
勇者「い、いいから!そいつを信用するな!!」
麗剣「『勇者』様、あなたはきっと気が動転しているのです、だから・・」
幸坊「そうだよ!それに現に、こいつらのおかげで俺たち助かったんだぜ?」
勇者「・・でも!」
索嬢「チビちゃん」
幸坊「ん?」
索嬢「私も・・・なんかこの人信用できない」
幸坊「おい!?お前までどうしたんだ!何が信用できないんだ!!」
索嬢「だっておかしいじゃない!なんでこの人たち、ここに来たのよ!」
幸坊「え?」
索嬢「まるで私たちが来てるのを知ってたみたいじゃない、おかしいわ!」
麗剣「何を言っているんですか!!」ズイ
索嬢「!」ビクッ
麗剣「何のご心配も要りません!どうか、我々とともに・・」
勇者「うるさい!!」
勇者「来いチビ!逃げるぞ!!」ガッ
幸坊「ええ!?」グィ [引っ張る]
索嬢「さあ行くわよ!!」
麗剣「あ!?『勇者』様!お待ちを!!」
タタタタタタ
麗剣「・・・・・」
兵士「隊長!!どうなされました!」バッ
麗剣「・・おい!」
兵士「は!」
麗剣「ガキ共を追え!!!『勇者』もろとも全員捕らえるんだ!!!」
兵士「は!!」
--------------------アジト・宝物庫--------------------
タタタタタタタ
ザッ
幸坊「ハァ~!!!」ドカッ
勇者「よし・・ここまでくれば・・ハァ」ゼェ
索嬢「そうね・・様子を見て出口を探しに行きましょう」ゼェ
勇者「そうだな・・」
幸坊「お、おい『勇者』・・どういう事なんだ?」
勇者「?」
幸坊「なんで国王軍からも逃げなきゃなんねぇんだよ・・!?」
幸坊「あいつら、俺たちを助けに来たんだろ?」
勇者「あいつらは信用できない・・ダメだ・・」
幸坊「なんで!」
索嬢「もー!チビちゃんまだわからないの!?」
幸坊「何がだよ!」
索嬢「あいつら、きっと私たちの後をつけてたのよ!」
索嬢「私たちっていうか・・『勇者』の!」
幸坊「・・へ?なんで?」
索嬢「知らないわよ!どういうこと『勇者』!」
勇者「あいつらは・・」スッ
勇者「あいつらは、俺のことを探してたんだ、前から」
幸坊「え・・・」
勇者「いまさら探すなんて、よくわかんないけど」
勇者「きっとロクなことにならない」
幸坊「またってことは・・前も・・・?」
勇者「わかんないけど、たぶん・・・」
ガダッ
兵士「ここかぁ!!」バッ
勇者「(うわ!隠れろ・・!!)」
幸坊「(・・!!)」バッ
索嬢「(・・!!)」バッ
兵士「・・・・・」
兵士「ここはなんだ?山賊どもの宝物庫か?」
兵士「ガキ共はこっちの方に来た、ここに居るかもしれん!」
ゴソゴソ
勇者「(くそ~!あっち行けよ!)」
幸坊「(ひいい~・・・!)」
兵士「・・・・・」キョロキョロ
索嬢「(・・・ん)」ムズムズ
幸坊「(?)」
勇者「(どうした?)」
索嬢「(チビちゃんたちの・・粉が・・鼻に・・・んん・・)」
勇者「(!?)」
幸坊「(!?)」
索嬢「(は・・はああ・・は・・!)」
勇者「(だ、ダメだ!!いまクシャミは!)」
幸坊「(やめろ!!バズレアやめろ!)」
索嬢「(・・・・・・・)」
幸坊「(よ、よし・・)」ホッ
勇者「はぁ、一応止まっ・・)」
索嬢「ッだァあックショぇエィん!!!!!」
勇者「!!」
幸坊「!!」
兵士「・・!!」バッ
兵士「いたぞ!さっきの女だ!!!」
幸坊「バカやろう!!」
索嬢「だ、だってぇ!」
勇者「まずい!逃げ・・」
バッ
幸坊「あ!」
麗剣「ふふふ、こんなところにおられましたか『勇者』様」
麗剣「さ、我々のもとへ!」
勇者「く・・!」
索嬢「ひぃ!!」
麗剣「おとなしく来るならば、痛い目にはあいませんよ」ニヤ
幸坊「え!?」
索嬢「ほら!だから言ったでしょ!」
幸坊「お前、俺たちを助けに来たんじゃ・・」
麗剣「ふふふ・・そうさ、助けに来たのさ」
麗剣「ただし『勇者』だけだがな、ハッハッハ!」
幸坊「そんなぁ・・・!」
麗剣「さあ来い『勇者』!!国王が待っているぞ!!!!」
麗剣「連れていけ!!」バッ
兵士「はっ!!」
スッ
勇者「!」
兵士「さあ・・こっちだ!」ズィ
幸坊「やめろぉおお!!」バッ [跳ぶ]
兵士「!?」
ドガッ [打つ]
勇者「チビぃ!?」
幸坊「うぁあッ・・!!」ドサッ [倒れる]
索嬢「チビちゃん!!」
兵士「このガキが・・!」キッ
幸坊「うう・・」
麗剣「早く縛れ!」
勇者「やめろー!」
「てめぇらなにしてやがる!!!」
兵士「!!」
麗剣「チぃ・・」
親賊「人様の財産に手出すたぁ、軍人の風上にも置けねぇ野郎だなぁ!」
勇者「!」
幸坊「!」
麗剣「ふん!キサマに言われちゃおしまいだ」
親賊「さあて・・お礼はたっぷりさせてもらうぜぇ?」ニィ
麗剣「俺に、勝てると思ってるのか?」
親賊「ほざけ~い!!!!」
麗剣「おい!こいつを片付けろ!!」
兵士「は!!」
ババッ
親賊「うぉら!!」
ガキィン
ドカァン
兵士「うわあ!!」ドサッ
兵士「ぎゃあ!!」ガッ
麗剣「な、何をやってる!さっさとやれ!!」
兵士「うぐ・・!」
親賊「ハッハッハァ~!雑魚どもがぁ!!」
勇者「に、逃げるぞ!」
幸坊「おう!」
幸坊「・・ん?」
勇者「なんだ?」
幸坊「このネックレス・・いただき!」キラン
勇者「おい!いまさらそんなの・・!」
索嬢「えへへ、私の王冠~」キラン
勇者「バズレアまで!なにやってんだよ!」
索嬢「いいじゃないちょっとくらい」
幸坊「さあ行くぞ!」
勇者「・・・」バッ
麗剣「ああ!?ガキどもが!」
麗剣「おい!お前らガキどもを・・」
親賊「おうっと待ったぁ」ズイ
麗剣「!?」
親賊「貴様の相手はこの俺だぜ?」
麗剣「くそ・・!」
タタタタタタ
山賊「まちやがれーー!!」
山賊「まちやがれーー!!」
勇者「わーーー!!!」
幸坊「わーーー!!!」
索嬢「わーーー!!!」
タタタタタタ
山賊「くそ!すばしっこい奴らめ!!」
勇者「ん・・?」ズボッ [地面]
山賊「?」
山賊「?」
勇者「え!?」ズルル [落ちる]
索嬢「!!」
ズルルッ
勇者「ああああぁぁぁぁぁぁ・・・!!」ヒュゥゥゥウウ
アアァァァ
索嬢「『勇者』・・!?」キキッ
幸坊「おい!ちょっと急に止ま・・!!」
ドン [ぶつかる]
索嬢「あ!」グラッ
幸坊「い?」グラッ
山賊「!」
索嬢「きゃああああああぁぁぁぁぁぁ・・・・!!!」ヒュゥゥゥウウ
幸坊「えええええええぇぇぇぇぇ・・・・!!」ヒュゥゥウウ
ァァァァァアアア
山賊「し、しまった・・畜生!!」
山賊「おい!ガキどもは・・・ま、まさか!?」
山賊「『犬小屋』に落ちちまった!!」
山賊「な、なんてこった・・」
山賊「・・まあ、生きては出られねぇさ・・・手間が省けたってもんだ!」
山賊「そうだな・・」
--------------------アジト・地下・犬小屋--------------------
ァァァアアアア
勇者「あああああぁぁぁぁ・・・!!!!!」
ドサッ
勇者「いてッ・・!!」
ムクッ
勇者「・・こ、ここは?」
ヒュゥゥゥウウ
勇者「!」
幸坊「わぁぁぁあああああ!!!」ヒュゥゥ
索嬢「きゃぁぁぁあああああ!!!」ヒュゥゥ
ドササッ
幸坊「う~・・」
索嬢「イタタタ・・!」
索嬢「・・ここはぁ?『勇者』は?」キョロキョロ
幸坊「ん?」
勇者「ど・・どけろ!」
索嬢「あ!ごめんなさい!」パッ
幸坊「ん~」キョロキョロ
ドヨ~ン
幸坊「ここ、どこなんだ?なんか臭ぇしよ」
索嬢「うん、なんか動物みたいなニオイがする」
勇者「山賊の秘密基地みたいなところかな」
索嬢「え?こんな変なニオイの基地があるの?」
勇者「山賊だからニオイも変なんじゃないか?」
索嬢「そういうものかしら・・」
幸坊「・・・あ」
勇者「ん?」
索嬢「どうしたのチビちゃん?」
幸坊「あ・・あれ・・」
勇者「?」パッ
グルルルッ
索嬢「え・・?」
ノソッ
ノソッ
勇者「!?」
索嬢「!!」
犬獣「グァォォオオオオオオ!!!!!」
勇者「わああ!!!」
幸坊「うわああああああ!!!」
索嬢「イヤァァアア!!!!」
犬獣「グルルゥ・・」
勇者「デカイ・・犬!?」
幸坊「・・ば、バケモンだ・・食われる!!」
犬獣「・・・・・」
幸坊「?」
勇者「な、なんだ?」
索嬢「ひいい・・」
ノソッ
ノソッ
犬獣「・・・?」ジロッ
索嬢「あわわわわわ・・」ガクガク
幸坊「あわわわわわ・・」ガクガク
犬獣「お前ら、俺をイジメに来たんじゃないのか?」
勇者「えっ!?」
索嬢「ええ!?」
幸坊「しゃ、喋ったぞ!!?」
犬獣「・・・・」
索嬢「い、今喋ったわよね?」
犬獣「ごめんなさい」スゥ
幸坊「いや!謝られても!」
索嬢「うそ・・喋った!」
勇者「俺たちはお前をいじめに来たんじゃないぞ、落ちたんだ」
犬獣「そうなんだ、良かった」
勇者「お前、ここで何してるんだ?お前も落ちてきたのか?」
犬獣「違う!俺、ここの山賊たちに捕えられてペットにされてるんだ」
勇者「ペット?」
犬獣「そう、喋れるからってずっといいようにされてるんだ・・」
犬獣「毎日怖い男達にイジメられて・・もううんざりしてるんだ」
索嬢「か、かわいそうなのね」
犬獣「そんで、お前たちはなんでここに来たんだ?」
勇者「あ!そうだ!」バッ
勇者「俺たちその山賊に追われてるんだ!」
犬獣「ああ、ついてないな」
勇者「こっから出たいんだけど、出口はどこなんだ!?」
犬獣「出口はあるけど、でられっこないよ」
幸坊「え?」
勇者「どうしてだ?」
犬獣「見張りがいるんだ、おっきくて怖い顔した男が二人・・」
犬獣「逃げようとしても、すぐ捕まっちゃうよ」
勇者「・・・・・」
幸坊「ど、どうする?」
勇者「いや、今ならいないはずだ!今あいつら国王兵と戦って・・!」
幸坊「そ、そうか!」
犬獣「え?国王兵?」
索嬢「そうよ!今なら行けるわ!」
勇者「おい!案内しろ!!」
犬獣「ほ、ホントに大丈夫なの?」
勇者「そうだ、早くしろ!一緒に逃げるぞ!!!」
犬獣「わかった!こっち!」
バッ
幸坊「よぉし!」スッ
タタタタ
犬獣「こっちこっち!」トットット
勇者「こっちか!」
幸坊「・・!」タタタ
索嬢「・・!」タタタ
犬獣「・・あ、あった!あれ!出口!!」
勇者「!」
犬獣「誰もいない!君の言ったとおりだ!!」
勇者「よし!」
タタタ
幸坊「おい!このオリ壊さないと無理だぞ!」スタッ
索嬢「え~?!ここまで来てダメなの!?」
ガチャガチャ
幸坊「・・よぉし!どけ!」
索嬢「え?」
幸坊「行くぞ『勇者』!」
勇者「おう!」
幸坊「やぁ!!!」バッ
勇者「やぁ!!!」バッ
ガシャァァン
犬獣「!」
索嬢「すごい!壊れたわ!」
勇者「よし!行くぞ!」
ダッ
勇者「!」
兵士「いたぞ!!」
兵士「捕まえろ!!!」
幸坊「うげえ!!?居るじゃねぇかよ!!!」
索嬢「ゆ、『勇者』!!?」
兵士「来い!!逆らえば痛い目にあうぞ!!」
勇者「くそ・・」
犬獣「うぅ~~~・・・!!!」グルルル
兵士「!?」
兵士「な、なんだこいつは!!!」
犬獣「ガルゥ・・!!!」ギロッ
兵士「うわああ!!人食いのバケモノ!?」
兵士「く、食い殺される!」
犬獣「ワオワオワオワオ!!!」
兵士「うあああ!!」
兵士「に、逃げろぉ!!」
ダダダダ
幸坊「おお~!」
勇者「おお~!」
索嬢「おお~!」
犬獣「へっへっへ!」
ダダッ
山賊「あ!あいつらいつのまに!」
山賊「犬っころまで!!てめぇどうやって逃げやがった!」
犬獣「・・・!」
山賊「おめぇら!とっ捕まえろ!!」
山賊「うぉおお!!」
山賊「うぉおお!!!!」
幸坊「や、やばい!」
犬獣「乗って!」バッ
勇者「よっとぉ!」ノソッ
索嬢「わ!」ノソッ
幸坊「え?おい!ちょっと待てって!!」ガシッ [つかまる]
犬獣「行くよ!」
勇者「OK!」
山賊「・・!!」ダダダダ
山賊「・・!!」ダダダダ
幸坊「ひええええええ!!!!」ブラブラブラ
タタタタタ
山賊「くそっ!速いぜ!!?」
山賊「まてぇーー!!」
タタタタタタ
犬獣「・・!」タタタタ
勇者「よぉし!このまま脱出だ!!」
幸坊「いっけー!」
索嬢「いっけー!」
タタタタタ
犬獣「!」
麗剣「待てーーーーーい!!!」バァン
勇者「あ!あいつ!」
幸坊「げ!?まだウロウロしてやがったのかよ!」
麗剣「ここは通さん!何が何でもとっ捕まえてやる!」ギラッ [剣]
勇者「どうする!?」
犬獣「飛び越えるよ!捕まって!」
幸坊「うぉ!」
索嬢「イヌちゃん!」
麗剣「ふふ・・・」ニヤ
タタタタタ
犬獣「よっ!」ダッ [跳ぶ]
勇者「!」
索嬢「!」
幸坊「!」
ヒュゥウウウ [飛ぶ]
幸坊「おおすげぇ!このまま突っ切って・・」
犬獣「う・・・!?」ズキッ
勇者「!?」
犬獣「ウゥっ!」ドサッ [落ちる]
幸坊「わあ!?」ドサッ
索嬢「きゃ!!」ドサッ
勇者「ど、どうしたんだ!!」バッ
犬獣「あ、足が・・・痛い!」
幸坊「うあ!切られてる!!」
麗剣「・・・・」ギラン
幸坊「ま、まさかあいつが!?」
麗剣「この私を前にして素通りできると思ったか、小僧どもめ!」
勇者「・・・!」
麗剣「諦めたまえ諸君!!おとなしくするんだ・・!」
索嬢「うう・・!」
幸坊「くそぉ!!」
山賊「見つけたぁ!」バッ
麗剣「!?」
親賊「ここにいやがったか・・剣士さんよぉ・・」
山賊「へっへっへっへ!」
幸坊「わああ・・山賊の奴らまで来ちまった・・!」
親賊「てめぇらまとめてフクロのねずみだ!やっちまぇ!!」
山賊「うぉおお!!!」
ババッ
麗剣「・・・」
ズババン
山賊「・・・・・・・!」
山賊「・・・・・・・!」
山賊「・・・・・・・!」
ドサッ
ドサササッ
親賊「なに!?」
索嬢「ひぃ!?」
幸坊「い、今何が起こったんだ!?見えなかったぞ!!」
麗剣「・・・」キィン [しまう]
勇者「あ・・」
麗剣「観念したまえ、もうわかっただろう?」スッ
麗剣「君らが束になってかかっても・・敵わないってことが」
親賊「く・・!!」
親賊「うぉおおおおおお!!!」バッ
麗剣「・・・」
親賊「せやぁ!!」ブン
麗剣「・・!」サッ [避ける]
麗剣「ハッ!!!!」
ズバッ
索嬢「!!」
幸坊「!」
親賊「・・あ・・・・ああ・・」
ドサッ
勇者「あ!」
幸坊「や、やられちまった・・」
麗剣「さあもういいだろう!お遊びは終わりなんだ」
麗剣「私とともに王城まで来るんだ、おまえ達」
勇者「・・・・!」
索嬢「『勇者』・・」
勇者「俺だけじゃ、ダメなのか?」
麗剣「ん?」
幸坊「『勇者』、何を・・?」
勇者「俺が行けば、それでいいんだろ?」
索嬢「ゆ、『勇者』!ダメよ!」
幸坊「そうだ『勇者』!何言ってんだ、ここまで来て!」
勇者「だって、そうするしかないだろ!」
幸坊「お前言ってただろ!行ってもロクなことにならないって!」
勇者「大丈夫だ!またすぐ帰ってくる」
幸坊「帰って来れなかったら!」
勇者「そんときはそんときだ!気にするな!」
幸坊「ダメだ!行かせねぇぞ!」
索嬢「ええ!ダメよ!」
麗剣「ふっふっふ、いいだろう、その話、聞いてやらないでもないぞ?」
幸坊「・・え?」
麗剣「『勇者』がこちらに来るなら、お前たちは逃がしてやる」
索嬢「・・!」
勇者「ほ、本当だな!」
麗剣「もちろんだ、お前さえ居ればいいのだからな」
勇者「・・よし、わかった!」
幸坊「ダメだ!!」
スッ
幸坊「おい!『勇者』ぁ!!」
索嬢「『勇者』!!」
犬獣「ああ・・」
勇者「・・・」
麗剣「よぉし、縄で縛るから、おとなしくしてるんだぞ」
幸坊「そ、そんな・・!」
麗剣「・・・・」ススッ
勇者「う・・」ギュッ [縛る]
麗剣「よ~し!これでいい!」
索嬢「・・『勇者』」
幸坊「く・・」
勇者「元気でな!!お前ら!」
幸坊「ゆ、『勇者』ぁ・・うああ・・!」
索嬢「・・・う」ウルッ
麗剣「よぉし、おとなしくしてろよ・・・」
勇者「?」
麗剣「次は、お前らだ!」
幸坊「!?」
索嬢「どういうこと!」
麗剣「バカめ!いったはずだ、貴様らは全員捕まえると」
勇者「そんな!約束と違うじゃないか!!」
麗剣「ふふ・・・」
幸坊「ち、ちくしょう!汚ねぇぞ!!」
勇者「おい!逃げろ!チビ!!」
索嬢「あああ・・」
麗剣「そうはいかん、関係者は全て捕らえよとのことだからな」
麗剣「貴様の同居人のあの男も、近いうちに連行されるだろう」
勇者「!!」
麗剣「・・・」ザッザッザ [迫る]
幸坊「ああ・・あ・・・」
勇者「逃げろーー!!!」
ガッ [打つ]
勇者「!」
犬獣「!」
索嬢「チビちゃぁあん!!」
幸坊「うぁあッ!!?」ドサッ
麗剣「ふっふっふ」
勇者「やめろ!おい!このやろう・・!」ズズッ
麗剣「黙っていろ!!」ゲシッ [蹴る]
勇者「う!!?」ドッ
幸坊「ゆ、『勇者』・・・くそぉ・・!」
索嬢「ああ・・」
麗剣「ガキどもが、オトナに敵うと思ってるのか?」
幸坊「く・・!」
麗剣「ほぉ~う、まだ立てるかチビ、そろそろおとなしく・・」
ガキィン [殴る]
麗剣「・・!?」ガクッ
幸坊「!」
索嬢「・・・ハァ!・・ハァ!」ガクガク [王冠]
麗剣「こ、このガキ!何しやがる!!」ズキッ
勇者「バズレア!?」
索嬢「あんたなんかに・・『勇者』もチビちゃんも渡すもんですか!!」
麗剣「なに・・!」
索嬢「これ以上チビちゃんたちを傷つけてみなさい!この私が・・」
ドガッ [打つ]
索嬢「アッ・・!?」ドッ
勇者「!」
幸坊「バズ・・レア!!」
麗剣「うっとうしい奴らめ!この・・!」ゼェ
索嬢「う・・ああ・・」ズキッ
麗剣「もう動けないようだな・・よし、連行だ!!」
勇者「・・・!!」
幸坊「うう・・」
索嬢「・・あ」
勇者「みんな・・!」
麗剣「さあ・・今縄で縛って・・」シュル
勇者「やめろぉぉおおお!!!!!」カッ
麗剣「!?」
ドガァァァアアアン
麗剣「うぁあああ・・・!!!!」ブワッ
麗剣「ウグッ!!」ドカッ [壁]
ガラガラ
ガラ
索嬢「な、何?今の・・」
幸坊「『勇者』が・・爆発した?」
勇者「・・ハァ・・ハァ」
麗剣「・・ぐ・・・・い、一体・・何が・・!?」
幸坊「おい今だ!逃げるぞ!!」
ババッ [勇者へ]
幸坊「縄ごと吹っ飛ばしたのか・・『勇者』、動けるか!」
勇者「うう・・」
幸坊「(何だったんだ?今の・・)」
麗剣「く・・!」グッ
幸坊「!」
幸坊「まずい!あいつが起きる前に行くんだ!!」
犬獣「み、みんな!乗って!」
索嬢「足は大丈夫なの!?」
犬獣「少しくらいなら走れると思う・・だから早く!」
索嬢「チビちゃん!!」
麗剣「ま、待てガキども・・・くっ!!?」ズキッ
幸坊「・・よいしょ!」
勇者「う・・ごめん・・・」ヨジッ [乗る]
索嬢「・・!」ヨジッ
犬獣「行くよ!つかまって!」
麗剣「待て・・!!」
タッタッタッタ
幸坊「よし!このまま一直線だ!!」
タッタッタッタッタ
タッタッタ
麗剣「くそ・・・」
タッタ
麗剣「おのれ・・ガキどもぉ・・!」
麗剣「覚えていろ・・お前たちは必ずこの俺がとっ捕まえてやる!!」
--------------------山・ふもと--------------------
タッタッタッタッタ
犬獣「ハッハッ・・」タッタ
幸坊「・・おい!どうする!」
索嬢「どこに逃げたらいのかしら、家に行っても捕まっちゃうし・・」
勇者「・・う」
幸坊「『勇者』!大丈夫か?」
勇者「ここは・・?」
幸坊「うまくアジトから逃げ切れたぞ!お前のおかげだ!!」
勇者「・・・」
勇者「!」
勇者「そうだ!隠れ家に向かってくれ!今すぐに・・!」
索嬢「隠れ家?」
勇者「ここから東の方にあるんだ!早く!!」
幸坊「いいけど、なんでだ?」
勇者「あの兵士が言ってたんだ・・隠れ家の仲間も連れてくって・・だから」
幸坊「そうか・・よし!東の隠れ家に向かうぞ!!」
索嬢「ええ!」
犬獣「オゥウン!」
タッタッタッタ
--------------------隠れ家--------------------
勇者「オサン!!オサンどこだ!!?」
ババッ
勇者「オサン!オサン!!」
索嬢「・・・」ナデナデ [犬]
犬獣「ウゥン・・」
勇者「何でいないんだよ~!!どうしたんだ!!」
幸坊「いねぇのか?」
勇者「いない、何で・・まさか!」
索嬢「も、もう捕まっちゃったのかしら!?」
勇者「バカな!そんなハズない!!オサンが捕まるか!!」
幸坊「でも、こんな時間にここにいねぇってことはよ・・『勇者』」
勇者「違う!あいつらはまだここに来てないはずだ!」
勇者「まだ捕まってないはず・・どこだ・・どこだオサン!!」バッ
幸坊「『勇者』・・」
索嬢「あら?」チラッ
ペラッ
幸坊「ん?」
索嬢「これ、手紙じゃない?」
勇者「え・・?」
索嬢「んと・・・あ!オサンって書いてあるわ!『勇者』!!」
勇者「よ、読んでくれ!!」
索嬢「えっと・・」
この手紙を持って、南のトヤーのところへ行け
オサン
勇者「・・・?」
幸坊「トヤー?誰だ、知ってるのか?」
勇者「いや、知らない・・」
索嬢「オサンも、この人のところにいるのかしら?」
幸坊「どうすんだ?」
勇者「・・・オサン・・」
幸坊「おい『勇者』!奴らこの場所も知ってるんだぜ!早く移動しないと!」
勇者「そ、そっか!!」
幸坊「しっかりしろよ!」
勇者「う、うん・・」
索嬢「じゃあとりあえず、このトヤーって人のところに行くのね?」
幸坊「ああ、それでいいな『勇者』?」
勇者「うん!」
--------------------ふもと--------------------
麗剣「くっそぉ~~~!!!!」
兵士「り、リジム様・・」
麗剣「この俺が・・・油断した・・ちくしょう!!」
麗剣「いいかお前ら!!何としてもあのガキども捕まえるぞ!!」
兵士「は!!」
麗剣「すぐに行方を追え!!いいな!!」
兵士「は!!」バッ
ダダダッ
麗剣「・・今に見ていろ、『勇者』!!」
--------------------南の町・川沿いの森--------------------
犬獣「ハッハッハッハッハッ・・・」タタタタ
索嬢「大丈夫?イヌちゃん?」
犬獣「ハッハッハッ・・」タタタ
ポツポツ [雨]
幸坊「ん?」
ポツポツポツ
勇者「?」
索嬢「やだ、雨だわ」
幸坊「見ろ、あそこの木で休もうぜ!」
ザァァァアアア
索嬢「すごいわね雨、しばらく止みそうにないわ・・」
犬獣「ウゥン・・」
幸坊「大丈夫か?結構走ったもんな」
犬獣「大丈夫、ちょっと休めばまだ走れるよ」
幸坊「無理すんな、怪我してんだから」
勇者「そうだよポチスケ」
幸坊「ポチスケ?なんだそりゃ?」
勇者「こいつの名前だよ、ポチスケでいいだろ」
犬獣「?」
索嬢「アハハ!いいじゃない!ポチスケ!」
幸坊「ううん・・なんかダサくねぇか?」
勇者「いいだろ、なあポチスケ?」
犬獣「うん」
幸坊「いいのかよ・・」
索嬢「うふふ」ニコ
ザァァァァアアア
幸坊「止まねぇなぁ」
勇者「腹減った~・・」グルゥ
索嬢「わたしもぉ~」グルゥ
幸坊「我慢しろ、そんなこと言ったって食いもんなんか・・」
幸坊「・・ん?」
勇者「どうした?」
幸坊「あれ、小屋じゃないか?」
索嬢「?」チラッ
勇者「ホントだ、行ってみるか!」
--------------------南の森・?の別荘--------------------
ギィ
勇者「おじゃましま~す」
幸坊「お、おい!そんな堂々と入っていいのか?」
勇者「え?だってちゃんとお邪魔しますって言っただろ」
幸坊「そういうもんじゃねぇだろ・・」
ガラーン
索嬢「誰もいないみたいね」
勇者「おーーーい!」
幸坊「ホントに誰もいないのかぁ?」
索嬢「あ、暖炉があるわ!ポっちゃんはそこで休みましょう」
犬獣「うん」
幸坊「おい!勝手にそんな・・!」
索嬢「なによチビちゃん、いちいちうるさいわね!」
幸坊「だって・・」
勇者「おい!こっちに食べ物あるぞ!!」
索嬢「え!ホント!」
勇者「ほら~!」ズラッ
索嬢「な、なにこれおいしそ~!!!」
幸坊「おお・・すげぇ」ゴクリ
索嬢「チビちゃんはいらないんでしょ?」
勇者「え?そうなのか?せっかくこんなにあるのに」
幸坊「い、いや!いる!!食う!!」バッ
索嬢「ふ~ん」ジロッ
幸坊「なんだよその目は・・!」
勇者「いただきまぁ~~す!!」
パチパチッ
パチッ
索嬢「はい、あ~ん」スッ
犬獣「あ~ん」
パクッ
犬獣「おいしい」モグモグ
勇者「うん、うまいな」モグモグ
幸坊「ああ、こんなもん食ったことねぇ」モグモグ
勇者「きっと高いぞ、このくだもの」
索嬢「もっと火を焚いた方がいいかしら、寒くなぁい?」
犬獣「いや、いいよ」
幸坊「雨もう止んだんじゃないか?」
索嬢「あ、そういえば」
幸坊「これ食ったら、出ようぜ」
勇者「うん」
ガダッ
勇者「!!」
「コラッ!貴様らここで何をしている!!!」
索嬢「ひ!」
犬獣「!」
幸坊「うわあ!!やっぱダメじゃねぇかよぉ!!」
「捕まえろ!!」
バババッ
幸坊「いっぱい来たぞ!!?」
勇者「ああ・・!」
ババッ
バババッ
勇者「・・・う」
幸坊「あああ・・・」
索嬢「・・・」
犬獣「・・・・」ブルブル
「さあ、おとなしく付いてくるんだな!」
幸坊「・・は、はい」
スッ
--------------------町・南の平野--------------------
ザッザッザッザ
ザッザ
犬獣「・・・」
索嬢「ど、どこ連れてかれるのかしら・・」
幸坊「さあ・・」
「静かにしろ!」
勇者「・・・」
「お前たちはこれからマスターのところへ行くんだ」
勇者「マスター?」
「ああそうだ」スッ
「ここら一帯の領主である、マスター・トヤー様だ!!」
勇者「!」
幸坊「トヤー!!?」
索嬢「トヤーって!あのトヤーじゃない!?ほら!!」
「む?何だお前たち、知っているのか?よその者のくせに」
勇者「トヤーって言ったな今!おい!」
「ああそうだ!何度も名前を言うな、失礼だろう」
幸坊「おい、『勇者』」
勇者「うん・・」
幸坊「こいつらについていけば、トヤーに会えるんじゃないか?」
勇者「そうだな」
索嬢「じゃあこのまま行っちゃって大丈夫なの?」
勇者「うん、多分・・」
幸坊「・・・」
犬獣「・・・」
ザッザッザッザ
「あれだ」
勇者「!」
幸坊「うわ!でっけぇ!?あれが家かよ!!」
索嬢「わあ・・」
「さぁこい!!」
ザッザッザ
<<中断>>
二作目のSSになります。
直したほうがいいところなどがあったら、指摘してくれると嬉しいです。
ちゃんと名前を付けてるなら、バズレア「」とかでも良いんじゃないかなと思います、あくまで俺個人の意見です。
頑張って完結させて下さい、応援してます。
わぁとかさぁとかあぁとかえとかうぅんとか・・・とか無駄な台詞が多すぎる
乙乙!
絶対最後まで書いて下さい
>>99
個性だろ
そんなに気になるか?
