あずさ「バレンタインは雪降る宿で」 (26)
2月12日
午後8時13分
律子「遅くまでお疲れ様です、あずささん」
あずさ「普段は伊織ちゃんや真美ちゃんが私を助けてくれていますから、こういう時は私が頑張らないと、ですもの」
律子「丁度二人とも学校のテスト期間に入ってるんで」
あずさ「うふふっ、学生さんですからね、勉強も大事ですもの」
律子「そうですね…あっ、そういえば。今日のお仕事はこれで終わりですけど、どこかよりたい場所はありますか?」
あずさ「そうですねぇ、それじゃあ、ちょっとスーパーに余って頂いてもいいですか?」
律子「え?晩御飯の準備ですか?」
あずさ「ええ、それもあるんですけれど…その」
律子「ははぁん…成程、分かりました、良いですよ」
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律子「バレンタインでしょ、分かってますよ、誰に渡すかは」
あずさ「あ、あらあら、何の事かしら」
律子「友チョコにしては気合が入り過ぎですもん、その顔。さしずめ相手は」
あずさ「り、律子さん!」
律子「あはははっ、ごめんなさい、つい」
あずさ「んもうっ…」
律子「…やっぱり手作りですか?」
あずさ「そうですねぇ…やっぱり渡すなら手作りで、私の気持ちを伝えたいですもの…プロデューサーさんに」
律子「あ、やっぱりプロデューサーだ」
あずさ「あっ…律子さん!今のは聞かなかったことにしてください!」
律子「あはははははっ、分かってますよ、ホントあずささんってば分かりやすいんだから…」
あずさ「…」
律子「頑張ってください、私はあずささんが幸せになってくれることを望んでるんですから…運命の人、でしょ?」
あずさ「…それは、まだわかりません…」
律子「…大丈夫ですよ、きっと、プロデューサーは最後の最後には、あずささんの気持ちに応えてくれると思いますから」
あずさ「…だと良いんですけれど…」
律子「…春香、美希、それに真ちゃんってところですかね?」
あずさ「春香ちゃんが、きっと作ってくるんでしょうねぇ…」
律子「あずささん、気持ちですよ、気持ち」
あずさ「…そうですね、私、頑張ってみます!」
律子「その意気ですよ!」
あずさ(うふふっ、そうよね…気持ちでは多分…ううん、絶対に負けないわ!)
律子「あ!あずささん!レジはこっち!」
あずさ「あ、あらあら…」
2月13日
午後12時29分
あずさ(とは言ったものの…)
亜美「ねえねえはるるん。亜美達もはるるんのチョコがほしいよぅ」
真美「ベターで蕩けて甘々な奴が食べたいよぅ」
春香「ビターでしよ、それを言うなら。しかもビターで甘々ってどういう事?」
真美「あははっ。そうとも言うね!」
亜美「いーなー、に~ちゃんは皆からチョコが貰えてさー」
真美「え?亜美、作んないの?」
亜美「に~ちゃんに?うん、作るけど」
真美「そっか」
春香「千早ちゃんはどうするの?」
千早「わ、私はあまり、そう言うのは得意じゃないし…」
春香「大丈夫だよ!私が教えてあげるよ!」
千早「そ、そう…。なら」
あずさ(そうよね…皆、作るのよね…)
春香「あずささんは、どうするんですか?」
あずさ「ええっ?!わ、私は?さあ?どうかしら~」
春香「あっ!ズルいですよあずささん!」
亜美「あずさおねーちゃんのチョコも食べたーい!」
伊織「アンタ達、頂戴頂戴言うだけじゃなくて、自分で作るって気はないわけ?」
春香「そう言う伊織はどうするの?」
伊織「べ、別に私はプロデューサーに」
春香「え?私はプロデューサーさんのことは言ってないよ」
伊織「~!」
亜美「あーっ、いおりん真赤になってるー!」
真美「さては兄ちゃんに甘々なチョコレートを渡すつもりだったんですなぁ」
伊織「うっさいわね!ちょっと黙ってなさい!誰があんなボンクラにチョコを渡さなきゃいけないのよ!」
亜美「そっかー、そんなにに~ちゃんの事が嫌いだったら、渡さないよねぇ」
真美「兄ちゃん悲しむだろうなぁ…」
伊織「あっ…だから、その…」
亜美「ほらー、やっぱり上げるんでしょ?」
