穏乃「おー、ここが私立リツベ女子学院……さすが新設校。壁も何もかも新品でピカピカだ!」
穏乃「……大切な思い出が詰まった阿知賀から離れるのは辛かったけど、阿知賀の麻雀部はもう無い……」
穏乃「憧が進学した晩成高校は学力の問題で入れなかった……」
穏乃「だけど私は決めたんだ! 全国のインターハイで和と遊ぶって!」
穏乃「だから私はこの新設校に賭けた!」
穏乃「新設校だから一年生しか居ないけど、それでも絶対に全国へ勝ち進んでみせる!」
穏乃「待ってろよー! 和ー!」
泉(なんや、えらい熱いやつがおるなー)
ほう
ニッワッカ!ニッワッカ!
泉(親の都合で奈良に引っ越して来たのはええけど、まさか新設校とは……)ハァ
泉(麻雀部を作っても一年生だけじゃ全国の猛者達には厳しいやろうなぁ)
泉(……けど、私は高校1年生最強の雀士、二条泉!)
泉(他が弱いなら私が引っ張ってけばいいんや!)
泉(……地元の中学ではインターミドルで優勝も出来なかったのに最強なんておかしいやん、なんてからかわれたりもしたけれど)
泉(自分も信じれん奴が全国優勝なんて出来るわけない!)
泉(例え己惚れだと言われても自意識過剰と言われても私は信じる!)
泉(私が高一最強やって!)
泉「この新設校で三年間! 全国優勝目指して頑張ったるでー!」
淡(あのへそ出しノースリーブの子、なんか燃えてるなぁ)
淡(しっかし、まさか麻雀留学から日本に帰って来たら両親が東京から奈良に引っ越してたって……)
淡(しかも適当に高校も決められてるし。困っちゃうよね全く)プンプン
淡(まっ、私は麻雀が打てればなんでもいいけどねー)
淡(……けどインターハイは行きたいな)
淡(インターミドルは同級生に大して強そうなのいなさそうだったから無視して海外にいったけど)
淡(インターハイには何人か強そうな上級生が居るんだよね)
淡(けど団体戦にしか出ない人もいる)
淡(その人達と打って見たい……確か団体戦の場合は5人必要なんだっけ?)
淡(あと4人くらい、いくら新設校でも麻雀打てる子いるでしょ)
淡(例えその4人が話にならない素人でも)
淡(私が先鋒で全員飛ばし続ければいいだけだし)フッフッフ
■数日後
先生「それでは説明した通り、各自で作りたい部活があったら申請書に書いて提出するように」
穏乃「よーし! さっそく麻雀部を作るぞ!」タッタッタ
泉「最低5人いれば部として認めて貰えるんやな」タッタッタ
淡「さっさとあと4人集めないと」タッタッタ
■職員室
穏乃・泉・淡「「「失礼しまーす! 麻雀部を作りたいんですけどー!」」」ガラガラ
穏乃・泉・淡「「「――ん?」」」
よし、文堂もいれようか
穏乃「ええ!? 二条さんインターミドルで和と打ったんですか!?」
泉「せやでー。あ、あと泉でええよ。タメなんやで堅っ苦しいの無しにしよ」
穏乃「わかった! なら私も穏乃で!」
淡「私も呼び捨てでいーよ。それにしても、原村和ねー……あ、それロン」
泉「うぇ!?」
穏乃「わー、さっきから淡の1人勝ち……」
淡「まー、格が違うよ、格が」フフン
泉「ぐぬぬ……」
支援
泉「インターミドルでも淡クラスの打ち手なんていんかったで……」ジャラジャラ
穏乃「私も先輩に1人、凄い人がいたけど……淡の方が強いかもしれない……」ジャラジャラ
淡「えへへ、もっと褒めて褒めて」ジャラジャラ
穏乃「……それにしても、部員の前にまずは自動卓が欲しいね」
泉「手積みも味があって嫌いやないけどなぁ」
淡「さすがに毎局これは面倒くさい……家の持ってこようかな」
淡「そういえば、他に麻雀部に入ってくれそうな子……誰がいた?」
泉「誘ってみたけど、私のクラスはみんな断られてもた」
穏乃「同じく」
淡「困ったなー。あと2人いないと同窓会としてしか認めて貰えないんだよね」
泉「個人戦も麻雀部として登録せんと出られんし」
穏乃「他のクラスを覗いてみるしかないね」
淡「ポスターとか作る?」
泉「やれることはやっといた方がええやろなー」
穏乃「うん、やろう!」
支援
支援でー
?「すいませーん。麻雀部の仮部室というのはここでしょうか?」
泉「おおっ!? まさか入部希望者!?」
淡「やった! 4人目!」
穏乃「はい! そうです! ここが麻じゃ――」
和「よかった。入部希望で……す……」
穏乃「」
泉「」
淡「?」
穏乃「驚愕(和と遊ぶんだ)」
そうなんだ、じゃあ私生徒会に行くね
お、オチか?
