穏乃「露出への目覚め」 (114)


【奈良県 山】

穏乃「…………」

穏乃「んん~っ……」ノビー..

穏乃「…………ふぅ」

穏乃(なんか……インハイ終わってからどうも気持ちがパッとしないなあ)

穏乃(何が原因なんだろう?全国行きを果たして和とも再会出来たのに)

穏乃「…………これからどうしよう」

穏乃(特にやりたいこともないし……来年は全国優勝目指す?それもいいけど……うーん……)

穏乃「…………」

穏乃(……やっぱり気が乗らないなぁ……)

穏乃(山に来たら気持ちが晴れるかと思ったけどそうでもないし、もう帰ろう)テクテク..

穏乃「…………」テクテク..

穏乃「…………」テクテク..

穏乃「…………ん?あそこに何か落ちてる。雑誌かな?」

穏乃(まったく、山に捨てるなんてひどいなぁ)ヒョイッ

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穏乃「一体なんの雑誌…」

『投稿マニアッ倶楽部~マニアック×ラブ~』

穏乃「っ!?」ドキン!!

穏乃「こ、これは……」

穏乃(エッチな本だ)ドキ..

穏乃(こんなの、子供が見つけたらビックリするよ。本当にもう……)

穏乃「……………………」

穏乃「マニアック、か……」ボソッ

穏乃「…………」

穏乃(マニアックっていうことはすごい特殊な内容ってことだよね?)

穏乃「…………」

穏乃(どんなことが載ってるんだろう?想像もつかない……いや、マニアックじゃないのも想像つかないけどさ)

穏乃「…………」ソワソワ

穏乃(ちょ、ちょっと見てみようかな……周りに誰もいないし)キョロキョロ

穏乃(あ!それに……もしかしたら捨てたんじゃなくて落し物かもしれないし?どこかのページに落とした人の住所とか書いてあるかも……うん、可能性はゼロじゃない)

穏乃(そ、そうだよ!だから私がこの雑誌をちらっと読むのは全然おかしくないよね!ってことで…)


穏乃「よ、よぉし……」ペラッ..

穏乃「!!」

穏乃(わ、おっぱい出してる……おっきいなぁ……和には負けるけど)

穏乃(……それにしても、なんで女の人の目に黒い線が入ってるんだろう?)ペラッ

穏乃「あれ?いきなりページの雰囲気が変わった?」

穏乃「……………えっ!?」ドキン!

穏乃(こ、この写真の女の子……そ、外で裸になってる!?なんで!?あっ、説明文がある…)

Aさん『去年まで通っていた通学路で裸になった。後輩に見られちゃうかもしれないのがすっごく気持ちいい!』

穏乃「な、な、な……」

穏乃(これ通学路!?こんなところで裸になったら……色んな人に見られ……)

トクン...

穏乃「?」

穏乃「……今の……ちょっとソワソワして落ち着かない感じは……」??

穏乃(……っと、それよりこのページは一体…………あ、タイトルが書いてある。『露出狂ヘブン』か……)

穏乃(露出狂ってどういう意味だろう?……記事の最初から読めばわかるかな?)

露出王『このコーナーは、みんな大好き野外露出を扱ったコーナーだ!恥ずかしい姿を見せたい、見られたい女性諸君!全国誌でキミの痴態を晒すチャンスだぞ!写真に撮って、どしどし応募してくれよな!』

穏乃「…………野外……露出?」

穏乃(ここに載ってる人は、自分の恥ずかしい姿を見せたがってるのか……)

トクン....

穏乃「っ……まただ……この感覚……」

穏乃「…………はぁ」

穏乃(……このソワソワ感、すごく気になる…………けど、今は続きを読もう)

Bさん『先週、好きな男の子の前で女友達にスカートをめくられました。その日から見られたい願望が抑えられません。今日はその男の子の家の前で全部脱いじゃいました』

穏乃(えっ!?好きな子の家の前でって……外で脱ぐだけでも危険なのに、もし本人に見られちゃったら……)ドキドキ..

Cさん『田舎のバス停付近でおしっこ!誰か来たら終わる危機感でチョー大興奮♪』

穏乃(そんな……そんなことしたら危ないよ……)ドキドキ..

Dさん『今日は公衆トイレの個室で裸になりました。最初はそれでも興奮したのですが、次第に物足りなくなって鍵を開けました。もし誰かに開けられたらと想像した瞬間、ものすごい興奮に襲われました。もうやめられそうにありません』

穏乃「………ごくり」ドキドキドキ...

穏乃(やめられそうにない?そんなことが世の中にあるの?)

トクン...

穏乃「っ!」

穏乃(まただ……落ち着かないけど嫌じゃない感じ……)

期待


穏乃「…………」

『もうやめられそうにありません』

穏乃「…………っ」ゴクリ..

穏乃(……野外露出……外で裸になること……か)

穏乃「…………………………」

穏乃「………………ちょ、ちょっとだけ……やってみようかな」

穏乃(こうやってエッチな本を見つけたのも何かの縁だし!この山には滅多に人は来ないからね!ほんのお遊び!うん!)

穏乃「………………」

ドクン..ドクン..

穏乃(え、ええと……とりあえず、ファスナーを開けて……お、お腹の辺りまではだけさせてみよう……)

ドクン..ドックン..

穏乃(あ、あれ?手が…………手が震える……)ブルブル..

ドクン...ドクン...

穏乃(変だな……べ、別に誰がいるわけでもないし……ちょ、ちょっとの間、開けるだけなのに……)ブルブル..

ジッ...ジィーー..

穏乃(よ、よぉし……開けたぞ………)ファサッ..

ドクン..ドクン...

穏乃(あっ……私……今、胸を出してる……っ)ハァ..ハァ..

ドクン..ドクン...

穏乃(誰もいない……誰も見てないから大丈夫……なのに……どうしてこんなに…………興奮してるの?)

ドクン..ドクン..

穏乃(……胸でこれなら…………全部脱いだら…………?)ゴクリ..

穏乃「っ!」ハッ!

穏乃(何考えてんだ私!?全部脱いだら……は、裸だよ!?山の中とはいえ……裸なんて……)


ドクンッ!!

穏乃(誰かに見られでもしたら……)ハァ..ハァ..

ドクンッ!!!

穏乃(変態女だって……)ハァハァハァ..