俺も>>98に同意
まあ他のやつは名前があるのに勇者だけないのは不自然だと思うが
きちんと完結するなら細かい事は気にしない
--------------------領主の大屋敷--------------------
幸坊「・・・・」ゴクリ
索嬢「・・・・」ゴクリ
犬獣「ゥウン・・」
「そこに座るんだ!!」
「マスター!!連れてまいりました!!!」
勇者「・・・!」
「ふむふむ・・」
ノシッ
ノシッ
索嬢「!」
幸坊「・・!」
慢義「さてさて、私の別荘に忍び込んだ子羊とは、君たちかな?」
勇者「う、うわあ・・」
幸坊「でけぇ・・オッサンだ・・」
「貴様!口の利き方に気をつけろ!」
慢義「ほっほっほ、気にするな、彼もまた、哀れな子羊なのだよ」
幸坊「ひ、羊?」
勇者「お前がトヤーか?」
慢義「ムッ!!!」キッ
幸坊「え?」
慢義「『お前』だと!誰に向かって口を利いている!」キッ
勇者「え!だっていま気にするなって」
慢義「私の気分は変わりやすいんだ、覚えておいたまえ」
勇者「え、えっと・・」
索嬢「『勇者』、丁寧に聞くのよ!」
勇者「う、うん・・」
慢義「ふふん」
勇者「あなたが、トヤーか?」
慢義「違う、『トヤー様』だ、もう一回!」
幸坊「・・・・」
勇者「・・ん」
慢義「さあどうした、言ってみなさい」
勇者「あなたが、トヤー様ですか?」
慢義「・・・・・・・・」
索嬢「・・・・」ドキドキ
幸坊「・・・・」ドキドキ
慢義「そうだ、私がトヤーだ」ドン
索嬢「・・・」コテッ
幸坊「・・・」コテッ
勇者「あ、そう」
慢義「あ、そうって、もっと反応してもいいんだぞ」
勇者「いや、別にいいよ」
慢義「そうか」スッ
幸坊「このオッサン、わかんねぇ・・」
索嬢「私も・・」
慢義「それで?君たちはなぜ私の別荘に無断で入ったのかな?」
幸坊「ああ、それは・・」
勇者「雨が降ってたし、腹も減ってたからだ」
幸坊「お、おい!そんな正直に・・」
慢義「そうか・・では一切、君たちの都合で忍び込んだのだな?」
勇者「そうだな」
幸坊「おい!」
慢義「ふむふむ、君は素直ではっきりしていて、大変よろしい」
勇者「ホントか!」
慢義「ホントだ、私は嘘は嫌いだからな」
勇者「おい、褒められたぞ、こいつ良いヤツかもな」
索嬢「そういうことじゃないって・・」
幸坊「あの、許してくれますか?」
慢義「うむ、そうだな、人様の家に勝手に入るということは・・」
幸坊「・・・」ゴクリ
索嬢「・・・」ゴクリ
慢義「・・・・・・・・」
勇者「?」
慢義「断じて、許されることではない!」ドン
幸坊「そんな!!」バッ
索嬢「お許しください!!」ガバッ
勇者「・・・・・・」
慢義「・・お前、ホントに反応が薄いな、腹でも痛いのか?」
勇者「そんなことより、トヤー!」
慢義「!?」ドキッ
勇者「これを・・」スッ
慢義「い、いきなりしゃべるな!びっくりするだろう!!」
勇者「ごめんなさい、トヤー」ペコッ
慢義「うむ、謝ればよし」
幸坊「・・・・・」
索嬢「・・・・・」
勇者「喋っていい?」
慢義「いいよ」
勇者「これを見て欲しいんだ」スッ
慢義「なんだこれは、手紙か?」
勇者「読んでみろ」
慢義「・・・・・・」
慢義「!!!」
慢義「オサン!?オサンの知り合いなのかお前たち!!」
勇者「え?ああ」
索嬢「やっぱり!友達なんだわきっと!」
慢義「むむむ・・・確かにオサンの字だな」
幸坊「そうそう!俺たちあんたの友達のオサンの仲間で・・」
慢義「なぁにぃ~?」ギロッ
幸坊「え?」
慢義「友達だと!ふざけたことを抜かすな!!」
索嬢「あれ・・」
幸坊「え?」
勇者「友達じゃないのか?」
慢義「当たり前だ!!誰があんな奴と・・!」
慢義「思い出しただけでもムカムカとしてくるわ・・・おのれ!!」ワサワサ
索嬢「あら・・なんか嫌な予感が・・」
慢義「ん?ということは、貴様らは『勇者』の知り合いか?」
勇者「俺が『勇者』だ」
慢義「な、なんだとぉ!!?」バッ
幸坊「一人で賑やかなオッサンだな・・」
索嬢「ほんとね」
慢義「うるさい!この・・!」
勇者「とりあえずここに来るように書いてあったから来たんだ」
勇者「どうすればいいんだ?」
慢義「むむ・・なるほどな」
勇者「?」
慢義「確かにやつには借りがある、やつもそれを知って・・」
慢義「かと言って安々と手を貸すほど私は甘くないし・・」
ブツブツ
索嬢「なんか考え込んじゃったわよ?」
勇者「おい、ブツブツ言ってないで・・」
慢義「よーしわかった!!」スッ
幸坊「へ?」
慢義「お前たちは、我が家に案内しよう」
勇者「え?お前の家?ここか?」
慢義「ふっふっふそうだとも、素晴らしい場所だ・・」ニヤ
索嬢「わーい!この豪邸に住めるのね!」
慢義「違う、貴様らが住むのはここではない」
幸坊「じゃあどこなんだよ」
慢義「ふふふ、そう焦るな、今連れて行ってやる」
慢義「来い、こっちだ!犬も連れてこい」スッ
勇者「・・?」
「おい!さっさと歩け!」グイ
索嬢「うわ!」
幸坊「おい!引っ張るな!!」
犬獣「・・・」
スタスタスタ
--------------------屋敷・裏口--------------------
慢義「さぁついたぞ、ここだ」
勇者「なんだここ」
慢義「これから君たちが住む世界への、玄関だ」ニィ
幸坊「・・・・」
索嬢「・・・」
慢義「開けろ」
「はっ!」バッ
ギィイ
勇者「!」
幸坊「!!」
索嬢「!!」
犬獣「!」
慢義「ようこそ!我が庭・トヤーズスラムへ!!」
幸坊「な、なんだってぇ!?トヤーズスラムだってぇ!?」
--------------------王城--------------------
側近「なに?『勇者』を取り逃がしただと?」
「はい、リジムの隊から報告がありました」
側近「まったく、使えんやつだ・・」
カツカツ
側近「やつだけでは荷が重いようだな、すぐに応援をやろう」
「どなたを?」
側近「そうだな・・」
側近「・・・」
「?」
側近「ツリスー達はどうしてる」
「はい、現在は北の関所で警備にあたっています」
側近「呼び戻すんだ、そしてリジムらと共に『勇者』を追わせろ!」
「は!」
側近「まったく、これ以上陛下の機嫌を損ねるわけにはいかんのだ・・」
--------------------トヤーズスラム--------------------
ワイワイワイ
ワヤワヤ
幸坊「うわあ・・」
索嬢「す、スラムって・・」
勇者「なんか賑やかそうだな、ワクワクしてきた」
幸坊「バカ!そんないいとこじゃねぇよここ!」
勇者「そうか?」
慢義「なぁにを言っているチビ君、素晴らしいところだよ」
勇者「ほらチビ、素晴らしいところだって」
幸坊「アホ!よく見てみろ!」
勇者「?」
「・・・・」ギロッ
「・・・・・」ギロッ
幸坊「全員目つき悪いぞ・・ロクな人間じゃねぇんだ!」
索嬢「怖いわ・・わたし」ブルブル
幸坊「なぁトヤー・・じゃない、トヤーさん!」
慢義「ん?」
幸坊「俺たち、やっぱり帰ります・・はは」
索嬢「そ、そうね!お世話になるのも悪いし・・」
勇者「なんでだよお前ら、せっかくなのに」
慢義「そうだとも、何で今更そんなことを言うんだね?入りたまえ」
幸坊「あはは!結構です!!」
索嬢「私も結構!」
勇者「俺は行きたいけどな、なんでお前ら嫌なんだ?」
幸坊「お前は黙ってろ!!」ベシッ
勇者「いてっ!」
慢義「遠慮することはない」
慢義「それに君たちは今や追われる身、こんな安全なところはないぞ」
幸坊「え?なんで俺たちが追われてること知ってんだ?」
慢義「バカ者、私にはなんでもお見通しなのだ」
幸坊「そ、そうか・・」
索嬢「・・・」
慢義「ここにいれば国王兵どもにはまず見つからんだろう」
慢義「なんせここは・・・まあ、いいか」
幸坊「なんだよ、まあいいかって!」
慢義「うるさいうるさい!どのみち行くあてもないんだろうが!」
幸坊「そうだけど・・」
勇者「ああ、ここにするしかない、しばらくの辛抱じゃないか」
幸坊「ん・・・」
幸坊「どうするバズレア?」
索嬢「『勇者』がそう言うなら、私も・・」
幸坊「そっか・・じゃあ、俺も」
勇者「あいつもいいか?」
慢義「ん?」
犬獣「・・・」ヒョコッ
慢義「ああ、そういえばいたな、すっかり忘れておった」
勇者「俺も忘れてた、ポチスケ」
犬獣「・・ゥン」
索嬢「動物もいいの?」
慢義「好きにしろ!お前たちに任せる」
慢義「じゃあ、せいぜい達者でな、わっはっはっは!!」
スッ
幸坊「おい!」
索嬢「・・行っちゃったわ」
勇者「よぉし、じゃあ行くか!」
索嬢「なんであんたそんなノリノリなのよぅ・・」
スッ
テクテクテク
「・・・・」ジロジロ
「ひひひ・・!」ニヤニヤ
索嬢「ほらぁ、やっぱり怖いわよ・・」
幸坊「気を付けろよバズレア・・!」
勇者「なんか変な奴ばっかりだな・・」
犬獣「~♪」
テクテクテク
勇者「ん?」
幸坊「どうした?」
勇者「水飲み場がある、行ってみようよ」
幸坊「ああ、そういやノド渇いたな」
索嬢「ポチスケは?」
犬獣「うん、俺も」
スッ
バッ [登場]
勇者「!」
幸坊「!!」
「ちょぉ~っとまったぁ!」スタッ
索嬢「な、何!?」
猫侍「この水飲み場は、俺サマの縄張りだ!勝手に入るんじゃねぇ!」
勇者「猫だ!しかも剣持ってるぞ!」
猫侍「ハッハ~!驚いたか!水が飲みたければ、俺の手下になれ!」
幸坊「はあ?」
索嬢「何でよ!飲ませなさいよ!」
猫侍「や~だね、ここは、俺サマの場所なんだ、だから貴様らは・・」
ゴクゴク [飲む]
猫侍「ん?」
勇者「・・・・」ゴクゴク
猫侍「あー!!!お前なに勝手に飲んでるんだ!!おい!!」
勇者「はあ!ウマイ!」プハァ
幸坊「俺も俺も!」
索嬢「私も!」
猫侍「こら!ダメだと言ってるだろ!!」
ゴクゴク
猫侍「あ!おのれぇ~!!」ダッ
タタタタタ [走る]
幸坊「・・・・」ゴクゴク
索嬢「・・・・」ゴクゴク
犬獣「・・・・」ゴクゴク
猫侍「ぬぅ~~!!」タタタタ
索嬢「は!美味しい~!」
猫侍「待てぇ~~い!!」タタタタ
幸坊「はぁ!やっぱ山の近くだからうめぇな!」
犬獣「そうだね」
猫侍「ぬぅわあああ!!!!」タタタタタ
猫侍「くう・・!?全然前に進まない!一体どうなって・・」
猫侍「ん?」チラッ
勇者「はは」ギュッ [服を掴む]
猫侍「お前のせいかこの!!離せい!!!」グイグイ
勇者「?」パッ [放す]
猫侍「・・!?」グン
猫侍「おっとっとっと・・・あッ!」
ボチャァン [落ちる]
勇者「あ・・」
幸坊「ん?」
猫侍「この!!急に離すな!!!」ザバァン
勇者「だって離せって言うから」
猫侍「くぅ~!」ブルルルッ
索嬢「大丈夫?」
猫侍「だ、大丈夫だと!?貴様らに心配される筋合いはないわ!!」
幸坊「行こうぜ」
勇者「ああ」
スッ
猫侍「おい!勝手に帰るな!おい・・!」
索嬢「?」
猫侍「舐めやがって、かくなる上は・・・」
ギラッ [刀]
索嬢「!」
猫侍「我が秘刀・『黒撫(くろなで)』の餌食にしてくれるわーー!!」
幸坊「おい!カタナを・・!?」
勇者「?」
猫侍「とやあああ~~!!」グワァ
「やめなさい!!!」
ガァン [殴る]
猫侍「・・あ・・・」
猫侍「・・・」ドサッ
幸坊「だ、誰だ?」
哀妻「ごめんなさいね、この悪ガキったらいっつも新入りにイタズラして・・」
勇者「誰だお前」
索嬢「お前って言わないの!」
哀妻「いいのよ、わたしはレファ、よろしくね」
幸坊「はは!よろしく、レファさん・・!」デレェ
索嬢「チビちゃん!」
幸坊「あ、ごめん・・」
猫侍「ぬぬぬ~!」ムクッ
勇者「あ、ネコジロウ起きた!」
幸坊「ん?」
索嬢「ネコジロウって言うの?」
勇者「ああ」
猫侍「ネコジロウじゃない!」バッ
猫侍「おのれい!!邪魔をしやがってこのヤロー!」
哀妻「いいかげんにしなさい!!!」
猫侍「い!?」ビクッ
哀妻「縄張りごっこなんて迷惑なマネはもうオシマイ!いいわね!!」
猫侍「・・ぐ・・・・!」
索嬢「そうよ!ここはみんなの場所よ」
猫侍「うるさい!新入りのくせに!!」
哀妻「あなたがうるさいの!!」
猫侍「ぬっ・・!?」
勇者「ははは、ネコジロウの奴ピンチだな」
幸坊「ネコジロウじゃねぇんだろ?」
勇者「ネコジロウでいいよ、なあ、ネコジロウ?」
猫侍「違う!俺の名前はマタビだ!」
勇者「マタビ?」
幸坊「なぁんかパッとしない名前だな」
猫侍「なんだとぅ!!」
索嬢「やめなさいもう!」
猫侍「・・よし!こうなったら勝負だ!!」
勇者「なに!」
猫侍「この俺サマと隠れんぼして!見つけられたら貴様らの勝ちだ!!」
幸坊「かくれんぼ?」
哀妻「こら・・!」
猫侍「どうだ?怖いならやめてもいいんだぞぉ~」
勇者「いいぞ!受けてやる!!」
幸坊「おおし!俺もやるぞぉ!」
索嬢「あ、あなたたち、ひょっとして遊びたいだけ?」
哀妻「しょうがないわまったく・・・」
猫侍「来い!こっちだ!!」
勇者「ああ!」
幸坊「よぉし!」
タッタッタッタッタ
タッタッタ
索嬢「ああ!ちょっと!」
哀妻「放っときなさい、どうせ夕方には帰ってくるわ」
哀妻「それよりうちへいらっしゃいよ、ここのことあまり知らないでしょ?」
索嬢「いいんですか?」
哀妻「ええ、粗末なところだけど」
索嬢「はい!是非!」
--------------------ガラクタ置き場--------------------
猫侍「さぁてここだ!!」
幸坊「なんだここ?」
猫侍「ここも俺様の縄張りだ、ふふん」
勇者「へぇ、お前いっぱい縄張り持ってんだな」
猫侍「さて!ではさっそくお前たちを試してやろう」
幸坊「え?かくれんぼするんだろ?」
猫侍「そのとおり・・・」ニヤァ
猫侍「この俺が隠れるから、それをお前たちが見つけろ!」
勇者「え、俺たちが探すのか?」
幸坊「俺たちも隠れていいか?」
猫侍「バカモン!みんな隠れたら意味ないだろうが!」
勇者「そうか」
幸坊「そういえばそうだな、誰も探してくれないもんな」
勇者「お前賢いなネコジロウ、はは!」
猫侍「・・・・・・」
猫侍「と、とにかく!お前たちは目をつぶって待ってろ!」
勇者「え?何で?」
猫侍「隠れるからだ!!」
幸坊「?」
勇者「?」
猫侍「・・お前たち、まさかかくれんぼしたことないのか?」
幸坊「ないよ」
勇者「うん、ない」
猫侍「なにぃ!?くそう、どうりで話がこんがらかってくるわけだ!」
猫侍「いいか!かくれんぼとは、オニが隠れてる奴を見つけるんだ!」
勇者「オニ?」
猫侍「そうだ、お前たちがオニだ!」
幸坊「俺たちオニじゃねぇぞ、お前みたいなバケモンと一緒にするなよ」
猫侍「そういういことじゃない!見つける役がオニってことだ!!」
猫侍「それに俺様はバケモンじゃない!まったく・・」
勇者「そうだぞチビ、こいつはネコジロウだ」
猫侍「ネコジロウじゃない!!!」
幸坊「うるせぇなお前」
猫侍「もういい!とっとと目をつぶれ!合図するまで開けるな!!」
勇者「・・・・」パチッ
幸坊「・・・・」パチッ
猫侍「よぅし・・」スッ
猫侍「いいな!まだだぞ!まだだぞ!!」
タタタタ
猫侍「ぬふふ、さぁてどこに隠れてやろうか・・」キョロロ
猫侍「ん?」チラッ
勇者「・・・」ニコニコ
猫侍「こぅらぁ!!!目をつぶってろって言ったろ!!」
ギャハハハハ
--------------------小屋--------------------
哀妻「そう、街の方から・・」
索嬢「ええ・・色々あって、あはは」
哀妻「まあ、追われてるんじゃしょうがないわね、ここにいるといいわ」
索嬢「あ、あの、ここってどういう所なんですか?」
哀妻「ここはスラムよ、行き場のなくなった人たちが集まって一緒に住むの」
哀妻「ま、だいたいが借金で追われてたり、あとは泥棒の人とかね!」
索嬢「うわあ・・すごいですね」
哀妻「うん、でもいい人たちも多いのよ」
索嬢「レファさんは、どうしてここに?」
哀妻「私はね、夫を追ってここまで来たの」
索嬢「旦那さんを・・」
哀妻「ギャンブルに負けて逃げてきたの、もう一緒には暮らしてないけど」
索嬢「どこかいっちゃったんですか?」
哀妻「さあ・・もう2年も会ってないわ」
索嬢「・・会えるといいですね」
哀妻「いいのよ!あんな人!」スッ
カタッ
--------------------ガラクタ置き場--------------------
勇者「そんな怒るなよネコジロウ」
猫侍「お前らのせいだろうが!!ちゃんとやれぃ!!」
幸坊「わかったよ、合図まで目をつぶってればいいんだろ?」
猫侍「そうだ!わかってるなら最初からそうしろ!!」
幸坊「・・・・」パチッ
勇者「・・・・」パチッ
猫侍「・・むむむ」
勇者「・・・・」
幸坊「・・・・」
猫侍「よぉし!そのままだ、そのまま!!いいな!!」
勇者「おう」
幸坊「おう」
猫侍「むふふ・・!」スッ
ソー
ソー
猫侍「(いつもの場所でいいな・・ふふ!)」コソソ
コソソソ
コソソ
勇者「おい、まだかぁ?」
幸坊「おい!合図まで待てよ」
勇者「だってもう結構じかん経ってるぞ?」
幸坊「うむ・・」
幸坊「おいネコジロウ!もういいか!!」
「いいぞ~」
勇者「ほら!もういいんだ!」パチッ
幸坊「よぉし!」パチッ
幸坊「さて、どこに隠れたかな?」キョロキョロ
勇者「ん?おい、これ」
幸坊「え?」
ツー [線]
勇者「この跡って、もしかして、あいつの・・・」
幸坊「ん~?」スッ
スタスタスタ
勇者「・・・・」スタスタ
幸坊「・・・・」スタスタ
猫侍「(いっひっひ!絶対みつかりっこないさ・・・)」
猫侍「ん?」
勇者「あ、みっけ!ネコジロウ!」
猫侍「え!?」
幸坊「なぁんだすぐ見つかったな!あはは!」
勇者「そうだな!」
猫侍「な、なんだと!?貴様らどうやってここを・・・!?」
勇者「当たり前だ、見ろよあれ」
猫侍「?」
ツー [線]
猫侍「・・あ!?」ギクッ
幸坊「お前、カタナ引きずった跡が残ってんだよ!マヌケだな!」
勇者「あはははは!」
猫侍「うぬぬ~!油断していたわぁ・・おのれぃ!」
勇者「じゃあ次俺たち隠れていいか?」
幸坊「そうだな、今度はお前がオニだ」
猫侍「アホゥ!誰が貴様らなんか探すもんか!隠れるのはこの俺様だ!」
勇者「え!なんでだよ!」
幸坊「そうだ!俺たちにも探すのやらせろよ!!」
猫侍「うるさいうるさい!新入りのくせに生意気だぞ!」
勇者「え~」
幸坊「え~」
猫侍「さあ目をつぶれ!今のはナシだ!もう一回!!」
幸坊「・・わかった!もう一回だけだぞ!」
猫侍「ふふん!それでいい」
勇者「え~また待つのか~?」
猫侍「今度こそ今みたいなマグレは起きない!覚悟しろ!!」
幸坊「・・・・」パチッ
勇者「・・・・」パチッ
猫侍「むふふ・・」ニヤ
コソソソ
コソソ
勇者「・・・・」
幸坊「・・・・」
勇者「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
幸坊「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
勇者「まだかー?」
幸坊「なんか長いな・・」
勇者「おい!ネコジロウ!どうなってんだ!」
幸坊「ひょっとして、もういいんじゃないか?」
勇者「ホントか?」
勇者「?」パチッ
幸坊「?」パチッ
勇者「あ・・見当たらない、隠れたんだな!」
幸坊「よし!探すぞ!!」
--------------------トヤーズスラム・飲んだくれの丘--------------------
猫侍「よっと!」トン
猫侍「さぁてやつらは・・」
勇者「・・・」キョロキョロ
幸坊「・・・」キョロキョロ
猫侍「フッフッフ!バカめ!まんまと探しちゃって!」
猫侍「ここまで来ればゼェ~ッタイ見つからない・・・我ながら名案だったな!」
猫侍「せいぜいサマヨえ!バーカ!ははははは~!」
--------------------ガラクタ置き場--------------------
勇者「ん~・・・!!」
勇者「ここか!!」ガバッ
勇者「・・・・・・」
勇者「うう~!どこだ!?」パッ
幸坊「いたか?」
勇者「いや!居ない!!」
幸坊「むぅ・・ネコジロウのやつ本気で隠れやがったなぁ」
勇者「おい!こっちの方探してみよう!」
幸坊「おう!」
タタッ
猫侍「い~っひっひ!!探してる探してる!!」
猫侍「どれだけ探してもムダムダ!俺はここにいるんだからな!!あはは!」
勇者「くっそ~ここにも居ない・・」
勇者「ん?」チラッ
幸坊「どうした?」
勇者「おい、なんだこれ?」スッ
幸坊「?」
猫侍「ぬぬ、ヤツらどうしたんだ?」チラッ
勇者「これ・・」ペラッ
猫侍「!!!?」ドキッ
猫侍「あいつ!!!あれを・・!!?」バッ
幸坊「なんじゃこりゃ?」
勇者「なあ、読んでくれよ」
幸坊「うむむ・・えっと」ペラッ
幸坊「『あなたのことが好きです、あなた無しでは生きていけない・・』」
勇者「ラブレターだ!」
幸坊「でも誰の・・」ピラッ
猫侍「ぬぉぉぉああああああ!!!!!」ドドド
勇者「ん?」
猫侍「テイッ!!」バッ [奪う]
幸坊「あ!?」
勇者「あ!」
幸坊「なにすんだよ!返せよ!」
勇者「ネコジロウみっけ!」
猫侍「ハァ・・!ハァ・・!」
幸坊「まさか・・それお前のか?」
猫侍「!!」ドキッ
勇者「な~んだ、ネコジロウのラブレターかぁ~」ニタァ
猫侍「こ、これは・・!その・・!!」カァ
幸坊「誰に書いたんだ?」
猫侍「お、お前らの知ったことじゃない!!」
幸坊「ん~~?」ニマァ
猫侍「隠しておいたのに・・このぅ!!」
勇者「なあ、ラブレターなんだから本人に渡さないとダメじゃないのか?」
猫侍「・・・う」
幸坊「そうだよ!なんでこんなところに隠してんだ?」
猫侍「・・・・・」
勇者「?」
幸坊「これは、なにかフクザツな事情がありそうだな」
猫侍「う、うるさい!お前らには関係ない!!」
幸坊「・・・・」
幸坊「それぃ!!」パッ [取る]
猫侍「あ!?」
幸坊「へへ!えっとぉ~・・」
猫侍「返せ!!返せって!!!おい!!!」バッ
勇者「相手は誰なんだ?」ガシッ [掴む]
幸坊「えっとぉ・・」
猫侍「うぬぉぉおお!!」バタバタ
幸坊「『クリスチーネ』?」
猫侍「!!!」
勇者「クリスチーネ?そいつが好きなのか?」パッ [放す]
猫侍「この・・!」バッ [奪う]
幸坊「あ」
猫侍「はぁ・・はぁ・・」ゼェ
勇者「そのクリスチーネって、やっぱり猫なのか?」
幸坊「・・まあ、こいつもそもそも猫じゃないけどな」
猫侍「・・・」
勇者「なあネコジロウ、何で手紙渡さないんだ?その子に」
猫侍「だから、ネコジロウじゃないと・・」
幸坊「何かワケありなんだろ?話してみろよ」
猫侍「むう・・・実は・・」
--------------------数日前--------------------
猫侍「あ、あの・・!」
紅猫「?」
猫侍「クリスちゃん!」
紅猫「ああ、マタビくん・・」
猫侍「あのクリスちゃん!実は受け取って欲しいものが・・!」
紅猫「え?」
猫侍「あの・・その・・」モジモジ
猫侍「こ、この手紙を・・!!」
紅猫「ごめんなさい!」
猫侍「!」
紅猫「ごめんなさい・・」
猫侍「え、ど・・どうして!?クリスちゃん!!」
紅猫「ごめんなさい、ダメなのマタビくん」
猫侍「ダメって・・何が、何がダメなんだ?」
紅猫「・・・」
猫侍「もしかして・・俺のことキライなの!?」
紅猫「ち、違うの!!そうじゃなくて・・」
猫侍「じゃあどうして!」
紅猫「ダメなの私・・その・・どうしても」
猫侍「??」
紅猫「うう・・・ううう!!!」グスッ [泣く]
猫侍「く、クリスちゃん!?」
紅猫「うわあああーーー!!!!!」ダッ
猫侍「あ!」
タタタタ
猫侍「待ってクリスちゃん!クリスちゃん!!」
タタタ
タタ
猫侍「あ・・」
猫侍「というわけなんだ・・・」
幸坊「うむ」
勇者「フラれたってことだな」
猫侍「アホゥ!どう見ても違うだろうが!」
幸坊「むむう・・」
勇者「だって結局ラブレターもらってくれなかったんだろ?」
猫侍「だから!きっと彼女には何かワケがあってだな・・!」
勇者「それはお前のモウソウだろ」
猫侍「違う!何か理由があるんだ!そうに違いない・・!」
幸坊「うん、確かにコイツの言うとおりだな」
勇者「え?」
猫侍「だろ!?そう思うだろ!?」
幸坊「きっとクリスチーネは、お前の告白を聞けないワケがあったんだ」
勇者「ワケ?」
幸坊「そうだ」
勇者「ワケってなんだ?」
幸坊「そ、それはだな・・・うむむ」
猫侍「前から様子がおかしかったんだ、何か冷たいっていうか・・」
勇者「だから、お前のこと嫌いだったんだよ」
幸坊「ん~・・そうだったのかもなぁ・・」
猫侍「え・・そうなのか・・・」ガクッ
幸坊「ま、まあ!元気出せよ!」
勇者「そうだぞネコジロウ、メソメソしてたってようがないぞ」
猫侍「うう・・クリスちゃん・・・」
勇者「そんなやつ忘れて、一緒に遊ぼ」
猫侍「お前・・」
幸坊「本人に理由聞いてみたりとかしたのか?」
猫侍「・・・」
勇者「おいチビ、もうその話はやめてあげた方が・・」
猫侍「実は聞けてないんだ、すっかり会わなくなっちゃって・・」
幸坊「ここに住んでるんじゃないのか?」
猫侍「うん、そうなんだけど・・あれ以来姿が見えなくなったんだ」
勇者「え?」
幸坊「行方不明ってことか?」
猫侍「うん」
勇者「急にいなくなっちゃったのか?」
猫侍「そうだ!何の一言もなく、突然・・・引越しでもしたのかな」
幸坊「だったら引越しって言うだろ」
猫侍「・・・じゃあ何で」
「おや!!お前はマタビじゃないか!」
猫侍「え」
幸坊「なんだ?」
頭立「やいマタビ!!俺たちの縄張りで何してやがるんだ!!」
立連「そーだそーだ!!」
立連「ソーダソーダ!!」
猫侍「あ・・」
勇者「何だこいつら?友達か?」
幸坊「いや、ちがうぞ・・」
頭立「ン?お前ら誰だ?見かけない顔だが・・新入りか?」
勇者「ああ、俺たち今日来たんだ、よろしくな」
頭立「よろしくだと?ふん!お前のようなガキにこの俺様がヨロシクするわけないだろ!」
勇者「お前の方が小さいじゃないか」
立連「おいお前!リーダーに向かって!!無礼者め!!」
立連「そーだそーだ!!」
頭立「まあいい!新入りだからな、俺のスゴさがわからないんだろう・・」
頭立「俺はキール、このあたりのリーダーさ!」
勇者「リーダー・・」
幸坊「なんだ?リーダーって」
頭立「マタビぃ!」
猫侍「!」
頭立「俺たちから仲間ハズレにされたくせに、何でここで遊んでるんだ!」
猫侍「う・・」
勇者「え?お前こいつらと友達だったのか?」
猫侍「・・・・」
頭立「そうさ?だが、ある理由でグループから追放されたんだ!」
勇者「何でだ、どうして仲間はずれなんかにしたんだ!」
頭立「ふふふ、教えてやろう・・・・おい来い!!」
「・・・」スッ
勇者「?」
幸坊「ん?」
猫侍「あ・・!!!」バッ
紅猫「マタビくん・・」
猫侍「クリスチーネちゃん!!?なんでここに!!」
頭立「・・・・」ニヤ
勇者「こいつがクリス・・チーネ?」
幸坊「やっぱ猫か、猫っていうか・・」
猫侍「クリスちゃん!!ど、どうして!?どうして急に姿を・・・!!」
頭立「うるさいマタビ!今説明してやるよ」
猫侍「え?」
頭立「実はな、俺とクリスチーネはお付き合いをしているんだ!!」
猫侍「・・!!!」
勇者「『お付き合い』?」
幸坊「お互いに好きってことだ」
勇者「そっか、じゃあやっぱりフラれてたんじゃないかネコジロウ」
猫侍「そ、そんな・・なんで・・クリス・・・ちゃん」
紅猫「ごめんなさい・・」
猫侍「そんな・・・そんな!!!」バッ [歩み寄る]
猫侍「どうして!なんでそんなヤツなんかと!!俺は・・」
頭立「黙れこのやろう!もうこの子は俺のものなんだ!ふっふっふ」
猫侍「ああ・・あ・・・」
立連「リーダーのカノジョに手を出すからお前は仲間はずれになったんだよ!」
立連「そうだそうだ!!」
紅猫「・・・」
猫侍「ほ、本当なの?クリス・・ちゃん・・・?」
紅猫「・・え、ええ・・・ごめんなさい」
頭立「お前は俺のことが好きなんだよな?」
紅猫「・・はい」
頭立「ほうら!聞いただろ!俺のことが好きなんだって!」
猫侍「・・・」ガクッ
幸坊「あ~あ・・残念だったなネコスケ、あきらめた方がよさそうだぞ」
猫侍「マタビだ・・」
頭立「わかったらさっさと帰れ!これから俺たちはここでデートをするんだ!」
猫侍「え・・!!」
頭立「なあクリス?」
紅猫「はい・・」
猫侍「で、デート・・そんな・・・」
頭立「見たいならそこで見ていてもいいぞ?あっはっは~~!」
猫侍「・・・!!」
猫侍「このやろう!!!」バッ
頭立「む!!」キッ
勇者「!」
幸坊「ネコスケ!!」
頭立「お、お前ら!やっちまえ~い!!」
立連「てやあ!!」
立連「そりゃ!!」
ガン [殴る]
猫侍「アッ・・!?」
ドサッ
立連「それそれ!!」
ゲシゲシッ
猫侍「う・・!!」
立連「そりゃあ!!」ゲシッ
猫侍「うああ!!」
ゲシゲシッ
ゲシッ
幸坊「お前ら・・!!」バッ
勇者「やめろチビ!」ガシッ
幸坊「何で!助けないと!!」
勇者「いいから、ダメだ!」
幸坊「・・え?」
立連「へへ!この~!!」
ゲシゲシッ
立連「はは~!」
ゲシッ
ゲシゲシッ
猫侍「うッ・・・!!」
勇者「・・・・」
幸坊「ネコスケ・・!」
紅猫「ああ・・マタビくん!!」
頭立「よ~し!やめ~~~い!!」
立連「・・・!」バッ
立連「・・・!」バッ
勇者「!」
幸坊「ネコスケ!」
猫侍「・・・ぅ・・」ボロッ
幸坊「く、くっそ~!!」
勇者「・・・」
頭立「へへ!弱っちいなお前!!もう負けか!」
猫侍「・・・・・」
頭立「ふっふっふ!!そんなんだからクリスにフラれるんだ!バカめ!」
猫侍「・・・ク・・リス・・ちゃん・・」
立連「へへへ!バーカバーカ!」
立連「はっはっは~弱虫~!」
幸坊「おいお前ら、卑怯だぞ!!二人がかりでケンカするなんて!」
頭立「ふん!知ったことか、負ける方が悪いのさ」
幸坊「なにぃ!」
紅猫「・・・・」
頭立「おい!さっそくデートを始めるぞ!クリス、こっち来い!」
紅猫「はい・・」スッ
幸坊「!」
立連「へへへ」
頭立「よぉし!じゃあまずあの丘の方からだ」
立連「行きましょう!!デートデート!」
頭立「じゃあなマタビ、ふふふ」
スッ
ザッザッザ
勇者「待て!」
頭立「・・・ん?」
幸坊「!」
立連「なんだお前!まだ用があるのか!?」
勇者「クリス、お前ホントにそいつのことが好きなのか?」
紅猫「え・・・?」
勇者「どうなんだ!」
立連「何言ってやがる!ホントに好きに決まってるだろう!」
立連「そうだそうだ!」
勇者「クリス!答えろ!」
紅猫「・・・あ」
頭立「やめろやめろ!余計なことを言うなこのヤロウ!!」
勇者「なんだと、じゃあホントは好きじゃないのか?」
頭立「うるさい!お前もマタビと同じ目にあいたいのか!」
猫侍「・・・・ぅ・・」
幸坊「『勇者』・・」
紅猫「あの、実は・・」
勇者「?」
紅猫「ぶ、ブローチを隠されて・・・!」
幸坊「・・!」
勇者「ブローチ?」
頭立「やめろ!!」ガバッ
紅猫「んんッ・・!!?」グッ
幸坊「クリス!」
猫侍「(!!)」ピクッ
猫侍「クリスちゃん!!!」バッ
立連「来んな、この!!」ゲシッ
猫侍「あ・・!?」ドサッ
紅猫「マタビくん・・!」
頭立「行くぞお前ら!!さあ来い!!!」
紅猫「・・!」グィッ