泉「はっ……はっ! 原村ああああああああぁ!?」
穏乃「和ああああああああああああああああぁ!?」
和「穏乃……!? まさか穏乃なんですか!? それにそっちはインターミドルでお会いした二条さん……!?」
穏乃「ええええぇ!? な、なんで!? なんで和がここにいるの!?」
穏乃「えっ!? えええ!? だっ、だって、全国で……遊ぶんだって……決めて……」ポロポロ
淡「わわっ!? 穏乃、なんで泣いてるのさ!?」
和「穏乃……お久しぶりです……あ、あはは……変ですね。また会えて嬉しいのに、どうして私は泣いて……」ポロポロ
穏乃「和……! 和! 会いたかったよー!」ブワッ
和「私も! 私もです……!」ポロポロ
泉「な、何がなんやら……」
淡「よくわかんないけど感動したっ!」パチパチ
し
穏乃「それじゃ、また親の都合で戻って来たんだ?」
和「ええ。本当は戻って来たのなら阿知賀に行きたかったんですが、諸事情でここへ」
和「ですが結果オーライですね。また穏乃と会えて、一緒に麻雀が出来るんですから」
穏乃「和……!」ギュー
淡「うちの部はイチャイチ禁止にしよう」
泉「あれくらいええんとちゃう?」
泉「けど原村と同じチームとはなー。インターミドルの借りをインターハイで返そうと思ってたんやけどな」
泉「……まあしゃあないか! こうなったら最強一年生コンビで全国を暴れまわったるで!」
淡「私がいるからコンビじゃなくてトリオだけどねー」
穏乃「私もみんなに負けてられないよ!」
泉「せやな! どうせなら最強カルテット! いや最後の1人も合わせて!」
和「最強クインテットですね。ふふっ、少し恥ずかしいですが」
淡「いーじゃんいーじゃん! イケてるよ最強クインテット!」
穏乃「よーし! 残すところあと1人! 新設麻雀部、ファイトー!」
3人「おー!」
し
■放課後
穏乃「それじゃ、また明日!」
和「はい」
泉「明日からは毎日麻雀の特訓やでー!」
淡「頑張ろうね!」
淡「なんだー。新設校だから大した奴はいないと思ってたけど、結構面白いメンツが集まったなー」
淡「全員まだまだ私には追いつけないだろうけど、これから成長してくれそうな雰囲気をガンガン感じる!」
淡「えへへ。この学校入ってよかったかもー………ん?」
咲「……」テクテク
淡「――」 ゾ ワ ッ
あちゃーここで登場かー
泉イイイイイイイイイイイイイイ
淡(――ッ、ハッ……!)
淡(なにこれ……なにこれ!)
淡(ヤバイ……鳥肌がとまんない!)
淡(あの子を一目見ただけで、全身の細胞がざわめき立ってる! 喜んでる!)ゾクゾクゾクゾク
淡(アハッ、あははははは!)
淡(間違いなく、否応もなく――あの子は!)
淡(――強い!)
※咲ちゃんはトイレを探してるだけです
また道に迷ってるのかよ
まぁ奈良だししょうがない
淡「――ねぇ」ユラァリ
咲「っ!?」ビクッ
咲「へ!? だ、誰!?」
淡「……」ニコ
咲(――うわっ、綺麗な子)
咲「って、えっと、私になにか御用ですか……?」
淡「うん――」
淡「 麻 雀 や ろ う よ 」 ゴ ッ
咲「ひぃ!?」 ゾ ク ッ
おいおい……
もっとやれ
王者のうちしゅじさん泣いちゃうやんか
淡「打てるよね? 麻雀、強いよね? わかるよ」
咲(ななな、なに!? なんなの!?)
咲(初対面なのにいきなり何言ってるのー!?)