ドクン..ッ!!!

穏乃(そんなの……私………)ハァ!ハァ!ハァ!ハァ!

穏乃「…………っ!!」

バサッ..(ジャージを脱ぎ捨てる)

穏乃「―――――」

穏乃(私…………はだか……)ブルッ..

穏乃(風が…………胸を……アソコを撫でて……)ガクガク..

穏乃(……全部……丸見え…………外なのに……)

『誰か来たら終わる危機感でチョー大興奮♪』

穏乃(そう……誰かが来たら……誰かに見られたら……私……)

穏乃(なのに……体が熱い………………気持ちいい……っ!)ハァァ..

ヒュゥウーーー...バサバサッ..

穏乃(あ……ジャージが……風で転がっていく………もしジャージがなくなったら………裸のまま家まで……)ゾクッ!

穏乃「~~~っ」ブルブルッ..

穏乃(ダメだよそんなのっ!急いでとりにいかないと、どんどん遠くまで飛んでっちゃう!そしたら…………)

穏乃( 裸 の ま ま 長 い 距 離 を 走 ら な い と い け な い ! ! )ゾクゾクゾク..ッ!

穏乃(そんなことになったら……きっと誰かに見られちゃうよぉ……っ!)ハァァ..


穏乃「はぁ……はぁっ……はぁ……」ブルブルッ..

穏乃(で、でも……まだ大丈夫……そんなに遠くまでいってないから、急げば数秒でとりに行ける。慌てるほどじゃない……)ハァ..ハァ..

ヒュゥゥ..バサバサッ...

穏乃(はぁ……そろそろ……まずいかな?いや、でも……もう少し先にある分かれ道の辺りまでなら平気なはず……)

穏乃(まだ……まだ大丈夫……)ハァ..ハァ..

ガサッ

穏乃「っ!?」

穏乃(誰か後ろにいる!?見られた!?)ゾクゾクゾクッ!

ドクン!!ドクン!!ドクン!!

穏乃「っ」クルッ!

穏乃「………………」

穏乃「誰もいない……」

穏乃(風で飛ばされた枝が茂みに入った音とか?とにかく、誰もいないみたいだ……)

穏乃「はぁ~……よかったぁあ」ホッ

穏乃「…………」

穏乃「……………」

穏乃「………………でも」

穏乃(今……誰かに見られたかもしれないと思った時……)

穏乃(焦りで血の気が引いてるのに全身が火照って……ノドがカラカラだし、アソコも熱くて……足が震える……今まで味わったことのない感覚……)

穏乃(すごく気持ちよかった…………ううん、今だって気持ちいい。風が吹く度にアソコがひんやりして……)

穏乃「……はっ!」

穏乃(い、今も裸のままだった!は、早くジャージをとりに行かないと!本当に見つかっちゃう!!)ダダダッ!

穏乃「はぁっ、はぁっ、はぁっ」ダダダッ..

穏乃(うっ……走ると余計に風が全身に当たって……自分が裸なんだと思い知らされる)ゾクッ..

穏乃(ジャージはどこに…………あ!分かれ道の先のところまで飛ばされてる!)

穏乃(あの道は一本道……結構遠くからでもこっちが見える。もし誰かがいたら裸で走ってるところを見られちゃう……)ゴクッ..


穏乃(でも、このまま帰れるわけないし……覚悟を決めるしかない!)ダダッ!

穏乃「…………」ダダダッ..

穏乃(もうすぐ分かれ道……3・2・1……)ダダダ...

穏乃「っ!」チラッ!

穏乃「……………………」

穏乃(だ、誰もいなかった……)ハァ..

穏乃(………………あれ)ダダダッ..

穏乃(今、私……がっかりした?)

穏乃(本当は誰かに見てほしかった……?)

穏乃「…………」

穏乃(そんなわけ……ないよね。とにかくジャージを拾って着よう)タタッ

スルッ..ジィーーッ..

穏乃「よ、よし、これで一安心」

穏乃「………………」

穏乃(そう……服を着て安心するのは普通。誰かに見られたい、なんて思うわけないよね……)

穏乃(………もう帰ろう)クルッ..


穏乃「あ……」

穏乃(本を拾ったところがあんなに遠い……)

穏乃(私、こんな距離を裸で走ってたの……?)

ゾクゾクゾクッ!

穏乃「ぁっ!?」

穏乃(やばい……またあの感じに……っ)ブルッ..

穏乃「はぁ……はぁ…………ん?」

穏乃(わ!アソコがすっごい濡れてる!?)

穏乃「……これって……エッチな気持ちになったから、だよね……?」

穏乃(もしかして……私も雑誌の子たちみたいな…)

『露出狂』

穏乃「ち、違う。ただ……エッチな本を見たから、ちょっと変な気持ちになっただけ……そう、それだけ……」

穏乃「………………」

穏乃「……とにかくシャワー浴びたいし……家に帰ろう」テクテク


【高鴨家 穏乃の部屋】

穏乃「…………」

穏乃(シャワー浴びて、すっきりしたのはいいけど……)

穏乃(エッチな本を持って帰ってきちゃってたのに気付いて……また体が……)ゾクゾク

穏乃「………………」

穏乃(うぅ……無性にあのページが見たい…………も、もう1回だけ見てみよう)ペラッ

『露出狂ヘブン』

穏乃「あぁ……みんなすごい格好……」ゴクリ..

穏乃(うわ!この写真……壁の向こうを人がたくさん歩いてる!そんな状況で裸……)

穏乃(…………私の場合だと……)


~~~~~~~~~~~~~~~~

【阿知賀女子学院 麻雀部 部室】

憧「それロン!」

玄「わぁ、しまった」

灼「玄、甘い」

宥「頑張って、玄ちゃん!」

憧「んー……それにしても、しず遅いなぁ」

灼「何かあったのかな?」



穏乃「…………」(部室前廊下で全裸。部室のドアに寄りかかるように座っている)

穏乃(ダメだよこんなの……みんなが頑張ってるのに…………もしドアを開けられたら……私、もう学校来れないよぉ……)

穏乃(すっごく軽蔑されちゃうし……もしかしたら……写メも撮られちゃうかも……)ゾクゾク..

穏乃(その写真を使って、恥ずかしいことを命令されるかもしれないよ……)

穏乃(そんなこと…………私っ…………)ブルブルッ...