立連「ふん!べ~だ!」ベェ
立連「べぇ~!!」ベェ
ザッザッザッザ
ザッザ
幸坊「あ・・『勇者』!あいつら行っちまうぞ・・!」
勇者「いい」
幸坊「いいって、お前・・」
勇者「ネコジロウ」チラッ
猫侍「・・・ク・・クリスちゃん・・・」ズズッ
勇者「(・・・・)」
幸坊「なあ勇者、何であいつがやられるとき助けなかったんだよ!」
勇者「え?」
幸坊「俺のこと止めただろ!なんでだよ!」
勇者「うん・・だって、あいつクリスのこと好きなんだろ?」
幸坊「ああ!だからあの子の前で恥かかせるわけにはいかないだろ!」
幸坊「あそこで助けてたら、あんな姿を見せることもなかったんだ!」
勇者「・・そうかな」
幸坊「そうかなって、どういうことだよ!」
勇者「あんなやられて、しかも俺たちに助けられたらもっとカッコ悪いだろ」
幸坊「え・・?」
勇者「あれはあいつの問題なんだ、だから俺たちが直接手伝ったらダメなんだ」
勇者「あいつらとのケンカは、ネコジロウ自身が解決しなきゃ」
幸坊「・・そう、かなあ?」
スッ
猫侍「・・・・う・・」
勇者「大丈夫か?」
猫侍「・・・・」
勇者「とりあえずバズレア達の所に戻ろう、チビも!」
幸坊「ん?ああ」
--------------------町--------------------
兵士「本当だな!」
「は、はい!!本当です!!」
兵士「むう・・となると・・」
兵士「おい、やはり南の方を中心にさがした方が良さそうだぞ」
兵士「そうだな・・これだけ目撃証言があるんだからな」
麗剣「おい!」
兵士「あ!リジム様!」
麗剣「どうなんだ!奴らの行方は掴めたのか!?」
兵士「はい!奴らは南の方に向かったそうで・・!」
麗剣「南?」
兵士「はい・・おい!そうなんだろ!」
「はい!その通りです・・!!」
麗剣「・・南か」
兵士「再び兵を集めて、南の方へ集中させたほうがよろしいのでは?」
麗剣「そうだな・・そうしよう」
「その必要はない!!」
兵士「!?」
麗剣「お前!」
剛筋「お前の出番はもう終わりだリジム!あとは、この俺に任せてもらおう!」
兵士「あ、あなたは!なぜここに!?」
麗剣「ツリスー・・」
剛筋「ふっふっふ!ガキの一人捕まえられないお前に、陛下は業を煮やしたようだ」
麗剣「なに?」
剛筋「陛下はお前でなく、この俺に捜索を任せたいとのことだ!」
兵士「そんな・・」
剛筋「だからお前らは城に戻ってろ、ナッハッハ!!」
麗剣「・・・」
麗剣「そうはいかん」スッ
剛筋「あん?」
麗剣「これは俺の仕事だ、貴様の出る幕はない」
剛筋「ふっふっふ、だから言ってるだろう?陛下はこの俺様を・・・」
ギラッ
剛筋「!!?」
兵士「リジム様!」
麗剣「・・・・・」
剛筋「て、てめぇ!?」
麗剣「二度と俺の前で偉そうな口を利くな・・後悔するぞ」
剛筋「う・・・!?」
麗剣「・・・」ギロッ
剛筋「・・・へっ!」
剛筋「何が後悔するだ!そいつはこっちのセリフだぜ!!」
麗剣「なに?」
剛筋「今に見ていろ!お前に代わってこの俺が軍をのし上がってやる!!」
麗剣「・・・・」
剛筋「アバヨッ!!!」バッ
ザッザッザ
ザッザ
麗剣「・・・・・・・」
スッ
キン [しまう]
兵士「り、リジム様・・」
麗剣「急ぐぞ、あんな奴に先を越されてたまるか・・いいな?」
兵士「は!!」
兵士「は!!」
--------------------小屋--------------------
猫侍「なにぃ!?ブローチをぅ!?」
幸坊「そうだ、アイツらクリスの大事なものを隠したんだ!」
勇者「うん、それで無理やりカノジョにさせられてるんだな」
猫侍「ぬ、ぬぅ・・許せん・・!!許せ~~ん!!!」
哀妻「あんた、まだあの子につきまとってたのね・・」
索嬢「はいネコくん、お茶」コト
猫侍「くそぅ・・」スッ
ズズズ [飲む]
猫侍「あちーー!!?」ピョン
索嬢「あら、そんなに熱かったかしら」
勇者「お前熱いの苦手なのか?」
猫侍「・・はぁ・・はぁ!」ゼェ
幸坊「大丈夫か?」
猫侍「と、とにかく!奴らからブローチを奪い返さねば!!」
勇者「でも隠したって言ってたぞ?どうやって奪うんだ?」
猫侍「ぬ・・」
幸坊「そうだよ、まずその場所を調べないと」
勇者「あいつらが持ってるんじゃないか?」
幸坊「さあな、それも調べてみないと・・」
幸坊「もしかしたら変なところに隠してるかもしれないし」
勇者「ううん・・」
猫侍「よぉし!こうなったら作戦会議だ!!2階へ行くぞ!!」バッ
幸坊「よし!」バッ
勇者「おお!」バッ
索嬢「あ!ちょっとあんたたち・・・!」
哀妻「ふふふ、すっかり仲良しね」
索嬢「すいません・・」
ドタドタドタ
--------------------2階--------------------
猫侍「というわけで、クリスちゃん救出作戦の会議をはじめる!」
勇者「おー!」
幸坊「おー!」
猫侍「まず、ブローチだ!何か案は?」
勇者「はい」スッ [挙手]
猫侍「はい、『勇者』」ピッ
勇者「あいつらの後をつけてこっそり奪うってのは?」
猫侍「なるほど・・」
幸坊「あいつらって普段どこにいるんだ?」
猫侍「北のたまり場だ、あいつらの基地みたいなもんだな」
勇者「北のたまり場・・」
幸坊「よし!じゃあまずそこに潜入して情報を探るんだ!!」
猫侍「おー!」
勇者「おー!」
<<中断>>
乙
なかなか面白いよ
死ね
殺す
しね
ころす
テストとはいえ物騒な1だな
せめて[田島「チ○コ破裂するっ!」]とかこなあああああああああああああああゆきいいいいいいいいいいいいいいいいいにしとけよ
魔力
--------------------領主の大屋敷・屋上--------------------
ヒュゥゥ
慢義「ふっふっふ、いつ見てもここからの眺めはいいな」
慢義「世の中の敗者を集めたこのスラム・・まさにこの世の縮図だ!」
バッ
「マスター!」
慢義「なんだ」
「王城から使いの者がやってきております!!」
慢義「城から?こんな時期になんだ、また税のことか?」
「いえ、その・・『勇者』のことです!!」
慢義「!!?」
慢義「ヤツら『勇者』のことを!まずい・・まさかバレたのか!!?」
「いえ、まだここに居ると断定したようではありません」
慢義「そ、そうか・・」
慢義「どこだ!今会いに行こう!!」
「は!!」
スタスタスタ
--------------------客間--------------------
「ふむふむ・・いい壺だ」
慢義「待たせたな、使いの者よ」カチャ
「ん?おお、トヤーか」
慢義「む?その声は・・!」
国使「私だ、久しぶりだな」
慢義「貴様か、一体何のようだ」
国使「ふふふ、使いの者に対して随分な口を聞くじゃないか」
慢義「何を言っている・・とっとと要件を言え!」
国使「ハッハッハ!そうだな、悪かった」
慢義「・・・座れ」
国使「うむ」
スッ
慢義「それで、何なんだ?税のことか?」
国使「とぼけるな、貴様も知っているだろう、『勇者』のことだ」
慢義「『勇者』の?」
国使「ああ、最近城で行方を追っているが、なかなか掴めんのだ」
慢義「ふん・・今の軍部の無能どもじゃそうかもな」
国使「ああ、現にリジム将軍も、後一歩のところで逃がしている」
慢義「はっはっは、相手は子供だろうにな、マヌケだな」
国使「・・・・」
慢義「で?それがワシとどう関係あるのだ?」
国使「・・いいや、もしやと思ってな」
慢義「ん?」
国使「お前が『勇者』をかくまってでもいないかと思ってな、視察に来たんだ」
慢義「(・・・)」
国使「まあ、ここには居ないようだからいいが、変な気は起こすなよ?」
慢義「ふん、何言ってる!居ればとっくに突き出してるさ」
国使「そうか、ならいいんだが」
慢義「何だ」
国使「オサンはもう捕まっているぞ」
慢義「(!)」
国使「数日前だ、町の北の隠れ家に居たんだ、『勇者』は居なかったがな・・」
慢義「オサンを・・」
国使「ああ、国からの命令だ・・・とうとう陛下は決心されたようだ」
国使「『守護神』のイスを、埋めようとな!!」
慢義「・・・」
国使「新たに『勇者』の候補が決まったのだ・・だから邪魔者には消えてもらう必要がある」
慢義「誰なんだ、その候補とは」
国使「知らん、だができるだけ早くあの小僧は始末しろとのことだ」
国使「放っておいて、後で奴が動けば厄介だからな、子供のうちに消すんだ!」キッ
国使「・・もっとも、『魔王』などがいなくなった今、『勇者』などに意味はないがな」
国使「『守護神』など、現代ではもっぱら権力のパッケージ、世も末だな、ハハハ!」
慢義「・・・・」
国使「どうした、何か不満でもあるのか?」
国使「ああそうか貴様!確かオサンに弱みを握られていたな」
慢義「な、何を言う!?そんなことはない!!口を慎め!」
慢義「昔の汚職だ・・もう時効だろう、くだらん!」
国使「安心しろ、奴が捕まった以上それが漏れることもない」
慢義「・・大体、奴のせいで俺はこんな所にいるハメになったんだ」
慢義「『勇者』だとかが来やがったとしても、間違いなく追い払ってるぜ!」
国使「ふふ、そうだ、都合の悪いものはこの際全て始末してしまえば良いのだ」
国使「オサンが消えれば、お前の不都合な過去も永遠に知られることはない」
慢義「(・・・)」
国使「どうした?」
慢義「何でもない」スッ [立つ]
慢義「今日はもう帰ってくれ、『勇者』が来たら知らせてやる」
国使「・・そうか、ならば失礼しよう」
スッ
スタスタスタ
慢義「・・・・・」
--------------------翌日・トヤーズスラム・北のたまり場--------------------
勇者「・・・・」コソコソ
幸坊「・・・・」コソコソ
猫侍「・・・・」コソコソ
幸坊「(あ!おい、あれ!)」
勇者「!」
頭立「へっへっへ」
幸坊「(キールだ!)」
頭立「おい!クリスは居るか!」
紅猫「はい・・」スッ
頭立「ふっふっふ、よしよし、おやつの時間にしようではないか」
猫侍「(クリスちゃん!)」グッ
幸坊「(落ち着け!見つかるだろ!)」
勇者「(・・・)」
頭立「お~い!お菓子を持って来い!」
「はい!」
サッ
頭立「ふふふ、ではいただこうか、クリス!」
紅猫「はい」
頭立「・・ほら、食べさせておくれ」
紅猫「は、はい・・」スッ
猫侍「(くぅ~!あいつら!クリスちゃんをまるで召使いのように・・!!)」
幸坊「(落ち着け!ネコスケ!)」
猫侍「(わ、わかってるよ・・)」
頭立「ん~」モグモグ
頭立「あ~うまい、やっぱりカノジョに食べさせてもらうと違うなぁ~」
「いいなぁ~ボス!」
頭立「へへ!お前らもカノジョを探すんだな!あっはっは!」
「にしてもリーダー、マタビのやつはどうしたんですか?」
頭立「ん?あいつか?あいつなら昨日こらしめてやったぜ!」
「ホントですか!」
頭立「俺様からクリスを奪おうとしやがったんでな!あっはっは」
猫侍「・・・」ググ
勇者「(ネコジロウ・・)」
頭立「よぉしクリス!お前はさがっていろ」
紅猫「・・・」スッ
スタスタスタ
立連「でもリーダー、やつらブローチのことを・・」
頭立「構わないさ、奴らには見つけられっこない!絶対に!」
立連「ですよね!まさか洞窟のずぅ~っと奥に隠したなんてわかりませんよ!」
猫侍「(!)」
幸坊「(!)」
勇者「(!)」
頭立「いいか!絶対にブローチの場所は教えるなよ!わかったな!」
「はい!」
幸坊「洞窟の奥?」ボソッ
頭立「む!?」ピクッ
立連「誰だ!!」ピクッ
幸坊「!」
猫侍「あ!」
勇者「ばか!」
頭立「お、お前ら!?なんでここに!?」
幸坊「う!やばい!」サッ
頭立「おい!捕まえろ!!」
幸坊「に、逃げろーー!!」
頭立「あ・・!」
ピューーーー
頭立「く、くそ・・逃げたか」
立連「やつら・・昨日の連中ですよ!マタビの仲間です!」
頭立「一体何しに来やがったんだ・・・」
頭立「まさか!!」ドキッ
「え?」
頭立「あいつらブローチのことを・・それで!!」
立連「え!」
頭立「まずい・・もしもさっき話を聞かれていたら・・」
頭立「おい!今すぐ洞窟に行ってブローチを回収するんだ!!急げ!!」
「は、はい!!!」
幸坊「はぁ・・!はぁ・・!」ゼェ
勇者「なぁ、あいつら洞窟って言ってたぞ」
猫侍「ああ!」
幸坊「でも・・洞窟ってどこにあるんだ?」
猫侍「洞窟と言ったら、あそこしかない!」
幸坊「え?」
猫侍「よい子は決して近づかない・・・オバケ洞窟だ!!」
幸坊「お、オバケ洞窟ぅ~!!!?」
猫侍「そうさ・・そこには身の毛もよだつオバケがいるんだ!!」
幸坊「!!」
勇者「オバケ・・」
猫侍「だから誰も近づかない・・くそ、あいつら考えたな~!」
幸坊「ううう・・オバケ」ブルブル
勇者「よし、行くか!」
幸坊「え?」
勇者「だってブローチ取り返すんだろ?行こう!」
幸坊「だ、だってお前・・オバケが」
猫侍「そうだぞ『勇者』・・・!めちゃ怖いんだぞ!」
勇者「じゃあクリスはどうするんだ!あいつに取られたままでいいのか!!」
猫侍「・・・・」
幸坊「そうだけど、でも今回はしょうがないよ!オバケが出るんだし・・な?」
猫侍「行く!!」
幸坊「え!?」
勇者「よし!」
幸坊「いいのかよ!だってオバケ出るんだぜ!!?」
猫侍「ならお前は来なくていい!俺は行く!!」
幸坊「え・・・」
勇者「どこなんだ?その洞窟って」
猫侍「実は、スラムの外にあるんだ」
勇者「外?」
猫侍「うん、だからまずここから出ないと・・」
猫侍「よし!秘密のトンネルを使おう!」
勇者「なんだそれ?」
猫侍「こっち!!」
ダダダッ
幸坊「あ!?ま、待てよーー!!!」
--------------------南の高原--------------------
「ツリスー様!」
剛筋「ん?」
「近くに洞窟を発見いたしました!探しますか?」
剛筋「む!洞窟だと!」
「はい、『勇者』達が隠れている可能性が高いです!!」
剛筋「そうだな・・よし!行こう!」
剛筋「はっはっは!リジムめ!どうやらこの俺様の勝ちみたいだなぁ・・!」バッ
剛筋「お前たち!行くぞぉ!!」
「は!!」
--------------------トヤーズスラム・小屋--------------------
索嬢「え!?チビちゃんたちが洞窟に!?」
紅猫「はい、ごめんなさい・・」
哀妻「あらまぁ・・」
索嬢「それで、それを教えにわざわざ抜け出して来てくれたの?」
紅猫「はい、私、何もできなくて・・」
索嬢「いいのよ、あなたは悪くないから」
索嬢「悪いのはその悪党どもよ!ヒトの大事なものを隠すなんてひどいわ!!」
哀妻「マタビったら、案外根性あるのね」
索嬢「いや・・多分それを聞いたチビちゃん達が無理やり・・・」
紅猫「・・・マタビ君・・」
索嬢「大丈夫よ!何せチビちゃんと『勇者』が付いてるんだもの」
索嬢「ね!ポチスケ!」
犬獣「?」
索嬢「あんた聞いてなかったの?」
犬獣「うん、ごめん」ムシャムシャ
索嬢「ったく・・動物はのんきねぇ」
哀妻「ま、きっと無事に帰ってくるわ、気長に待ちましょう」
紅猫「ありがとうございます・・」
紅猫「(マタビ君・・無事に戻ってきて、お願い・・・!)」
--------------------マタビの抜け穴--------------------
猫侍「ここだ!この穴に入れ!」
勇者「よし!」
幸坊「こっから、外に出れるのか?」
ノソノソ
幸坊「うう・・狭い!」ノソソ
勇者「この先か?」ノソソ
猫侍「ああ、いっつもここを通ってお出かけしてるんだ」
猫侍「ホントは、クリスちゃんと一緒に・・・」ボソッ
勇者「ん?」
猫侍「い、いや!なんでもない!」
幸坊「お、出口みたいだぞ?」
ノソッ
幸坊「よいしょ!」
勇者「ぷはぁ!」
幸坊「・・お?あれか!」
猫侍「そうだ」
--------------------平原--------------------
麗剣「なに?陛下が?」
「ええ、隊長はすぐに城へ戻るようにと・・」
麗剣「・・・」
「やはり一度戻ったほうが良いでしょう、報告することもありますし」
「そうです、それに、これ以上勝手な行動をすれば・・」
麗剣「だったらお前たちだけ帰っていろ、俺は『勇者』を探す」
「しかし・・!」
麗剣「この俺が任務を失敗したまま戻れるか!何としても奴を・・」グッ
「リジム様・・」
麗剣「『勇者』は今のままではこの国の恥さらしだ、捕まえて『更正』させなければならない」
麗剣「それが陛下の決心なのだ、その気持ちを無駄にするわけには行かんのだ!!」
麗剣「これ以降はこの俺の責任で行動をする、お前たちは付いてくるな、いいな」
「・・・」
「・・はい」
麗剣「陛下、しばしお待ちを・・このリジムが必ずやあなた様のお望みを実現いたします!」
--------------------オバケ洞窟--------------------
幸坊「こ、ここかぁ・・」ドキドキ
猫侍「ああ・・覚悟しろよ!」
幸坊「やっぱ気色悪いなぁ・・なんか・・」
オォォ
オォ
勇者「よし!行くぞ!!」タッ
猫侍「お、おう!」
幸坊「ひえぇ・・最悪だぜ~・・」
スタスタスタ
--------------------オバケ洞窟・内部--------------------
オォ
ピチャッピチャッ
幸坊「な、なんでこんな暗いんだよぉ~・・・・」
スタスタスタ
幸坊「うううううわぁああああ~~~・・」
幸坊「あああ~~・・ああ~!!!」
勇者「うるさいぞチビ!」
猫侍「そうだ!帰れ!!」
幸坊「だ、だって~・・」
勇者「それにしても、ホントにこんなとこにブローチがあんのか?」
猫侍「奴らが言ってたんだ!間違いない!」
カカッ
幸坊「い!!?」ビクッ
勇者「どうした?」
幸坊「な、なんか今音がしなかったか!?」
猫侍「音なんてしねぇぞ?」
幸坊「・・・気のせいかなぁ」
ススゥ
幸坊「!?」バッ [振り返る]
勇者「今度は何だ」
幸坊「居た!!なんか居たぞ!!!」
猫侍「だから何も居な・・」
猫侍「!?」
勇者「どうした?」
猫侍「あ・・あああ・・・」
勇者「!?」
ユラ~~ [白い影]
勇者「うあああああーー!!!」
幸坊「うあああああーー!!!」
猫侍「うあああああーー!!!」
ダダダダダ
ダダダ
--------------------洞窟・入口--------------------
立連「リーダー!この足跡、マタビのです!!」
頭立「ということはもう奴らは入ってしまったのか・・!!」
立連「どうします?」
頭立「・・・・」
頭立「お、お前ら行ってこい!!」
立連「ええ!?リーダー行かないんですか!?」
頭立「俺はブローチのちゃんと場所を知らないんだ!隠したのはお前らだろうが!!」
立連「そ、そんなぁ・・また俺たちが行くんですか?」
頭立「命令だ!!行け!!」
立連「うう・・」
立連「そんな・・」
頭立「俺はここで待ってる、もし奴らがブローチを持って来たら俺が捕まえてやる!」
立連「一人で?」
頭立「・・・う、うるさい!!とっとと行け!ぶん殴るぞ!!」
立連「は・・はいーッ!!」
--------------------洞窟・別入口--------------------
ヒュォォオ
剛筋「うむぅ・・・本当にこんなところにガキ共がいるのか?」
兵士「ええ、この辺りで身を隠せるのは、もうこの洞窟だけですよ、間違いありません!」
剛筋「そうか、ふっふっふ」
剛筋「『勇者』の野郎をとっ捕まえりゃ、この俺はイッキに出世だ・・!」
剛筋「そして、いつも俺を見下していた野郎どもを、見返してやるのだ!ワッハッハ!」
兵士「・・・・」
剛筋「ようし野郎ども!早速この洞窟を調査だ!!」
--------------------洞窟・一階--------------------
ザッザッザ
ユラッ
兵士「!」
剛筋「どうした」
兵士「な・・なにかおります!」
剛筋「なんだ?例のガキか!!」
兵士「いや・・何やら・・」
ユララッ
剛筋「!!?」
兵士「!!?」
兵士「うわあ!!なんだあれ!?」
兵士「れ、霊だ!霊だ!!」
剛筋「ウロタえるな!な、何かの見間違いだ!!」
兵士「しかし・・!」ビク
剛筋「そうか、確かここは昔墓地だったとかいう・・それで・・」
剛筋「亡霊がいてもおかしくない、気を付けろ!!」
「は!!」
--------------------オバケ洞窟・地下3階--------------------
ァァァアアア
ァァア
勇者「はぁ・・はぁ・・!」
幸坊「うああ・・もう嫌だぁ・・!!」
猫侍「・・・はぁ!」
幸坊「いた、ホントに・・オバケだ・・・・いた!」
猫侍「だから言ったろ・・オバケ洞窟だって・・・」
幸坊「や、やっぱりダメだ!一回出よう!怖すぎる!」
猫侍「そうだな・・一回出て作戦を練り直そう・・」
勇者「・・ここどこだ?」
猫侍「ん?えっと・・どこだろう・・・」
幸坊「お前わかるんじゃないのか?どこ行けば帰れるんだよ!」
猫侍「んん・・・ま、まあ!来たトコを戻れば帰れるはず・・」
幸坊「え!?帰り道知らないのかよ!!!」
猫侍「当たり前だ!ここは迷路みたいに入り組んでるんだ!帰り道なんて知るか!!」
勇者「ええーー!!!」
幸坊「ええーー!!!」
勇者「か、帰れないってことか!?」
幸坊「ふざけんなよ!!ネコスケ!!!」
猫侍「マタビだ!!!」
幸坊「どうすんだよ!!ブローチどころか帰れなくなっちまったじゃねぇか!!」
猫侍「俺に言うな!!ビビって走り回ったお前らが悪いんだぞ!!!」
幸坊「なんだとぅ~~!!」
勇者「まずいな・・このまま夜になったら・・」
猫侍「イ!!」ビクッ
幸坊「嫌だ!!こんなとこで夜を過ごすなんて嫌だぞ!!」
猫侍「しょうがないだろ!!帰れないんだから!!」
幸坊「お前は黙ってろネコスケ!」
猫侍「ふん!!」プィッ
幸坊「どうする『勇者』!?完全に迷子だぜ!?」
勇者「とにかく上の方へ行こう、ずいぶん降りて来た気がするし」
幸坊「上?」
勇者「なるべく登りながら歩けば、多分出れると思う」
幸坊「おお!そうか!!」
猫侍「ふっふっふ、俺も全く同じことを考えていたぞ」
幸坊「嘘つけ!!」
猫侍「ほんとだもぉ~~ん、さあ、行こう!」
ザッザッザ
ザッザ
幸坊「・・・」キョロキョロ
猫侍「どした?」
幸坊「いや、何か気になるんだけど・・」
勇者「何が?」
幸坊「この洞窟って、まるで誰かが掘ったみたいに入り組んでるけど」
幸坊「もしかして、誰か住んでるんじゃないか?」
猫侍「そんなはずはない、こんな怖いところに住めるわけないだろう」
勇者「あ!!」
幸坊「うわ!なんだよ急に!」
勇者「見ろよこれ、何かの跡だ」
猫侍「ぬう?」
ボツボツ
幸坊「ホントだ・・これ・・なんだ?」
猫侍「何かが歩いた跡だな、続いてる」
幸坊「動物じゃないのか?」
勇者「いや、こんな足したやつ知らないぞ俺」
猫侍「俺も」
幸坊「じゃあなんだよ」
勇者「・・・・・」
猫侍「・・・・・」
幸坊「・・おい」
猫侍「と、とにかく先へ行こう!」
ザッザッザ
幸坊「なあ、なにか気がまぎれる話とかしないか?怖すぎて・・」
勇者「そんなこと言ったってなぁ・・」
猫侍「あ、そういや、ここは昔墓地だったらしいぞ」
幸坊「余計なこと言うんじゃねぇバカ!!」
猫侍「なんだと!お前が何か話せって行ったんだろ!」
幸坊「そういう事じゃない!余計怖くなっただろうが!」
猫侍「わがままなやつめ!」
幸坊「違う!お前が・・」
勇者「ん?」ピタッ
ドン [ぶつかる]
幸坊「いて!急に止まるなよ!」
猫侍「どうした?」
勇者「なんかいるぞ!」
幸坊「え・・まさかまたオバケ・・・」ゴクリ
猫侍「うう・・」ゴクリ
「む」
勇者「?」
猫侍「い!?」ビクッ
毛人「なんだおめぇら」
幸坊「な、なんだこいつ!?」
猫侍「もうだめだ・・バケモンだぁ・・」ビクビク
幸坊「こんなブサイクな生き物初めて見た・・」
毛人「失礼な」
猫侍「ん?・・・あ!!!」
キラーン [ブローチ]
猫侍「お前!胸につけてるの、それ・・!!」
毛人「これか?」
猫侍「それはクリスちゃんのブローチだ!」
幸坊「ほ、ホントか!?」
毛人「これはこないだ俺がひろったんだ、だから俺のだ」
猫侍「違う!それはクリスちゃんの大事なブローチだ!!返せ!!」
毛人「ん~」
幸坊「なあ頼むよバケモンさん、本当に大事なものなんだ」
勇者「ああ、それにお前には似合わないよ」
毛人「・・そうだなぁ」
毛人「じゃあ、俺の頼みを聞いてくれたら返してやる」
幸坊「頼み?なんだよ」
毛人「オバケ石って知ってるか?」
勇者「知らない、なんだそれ?」
毛人「特別な念がこもった石のことだ、特に死んだ人間のな」
幸坊「念?タマシイみたいなことか?」
毛人「まあそんなもんかな、俺はある人に頼まれてその石を探しに来たんだ」
猫侍「へえ」
幸坊「わかったぞ!俺たちに探してもらいたいんだな」
毛人「いや、実はもう見つかってるんだ」
勇者「え?」
毛人「こっち」スッ
毛人「あれだ」ピッ [指示]
幸坊「ん?」パッ
猫侍「あ!あの丸いのか!」
毛人「うむ、だが穴が小さくて俺じゃ通れないんだ」
毛人「体の小さい君たちなら通れるだろう、とってきてくれるか?」
勇者「オッケー!行ってくる」
猫侍「気をつけろよ」
--------------------オバケ洞窟・入口--------------------
頭立「ぬ、ぬぬう~~!」
頭立「なにやってんだアイツら・・もたもたしやがって・・!」
頭立「もしブローチを奪われたら、クリスがカノジョじゃなくなっちまう・・」
「おい」
頭立「!?」バッ [振り向く]
麗剣「こんなところで何をしている、子供」
頭立「(こ、国王兵!?しかも将軍クラスのやつだ!?)」
麗剣「答えろ」
頭立「あ、あの・・その・・さ、散歩を・・・」
麗剣「こういう人物を見なかったか」ペラッ [ビラ]
頭立「え?」
麗剣「いま城の方で行方を追っているのだ、知っているか」
頭立「・・・・」
頭立「あ!?知ってます!!」
麗剣「なに!貴様知り合いか?」
頭立「いや!ただ、そいつはこの洞窟の中にいます!!」
麗剣「ここに?本当なのか?」
頭立「はい!」
麗剣「(ツリスー達もこの辺にいるらしいが、偶然ではないようだな)」
麗剣「(間違いない、『勇者』はこの中だ!)」
頭立「あ、あのぉ・・?」
麗剣「案内しろ、付いて来い」
頭立「へ?」
麗剣「来い!」
頭立「あの、俺は・・そんな・・・」
麗剣「これをやる」ジャラ [カネ]
頭立「おわあ!ホントですか!!?」
麗剣「案内してくれれば、同じ量をまたくれてやる、さっさと連れてけ」
頭立「はい!!!」
--------------------洞窟--------------------
幸坊「どうだ『勇者』?行けるか?」
勇者「うむぅ~~・・」ギュゥウ [穴]
幸坊「無理すんなよ、骨折れるぞ!」
毛人「やっぱり流石に無理か・・」
猫侍「頑張れ『勇者』!クリスちゃんのブローチがかかってるんだぞ!」
勇者「ううう~~!!!」グググ
勇者「ウダッ!!」スポッ
幸坊「お!」
猫侍「お!」
毛人「行けたか!」
ヒョィ
勇者「取ったど~~!!」 [石]
幸坊「よぉし!ははは!」
猫侍「いいぞ『勇者』!それを持って早く・・」
「こんなところに居やがったかガキども!!!」
幸坊「!?」
猫侍「!?」
勇者「ん?」
剛筋「くっくっく、観念しろ、貴様らはこのツりスー様が始末してやる!」
毛人「?」
幸坊「お、お前は・・・」
勇者「なんだ?どうしたんだ、チビ!」
幸坊「こ、国王兵だ・・!」
勇者「!!?」
猫侍「だ、誰だお前!?始末するだと!?」
幸坊「あわわ・・」
剛筋「ふふふ・・・お前たち、こいつらを片付けろ!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
猫侍「!!?」
勇者「お前ら、逃げろーーー!!!」
立連「ん?・・あ!!」
立連「どうした?」
立連「見ろ!マタビのやつだ!!」
猫侍「く・・」
立連「あ!あいつ!!」
立連「そして隣に・・!」
毛人「・・・・」 [ブローチ]
立連「あの変なやつ!ブローチを・・!?」
立連「どうする?」
剛筋「ぐひひ・・・」ニヤァ
兵士「・・・」ギラン
兵士「・・・」ギラン
立連「な、なんかヤバそうだぞ・・怖いなぁ・・」
立連「とりあえずもどってリーダーに連絡だ!」
立連「おう!」
--------------------洞窟・地下--------------------
麗剣「こっちで間違いないのか、一向に気配がないぞ」
頭立「はい・・でもどこかに・・」
ユラッ
頭立「!!?」
ユララ~~ [白い影]
頭立「ぎゃあああ!!!オバケーーー!!!!!」ダダッ
麗剣「お、おい!?待て!!」
ワァアアア
デタァーーオバケーーー
麗剣「オバケだと?」チラッ
ユララ~
キキッ [鳴き声]
麗剣「??」
バサッバササッ [羽]
キキッ
麗剣「オバケって、ただのコウモリじゃないか・・!」
麗剣「くそ!あのガキどこに行きやがった!!」キョロロ
--------------------王城--------------------
側近「なに!!リジムが!?」
兵士「はい、これらからは御自身の責任で行動されるとおっしゃって・・」
側近「愚か者!なぜ止めなかったのだ貴様!!」
兵士「も、申し訳ありません!ものすごい剣幕だったもので・・!」
側近「くそぅ・・真面目なやつだからな、任務を果たさずには戻れぬということか!」
側近「だとすると・・・マズイな」
兵士「まずいとは・・他に重要な任務でも?」
側近「違う、リジムの奴には『勇者』を殺すとは伝えておらんのだ」
兵士「??」
側近「あのクソマジメな奴に自国の『守護神』の抹殺などできん」
側近「奴のことだ、我々の真の目的を知れば反発するかも分からん」
兵士「ああ!なるほど・・」
側近「だから最も良いのは、ツリスーがさっさと『勇者』一行を始末してしまうことだ」
側近「あとは死体を隠して行方不明ということにでもすればどうとでもなる」スタスタ
側近「リジムを失うのは惜しいからな、何としてもツリスーが先に『勇者』を仕留めねばならん!」
兵士「は、はい!」
側近「頼むぞ・・ツリスー!!」
--------------------洞窟--------------------
剛筋「さあ!どいつから殺されたいんだぁ?」
毛人「なんだこいつらは?」
勇者「逃げろみんなーー!!」
幸坊「くそぉ!」
猫侍「一体何なんだ!何で始末されなきゃならないんだ!?」
勇者「こいつら俺を追ってて、お前らもろとも皆殺しにするつもりだ!!」
猫侍「ぎょえええーー!?なんじゃそりゃーー!!!」
幸坊「『勇者』!逃げれるか?!」
勇者「今行く!!」
剛筋「?」
ギュウウ [穴]
勇者「う・・う!?」
ギュゥゥウ [挟まる]
幸坊「どうした!?」
勇者「抜けない・・なんでだ!?」ギュゥウ
毛人「石だ!石が挟まってるぞ!」
幸坊「なんだって!?」
勇者「うぐ・・ぐぐぐ!!動けない・・!!」ググ
幸坊「くそ!今助けてやるぞ・・!!」バッ
兵士「おおっと待った!!」バッ
幸坊「い!?」ビクッ
剛筋「ふふ」ニヤ
勇者「チビぃ!!」
剛筋「そっちは任せたぜ!」
兵士「は!」
スッ
兵士「くく、今度こそ終わりだガキめ!」ザッ
幸坊「あわわ・・」
猫侍「うわあ!!?」
勇者「ちくしょう!みんな!」
猫侍「いやだーー!!死にたくねぇえーー!!」