真美「プロデューサー…し、仕方がないわね、このウルトラスーパーハイスペックな伊織ちゃんがウルトラ甘いチョコレートを上げるわよ!って」
千早「…!」
伊織「千早!アンタもそんな隠れて笑わないでよ!それに真美は微妙に似ててなんか鬱陶しい!」
真美「わーい、いおりんが怒ったー」
あずさ「うふふっ、確かに、今の物真似は結構似てたわねぇ」
伊織「ちょっとあずさ!アンタも笑うんじゃないわよ!」
あずさ「あらあら、ごめんなさい、伊織ちゃん」
伊織「ちょっとあずさ抱きしめないでそんなそこ違うにゃー!」
P「何だ?何か賑やかだな。律子は?」
伊織「そろそろ帰ってくるんじゃないかしら」
P「そうか。ああ、あずささん、丁度いい所に」
あずさ「はい?」
P「えーとどれだこの手帳だっけ?あ、れ?ああ、あった、これだ。実は、急遽今から取材とスチール撮りが入って、おまけにBBSの「あず散歩」が急遽ロケが決まって、明日から何ですけど大丈夫ですか?」
あずさ「あら…急ですね」
P「今週末雪が降るかもって事で、スケジュールを前倒ししてのロケなんです、申し訳ないですが…」
律子「ただいま戻りました」
P「ああ、律子、実は赫赫云々で」
律子「えーと、明日は………あ、私、局側との打合せがあって、こっちを離れられないんですよ…」
P「え?そうか、弱ったな…」
あずさ「私一人でも行けま」
律子「プロデューサー、あずささんの付添、お願いできますか?
P「え?俺?」
律子「はい、何せほら、山の中ですし、何かあった時あずささん一人じゃ、ね?」
あずさ(あれ?律子さん、もしかしてこれって)
P「えーと、俺の明日の予定は…うん、いける…明日の7時ごろ、あずささんの家まで迎えに行きます」
あずさ「は、はい、分かりました」
2月13日
午後10時39分
あずさ「…はぁ…この時間じゃ、もうチョコを作る時間も無いわね…もっと早くに作っておくべきだったかしら…でも、せっかく上げるなら出来たての方が…はぁ…寝ましょう、明日も早いし…」
あずさ(…何だか、悔しいわぁ…春香ちゃん、美希ちゃん、伊織ちゃん、真ちゃんや雪歩ちゃんが、どんなチョコレートを用意するのかしら………)
2月14日
午前6時55分
P「ああ、あずささん、少し早いですけれど、おはようございます」
あずさ「…おはようございます」
P「あ、あの、あずささん、どうかしたんですか?」
あずさ「え?」
P「何だか、その、元気がないって言うか」
あずさ「え?あ、あの、そんな事、無いですよ、うふふっ、ちょっとまだ、眠くって」
P「そうですか…なんせ今度は山奥の温泉郷の取材ですからね。ちょっと朝が早いですけど…スイマセン、向こうに押し切られる形になっちゃって」
あずさ「そんな、プロデューサーさんの所為じゃないですよ」
P「はい…そう言っていただけると助かります…それじゃあ、行きましょうか」
2月14日
午前7時22分
『――――天気予報です。これから関東甲信越地方では、午後から雪が降り始め、山間部では吹雪くところもあるでしょう。平野部でも午後から明日の昼に掛けて、多い所で20cm近い積雪を予測しています。次のニュースです』
P「…もしかして、泊まりになるかな…」
あずさ「え?」
P「…いえ、山奥だし、吹雪出したら道路も封鎖だろうしなぁ…」
あずさ「あら…」
P「…ま、そうなったら、丁度いい休暇ですね」
あずさ「ふふっ、律子さんが怒りますよ」
P「俺は兎も角、あずささんは少しくらい休んだって、誰も怒れませんよ、いつも頑張ってますからね」
あずさ「それは、他の子達だって…」
P「あずささんは、1人で気負うところがある気がするんです」
あずさ「私が?」
P「自分が、大人だから、最年長だからって」
あずさ「…そう見えますか?」
P「俺には、見えます…もう少し、気楽に構えてくれてもいいのになって」
あずさ「…そう、でしょうか?」
P「ええ、あずささん、やっぱりみんなのお姉さんだなって、いつも思いますよ」
あずさ「うふふっ、私は、皆の事、妹みたいだなぁって思うときもあれば、歳の近い友達みたいに感じる時もあるし、私よりも年上に感じるときだってあるんです…だって、皆しっかりしてますから…」