~~~~~~~~~~~~~~~~


穏乃「はぁ……はぁ……っ……」

穏乃(想像しただけで…………また……熱く……)ペラッ

穏乃「はぁ…………あれ?」

穏乃(この写真の子、裸じゃないけど……これも露出なのかな?確かにスカートは短い。でも私が普段着てるジャージと丈は変わらないよ?)??

Hさん『露出初心者です。超ミニでギリギリを狙ってみました。普通にしてたら見えそうだけど何も見えない、でも動くと丸見え。自分のタイミングで露出できるのでお気に入りです。パッと見は普通の格好なので、堂々と街中を歩けるのもイイ!』

穏乃「えっ!?」

Hさん『女性からは蔑んだような目で見られ、男性からはイヤラシイ目で見られて超気持ちいい!こんな世界があったんですね!』

穏乃「…………」

穏乃(この記事が本当なら……私の格好も…………露出?)ドクン..

穏乃(私が走り回ってる時……全然気付いてなかったけど、蔑んだ目とかイヤラシイ目で見られてた?)

穏乃(記者さんとか、笑顔で接してくれてたけど……内心では私のことを……)

『露出狂』

穏乃「っ!」

ドクンッ!

穏乃「はぁっ……はぁっ…………あ」

穏乃(また……濡れて…………)ハァハァ..


母「穏乃~!!」

穏乃「っ!?」ドキン!

穏乃(び、びっくりした……リビングから呼んでるのか……よかった。今ドアを開けられてたらエッチな本読んでるのがバレるところだったよ)

母「ちょっとお願いがあるんだけど!」

穏乃「う、うん!なにー!?」

母「あんた今日ヒマでしょ?」

穏乃「うん!」

母「おつかい頼みたいのよ、いい!?」

穏乃「いいよー!」

穏乃(あ……私、こんなに濡れたままお母さんと普通に会話してる……)ドクン..ドクン..

穏乃(お母さんは当然気付いてない……いつもの日常と思ってる)

ドクンッ!!!!

穏乃「あ……」

穏乃「…………」

穏乃(……いつもの日常と思ってるなら…………もし私が……)

穏乃(……ジャージをまくって、下を全部出してても……気付かない……)ゴクリ..

母「ありがと!そんなに大した量じゃないんだけど、私これから出かけるからさぁ…」

穏乃(大丈夫……バレない……ちょ、ちょっとだけだから……)

穏乃「…………」(ジャージの裾を折り、巻いていく)

穏乃(これで……アソコとお尻は丸見え………)ゴクッ..

穏乃(でも平気……窓は閉まってるし、お母さんもドアの近くにいるわけじゃない。絶対バレない)ドクンドクン..


母「穏乃~!?聞いてるの!?」

穏乃「っ!ご、ごめん!何!?」

母「もう!買ってきてほしい物を言ったのよ!っていうか、顔ぐらい出しなさいよ」

穏乃「!?」

穏乃(まずい!……いや、顔だけなら問題ないか。それより……)

穏乃(下半身を丸出しにしたまま、お母さんの顔を見て話す……?)ゾクゾクゾクッ!

穏乃(ああぁ……)ブルッ..

母「穏乃~?」

穏乃(やばっ!返事しないと、部屋まで来ちゃう!)ガチャ!

穏乃「わ、わかってるよ!で、何を買えばいいの?」

母「じゃがいもと玉ねぎと人参、牛乳とカレールーをお願い」

穏乃「う、うん……」

穏乃(お母さんが私の顔を見てる……もちろん、そこにはなんの意図もないけど……私の体は……エッチな反応してるよぉ……)ドクン..ドクン..

母「お金はテーブルに置いとく。ジュースくらいならお釣りで買ってもいいから」

穏乃「わ、わかった」

母「それじゃお母さん出かけるわね」

穏乃「うん……いってらっしゃい……」

母「いってきまーす」ガチャ バタン..

穏乃「…………」

穏乃「……ぷはぁ!」バタン!

穏乃(……下半身丸出しのままお母さんと会話しちゃった)ハァ..ハァ..

穏乃「やば……手震えてるし……」

穏乃「っていうか……熱い……心臓がすっげーうるさい……体が…………うずく」キュッ..

いいゾ~これ


穏乃「…………どうしよう」

穏乃(すぐにでもジャージの裾を戻した方がいいんだろうけど……)

穏乃(…………今この家には私しかいない……)

ドクンッ!

穏乃「あ……」

穏乃(そう、私しかいない…………もし裸でいたとしても、誰も文句を言わない)ゴクッ..

穏乃「……………」

ドクン..

穏乃(……だったら少しくらいは……いいよね?)

穏乃(下半身を出しただけでもこれだけ気持ちいいんだ……全部脱いだらもっと……)ゴクリ

穏乃「よ、よし……」ジィーッ..

穏乃「っ……」パサッ..

穏乃「…………」

穏乃(あぁ……私、裸だ……)ゾクゾク..

穏乃(……窓は閉まってるし、カーテンも掛かってるから外からは見えないけど……)

穏乃「…………」

穏乃(ちょ、ちょっとだけ外を見てみよう)ファサ

穏乃(あ……おばさんが家の前を掃除してる……よく見る景色……)

穏乃(おばさん、私がこんな格好で覗いてるなんて想像もしてないだろうなぁ)ゾク..

穏乃(もし、カーテンを開けて声をかけたら、どんな反応をするだろう?)

穏乃(露出狂の変態だって……嫌な顔をするかなぁ?あぁ……今までは挨拶のしっかりしたいい子って言ってくれてたのに……明日から変態扱いされちゃう……)ブルブルッ..

穏乃(………っ!)

穏乃(ダメっ……そんなことしたら大変なことになるよ。お母さんにも知られちゃう)

穏乃(……きょ、今日は、家の中を裸で歩くだけにしよう。買い物にも行かないといけないし)ガチャ..バタン..


【リビング】

穏乃「はぁ……はぁ……はぁ……」

穏乃(部屋からリビングに来ただけなのに……すごく疲れた)

穏乃(緊張と……もしお母さんが急に帰ってきたら、という恐怖)

穏乃(でも……それ以上の……快感)

穏乃「はぁぁ……熱いよぉ…………」テク..テク..