剛筋「ひひ・・」
猫侍「のわあああーー!!!ああああーーー!!」バタバタ
剛筋「うるせぇネコ野郎だな、てめぇからぶっ殺してやるか」
猫侍「え!?」
剛筋「ネコ野郎のあとは、てめぇだバケモン」
毛人「失礼な」
猫侍「うぬう・・こんなところで終わりか・・俺の人生」
頭立「・・ハァ・・ハァ!!」ゼェ
頭立「は!?将軍さん!?将軍さんどこ!?」
頭立「置いてきちゃったか・・まあいいか」
「リーダー!!」
頭立「ん?」
立連「リーダー!来てくれてたんですね!」
頭立「あ・・ああ!当たり前だ!!」
頭立「それで!ブローチは!?」
立連「それが・・」
カクカクシカジカ
頭立「なにぃ!?国王兵!?」
立連「はい!なんだかヤバそうだったので、リーダーのお力を借りようと・・」
頭立「むむ・・・そんなにヤバそうなのか?」
立連「はい、コワモテのゴリゴリマッチョな奴でした!」
頭立「・・・・・・・」
立連「リーダー・・」
頭立「ぶ、ブローチは何としても手に入れる!行くぞ!!」
立連「え~~!!」
幸坊「うぎゃ!」ドサッ
勇者「チビィ!!」
猫侍「のわあ!!」ドサッ
勇者「マタビィ!!くそお~!!」グググ
剛筋「はは!リジムの野郎が取り逃がしたと聞いてどんな奴らかと思えば」
剛筋「全然大したことのねぇ、普通のガキじゃねぇか!」
猫侍「うぐう・・」
剛筋「確かにこんな『勇者』なら、ぶっ殺して正解かもな!」
勇者「くそ・・」
剛筋「ははは!」
勇者「お・・おい!」
剛筋「ん?」
勇者「オサンはどうした!!」
剛筋「オサン?ああ、お前と一緒にあの隠れ家にいた男か?」
勇者「そうだ!」
剛筋「そいつなら、とっくに城に連行されたみたいだぜ」
勇者「なに!?なんでだ!!なんでオサンまで!!」
剛筋「知るか、俺たちゃあ陛下にそう命令されたんだ」
剛筋「『勇者』とその関係者を全員始末するようにってな!」
勇者「!?」
幸坊「!!」
勇者「じゃあ・・・オサンは!?」
剛筋「さあな、もう殺されてるかもな」
勇者「!!!」
幸坊「ゆ、『勇者』・・」
勇者「何で・・何でこんなことを!!!」
剛筋「知らねぇよ、何か王の恨みを買うような事でもしたんじゃねぇのか?」
勇者「そんなハズない!!俺たちは二人で平和に暮らしてただけだ!!」
剛筋「ふん、てめぇの事情なんかどうでもいいだよ!」スッ [寄る]
勇者「!」
幸坊「『勇者』ぁ!」
剛筋「てめぇらさえ殺せばいいってことだからな・・それが俺の仕事だ」
剛筋「おいお前ら!さっさとトドメ刺しちまえ!」
兵士「は!!」
兵士「は!!」
幸坊「!?」
猫侍「!?」
毛人「むむ・・なんだかマズイみたいだな」
「・・・」コソソ
毛人「ん?」
頭立「おいお前!ブローチよこせ!!」
毛人「なんだ君は、ヤブカラボウに」
頭立「いいから!そのブローチをよこせよ!!」
毛人「そう言われても、悪いが、これはあの石と交換で渡す約束になってる」ピッ
頭立「?」
勇者「くうう・・・」 [石]
頭立「あの石か?」
毛人「そうだ、だがそれどころではないのだ!」
頭立「よぅし!お前ら奪ってこい!!」
立連「はい!!」
毛人「ああ!こら!」
勇者「ぬぅう・・」
立連「ヤイお前!」
勇者「!?」
立連「その石よこせ!」
勇者「お、お前ら!キールの・・!」
猫侍「ふぎゃ!」ドサッ
兵士「どうした、もう終わりかネコ野郎」
猫侍「こ、こうなったら・・とりゃあ!!」
キラン [刀]
兵士「ん?」
猫侍「ふふふ!こいつのサビに成りたくなければ大人しく・・」
兵士「はっは!おまえ刀使いか」
猫侍「え?」
兵士「面白い!かかってこい!」ギラッ [剣]
猫侍「あ・・あの、そういうことではなく・・」
幸坊「ネコスケ・・・!」ボロッ
立連「この!よこせっ!!」ドガッ
勇者「ぐ・・!?」
ドガッドガッ
ドガッ
立連「この!!」ドガッ
勇者「わ・・渡すもんか・・これはネコジロウの・・・」
立連「この野郎!!!!」ドガッ
勇者「う・・!?」
ポロッ [石]
立連「お!落ちたぞ!」
勇者「しまった!」
立連「よっし」ヒョイ [石]
立連「リーダー!パス!!」ポイ
頭立「おお!」パシィ [石]
毛人「む?」
頭立「おい!コイツが欲しかったんだろ!交換だ!!」
毛人「・・・」 [ブローチ]
頭立「おい!早くそのブローチをよこせ!!」
幸坊「うぐう!?」ドサッ
猫侍「のわわわ~!!?」ササッ [避ける]
剛筋「ふふふ、これで俺も出世だ・・」
勇者「みんな・・う・・」ボロッ
毛人「・・・・・・・・」
頭立「おい!!!」
毛人「悪いが渡せんな」
頭立「な!?」
毛人「あの子たちと約束したんだ、だから渡せない」
頭立「なんだと!!これと交換って言ったじゃないか!!」
毛人「だからそれはあの子たちとの約束だ、君ではない」
毛人「それに君はズルい子だ、これは大切なものらしいから渡せない」
頭立「うぐ・・お、おのれ!!!」
頭立「よこせ!!!!」バッ [ジャンプ]
毛人「な!?」
ドカッ [ぶつかる]
ヒュゥゥウウン [ブローチ]
頭立「あ!?ブローチが!!」
猫侍「ブローチ・・・!!?」パッ
兵士「スキありぃ!!」
ドガッ
猫侍「ウガッ!!!」
ドサッ
幸坊「マタビぃ!!!?」
勇者「マタビぃ!!!?」
猫侍「・・う・・・」ピクピク
剛筋「ん?なんだこいつは」
スッ [ブローチ]
幸坊「ああ!」
猫侍「!?」ピクッ
猫侍「か、返せ!!それは・・!」
剛筋「こんなもん・・・」ググ
バリィィン [破壊]
猫侍「!!!!」
頭立「!?」
立連「あ!!」
パラパラ
パラ
剛筋「おおっとすまない、つい力が入っちまって・・」ニヤ
兵士「くくく・・」
猫侍「お・・お前ぇえ・・・!!!」
兵士「ん?」
猫侍「このやろーーーーー!!!!」バッ
ズバァン [刀]
剛筋「うぬッ・・!?」ズキッ
兵士「ああ!」
兵士「つ、ツリスー様!!?」
猫侍「はあッ!!」スタッ [着地]
剛筋「・・・・・・・」ツー [血]
幸坊「ま、マタビ・・!」
兵士「ツリスー様!大丈夫ですか!?」
猫侍「はあ・・はあ・・!!」ギロッ
剛筋「この野郎・・・よくも俺様の顔に傷をつけてくれたなァ!!!」
剛筋「おい!!ネコ野郎をぶッコロせ!!!!」
勇者「まずい!!?逃げろマタビ!!!」
猫侍「く・・」ダッ [逃げる]
兵士「!!!」バッ
猫侍「!?」
ドギャアン
勇者「マタビぃ!!!!!」
ドガッ [壁]
ドサッ [地面]
猫侍「・・・・・・・・・」
剛筋「・・・」ニヤ
勇者「マタビぃ!!!マタビーーー!!!」
猫侍「・・・・・・・・・」
勇者「返事しろマタビ!!!おーい!!」
猫侍「・・・・・・・・・」
剛筋「無駄だ、今の一撃でくたばっちまったらしいぜ」
幸坊「そんな・・マタビ!」
勇者「う・・うぐぐッ!!!!!」
頭立「ま、マタビが殺された・・・」
立連「そんな・・あいつ・・」
立連「り、リーダー!あいつらヤバすぎますよ!逃げましょう!!」
立連「ブローチも壊されたし、もうここには用無しです!」
頭立「ああ・・でも・・」
幸坊「よくもーー!!!」バッ
兵士「ん?」
幸坊「ダッ!!!」ブン [パンチ]
兵士「はは!」サッ [避ける]
幸坊「うおおおお!!」
勇者「チビやめろ!!お前だけでも逃げろ!!!」
幸坊「うおおおあああ!!!」
剛筋「はっはっはっは!!皆殺しだぁ!!!」
勇者「くそう・・!この穴から出られれば・・!」ググッ
幸坊「りゃあ!!」バッ [キック]
ドカッ
兵士「う・・!?」
幸坊「うおおおお!!!」ズドドド [パンチ]
兵士「ぬう・・」
兵士「うっとうしい!!!」バチン
幸坊「ぎゃ!!」ドサッ
勇者「チビぃ!!」
ドガッ
ガガッ
剛筋「ふふふ、よく見ていろ『勇者』、次はお前の番だからな」
勇者「!!」
剛筋「天国に行けるようお祈りでもしているんだな」
勇者「おいやめさせろ!!何で関係ない奴にまで手を出すんだ!!!」
剛筋「ほざけ、命令だと言ったろ!」
剛筋「おいお前ら!とっとと殺しちまえ!!」
勇者「!」
頭立「・・・」
立連「行きましょうリーダー!!俺たちまで殺される!」
頭立「そうだな・・・ん?」 [オバケ石]
頭立「こんなもん!」ポイッ [投げる]
ヒュゥゥウン
毛人「ん?」
ガガッ [柱]
ガゴッ
毛人「柱に・・」
毛人「!」
ガゴゴ
ゴゴゴゴゴゴゴ
勇者「!!」
剛筋「!!」
毛人「まずい!石の衝撃で岩が崩れる!!危ないぞ・・!!!」
ガララ
ガララララ
立連「うわあ!逃げろ!」バッ
頭立「うわ!!」バッ
毛人「・・!」バッ
幸坊「待って!!ゆ、『勇者』が!!」
毛人「!?」
勇者「うっ!?岩が・・!!!」
勇者「くそ!?抜けない!!」グググッ [穴]
ガラララ
勇者「!?」
ガガァァアア
ガァアアアアアア
勇者「うわああああ!!!!」
ガララララララララ
ガラララァ
幸坊「『勇者』!!」
剛筋「な!?」
兵士「!!」
ガララ
ガラァ
幸坊「『勇者』!『勇者』ぁあーー!!」
毛人「どうした!大丈夫か!!」
幸坊「『勇者』が岩に・・!!」
毛人「なんだって!?」
剛筋「へっ、下敷きになったか、これじゃあまず助からねぇな」
剛筋「あっけなかったが、殺す手間が省けたってもんだ」
幸坊「そんな・・そんなぁ!!!」
剛筋「おい、こいつもいい加減早く始末しちまえ」
兵士「はっ!」
幸坊「!?」
兵士「おら!」ドゴッ
幸坊「ゲェ!!」
ドサッ
毛人「まずい・・岩が邪魔で向こうに行けない・・!」
立連「くそ!!帰れなくなっちまった!」
頭立「く・・!」
ゲシッ
幸坊「うが・・!」
兵士「へっへっへ・・」ゲシッゲシッ
幸坊「ウッ!!・・ウッ!!」
兵士「ははは、お前ももうそろそろあの世行きだな!」
兵士「ハッハッハ!」
幸坊「くそ・・『勇者』・・」
兵士「『勇者』に会いたいか?安心しろ、もうすぐ会えるさ・・」
兵士「あの世でな!」ズドッ [蹴り]
幸坊「うわあ!!」
ドサッ
毛人「おい!いい加減にやめないか!なぜ子供を殺す!!」
兵士「黙ってろ!このガキの後はお前だ、覚悟しろ!」
幸坊「・・・・ぅ・・」ボロッ
剛筋「もう虫の息だな、トドメを刺せ」
兵士「・・・」ギラッ [剣]
毛人「!!」
幸坊「・・・『勇者』・・うう・・」
毛人「や、やめろ!!」
剛筋「やれ!」
兵士「しねぇええ!!!」
ドゴッ [岩]
剛筋「!?」バッ
兵士「!?」バッ
勇者「やあああああ!!!!!」バッ
ドギャ [キック]
兵士「ウガッ・・!!!?」
ドガァン [壁]
剛筋「お、お前!!生きてたのか・・・!」
幸坊「『勇者』・・良かった・・」
毛人「おお!」
スタッ
勇者「お前ら、絶対に許さないぞ!!!」キッ
剛筋「(・・・・)」
勇者「よくも・・・よくもみんなを!!!」
兵士「許さないだと?ガキのくせに生意気なことを言うな!」
剛筋「殺せ!!」
幸坊「!」
兵士「・・・!」バッ
兵士「・・・!」バッ [剣]
勇者「む!!」
兵士「ハッ!!」[パンチ]
勇者「・・・」サッ
勇者「はあ!!!」
バキィ [顔]
兵士「アッ・・!!?」
兵士「・・・が・・・あ・・」
ドサッ
兵士「なにッ!?」
勇者「次はお前だ!」
兵士「何だと・・ガキがぁ!!!」バッ
ブン [剣]
幸坊「危ない!!」
ガキィイン [頭]
幸坊「!?」
剛筋「!?」
勇者「・・・・」ギキキ [頭]
兵士「な!?頭で・・!?」
勇者「だあ!!!」
ドズッ [腹]
兵士「・・ッ!!?」
兵士「ああ・・!」ガクッ
ドサッ
勇者「・・・・・」スタッ
剛筋「ぬぅ・・!?」
ザッ
勇者「お前がボスだな!!」
剛筋「・・・」
勇者「マタビを殺しやがって、友達になったばっかりなのに!」
勇者「ブローチだって、あいつの恋人の大事なものなんだぞ!!!」
剛筋「はあ?」
勇者「マタビに代わって、この俺がお前を倒してやる!!!」
剛筋「・・・はッ!」
剛筋「ふさけたことを言うな!貴様がこのツリスー様を倒せるわけがないだろう!」
剛筋「ザコ兵士2人を倒した程度で調子に乗るなよクソガキが!!」
幸坊「『勇者』!」
勇者「・・・オサンも・・」
剛筋「?」
勇者「お前らは、俺の大事なものばかりを・・!!」
剛筋「ふん・・だから何だ」
勇者「許さないぞぉお!!!」
バッ
勇者「うぉおおお!!」
剛筋「む!」
勇者「だあ!」バキィ [顔]
剛筋「ガ・・!?」
勇者「おりゃあ!!」ズド [腹]
剛筋「おお・・・」
勇者「はああ!!!」
ガシッ [脚]
勇者「え!?」
剛筋「らっ!!!」ブン [投げる]
勇者「う・・!!」ドガッ [壁]
幸坊「『勇者』!」
勇者「・・・はあ!」スタッ
剛筋「ふふふ・・少しはやるようだから、ちょいと実力を見せてやるか」
剛筋「来い!ぶちのめしてやる」
勇者「うぉおお!」ダッ
剛筋「ハアッ!!」バキィ [顔]
勇者「ぶッ!!?」
ドサッ
幸坊「ああ!」
勇者「うう・・!?」
剛筋「はは、口ほどにもないなぁ?おい!」
勇者「このぉ!」バッ
剛筋「らぁ!!」ギャン [蹴り]
勇者「んがッ!!」
バキィ
ガガッ
剛筋「はあああ・・・・!」
剛筋「ダァッ!!」
ズドォォン [蹴り]
勇者「!!・・??!?!・・・!!!?」
幸坊「!!」
勇者「うグッ!」ドガッ [壁]
勇者「・・あ!」ドサッ [地面]
剛筋「へへへ・・・」
幸坊「ダメだ・・殺される・・!」
勇者「く・・・・」ボロッ
剛筋「無駄だ、『守護神』だろうが何だろうが俺様には勝てねぇよ!」
勇者「くそぉ!!」バッ
剛筋「ん?」
勇者「はぁああああ!!!」グッ
剛筋「・・・」
勇者「ヤッ!!!!!!」
ズドォォォオオオン [腹]
幸坊「おお!決まった!!」
勇者「はは・・・・」ニコ
勇者「!?」
剛筋「何かしたか?ガキ」ニィ
勇者「あ・・・」
幸坊「そ、そんな・・まったく通じてない!」
毛人「・・・・」
剛筋「へへへ、どうした?俺を倒すんだろう?」
勇者「・・・あ・・」ゾクッ
剛筋「ラァ!!」バギィ [蹴り]
勇者「アッ・・!!?」
剛筋「そぅら!!」ズドッ [腹]
勇者「・・!!?・・・!?!!?・・!!!!」
ガシッ [頭]
剛筋「へへ・・」スゥ [持ち上げる]
勇者「あ・・ああ・・・」ブラン
バキィ [顔面]
勇者「うぶッ!!?」
バキッ [顔面]
勇者「ブッ!!」
剛筋「はっはっは!!」
バキィ
バキィバキィ
立連「ひ、ひでぇ・・・」
立連「あいつも殺される・・・ああ・・」
頭立「・・・」
幸坊「く、くそぉ・・!!!」
剛筋「ハハハ!!」バキィ [顔面]
勇者「・・・あ・・」ブラン
パッ [放す]
勇者「・・・う!」ドサッ [地面]
剛筋「ふふふ!よく頑張ったがとうとう終わりの時が来たようだな」
スッ [足]
剛筋「踏み潰してやる・・・しねぇ!!!!」ギャ
幸坊「だああああああ!!!!」 [刀]
剛筋「!?」パッ [振り向く]
ズバッ [肩]
剛筋「ウガッ!!!」ズキィ
幸坊「はあっ!」ドサッ [地面]
勇者「ち・・チビぃ!!」
剛筋「うぐ!!うぐぐぐ・・・!!!!」ズキ
剛筋「肩を・・!おのれクソガキィ!!!」
幸坊「・・に、逃げろ『勇者』!!」
勇者「!?」
幸坊「こいつは俺に任せて逃げろぉおお!!!」
勇者「でもチビ!!その体で・・!!」
幸坊「俺は大丈夫だ!行け!!!」
剛筋「どいつも逃がすかぁああああああ!!!!!!」
勇者「!!」
幸坊「!!」
剛筋「うぉおおおお!!!!」ゴォオ
--------------------トヤーの屋敷--------------------
「マスター!!マスター!!!」
慢義「む?どうした」
「大変です!!」
慢義「!!?」
--------------------表--------------------
慢義「な、なんだこれは!!?」
将軍「これはこれはトヤー様、相変わらずのご様子で」
慢義「挨拶などどうでも良い!!なんだこの軍隊は!!!」
兵士「・・・・」
兵士「・・・・」
兵士「・・・・」
兵士「・・・・」
兵士「・・・・」
将軍「ええ、実はこのあたりに『勇者』がいるとの情報を得ましてね」
将軍「他の部隊の者が手こずっているようなので、ワタクシ共でカタを付けに・・」ニコ
慢義「な、なに!?」
将軍「既に許可は降りております、お通し願います」
将軍「もっとも、拒否すればあなたは反逆者になりますがね」
慢義「何を言っている!第一こんな大軍を遣らせる許可なぞ出しておらんぞ!」
将軍「許可は陛下の方からいただきました」
慢義「お、王が!?」
将軍「ええ、ですので、逆らわぬ方がよろしいかと・・」ニヤ
慢義「ば、バカな・・なぜこんな乱暴なことを!本当に王の命令か!?」
将軍「・・・・」
慢義「おい!答えぬか!!」
将軍「皆の者!!行くぞ!!!」
慢義「!!?」
兵士「・・・・」ザッ
兵士「・・・・」ザッ
兵士「・・・・」ザッ
兵士「・・・・」ザッ
兵士「・・・・」ザッ
慢義「お、おい!!待て!!!ならん!!とまれぇ!!!」
将軍「この先の洞窟に『勇者』は居る!!探し出して抹殺せよ!!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
慢義「く・・・!?」
将軍「トヤー様、なぜそんな苦いお顔をなさるのですか?」
慢義「なんだと!!」
将軍「ましや、何かやましいことでも?」
将軍「例えば、『勇者』をかくまったとか?」
慢義「・・・・」
将軍「ふふふ・・」
将軍「さあゆけ皆の者ーー!!任務を果たすのだーー!!!」
--------------------洞窟--------------------
剛筋「ズァア!!!!」
バキィ
幸坊「ガッ!!?」ドサッ
勇者「チビー!!?コノヤロー!!」
剛筋「うりゃあ!!」バチィン [弾く]
勇者「あ・・!!?」ドサッ
ガシッ [首]
勇者「・・!!!?」
グググ [締める]
勇者「ンガ・・アアア・・・・アアア!!!」ググ
剛筋「フハハ!!!死ねぇ!!」ググ [締める]
剛筋「!?」ピクッ
幸坊「!」
剛筋「ハッ!!」ゲシッ [蹴り]
幸坊「うあ!!!」ドサッ
勇者「!?」
剛筋「ふふ、無駄だ!!」
勇者「このやろ!」バッ
剛筋「ん!?」
ジュ [目潰し]
剛筋「うぐぉぉああああーーー!!!!?」ズキィ
勇者「・・!」スタッ
幸坊「『勇者』!」
勇者「行くぞチビ!!」
幸坊「おう!」
剛筋「!?」
勇者「ヤアア!!!」
幸坊「ヤアア!!!」
ズドォォォン
剛筋「・・!?!?・・・!!!・・!!?」
ズゴォン [岩]
ガラララ
勇者「よし!」
幸坊「やったか!?」
剛筋「・・・・・く」ムクッ
勇者「ダメだ!」
幸坊「今のでやられてたら苦労しないか・・」
剛筋「こ、このガキどもがァ!!!!」ギョロッ
毛人「いいぞ!やっちまえ~~!」
立連「あ、あいつらあんな強かったんだ・・」
立連「あのときケンカしてたら負けてたかもな・・」
立連「ああ・・・」
頭立「何ノンキなこと言ってる!ここから出る方法を考えろ!」
立連「そんなこと言ったって、この岩ですよ!?」
頭立「何とかしろ!」
立連「無茶言わないでくださいよ~!!」
立連「それに!あいつを倒さなきゃ無事じゃないですよ俺たち!」
頭立「あいつ?」
剛筋「ハァ・・ハァ!!!」ギロッ
頭立「・・・」
頭立「ふん!あんな奴俺でも倒せるさ!」
立連「え?」
頭立「見ていろよ・・」ヒョイ [岩]
立連「え・・まさか・・」
勇者「行けるぞチビ!この調子であいつを・・!」
幸坊「ああ!」
剛筋「この野郎・・ヤツザキにしてくれる・・!!」
勇者「へへ~ん!そうはいくか!」
幸坊「よし、そろそろ・・」
頭立「ソラッ!!」ブン [岩]
ヒュゥゥウウン
勇者「!?」
幸坊「な、なんだ!岩が!?」
剛筋「むッ!?」
剛筋「・・・!」サッ [避ける]
勇者「あ、危ないチビ!!!」
幸坊「え!?」
ガァァァアン [頭]
立連「あ!!」
立連「あ!!」
毛人「!!?」
幸坊「ガ・・カ・・・」フラッ
幸坊「ンゲ・・・」ドサッ [気絶]
勇者「ち、チビ!!おい!!!」
剛筋「ハッハッハッハ!!!いい気味だぜ!!!」
頭立「くそ、外したか・・」
立連「外したって!?それどころかあいつに当たっちゃいましたよ!」
頭立「まあ・・そ、そういうい時もあるさ・・」
毛人「大丈夫か!!」
幸坊「・・・・・・・・・」
勇者「ダメだ・・完全に気を失ってる!!」
頭立「お~い!そんなことより後ろを見ろ!!」
勇者「!?」
剛筋「はあ!!」
バキィ
勇者「ンガッ!!」ドサッ
剛筋「ふふふ・・!」ニヤ
ズムゥ [踏みつけ]
勇者「・・・ッ!!!!!!!」ズキィィイイ
勇者「うわぁぁあああああああ!!!!!」
剛筋「はっはっはっはっはーーーー!!」キッ
ズムッ
ズムムッ
勇者「うあああ!!!うあああーーーー!!!!!!」
剛筋「死ねぇ!!死ね死ねぇ!!!」ズムッ [踏む]
毛人「ああ・・・!!」
立連「ひぃいい・・俺たちもあんな風にされるのかなぁ・・」
頭立「・・・」ゾッ
立連「・・・」ゾッ
剛筋「・・・」スッ [下がる]
勇者「・・・うぐ・・」
剛筋「信じられねぇ、まだ生きてやがる・・」
剛筋「だが」スッ
ヒョィ [剣]
剛筋「心臓を突かれても、生きてられるかな?」ギラッ
勇者「・・・ぅ・・」
剛筋「終わりだ『勇者』・・」
立連「ああ・・見てらんねぇ!!」
幸坊「こ、この・・!」ガシッ [足]
剛筋「ん?」
幸坊「やめろ・・やめろ・・!!」グィ
勇者「・・チ・・ビ・・・・!」
剛筋「くくく、何の用だクソガキ、そんなに先に殺されたいのか?」
勇者「やめろチビ!」
幸坊「だ・・誰も・・殺させるか!」
剛筋「そうかい!!」ゲシッ [蹴り]
勇者「チビぃ!!」
ドサッ
幸坊「・・う・・・」ズッ
剛筋「へっへっへ、安心しろ、『勇者』のあとはお前だ」
勇者「くそ・・!」バッ [攻撃]
ズムッ [踏みつけ]
勇者「うがっ!!!」ドッ
剛筋「ふっはっは!無駄だ!」
ギラッ [剣]
剛筋「長い旅、ご苦労だったな・・ここで終わりだ!!」
頭立「!!」
毛人「!!」
剛筋「死ねぇ!!!!」ブン
ヒュゥゥウ [岩]
ガァン [頭]
剛筋「うごアッ・・!?」ズキィ
勇者「!?」
剛筋「おのれ、ガキか!?」ギロッ
立連「え!?ち、違いますよ!!」
剛筋「誰だぁ・・!」キョロキョロ
猫侍「・・・・・・・・」
剛筋「ネコ野郎じゃねぇ・・一体・・!」
剛筋「!?」
麗剣「よう、ツリスー」
剛筋「て、てめぇはリジム!!なんでここに・・!!?」
勇者「・・り、リジム?」
麗剣「・・・・」
--------------------トヤーズスラム--------------------
「うわあああ!!国王軍だ!!!」
「わあああ!!」
ワァァア
ワァァアア
隊長「隅々を探せ!!怪しいものは片っ端から捕まえろ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
兵士「ハッ!!!」
--------------------小屋--------------------
哀妻「まずいわ!国王軍よ!」
索嬢「!?」
犬獣「!?」
紅猫「え・・?」
哀妻「あなたたち逃げなさい!追われてるんでしょ!?」
索嬢「え、ええ・・でも!」
犬獣「『勇者』たちは!?」
紅猫「マタビ君も!!」
哀妻「ここへ来たってことは・・『勇者』がここにいるってバレたのね」
哀妻「とにかくスラムからでなさい!早く!」
索嬢「『勇者』たち・・捕まっちゃったのかしら!?」
哀妻「いや、ここまで来るってことは、確証はあっても見つけてはいないはずよ!」
哀妻「洞窟の方へ向かえば、『勇者』君たちと合流できるはずよ!行きなさい!」
「おい!!誰かいるか!!」
哀妻「!?」
索嬢「!?」
兵士「入るぞ!!」バッ
哀妻「(隠れて!!)」
索嬢「・・!」バッ
犬獣「・・!」バッ
兵士「王の命令で『勇者』を探している、知らないか!!」
哀妻「知らないわ!人の家に勝手に上がり込んで!!出て行きなさい!!」
兵士「何?貴様!国王軍に楯突くのか!?」
哀妻「ふん!じゃあどうするって言うの!?」
兵士「・・まあいい!あと、『勇者』の仲間の女と少年だ、知らないか」
哀妻「だから、そんなの知らないって言ってるでしょ!とっとと帰りなさい!」
兵士「・・・・ふん!」バッ
バタン
哀妻「・・・行ったわ」
索嬢「・・・」ヒョコ
犬獣「・・・」ヒョコ
哀妻「聞いたでしょ?『勇者』はまだ見つかってないみたいだわ、チビくんも!」
索嬢「良かった・・」
哀妻「今すぐ洞窟に向かうの!彼らと合流してすぐこの地を離れなさい!いいわね!!」
索嬢「はい!!!」
紅猫「わ、私も連れてってください!」
索嬢「え?」
紅猫「マタビ君が心配で・・!お願いします!!」
索嬢「でも・・」
紅猫「お願いします!!!」
索嬢「・・わかったわ、そのかわり危険な目に遭うかもよ?」
紅猫「かまいません・・!」
犬獣「よぅし!じゃあ行こう!」
--------------------洞窟--------------------
剛筋「な、何しに来やがった!!リジム!!!」
麗剣「決まってるだろ、任務を果たしにだ」
剛筋「はあ?」
麗剣「貴様、なぜ『勇者』を殺そうとする、命令では『生け捕り』のはずだ!!!」
剛筋「な、何言ってやがる!?『生け捕り』!?」
麗剣「怒りに任せてターゲットに重傷を負わせ、今や瀕死の状態にある!」
勇者「・・・・・」
麗剣「任務を忘れてこんな勝手なことを・・・なんたる失態だ!!」
剛筋「は・・!?」
麗剣「今すぐそいつらを渡せ!!すぐに治療しなければ死ぬ奴もいる!!」
剛筋「な、何勘違いしてやがる!!任務はこいつらを殺すことだろうが!!」
麗剣「なに!?」
剛筋「『勇者』とその関係者を全員始末する、それが俺たちの任務だ!!」
麗剣「・・なんだと?」
剛筋「俺は直接陛下からこの任務を預かったんだ!間違いねぇ!!」
麗剣「!!?」
麗剣「ば、バカな!!陛下が・・『勇者』を殺す!?」
剛筋「ああそうだ!!」
勇者「・・・??」
立連「な、何言ってんだあいつら・・?」
頭立「???」
麗剣「陛下は、『勇者』に『守護神』として相応しい教育を施すために・・!」
麗剣「『勇者』を更正させるために!確保するとのことじゃないのか!?」
剛筋「寝ぼけたこと言ってんじゃねぇ!!『確保』じゃなくて『抹殺』だ!!」
麗剣「ウソだ!!何かの間違いだ!!『守護神』を抹殺などと・・そんな・・!?」
剛筋「へ・・なんだか知らねぇが、陛下はどうやらお前を見限ったようだなあ?」ニヤ
麗剣「なに・・」
剛筋「本当の任務内容を教えてもらえねえ様じゃ、お前はもう終わりだ」
麗剣「・・・・・」
剛筋「お前はそこで俺が任務を全うするのを見ていろ、クックック」
剛筋「言っとくが、俺の任務遂行を邪魔すればお前は即刻『反逆者』だ!!」
麗剣「(・・・)」
勇者「・・・う・・」
剛筋「さあ『勇者』、今すぐあの世に・・・」
麗剣「待て」
剛筋「ああん?」ギロッ
麗剣「お前は城へ戻っていろ、こいつらは私が預かる」
剛筋「はぁ?何を訳のわかんねぇことを・・・リジム!」
麗剣「・・・」
剛筋「諦めろよ!お前はもう終わりなんだ!」
麗剣「確かめたいことがある、お前は帰っていろ」
剛筋「バカ言うんじゃねぇ!!獲物が目の前にいて!逃がす奴があるか!!?」
剛筋「大体、てめぇの方こそ帰還命令が出てるはずだ!勝手なことやがって!!!」
麗剣「・・・帰っていろ」
剛筋「ほざけクソガキが!!手柄を横取りされてたまるかよ!!!」
麗剣「・・・・」スッ [無視]
剛筋「てめぇ!!!」バキィ [殴る]
麗剣「・・!?」ドガッ [壁]
剛筋「へへ!剣がなけりゃこの程度が!!クソ野郎め!!!」
麗剣「・・・・」ガララ [壁]
剛筋「『勇者』・・ぶっ殺してやる・・・へへ」スッ
勇者「う・・!?」
麗剣「・・・」チラッ
幸坊「・・・・・・・」[刀]
麗剣「(・・・)」
(剛筋「俺は直接陛下からこの任務を預かったんだ!間違いねぇ!!」)
(剛筋「『確保』じゃなくて『抹殺』だ!!」)
(剛筋「諦めろよ!お前はもう終わりなんだ!」)
麗剣「(・・・・・)」
剛筋「くたばれぇええ!!!!」
勇者「うわあ!!!」
ズバァン
勇者「・・!」
立連「あ!!」
頭立「!!」
毛人「!!」
剛筋「ア・・・・アア・・」
麗剣「・・・・」 [刀]
剛筋「り、リジ・・・てめ・・」
ドサッ
麗剣「すまないツリスー、少し寝ていろ」
勇者「お前・・何で・・・」
麗剣「『勇者』」
勇者「!?」
麗剣「お前は俺について来い、命は保証してやる」
勇者「え・・?でもお前、あいつらの仲間じゃ・・」
麗剣「いいから言うことを聞け」スタスタ
麗剣「あと、そこの倒れてる仲間もだ、起きろ」
勇者「え?」
幸坊「・・・・・・」
猫侍「・・・・・・」
麗剣「起きろ」
幸坊「・・・ん」ピクッ
猫侍「・・・ん」ピクッ
勇者「あ!お前ら!?」
幸坊「へへへ・・死んだふり戦法ってやつだ」
猫侍「そういうことだ」
勇者「マタビ!お前生きてたのか!」
猫侍「俺があの程度で死ぬか!見くびってもらっては困る」
猫侍「死んだふりをして、ものすごい不意打ちをしようとしたんだが・・」
幸坊「怖かっただけだろ」
猫侍「何おう!奴の隙をうかがっていたのだ!!」
勇者「良かった・・生きてたのか」ホッ
麗剣「・・・・」キョロキョロ
毛人「ん?」
猫侍「おいお前、俺の刀を返せ」
麗剣「待て」
猫侍「ん?」
立連「え?」
ズババッ [岩]
ガララァア
立連「おお!岩が!これで出られるぞ!!」
立連「ありがとうジニーさん!」
麗剣「リジムだ!」
頭立「・・・ホッ!!」[脱出]
頭立「おいお前ら!出るぞ!!」
立連「は、はい!!」
猫侍「あ!あいつら!!」
頭立「アバヨッ!!」
立連「ベーだ!!」ベー
立連「ベーだ!!」ベー
タタタタ
タタタタタタ
幸坊「あいつら・・ったく」
勇者「おいバケモン!これ!」 [オバケ石]
毛人「ありがとう、でも悪いがブローチは・・」
勇者「あ、ネコジロウの・・・」
猫侍「ん?ああ、良いんだ」
勇者「いいのか?」
猫侍「うん」
麗剣「いや、スラムに戻るのは危険だ」
勇者「え?」
麗剣「ツリスーがここへ来たところを見ると、既にスラムに目をつけてる可能性がある」
麗剣「最悪スラム自体に兵士が張り付いてるかもしれない・・・」
勇者「え!」
幸坊「で、でもスラムには仲間が!!」
麗剣「・・・・」
勇者「そうだ!お前も知ってるだろ!青い髪の女の子と、しゃべる犬だ!」
麗剣「そいつらはスラムに居るのか」
幸坊「ああ!置いていけない!!」
麗剣「(・・・・)」
猫侍「刀返して」
麗剣「とにかくここからはすぐに出よう、行動はそれから考える」
毛人「だったらこっちだ!移動用のマシンがある!」
麗剣「マシン?」
猫侍「なんだそれ、すごそうだな!」
毛人「ああ、それに乗れば裏の方から出られる」
麗剣「よし、ならばそれを利用しよう」
毛人「こっちだ!!」
麗剣「お前らも急げ!」
勇者「おお!」
幸坊「おお!」
猫侍「おお!」
麗剣「!!?」
兵士「いたぞ!!『勇者』だ!!!」
兵士「捕えろ!!」
猫侍「うわあ!!でたぁ!!」
毛人「!!」
麗剣「おい!お前ら!!」
兵士「ん?」
兵士「あ、あなたはリジム将軍!?なぜここに!!」
麗剣「何だお前たちは!誰の部隊だ!!」
兵士「あ、あの・・」
兵士「我々はスラム一帯を捜索するように言われまして・・!」
幸坊「え!?」
麗剣「やはり既に手が回っていたか・・」
