ユミル「ゆたんぽ」(50)

――とある朝

クリスタ「」ファア

クリスタ「おはよう、ユミル」

ユミル「おはよう」

クリスタ「今日も寒いね……」

ユミル「そうだな。そこらへんの雑草にも霜が降りてら」

クリスタ「ふふ、綺麗」

ユミル「そうか?」

クリスタ「日光が反射して、きらきら光ってて、私は綺麗だなあって思うの」

ユミル「ふうん」

ミカサ「でも、この時期の霜は本当に厄介」

ユミル「ぅおっ!?」

ユミル「突然現れるんじゃねえ!びっくりしただろ……」

ミカサ「驚かせるつもりは無かった」

クリスタ「おはよう、ミカサ」

ミカサ「おはよう」

ミカサ「クリスタ。あなたはこの霜が綺麗だと思うの?」

クリスタ「うん」コクリ

ミカサ「でも、開拓地の人や農家の人には、この霜は本当に厄介者。」

ミカサ「霜が降りると農作物がダメになる。」

ミカサ「ので、私は綺麗なんて思えない」

クリスタ「……」

ミカサ「でも、そういう風に思えるあなたが羨ましい」

クリスタ「そ、そうかな……?」

ミカサ「」コクリ

ユミル「開拓地に行って無かったりたり、家が農家じゃなかったら知らなくても当然だしな」

ミカサ「そう」

ミカサ「だからあまり気を落とさないで」

クリスタ「うん……」コクリ

ユミル「お前のせいで気を落としたんだろ」

ミカサ「ごめんなさい、クリスタ」

クリスタ「ううん、私も知らなかったとは言っても、ちょっと無責任な言葉だった」

クリスタ「こちらこそごめんなさい」

ミカサ「さっきも言ったように、あなたのその感性が羨ましいし、私は好き」

クリスタ「あ、有難う……」

ミカサ「捉え方は人それぞれ違う。ので、謝らないで。」

クリスタ「」コクリ

ミカサ「朝ごはん食べにいこう。みんなきっと起きて準備してる筈」

ユミル「解ったよ」

ユミル「行くぞ、クリスタ」

クリスタ「うん」

クリスタ「訓練兵になって、色々覚えた気がしたけど、やっぱりまだまだだなあ……」

ユミル「気にすんなって」

ユミル「それにまだ訓練兵になってから一年も経ってねえんだし、まだまだ沢山覚える時間はあるんだ」

クリスタ「……うん、そうだね!」

クリスタ「私もっと色んな事を覚えるよ、ユミル!」

ユミル「ああ、そうだな。頑張れよ」ワシャワシャ

ユミル(会った時からいい所の嬢ちゃん臭はしてたが……)

ユミル(まさか、あの貴族の――レイス家の――妾とはいえその子供だったとはなあ)

ユミル(きっと、不自由無く暮らしてきたんだろうな
社会的圧迫を除けば……。)

クリスタ「?」

クリスタ「どうしたの、ユミル?」

ユミル「いや、なんでもねえよ」

クリスタ「…ぁふ……」ファア

ユミル「また欠伸か?」

クリスタ「うん、最近足が寒くて、眠れてなくて。」

クリスタ「お布団に入っても、中々寝れない日が続いてるの」

クリスタ「靴下とか重ね履きしてもやっぱり駄目で……」

ユミル「ふうん……」

ユミル(家ではあったかぬくぬくのお布団で寝てたのか? 羨ましいこっちゃ)

おちんぽ?(難聴)

――座学

教官「――で、こうであるからであり――」

クリスタ「」ウトウト

教官「」コホン

教官「レンズ訓練兵」

クリスタ「ふぁい!」ビクッ

教官「この部屋には日が射して暖かいとは思うが、あまりうとうとしないように」

クリスタ「ご、ごめんなさい……///」

クリスタガイネムリ?
ウワーメズラシイナ ドウシタンダ?