穏乃「はぁ……はぁ………」

穏乃「あ……っ!?」

穏乃(電源の入ってない真っ黒なテレビ画面に…………私の裸が映ってる……)

穏乃(わ、私………こんなイヤラシイ顔して……っ……!?)

穏乃「~~~~っ!!」ガクガクガク..ッ!

穏乃「はぁ……っ……」ペタン..(座り込む)

穏乃(い、今………何が起きたの……?)

穏乃(ぁ……っ……お腹の下あたりが震えて…………っ……)

穏乃「………はぁぁあ…………」

穏乃「これ、ヤバイよ……」

穏乃(こんなに気持ちいいの……今まで味わったことない…………どうしよう…………もうやめられないかも……)


穏乃(――――私はこの日、露出という行為を初めて知った。そして露出によって得られる快感は人生観を変えるほどの衝撃で…)

穏乃(私は………露出行為の虜になった)

穏乃(それからというもの、私は露出することが日課になっていった)

穏乃(最初は家の中。自分1人になったら裸になって徘徊する。全てのカーテンを閉めているから外からはわからない。途中、窓から顔だけ出してみたりと、家で初めて露出した時と同じことをした)

穏乃(次は、お母さんがいる時に自分の部屋で裸のまま過ごす。お母さんに見つかるかもしれないドキドキ感がたまらなかった)

穏乃(そして今度は家に自分しかいない時、全てのカーテンと窓を全開にして、数時間裸で過ごした)

穏乃(もしかしたら誰かに見られたかもしれないけど、お風呂から上がったばかりと誤魔化せばいい、とむしろ見られたい気持ちが勝った)

穏乃(こうした行為を続けていく内に、露出願望は次第にエスカレートしていき、もう家の中だけでは我慢できなくなった)

穏乃(一番初めに体験した、山での露出をするようになったんだ)

穏乃(時には真夜中に家を抜け出して山へ行き、山の入口付近の茂みにジャージを隠して山を登ったりもした)

穏乃(これは、もし見つかったとしても、入口に戻らなければ服を着られない状況に自分を追い込むことで、今まで以上の気持ちよさを得るためだ)

穏乃(頂上から下山してジャージをとりに行く途中、たまたま山に遊びに来ていたらしい大学生のグループを発見した時は、心臓が止まるかと思った)

穏乃(身動きが取れなくて、裸のまま息を殺して隠れていた時の興奮は、今でも思い出すだけで…………たまらないものがある)

穏乃(やがて山での露出に慣れた私は、今度は舞台を学校へと移した)

穏乃(もちろん、見つかった時のダメージは家の中や山とは比べ物にならない)

穏乃(山も危険だけど、学校はそれ以上。騒ぎになったらそこで終わり。噂は学校全体に広まる)

穏乃(だから、学校で露出行為なんてしてはいけない……頭ではわかってる)

穏乃(でも……それでも、私は止まれなかった)

穏乃(最初はトイレ。個室内で裸になり、人気がないようならそのままドアの外へ出る。数秒間そのままの状態をキープし、危なくなったら個室に戻る。それを繰り返した)

穏乃(これがとんでもない快感だった。こっちに近付いてくる靴音を聞くだけでアソコが熱くなる。話し声が聞こえる度に、私の体を震わせる)

穏乃(他のパターンでは、部活が終わって、校舎内に麻雀部以外の生徒がいない時……部室から離れた一番上の階のトイレまで行き、入口で全部脱いで裸になる。そして、個室を使わずに排水溝におしっこしたりもした)

穏乃(あまりに興奮しすぎた結果、足がフラついて転んで、尻餅をついたままおしっこしちゃって、太ももとかお尻がびしょ濡れになった)

穏乃(本当に焦ったなぁ。水道でお尻を洗ってる時の時間がとてつもなく長く思えて、誰かが来たらどうしようって……)

穏乃(でも、その焦りがまた心地よくて……結局、どうやって家まで帰ったかを覚えてないくらい、頭の芯まで快感に染まってた……)

穏乃(この快感を忘れられなかった私は、さらなる快感を得るにはどうすればいいかを考えた)

穏乃(その結果出た答えは、学校内での露出をさらに過激にすることだった。見つかった時のリスクが高ければ高いほど快感を得られるとわかったから)

穏乃(これまでの行為をなぞるだけじゃ、前に味わった快感を超えるのは無理。だから次は、今までにないくらいステップアップした露出を決行しようと思う)

穏乃(そうすれば、過去に経験したことのない気持ちよさを体験できるだろうから……)


【阿知賀女子学院 1-○ 教室】

先生「……と、こうなるわけです」

穏乃「…………」

穏乃(授業が始まって20分。そろそろかな)

ドクン..

穏乃(…………ぜ、絶対大丈夫。いける……だから勇気を出そう!)ゴクリ..

穏乃「せ、先生!」

憧「?」

先生「高鴨さん?なんでしょうか?」

穏乃「あの……ちょ、ちょっと体調が悪くなっちゃって……保健室で休んでもいいでしょうか?」

先生「あら。高鴨さんが体調悪いと言うならよっぽどでしょうね……わかりました。では保健委員の…」

穏乃「あ!大丈夫です!保健室までなら1人で行けますので!」スクッ!

先生「そう?」

穏乃「はい!では失礼します!」テクテク..ガチャ

憧「…………」


【廊下】

穏乃「…………」バタン..

穏乃(……第1段階クリア)ホッ..

穏乃(よし。じゃあ…………は、始めよう……)ドクン..ドクン...

穏乃(まず……教室から少し歩いて曲がったこの辺りで……制服を脱ぐ)シュルッ..パサッ

穏乃「………………っ」

穏乃(あぁ……廊下…………学校の廊下で私…………裸に……っ!)ゾクゾクゾクッ!

穏乃(……って、ボーっとしてる場合じゃない。この脱いだ制服を……ここの使ってないロッカーに入れておく)ガチャ..パタン

穏乃(そしてこのまま……裸で…………下駄箱まで歩いて行って……)ブルッ..

穏乃(登校した時に下駄箱近くのロッカーにしまったジャージを着て、保健室へ行く)

穏乃(あぁぁっ……ここから下駄箱まで何百メートルもあるのに……そこを……裸のまま歩くなんて…………はぁぁ……)

穏乃(よ、よぉし…………い、行こう……)テクテク..