兵士「『勇者』たちを捕えたのですね、流石でございますリジム様!!」
兵士「後は私たちが連行致しますので、ご帰還ください!」
麗剣「『勇者』はどうするのだ?」
兵士「え?」
麗剣「『勇者』は捕えた後、どうなるのだ」
兵士「どうと言われましても、詳しいことはあなたの方が・・」
麗剣「いいから答えろ」
兵士「・・・まあ、察するに、おそらく暗に処分されるかと」
麗剣「なぜだ、『勇者』は我が国の『守護神』なのだぞ」
兵士「・・リジム様?」
麗剣「悪いがお前たちには預けられん、お前たちの隊長と話をさせろ」
兵士「な、何をおっしゃって・・」
「・・・お、おい!」
兵士「!!?」
麗剣「む」
幸坊「あ、あいつ!」
剛筋「り、リジムは・・・裏切ったん・・だ!!」
麗剣「・・・」
兵士「つ、ツリスー様!?なぜそのようなお姿に・・」
兵士「ま・・まさか!?」
剛筋「そいつは反逆者だ!!お、俺を斬り・・『勇者』を誘拐しようとしている!!」
勇者「・・・・」
兵士「り、リジム様・・」
兵士「何かの間違いでしょう!?そんな訳は・・!!!」
麗剣「すまない、俺は『勇者』を抹殺するなどという命令には従えない」
麗剣「そこをどいてくれ、俺にはやらなければならぬことがある」
兵士「・・・ど、どうする?」
兵士「どうするって・・」
麗剣「頼む、見逃してくれ、お前たちまで傷つけたくない!」
兵士「!!?」
剛筋「そら見ろ!!そいつは仲間を平気で斬る裏切り者だ!!!」
剛筋「てめぇら!今すぐ戻って報告しろ!!リジムが裏切ったと!!!」
兵士「え・・・」
麗剣「好きにしろ、ただ、そこをどいてくれ!」
兵士「・・・・」
剛筋「へへ・・へへへへ・・・お前は完全に終わりだリジム、反逆者だ・・」
麗剣「何とでもいえ、俺はお前と違うんだ」
剛筋「・・・!!」ムッ
剛筋「何してやがる!!とっとと報告してこいつらをつるし上げろぉお!!」
兵士「・・は、はい!!」バッ
兵士「リジム様・・」バッ
タタタタッ
タタッ
麗剣「行ったか」
勇者「いいのかお前?反逆者になっちゃうぞ?」
麗剣「いいのだ、こいつらの言ってることはめちゃくちゃだ」
麗剣「これからの俺の使命はお前を守ることだ、『勇者』」
勇者「お前・・」
猫侍「うんうん、最初からそうすればよかったのだ」
幸坊「お前なんも知らないだろ」
剛筋「へへ・・へ・・」
剛筋「う・・・・」ガクッ
猫侍「あ、アイツまたオチたぞ」
麗剣「放っておけ」スッ
麗剣「とにかく先を急ごう、これ以降は俺も狙われる、フォローはできない」
猫侍「やっつければいいだろ」
麗剣「仲間は斬りたくない」
幸坊「真面目だな~お前」
麗剣「いいからとっとと行くぞ!案内しろ!!」
毛人「ああ!」バッ
<<中断>>
もう少しで終わります。
魔翌力
もう誰も読んでないかな
読んではいるよ
最後まで期待
もうちょっとで更新します。
このあとは、スラムを出て新しい町に行って、そしてオサンを助けに行きます
そのあと、魔王を倒します
賢者とかが出てくるかはわかりません
あ
--------------------トヤーズスラム--------------------
索嬢「あわわわ・・・」
兵士「観念しろ!おとなしく我々について来い!!」
兵士「・・・!!」ザッ
兵士「・・・!!」ザッ
兵士「・・・!!」ザッ
犬獣「ど、どうする!?」
索嬢「どうするって~~!!?」
紅猫「ああ・・」
索嬢「あんた戦いなさいよ!オスなんでしょ!」
犬獣「え・・・」
索嬢「ほら!行きなさい!」
犬獣「しょうがないなぁ・・」スッ
兵士「ん?」
ノソッ
ノソッ
犬獣「ウウウ・・・」ギロッ
兵士「な、何だ?」
犬獣「グルルル・・・」ダラァ
兵士「な!?」
兵士「も、猛獣かアイツ!?」
兵士「気を付けろ!」
索嬢「いいわよ!その調子!!」
紅猫「・・・」ポカン
犬獣「ガォォオウ!!!!」
兵士「お手」スッ
犬獣「わん」ヒョィ
犬獣「あ」
索嬢「こ、こら!!!」
兵士「大丈夫だ!!猛獣じゃないぞ!!」
兵士「かかれー!!!」
索嬢「ヒェエエエ!!」
紅猫「わあああ!!」
犬獣「やれやれ、乗って」
兵士「待てーー!!!」
兵士「待てーー!!!」
兵士「待てーー!!!」
犬獣「~♪」タタタッ [走る]
索嬢「ちょっと!もっと速く走ってよ!!洞窟に行くんでしょ!!?」
犬獣「だって場所知らねぇんだもん」タタッ
兵士「今だ!!」バッ
兵士「今だ!!」バッ
犬獣「よっと」ピョン [ジャンプ]
兵士「ふげっ!!」ドサッ
兵士「ふげっ!!」ドサッ
紅猫「洞窟は、向こうにあります!」ピッ
犬獣「オッケー、つかまってて!」
バッ
タタタッ
紅猫「この向こうの方に!」
索嬢「でも兵士がいっぱいいるわ、ほかの道を・・」
犬獣「というか外に出るにしても、サクを越えなきゃいけないんだよ?」
ドーン [柵]
索嬢「あんなのジャンプしちゃえばいいじゃない!」
犬獣「無茶言わないでよ、俺はしゃべれるだけの普通のオオカミなんだから」
索嬢「普通じゃないけどね・・」
紅猫「あ、あそこ見てください!」
犬獣「ん?」
ガラッ
索嬢「あ!あそこなら兵士もいないし!柵も低いわ!!」
犬獣「よぅし!」タタッ
紅猫「あ、でももしかしたら・・・」
索嬢「なに?」
紅猫「いえ、何でもないです・・!」
タタッ
--------------------洞窟--------------------
勇者「ハァ・・ハァ」ダダダ [走る]
勇者「が・・・」フラッ
麗剣「!」
幸坊「どうした『勇者』!?おい!!」
勇者「・・・あ・・」
猫侍「そっか、マッチョ野郎にボコボコにされたんだもんなお前」
毛人「今になってダメージが・・なんという」
麗剣「・・・」ショ [背負う]
勇者「・・?」
麗剣「行くぞ、案内しろ!!」
毛人「ああ!」バッ
猫侍「いいな~」
毛人「ここだ!!」
麗剣「・・・!」バッ
幸坊「うおお!!これがマシンかぁ!?」
--------------------スラム--------------------
将軍「くそう・・何をしておるのだ!」
将軍「あんな女なんぞすぐに捕まえられるだろうが!!」
兵士「将軍!やっと捕えたようです!」
将軍「む」
索嬢「ま、また囲まれちゃったわよ・・!!」
犬獣「こっちでいいって言ったじゃんか!!」
兵士「・・・」ズラッ
兵士「・・・」ズラッ
兵士「・・・」ズラッ
兵士「・・・」ズラッ
索嬢「まさか待ち伏せてるとは思わなかったのよ!!」
犬獣「・・くそ、まもりが薄かったのは罠だったのか」
紅猫「ごめんなさい・・!私が余計なこと言ったせいで・・」
兵士「ん?犬と女は聞いたとおりだが、もうひとりの子供はなんだ?」
兵士「ネコか?それとも・・」
索嬢「え?」
兵士「おいお前、『勇者』の仲間だな?間違いないだろう」
紅猫「あ・・その・・」
索嬢「・・!」バッ
兵士「ぬ!?」
紅猫「え・・!?」ガシッ [掴まれる]
索嬢「これ以上近づいて見なさい!この子の命はないわよ~~!」
兵士「なんだと!?」
犬獣「な、なにやってんのバズレア!!」
紅猫「バズレアさん・・?」
索嬢「(しょうがないでしょ!こうしないとあなたまで仲間だと思われる)」
索嬢「(そうしたらずっと追われるのよ、我慢して!)」
兵士「なんてやつだ!子供を人質に取るとは!!」
兵士「人質というか・・ネコじちというか!」
索嬢「げっへっへ~!!」ゲスッ
兵士「ふん!だがその程度でうろたえる我々ではない!」
索嬢「え?」
兵士「皆の者!構うな!!奴らを捕らえよーーー!!!」
「おおおおお!!」
索嬢「ええー!うそー!!そんなのアリ~~!?」
犬獣「あああ~~!!」
ブロロロロロロ
索嬢「ん?」
犬獣「?」
兵士「な、なんだアレは!?」
索嬢「あ!!」
幸坊「バズレア~~~~!!!!!」ブロロロ [車]
犬獣「あ!あいつだ!」
紅猫「!」
索嬢「チビちゃん達よーー!!おーい!!」
毛人「あいつらか、仲間は!」ブロロ [運転]
猫侍「クリスちゃん!」ピョイ
毛人「こら!身を乗り出すな!」
兵士「何だあのマシンは!?見たことないぞ!」
兵士「おい待て・・何か、色々乗ってないか!?」
麗剣「・・・・」ブロロ
勇者「・・・・」ブロロ
兵士「リジム将軍!!?それに横にいるのは・・『勇者』!!!」
兵士「どういうことだ!?一体何が・・!?」
猫侍「おらおらどけ~い!!ひき殺されてぇのか!!」
ブロロロロ
ブォォォオオン
兵士「わああ!!」
ブォォン [止まる]
索嬢「チビちゃん!」
幸坊「へへぇん!危なかったな!」
索嬢「どうしたのそのケガ!?奴らにやられたのね!!?」
幸坊「こんなの大したことねぇよ!それより早く乗れ!!」
麗剣「・・・」
索嬢「げ!?あんたあの時の剣士!?」
幸坊「心配すんな!こいつ、俺たちのこと助けてくれるんだそうだ!」
索嬢「え・・?」
毛人「乗れ!!」
紅猫「・・!」バッ [乗る]
犬獣「わん」バッ [乗る]
麗剣「すぐに出せ!応援を呼ばれると厄介だ!」
毛人「ああ・・・」
将軍「ここか!!女どもは!!」
兵士「将軍!」
幸坊「ああ!」
索嬢「ああ!」
麗剣「ちぃ・・」
将軍「ん?なんだあの乗り物は?それに・・・」
将軍「リジム様!なぜあなたがここに!?」
麗剣「お前が来ていたのか・・なるほどな」
ゾロゾロッ [兵隊]
ゾロロロッ [兵隊]
幸坊「ああああ・・・もうダメか・・!?」
索嬢「このまま突っ込んで突破できないの?」
猫侍「無茶言うなアホ」
紅猫「・・・わ、わたしのせいだ・・」
猫侍「クリスちゃんは悪くないよ!きっとこのアホ女のせいだ」
索嬢「なんですって!!」
将軍「リジム様、なぜ『勇者』と・・・?」
麗剣「・・・・」
将軍「あなたはもう任務を降ろされたんじゃ?」
麗剣「そうだ」
将軍「なぜこんなことを!!今すぐ『勇者』を引き渡してください!」
麗剣「そうはいかん、『勇者』を渡すことはできない」
将軍「・・!?」
将軍「まさか・・ツリスー様は、あなたが?」
麗剣「・・・・」
幸坊「おい!早く出ないと・・!」
将軍「く・・キサマ!!見損なったぞ!この裏切り者め!!」
将軍「皆のもの!裏切り者リジムを含め、全員を捕らえよ!!!」
麗剣「・・!」
猫侍「お、おい!やばいぞ!?」
「待った!!」
将軍「ぬ!?」
「あとのことは我々に任せてもらおう」
ズララッ
将軍「なんだお前らは!」
慢兵「我々はトヤー様の命で『勇者』を捕らえに来た!諸君らは今すぐ撤退せよ!!」
将軍「な、なんだと!?そうは行くか!やつは我らの獲物だ!」
慢兵「なに?ここをどこだと思ってる!ここはトヤー様の領地だぞ!」
将軍「なに!?」
慢兵「よって我々の意思が優先されるべきなのだ!下がっていろ!!」
索嬢「ど、どういうこと・・?」
幸坊「あのオッサンの軍隊か!」
将軍「貴様らの方こそ!我々は陛下の命令でやってきているのだぞ!!」
慢兵「黙れ!トヤー様に逆らう者は、我々が排除するのみだ!!」
将軍「な・・!?」
兵士「!!」
慢兵「かかれーー!!!!」
慢兵「おおおおお!!!」
慢兵「おおおおお!!!」
慢兵「おおおおお!!!」
慢兵「おおおおお!!!」
ダダダッ
将軍「く!?」
兵士「し、将軍!!」
将軍「ええい構うな!こいつらを打ち倒し、『勇者』を連れ去るのだ!!!」
兵士「おおおおお!!!!」
兵士「おおおおお!!!!」
兵士「おおおおお!!!!」
兵士「おおおおお!!!!」
ワァァ
ワァァァァァ
幸坊「なんじゃこりゃあ~~!!」
麗剣「トヤー氏の兵が出てくるとは・・・参ったな!」
慢兵「(おい!)」
麗剣「!」
慢兵「(今のうちにゆかれよ!リジム殿!!)」
麗剣「なに?」
慢兵「(我々は『勇者』を逃がすようにと命令されてきたのだ)」
麗剣「!」
慢兵「(さあ早く!この混乱のウチにここを抜けて安全なところへ!)」
幸坊「え・・・!?」
麗剣「・・うむ、わかった!ありがとう!」
慢兵「(あちらへ行け!!)」ピッ
毛人「よぅし!!」ギュ [ハンドル]
ブロロン
将軍「ぬ!!しまった!!」
毛人「よっと!!!!」
ブロォォォオオン
ギュゥゥイイイン
将軍「ハハ!無駄だ、そちらにはトヤー軍が・・」
将軍「!?」
慢兵「行け!!」サッ [避ける]
慢兵「後は我々に任せろ!!」サッ [避ける]
毛人「おう!」ギュウン
兵士「なっ!?」
将軍「ば、バカな!!!?」
慢兵「(・・・・)」
ワァァアアア
ワァァアア
ブロロロロ
将軍「ま、待て!!!」バッ
慢兵「行かせぬ!!」ダッ
将軍「う!?」
ブロロロロロ
将軍「!」
ブロロロロ
ブロロロ
ロロ
将軍「く、行ってしまう・・・・!!」
将軍「キサマら・・そういうことか!!最初から!!!」
慢兵「ふふ!」
将軍「チクショウ!!追え!!追うのだぁあ!!」
慢兵「させるかあ!!」
ワァァアア
アァァアアア
--------------------屋敷・屋上--------------------
慢義「・・・・」 [眺める]
慢義「どうやら、うまくいったようだな・・・」
スッ [戻る]
慢義「借りは返したぜ・・オサン!」
スタスタ
--------------------平原--------------------
ブロロロロロ
毛人「・・どうやら、逃げ切れたみたいだな」
幸坊「ふぅ~~!何とか助かったぞぉ~・・」
麗剣「うむ」
索嬢「ホント、もうダメかと思ったわ」
索嬢「大丈夫クリスちゃん?」
紅爛「え、ええ・・おかげさまで」
猫侍「クリスちゃんさえ無事なら、それでいいや」
索嬢「あんたねぇ・・誰のおかげだと思ってるのよ」
猫侍「あん?」
索嬢「私がこの子を人質にしなかったら、今頃捕まってたわよ?」
猫侍「なに!?人質だとぅ!?お前!クリスちゃんに何て事してくれるんだ!」
索嬢「しょうがないじゃない!この子を守るためだったのよ!!」
猫侍「ふぅ~んどうだか、クリスちゃんを盾に自分だけ助かろうとしたのかも・・」
猫侍「クリスちゃん、こんな奴信用しちゃダメだ、こっちおいで」グィ [引く]
紅猫「ああ・・!」
索嬢「な~んですって!まったく!」
幸坊「まあ落ち着けよバズレア」
索嬢「あんたらこそ何してたのよ!洞窟で遊んでるからこんなことになったんでしょ!」
幸坊「遊んでたんじゃねーよ!大変だったんだぞ!」
索嬢「え?」
猫侍「うんうん、こぉ~んなマッチョマンに襲われたんだから、こぉんな」ムキッ
麗剣「・・・・」
索嬢「そんなのがいたの?」
幸坊「ああ、とんでもねぇ強さだったんだぞ?」
猫侍「そうそう、ま、俺が倒したけどな、すごいでしょクリスちゃん!」
紅猫「え?」
幸坊「お前寝てただけだろ!」
猫侍「どうだったかな?記憶がぁ・・」クラクラ
幸坊「この野郎・・」
麗剣「『勇者』」
勇者「・・・・ぅ・・」
猫侍「ん」
犬獣「『勇者』どうしたの?生きてる?」
索嬢「生きてるでしょ!!」
麗剣「相当やられたようだな、治療しないと・・」
幸坊「ああ、でも病院なんかあるのか?」
麗剣「無いな、それにあったとして入れない、俺たちは指名手配犯だからな」
猫侍「え、じゃどうすんだよ、死んじゃうぞ『勇者』!」
幸坊「くそ・・あのとき頑張って助けてれば・・」
索嬢「そのマッチョ男にやられたのね・・かわいそう・・」
幸坊「俺のせいだ!俺がちゃんと守ってやれば・・!」
猫侍「そうだぞ、しっかり反省しろ」
幸坊「お前に言われてたまるか!!」キッ
猫侍「おー怖い、やだね~、見てよクリスちゃん」
紅猫「ん・・とりあえずどこか落ち着ける場所を見つけたほうが・・」
麗剣「うむ、だがそんなところこのあたりには・・」
毛人「そういうことなら、俺の村に来るといい」ブロロ [運転]
幸坊「え?」
猫侍「お前の村?村長なのかお前?」
毛人「いや、俺と同じ一族や人間が住んでる村があるんだ」
幸坊「一族?なんていうんだ?」
毛人「『ボー』一族だ」
猫侍「ボー?ヘンテコな名前だな」
幸坊「そういや、お前の名前って?」
毛人「おれはレインボーだ」
猫侍「へぇ、んで、そのお前がなんでスラムの近くに?」
毛人「ああ、実は村の博士から頼まれて例の石を探しに洞窟に来てたんだよ」
猫侍「これか?」スッ [オバケ石]
毛人「ああ」
幸坊「博士って、なんか研究してるのか?」
毛人「うん、まあな・・」ブロロ
毛人「その村なら国の手も届きにくい、しばらくなら安全に過ごせるだろう」
紅猫「じゃあその村に行って、早く『勇者』君を治療してあげないと・・」
麗剣「よし、ではまずその村へ向かおう!」
毛人「おう!」
ブロロロロ
ブロロ
麗剣「(・・・・)」
<<中断>>
もし読んでくれている人がいたら、間を空けてしまってごめんなさい
魔王を倒すところまでは行こうと思っています
乙
魔力
魔力
--------------------城--------------------
側近「な、何だと!?今なんと言った!?」
兵士「それが・・!」
兵士「新たに遣った部隊も『勇者』を取り逃がし・・奴が再び行方不明に・・!」
側近「く、くう・・!」
側近「ツリスーは!!やつは何をやっておる!!」
兵士「つ、ツリスー様は・・」
側近「なんだ!」
兵士「例の洞窟で、瀕死の状態で見つかりました・・!」
側近「なにぃ!?何があったというのだ・・!」
兵士「・・・」
側近「・・ま、まさか!?」
兵士「リジム将軍が、裏切りました!!」
側近「!?」
兵士「部下が実際に、彼が『勇者』と共に行動し、妙なマシンで抜け出したのを確認してます!」
兵士「そしてどうやら・・ツリスー様は裏切ったリジム将軍に・・・!」
側近「ぬ・・・」
側近「くそう・・!なぜこう何もかもうまく行かぬ!」
側近「あんな小僧の一人に、なぜ・・!」
「どうした」
側近「!」
兵士「!」
王「『勇者』は、見つかったのか?」
側近「へ、陛下!ははー!!」ガバッ [礼]
兵士「・・!」ガバッ [礼]
王「よい、それで、『勇者』は」
側近「は、はい・・」
王「まだ見つからんのか?」
側近「もうしわけありません、しかし・・・!」
王「言い訳などよい!まったく・・使えん奴らだ」
兵士「・・・」
側近「陛下、そう焦らずとも、奴が捕まるのは時間の問題です!」
側近「じわじわ追いつめれば、いずれかならず・・・!」
王「いずれ、では困る、私はすぐに奴の死体を見たいのだ!」
側近「は、はい!」
王「王国の面汚しめ・・たとえ小僧であろうと許せぬ」
王「すぐにでも抹殺し、新たに『守護神』を据えねばならんのだ、わかるだろう」
側近「はい」
王「次の手は考えてあるのか?」
側近「もちろんです!おい、入れ!!」
ズララッ [入る]
赤剣「・・・・・」 [剣]
狙師「・・・・・」 [弓]
王「こやつらはなんだ?見たこと無い顔だが」
側近「剣士のアイロ、そしてスナイパーのユージョです」
王「・・殺し屋か」
側近「はい、『勇者』一人を始末するのにわざわざ軍を動かす必要もない・・」
側近「実力のある人間を単独で向かわせるほうが、効率は良いと思ったのです」
王「ふむ、確かにそうだな」
側近「ええ、なので私の方で腕利きの殺し屋を3人ほど雇ったのでございます」
王「3人?ではもうひとりおるのだな?」
側近「はい・・しかし城には来ませんでした、ランベルトという奴なのですが」
王「なに?どういうことだ」
側近「『勇者』を見つけたら必ず連れて行くから、自由にやらせて欲しい、と」
側近「報酬もその時でいい、と言っておりました」
王「ずいぶん気ままな奴だな、大丈夫なのか?」
側近「はい!腕は確かとのことなので、期待はできるかと・・」
赤剣「ふっふっふ、そんな奴を待たなくても、この俺が行けば済むことだ」
王「ん?」
赤剣「その能天気野郎と、この、今どき弓を背負ってる時代遅れ野郎の分を俺によこせ」
赤剣「そうすりゃあ、半日でその『勇者』とかいうガキの首を持ってきてやるよ」
狙師「なんだと・・?」キッ
赤剣「ん?」
狙師「貴様、俺を誰だと思ってるんだ!」
赤剣「誰って、知ってるつもりだがね」
狙師「だったら今の言葉を訂正しろ!死にたくなければな」
赤剣「はっはっは!お前に俺が殺せるわけないだろう、勘弁してくれ」
狙師「・・試してみるか?」スッ
赤剣「いいぜ」スッ
側近「やめんか!陛下の前で!!」
狙師「・・ふん」
赤剣「へッ・・今どきそんなデカイ武器で暗殺なんて、どうかしてるぜ」
狙師「軍部落ちの三流剣士に言われてたまるか、アイロさんよ」
赤剣「貴様!」キッ
側近「いい加減にしろ!!」
赤剣「・・・・」
狙師「・・・・」
側近「まったく、これだと先が思いやられるな」
王「ふふふ、結構じゃないか、期待しているぞ」スッ [下がる]
赤剣「ちゃんと報酬は払うんだぞ!いいな!」
王「心配するな、『勇者』を連れて来さえすればいくらでもくれてやる」
赤剣「・・ならいいんだが」
狙師「ふふ!貴様がそれを受け取ることはないだろうがな」
側近「おい貴様、また・・」
「失礼しまぁ~す」
側近「ん?」
王「おお!マスカットちゃん!」
赤剣「マスカット・・?」
葡女「あらあらどうしたのぉ~?みんな怖い顔して~」
王「はっはっは!なぁに大したことじゃないよ、それより、どうしたんだい?」
葡女「コーヒー入れたから持ってきたのぉ~どうぞ」スッ
王「ほっほっほ、ありがとう」スッ
狙師「なんだ、こいつは」
側近「おいマスカット!場をわきまえないか!!」キッ
葡女「やぁん・・そんなニラまないでくださる~?」
王「気にするなマスカットちゃん、放っておけ」
葡女「え、いいの?」
側近「へ、陛下・・」
葡女「あらぁん?この方たちはだぁれ?」
赤剣「ん?」
狙師「?」
王「ああ、そいつらは新しい部下だよ」
葡女「あらそうなの~!」
赤剣「部下だと?」ムッ
葡女「うふ」スッ[寄る]
赤剣「な・・」
葡女「・・・・・」ジィ [見つめる]
赤剣「・・・・な、なんだ!」
葡女「いい男ね」
赤剣「は!?」
葡女「どうぞあなたも」スッ [コーヒー]
赤剣「いるかっ!!」ワッ
葡女「きゃ!」
バチャア
狙師「あちぃぃいいい!!」
赤剣「あちぃぃいいい!!」
葡女「まあ、ごめんなさい」
--------------------翌日・平原--------------------
ブロロロ
猫侍「なあ、まだ着かないのか?」
毛人「見えたぞ」
幸坊「ん?」
猫侍「・・あ、アレか!」
毛人「そうだ、あそこが俺の一族が住むオンボ村だ」
--------------------オンボ村--------------------
ブロロ
ブロォウ
毛人「・・・ほぅ」[停める]
毛人「よし、降りていいぞ」
タタッ [降りる]
幸坊「よっと」
猫侍「足もと気をつけてねクリスちゃん」
紅猫「ありがとう・・」
索嬢「何この村?全然人がいないじゃない」
毛人「そうだな、どうしたんだろうか」
村人「あ!」
毛人「ん?」
村人「あんた帰ってきてたのか!」
毛人「ああ、ちょうど今着いたんだ、それよりみんなは?」
猫侍「こいつ普通の人間だな、お前の一族じゃないだろ」
毛人「もちろん、普通の人間もいるのさ」
村人「この人たちは?」
毛人「向こうで知り合ったんだ、訳あって身を隠さないといけないんだが・・」
村人「そ、そうか・・ならあんたらも一緒に来てくれ、案内する」
猫侍「おう、ケガも治してもらわないとな~!」
--------------------村・民家--------------------
毛人「治療道具を持ってくるから、そこに座っててくれ」
幸坊「ふぁ~~」[座る]
猫侍「ふぁ~~」[座る]
麗剣「・・・」スッ [寝かせる]
勇者「ぅ・・・」[寝る]
索嬢「ああ~~やっと落ち着けるわ~」
紅猫「『勇者』くんは大丈夫?」
麗剣「ああ」
猫侍「クリスちゃん、そんな心配しなくても・・」
紅猫「だって、洞窟でマタビくん達を助けてくれたんでしょ?その大男から・・」
索嬢「そうよね・・この傷だもん、相当な相手だったんだわ」
毛人「ほら、この中にあるものを使え」スッ [治療具]
紅猫「あ、どうも」スッ
猫侍「えへへ、んじゃクリスちゃん、まず俺から治して・・」
紅猫「何言ってるの、まずは『勇者』くんよ!」
猫侍「え!」
索嬢「そうよ、あんたらは自分でやりなさい」
幸坊「俺も・・?」
索嬢「決まってるじゃない!そんなカスリ傷!」
幸坊「え~!俺だって頑張ったのに~!」
猫侍「(うぬぬ・・こんなんだったらもっと頑張ってケガしとくんだったな)」
村人「おい、博士から頼まれてた例のモノは?」
毛人「ああ、ネコくんが持っているよ」
猫侍「ん?」
毛人「そうだ、キズを治したらそれを持って一緒に博士の研究所へ行くかい?」
猫侍「え!いいのか!」ウキッ
幸坊「お、俺も行くぞ!研究所!」ウキッ
索嬢「・・ほら、元気じゃない」
--------------------トヤーズスラム近く--------------------
「・・・・・」スタスタ
スタッ
「む~~ん・・」キョロキョロ
「情報じゃあ、『勇者』のヤロウはこのあたりに逃げてるはずなんだが・・」
「ん?なんだありゃあ」
ワイワイ [スラム]
「なるほどあそこか・・よぉ~し!!」
ダッ [ジャンプ]
ビュゥッゥウウウウ [飛ぶ]
--------------------スラム内--------------------
貧民「・・ん?」
貧民「おい!なんか落ちてくるぞ・・!?」
ズダァァン [着地]
貧民「な、なんだ!?」
「・・・ふう!」スッ
貧民「に、人間だ!飛んできたのか!?」
「なるほどここが噂のスラムか、世間のクズどもが集まるっていう・・」
貧民「なんだと!」
「ん?」
貧民「ははは、なんだか知らねぇが、新入りはルールに従ってもらうぜ?」
貧民「そうだ!まずはその派手な服を脱げ!!そして食べ物は全てボスに・・」
「・・・・」ニヤ
貧民「なに笑ってやがる貴様・・そうだ!名前はなんだ!」
「ん?」
貧民「そうだ!新入りはまず名乗れ!」
「・・いいだろう」スッ
闘人「俺はランベルト、ある人に頼まれて『勇者』を探しに来たんだ」
貧民「・・『勇者』だと?」
貧民「あ!前に軍隊が来て探してた奴だ!」
貧民「そうか、じゃあお前は軍隊の人間だな?」
闘人「違う、とにかく、知ってるなら奴の居場所を言いな」
貧民「なんだと?偉そうなやつめ・・!」
貧民「おい!ボスを呼べ!!」
闘人「ん?」
貧民「ボスー!!ボスー!!!」
「・・・」スゥ
ズム [歩く]
ズム [歩く]
闘人「・・おお、こりゃあでけぇな」
怪人「ぐへへ、何だ、呼んだか?」
貧民「ボス!こいつ新入りなんですが、生意気で言う事を聞かねぇんです!」
貧民「どうやら軍隊落ちのやつらしいんですが、調子に乗ってやがって・・!」
怪人「なるほど~・・」ニヤ
闘人「だから違うっつってんだろ!」
貧民「はっはっは!何を言う!謝るなら今のうちだぞ!」
貧民「言っとくがボスはこの前の襲撃でも、兵士どもの攻撃にビクともしなかったんだ!」
貧民「ボスの怪力にかかりゃあどんな奴もイチコロさ!」
闘人「ふぅ~ん、怪力ねぇ・・」
闘人「俺には、ただのオデブちゃんに見えるけどな」
怪人「・・!」ピキッ
貧民「な、なんてこと言いやがる貴様!?」
貧民「おい!今すぐ謝れ!そしてルールに従うと約束しろ!そうすりゃ命だけは・・」
怪人「貴様ァァア!!」
貧民「!?」ビクッ
貧民「!!」ビクッ
怪人「コイツは仲間には入れねぇ!!!ぶち殺してやる!!」
貧民「ぼ、ボス!?」
闘人「む!」
怪人「うぉぉぉおお!!!」ブン [腕]
ドガァァァアアン
貧民「ああ!」
貧民「!」
ガララ
ガラァン
怪人「・・・ハァ」ニヤァ
貧民「や、やっちまった・・」
貧民「さすがボス!一撃で・・!!」
怪人「ぐへへ、口ほどにもねぇぜ!」
貧民「・・バカな奴だ、おとなしく言う事を聞いてれば死なずに・・」
貧民「!!?」
貧民「ぼ、ボス!あれを!」
怪人「!」
闘人「・・・」
貧民「い、生きてやがる!」
怪人「なに・・!」
闘人「確かに怪力だが、当たんなきゃ意味ナ~シだぜ」
怪人「く・・コノヤロー!」ブン [腕]
闘人「・・・」サッ [避ける]
ブンブン
ササッ
バッ
ブン
怪人「ぬぅぅぉおお!!」
闘人「ははは!」
ブンブン
怪人「チクショウ!!ちょろちょろしやがって!!」
闘人「へへ」
ガシッ [掴まれる]
闘人「!?」
貧民「今ですボス!!やっちゃってください!!!」グッ [掴む]
怪人「よぉしいいぞ!」
闘人「な・・!」
怪人「うぉぁああ!!!」ギャ
バキィィイイイッ [顔面]
貧民「おお!決まった!」
貧民「ああ・・かわいそうに、頭がい骨は完全にバラバラだな」
貧民「だがこれも奴の自業自得・・」
怪人「・・・む!?」
貧民「な!?」
闘人「・・・」ニッ
貧民「あ、アイツ!?」
怪人「・・ば、バカな」
闘人「放せ」
貧民「あ・・」スッ [放す]
怪人「うそだ・・俺の・・俺の全力の一撃を顔で・・」
闘人「・・・・」
貧民「し、信じらんねぇ・・あのランベルトとか言う奴・・!」
怪人「なに!?今なんと言った!こいつの名は・・!?」
貧民「は、はい!そいつはランベルトとかいう奴らしくて・・」
怪人「ら、ランベルト・・まさか!!?」
闘人「知ってんのか?俺のこと」
怪人「まさかあの!『村壊しの殺し屋』、ランベルトか!?」
貧民「む、『村壊し』?」
闘人「はっはっは、そんな風に言われてんのか俺は・・」
怪人「不都合なことがあれば、そこを村ごと壊滅させて姿を消すという・・」
怪人「だから、奴の正体を知る人間はほとんどいねぇ!」
貧民「・・そ、そいつが、この男なんですか?」
怪人「ああ・・道理で俺の力が通じねぇはずだ・・」
闘人「話はもういいか?」
怪人「・・!」
闘人「遊びはもう終わりだ、『勇者』について知ってることを全部言え」キッ
闘人「適当なことを言えば皆殺しにしてやる」
貧民「!」
貧民「ひぃ!?」
怪人「・・・ゆ、『勇者』は・・」
闘人「どうなんだ」
怪人「『勇者』はもうここにはいねぇ!前に軍隊が探しに来て・・逃がしちまったらしい」
闘人「軍が・・」
怪人「ああ・・あと奴の知り合いどもも一緒に逃げちまった・・らしい」
怪人「変なマシンに乗って・・北東の方へ行ったそうだ」
闘人「(・・・・・)」
怪人「こ、これだけだ!もう何にも知らねぇ!ホントだ!!」
闘人「・・そうか」
怪人「そうだ!た、頼むから命だけは助けてくれ!頼む・・!」
闘人「ふっふっふ」ニッ
怪人「え・・?」
ドズゥゥゥン [腹パン]
貧民「ああ!」
貧民「ボスッ!!」
怪人「か・・アア・・」ズッ
ドサァ [倒れる]
闘人「ふん」
貧民「そ、そんな・・」
闘人「人の顔殴っておきながら、それだけで許してもらおうなんて甘いぜ・・」
闘人「それに」スッ
貧民「う、うわーー!!」 [逃げる]
貧民「助けてー!!!」
ガガッ [打つ]
貧民「あ・・」
貧民「・・ぐわ」
ドササッ
闘人「顔も名前も知られて、おとなしく帰すか、バカが」
ザッ
闘人「北東の方とかいったな、そっちに村なんてないはずだが・・・」
闘人「まあ、行ってみるか!」スッ
ダンッ [ジャンプ]
ビュゥゥゥウウ [飛ぶ]
闘人「ふふふ・・・ハッハッハッハッハ!!!」ビュゥゥウウ
闘人「待っていろ『勇者』!!今にその息の根を止めてやるぞ!!!」ビュゥゥウ
ビュゥゥゥウウ
ビュゥゥ
<<中断>>
ごめんなさい、なんか長くなりそうです。
でもよろしくお願いします。
おつにゃん
おもしろい
こ
最近勇者ss少ないな~
そうけ?
そうでもない?