ユミル「……」

教官「――だからであって――」

クリスタ「」シンケン

クリスタ「はふ……」ファア

クリスタ「」ウツラウツラ

ユミル「クリスタ」コソッ

クリスタ「はっ!」シャキン

クリスタ「……あ、ありがとうユミル……」

ユミル「いや…」





ミーナ「クリスタ、どうしたの?あなたが教官に注意されるなんて珍しい」

サシャ「私ならまだしも、クリスタですし」

クリスタ「最近あんまり寝れなくて……」

ミーナ「そうなの!?大丈夫?」

クリスタ「うん。寒くて寝れないだけだから」

クリスタ「寒いのはみんなおんなじだから、甘えた事言えないもん」

ミーナ「でーもっ! やっぱり“寒い”って感覚は人それぞれ違うしさ」

ミーナ「そうだ! 最近、暖かい靴下買ったんだ」

クリスタ「暖かい靴下?」

ミーナ「そう ちょっと高かったんだけど、これが中々いいんだよ」ジャーン

クリスタ「うわぁ、凄くモコモコ 暖かそう……」

ミーナ「今日さ、これつけて寝てみてよ」

クリスタ「えっ?いいの?」

ミーナ「うん! 二足あるから」

サシャ「私もクリスタにいいもの貸してあげます」ゴソゴソ

クリスタ「サシャも?」

サシャ「ちょっと厚手のシャツです」ジャーン

サシャ「クリスタの寝間着、ずっと薄いなって思ってたんですよ」

サシャ「もし良ければ使ってください」

クリスタ「サシャ……」

サシャ「使い心地が良ければ、また次のお休みの日にも買ってみてください」

ミーナ「うんうん。 困った時はお互い様だしね」

クリスタ「二人とも……」

クリスタ「ありがとう」ニコッ

ミーナ「いえいえ(天使の笑顔)」

サシャ「のーぷろぶれむです(女神の微笑み)」

ユミル「」ジー

ユミル(なんか面白くねえ……)

期待

タイトルがかわいい

ユミル「クリスタ~、風呂行こうぜ、風呂!」

クリスタ「うん」

トコトコ

アニ「クリスタ」ニュッ

ユミル「ぅおう!?」

ユミル「び、びびった…」

ユミル「お前もいきなり出てくんじゃねえ!」

アニ(お前“も”?)

クリスタ「どうしたの?アニ」

アニ「さっき寒くて困ってるって言ってたからさ」ゴソゴソ

クリスタ「?」

アニ「これ、あげる」

クリスタ「生姜葛湯……?」

アニ「そう。 それ飲んだら体が温かくなるから少しはマシになるかも」

クリスタ「アニ……」

クリスタ「ありがとう」

アニ「ん」スタスタ

クリスタ「凄いね、みんな優しい」

クリスタ「これで今日はぐっすり眠れそう!」

クリスタ「ね、ユミル」

ユミル「おうよ……」

クリスタ「ユミル?」

ユミル「……なんでもねえ」

ユミル(あー、なんか気に食わん……)ガシガシ





ユミル(あーあ、マジで気に入らねえな)ゴロン

ユミル(そうだ……)ハッ

ユミル「財布財布っと……」ガサゴソ

ユミル「あった」

チャリン チャリン

ユミル「げっ!」

ユミル(こんだけしかねえのかよ! )

ユミル(……先週寒いからってセーター買ったばかりだったんだ!)

ユミル「あぁあ」ゴロン

ユミル(私もクリスタに何か温かくなるもん買ったら気分も良くなるては思ったが、金が無かったらしょうがねえ……)

ユミル(でもあいつがまた居眠りでもして成績下がるのも見たくはねえし……)

クリスタ「」フーフー

サシャ「何飲んでるんですか?」

クリスタ「生姜葛湯だよ」

サシャ「私にもください!」

クリスタ「だ、駄目!」

ユミル「……」

クリスタ「アニから体が温まるから飲んでって貰ったやつなんだから!」

サシャ「なら仕方ありませんね―…… 残念です」

クリスタ「ごめんね」ズズッ

クリスタ「あっ、サシャから借りたシャツ、暖かいよ」

サシャ「でしょうでしょう?」

ワイワイ キャワキャワ

ユミル「」ハァ

ユミル(しゃあない。 ユミル様の特別出血大サービスだ。 )