穏乃「…………」ドクン!ドクン!

穏乃(すごい……一歩一歩進んでいく度に、快感が増してる気がする……)

穏乃(歩けば歩くほど、下駄箱に近付くと同時に…………さっきしまった緊急用の制服から遠ざかる……)

穏乃(もしも中間地点で誰かに見つかったら……もうおしまいだ……)

穏乃(私は、授業中に裸で廊下を歩いていた変態として、学校中に知れ渡っちゃうんだ……)ゾクゾクゾクゾクッ!!

穏乃(そんな危険を犯してまでこんなこと……おかしいのに…………)テク..テク..

穏乃(私………今、最高に充実してる……気持ちいい…………ワクワクが止まらない……)

穏乃「はぁっ……はぁっ……///」テクテク..

穏乃(もう少しで階段だ……)

?「なかなか難しい問題ですね~」

穏乃「っ!!??」ドキンッ!!

?「ええ。ですから資料とにらめっこしてます」

穏乃(誰かが近付いてくる!声からすると2人!)

穏乃(どうしよう……声の感じからして、こっちに向かってるのは間違いないけど、上の階からなのか下の階からなのかがわからない)ドクンッ..

穏乃(引き返そうにも後ろの廊下は長い直線……見つかる可能性があるし、途中に資料室があるからそこを目指してるかもしれない)

穏乃(なら……上か下か……どっちかに絞って逃げるしかない!来る方向さえ合えば、見つからずにやりすごせる!)

?「生徒の質問にしどろもどろじゃまずいですからね」

穏乃(…………よし!下に逃げよう!)タタッ!

?「ええ」

穏乃「…………」ドクン..ドクン..ドクン..ドクン..

穏乃(お願い!上から来て!!)

すごくいいです、はい


?「できれば、今日中に片付けたいなぁ」テクテク..

穏乃(や、やった!上からだ!)ササッ!

穏乃(あとは……資料室に行くならこのまま隠れてればいいし、さらに下の階に行くなら、急いで先に行ってやり過ごせばいい!)フゥ..

?「あまり根を詰めすぎないようにね?」テクテク..

?「はい、そこらへんは上手く……」

穏乃(あ……こっち来ない。目的地は資料室だったみたい)

穏乃「…………はぁあ~……」グッタリ

穏乃(焦ったぁ……もう少しタイミングが遅ければ鉢合わせだったよ……)

穏乃「…………あ、今ごろ震えてきた」ブルブル..

穏乃(……でも、この恐怖もまた気持ちいいんだよね……)

穏乃(よし!難関をクリアしたことだし、この調子で下駄箱まで…)

?「しず……?」

穏乃「!!」

穏乃(え……)

穏乃(……この声……)

穏乃(……………………まさか……)チラ

憧「…………」

穏乃「!!!」

憧「…………」

穏乃「あ…………こ……?」


穏乃(どうして憧が!?憧は教室で授業を受けてるはず!憧がこんなところにいるわけない!)

穏乃(私は見つかったらおしまい。だから見つからないようにしてたし、今も先生に見つからなかったんだから、絶対見つからないはず……あれ?合ってるよね?私は見つからない……いや、でも見つかるかもしれないから気持ちよくて……)クラクラ..

穏乃(うぅ……わからない……頭がグラグラして……何もわからない。何も考えられない……どうしよう……)ガタガタ...

憧「誰……?」

穏乃「……ぇ?」ハッ!

憧「誰!」

穏乃「……だ、だれって?」

憧「誰かに命令されたんでしょ!?」

穏乃「え?」

穏乃(命令って……?)

憧「しずが体調悪いなんて言うからおかしいと思ったら…………誰がしずにこんなことをさせたのよ……」ググッ..

穏乃「……憧……」

穏乃(憧……本気で怒ってる?そうか……私が誰かにイジメられてると思って……)

穏乃(…………当然か。自主的にこんなことするとは普通思わないよね)

憧「って、それは後回しか。教室まで行ってあたしのジャージ持ってくるから、それまで隠れてて。階段を下りたところが死角になってるし、見つからないと思う」

穏乃「……ありがとう。でも下駄箱の方が早いんだ」

憧「えっ?」

穏乃「私のロッカーの中にジャージが入ってるから」

憧「そうなの?じゃあ取ってくる。すぐ戻ってくるから、ちょっと待っててね」タタタッ!

穏乃「…………」

穏乃(憧…………)


憧「おまたせ」

穏乃「ありがとう」ファサッ..ジィーーッ.

憧「……大丈夫?」

穏乃「え?」

憧「あんなことさせられて……」

穏乃「…………」

憧「……しず。あたしに話して?仕返しとか怖いかもしれないけど、あたしが絶対なんとかするから!」

穏乃「憧……」

穏乃(……本当のことを話したら、憧とは友達じゃなくなるかもしれないけど……でも……)

憧「あたしはしずの味方だから!ね?」

穏乃「……………………」

穏乃(…………ここまで私のことを思ってくれてる憧に嘘はつけないよ……)

穏乃「…………」

憧「しず?」

穏乃「憧……ごめん」

憧「え?」

穏乃「私……命令されてなんかないんだ」

憧「?」

穏乃「これはさ……自分でやったことなんだよ」

憧「……あたしを巻き込みたくないって思ってるの?その気持ちは嬉しいけどさ、しずにあんなことさせる相手をあたしは許せない」

穏乃「違うんだ。本当に自分でやったことなんだよ。誰にもイジメられたりしてない」

憧「え…………でも自分でってそんなの……」

穏乃「憧の気持ちはわかるよ。廊下を裸で歩くなんて、意味わかんないよね」

憧「…………う、うん」


穏乃「でもさ……私、その意味わかんないことが好きになっちゃったんだ」

憧「?」

穏乃「露出するのが……大好きになっちゃったんだよ」

憧「ろしゅつ?…………露出って………………えっ!!?」

穏乃「…………」

憧「ほ、本当なの?」

穏乃「うん」

憧「……もし誰かに見つかったら、そう説明しろって言われてるんじゃなくて?」

穏乃「うん……これは私が自主的にやったこと」

憧「…………」

穏乃「まだ疑ってる?憧を騙せるほど私は嘘が上手くないって知ってるでしょ?」ハハ..