今日中に更新できそうです
間空けて本当にごめんなさい
--------------------オンボ村・民家--------------------
勇者「・・・ん」
紅猫「!」
麗剣「!」
勇者「・・ここは」
紅猫「『勇者』くん!大丈夫?」
勇者「う、うん、お前誰だ?」
紅猫「ああ・・わ、私はクリスチーネ」
勇者「ああ!お前があの、マタビの恋人か!」
紅猫「え!?いや!!あの・・!!こい・・恋人って・・」カァ
麗剣「『勇者』、大分回復したようだな」
勇者「うん、ありがとう」
勇者「チビたちは・・・ここはどこなんだ?」
麗剣「ここは安全な村だ、チビという奴らも皆ここにいる」
勇者「そうか・・無事脱出できたんだな」
麗剣「ああ、それより、話がある」
勇者「?」
麗剣「お前がなぜ洞窟でツリスー・・あの大男に狙われたか知っているか?」
勇者「知らないよ!こっちが聞きたい!」
麗剣「城に命令されてたんだ」
勇者「あ~、そういやそんなこと言って・・」
麗剣「では、なぜ王がお前を狙うかわかるか?」
勇者「さあ・・俺はなんにも悪いことしてない!オサンも・・」
勇者「!!」
勇者「そうだ!オサン!!オサンが捕まってるんだ!!!」バッ
紅猫「ゆ、『勇者』くん!」
麗剣「落ち着け!」
勇者「なんで!早く行かないとオサンが殺される!!」ググ
麗剣「お前が行ってどうにかなるものじゃない・・!」
勇者「・・・う」
麗剣「ツリスーと戦ってわかっただろ、軍人は強い」
麗剣「それに、あんな奴はホンの下っ端でしかないんだ、あれ以上の人間が城にはゴロゴロいる」
勇者「じゃあまたリジムが手伝ってくれれば・・!」
麗剣「うむ、確かに私は城の誰にも負けない自信はある」
麗剣「だが、それでは意味がない!ただ、戦うだけでは・・」
勇者「?」
麗剣「実は私も知らなかったのだ、陛下がお前の命を狙っていることを」
麗剣「私の知る陛下は、そんなことをお考えになるお人ではない」
麗剣「スラムに軍隊をやったこともな」
麗剣「何かがおかしい!こんなことは普通は起こらない!」
勇者「・・・」
麗剣「だから私は近いうちに、直接陛下に事の真意を伺い上がるつもりだ」
勇者「でも、お前だって城の奴らに嫌われちゃったんじゃないのか?」
麗剣「ハハハ、そうだな、仮にも同胞である者を斬ってしまったからな」
麗剣「だが、アレは間違っていない、あんな奴は斬られて同然だ」
勇者「・・・ん~、わかんない」
麗剣「そうか・・・」ニコ
勇者「どうした?」
麗剣「私は、君のことを勘違いしていたようだ」
勇者「え?」
麗剣「『勇者』は、そこ意地の悪い子供で、国の面汚しだと聞いていた」
麗剣「だがそんなことはなかった、君はとても素直で、正義感の強い子だ」
麗剣「悪いことなんて、したことないだろう?」
勇者「(・・・・)」[汗]
麗剣「ところで、その腕のアクセサリーは何なのだ?ただの腕輪ではあるまい」
勇者「ん?ああ、これは・・」
勇者「俺もよく知らないんだけど、小さい時に王が付けたらしいんだ」
麗剣「え?」
勇者「オサンから聞いたんだけど、この腕輪がなければ俺は魔法が使えるらしいんだ」
勇者「でもこの腕輪すごい頑丈で全然壊れねぇんだよ~」
麗剣「それはそうだ、普通の腕輪じゃない、特別な魔法がかかってる」
麗剣「壊すには、相当の魔力でそれを解かなきゃいけないな」
勇者「そうかぁ・・」シュン
麗剣「まあ、いつかできるさ、それより飯でも食うか?クリス君も」
勇者「ああ!食いたい!」
紅猫「いいんですか?」
麗剣「ああ、店があればだが・・」
--------------------村の奥--------------------
猫侍「お前なんで付いてくんだよ、帰れよ」
索嬢「いいじゃないのよ別に」
猫侍「俺お前の事キライだから居ない方がいいな」
索嬢「あんだって!!」
幸坊「まあまあ・・」
毛人「あそこだ」
ピンポーン [インターホン]
毛人「・・・・」
毛人「あれ、いないのかな」
幸坊「何やってるんだ?」
毛人「これを押すと、博士が出てくるんだ」
猫侍「どれ」ヌゥ
毛人「?」
ピピピピピピピンポーン
猫侍「おーい出てこーい!石持ってきてやったぞー!!」
ピピピピピピ [連打]
索嬢「こら!やめなさいよ!」
幸坊「俺も俺も!」ヌゥ
ピピピピピピピ [連打]
索嬢「こらチビちゃんまで・・!」
ピピピピ
ピピピピピピピ
毛人「困ったな・・外出中か」
索嬢「いないの?博士っていうから研究所にこもりっきりだと思ったけど・・」
ピピピピピ
索嬢「こら!いつまで遊んでるの!」ピピピ
幸坊「いや、違うんだよ、もう押してないよ」ピピピ
索嬢「え?」ピピ
猫侍「うん、壊れて勝手に鳴ってるんだ」ピピ
索嬢「な、何やってんのよ!人んちのものを・・!」ピピピ
猫侍「うるせえな、だから付いてくんなっつったのに」ピピピ
幸坊「でも博士はいないみたいだぞ?」ピピ
毛人「むう、仕方ない、中に入って待つことにしよう、おいで」スッ
索嬢「いいの?勝手に入っちゃって・・」
毛人「大丈夫、俺は顔なじみだから」
猫侍「ほほほ、じゃあオジャマしようか!」
幸坊「お~!」
--------------------研究所--------------------
猫侍「ほんえ~~広いな」
幸坊「お、ソファだ、座ろうぜ」
猫侍「おうっ」
索嬢「ホント図々しいわねあんたたち・・」
毛人「まあ、そのうち来るだろうからくつろいでてくれ」
猫侍「おお!すごいやわらかいぞこのソファ!」モファ~
幸坊「何でできてるんだろう・・不思議な素材だなぁ」モフモフ
索嬢「え?そんなすごいの?」
幸坊「ああ、お前も座ってみろよ」
猫侍「やめとけ、この女に良さは分からん」
索嬢「なんですって!」
猫侍「うるせえアバズレ野郎」
索嬢「バズレアよ!!キーーー!!!」
幸坊「お、おい・・!」
毛人「にぎやかな連中だな」
猫侍「いやいや、うるさいのが一匹居るだけさぁ」
索嬢「何よ!あんたに動物扱いされる筋合いはないわ!」
猫侍「へ~んだ!」
幸坊「それにしてもそこらじゅう機械だらけだな、どんな研究をしてるんだろう」
毛人「ま、博士が来たら案内してくれるさ、君らは石探しを手伝ってくれた恩人だからね」
幸坊「はは!楽しみだな~」
猫侍「ん?」チラッ
毛人「?」
「おい!誰だインターホンを壊したのは!」
毛人「あ!博士!」
幸坊「ん?博士?」
毛博「まったく!機械は生き物だ!生き物は大事にしなさい!」
猫侍「お前が博士か?」
毛博「いかにも、私がこの研究所の責任者、Dr.ボーだ」
幸坊「こいつもレインボーと同じ種族だな」
毛人「おいおい、『お前』だの『こいつ』だの、失礼だぞ」
毛博「レインボー、この者たちは?」
毛人「ああ、スラムの方で会ったんだ、石を見つけるのを手伝ってもらった」
毛博「ぬ!ということは石を手に入れたのだな!」
毛人「ああ、その子が持ってるよ」
猫侍「ホイ」スッ [石]
毛博「ありがとう、これがあれば研究はもう一息だ!」
猫侍「ありがたく思えよ~相当苦労したんだからな~」
幸坊「そうそう、死にかけたんだぜ!?」
毛博「うむ、ではお礼にここを見学させてあげよう、ついでに私の最新の研究も見せてやる」
猫侍「おー!待ってました~!」
索嬢「一体、なんなのかしら、あんな石で・・」
--------------------村・食堂--------------------
毛飯「おまたせしました」スッ [カレー]
勇者「おお~~!カレーだ!!」
麗剣「しっかり食えよ、代金は私が持つから」
紅猫「ごめんなさい、私まで・・」[カレー]
麗剣「なあに、遠慮するな」
勇者「んーー!!」ガツガツ [食う]
麗剣「(・・・)」
勇者「んんんーー!!」ガツガツ [食う]
麗剣「おい、そんな食い方があるか」
勇者「ん?」モガ
麗剣「ああ・・一回飲み込め」
勇者「・・・」ゴクン
麗剣「・・・いいか?」
勇者「おお、何だ」
麗剣「こう持ったほうが、食いやすいんだぞ?」スッ
勇者「・・でも俺はこの方がいい」
麗剣「そうではなく・・作法というものがある」
麗剣「飯は食えばいいってものじゃない、しっかり行儀よくせねばならん」
勇者「でも、オサンは気にするなって言ってた」
麗剣「ああ、だが他人と一緒に食事をするときはマナーを意識しないとダメだ」
麗剣「そうしないと周りに認めてもらえない」
勇者「?」
麗剣「ダメなやつだと思われるかもしれないってことだ」
勇者「え、そうなのか?」
麗剣「ああ」
勇者「お前も、そう思うか?」
紅猫「う、うん・・お行儀よくしたほうがいいわ」
麗剣「そうだぞ、だからこうやって持って食べろ」ギュギュ
勇者「うむむ・・」ギュギュ
モグモグ
麗剣「そういうことは親に教わらなかったのか?」
勇者「いや」
紅猫「そのオサンっていう人はお父さんじゃないの?」
勇者「違う、俺が小さい時に父さんは死んだらしくて、それからオサンと一緒になったんだ」
紅猫「ふうん・・じゃああなたのお父さんも『勇者』だったのかしら?」
勇者「わかんねえ、何やってたんだろう」
麗剣「まあ少なくとも『勇者』ではない、以前の『勇者』は王族の人間だ」
紅猫「そうですか・・」
麗剣「それと『勇者』、お前はこれから命を狙われることが多くなるだろう」
勇者「・・・・」モグモグ
麗剣「だから私が修行をつけてやる、少しはマシに戦えるようになるだろう」
勇者「ん~~!!」モグモグ [嬉しい]
麗剣「うれしいか、それもそうだ、将軍直々に稽古をつけてもらえるんだからな」
麗剣「ありがたく思えよ」
ゴクン
勇者「修行って、何やるんだ!?」
麗剣「いいから、とりあえず食ってしまえ」
勇者「・・!!」ガツガツ
麗剣「行儀良くな・・」
紅猫「あはは」
<<中断>>
多分すぐ更新します。
すいません、>>256 の後半を以下に替えてください。
猫侍「ホイ」スッ [石]
毛博「おお!よくぞ持ってきてくれた」
猫侍「ありがたく思えよ~相当苦労したんだからな~」
幸坊「そうそう、死にかけたんだぜ!?」
毛博「君たちが手伝ってくれたのかね?」
毛人「ああ、この子達だ、もう一人いるんだが、怪我をしてて家の方で休んでる」
毛博「ケガを?一体何があったんだね?」
毛人「詳しくは後で報告するよ、とりあえず石を・・」
猫侍「そうそう、早く研究見せてよ!」
毛博「ん?君かインターホンを壊したのは?」
猫侍「違うよ、このチビだよ」
幸坊「おい!」
索嬢「ご、ごめんなさい・・ホントに」ペコッ
毛博「いやいや、あんなものすぐ直せるから、気にせずに」
猫侍「いいのかよ・・」
幸坊「そ、それより!あんたのすごい研究を見せてくれるんだろ~!?」
毛博「ああそうだな、では案内しよう、ついてきたまえ」
猫侍「おー!待ってました~!」ピョィ
毛人「きっと驚くぞ、ふふふ」
索嬢「一体、なんなのかしら、あんな石で・・」
これ好き
今更ですが、キャラの個人的な見た目イメージを挙げておきます
勇者:(日本人の男の子)
オサン:(ラディッツに殺されたおじさん)
ドチビ:まさお君(クレヨンしんちゃん)
バズレア:ランチ(ドラゴンボール)
リジム:水月(ナルト)
トヤー:レッド総帥(ドラゴンボール)
マタビ:ポコニャン(ポコニャン)
クリスチーネ:ドラミ(ドラえもん)
ツリスー:ナッパ(ドラゴンボール)
ボー一族:(顔がたわしの人間)
ランベルト:勇次郎
違ってたらごめんなさい。
他の勇者ss書いてる人はなんであんなペースで更新できるんだ・・
>>263
乙
下を見てもキリがないけど上を見てもキリがないよ
焦らず自分のペースで最後までエタらなければおk
一部のアレな人はどんなペースや内容でも批判するだけだから気にしないのが吉
ありがとうございます
--------------------村・食堂--------------------
毛飯「おまたせしました」スッ [カレー]
勇者「おお~~!カレーだ!!」
麗剣「しっかり食えよ、代金は私が持つから」
紅猫「ごめんなさい、私まで・・」[カレー]
麗剣「なあに、遠慮するな」
勇者「んーー!!」ガツガツ [食う]
麗剣「(・・・)」
勇者「んんんーー!!」ガツガツ [食う]
麗剣「おい、そんな食い方があるか」
勇者「ん?」モガ
麗剣「ああ・・一回飲み込め」
勇者「・・・」ゴクン
麗剣「・・・いいか?」
勇者「うん、何」
麗剣「こう持ったほうが、食いやすいんだぞ?」スッ
勇者「・・でも俺はこの方がいい」
麗剣「そうではなく・・作法というものがある」
麗剣「飯は食えばいいってものじゃない、しっかり行儀よくせねばならん」
勇者「でも、オサンは気にするなって言ってた」
麗剣「ああ、だが他人と一緒に食事をするときはマナーを意識しないとダメだ」
麗剣「そうしないと周りに認めてもらえない」
勇者「?」
麗剣「ダメなやつだと思われるかもしれないってことだ」
勇者「え、そうなのか?」
麗剣「ああ」
勇者「お前も、そう思うか?」
紅猫「う、うん・・お行儀よくしたほうがいいわ」
麗剣「そうだぞ、だからこうやって持って食べろ」ギュギュ
勇者「うむむ・・」ギュギュ
モグモグ
麗剣「そういうことは親に教わらなかったのか?」
勇者「いや」
紅猫「そのオサンっていう人はお父さんじゃないの?」
勇者「違う、俺が小さい時に父さんは死んだらしくて、それからオサンと一緒になったんだ」
紅猫「ふうん・・じゃああなたのお父さんも『勇者』だったのかしら?」
勇者「わかんねえ、何やってたんだろう」
麗剣「まあ少なくとも『勇者』ではない、以前の『勇者』は王族の人間だ」
紅猫「そうですか・・」
麗剣「それと『勇者』、お前はこれから命を狙われることが多くなるだろう」
勇者「・・・・」モグモグ
麗剣「だから私が修行をつけてやる、少しはマシに戦えるようになるだろう」
勇者「ん~~!!」モグモグ [嬉しい]
麗剣「うれしいか、それもそうだ、将軍直々に稽古をつけてもらえるんだからな」
麗剣「ありがたく思えよ」
ゴクン
勇者「修行って、何やるんだ!?」
麗剣「いいから、とりあえず食ってしまえ」
勇者「・・!!」ガツガツ
麗剣「行儀良くな・・」
紅猫「あはは」
--------------------研究所--------------------
索嬢「わ~!何このマシン!?」
ドーン [機械]
毛博「はっはっは、驚いたかね」
猫侍「すげぇ、こんなの見たことないぜ・・・天才だなこいつ」
幸坊「ひょっとして俺たちの乗ってきたマシンもあんたが作ったのか?」
毛博「当然、あんなもの朝メシ前だ」
毛人「この人は発明家でな、不思議なものをたくさん作っているんだ」
索嬢「これはなんなの?これがあなたの今の研究?」
毛博「よくぞ聞いてくれた、これは科学の長年の夢を叶えるスーパーマシン・・」
毛博「すなわち!生命蘇生機だ!!」
索嬢「・・そ、蘇生?」
幸坊「蘇生って、生き返るってことか?」
毛博「そうだとも」スッ [オバケ石]
毛博「詳しく言えば、活動のエネルギーが尽きた生命組織を、再稼働させることができる」
猫侍「なんかすげぇな」
索嬢「死んだ人が、復活できるってこと?」
毛博「まあ、そうだな」
索嬢「すごいじゃないそれ!」
幸坊「ああ!まさに夢のマシンじゃないか!ははは!」
猫侍「おいおい何感心してんだお前ら」
幸坊「なんだよ」
猫侍「だって死んだやつが復活するなんてありえねーだろ、こんなのパチモンだね」
毛博「そう思う気持ちもわかる、だが新科学とは常に奇異なものだ」
毛博「バカバカしいようなことを可能にしてしまうのが、発明!」
猫侍「ほんとぅ~?」
索嬢「その石があれば完成するのね?」
毛博「ああ、このオバケ石に含まれる精神エネルギーを取り出して、対象組織に結合させる」
毛博「このマシンを使えば、条件によって、理論上は17%の確率で蘇生が成功する!」
猫侍「え、17%って・・・低くないか?」
幸坊「ああ、だって8割以上失敗なんだろ?」
毛博「何を言う、これでも改善された方なんだぞ?」
毛博「何度も微小組織で実験を繰り返し、少しずつ少しずつ数字を良くしたのだ」
猫侍「ふぅん、じゃあ、早速やってみてよ」
毛博「うむ!では見ていろ」
索嬢「・・・」ゴクリ
毛博「それ!」ポィ [オバケ石]
ゴロン
毛博「まずは石からエネルギーを取り出す」ポチッ
グゥゥゥゥウウウン [抽出]
猫侍「おおお!」
幸坊「すごいな!『勇者』にも見せてやりたいよ!」
索嬢「ほんとだわ」
毛博「そして・・これを用意する」スッ
ボロッ [枯れ花]
索嬢「何それ花?枯れてるじゃないの」
猫侍「どうすんだよそれ」
毛博「これで実験の成功をテストするんだ」コトッ
毛博「つまりあのマシンにかけて再び花が咲けば実験成功、蘇生法の基礎完成というわけだ!」
索嬢「うまくいけば綺麗なお花になるのね!」
毛博「ああ、うまくいけばな・・」
ゥゥゥウウン
ピコン
毛人「ん、抽出が完了したみたいだ」
毛博「よし」
幸坊「おお!」
猫侍「早く早く!」
毛博「まずこの枯れ花をセットする」
猫侍「俺がやる!俺がセットする!」ワイワイ
毛博「ははは、よぅし、ならば君に任せよう」スッ [渡す]
幸坊「あ!ずるいぞマタビ!」
猫侍「いぇ~い!」
索嬢「も~、やめなさいよあんたたち」
毛博「じゃあ君にはボタンを押してもらおうかな」
幸坊「え!いいのか!やっほーい!」
猫侍「・・よいしょ」コトッ [セット]
毛博「扉を閉めて」
猫侍「・・・・」カコッ [閉める]
索嬢「・・・」ドキドキ
毛人「・・・」ドキドキ
幸坊「・・・」ドキドキ
毛博「では、君・・スイッチを!」
幸坊「は、はい!」
スッ
猫侍「頑張れチビ!見ててやるから!」
索嬢「これが歴史の一歩になるのよ!チビちゃん!」
幸坊「・・・では!」
ポチッ
猫侍「!」
索嬢「!」
ウゥゥゥン
キィィィィィィイイイン
ィィィィイイイン
索嬢「す、すごい音・・!」
猫侍「うおお・・」
毛人「博士・・ついに!」
毛博「ああ・・」
幸坊「おおお・・・」
イイン
ィィィィィィイイイイイイインッ
キキッ
毛博「(・・!?)」
シュゥゥゥウウウ
猫侍「ん?終わったのか?」
幸坊「終わったみたいだな!早速開けてみようぜ!」
毛博「(・・・・)」
幸坊「どうしたんだ?」
索嬢「?」
毛博「むう・・・どうやら失敗のようだな」
毛人「え?なぜ?」
猫侍「そうだよ、見てもいないのにそんなこと言うなよ~!」
毛博「なら、開けてみたまえ」
猫侍「どぉれ」スッ
カパッ [扉]
猫侍「あ・・・」
幸坊「ど、どうだネコスケ!?」
索嬢「花は・・!?」
ボロッ [枯れ花]
猫侍「枯れたまんまだ・・」
幸坊「見せてみろ!」バッ
索嬢「そんな・・失敗?」
幸坊「・・ホントだ、変わってない」
毛博「・・・」
幸坊「まあ確率17%だからな、こんなもんだろう」
猫侍「なあ、もっとやってみようぜ!」
毛博「いや、無駄だ」
猫侍「え?」
毛博「今のは確実に失敗していた、いわば成功率0%の実験だったのだ」
猫侍「なんだって!?お前17%って言ってたじゃないか!」
索嬢「・・でも、博士は扉を明ける前に失敗だってわかってたわよね?」
幸坊「ああそういや、なんでわかったんだ?」
毛博「簡単なことさ、音だよ」
猫侍「音?」
毛博「途中で『キキッ』という音がしたろう?あの音は成功するときには聞こえないはずなのだ」
毛博「そしてそれは確率的に起こることじゃない、『系統的』に起こるのだ」
猫侍「『ケートーテキ』?」
毛人「なるべくしてなるってことだ、つまり何か根本的な原因があるみたいだ」
毛博「その通り、どうやらシステムを練り直さねばならんようだな・・」
猫侍「え~!?結局ダメかよ~!」
幸坊「まあまあ、カガクってのはこういうもんだろ、難しいんだ」
猫侍「ふぅん・・」シュン
索嬢「残念・・」シュン
毛博「失敗に終わってしまうとは情けないが、君たちに見せられるものはこれくらいだ」
毛博「あとは大して面白いものはないな、見るなら自由にしてもらって構わないが・・」
猫侍「なあ、他に俺たちに手伝えることってないか?」
毛博「ん?」
幸坊「マタビ?」
猫侍「せっかくだし成功させたいよ、石だって俺たちが見つけたんだぜ?」
毛博「・・・・」
猫侍「なあ、どうだ?」
毛博「気持ちはありがたいが、君たちにできることは特にもうないよ」
毛博「石を見つけてくれただけでも十分助かったんだ、しかも質もいいみたいだし」
猫侍「そっかぁ・・」
毛博「ああ、あんなに早く抽出できるなんて、相当順度の高いエネルギーだったんだよ、感謝してる」
索嬢「そうよ、博士は研究で忙しいんだから、私たちはもう帰りましょう」
猫侍「むむ~ん・・歯がゆい」
毛博「そういえば、仲間の一人が怪我をしているそうだね?」
幸坊「ああ、『勇者』が結構大きい怪我を・・」
毛博「『勇者』?どこかの『守護神』の人か?」
幸坊「ああ」
毛博「そうか、大変だな・・」
毛博「よし!では正式なお礼としてその子の怪我の治療をしてあげよう」
幸坊「え?」
索嬢「治療って、あなたお医者さんもやってるの?」
毛博「いいや、この装置を使うのさ、ケガならすぐ治せるはずだ」
猫侍「そういうもんなのか?」
毛博「ああ、生命を1から再生するのではなく、部分的な欠損を補完するだけなら簡単だ」
索嬢「あら!じゃあ頼みましょうよ!」
猫侍「そうだな、クリスちゃんも安心するだろう」
毛博「準備が出来たら知らせるから、家に戻っていてくれ」
索嬢「はぁ~い!じゃ、帰りましょ」スッ
幸坊「じゃあな!」
猫侍「研究頑張れよ~」
スタスタスタ [帰る]
毛博「・・・・」
毛博「さあてこうしてはおれん、研究を完成させねば!」セカセカ
--------------------王城・牢獄--------------------
兵士「さあ入れ!」
「言われなくてもわかっとるわ!押すんじゃない!私を誰だと思ってる!こら!!」
兵士「つべこべいうな!!」ドン
「おわ!」
ドサッ
ガチャン [施錠]
慢義「ぐう・・まったくなぜこんなところにこの私が・・畜生め!!」
「ん?その声は?」
慢義「ぬ!?」
野夫「おまえ、トヤーか?」
慢義「のあああ!!!?貴様はオサン!!?」
頭立「あ!領主様!」ヒョコ
立連「!」ヒョコ
慢義「お、お前たちは?」
頭立「俺たち、あなたのスラムの住人です、キールっていいます!」
慢義「・・そうか」
野夫「この子達は『勇者』と関係ある人物として捕まったらしい、俺みてぇにな」
野夫「お前もか?へへへ」
慢義「何ヘラヘラ笑ってやがる!!こん畜生め!!」
慢義「それに俺は捕まったんじゃない!拘束されているだけだ!」
野夫「同じだよなぁ?」チラッ
頭立「え?ああ・・まあ・・」
慢義「ふん・・!」
野夫「オメェまで捕まったところを見ると、『勇者』はまだ無事みてぇだな・・」
慢義「ああそうだ!誰のおかげだと思ってる・・」
野夫「ははは、やっぱりそうか、お前のとこにあずけて正解だったよ」
慢義「なぁにが正解だッ!!あんな手紙残しやがって!!奴ら勝手に来やがったんだぞ!?」
野夫「まあまあ」
慢義「別荘は荒らすわ・・スラムもめちゃめちゃ・・最悪だ!!」
野夫「でも、なんだかんだ言ってうまいことやってくれたみたいだな、感謝するぜ」
慢義「勘違いするな!!これは俺自身のけじめのためだ!あんなガキの命などどうでもいい!」
野夫「ふふ・・それにしても久しぶりだなトヤー」
慢義「・・・・」
頭立「・・あの、オサンさんと領主様は、どういう関係?」
野夫「昔の同僚さ、俺とこいつは城で働いてたんだ、雑用だったけどな」
頭立「え!領主様が!?」
立連「オサンさんは、途中で辞めちゃったんですか?」
野夫「いいや、ちょっとした事件があってな・・」ニヤ
慢義「おい!あんまりその話は・・!」
野夫「いいだろ、もう時効だ、それに結局罪をかぶったのは俺なんだぞ?」
頭立「罪?」
野夫「聞きたいか?」
頭立「うん」
慢義「き、貴様・・」
野夫「雑用だった頃、俺とトヤーは金庫の警備を頼まれたんだ」
野夫「そしたらこいつが、金庫ごと盗んでバックレちまおうとか言い出したんだ」
頭立「え!!」
慢義「・・・」アセ
野夫「そんときゃ俺も若くてよ、つい手を貸して、盗みをやっちまったわけだ」
慢義「何を・・・貴様も乗り気だったじゃないか」
野夫「だが大失敗!!盗んだ金庫には肝心の金が入ってなかったんだ!」
野夫「しかもそのあと城中大騒ぎで犯人探しが始まったんだ」
野夫「そしてついに犯人は俺かトヤーかってことになった」
野夫「こいつはずっとしらばっくれてたんだが、それじゃラチがあかないってことで・・」
頭立「まさか・・!」
野夫「そう、俺が自首したってわけだ、そんで城からは追い出された」
頭立「じゃあ領主様は・・?」
野夫「ああ、結局こいつは無実のまま城に残ったんだ」
立連「ひ、ひでぇ・・」
野夫「他にもこいつの汚職はたくさん知ってる、これはほぉ~んの一部だ」
頭立「本当ですかトヤー様?」
慢義「じ・・若干脚色が濃いかな」
野夫「脚色も何もあるか!ありのままの事実だぞ?」
慢義「うるさい!貴様が最後まで黙っておれば、やり通せたのだ!」
慢義「お前が自首したせいで、そのあと私はしばらく周りから白い目で見られたんだぞ!」
慢義「そして出世を重ねても、信頼の無さからかあんな辺境の屋敷にとどまる状態・・」
慢義「俺は・・俺は本当は政治家になりたかったのだ、国を動かす人間に・・!!」
野夫「じゃあよかったじゃないか、お前に政治は無理だ」
慢義「なんだとーー!!!」
兵士「静かにしないか!!」
慢義「ぐ・・」
野夫「落ち着け、騒いだって仕方ねぇ」
慢義「この!誰のせいだと・・まあいい」
慢義「貴様、俺たちがこの後どうなるかわかるか?」
野夫「ん~、それも話してたんだが、人質にされるんじゃないかって予想だ」
慢義「人質?」
野夫「やつらはどうしても『勇者』を捕まえてえみてぇだからな」
野夫「そのうち俺たちを使っておびき出そうとするに決まってるっつうこった!」
慢義「・・なるほど」
野夫「この子達の話じゃ何人か仲間を連れてるらしいが、どれも子供らしい、心配だ・・」
慢義「ん?子供だけか・・?」
野夫「違うのか?」
慢義「やつらがスラムを出たとき、兵士のような奴が一人ついていた気がするが・・」
野夫「ほ、本当か!」
慢義「ああ、多分あれは将軍クラスのやつだ、どういうわけか知らんが味方だと思う」
野夫「そうか・・それは良かった、大人が付いてれば無茶はしないだろう・・」
慢義「だが!『勇者』はいずれ捕まる!少なくとも城にはやってくることになるだろう」
慢義「そうなれば、我々が生きていられる保証はないぞ!」
頭立「い!?」
立連「そ、そんな!殺されちゃうってこと!?」
慢義「そうだ、『勇者』が見つかれば俺たちは用済みだからな」
野夫「さすがトヤー、察しがいいな、俺もそう思うぜ」
慢義「ふん、貴様と一緒にするな!」
野夫「だからなんとかここをでる方法を考えるんだ」
野夫「せめて子供だけでも助けてあげたい」
頭立「うう・・お願いします~!」
慢義「そいつは無理だな、なんせ今の王はイカれてる」
野夫「え?どういうこった?」
慢義「『守護神』を殺すなんてどう考えても今までの王のやり方じゃないだろ」
慢義「何者かにそそのかされたか、操られている可能性がある」
野夫「そんな・・操るって、考えすぎじゃねぇか?」
慢義「でなきゃこんなことにはならん!これは普通じゃないんだ!」
野夫「じゃあ誰が操ってるんっつうんだよ」
慢義「俺の予想じゃあ、あの最近側近になった、マスカットとかいう女があやしい」
野夫「マスカット?」
頭立「あ!知ってます、すごいいい女なんですよね」
立連「え、リーダーなんで知ってるの?」
頭立「新聞で見た」
慢義「・・ここに入れられる前、俺は王と話したんだ、『守護神』についてな」
慢義「そこに、そのマスカットもいた」
(王「なぜだ!なぜ『勇者』を逃がしたりしたのだ!!!」)
(慢義「そ、それは・・」)
(慢義「?」チラッ)
(葡女「うふふ・・・」ニコ)
(慢義「(・・・)」)
(王「おい!答えるんだ!!!」)
慢義「きっとあの女が王に妙なことを吹き込んだに違いない!『勇者』を殺すために」
頭立「そんな・・・」
野夫「『勇者』のやつは人の恨みを買うタイプじゃないはずなんだが・・そうでもないか」
慢義「アホゥ!そんな単純な話じゃない!」
慢義「俺はあの女を見たとき、ふとガキの頃に見た魔術師を思い出したんだ」
野夫「魔術師?」
慢義「恐ろしいやつで、魔法で次々と不思議なことをやってのけたんだ」
慢義「だがその正体は、かつての魔物の生き残りだったんだ!!」
頭立「ま、魔物!?」
慢義「ああ、だからあの女も、ひょっとしたら・・」
野夫「魔物・・ってことか?」
慢義「ああ」
頭立「そんな、じゃあ王様は魔物に操られてるってこと!?」
慢義「あいつが魔物なら『勇者』を狙うことにも納得できる、間違いない!」
野夫「おいおいトヤー、お前らしくねぇな、魔物なんてありえねぇぞ」
慢義「いいや!きっとそうだ!」
野夫「お前普段は現実主義のくせに、たまにそういう妙なこと言い出すよな」
頭立「そうなんですか?」
野夫「昔も、星占いを信じて女の子に告白してフラれたことがあるんだ」
立連「え!星占いを・・」
立連「今どきそんなの当てにする男って・・」
慢義「う、うるさい!!そういう時期は誰にでもあるだろう!!」
慢義「とにかく!なにか不吉なことが起ころうとしてるのは確かだ!」
野夫「で?どうすんだ」
慢義「どうって・・・・」
頭立「・・・・・」
立連「・・・・・」
立連「・・・・・」
野夫「・・・・・」
慢義「・・そ、それを考えるのが、今すべきことだ!」
野夫「はぁ・・」
--------------------翌日・オンボ村・研究所--------------------
勇者「これかぁ!!」
ドーン [マシン]
毛博「ああ、未完成だが、体の傷くらいならすぐ治すことができる」
猫侍「すげぇな、一日で作ったのかこれ」
毛博「まあな」
幸坊「この日焼けマシンみたいなのに入れば治るのか?」
毛博「これをつけて、中でエネルギーを浴びるのだ」スッ [ベルト]
勇者「なんだその腰巻き」
毛博「腰巻きではない、これはいわばエネルギーの受信機だ、腰に巻け」
勇者「やっぱ腰巻きじゃないか」
幸坊「俺がつけてやるよ」
勇者「おう!」
ガチャガチャ
麗剣「本当に治るのか?」
索嬢「まあ、見てなさいよ」
紅猫「うまくいくといいけど・・」
猫侍「これでいいか?」
毛博「うむ、それでいい」
勇者「なんかかっこいいなこれ」ピーン
猫侍「おい!入れ入れ!」[開ける]
スッ [入る]
勇者「・・・」ドキドキ [寝る]
パタン [閉める]
毛博「よぅし、では行くぞ、マタビ君!スイッチを」
猫侍「ポチッとな!」ポチッ
ウゥゥウウウン
麗剣「おお・・・」
紅猫「始まったのね」
ウゥゥゥゥウン
猫侍「大丈夫か『勇者』~?」ベタァ~ [のぞく]
幸坊「気分悪くないか~?」ベタァ~ [のぞく]
索嬢「離れなさい!」グィ [引っ張る]
ウゥゥ~ン
勇者「(・・・・・・・・)」
麗剣「これで治ったら大したものだ、かなりの発明になる」
毛博「いやいや、こんなものはまだ発明とは言えんよ」
麗剣「何を言う!こんな治療機が実用化されれば革命が起こるだろう」
麗剣「軍人の私から見れば、城に数台あるだけで、効率は信じられないほど上がると確信する」
毛博「そうかね・・」
麗剣「この技術をどこかに売り込もうとは思わなかったのか?」
毛博「いいや」
プシュウゥゥウウ
猫侍「お!終わったみたいだな!」
カパッ [開く]
幸坊「どうだ『勇者』?治ったか!?」
勇者「ああ!すごい調子良くなった!どこも痛くないぞ!」シャキッ
オー!スゲェ!
ヨカッタナユウシャ!