ユミル(クリスタに普段のお礼として買ってやるか)

ユミル(少ないお金でも買えるものは沢山ある筈だからな
今度街に出て探してみよう)

――――
―――――――

――休日

クリスタ「ゆーみるっ!」

ユミル「なんだ?」

クリスタ「買い物一緒に行かない?」

ユミル(モコモコ靴下とか厚手のシャツとか買いにいくのか)

ユミル「いや、今日はちょっとやりたい事があってだな。すまん」

クリスタ「そっか。じゃあ仕方ないよね」

クリスタ「だったらミーナとかを……」ブツブツ

ユミル(さて、私も街へ繰り出すか)





ユミル「うーん、温かくするっつっても色々方法があるからなあ……」

ユミル(シャツや靴下みたいに外からと、飲み物みたいに内からと)

ユミル「なに買おうか困るな……」

ユミル「ん?」

『布団に入れるだけでぽかぽかぐっすり! 行火』

ユミル「行火、ねえ……」

ユミル(あいつは寒くて眠れねえっつってたからな。)

ユミル(もしかすると、これが一番いいかも知れない)

ユミル「って高ッ!!」

ユミル(私の所持金じゃ全然足りないじゃねえか!!)

ユミル(ただ暖めるだけの癖して、ぼったくりだ!!)

ユミル「」ハァ

ユミル(仕方ねえ、違う店で行火買うか)





ユミル「」トボトボ

ユミル「」ハァ...

ユミル(どこもかしこも変わらず行火は高え……)

ユミル(私でも買えるのが無かった事は無いが、それを買ったら私の所持金が底を尽きてしまう)

ユミル(給料日までまだ結構日がある。 それまで無一文っつーのも困りもんだな……)

ユミル「」ハァ

ユミル「」トボトボ

ユミル「あ……これは……」

『お湯であったか ゆたんぽ』

ユミル「ゆたんぽ!!」

ユミル(そうか、その手があったな!)

ユミル(用途は行火と変わりゃしない。 それに行火に比べりゃ、よっぽどリーズナブルだ)

ユミル「決まりだ決まり、これを買おう!」

ユミル(なんで最初っからこれにしなかったんだ、私!)

ユミル(これで、クリスタも安らかな眠りが出来る筈だ!)

――女子宿舎

クリスタ「見て見て、ユミル!」ジャーン

クリスタ「モコモコ靴下に厚手のシャツ! 買っちゃった!」

クリスタ「それに、葛湯も買って、今日は沢山買い物しちゃったよ」

ユミル「そうかそうか!」

クリスタ「あれ? なんだかユミルもご機嫌?」

ユミル「ああ、そうだ。ちょっといい事があってな」

ユミル「お前にプレゼントを買ったんだ」

クリスタ「えっ、私に?」

ユミル「そうそう」

ユミル「やるよ、これ」

クリスタ「これって、ゆたんぽ……?」

ユミル「ああ。これでお前の睡眠がぐっすり出来たらと思って」

クリスタ「こんな、高いもの……」

ユミル「高かねーよ」

ユミル(ま、行火に比べたらの話だが……)

ユミル「それに、お前がまたうとうとして起こすのも嫌だからな」

クリスタ「でも……」

ユミル「あげるって言ってんだから貰えるもんは貰っておけ!」

クリスタ「う、うん……!」

ギュウッ

ユミル「ッ!?」


クリスタ「有難う、ユミル!早速今晩使ってみるね!」

ユミル「……あぁ……」

クリスタ「」♪~♪~

ミーナ「機嫌がいいね、クリスタ」

クリスタ「今日、みんなから借りたものをやっと私も買えて」

サシャ「ほうほう」

クリスタ「それに、ほら!」

ミーナ「ゆたんぽ……?」

サシャ「ゆたんぽですね。 どうしたんですか? これ」

クリスタ「ユミルから貰ったんだ!」

ミーナ「ユミルが?」

クリスタ「うん」

クリスタ「これで私、もっとぐっすり寝れる気がするの」

サシャ「そりゃあ、よかったですね」

クリスタ「うん!」


ミーナ「ねえサシャ、私ユミルってクリスタには甘いって思う時があるんだ…」

サシャ「同感ですね。ユミルはクリスタに甘々です」


ユミル「」ヘクショイ

ユミル「風邪でも引いたか…?」




オヤスミー オヤスミナサイ
アシタノクンレンモ ガンバロウ

クリスタ「」ゴソゴソ

クリスタ「ふふふ」

クリスタ(ミーナから教えて貰った靴下、サシャからオススメされたシャツを着て、アニにアドバイスされた葛湯を飲んで……)