憧「う、うん……それはそうなんだけど」

穏乃「ね?だからさ……これは本当のことなんだよ」

憧「…………」

穏乃「…………」

憧「……で、でも……」

穏乃「信じられない?」

憧「…………うん」

穏乃(それもそっか。どうしよう……どうすればわかってもらえるかな……)

穏乃(…………あ)

穏乃(憧に……見てもらうとか……?)


ドクンッ!

穏乃(私が露出して……どんなことになってたかを……)ゾクゾクゾクッ..

穏乃(それなら……一目でわかるよね……)

穏乃(憧にはすでに一度見られてるわけだし)

穏乃(よ、よし、決めた)

穏乃(憧に……エッチな私を見てもらおう……)ハァ..ハァ..

穏乃「…………」ゴクリ

憧「……しず?」

穏乃「あ、あのさ……今から…………しょ、証拠を見せるよ」

憧「証拠?」

穏乃「…………こ、これ見て」ジィーッ..(ファスナーを下げて前をはだける)

憧「なっ、なにを……?」

穏乃「……ここ、見て」

憧「えっ!?」

穏乃「私……裸で廊下を歩きまわって……ココをこんなにさせてるんだ……床に垂れちゃうぐらいに……」

憧「ぁ……////」ゴクリ..

穏乃「……今だって……憧に見つめられて興奮してる」ハァァ..

憧「し、しず……」


穏乃「憧の前で、こんなになってるのを晒して……恥ずかしいのに……たまらなく気持ちいいんだ……」ハァ..ハァ..

憧「………っ////」

穏乃「だから……全部本当のこと」ジィーッ...

憧「…………」

穏乃(憧……ビックリしてる………って当然か。友達がいきなり『露出好きです』なんて言ったんだから)

憧「…………」

穏乃(さすがに……軽蔑されるかな………でも、しょうがないよね……嘘ついて騙すよりはよっぽど……)

憧「…………好きなの?」

穏乃「え?」

憧「露出……そんなに好きなの?」

穏乃「……う、うん……」

憧「……………」

穏乃「…………?」

穏乃(なんだろう?この反応……想像してたのと違う)

憧「じゃあさ……あたしが手伝ってあげようか?」

穏乃「え…………ええっ!?」

憧「な、なによ……そこまで驚くこと?」

穏乃「うん……だって、普通はドン引きするというか……友達やめるとかいう話かなって思って…」

憧「確かに……ビックリはしたけど……友達やめるなんてありえないから」

穏乃「憧……」


憧「それにさ、しずが1人でそういうのやって捕まったりしたらヤダし」

穏乃「うっ」

憧「今回のだって、見つけたのがあたしだからよかったものの、他の子だったら超大変な騒ぎになってたよ?」

穏乃「た、確かに……」

憧「協力者がいれば、最悪のケースは避けられるでしょ?色々やりようあるし」

穏乃「うん……」

憧「……で?どう?」

穏乃「どう、って?」

憧「あたしの手伝い……いらない?」

穏乃「ええっと……」

穏乃(……その提案は私にとってすごくいい話だけど……)

穏乃「憧にはメリットないよ?本当にいいの?」

憧「もちろん」

穏乃「……後悔しない?」

憧「しないよ」

穏乃「憧……」

穏乃(……ここまで言ってくれるなら……頼ってもいいかも。露出狂ヘブンでは、露出狂とご主人様の二人一組でのプレイもアリって書いてあったし……って、別に憧をご主人様に、とかじゃないけど)

穏乃「じゃ、じゃあ……お願いして……いいかな?」

憧「うん。今度から、する時はあたしに連絡してね」

穏乃「わかった」

憧「じゃあ、とりあえずしずは保健室に行きなよ」

穏乃「あ、そうだね。憧は?」

憧「あたし?しずの様子を見に行くって抜け出して来たから、教室戻るよ」

穏乃「そっか…………憧」

憧「ん?」

穏乃「ありがとう」

憧「…………うん」ニコリ

穏乃「……それじゃ、また」タタタッ!

憧「は~い。あとでね」バイバイ

穏乃(最初はどうなることかと思ったけど…………見つかったのが憧でよかった)フフッ!


憧「………………」バイバイ..

憧「………………」バイバイ..

憧「………………」

憧(しずが……露出……)

憧(本当にビックリした……今でも信じられないくらい)

憧(…………でも、あたしにアソコを見せた時のあの表情……)

トクン..

憧(今まで見たことないくらい……魅力的だった)

トクン..

憧(興奮して……欲情して……濡らしたアソコを晒して…………見られたことにまた興奮して……)ゴクリ

憧(あの表情が見られるなら……あたしは……なんでもする……そう思えるぐらい)

憧(……インハイを経ても、しずの心の中にあたしは入れなかった。あくまで仲の良い友達止まり……)

憧(しずはあたしが抱いてる恋心には気付いてくれず、あたしもまた友達以上のラインには踏み込めなかった。だからこのままの関係がずっと続くのかと思ってたけど……)

憧(……今日、あたしは初めてしずの心の奥底へと入り込めた気がする……)

ドクン..

憧(誰にも……そう、きっと和にすら話していないしずの秘密を……あたしに教えてくれたんだから)


憧(――――この日から、あたしとしずの関係性は変わった)

憧(友達としての付き合いはそのままに、数日に一度、しずの露出を手伝うという関係だ)

憧(最初のうちは見てるこっちが冷や冷やしたし、これまでのしずとのギャップに戸惑ったものの、手伝いを始めてから数週間経った今は、大分慣れた)

憧(すると、色々なことがわかってきた)

憧(まず、しずはM……被虐嗜好の持ち主だと思う。しずのご両親は優しくて、あまり叱りつけるタイプじゃないみたいだから、今まで強く怒られることはなかったらしい)

憧(その反動か、叱られたい願望というか……やってはいけないこと、やったら怒られるであろうことをする喜びを感じてるっぽい)

憧(他にも、強い自己顕示欲の現れっていうのもあると思う。目立ちたい願望っていうと語弊があるかもしれないけど、人から注目されたい心理……)

憧(和がインターミドルで優勝した時の映像を観たしずが受けた衝撃は、幼馴染の活躍に触発されただけじゃなくて、華やかな舞台にいる和への羨望という側面があったのかもしれない)

憧(そういった要素に露出の羞恥や服を着ない開放感が混じった結果、露出にハマってるんじゃないかな?)