ワイワイ
麗剣「なぜ?これほどの技術ならどこだって破格の待遇で受け入れてくれるはずだ」
麗剣「そうすれば、もっといい環境で研究ができるかもしれないんだぞ?」
毛博「・・うむ」スッ [片付け]
麗剣「わかっていて・・どうしてこんな辺境の村で?」
毛博「ん~、簡単に言えば、ここが私に合っているからかな」
麗剣「合ってる?」
毛博「うむ、ここの独特の空気、環境が、私に発明のアイデアをくれるんだ」ゴソゴソ
毛博「それは、どんな高級な道具や、豊富な資金でも手に入らないものなのだと思う」
毛博「エリートのお前さんには、わかりにくいことかもしれんかな」
麗剣「!」
毛博「これをやる」スッ [腕輪]
麗剣「?」
毛博「レインボーから聞いた、君たちは城から追われているんだってな」
毛博「これから危険な目にあうことも多いだろう、ほんのお守りのつもりで受け取ってくれ」
麗剣「・・・これは」
毛博「腕につけると怪我などが早く治るようになる、まあ、気休め程度だがな」
麗剣「そうか、ありがとう!」ニコッ
勇者「見てよリジム!治った!」
麗剣「そうか、ならばさっそく稽古をつけてやるか」
毛人「修行ならこの研究所の裏庭を使うといい、広くてなんでもできるだろう」
幸坊「俺たちも行って良いか?」
麗剣「もちろんだ」
猫侍「よぅし!俺も強くなって、あんなマッチョやろうをイチコロにできるくらいになってやる!」
幸坊「俺だって!お前だけには負けないぞ!」
--------------------オンボ村・研究所裏の広場--------------------
麗剣「よぉ~し、ではこの俺ジキジキの稽古をはじめる!」ドーン
勇者「はい!!」
幸坊「はい!!」
猫侍「はい!!」
索嬢「はりきってるわね~」
毛人「あの剣士は相当な実力者だったからな、どんな稽古か楽しみだ」
紅猫「あの、そういえばポチスケくんは?」
索嬢「ああ、あいつ・・村に来てから見ないわね・・・ま、どっかにいるでしょ」
麗剣「修行の前に、お前たちの実力を知っておきたい」
勇者「実力?」
麗剣「ツリスーとはそこそこ戦えてたらしいから、見込みはあると思うんだが・・」
幸坊「ん~まあ・・ほとんど戦ってたの『勇者』だけどな」
猫侍「あ、でも俺一撃当てたぜ、へへん」
勇者「どうするんだ?」
麗剣「まずは1人ずつ、私と手合わせしてもらう」
幸坊「え~!?手合わせって・・勝てるわけないだろ!」
麗剣「もちろん本気ではやらない、ルールを設けて実力を見てやる」スッ [棒]
ズズズズズ [線引き]
猫侍「?」
ズズズズ
ズッ
幸坊「なにしてんだ?」
麗剣「いま描いたこの円の中で、私と互いに素手で戦ってもらう、円から出たら負けだ」
麗剣「円から出るまでにどれだけ私の攻撃を受けきれるかが基準になる」
麗剣「もちろん、そちらから私に攻撃してもらってもいい、私が負けることもあるからな」
幸坊「・・な、なるほど」
麗剣「じゃあ早速はじめよう、誰からやる?」
猫侍「・・・・・」
幸坊「・・・・・」
麗剣「どうした?ガールフレンドの前で恥をかくのが怖いか?」
猫侍「・・!?」
幸坊「な、なんだと!!」
麗剣「ん?」
幸坊「よし!最初は俺からだ!行くぞぉ!!」バッ
勇者「ち、チビ」
索嬢「あらら・・無茶しちゃって」
猫侍「がんばれ~チビ!」
幸坊「・・・・」スッ [円]
麗剣「・・・・」スッ [円]
索嬢「だ、大丈夫かしら・・」
紅猫「まあ、手加減してくれるそうですから・・心配はないと思います」
麗剣「来いッ!!」
幸坊「やー!!」ダッ [跳ぶ]
麗剣「・・・!」サッ [避ける]
猫侍「あ!」
勇者「あ!」
幸坊「うわーー!!?」 [落ちる]
ガシッ [掴まれる]
幸坊「!?」
麗剣「そおれ!!」ブン [戻す]
幸坊「ウゲッ!」ドサッ
勇者「あ、戻された」
猫侍「あのまま落ちてたら終了だったな・・間抜けめ!」
索嬢「ああ・・もう・・」カァ
麗剣「いきなり突撃とは、思い切ってるな」ニヤ
幸坊「くそぉ・・!」
麗剣「こちらからも行くぞ!!」
幸坊「!!」
ガッ [打つ]
幸坊「う・・!?」
ドサァ [円外]
索嬢「!!」
紅猫「あ!」
猫侍「で、出ちまった・・あらら」
勇者「チビ・・」
麗剣「お前は一撃で終了だな」
索嬢「なにやってんのよ~!情けない!」
幸坊「く、くそぉ~!」ムクッ
トボトボ
勇者「ドンマイ、チビ」
幸坊「ありがとよ・・」
麗剣「次はどっちだ?」
勇者「どうするネコジロウ?」
猫侍「よぅし、俺が行こう」ヌゥ
幸坊「大丈夫か?」
猫侍「任せとけい、今ので奴の動きは見切ったぜ!」
紅猫「マタビくん・・」ドキドキ
索嬢「ネコスケ!無茶すんじゃないわよ!」
猫侍「べぇ~だ!お前の彼氏のようにはいかんよぉ~だ!」ベェ
猫侍「見ててねクリスちゃん!ちゃちゃ~んと決めてやるよ!」
紅猫「う、うん・・」
スッ [円]
猫侍「・・・・・」
麗剣「・・・・・」
麗剣「・・・来い!」
猫侍「とぅ!!」ダッ
麗剣「また突進か・・その手は・・」
麗剣「!」
猫侍「!!」バッ [後ろ]
幸坊「す、すげぇ!後ろに回った!!」
勇者「おお!」
猫侍「ていッ!!」シャ [蹴り]
麗剣「・・甘い!」
ガッ [打つ]
猫侍「いてぇッ!!」
ドサァ [円外]
紅猫「あ・・」
索嬢「あ~あ、結局ダメじゃない」
猫侍「うぬぅ~~・・なぜだぁ・・」
幸坊「はっはっは!お前も一撃だな!」
麗剣「確かに一撃だが、あの動きからするとチビ君よりは上かな」
猫侍「ま、マジですか~!ヤッホ~イ!」
幸坊「え~!」
麗剣「私の後ろに回ったのはなかなか良かった、失敗したにしてもな」
紅猫「ま、マタビ君!」パァ [喜]
索嬢「意外とやるのね、あのネコ・・」
猫侍「ふふふ、どうやら俺の方が一枚上手のようだな」
幸坊「ふん!すぐに追い越してやるさ!」
麗剣「では・・最後はお前だな、『勇者』」
勇者「・・よ、よぉし!」キリッ
猫侍「行けぇ『勇者』!」
幸坊「慎重にな!」
勇者「・・・・・」スッ [円]
索嬢「・・・・」
紅猫「・・・・」
毛人「・・・・」
麗剣「・・来い!!」
勇者「・・・・」
麗剣「・・ん?どうした、始まってるんだぞ?」
勇者「そっちから来い!」
麗剣「?」
猫侍「なにやってんだあいつ?」
索嬢「何か作戦でもあるのかしら・・」
麗剣「いいのか?そうすればお前は何もせずに負けるかもしれんぞ、実質ビリだ」
勇者「いいから、来い!」
麗剣「・・・仕方ないな」
麗剣「ハッ!!」ダッ [右手]
勇者「(今だ!)」
バッ [跳ぶ]
猫侍「おお!カウンターだ!」
幸坊「おおお!!」
勇者「ヤッ!!」 [蹴り]
麗剣「く・・!?」バッ [避ける]
幸坊「あ、避けられた・・!」
勇者「・・!」スタッ [着地]
麗剣「・・・!」バッ [振り返る]
麗剣「(居ない・・!?)」
勇者「こっちだ!!」バッ [後ろ]
麗剣「!!?」
幸坊「あ、あれ!さっきネコスケがやったやつだ!」
索嬢「いっけぇ!『勇者』!」
勇者「ヤァァアア!!!」
麗剣「ぬぐ!?」
バキィ [殴る]
勇者「うあッ!!?」
ドサァ [円外]
麗剣「(しまった!つい・・)」
猫侍「ああ・・ダメか」
紅猫「ゆ、『勇者』くん!」
幸坊「大丈夫か『勇者』!」
勇者「・・いででぇ~!!」 [鼻血]
幸坊「鼻血出てるぞ!拭け!」
紅猫「このハンカチ使って!」
麗剣「・・・・」
勇者「ううう・・くそぉ~・・!」フキフキ
猫侍「いやぁ、でもすごかったよお前、きっと一番だ」
幸坊「ああ!最初の不意打ちが効いてたな!」
勇者「へへへ・・そうかな・・いでで」
麗剣「(ネコ君の技を見てそのまま真似してしまうとは・・)」
麗剣「『勇者』」
勇者「?」
麗剣「いままでに武道を習ったことでもあるのか?」
勇者「い・・いや」
麗剣「だったら大したものだ、やはり『守護神』なだけはあるな」
猫侍「さすが『勇者』ってやつだな」
幸坊「そうだな『勇者』!ははは」
索嬢「やっぱ素質あるんだ『勇者』って」
麗剣「(・・・・)」
麗剣「なあお前たち、それに向こうの子達も」
索嬢「?」
紅猫「?」
麗剣「『勇者』、お前には名前が無いだろう?」
勇者「え?」
幸坊「あ~そういや・・そうだな」
猫侍「知らんうちに『勇者』で慣れてたけど、よく考えりゃあ変だな」
麗剣「『守護神』は仮にも神だからな、基本的に名前が与えられることはない」
索嬢「そうなんだ、初めて聞いたわ・・」
紅猫「わたしも・・」
幸坊「それってなんかさみしいな」
猫侍「まあ『ドチビ』なら無い方がマシだけどな」
幸坊「なんだと!素敵な名前じゃないか!」
勇者「・・・そういえば」
麗剣「うん?」
勇者「小さい頃に・・・・その・・」
勇者「う~~~~ん」
麗剣「どうした?」
勇者「たしか何か名前で呼ばれてた気がするんだけど、思い出せない・・」
幸坊「名前あんのかお前?」
麗剣「何だと・・?」
勇者「えっと・・んんん・・・」 [頭]
猫侍「頑張れ!すっごい大事なことだぞ!!」
麗剣「・・・」
勇者「・・・『タ』?」
麗剣「『タ』?」
勇者「ナントカ『タ』って呼ばれてた・・気がする」
猫侍「それだけ?」
幸坊「頑張って思い出せ!」
勇者「ごめん、『タ』しか思い出せない・・んん」
麗剣「『タ』・・か」
幸坊「ナントカ『タ』・・なんだろうな」
索嬢「名前はあったのね、意外だわ」
麗剣「とりあえず、これから『勇者』と呼ぶのはやめよう」
幸坊「どうして?」
麗剣「こいつは狙われてる身だ、『勇者』なんて呼んでは居場所を言いふらしてるようなもの」
麗剣「だから仮に、新しい呼び名、名前を考えようと思うんだが、どうだ?」
猫侍「なるほど」
索嬢「そうよね、一人だけ『勇者』ってのも変だしね」
紅猫「みんなで考えてあげましょう」
麗剣「どうする?何かいい名はあるか?」
幸坊「そうだ、俺たちの名前から一文字ずつ取るってのはどうだ?」
麗剣「ははは、いいじゃないか、考えてみろ」
猫侍「よぉし、俺が考えてやる・・・」
猫侍「むん!チビの『ビ』とマタビの『マ』をとって『タ』と合わせると・・・・」
幸坊「『マタビ』になるぞ」
猫侍「ダメ?」
幸坊「ダメに決まってんだろ!」
猫侍「ダメか、あはは」
紅猫「マタビ君・・」
索嬢「真剣に考えなさいよ!ねぇ『勇者』」
勇者「いやぁ、俺はなんでもいいよ、お前らが付けてくれるんなら」
索嬢「・・あんたねぇ、名前って大事なのよ?」
猫侍「じゃあなんか他にいいのあんのか?」
幸坊「うう~ん」
麗剣「決まらないか・・」
「『ゴシン』ってのはどう?『守護神』だし」
幸坊「ん?」
犬獣「オッス」ヌゥ
幸坊「ポチスケ!」
索嬢「ああ!あんたドコ行ってたの!?」
犬獣「ちょっとね」
猫侍「『ゴシン』か、田舎臭いけど、それでいんじゃないか?」
索嬢「ちょっと、勝手に決めちゃダメよ!本人の意見も聞かなきゃ!」
猫侍「いいよなぁ『勇者』?」
勇者「うん、いいと思うよ」
猫侍「ほぅら」ドヤッ
索嬢「え・・ほ、ホントにいいの?フラっと来た奴が何となく考えたのよ?」
麗剣「なるほど、では『ゴシン』にしよう」
猫侍「そういうことだな、お前は今日から『ゴシン』だ」
幸坊「『ゴシン』!よろしくな!よろしくっつっても、変な感じだけど・・」
麗剣「ふふふ、どうだ新しい名前をもらった気分は?」
勇者「うん、ありがとなみんな」
麗剣「名前も決まったし、早速修行の続きだ!!」
幸坊「おお!どうすんだ!?」
麗剣「あれを持ち上げてもらう」ピッ
猫侍「ん?」
ドーン [巨岩]
幸坊「え・・・」
麗剣「あの岩が持ち上げられるほどの腕力があれば、大分の基礎は出来たと言える」
麗剣「さあ、早速始めるんだ!」キッ
猫侍「ぐ・・」
幸坊「よ、よぅし!俺が一番でかいのを持ち上げてやるぜ!!」
猫侍「え!?」
索嬢「頑張ってーチビちゃん!」
幸坊「へへへ~」
猫侍「お、俺だって!俺だってやってやるー!!」
紅猫「頑張って・・!」
勇者「むむ・・」
麗剣「どうだ『勇者』、いやゴシン」
勇者「うん、やってみるよ!」
麗剣「ふふ・・」ニコ
勇者「いくぞぉおお!!」
幸坊「おおお!!」
猫侍「おおお!!」
--------------------荒野--------------------
毛旅「はあはあ・・・」スタスタスタ
毛旅「あ~、この分じゃ今日中に村には着けないかな」
毛旅「参ったな、今日届けるように頼まれたんだが・・」
毛旅「まあとりあえず飯にしよう、腹減って動け~~ん」スッ [弁当]
「おいそこのお前!!」
毛旅「!?」
盗賊「そこの荷物置いてとっとと消えな!死にたくなけりゃな!」ギラッ [剣]
毛旅「な、なんだお前らは!?」
盗賊「見りゃわかるだろ!盗賊様だ、へっへっへ」
盗賊「そういうこった、おとなしく俺達の言うことを聞くんだな」
毛旅「なんだと・・!」
盗賊「ごちゃごちゃ言わねぇでとっとと荷物をよこせ!!」
毛旅「ダメだ!これは人に頼まれたものなんだ、渡すわけには・・」
盗賊「そうか、じゃあ死んでもらうぜ!覚悟ぉ・・!!」
ダァァン [着地]
毛旅「!?」
盗賊「な、なんだぁ!?」
闘人「・・・・・・」
盗賊「・・お、落ちてきたのか?」
盗賊「おい!何の用だてめぇ!!」
闘人「ん?用?用ならある」
毛旅「(こいつは・・)」
盗賊「そうかい、だがあいにく俺たちは今仕事中なんだ」
盗賊「おうよ、テメェはあとで相手してやるよ、そこでおとなしくしてな、へへ」
毛旅「うう・・・」ビクビク
闘人「なるほど・・」
盗賊「わかったらじっとしてろ!いいな」
闘人「おいお前」
毛旅「ん?」
闘人「その箱みたいなのは、弁当か?」
毛旅「こ、これか?」
盗賊「おい!おとなしくしてろっつって・・」
闘人「そいつをよこせ、そしたらこいつらを片付けてやる」
毛旅「え・・?」
盗賊「ああん?今なんつった?」
盗賊「俺らを片付けるだってよ、ははは!!」
闘人「早くしろ、俺の気は変わりやすい、今がチャンスだぞ」
毛旅「・・・・」
盗賊「訳の分かんねぇこと言いやがって!テメェから片付けてやる!」ギラッ [剣]
盗賊「・・・!」ギラッ [剣]
毛旅「!」
闘人「おいどうするんだ」
盗賊「でぇあ!!」ギャ
闘人「・・・」サッ [避ける]
盗賊「こんにゃろ!」ビュ
サッ
盗賊「よ、避けやがった!」
盗賊「こいつ・・・すばしっこいヤツだぜ!」
闘人「おい、早く決めろ」
毛人「ああ・・」ビクビク
盗賊「このぉ!!」グワッ
サッ
ブンブン
シャ
サッ
盗賊「チクショウ!この・・・!!」
ブンブン
闘人「おい・・!」
毛旅「わ、わかった!これでいいんなら・・」スッ [弁当]
闘人「・・よ~し」ニヤ
盗賊「喰らえぇええ!!」バッ
闘人「・・・・!!!!!!」ギャァン [蹴り]
盗賊「え・・?」
ボテッ [腕]
毛旅「!!」
盗賊「うぎゃあああ!!!腕がああ!!」ズキィ
盗賊「ひぃ・・!!」
闘人「ふふふ・・!」ニヤ
盗賊「そんな、馬鹿な・・・」ゾッ
盗賊「アアア・・アアアア!!!!」ズキィ
闘人「・・・」ズィ [寄る]
盗賊「う!?」ビクッ
盗賊「わ、悪かった!許してくれ!!頼むから命だけは・・・!!」
闘人「ふん」クルッ [無視]
盗賊「はあ・・」ニコ
闘人「おい、そいつをよこせ」
毛旅「ああ・・」スッ [弁当]
盗賊「(・・・)」ニヤ [剣]
闘人「ついでと言っちゃあなんだが、このあたりに・・」
盗賊「死ねぇーー!!!!!」グワァ
ズン [手刀]
毛旅「あっ!!」
盗賊「・・・アァ・・」ガクッ
闘人「・・・」ズボッ [抜く]
グラッ
ドサッ
盗賊「・・・・・・・・・・」 [死]
闘人「バカが」
毛旅「・・ああ」ゾクッ
闘人「おい」パカッ [弁当]
毛旅「!」
闘人「このあたりに村はあるか」モグモグ
毛旅「む、村?このあたりだと、向こうの方にオンボ村がある・・が」
闘人「そこが一番近いのか?」モグモグ
毛旅「うむ・・私はそこへ向かっているのだ」
闘人「なるほど・・・」ポィ [箱]
カラァン
毛旅「ああ・・!」
闘人「ありがたく思えよ、こんなマズイ飯で二人もやってもらえたんだからな」
毛旅「・・!?」
闘人「じゃあな」ダッ
ダダッ
ビュゥゥン
毛旅「・・・・」
毛旅「あ・・あんな奴を、村に行かせて大丈夫だったんだろうか・・」
--------------------王城--------------------
側近「・・・・」スタスタ
側近「おい」
兵士「は!」
側近「陛下はどちらだ」
兵士「は!ご自身の居間におられるかと」
側近「そうか」スッ
--------------------王の居間の前--------------------
側近「陛下!ワタクシです、お話が・・」
「いま陛下には会えないわよ」
側近「?」
葡女「・・・・」
側近「貴様・・マスカット」
側近「どういうことだ、こちらにおられるのではないのか?」
葡女「いるけど?」
側近「ならばお会いせねば、話があるのだ」スッ
葡女「ダ~メ」スッ [邪魔]
側近「む・・なんだというのだ、なぜ邪魔をする」キッ
葡女「とにかく今は会っちゃダメなの、出直しなさい」
側近「(・・・・)」
葡女「うふふ・・」ニコ
側近「よかろう、ちょうど貴様にも話があったのだ・・・」
葡女「話?」
側近「知っているのだぞ、貴様が私の隙を見て、密かに王と会っていることを」
葡女「・・・」
側近「お前が来てからというもの、王の様子は変わってしまった・・」
側近「正直に話せ、何を企んでいる」
葡女「そうかしら、『勇者』のせいじゃないの?」
葡女「2ヶ月前に王様が暗殺されかけた事件・・『勇者』がその犯人なんでしょう?」
側近「・・うむ、確かに陛下本人は『勇者』と断言している」
葡女「ね?だから、あなた達は黙って犯人の『勇者』を捕まえてくればいいの、わかる?」
側近「しかし!王が犯人を断定したのは、貴様が来てからだ、マスカット!」
葡女「まぁたそういうことぉ~」
側近「戸惑う陛下に漬け込んで、貴様が何か吹き込んだのだろう!」
葡女「言いがかりはやめて、なんで私がそんなことをするの?私はただここで働きたいだけ」
葡女「知ってるでしょ?私には貧しい家族がいて・・・」
側近「そんなことはいい、答えろ!なぜ今王に会うことができない!」
葡女「・・・・・」
側近「答えろ!!!」
王「なんだ騒がしい」スッ
葡女「!」
側近「!」
王「お前ともあろうものが何をワメいている!しかも私の部屋の前で・・」
葡女「ふふ!なんでもないの、気にしないで」
王「そうか?マスカットちゃんがそう言うなら・・」
側近「(・・・・)」
側近「陛下」
王「なんだ」
側近「そろそろ、暗殺の件を世間に公表してもよろしいのでは?」
王「なんだと?」
側近「『勇者』のことです!奴が事件の犯人であることを公表するのです」
側近「真相を皆に伝え、改めて奴の捕獲命令をお出しになった方が・・」
王「それはならんと言ったはずだ」
側近「しかし!まともに理由も知らずでは、またリジムのように・・・!」
王「わしの命令に素直に従えぬような者は初めから必要ない!」
側近「な・・ですが!」
王「なんだ貴様、わしに楯突くつもりか?センケ!!」
側近「まさか!ただ、せめて任務の名目をお教えくださらぬと、兵士どもも戸惑うかと・・」
葡女「あなた馬鹿ねぇ」クスッ
側近「なに!」ギロッ
葡女「あなた達は王様の命令に従っていればいい、ただの兵士なの」
葡女「それに、王が『守護神』に殺されかけたなんて知れたら、いい恥さらしだわ」
葡女「あなたは王様に、恥をかけって言うの?」
側近「それは・・」
王「さすがマスカットちゃん、その通りだ」
王「わかったか?貴様らはとっとと犯人の『勇者』を捕まえて来ればいいのだ!!」
側近「陛下・・」
葡女「そゆこと」
側近「・・・・・」
王「なんだ、まだ文句があるのか?」
側近「陛下・・あなたは本当に事件の日、『勇者』の姿を見たのですか?」
王「?」
葡女「(・・・)」
王「何を言っている、すでに何度も言ったとおり、『勇者』がわしを殺しに来たのだ」
側近「しかし陛下は当初、犯人は分からぬと・・」
葡女「王様、部屋に戻りましょ」スッ
王「ん?ああ、そうだな」スッ
側近「ああ、陛下!」
葡女「しつこいわよ、王様は忙しいの、あなたのザレゴトに付き合ってる暇はないわ」
王「その通りだセンケ、貴様は少し神経質になりすぎだ、頭を冷やすといい」
側近「そんな!お待ちを・・!」バッ
バタン
側近「ああ・・」
側近「・・マスカットめ、一体何を・・・」
側近「やはりすぐに『勇者』を捕え、真相を確かめる必要があるな・・!」バッ
<<中断>>
毎度間を空けてごめんなさい、必ず魔王を倒すところまでは書きます。
>>297
好好
勇者ssもっと増えて欲しいな
Keep!
>>300
キープじゃなくて続き早よ!
迷わず書けよ書けば分かるさ
今日中に更新すると思います、ごめんなさい。
マダー?
待ってるぞー
--------------------数日後--------------------
勇者「むぉおおおおお!!!!」グググ [岩持ち]
幸坊「うぉぉおおお!!!!!」グググ
猫侍「にょぉぉおおお!!!!!」グググ
麗剣「あと30秒だ!落とすなよ!!耐えろ!!」
勇者「あ!!!」グラッ
ドズゥゥン [落とす]
麗剣「む!何をやってる!!」
勇者「ご、ごめん・・」
幸坊「あ!!」ドズゥン
猫侍「ぬわ!!」ズゥウン
麗剣「お前たちまで・・あともう少しだったのだぞ!!」
幸坊「だってすっげぇ重いんだもんこれ~・・」
猫侍「ふふ、でも落としたのは俺が最後だったな」
幸坊「何言ってんだ!岩が少し小さいだけだ!」
猫侍「そんなことない!俺の岩は一番でかいぞ!!」
麗剣「何を言ってる!この程度の岩、落とす方が間違っているのだ!」
麗剣「はっきり言って大きさは甘くしてあるんだからな、本来ならこれの倍・・いやもっとだ」
猫侍「ひぇええ・・・」
麗剣「強くなるには、もっともっと修行しなければならん」
麗剣「さあ!休んでる暇はない!体力が尽きるまで特訓だ!!」
幸坊「お、鬼教官だぜ・・」
勇者「はあ・・はあ・・・」ゼェ
--------------------夜・民家--------------------
麗剣「・・他人を鍛えるのも、案外こたえるものだな」クタッ
麗剣「(それにしても、この先どうするか、すぐにでも陛下にお会いしたいが・・)」
麗剣「ん?」
勇者「リジム」ヌッ
麗剣「どうした?寝ないのか?」
勇者「寝る前に、一回だけ試合して欲しいんだ、前にやったやつ」
麗剣「え?」
勇者「少しは強くなったと思うんだ、だから頼むよ!」
麗剣「だったら明日でもいいだろう?なぜこんな時間に・・」
勇者「今じゃなきゃダメなんだ!お願い!!」
麗剣「・・・・」
--------------------表--------------------
勇者「よいしょ・・!」ズズズ [線引き]
麗剣「・・・」
ズッ [円]
勇者「よし、できたぞ・・」
勇者「リジム!早く!」スッ
麗剣「うむ」スッ
勇者「・・・・・・」
麗剣「・・・・・・」
麗剣「来いッ!!!」
勇者「ヤッ!!」バッ
麗剣「・・・!」ガッ [防ぐ]
麗剣「フッ!」 [右手]
勇者「む・・!」サッ [避ける]
麗剣「・・!」シャ [蹴り]
勇者「う!」ガッ [防ぐ]
ガガッ
ガガガッ
麗剣「大分マシになったな・・・だが!」
勇者「!!」
バキィ
勇者「うわあ!!」ドサッ [円外]
麗剣「・・・ふう」スタッ
勇者「いで・・でで~・・」
麗剣「最初の頃よりは良くなったが、それでもまだまだだ」
麗剣「もっと基本的な修行をして、体力をつけてから・・」
勇者「も、もう一回!」ムクッ
麗剣「?」
勇者「ぃしょ・・!」ズズズ [線直し]
ズズズ [円]
麗剣「おい、一回だけだと・・」
勇者「お、お願い!これで最後だから!!」
麗剣「・・仕方ないな」
勇者「・・・うあ!!」ドサッ [円外]
麗剣「終わりだ」
勇者「もう・・もう一回!」ムクッ
麗剣「何・・?」
勇者「うむむ・・!」ズズズ [線引き]
麗剣「(・・・・)」
勇者「ウゲッ!!」ドサッ
麗剣「ハァ・・・終わりだ!」
勇者「う・・痛ぇ・・ううう・・」ボロッ
勇者「も、もう一回・・」ズッ [線引き]
麗剣「やめろ!」キッ
勇者「・・!」
麗剣「何度やっても同じだ!今のお前じゃこれ以上の戦いは無理だ!」
勇者「で、でもさっきよりはうまく戦えたんじゃ・・!」
麗剣「大して変わらん!しっかりと実力をつけるには、地道な修行しかない!」
勇者「でもやってればそのうち・・」
麗剣「馬鹿を言え!!修行をおろそかにしておいて強くなどなれるものか!!」
勇者「で、でも・・」
麗剣「『そのうち強くなれる』だと?そんな甘い考えでお前は修行をしていたのかッ!!!」
勇者「・・・・・」
麗剣「そんなではこの俺はおろか、あのツリスーにすら及ばん!!」
麗剣「ヤツでさえ、今の貴様らと同じ頃にはさらにツライ修行をしていたのだぞ!!」
勇者「・・・」
麗剣「・・確かに、子供であるお前に軍人の私が要求することは、簡単じゃないかもしれない」
麗剣「だが!かといって妥協などしていては、とても敵には通用しない!」
麗剣「はっきり言ってこれ以上やっても無駄だ!今日はもう休んで、明日の修行に備えろ!」
勇者「・・・・・」
麗剣「聞こえなかったかゴシン?今すぐ宿に戻って・・」
勇者「オサンが・・」
麗剣「ん?」
勇者「オサンがいなくなって、もう何日も経つんだ・・」
麗剣「!」
勇者「ツリスーってやつが言ってた、殺されててもおかしくないって」
勇者「だから早く城に行きたいけど、リジムはダメって言ったし・・」
麗剣「・・・・」
勇者「リジムは城の誰にも負けないくらい強いんでしょ?だからリジムより強くなれば一人で助けに行ける!」
麗剣「・・無茶だ、いくらなんでも一人でなんて」
勇者「だって、もうみんなに迷惑はかけたくないし、それに・・」
勇者「もたもたしてたら・・お、オサンが・・・死んじゃう・・・」グスッ
勇者「オサンが死んじゃったら、俺・・・もう、どうしていいかわかんない・・・」
勇者「そんなのヤダ・・うう・・絶対ヤダ・・!」
麗剣「ゴシン・・」
勇者「ううう・・ヒック・・」グスッ
勇者「だ、だからお願い・・もっと特訓しなきゃ・・!」ズズズ [線引き]
麗剣「・・・・」
勇者「うぅ・・うぐ・・」ズッ [円]
勇者「お願い、もう一回だけ・・!」グスッ
麗剣「・・わかった」
勇者「・・!」ニコ
麗剣「だがこれで本当に最後だ、いいな?」
勇者「う、うん!」
--------------------翌朝・民家--------------------
索嬢「ちょっと、ちょっとネコスケ!!」
猫侍「・・・zzzZZZ」
索嬢「こらっ!!」
猫侍「ん?にゃぁ~よく寝た」ググッ
索嬢「何がよく寝たよ!さっさと降りてきなさい、みんなもうご飯食べてるわよ!」
猫侍「あん?しょうがないなぁ・・」ムクッ
--------------------一階--------------------
猫侍「おっはようクリスちゃん」ヌゥ
紅猫「あ、マタビくん、おはよう!」
幸坊「やっとおきたかネボスケ」
猫侍「うるせぇ、俺はお前より修行したから疲れてるんだよ」
猫侍「お、うまそう!」パクッ
猫侍「ん~おいしい~、さすがクリスちゃんだな~~」モグモグ
索嬢「あら、それは私が作ったのよ?」
猫侍「なぁ~んだ・・まあお前にしてはまあまあのできだな~」モグモグ
索嬢「なによ!というかちゃんと座って食べなさい!!」
幸坊「朝からうるせぇなお前ら・・」モグモグ
猫侍「なぁチビ、あいつどこいったんだよ、ゴシン君は」
幸坊「ああ、そういや見ねぇけど、どこいったんだろう」
猫侍「とうとう兵士にさらわれちまったんじゃねぇのか?」
索嬢「縁起でもないこと言わないの!!」
猫侍「あ~ん!!ホントいちいちうるせぇなお前は!!」
索嬢「あんたが変なこと言うからでしょ!!」
紅猫「ふ、二人共、落ち着いて・・!」
幸坊「ほっとけよ」モグモグ
紅猫「でも・・」
麗剣「やあみんな、おはよう」スッ
幸坊「あ、いたのか!」
紅猫「おはようございます、将軍様」
索嬢「朝ごはん一緒にどう?」
麗剣「そうだな、ちょうどいい、是非頂こう」
幸坊「お前昨日どこ行ってたんだよ?」
麗剣「ん?」
猫侍「どうせ女でも作ってオトマリしたんだろうぜ」
麗剣「ば、バカもの!そんな余裕などあるものか!」カァ
紅猫「失礼よマタビ君・・」
索嬢「本当よ、最低!」
幸坊「そうだぞネコスケ、第一、この村には可愛い子なんていねぇんだぞ」
索嬢「チビちゃん!!」
猫侍「んなことより、勇者ちゃんどこいったかしらねぇか」
麗剣「あいつは修行で疲れて寝てる、昼くらいまでは寝かせてやってくれ」
猫侍「え?」
麗剣「お前たちはこの後休憩したら、すぐ稽古だ」モグモグ
猫侍「え~~~?」
幸坊「なんであいつだけ寝てんだよ!不公平だぜ!」
猫侍「そうだぜ、あいつが起きるまでゆっくりしようぜ?」
麗剣「何を言う・・・まったく甘いやつらだ、敵は待ってはくれんのだぞ」
麗剣「それを食い終わったら、すぐ着替えて研究所裏だ、いいな!」モグ
猫侍「あ~~い」
幸坊「あ~い・・」
麗剣「(この村にもあまり長くはいられまい、出来ることは全てやっておかねば・・)」
<<中断>>
更新がルーズで本当にすいません。
少しずつでも確実に完結させます、どうか許してください。
おつ
乙
落ちない様に気を付けてね
乙
落ちない様に気を付けてね
うむ
夜のうちに更新すると思います。
多分ランベルト無双です。
一体いつの夜なんだろう…
やめちまえ
やめないです
--------------------数日後・昼・村--------------------
毛品「ふっふ~~ん♪・・よいしょっと」ドサッ
「おいお前」
毛品「ん?」
闘人「オンボ村ってなぁここか?」ニヤ
毛品「ああ、そうだが・・・見ない成りだな、もしや、あの剣士さんたちの知り合いかな?」
闘人「剣士?」
毛品「ああ、子供を何人か連れて来たんだ、今は向こうの研究所近くに厄介になってるらしいが・・」
闘人「ほぅ・・・」
毛品「(・・・・)」
毛品「なあ、あんたどこから来た?」
闘人「ふっふっふ」
毛品「?」
闘人「知らないほうがいいぜ、じゃあな」バッ
毛品「ああ・・!待ちなさい!」
タタッ
タッ
--------------------研究所裏--------------------
索嬢「やめなさいよ二人共!」
幸坊「だから、この岩は俺が持ってきたっていってるだろ!」
猫侍「ちゃうわいちゃうわい!その証拠に、ここに俺の爪の跡が残ってるだろ!!」
幸坊「こんなの爪かどうかなんてわかるか!!」
猫侍「この岩とあとこの2つを合わせて、俺のは全部で3つ!お前のはあの2つだけだ!!」
幸坊「違う!これも俺のだ!イカサマすんなよな!!」
猫侍「なんだとぉ~!!」
索嬢「もう・・」
紅猫「ど、どうしたんですか?」ヒョコ
索嬢「ああ、居たの」
猫侍「あ!クリスちゃん!見てよこれ!俺の爪のあとだよね!?」
幸坊「違う!!ただの傷だ!なあクリス!」
紅猫「いや、あ、あの・・一体どういうことですか?」
索嬢「リジムさんに、自分が戻るまでになるべく大きな岩を集めてこいって課題が出たらしいんだけど・・」
幸坊「そうなんだ!そしたらこいつ、俺の持ってきた岩を自分のだとか言いやがるんだ!!」
猫侍「だってホントだもん!この爪の跡が証拠!!ほら!!」
紅猫「・・・」
索嬢「1位以外は罰があるらしいから、必死なのよ・・」
幸坊「どうせあとで付けたんだろ!!そうにきまってる!」
紅猫「・・『勇者』くんは?」
幸坊「あいつ・・まだ戻ってこねぇな、どこまで取りに行ったんだんだか」
猫侍「あいつはどうせ時間切れだ、つまり、この岩を運んだ俺様が一等賞ってわけだ!」
幸坊「だから俺のだっツってんだろ!!」
猫侍「うるせぇ!!黙って罰訓練受けやがれってんだ!」
ギャ~
ギャ~
索嬢「ああ・・もう・・・」
幸坊「ん?」チラッ
猫侍「あ?」
闘人「よう、いい天気だな~」ヌッ
猫侍「なんだ・・お前?」
闘人「いやいや、大した人間じゃない、それより、お前らここの村のやつじゃねぇな?」
紅猫「(・・・)」
索嬢「ええ、少し前からここに住ませてもらってるんだけど・・あなたは?」
闘人「(なるほど・・)」
闘人「俺はぁ~まあ、旅行みたいなもんだな」
索嬢「こんな村に?変わってるのね」
闘人「はっはっは!まあな、でも悪くない場所だろ」
索嬢「そうだけど・・・」
闘人「で、ちょっと訪ねたいことがあるんだが・・」
猫侍「なんだよ」
闘人「身なりのいい剣士を見なかったか?ひょっとしたらあんたらの知り合いかも知れんが」
猫侍「剣士って・・」
幸坊「リジムのことじゃねぇか?」
闘人「知ってんだな?」
幸坊「ああ」
索嬢「ええ、知ってるわ」
闘人「そ~かい・・」ニヤ
紅猫「(こ、この人!)」ゾッ
紅猫「バズレアさん・・!」ヒソ
索嬢「え?」
紅猫「この人、た、多分・・!」
索嬢「・・で、あなたはその人に用があるの?」プィ
紅猫「ば、バズレアさん・・!?」アセアセ
闘人「いやぁ用ってほどじゃないんだが・・ちょっとな」
索嬢「そう・・」
闘人「今どこにいるか知ってるか?」
索嬢「どこか出かけたそうなんだけど、ちょっとわからないわ」
闘人「ふぅ~ん・・・」
紅猫「あ、あの・・あの・・・!」
闘人「ちなみになにやってんだ?岩ばっか集めてよ」
猫侍「ん、あ!そうだった!」
幸坊「そうだそうだ、こいつが俺の岩を横取りしやがるんだ!」
闘人「・・・は?」
--------------------裏山--------------------
ガサガサッ
ガサササッ
勇者「これか!」ガサッ
勇者「んん~~・・」ペタペタ [岩]
勇者「だ、ダメだぁ!!チビのはもっとデカかった~~!!!」タタタタッ [走る]
勇者「くっそぉ~~!!どっかにでっかい岩ねぇのかーー!!!」
タタタタ
タタタタタタ
--------------------研究所裏--------------------
闘人「・・・・」
猫侍「じゃあこうしようぜ!?ジャンケンで勝った方にしよう!」
幸坊「ふざけんな!なんで俺の岩なのにそんなことしなきゃなんねぇんだ!」
猫侍「だからそれをジャンケンで決めようってんじゃねぇか、勝った方のもんだ!」
索嬢「・・・・」
紅猫「(ば、バズレアさん!)」
索嬢「クリス・・」
紅猫「(あの男の人、何か変ですよ・・!)」
索嬢「(わかってる・・)」
紅猫「(え?)」
索嬢「(あんな格好で旅行なんておかしいもの、それにリジムさんの事も知ってるし・・)」
紅猫「(じゃ、じゃあ!)」
索嬢「(リジムさんに言われてたの、きっといつかこの村にも追手は来るって)」
索嬢「(それが、今来ちゃった・・・みたい)」
紅猫「(マタビ君達に言ったほうが・・!)」
索嬢「(ダメ!敵とわかったら二人はおとなしくしてられないと思うから)」
索嬢「(それに・・・)」チラ
闘人「・・・・zzZZ」[眠る]
索嬢「(何となくわかるんだけど、あいつはとっても強い気がする、普通じゃない・・!)」
紅猫「(・・・・)」
索嬢「(私たちじゃ、勝目は無いわ・・きっと)」
索嬢「(だから、リジムさんが戻ってくるまで、知らんぷりしてやり過ごすしかないわ)」
紅猫「(でも『勇者』君が戻ってきたら・・顔を知られてるかも!)」
索嬢「(そ、そう・・だからリジムさんが早く来てくれないと・・・)」
猫侍「そんじゃあ、この岩は無しにしよう!」
幸坊「は?無し?」
猫侍「喧嘩になるからさ、ぶっ壊そうぜ」
幸坊「なんでだよ!」
「いたぞ!みんなこっちだ!!」ババッ
索嬢「!」
紅猫「!」
バババッ
ババッ
幸坊「なんだなんだ!?」
猫侍「?」
毛民「君たち!直ぐにその男から離れるんだ!そいつは危険人物だ!」バッ
幸坊「へ?危険人物?」
毛民「さ、早く!!」
猫侍「え・・?誰が?」
闘人「・・・・ん」パッ [起きる]
毛民「あの男で間違いないな?」
毛旅「あ、ああ・・・あの男だ!」
紅猫「(ば、バズレアさん!)」
索嬢「(・・・)」
闘人「なんだってんだ」キッ
毛民「おいお前!どういう目的で来たかは知らんが、すぐに出て行ってもらおう!」
闘人「ああ?なんでだ、俺はただの旅人だぜ?」
毛民「そのことについては、この者が知っているそうだ!」
毛旅「・・・」
闘人「・・てめぇは」
毛民「あいつがその殺し屋なんだな!?」
毛旅「ああ・・そうだ!」
闘人「・・・・」
猫侍「なんだなんだ?殺し屋!?」
幸坊「あいつが・・・」
幸坊「!」
幸坊「(まさか、追手か!?)」
闘人「おいおいやめてくれ、誰が殺し屋さんだって?失礼なこった」