P「…あ…」
あずさ「雪、降ってきましたね…」
P「…雪景色での撮影になりそうですね…楽しみではありますね。あずささんが雪景色の中歩いてるの、凄く絵になりそうですから」
あずさ「あ…あらあら、褒めても何にも出ませんよ」
P「本当ですって!だから―――――」
2月14日
午後6時00分
あずさ「はい、雪景色がきれいな、温泉郷でのあず散歩、いかがでしたでしょうか?皆さんもぜひ、ふらりと立ち寄られるのも、良いかも知れませんねぇ。という訳で、今日のあず散歩はここまでで~す、また次回も、お楽しみに~」
D「はい、オッケーです!」
あずさ「ありがとうございました~…凄い雪ですね」
D「いやぁ、お蔭で良い絵が取れてますよ。この番組も中々視聴率が上がってきて、本当に三浦さん様様ですよ」
AD「でも、大丈夫なんですか?今日は宿取りました?」
D「うちは全員、こっちに泊まってく積りだったんですが」
あずさ「そうなんですか…大変ですね」
P「あずささん!すいません、やっぱり今日は泊まりになりそうです」
あずさ「ええっ?!どういう事ですか?」
P「これを…」ケータイトリダシポパピプペ
『関東甲信越地方では各地で観測史上最高の積雪を予想しており、鉄道各社でも既に運休を発表しており、高速道路も――――』
あずさ「あら…」
「ええ、高速使えないし、そもそもここまでの道も雪で通行止めだし…今、事務所にも電話してました」
D「しっかし、765さんは最近すごいですね。これならその内、アイドルアワードも目指せるんじゃないですか?」
P「いやぁ、まさかそれは」
D「いやいや、最近すごいじゃない、特に映画が3本目でしたっけ?凄いらしいじゃないですか、楽しみだなぁ」
P「ありがとうございます」
あずさ(皆、頑張ってますものね…)
D「そういえば、どこに宿取ったの?どこも満室じゃ無かった?」
P「ああ、あそこの旅館に」
D「おっ、良いところを取りましたねぇ、高いんじゃないですか?」
P「まあ、押しも押されぬ竜宮小町の三浦あずささんを、ビジネスホテルじゃかわいそうですからね」
D「お、言うねぇ、プロデューサーさん。最近、プロデューサーさんも週刊誌に出てたし」
P「えっ?!」
D「ま、有名なゴシップ専門の画像コラ誌だから、誰も信じちゃいないけどさ。それに、プロデューサーさん、女に手を出すような事無さそうだし」
P「な、なんかそれはそれで傷つくなぁ」
D「手が早いよりはいいですよ、特にこの業界はね、それじゃ、今日はお疲れさんです」
P「お疲れ様でした…あっ、あずささん、すいません、寒かったでしょう…これ、着てください」
あずさ「でも、これじゃあプロデューサーさんが寒いんじゃ」
P「俺は大丈夫ですよ、さ、行きましょう。すぐそこの旅館が何とか部屋が取れましたんで」
あずさ「あら…大丈夫なんですか?」
P「…何とかなりますよ、たぶん」
あずさ「もし、何かあったら私も」
P「いえ、これは俺の責任ですから」
あずさ「…プロデューサーさん、やっぱり寒いんじゃないですか…手」
P「あ、あははは、いや、こんなの大したこと」
あずさ「まあ、こんなに冷やして…」ギュッ
P「あ、ああああああずささん?!」
あずさ「…こうして、手を繋いでいれば、温かいですよ」
P「…そ、そうですね、は、ははっ…むしろ、降ってくれてありがたかったですよ、下手に帰ってる途中で降りだしたら危なかった…おっと、ここです」
2月14日
午後6時34分
P「あ…そういえば、その…あずささん、一つ、言い忘れていたんですけど」
女将「すいません、この旅館、お部屋数が少なくて…」
P「あ、いえ、当日なのに無理を言ってお願いしたんですから…」
女将「そういえば…お二人は、婚約者?」
あずさ「?!」
P「?!」
女将「いえいえ、何だかその、お似合いだわぁ、と思ってまして」
P「あー、いやその、あずささ…彼女とは」
あずさ「そそそそうですよねプロデュー…Pさん」