憧(だからか、裸で歩く時、見られたら困るし恥ずかしいけど、絶対に誰にも見られないとなるとあまり興奮しないらしい。興奮できたのは最初だけ、だとか)

憧(こうした傾向がわかったおかげで、あたしはしずが喜ぶであろうシチュエーションを与えてあげられるようになった)

憧(ご主人様的存在をあたしに求めてるのも気付いたし、そう振る舞うようにしてるから、前以上にしずはあたしを求めてくれてる……)

憧(…………でも)

憧(辛いこともある………あたしはしずの露出プレイの時、ご主人様のように振る舞ってるけど、それはあくまでただの役割)

憧(しずが……あたしの前ですっごくイヤラシイ姿を見せた時……しずを求めたいと強く思う…………でも、その願いは決して叶わない。しずはそんなあたしを求めてないから……)

憧(高ぶった気持ちと欲情した体は…………家に帰って1人で解消するしかない……)

憧(……時に、無理矢理押し倒してしまおうかという衝動に駆られる……)

憧(ご主人様として振る舞ってるあたしの露出命令に……頬を染めて、アソコを濡らしながら従うしずを見てると……何をしても許される気になるんだ……)

憧(でもそれは危険……裏切り…………しずはあたしを信頼して、自分の性癖を話してくれたんだから……)

憧(……そう、あたしとしずの間の距離は確実に縮まってる。だからこれからもあたしは、しずのご主人様のように振る舞ってしずを悦ばせるんだ。そうしていれば、いつかきっと……)


【ファミレス】

女店員「では、ご注文がお決まりになりましたら、こちらのブザーでお知らせください。失礼いたします」テクテク..

穏乃「……憧」

憧「んー?」

穏乃「も、もしかして……今日はここでするの?」

憧「そうよ」

穏乃「っ!こ、こんな場所で?ダメだよぉ……」

憧「ふふん。何言ってるのよ。嬉しいでしょ?みんなに見てもらえるかもよ?」

穏乃「あぁっ、あぁ……そんな……///」モジモジ..

憧「露出向きの店だよね。背もたれが高いから遠くから見えにくい。特にこの席は最高。窓からも離れてるし、隅っこだから用がなければ店員さんも通らない。でも、絶対に誰も通らないというわけじゃない」クスッ

穏乃「う、うん……」

憧「……じゃあそろそろ脱ぎなよ」

穏乃「っ///」ドクンッ..

憧「ほら早く。脱いだらあたしに渡してね」

穏乃「わ、わかった…………はい」ジィーッ..

憧「ん」パサッ

穏乃「…………///」

ワイワイガヤガヤ..

穏乃(ぅあぁ……私、ファミレスで裸だよ……こんなに明るくて、人もいっぱいいるのに……)ドクン..ドクン..


憧「あ、ごめん。ちょっとトイレ行ってくるね」スクッ..テクテク..

穏乃「え?あっ……」

穏乃(ジャージ持っていかれちゃった……憧が帰ってくるまで、全裸確定……)ゾクッ..

穏乃「…………」ハァ..ハァ..

穏乃(もし店員さんに見つかったら、警察に電話されて……)ハァァ..

女店員「いらっしゃいませー!!何名様でしょうか!」

穏乃「っ!?」ビクッ!

穏乃(うぅっ……心細い……でも気持ちいい……私を見て……ダメ………見ないで……)ドクン..ドクン..

?「おい、変態」

穏乃「ふぁっ!」ビクンッ!

穏乃(み、見つかった!!)ゾクゾクッ!

憧「……なんてね」

穏乃「え?あ……憧……?」ガクガク..

憧「あれー?誰かに見られたかもしれないのに、恐怖よりも快感が勝つんだ」

穏乃「う……それは……///」

憧「しずは真性の露出狂で……変態ね」クスッ

穏乃「あぁ……そ、そう……私は……変態……っ……///」

憧「ふふっ……じゃあそろそろ、店員さん呼ぼうかな」ピッ..

穏乃「え?あっ……そのボタン押したら……」

憧「店員さん来ちゃうね」

穏乃「じゃ、じゃあ……服……」

憧「うん」

穏乃「うんじゃなくて……店員さん来ちゃう……」ハァ..ハァ..

憧「うん」

穏乃「あ、憧ぉ……///」

憧「…………」

穏乃(全然聞いてくれない!このままじゃ……店員さんに裸を見られちゃう……っ)ブルッ..


憧「………もう、しょうがないなぁ。はいどうぞ」

穏乃「あ、ありがとう!」

憧「あ!言っとくけど、着ちゃダメだよ?」

穏乃「えっ?」

憧「口で咥えて」

穏乃「?」

憧「口でジャージを咥えて、それで体を隠すのよ」

穏乃「!!」

憧「前から見てバレなきゃいいんだから、十分でしょ?あ、もちろん手を使ったらダメね」クスッ..

穏乃「あぁ……」

穏乃(隙間から肌が見えるからバレちゃうよぉ……)ハァハァ..

憧「……呆けてるみたいだけど、そのままだと普通に全裸見られるよ?」

穏乃「っ!?」ハッ

憧「……ほら、襟のところを噛んで…………そう、そんな感じ……」

穏乃「ほ、ほう?」ハムッ..

憧「そうそう、バッチリじゃん。バレないバレない…………ふふっ、テーブルの下からだとアソコは丸見えだけどね」

穏乃「っふぉ、ふぉんなほほ……///」カァァ..

憧「あ、喋ったら落としちゃうかもよ?そしたら100パーでバレるからね」

穏乃「っ!」ブルッ..

女店員「お待たせしました。ご注文お決まりでしょうか?」

穏乃「!!」ドキンッ!!

穏乃(来たっ!と、とりあえず下を向いておこう!襟を咥えてるのを見られたら怪しまれる!)


憧「あ、はい。えーと……コーラと和風ハンバーグ」

女店員「はい。コーラと和風ハンバーグですね」ピッ..

穏乃「…………」フゥーッ..フゥーッ..

憧「…………しずは何にする?」

穏乃「っ!!?」ドキンッ!

女店員「…………」チラッ

穏乃(み、見られてるっ……私…………)ドクン!ドクン!ドクン!ドクン!