毛民「とぼけても無駄だぞ!貴様が荷運びに乱暴を働いたということは、本人から聞いた!」
毛民「実際に殺しもしてみせたそうだな?どうなのだ!!」
闘人「・・・あ~」
毛旅「・・・」
毛民「お前のような奴は村にはふさわしくない、即刻ここを去るがいい!」
猫侍「おいおい、なんかすげぇことになってねぇか?」
幸坊「(ネコスケ!あいつは追手だ!俺たちを狙ってきた殺し屋だ!!)」
猫侍「え!?」
闘人「お前・・」ギロッ
毛旅「!」ドキッ
闘人「恩をアダで返すとは、いい度胸してやがんじゃねぇか、ええ?」
毛旅「・・・・・」
毛民「黙れ!言う事を聞かぬなら実力行使だ、覚悟しろ!!」
闘人「お前にそれができるとは思えねぇがな」
毛民「おぅい!!こっちだ!!!」
闘人「・・?」
ゾロッ
毛剛「・・・」パキポキ
毛武「・・・」キリッ
毛民「おお!あの二人が来たぞ!!」
毛民「覚悟しろ殺し屋め!我が村の用心棒が叩きのめしてくれる!!」
闘人「やめとけ、そういうのは・・・」
--------------------裏山--------------------
勇者「むぉぉう・・・むぉあ~~!!」ノソノソ [岩]
ノッソノッソ
ノソ
勇者「へ・・へへへ!この・・大きさなら・・・間違いなく一番・・だ・・!!」ノソノソ
勇者「ビックリするだろーな・・へへ・・・・うあ!!?」グラッ
勇者「っとと!あぶねぇ!!落として割ったら・・台無しだもんな・・」ノシッ
勇者「・・・は、早く行かないと・・リジム戻ってきちゃう・・うおお!!!」
ノッソ
ノッソノッソ
--------------------村--------------------
毛剛「・・・ぁ・・」ボロッ
毛武「う・・・」ボロッ
毛民「そ、そんな・・・!」
闘人「だから言ったろ、やめとけって」
毛民「お、おのれ!」
猫侍「つ、つええ、なんだ今の・・見えなかった・・」
幸坊「・・・」
索嬢「(チビちゃん!)」
幸坊「!」
幸坊「(バズレア!あいつは追手だ!)」
索嬢「(気づいてたのね!)」
幸坊「(あ、ああ・・だから、お前とクリスは村から出てろ!お前たちだけならなんとかなる!)」
索嬢「(え・・・?)」
幸坊「(おいネコスケ!)」
猫侍「チビ・・」
幸坊「(お前は山に行って『勇者』に伝えろ!そして一緒に逃げるんだ!!)」
猫侍「は?」
索嬢「(チビちゃんはどうするの!?)」
幸坊「(俺はなんとか誤魔化して時間を稼ぐから、みんなで逃げるんだ!)」
索嬢「(だ、ダメよ!見たでしょ!?あいつとんでもなく強いのよ!?)」
猫侍「(そうだぜ!てめぇなんかあっちゅう間にヒネリ潰される!)」
幸坊「(それしかないだろ!!『勇者』は守んなきゃいけねぇ・・!)」
幸坊「(それに、リジムが戻ってくれば何とかなるかもしれねぇ、それまで・・!)」
猫侍「(・・お前)」
紅猫「(あ、あの!)」
索嬢「クリス!」
猫侍「(クリスちゃん!こっちきちゃダメ!君はバズレアと一緒に逃げるんだ!)」
紅猫「(い、嫌です!私一人だけ逃げるなんて!協力します!)」
幸坊「(・・わかった、じゃあみんなは山に行って『勇者』を探してきてくれ)」
索嬢「(わかったわ!)」
紅猫「(はい!)」
猫侍「(オメェは?誤魔化すっつったってどうやるつもりだよ)」
幸坊「(お、俺は・・)」
幸坊「(俺はお前らとは違うんだ!勝てないまでも、時間稼ぎくらいは出来る!)」
猫侍「(無理だね、一発でオダブツだ)」
幸坊「(・・・)」
猫侍「(だから俺も手伝ってやる、ありがたく思え)」
索嬢「(・・あんた)」
猫侍「(大丈夫、やばい時はうまくこいつと逃げるからさ、心配ご無用~)」
紅猫「(マタビくん・・)」
猫侍「(クリスちゃん、君は『勇者』たちと無事に逃げるんだ、いいね)」
紅猫「(・・はい)」
索嬢「(行くわよ!)」スッ
紅猫「(・・・)」スッ
闘人「・・・」ギロッ
毛民「う・・!」ゾッ
闘人「失せやがれ、クソヤローども!!」
毛民「わあ・・ああああーー!!」ダダッ
毛民「殺されるーーー!!」ダダダッ
タタタッ
タタタタッ
闘人「ふん」
闘人「さて・・ん?」チラッ
幸坊「・・・・」
猫侍「・・・・」
闘人「ははは、見てたろ?とんだ人違いってもんだ、俺が殺し屋だなんて思うか?」
幸坊「・・・・」
闘人「まあいい・・・ところでぇ」スッ
闘人「おめぇら、『勇者』ってのをしらねぇか?ホントはそいつに会いてぇんだ」
猫侍「知らねぇ」
闘人「・・そんなはずねぇんだがなあ・・・オメェたちみてぇな奴らと一緒だと聞いた」
闘人「方向、タイミング、バッチリなんだ・・・知ってるだろ、なあ?」
猫侍「知らねぇっつってんだろ、ボケが」
闘人「・・・」
闘人「あの女どもはどこへ行った」
幸坊「さあな!」
猫侍「・・・・」
闘人「・・仕方ねぇな」
闘人「おとなしく居場所を吐けクソガキども、さもねぇと命はねぇぞ」キッ
幸坊「・・・・」
猫侍「・・・・」
闘人「聞こえなかったか?さっさと居場所を言え」
猫侍「知りたければ力ずくで聞き出してみるんだな!」ドン
幸坊「そういういことだ!」ドン
闘人「・・・賢くねぇガキだ」
--------------------裏山--------------------
索嬢「ハッ・・ハッ・・ハッ・・!!」タタタッ
索嬢「んもー・・!『勇者』のヤツ・・どこまで行ってんのよ!」タタタ
紅猫「も、もしかしたら・・入れ違いになったのかも・・!」タタ
索嬢「そんなはずないわ!まともな道は・・ここしかないんだから!」タタ
タタタ
--------------------村--------------------
猫侍「・・・げ」ボロ
闘人「さあ、いい加減吐いちまいな」
幸坊「うう・・やっぱ強ぇえ・・・」
ザッ
闘人「この手の仕事は何度もやったが、こういうパターンは結局どいつも同じ運命だ」
闘人「だったら長く苦しむ必要はない、そう思わねぇか?」
幸坊「だ、大丈夫かネコスケ・・・?」
猫侍「・・いや」
闘人「・・・・」
闘人「もういい、逃げた女どもに聞きに行くか・・」スッ
幸坊「!」
幸坊「ま、待て!行くな!!」
闘人「だったらオメェが教えてくれよ・・・チビ、だったか?」
幸坊「・・・・・」
闘人「・・ふん、やっぱり女に・・」スッ
スタスタ
猫侍「そ、『そっち』に行くな・・・!!」
幸坊「!」
闘人「・・・」ニヤ
幸坊「ば、バカ!!ネコスケ!!」
猫侍「え?」
闘人「いま、『そっち』っつったな?」
猫侍「あ!」
闘人「女どもはこっちにいるんだな、よぅし・・」スッ
スタスタ
幸坊「余計なこと言うんじゃねぇよ・・!」
猫侍「だ、だって~・・うぐぅ・・・」
闘人「・・ん?」
毛武「うむ・・く・・」スッ
闘人「・・なんだお前、起きちまったのか」
毛武「き・・貴様、この村を・・・どうするつもりだ・・!」ヨロッ
闘人「どうもしねぇよ、ちょっと仕事があるだけだ、ほっといてくれ」
毛武「このっ!!」バッ [襲う]
闘人「・・・」サッ
闘人「ふん」ドッ [蹴り]
毛武「が・・・ぁ・・」
ドサッ
闘人「おとなしくしてろ、雑魚めが」
闘人「!?」
ガツゥン [石]
闘人「う・・!!」ズキッ
闘人「・・な、なんだ!」ギロッ
幸坊「はぁ・・はぁ・・!」
闘人「てめぇか・・・」
幸坊「今だマタビ!!やっちまうぞ!!!」バッ
闘人「!?」
猫侍「てやぁぁあああッ!!!!」バッ
幸坊「うおぉぉぉおッ!!!」バッ
--------------------山--------------------
勇者「・・・・・・・」 [岩]
勇者「動けねぇ・・くそぅ・・・・!」モゾゾ
タタタ
索嬢「・・・ん?」
紅猫「あ!あれ!!」
モゾゾ [岩]
索嬢「いた!」ダッ
タタタタ
勇者「・・・?」
索嬢「あんたなにやってんのよ!!」
勇者「うげ・・助けて!岩が・・」モゾゾ [岩]
紅猫「どうしてこんなことに・・!?」
勇者「運んでたら・・途中で力尽きて・・・動けなくなっちまった」モゾ
索嬢「呆れた・・・でも結局は良かったのかも・・」
勇者「え・・?」
索嬢「何でもない!さ、どかすわよ!」スッ
紅猫「は、はい!!」
グググ
索嬢「ん~~・・!重すぎるわ・・!!」ググッ
紅猫「二人じゃとても無理ですよ!どうしましょう・!」
ガササッ [草]
紅猫「!」
索嬢「あ!きっとチビちゃんだわ!うまくアイツから逃げて来れたのね!」
勇者「アイツ・・?」
索嬢「ちょうど良かった、岩どかすの手伝って・・」
索嬢「!?」
闘人「よう」
索嬢「!」
紅猫「!」
闘人「お嬢ちゃんたち、こんなとこで何やってんだ?」
索嬢「あ、あんた・・なんでここに!?」
闘人「・・・・」
紅猫「そんな・・マタビ君たちは・・・」
闘人「おいおい、冗談でもあんなガキ共で俺がどうにかなると思うな」
闘人「ちょっとはやるようだったが、俺の相手にはなれなかったなようだな・・」
勇者「・・・!」
闘人「それよりてめぇら、『勇者』の居場所を吐け、知ってることはわかってる」
闘人「あの2人は結局最後まで言わなかったんでな、頼むぜ」
索嬢「チビちゃんたちは・・どうしたの!!」
闘人「どうしたって・・・わかるだろ、向かってきたんで、叩きのめした」
闘人「ま、生きてるかもわかんねぇがな」
索嬢「・・そんな」
紅猫「う・・・」
勇者「お、お前ぇ~!」モゾ [岩]
闘人「ん?なんだ・・?」キョロキョロ
勇者「こ、ここだぁ!!」グググ
闘人「?」
索嬢「だ、ダメよ!じっとして・・!!」
勇者「ぬりゃあ!!」グッ
闘人「!!」
ゴォウン [どかす]
闘人「・・・な・・」
勇者「・・・・」タッ
索嬢「ああ・・」
闘人「ガキが、もう一人・・」
勇者「俺が『勇者』だ!!お前、チビとマタビに何しやがった!!」
索嬢「!!」
紅猫「だ、ダメよ『勇者』くん・・この人は・・!!」
闘人「・・お前が、『勇者』なんだな?」ニヤァ
勇者「そうだ!!それより答えろ!!チビ達になにしたんだ」
闘人「やっと会えたぜ、これで仕事も終わる・・・ふふふ」グッ
勇者「おい!」
闘人「わかったわかった、教えてやる」
勇者「・・・」
闘人「2人とも殺しちゃあいねぇ、仕事外なんでな、安心しろ」
索嬢「・・よかった」
勇者「お前は何なんだ!筋肉野郎の仲間か!!」
闘人「筋肉野郎?」
勇者「ツリスー・・・とかいう奴だ!仲間だろ!!」
闘人「知らねぇよ、そもそも俺に仲間なんてものもいねぇ」
闘人「俺は依頼を受けてお前を殺すようあずかった、殺し屋さんだ」
闘人「悪いが観念しな、ガキだろうと一切容赦はしない、お前は苦しまずに・・」
闘人「ん?」
グォォオ [岩]
闘人「・・・!」スッ [構える]
バガァァン [粉砕]
索嬢「!」
紅猫「!」
パラパラ
パラ
闘人「・・・・」パララ
闘人「どうやら、おとなしくやられる気はなさそうだな」
勇者「お前なんかにやられてたまるか!返り討ちにしてやる!!」
闘人「そうかい」
闘人「(あの大きさの岩をあの速さで投げやがるとは、少しはやるかな・・)」
勇者「やぁあああ!!」バッ
闘人「・・・・」
バチィン [弾く]
勇者「ぶぇっ!!?」ドサッ
索嬢「ああ!『勇者』!!」
勇者「いて~・・・!」
闘人「・・やっぱ大したことねぇな」
勇者「くそぉ!!」バッ
ガシッ [掴まれる]
勇者「!?」
闘人「おら、どうした」ヒョィ
勇者「う・・うう・・!!」バタバタ
闘人「はぁ!!」ブン [投げる]
勇者「げッ!!!」ズドォン [岩]
闘人「・・・・」スタスタ [寄る]
勇者「うう・・ぐ・・」ヨロッ
闘人「しっかりしろ、仮にも『守護神』だろ?」
勇者「う・・」
闘人「おら!!」ゲシッ [蹴る]
勇者「ああっ!」ドサッ
紅猫「こ、殺されちゃいますよ!!バズレアさん!!」
索嬢「・・・!」
闘人「・・・・」キッ
勇者「う・・」
ヒュォオオ [崖]
闘人「苦しいだろ、そこの崖から飛び降りりゃあ楽になれるぜ」
勇者「!」
闘人「いくら依頼でも、流石にガキを直接殺すのは気が悪いからな」
闘人「そうしてくれりゃあ、俺も助かるぜ」
勇者「うぐ・・」ズズ
闘人「ん、まてよ・・この高さじゃバラバラになっちまうか」ヒュォォオ
闘人「死体が無ぇと意味ねぇからな、ダメか・・・」
闘人「・・ん」ヒュォオ
グツグツ [沼]
闘人「おお、ちょうどいい具合にクッションがあるじゃねぇか」
闘人「あそこの沼に落としゃあいいな、よし」
ガシッ
勇者「・・!?」
索嬢「!!」
紅猫「!!」
スタスタスタ
ヒュォォオオ [崖]
闘人「ふふふ、おとなしくしてろよ、うまく沼に落ちねぇとバラバラだからな」
勇者「う!?は、放せ!!」バタバタ
ドッ [蹴り]
勇者「・・あ」ガクッ [気絶]
闘人「おとなしくしろっつってんだろうが・・」
索嬢「や、やめて!!お願い!!」
闘人「悪ぃな、こっちも仕事なんだ」
索嬢「だ・・誰よ!誰に頼まれたのよ!!」
闘人「言えねぇな」
索嬢「報酬は!?いくらで頼まれたの!!それ以上のお金をあげるから、だから!!」
闘人「ほう?いくらだすつもりだ」
索嬢「いくらでも!!だから・・!!」
闘人「ふふ、悪いがあんたみたいな人間にはとても払えねぇ額だ」
索嬢「・・!」
闘人「そういうことだ・・・」スッ
闘人「『勇者』、恨むなら自分の運命を恨めよ」ヒュォォオ
索嬢「やめて!!やめてぇ!!!」
闘人「ん?」チラッ
紅猫「あ・・あそこ!」
幸坊「・・・ぐ・・」スッ
闘人「おまえ・・」
索嬢「チビちゃん!!!」ヒグッ [泣]
幸坊「お前ら・・ごめんな」
紅猫「チビさん、マタビくんは!?」
幸坊「あいつは大丈夫だ・・」
闘人「・・・・」 [勇者]
幸坊「お、おい!『勇者』を放せよ!!!」
闘人「勘弁してくれ・・いい加減あきらめろよな」
闘人「オメェらじゃあ俺を止めることなんてできねぇんだ、わかっただろ」
幸坊「で、できる!やってやる!」
闘人「帰んな、お友達が崖から落とされるとこなんざ見たら、一生の思い出になっちまうぜ」
幸坊「く・・!」
索嬢「チビちゃん・・やめて・・うう・・・」 [泣]
紅猫「バズレアさん・・」
幸坊「うぉおお!!」バッ
闘人「・・・」ドサッ [勇者を降ろす]
幸坊「でやぁ!!」ブン [パンチ]
ガァン
闘人「・・・・」 [不動]
幸坊「おらおらおらあーー!!」
ダダダッ
ガガッ
闘人「・・・・」ガガガ [不動]
幸坊「うぉお!!!」
ガシッ [掴まれる]
幸坊「!?」
闘人「・・・」ブン [投げ降ろす]
ビタァアン [地面]
索嬢「チビちゃあん!!」
幸坊「・・ぐう・・・・」ズズ
闘人「立つな!いい加減理解しろ、どうしようもねぇってことを」
幸坊「う・・・『勇者』・・」
勇者「・・・・・・・」 [気絶]
闘人「まあ同情はするぜ、いきなり俺みたいなのに狙われるなんてなぁ理不尽だからな」
闘人「だが、お前がここで無駄死にする必要はないんだぜ」
幸坊「なんだと・・!」
闘人「生きて、修行でもして鍛えて・・将来、カタキである俺を殺そうってんなら結構だ」
闘人「そんときは受けて立つぜ、ははは」ニヤ
幸坊「うるせぇ!!!」グワッ
闘人「・・!」
ドカァン
紅猫「!」
幸坊「・・ぅあ・・」ピクピク
闘人「おんなじ事の繰り返しだ、いい加減イラつくぜ・・ったく」
ゲシッ [蹴る]
幸坊「・・!?」
バキッ
幸坊「うぇ・・!!」ドサッ
闘人「どうだ、まだやる気か!!」
ガガッ
ドガッ
紅猫「ああ・・あああ・・」ゾクッ
索嬢「・・・・・」
ドサッ
幸坊「・・・っ・・」ボロッ
索嬢「ち・・チビちゃん・・・」
勇者「・・・・・・・・・」 [気絶]
索嬢「・・『勇者』・・・・うう!」
紅猫「・・バズレアさん?」
幸坊「く、くっそおおお・・!!ゲホッゲホッ!!」
闘人「しぶてぇ野郎だ・・!」
幸坊「まだまだぁ!!」
闘人「クソガキめが・・・いい加減にしやがれ!!!」
索嬢「いい加減にするのはあんたの方よ!!!!」
闘人「・・?」
索嬢「なによ!!!あたしたちが何したっていうの!!?」
索嬢「何であたしたちがこんなめに遭わなきゃいけないの!?どうしてよ!!!」
闘人「知るかよ、なんか憎まれるようなことでもしたんじゃねぇのか?」
索嬢「してないわ・・!どうせ城の人間に頼まれたんでしょ・・・そうなんでしょ!!!」
闘人「・・・・」
索嬢「なによ・・みんな揃って怖い顔で襲ってきて・・!!」
闘人「だから俺は仕事で・・」
索嬢「・・お前なんか・・・」スッ [木片]
闘人「・・・!」
索嬢「お前なんか・・!!あたしがぶっ飛ばしてやる!!!」グッ [構える]
幸坊「ば、バズレア・・!」
紅猫「やめてください!!危ないですよ!!」
闘人「そうだ、やめとけ、いまさら・・・」
索嬢「うあぁああ!!!」ブンッ
闘人「ふん」バギッ [折る]
索嬢「きゃあ!!」
ドサッ [転倒]
幸坊「バズレア!!」
索嬢「ああ・・」[木片]
闘人「次は代わりに腕を折るぜ、失せな」
索嬢「何よ・・腕の一本くらい!」
闘人「・・おい」
索嬢「このっ!」バシッ [打つ]
闘人「・・・・」 [不動]
索嬢「このこのっ!!」バシシッ
闘人「テメェも・・・・」バシシッ
索嬢「この野郎!!このっ!!」バシシッ
闘人「テメェも痛い目にあいてぇかァッ!!!!!」グワッ
索嬢「・・!?」ビクッ
幸坊「マタビ!!今だァーーー!!!!」
闘人「?」
索嬢「!?」
猫侍「とぉぉおーーーうっ!!!」バッ
紅猫「マタビくん!!?」
闘人「・・!?」
ドカァン [タックル]
闘人「うっ・・・!!」グラッ
猫侍「ぐ・・!?」グラッ
[崖]
幸坊「ま、まずい!!マタビも落ちる・・!!」
索嬢「ね、ネコスケ!!!」バッ [手]
猫侍「う・・!?」スッ [手]
スカッ [届かない]
紅猫「あ・・・!!!」
幸坊「あ・・・!!!」
索嬢「あ・・・!!!」
闘人「嘘だろ・・!!?」
猫侍「・・!!」
フッ [崖]
闘人「うわああぁぁあああああああ!!!!!」ヒュゥゥウウ [落ちる]
猫侍「うわああぁぁああああああああ!!!!」ヒュゥゥゥウウ [落ちる]
ヒュゥゥウウ
ヒュゥゥゥゥウウウ
紅猫「マタビくんッ!!!?」ダッ
タタタッ
紅猫「・・・!」バッ [崖]
ヒュォォオオ
紅猫「・・マタビ・・・くん・・・・」
幸坊「ち、ちくしょう・・マタビ・・・・」
索嬢「そ・・そんな・・・」ヘナッ
ペタン
索嬢「うそよ・・ネコスケ・・・」
幸坊「・・く・・くっそーー!!!」ガン
紅猫「う・・うう・・・」 [泣]
索嬢「あたしのせいだわ・・あたしがもっと手を伸ばしてれば・・・」
幸坊「・・・」
索嬢「でも・・どうしてマタビが・・?」
幸坊「・・俺とマタビはあいつにやられたあと、起きてあいつを追ってきたんだ」
幸坊「そしたら『勇者』が落とされそうになってて・・」
ヒュォォォオ
幸坊「そこで作戦を立てたんだ・・スキを見てあの野郎を突き落としちまおうって」
幸坊「あいつは、自分が突き落とすって言って、俺がおとりになって・・・」
紅猫「・・・」
索嬢「・・あいつ、臆病なくせに・・無理して・・・うう」
幸坊「ごめんなクリス・・俺のせいだ・・もっと違う方法があったかもしれないのに・・」
紅猫「いえ・・マタビくんが、自分でやるといったのなら、構いません・・」
幸坊「クリス・・」
幸坊「!」
オオ~
幸坊「ま、マタビの声だ!!!」バッ
紅猫「!」
バッ [崖]
幸坊「あ!!」
猫侍「た、助けて~~!!」ググ [掴まる]
索嬢「見て!!あそこに引っかかってるわ!!」
紅猫「マタビ君!今助けるわ!!まってて!」
猫侍「はぁ~~!!」ドサ
猫侍「マジで死ぬかと思ったぜ、よかったよかった」
索嬢「よかったよかったじゃないわよ!!無茶なことして、死んでたかもしれないのよ!?」
猫侍「うるせぇな、どのみちあーしなきゃアイツはやれなかったろ?結果オーライさ」
幸坊「・・・マタビ」
猫侍「ん?」
紅猫「・・・」グスッ
猫侍「あ・・クリスちゃん・・・」
紅猫「・・・・」グスッ
猫侍「あはは、ごめんごめん、心配かけちゃって、もうしないから」
紅猫「・・うん」
猫侍「んも~!そんな顔しないでよ!笑って笑って!ほら!俺は全然大丈夫!!」
幸坊「ったく、調子のいいやつだ」
猫侍「ああん?お前の作戦だったろうが!」
索嬢「・・アイツは、落ちたの?」
猫侍「ん?ああ、たぶんな、アイツは大人だから俺みたいに引っかかってはいないと思う」
猫侍「あれだけの野郎も、こっから落ちたんだ、流石にくたばっただろうぜ」
猫侍「それより、そいつ・・」
勇者「・・・・・・・・」
幸坊「ああ・・完全に気を失ってるからな・・・」
索嬢「どうする?戻る?」
紅猫「追っ手はあの人だけでしょうか?まだいるのかも・・」
幸坊「そ、そうだな・・今のところあいつしか出てねぇが、また何かくるかもしれねぇ」
猫侍「・・はあ、とんでもねぇことになったな」
--------------------村--------------------
ブロロロロ [車]
ブロロ [車]
毛民「・・ん?」 [運転]
麗剣「どうした?」
毛民「村の様子がおかしい・・!」
「おい!お前たち!」
毛民「!」
毛品「に、逃げろ!殺し屋だ!!殺し屋が村を襲ってきたんだ!!」
麗剣「な、なに!?」
毛品「村の用心棒もやられて、みんな逃げることにしたんだ・・・!」
毛民「そんな!!」
麗剣「なんという・・・!」
麗剣「(追っ手か!!?)」
毛品「ん?」
麗剣「クソッ!!」バッ [降りる]
毛民「ああ!おい・・!」
タタタタタ
--------------------研究所裏--------------------
麗剣「・・・ハァ・・ハァ!!」
「リジム!」
麗剣「!」バッ
紅猫「リジムさん!!」
幸坊「・・!!」
麗剣「お前たち・・その傷・・!?」
麗剣「・・そうか、そんな奴が」
猫侍「すっげ~だろ!俺たちだけで守りきったんだぜ!?」
幸坊「おい!喜んでる場合じゃないだろ!死にかけたんだ!」
麗剣「・・いや、よくやった、修行の成果かもな」
麗剣「だが本当にすまなかった、私がいれば、こんなことには・・」
索嬢「いや、あんな奴ならリジムさんでもかなわないかも・・」
麗剣「そんなにとんでもないやつだったのか?」
幸坊「とんでもないなんてもんじゃないよ!バケモンだ!」
麗剣「(・・・)」
猫侍「んで、お前はどこ行ってたんだ?」
麗剣「俺は北東の街へ行ってた」
猫侍「街?」
麗剣「ああ、次の隠れ家を探しににな」
幸坊「隠れ家か・・いいとこあったのか?」
麗剣「ああ、街の隅の方にある小さな家を借りておいた、そこならしばらく身を隠せる」
麗剣「次の追っ手のこともあるから、お前たちはすぐにレインボーのマシンで街へ行け」
猫侍「お前は?」
麗剣「私は・・ここに残る」
索嬢「え!?ど、どうして!?追手が来るんでしょ!?」
麗剣「ああ」
麗剣「また追っ手が来た場合、この村をくまなくさがすだろう」
麗剣「そうなればまた村人に迷惑がかかる、ほとんど逃げたみたいだが村は村だ」
麗剣「世話になった恩もあるし、奴らが来たら追い払うなり説得するなりやってみるつもりだ」
猫侍「そ、それって危ないじゃねぇのか?強い奴がいっぱい来たらどうするんだよ」
紅猫「そうですよ!いくらなんでもお一人で残るなんて・・」
麗剣「こうするのが一番なんだ、それにお前たちはもう俺とは居ない方がいい」
麗剣「さっきの奴は俺を目印にしてやって来たみたいだし、別行動ということにする」
猫侍「別行動って!お前はオトリじゃねぇか!」
麗剣「・・いいんだ、捕まったら捕まったで、王に会えるかもしれない」
麗剣「はっきり言ってこのまま逃げても無駄だ、いずれみんな捕まる・・・」
麗剣「だから俺が直接王に会って、あの人の間違いを正さねばならん・・家臣としてもな」
猫侍「うう~・・」[悩]
索嬢「王に会うって・・すぐ殺されちゃうかもよ?だって・・あなたは反逆者なんでしょ?」
麗剣「・・かもな」
索嬢「かもなって・・!」
麗剣「いいんだ、俺は軍人なんだ、常に自分以外のもののために命をかけてきた」
麗剣「お前たちを・・国を救うことができるかもしれないなら、俺は喜んで残るさ」
猫侍「・・・リジム」
索嬢「・・・」
--------------------山・崖の下--------------------
ガサッ
パキキッ
ガサササ
闘人「・・ハァッ!!!!」バッ
闘人「くそ・・あのガキどもめが、よくもこんな・・」
闘人「・・・」[見上げる]
ヒュォォオ [崖]
闘人「待っていやがれよ!!!」バッ
--------------------村--------------------
ダッ
闘人「どこだァ!!」
闘人「・・・・」
ダッ [跳ぶ]
タタンッ
タンッ
スタッ [展望台]
闘人「・・・・・くそ・・・」 [眺める]
闘人「(村からは出てるはずだ、中にいてやり過ごせるとは考えまい)」
闘人「(グタった『勇者』と一緒だから、そう遠くへは・・・)」キョロキョロ
キョロキョロ
キョロ
闘人「(いねぇな・・・まさかまだ村にいんのか?)」タッ [降りる]
ダンッ [着地]
闘人「・・!」
麗剣「貴様か、追っ手は」
闘人「お前・・・」
闘人「!」
闘人「そうか、あんたが裏切りの将軍さんだな?」
麗剣「・・・・」
闘人「なぜいままで姿を隠していた?もしくは『勇者』たちと一緒じゃなかったのか?」
麗剣「一緒だったさ、だがしばらく別の場所にいて、今しがたもどってきたのだ」
闘人「なるほど・・で?」スッ [立つ]
麗剣「?」
闘人「『勇者』はどこに隠した」
麗剣「隠した?」
闘人「ああ、まだ村にいるはずだ」
麗剣「・・・」
>>365
闘人の6つ目のセリフ中の「もしくは」は不要なので、無視してください。
闘人「さっさと出せ、命が惜しかったらな」
麗剣「悪いがこの村にはもういない、あきらめろ」
闘人「ふふ・・そんなはずはない」
麗剣「なぜだ」
闘人「さっき上に登って村の周辺をクマなく見渡した」
闘人「どれだけ急いだとしても、俺が見える範囲にいるはずだからな」
闘人「だがそれらしき人影はなかったんでね、少なくとも近くで隠れてることは確かだ」
麗剣「そうか・・」
闘人「(?)」
闘人「そういうことだ、だから居場所を・・・」
麗剣「言ったはずだ、村には居ない」
闘人「!」
麗剣「居たところで絶対に場所は教えんし、今奴らが向かっている場所も言えない」
闘人「・・・」
麗剣「探したくば好きなだけ村を探すといい、ただしむやみに破壊はするなよ」
闘人「・・・そうかい」バッ
闘人「・・・!」バッ
闘人「・・・」
闘人「ちぃ・・・・」キョロキョロ
闘人「・・・・」バッ
麗剣「・・もういいのか?」ニヤ
闘人「てめぇ・・!どこに隠しやがった!!」
麗剣「だからここにはいないと言ってるだろう」
闘人「く・・・」
闘人「(探してるスキに逃がすかとも思ったが、そんな様子もなかった)」
闘人「(・・ということは、ホントにもう・・・・)」
闘人「おのれ、どうやって・・!」
麗剣「この村には特別なマシンがあってな、人の足より数段速く移動できるのだ」
麗剣「それで『勇者』たちをほかの場所へやった」
闘人「マシンだと・・・?デタラメいいやがって!」
闘人「俺がここに来る途中で会った荷運びは、原始人みてぇな荷車を使ってたんだぜ」
闘人「この村にそんなマシンは無ぇはずだ!」
麗剣「あいにくあるんだ、お前も知ってるだろうがこの村には科学研究所がある」
麗剣「そのマシンはそこの博士の発明品で、俺たちが特別に借りたんだ」
闘人「(・・・・)」
闘人「(嘘を言ってるようには見えねえ・・)」
闘人「チッ!!」バッ
麗剣「?」
闘人「覚えておけ、次はこうはいかんからな・・・!!」
ババッ
バッ
麗剣「・・・・」
麗剣「よし、もう大丈夫だ、でてこい」
モソソッ
猫侍「ぷはぁ~~・・」モソッ
幸坊「助かった~・・」
索嬢「あ~~苦しかったぁ・・」
麗剣「灯台下暗し、案外うまくいったな」
紅猫「それにしても、よくわかりましたね、あの人が生きてるって・・」
麗剣「やつの特徴を聞いて、ランベルトだってのはわかったんでな」
麗剣「奴なら崖から落ちたくらいじゃ死なんと踏んだんだ、予想どうりやってきたな」
猫侍「まさかホントに生きてやがるとは・・信じらんねえ」
麗剣「さ、このスキに早く移動しろ、また何か来るかもしれん」
猫侍「・・・なあ、お前ホントに残るのか?」
麗剣「何度も言わせるな、そのほうがお前たちのためでもある、さっさといけ」
紅猫「・・・」
猫侍「おう・・」
--------------------王城--------------------
慢義「うぉああああ!!!」ダダダダ [走る]
兵士「まてーーー!!」ダダダ
兵士「まてーーー!!」ダダダ
兵士「まてーーー!!」ダダダ
慢義「待てと言われて待つバカがいるかコノヤロウ!!!」
慢義「ん・・!?」ガッ [つまずく]
慢義「いでぇぇーーー!!!!」ドサァーーー
--------------------牢屋--------------------
兵士「おとなしくしてろっ!!!」ドン [蹴り入れる]
慢義「うグッ・・!!」ドサッ
ガラララ [扉]
ガシャン [閉める]
野夫「おかえりトヤー」
頭立「おかえりなさいませ!」
立連「おかえりなさいませ!」
立連「おかえりなさいませ!」
慢義「くっそぅ・・惜しかったな~~!!」
野夫「何言ってんだ、何回目の『惜しかった』だよ」
慢義「今回はほんとに惜しかったんだ!もうすぐで窓のところに・・」
野夫「はん、どうせつまずきでもしちまったんだろうよ」
慢義「・・・」ギクッ
頭立「え、そうなんですか?」
立連「だっせぇ・・」
立連「たしかに、だっせぇ・・」
慢義「うるさい!!逃げようとすらせん貴様らよりは数段マシだ!!」
野夫「マシって、どうせ捕まるんだぜ?無駄無駄」
慢義「根性無しめ・・!そんなにここにいたいのか貴様ら!」
頭立「そりゃ嫌ですよ、こんな狭い部屋でおっさん2人と一緒なんて・・」
立連「そうそう」
慢義「おっさんて言うな!!わしはまだピチピチだ!!」
立連「ワシって言ってるし・・」
慢義「ごちゃごちゃと・・のんきなやつらだ!いつ殺されてもおかしくないんだぞ!?」
慢義「ワシは、こんなところで終わるわけにはいかんのだ!」
野夫「んなこと言ったってどうしようもねぇんだ、助けを待つしかねぇよ」
慢義「助け?この状況で誰が来るというのだ!!」
野夫「きっと正義感の強い兵士が王様を説得して、ちゃらにしてくれるって~」
慢義「バカモン!!貴様、ブタ箱にいたせいで頭もブタ並になったようだな!」
野夫「なんで?」
慢義「助けなど来るものか・・・!今や城の全体が狂ってるのだ・・誰も来ん!」
頭立「・・・」
立連「リーダー・・」
頭立「ん?」
立連「俺たち、このまま終わりなのかなぁ・・・?」
頭立「・・・」
立連「これってきっと、いままでマタビをいじめてた罰なんじゃないですかね?」
頭立「な、何言ってんだお前!!んなわけねぇだろ!」
立連「でも!このまま死んじまったら俺たち悪人のままですよ!きっと地獄行きですって・・」
立連「ああ、せめて最後にあやまりたかったなぁ・・」
頭立「おい!おい!目を覚ませ!おかしいぞお前ら!!」
立連「リーダーは悪いと思わないんですか?」
頭立「思うもなにも、俺はリーダーだ!俺が間違ったことをするわけない!」
立連「・・そうっすか」
頭立「ふん・・」
--------------------王の間--------------------
兵士「・・以上のとおり、トヤーを再び牢へ閉じ込めました」
王「そんなことはどうでもよい!『勇者』はどうしたのだ!一向に報告がないぞ!」
兵士「そ、それは・・」
葡女「しかたないわよ、あのリジム将軍がいるんですもの、簡単にはいかないわ」
王「くぅ・・リジムめ、覚えておれよ!貴様もただでは済まさんからな・・!」
王「下がれ!」
兵士「はっ!」バッ
スタスタ
王「・・それで、例の『殺し屋』どもは何をやっておる、姿を見せんが」
葡女「彼らも捜索中みたいよ、思ったより使えないわね」
王「まったくだ・・・高い口止め料をもらっておいて、不誠実なやつらだ」
葡女「不誠実ねぇ・・彼らのような人間に誠実もなにもないわよ、お金が全てなんだから」
王「それもそうだな、やれやれ・・」
葡女「じゃあ、わたしは戻るわね」
王「うむ、ではよろしくな」
葡女「はぁ~い!」スッ
--------------------部屋の外--------------------
バタン
葡女「・・・・」
葡女「ちょっとあなた」
兵士「はっ」
葡女「センケはどこにいるの?側近のくせに姿が見えないけど」
兵士「・・それが、少し前から我々も連絡が取れない状況なんです」
葡女「どういうこと?」
兵士「突然姿を消されてしまい、特に言付もなく・・」
葡女「・・・そう」
兵士「あのお方のことですから、長く城を空けるようなことはないと思いますので、近いうちには・・」
葡女「わかったわ、ありがとう」
スッ
葡女「(・・・あいつ、なんのつもりかしら)」
--------------------城の近く--------------------
赤剣「ったく、城の野郎どもめ、仕事の依頼だけしておいてろくに情報もよこしゃしねぇ」
赤剣「大御所ならまだしも、どこにいるかもわからねぇガキ一人見つけるってなぁ大変なもんだな」
赤剣「・・こんな調子じゃあのジョーシュとランベルトに先を越されちまう!」
赤剣「あ~・・早く誰か斬りてぇぜ」
「おい」
赤剣「!?」バッ
赤剣「誰だっ!」
狙師「おれだよ、ジョーシュ様だ」
赤剣「てめーか・・なんだよ、俺に殺されたいのか?」
狙師「まあまあそういうな、いい話を持ってきたんだ」
赤剣「・・いい話?」
狙師「そうだ、同業者としてビジネスといこうってこった」
赤剣「はは、お前とビジネス?信用もしてねぇのに?」
狙師「信用はできるさ」
赤剣「・・?」
狙師「よく考えろ、城は俺たち二人の他にあのランベルトも抱え込んでやがる」
狙師「情けねぇ話だがまともに競ってもランベルトには勝てねぇ、実力的にもな」
赤剣「・・・」
狙師「そこでだ」ニヤ
狙師「俺とお前で協力しちまおうって話を、持ってきた」
赤剣「はぁ?」
狙師「俺の予想じゃ、ランベルトの野郎なら城の連中より先に『勇者』にたどり着くはず」
狙師「そこで、奴が『勇者』と接触したタイミングで『勇者』と、そして・・・」
狙師「ランベルトの野郎を、ぶっ殺す!」
赤剣「・・な!?」
狙師「お前もわかってる通り奴は俺たちにとって大きな商売敵だ」
狙師「だからこの際に『勇者』もろとも消しちまおうって作戦だ・・・な?いいだろ?」
赤剣「・・まあ、たしかにうまくいきゃあおいしいもんだが」
狙師「だろう?俺もお前も、あのランベルトは鬱陶しい、今後のことを考えてもな」
狙師「それが、互いの信用につながるってわけだ」
赤剣「・・で?分け前は」
狙師「そうだな、城からの手柄はお前が受け取って、その半分を後で俺に渡す・・どうだ?」
赤剣「ふふふ、気色悪いくらい俺に気を使うんだな、貴様らしくない」
狙師「俺だって嫌なんだぜ?だが、ランベルトを消すにはお前の力が必要だ」
赤剣「なるほど・・いいだろう、乗ってやる」
狙師「そうか、どうも」ニヤ
--------------------平原--------------------
幸坊「・・・・」ブロロ [運転]
猫侍「はぁ・・俺たち、どうなっちまうんだろうな」ブロロ
索嬢「どうって?」
猫侍「だってよ、国自体が俺たちを追ってるんだぜ?このまま、うまくやっていけるかどうか・・」
猫侍「リジムとも別れちまったし・・」
ブロロロロ
ブロロ
紅猫「何言ってるのマタビ君!しっかりしなきゃ!」
索嬢「そうよ、弱気になったらダメ」
犬獣「そうそう」
索嬢「あんたも来たのね・・」
猫侍「チビは?どう思う?」
幸坊「どうって、とにかく奴らが『勇者』を狙う以上、俺はこいつを守る!」
勇者「・・・・・・・」 [眠]
猫侍「・・そうだな、仕方ない、もうしばらくは俺様の力を貸してやるか、感謝しろよ」
幸坊「行くアテもねぇからついてきてるだけだろうが」
猫侍「そんなこたぁない、ね~クリスちゃん」
紅猫「・・・え、あ・・うん」
猫侍「それに、俺は西の方にでぇ~~っかい豪邸を持ってるんだ」
猫侍「お前らと付き合うのに飽きたら、そっちに戻る気さ」
幸坊「はいはい・・」ブロロロ
猫侍「いいから、とっとと街に行ってくれよ、俺は寝とくぜ、クリスちゃんも休んどくといいよ」
紅猫「いや・・私は・・」
索嬢「あんたの生き方、ほんと見習いたいわ・・」
<<中断>>
ホンットすいませんね、間空けて。
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