女将「おほほほほほっ、そんな慌てなくても大丈夫ですよ、この旅館はそう言うカップルの方が大勢いらっしゃいますから」
P「あー!そ、そう言えば、夕食の時間は」
女将「7時でよろしいですか?今から板長が腕を振るって準備しますので」
P「お願いします」
女将「では、仲良く、ごゆっくり」
P「…心臓が飛び出るかと思った」
あずさ「…私は…別に、嫌じゃないですよ?」
P「え?!」
あずさ「な、な~んて」
P「も、もう、驚かさないでくださいよ…」
あずさ「うふふっ」
P「…でも、なんかすいません…相部屋になってしまって」
あずさ「うふふっ、良いですよ、私は…その…」
P「…」
あずさ「…」
コーイーヲーユメーミールオヒメサマハー♪
P「ああ、律子か、どうした…え?あ、うん、相部屋に…っ!声大きい…!分かってるよ、変な事なんて…分かってる分かってる…すまないな、律子、あとの手配頼むぞ…明日の昼過ぎにはそちらに着けると思うから、うん、あずささん疲れてるだろうから、オフに出来るか?…それは明後日に延ばせるだろう?うん、すまない。それじゃ」
あずさ「律子さん、怒ってました?」
P「さあ、般若の面でもかぶってたかな…」
ヴーッヴーッ
あずさ「あら?メール…律子さんから?」
律子『あずささん、折角作ってあげたチャンス、無駄にしないでくださいね!雪が降ったのも計算の内ですよ!頑張って!』
あずさ(ええええっ?!まさか律子さん、こうなる事を予想して?!)
P「どうかしたんですか?」
あずさ「い、いえ、何でもありません」
P「…あっ、そ、そうだ、テレビを付けましょうか!」
あずさ「そ、そうですね」
春香『じゃあね何て言わないで!』
美希『またねって言って』
春香/美希『『私の物にならなくていい、傍に居るだけで良い!』』
P「ホント、まさかこんなゴールデンタイムの番組に出演するアイドルになるなんて、皆、成長しましたよね」
あずさ「そうですね…あの頃は皆まだ、全然お仕事も無くて、律子さんが竜宮小町を立ち上げてくれたお蔭で、私や亜美ちゃん、伊織ちゃんは先にhitしてくれたんですけど、春香ちゃんや美希ちゃん達はまだまだ全然で…それが今では、こんなに皆…」
P「皆の、努力や実力のお蔭ですよ。本当に頑張ってくれました」
あずさ「私だって、頑張ったんですよ…その」
P「そうですね…あずささん、いつも皆の半歩後ろに居て、皆の事を見ていてくれましたもんね…お姉さん、って感じですよ」
あずさ「そうですね、私は皆より、年上ですから」
P「ただ、年上と言うだけでは出来ないですよ、皆の背中を見つめて、優しく諭したり励ましたり…なんていうか…愛、ですかね?」
あずさ「愛?」
P「はい、愛だと思います…羨ましいなぁ」
あずさ「どういうことですか?」
P「…俺も、その…あずささんに励まされたりしたら、もっと、頑張れるかなって…なんていうか、その…俺!」
仲居『お待たせいたしました、お食事をお持ちいたしました』
2月14日
午後7時04分
あずさ(結局、さっきの続き、何だったんでしょう…)
P「おお、流石に豪華だなぁ、頂きます!」
あずさ「あ、そうだ、はいプロデューサーさん、ビール」
P「いえ、仮にも仕事中ですから」
あずさ「あら…私と、こうしてご飯を食べるのは、お仕事だから、ですか?」
P「そ、そんな事はありません!寧ろ、その…凄く、うれしいんです」
あずさ「だったら、良いじゃないですか♪」
P「…頂きます。あずささんもどうぞ」
あずさ「良いんですか?」
P「誰も見ていないですからね」
あずさ「あら、じゃあ、2人だけの秘密、ですね」
P「そうですね…では、乾杯!」
あずさ「乾杯~♪」
P「美味しいですねぇ、あずささんとこうしてゆっくりと話す事も無かったし…最近は特に」
あずさ「そうですね、竜宮小町になってからは私とプロデューサーさんとはあまり話していませんでしたから」
P「ええ、そういえばあずささん、最近は――――」
2月14日
午後8時23分
P「…料理、美味しかったですか?」
あずさ「はい、とても…うふふっ、何だか不思議な感じです、プロデューサーさんと二人でこうして食事なんて」