淡「こんなに強いオーラを感じたの、生まれて始めて」
淡「海外に居た時ですら、感じなかった」
咲「ふぇ、ふぇええええ……」ジワッ
淡「これはもう、運命だよ」
淡「私達は出会うべくして出会ったんだ……」ユラ
淡「私、淡。大星淡――ねぇ、君の名前を教えて?」
これはおまわりさんに世話になっちゃうな
咲「――」プツン ←なんか色々と恐怖の限界を超えた音
咲「ご……」
咲「ごめんなさいいいいいいいいぃ!」ダッダッダッ
淡「!?」
淡「えっ!? なんで逃げるの!? ちょっと待ってー!」
咲「いやあああああああああぁ! ついてこないでよおおおおおおおぉ!」ブワッ
咲「お姉ちゃああああん! 助けてええええええぇ!」
■東京
照「――」ハッ
菫「ん? どうした照」
照「……私に妹はいない」プイッ
菫「はっ?」
やはり姉妹
■翌日
淡「昨日の子、昨日の子……!」キョロキョロ
穏乃「見当たらないね」
泉「ホンマにいたんかー? 一目見ただけで鳥肌立った子なんて」
和「そんなオカルトありえません」
淡「いたもん! 本当にいたもん!」
淡「あの子は絶対に強い!」
淡「みんなも一目みればわかるよ!」
泉「とはいってもなぁ」
穏乃「そもそも外見が茶髪の普通っぽい子ってだけじゃ……」
和「探しようがないです」
咲も同じ学校?他校とか
淡「うわーん! あの子と麻雀が打ちたいよー!」
淡「出てきてよー! 私の運命の人ー!」ジタバタ
穏乃「うわぁ」
泉「大阪のガキンチョでもここまでやらへんで……」
和「なんとかしてあげたいですが……」
咲「ううう……昨日の怖い子が私を探してる……」ブルブル
モブかよ
咲「お父さんの転勤で奈良に引っ越して来たら」
咲「まさかこんなことになるなんて……」
咲「それにしてもなんで私を見て麻雀を打ちたいなんてあの子はいいだしたの……?」
咲「もう何年も打ってないし、私なんて全然大したことないのにぃ……」ナミダメ
咲「ううう、とにかく見つからないようにしよう」
咲「あの子もしばらくしたら私なんて忘れてくれるよね、きっと」コソコソ
淡「出てきてよぉ……」ポロポロ
穏乃「淡、泣かないで」
咲「……ごめん、ね……」
橿原にでも引っ越してきたのか
咲さんには宮永ホーンって特徴あるだろ!いい加減にしろ!
なるほど、麻雀やり始める前か
この時期にあわあわと接触したら本物の畜生になるかもな
1年生上から順に5人が同じ高校か
ご
■さらに数日後
和「今日も大星さんは例の子を捜索中ですか」ジャラジャラ
穏乃「よほどその子と麻雀が打ちたいんだろうなぁ」ジャラジャラ
泉「けどこれだけ探して見つからんって、さすがにおかしいで」ジャラジャラ
和「ひょっとすると他校の生徒だったのでは?」
穏乃「いや制服が同じだって淡がいってた」
泉「やったら、ひたすらに避けられてるのかもしれんで」
泉「話聞くかぎり、淡は相当強引な誘い方したんやろ?」
和「その可能性はありますね」
穏乃「淡って、怖い時は本当に怖くなるからなぁ」
淡「ねぇねぇ、このクラスに茶髪で麻雀が強そうな女の子っていないかな?」
生徒A「うーん? ……知らないなぁ」
咲(……あの淡って子、今日も私を探してるんだ)カクレ
淡「そっ、か……」ショボン
生徒A「それっぽい人がいたら連絡するね」
淡「うん、ありがと……」
咲(……)
④
■麻雀部室(仮)
淡「ただいまー……」
泉「その様子やと今日もあかんかったみたいやな」
淡「……うん」
穏乃「淡……」
和(どうにかしてあげられないでしょうか)
咲「ごっ……ごめんください……」ヒョコ
淡「――」
淡「――ぁ」
淡「ぁぁぁぁあああぁ!」ニパー!
咲「あ、あはは……」ビクビク
淡「そっかー! 宮永咲っていうんだ! ならサッキーだね! サッキー!」ギュー
咲「お、大星さん……く、苦しいから……」
穏乃「あれが淡が探してた子かぁ!」
和「見つかって良かったですね」
泉(……えー? あれ、ほんまに淡がいうほど強いんか?)
泉(ホンマに普通っていうか、平凡っていうか……)
なんだかんだ清澄より強そうだな
千里山白糸台弱体化してるし一年だけでも勝てるんじゃ
淡「ここに来てくれたってことは、私と麻雀を打ってくれるんだよね!」
咲「う、うん。その、誤解をとこうと思って」
穏乃「誤解?」
咲「その、なんだか大星さんは私を麻雀が強い人って思ってるみたいなんだけど」
咲「私は多分、全然強くないよ。麻雀だって、家族としか打ったことないし」
咲「それなのにずっと私を探してる大星さんが気の毒になっちゃって」
泉「へー、家族麻雀だけしかしたことないんや?」
淡「そんなことないよ! サッキーは絶対に強いはずだもん!」
咲「だ、だからそれは大星さんの勘違いだよ……」
淡「とにかく! 一回打ってみればわかるよ!」
穏乃「それもそうだね!」
和「では早速始めましょう」
泉「なら私が記録係するわ」
泉(宮永がどんなもんか、後ろで見たいしな)
咲「お手柔らかにお願いします……」
咲「……」タン
淡「ふんふんふーん♪」タン
穏乃(宮永さん、打ち筋綺麗だなぁ)タン
和(全くの素人、というわけではないようですが……)タン
泉(……うーん、これは)
咲「ツモ。3900です」
泉(……び、微妙や……)
もっと微妙なメンツで目指して欲しかったとこだけど支援
泉(確かに全くの素人やないんやろうけど)
咲「……」スッ
穏乃「ロン! 5200!」
咲「……はい」
和(え? 穏乃には悪いですが、そんな見え見えの待ちに振り込んだ……?)