クリスタ(ユミルから貰ったゆたんぽを使って)

クリスタ(凄く、あったかいなあ……)

クリスタ「」スヤスヤ

――次の朝

クリスタ「きゃあぁっ!」

ユミル「ぅおっ……!!」ガバッ

モウアサ? ドウシタノクリスタ

ユミル「ど、どうしたんだ、クリスタ……!」

クリスタ「あ、……うん。みんなの事、起こしちゃったね……」

クリスタ「私はちょっとびっくりしただけだよ…」

ユミル「びっくり?一体何にびっくりしたんだ?」

クリスタ「これ……」ピラリ

フトン ビショヌレーン

ユミル「!?」

ユミル「お前、まさか、寝小便したのか……!?」

クリスタ「ち、違うよ! 多分、ゆたんぽの蓋がきっちり閉まってなくて……」

ユミル「あぁあ、やっちまったな……」

クリスタ「」ショボン

ユミル「次から気をつけねえとな……」

クリスタ「うん……」





ジャン「ん?こんな所に布団が干してあるな」

コニー「誰か寝小便でもしたのか?」

ユミル「違えよ。クリスタがゆたんぽの湯を溢したんだよ」

コニー「成る程な」

クリスタ「うう、恥ずかしい……」

ユミル「大丈夫だ、気にすんな」

ユミル(しかし、私のリアクションはコニー並みか……)トオイメ

ユミル「しかし、こんな天気で乾くかな…」

クリスタ「ねえユミル」

ユミル「なんだ?」

クリスタ「布団乾かなかったら、今晩一緒に寝ていい?」

ユミル「ああ、いいぞ」

クリスタ「やった!」


ライナー「」ジー

ライナー(クリスタの布団……いつも使ってる布団……)ジー

ベルトルト(ライナー、戦士の君は冬眠中かい?)





クリスタ「乾かなかったね、布団」

ユミル「乾かなかったな」

クリスタ「約束通り一緒に寝てもいい?」

ユミル「ああ」

ユミル(まさかこれを狙って…… いや、ないか……)

クリスタ「ユミルと一緒のお布団お布団」ゴソゴソ

ユミル「あっ、こらそんな真ん中に入んな。私が寝れないだろ」

クリスタ「えへへ、ごめんなさい」

ユミル「ったく……」ゴソゴソ

クリスタ「ちょっと狭いね」

ユミル「当たり前だろ、一人用なんだからよ」

クリスタ「ふふふ、あったかいなあ」

ユミル「そりゃ、モコモコの靴下履いてたり、厚手のシャツ着てたり」

ユミル「生姜葛湯飲んだらあったけえだろ」

クリスタ「それもそうだけど」

クリスタ「ユミルと一緒にこうやって居るのも温かいの」

ユミル「……そうか」

クリスタ「」ギュウ

ユミル「そんなにくっついて温かいか?」

クリスタ「もちろん」

クリスタ「ゆたんぽじゃなくてゆみたんぽだね」

ユミル「そうだな」

クリスタ「ねえユミル」

ユミル「なんだ?」

クリスタ「また一緒に寝てもいい?」

ユミル「ああ」

クリスタ「ふふふ、有難う」

クリスタ「お休み、ユミル」

ユミル「お休み、クリスタ」


この日、クリスタは最近で一番ぐっすり寝れたそうな


~終わり~

一緒に寝る二人が描きたかった結果でした。
ゆたんぽはしっかり閉めろよ!

ゆみたんぽでこっちも暖かくなったわ
乙乙!

あらかわいいw乙でした!

かわええな
乙!

おつおつ

いいもん見た

あったか乙

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