P「こんな急じゃなくて、前から予定してあれば…」
あずさ「私は、とっても楽しいですよ…こうして、プロデューサーと二人で…」
P「あずささん…」
あずさ「うふふっ…いっつも、美希ちゃんや春香ちゃんがいて、私は中々…」
P「…あずささん」
あずさ「…あ、あらやだ、私ったら…忘れてください。あ、そうだ、そろそろお風呂もすいてるんじゃないですか?行ってみましょうか」
P「…」
午後8時35分
P「今なら、人も居ないですね」
あずさ「そうですね…あ、でもどうしましょう、
P「それじゃあ、あずささん、もし先に出たら部屋に戻っててください。はい、カギ」
あずさ「でも、そうなると私が後で出て来たとき、プロデューサーさんは…」
あずさ「良いですよ、俺はその辺で待ってますから」
あずさ(温泉…そういえば、温泉なんて去年の夏、皆で旅行に行ったきりかしら…)
あずさ(なんだかお肌もツルツルになってる気がする…小鳥さんにも教えてあげようかしら)
あずさ(雪の勢いも少しは収まったのかしら…?露天風呂…出てみようかな…)
あずさ(寒いわね…あ、でも、何だかきれいな景色…)
P『へー…綺麗なもんだなぁ』
あずさ「…プロデューサーさん?」
P『あれ?あずささん、居たんですね』
あずさ「何だか、照れちゃいます…」
P『な、何がですか?』
あずさ「…何でもありません」
P『変なあずささんだなぁ…しかし、いやー、いい湯加減だ。少し時間をずらした甲斐がありましたね』
あずさ『プロデューサーさんと、竹垣一枚隔てて同じお風呂に入っている、というのもなんだか不思議な感じがしますねぇ…』
P『あずささん、良い景色ですね』
あずさ「ええ…」
P「…雪に感謝しなきゃいけませんね」
あずさ「え?」
P「…さっきも言いましたけど、あずささんとこうしてゆっくり話す機会が出来て、逆に良かったんじゃないかと思ってますよ…覚えてますか?一番最初、俺がこの事務所に来たとき…あずささん、事務所に来れなくて、俺が探しに行ったこと」
あずさ「ええ、もちろん覚えてますよ。あの時、慌てた顔で肩で息してプロデューサーさんが私を見つけに来てくれたこと…竜宮小町になってからはそんなに話す時間も取れなかったけど、少し情けない、でも優しい表情は今でも忘れることはありません。だって、あなたは私の…」
P『…運命の人、か』
あずさ「…」
P『…ねえ、あずささん…運命の人、俺にもいると思いますか?』
あずさ「私は…信じています、どんな人にも、必ず、運命の人がいるって…」
P『…そろそろ、上がりましょうか』
2月14日
午後9時21分
あずさ「ごめんなさい、お待たせして…寒く、ありませんでした?」
P「構いませんよって…へっくしゅっ」
あずさ「あら、大丈夫です…かっ?」フラッ
P「あずささん、大丈夫ですか?すいません、何だか長々と突き合わせてしまったようで…」
あずさ「いえ、良いんですよ。私も、楽しかったから…」
P「…俺につかまってください。ゆっくり戻りましょう」
あずさ「…はい…プロデューサーさん、大きいんですね」
P「えっ!?」
あずさ「背…こんなに差があるなんて、思ってませんでした」
P「あ、あははは…背の高さだけは、人並み以上で」
2月14日
午後9時29分
P「…そうか、相部屋だった…あー、あ、あの、その、俺、そっちの椅子で寝ますから」
あずさ「そんな、私と隣の布団じゃいやですか?」
P「そ、そんな事はありませんけど、その」
あずさ「私は…その、嫌じゃないですよ…」
P「そ、そんな事言われたら…俺、もう抑えられないじゃないですか、この気持ちを!…あずささん…俺は…その…やっぱり、あずささん、あなたの事が…」
あずさ「…私が、どう思っているのか、聞きたいですか?プロデューサーさん」
P「待って!……俺、あずささんの事が…好きなんです…プロデューサーと言う自分の立場は分かっているつもりです、でも…貴方の事が好きなんです!俺が、あなたの運命の人だって、そう言いたい…言いたいんだけど…俺は…俺には…」
あずさ(そんな悔しそうな声で、どうしたんでしょう…?)