泉(素人に毛が生えたもんやん)
泉(わけわからん上がりと振込が多すぎる……)
泉(前の学校に居た中坊の方がまだマシやで?)
泉(今、半荘が終わったけど……穏乃を抑えての三位。点数はプラマイゼロ、か)
泉(今回は穏乃が荒れてて運が良かっただけやろうしな)
泉(次は多分最下位やろな)
淡「ふんふふふーん♪」ニコニコ
割と最強じゃないか?
咲「ツモ。12000」
和「むっ……私が最下位ですか……」
穏乃「珍しいね」
泉(……またプラマイゼロで、三位。けど今回は和がミスりまくってただけやし)
泉(和もちょっと安定せん時あるなー。インターミドルの時もそうやったけど)
泉(……まあ私も人のことはいえんけどな)
淡「サッキーやるねー! えへへ、燃えてきた!」
咲「ええぇ……」
泉(……なんで淡はあんなに楽しそうなんやろなー?)
咲「ツモ――1000です」
穏乃「うう。また最下位……」
和「そんな日もありますよ」
泉(…・…ちょ、ちょっと待て)
泉(偶然やろ? いや、偶然以外、あるはずない)ガタガタ
泉(半荘を三連続で、プラマイゼロ――!?)
泉(そんなもん……故意に出来るはずないんや!)
淡「――ふふっ。そろそろ、私もエンジンかかってきた」ゴゴゴゴ
淡「ダブルリーチ――!」
穏乃(出た! 淡のダブルリーチ!)
和(こんなオカルトありえません! と、いいたいところですがこう何度もダブリーを見せられれると)
和(今まで信じて来た麻雀理論が壊れそうですね……)
咲「――」ピクッ
淡「カン!」
穏乃「また裏ノリ……淡はカン裏乗りすぎだよー」
和「SOA」
咲「――」タン
淡「カン! ツモ! 24000! ――の責任払いだよ、サッキー」アハハ
咲「……うん」
泉(ギリギリ飛ばんかったけど、これで宮永の残りの点数は1000点)
泉(さすがに今回はマイナスで終わりやろな……)
し
リーチ!それカン!ツモ!チョンボ4000オール!
咲「……嶺上、開花か」ボソッ
穏乃「え? 宮永さん、何かいった?」
咲「……ううん、なんでもない」
咲「なんでも、ないよ――」ゴゴゴゴ
穏乃「!」ゾクッ
和「!」ゾクッ
淡「ッ――!」ゾワゾワゾワ
穏乃(な、なにか今――!?)
和(背筋に、冷たい氷のようなものが走って――!?)
淡「……やっぱり、強いよ。サッキーは――!」タン!
咲「カン!」
咲「もいっこ、カン!」
和「二連続、カン!?」
咲「――もいっこ、カン!」
穏乃「三連続――!?」
咲「ツモ。チンイツ、対々、三暗刻、三槓子、赤一」
咲「嶺上開花――32000」
泉「っ!」ガタッ
泉「数え、役満――!?」
咲「……」ニコ
咲「……」タン
和「あっ、ろ、ロン。万貫、8000です」
咲「はい」
淡「あちゃー、ラスかー」ニコニコ
穏乃「……」ボーゼン
和「……」ボーゼン
泉「は、あははは、ははは、はは……」
泉「倍満振り込んで……数え役満、ぶち込んで……4連続、プラマイゼロ?」
泉(こいつ、こいつ――! 間違いなく!)
咲「ありがとうございました」ペッコリン
泉(化け物や――!)
一先ずカン
支援ありがとうございました
おつー
続き待ってるから
次はもっと早い時間に頼む乙
面白いな
続きが楽しみだわ
続きが気になる
これは続きにも期待
乙乙
面白い
乙
乙
この場合クロチャーは阿知賀で掃除し続けるのか
部長はワカメとイチャイチャし続けるしかない
このSSまとめへのコメント
で、でたーww
リーチかけてから大ミンカン責任払奴~ww