P「俺は…頼りにならないし、仕事でもまだまだ律子や社長にも迷惑を掛けているし…」
あずさ「そんなことないですよ、プロデューサーさんは頑張っていらっしゃるじゃないですか…そんな、自分を責めることは無いと思いますよ」ギュッ
P「…あずささん」
あずさ「私は、プロデューサーさんを信じています、直接私がプロデューサーさんとお仕事をする事は少なくなってしまいましたけれど、でも、私はプロデューサーさんの事を信じていますから…」
P「…ありがとうございます…ごめんなさい、俺がこんな弱気じゃ駄目ですよね!」
あずさ「…でもそれ以上に、私はうれしいんですよ?プロデューサーさんから、好きって言って貰えたこと…」
P「…あずささんは…その、俺の事…いえ、すいません、忘れてください」
あずさ「…何故ですか?」
P「…もし、嫌いだって言われたら、俺は立ち直れませんから」
あずさ「…ホント、鈍感な人ですね…」
『チャンスですよ!あずささん!』
あずさ(ちょっとずるいかも知れないけれど…ね)
P「…あ、あの、あずさささん?」
あずさ(…行きます!)チュッ
P「えっ…」
あずさ「どうですか?プロデューサーさん…これが、私の答えです…」
P「…あずささん…愛してます」
あずさ「私もですよ…チョコは用意できなかったけれど…これで、良かったのかもしれませんね…!」ダキッ
P「ちょっ、あずささん!」
あずさ「うふふっ、プロデューサーさん顔真赤ですよ」
P「そ、それは!」
あずさ「うふふっ…プロデューサーさん…好きです」
P「…俺もですよ、あずささん…」
2月15日
午前11時39分
P「しかしまあ、無事に帰って来れて良かった…」
美希「良くないの!」
春香「そうですよ!」
P「うわぁっ?!どうした?」
美希「折角ハニーの為にチョコレート準備して待ってたのに!」
春香「しかも…」
あずさ「あ、あらあら」
春香「二人でお泊りですよ!お泊り!」
P「ま、まて、部屋は別々で」
美希「嘘を言っても無駄なの!ねー律子…さん!」
律子「すいません、大声出したら丸聞こえでした」
P「あー」
伊織「ま、何となく予想はしてたわよ」
真美「そういいつつも」
亜美「実はちょっと焼きもちを焼いてるいおりんであった」
伊織「別に妬いてなんかないわよ!」
千早(…あずささん、嬉しそう)
雪歩(真ちゃんに何時渡そうかな…)
真(あ、相部屋ってもしかしてあずささんとプロデューサー…うわぁ!ボクは何て事を考えてるんだ、でも、もしかしたらでもそれは)
やよい「あっ、プロデューサー!昨日皆にも配ったんですけど、かすみと一緒に作ったんです、良かったら食べて下さーい」
P「お、おお、ありがとなやよい」
美希「ちょっと待つの!やよいだけ抜け駆けは許さないの!ハニー、美希のチョコレートだよね、最初に食べるのは」
春香「私のですよね?プロデューサーさん」
伊織「あ、アンタが食べたいって言うんなら、私のを」
あずさ「…えいっ!」ギュッ
P「え?!」
あずさ「…皆には、負けませんよ!」
美希「あずさの宣戦布告なの!」
春香「あわわ…一番手ごわい人が…」
貴音「まこと、面白い事になってまいりましたね」
響「何々、何の話?」
亜美「あずさお姉ちゃんの目がマジだよ真美」
真美「これは楽しくなりそうですなぁ、どうですか解説のりっちゃん先生」
律子「あずささん…頑張ってください」
やよい「何だかよく分からないけど、皆さん頑張ってくださーい!」
千早「あずささん…きっと、大丈夫ですよ。ね、律子」
律子「プロデューサーもまんざらじゃなさそうだし、やっぱり二人で止まらせて正解だったわね」
千早「確信犯だったの?」
律子「さあ、全ては雪の所為よ」
小鳥「…はぁ…賑やかね、あずささんも幸せそうで、本当に良かった……はぁ…私にも運命の人、来ないかなぁ…」
終
おつおつ
何だか何が書きたいのかよく分からなくなったけど、とりあえずこれでチョコを貰ったことにする。脳内変換素晴らしい。
あずさチョコ下さい
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