穏乃(大丈夫……ちゃんと隠せてるはず…………でも……もし……見えてたら……)ドクン!ドクン!ドクン!

憧「あたしと同じでいっか。コーラと和風ハンバーグ2つずつでお願いします」

女店員「はい、かしこまりました。えー、ご注文を繰り返させていただきます…」

穏乃(あぁ……っ……やばい……興奮しすぎて……)

憧「…………しず」ボソッ

穏乃「?」

憧「さっき言ったよね?テーブルの下からだとしずのアソコは丸見えだって」

穏乃「…………」コクリ

憧「気を付けてね?」

穏乃「?」

憧「…………あーっ、落としちゃったぁ……」パサッ(おしぼりをテーブルの下に落とす)

穏乃(一体何を……)

女店員「お客様、私がお取りいたします」スッ

穏乃「!」

穏乃(店員さんがしゃがんで……このままだと見えちゃう!どうすれば………あ!)


穏乃「っ!」パサッ!(口からジャージを離して下半身にかぶせる)

女店員「よいしょ…」

穏乃(あっ!?今度は上が……)

穏乃「っ!」パサッ..ハムッ!(手でジャージを掴んで口に咥える)

女店員「後ほど、代わりのおしぼりをお持ちいたします」

憧「ありがとうございます♪」

女店員「それでは、少々お待ちください。失礼いたします」クルッ..テクテク..

穏乃「ふぅっ……ふぅっ……ふぅっ……///」

穏乃(なんとか……なった?)

憧「あーあ……手を使っちゃダメって言ったのに」

穏乃「ほ、ほれは……」

憧「あっと、注文来るまではジャージはこっちに頂戴」ヒョイ..

穏乃「ぁっ……」ドクン..

憧「それにしても、約束を破るなんてねぇ……あとさ、しずが座ってる椅子……すごいことになってるね?ベチャベチャだよ」フフッ

穏乃「あぁあ……言わないでよぉ……///」ゾクゾクッ!

憧「そうだ。手を使った罰として、しずが濡らした部分はそのままにしておくこと。絶対拭いちゃダメ」

穏乃「えっ……」

憧「しずが垂らしたのは店員さんに拭いてもらおうね。なんで濡れてるか気付かれちゃうかも……次来た時にどんな顔されるだろ?」

穏乃「はぁ……はぁ……お願い……許してぇ……///」

憧「だーめ♪」

穏乃(あぁっ!もうこのお店に来れないよぉ……)ビクビクビクッ!

憧「ふふっ……ほんと、ヤラシイんだから……」ニヤリ


夕方

【憧の家付近】

憧「今日のはどうだった?」

穏乃「え?それは……///」

憧「ま、聞くまでもないか。すっごく感じてたし」

穏乃「い、言わないでよ……///」

憧(満足してもらえたようでよかった)フフッ..

憧「やっぱり人前の方が燃えるみたいね」

穏乃「う、うん………すごく気持ちいい///」

憧「んー……じゃあ今度は誰かに見てもらうとかどう?」

穏乃「え?」

憧「例えばさー……あまり会わない人。見られても学校を特定されない人とかさ」

穏乃「そ、それは……」ゴクリ..

憧(ふふ……期待してる期待してる……そうだ。ここはいっちょ意地悪してやるか)

憧「……あー、それともちょっと方向性を変えて…………和の前で露出とかどう!?なーんて…」

穏乃「っ!?ダメだよっ!!」

憧「ぇ……っ?」

穏乃「和に見られるなんて……絶対ヤダ!!」

憧「…………」

憧(この反応……照れ隠しとかじゃなくて本気で言ってる)

穏乃「…………」

憧(こんなにマジになるってことは…………やっぱり、しずは和が好きなのかな……)

憧(本当に好きな人の前では、露出してる姿は見せたくないってこと……?)

穏乃「あ……ご、ごめん……大声出しちゃって」

憧「……ううん、いいよ」

穏乃「……じゃ、じゃあ……私、帰るね?」タタタッ!

憧「………うん、じゃあね」

憧「…………」


穏乃「ふぅ……」テクテク..

穏乃(思わず怒鳴っちゃった……憧に悪いことしたなぁ……でも、憧がとんでもないこと言うから……)

穏乃(…………和の前で露出……)

穏乃(って、知り合いに見せるなんてできるわけないじゃんか。正直な話、憧の前で出すのだってすっごく恥ずかしいのに…………気持ちいいけど……///)

穏乃(というか、さっきは言い方間違えたなぁ。あの言い方だと『和以外なら見せていいの?』とか言われそうだ………ご主人様モードの憧なら特に)

穏乃(…………いや、大丈夫か!憧は頭良いし、私のことをわかってくれてるよねっ!)アハハ

穏乃(今日のだって……私好みの『見つかりそうだけど見つからない』っていう、ギリギリの際どいやつだったし)

穏乃(憧は露出趣味じゃないのに、こんなプランを考え付くなんてすごいよね。きっと私のためだけに頭を使って………………あ)

穏乃(そう……私のためだけだ…………憧は全然得しない……)

穏乃「…………」

穏乃(私、憧に頼ってばっかじゃん……なのに何も返してない……何もしてあげてない)

穏乃(憧は……私の露出趣味にも引かないでいてくれたし、秘密にしてくれてる。ううん、それどころか協力してくれて……)

穏乃「…………よし!」

穏乃(今度、憧に何かプレゼントしよう!そうだ、それがいい!)

穏乃(待ってろよ~、憧!)フフン!

普段からあんな丈短いジャージで、しかもノーパンノーブラかよ…!


憧「……………………」

憧(和には見られたくない、か………あたしはよくて、和はダメ……)

憧(あんなに必死に言わなくてもいいのに…………あんな言い方されたら、嫌でも気付いちゃうじゃん)

憧(しずにとって特別なのは和で、あたしは特別じゃない、ってさ……)

憧「はは……」

憧(そっか……最初から勝ち目なんてなかったんだね……あたしがしずの性癖を受け入れて、しずが喜ぶように手伝っても……恋人というポジションには到達出来ないんだ……)

憧(もしも……しずが学校で露出してるのを見つけたのが和だったら……きっとしずはアレコレ言い訳して、誤魔化してたんだろうね)

憧(好きな人に嫌われたくないのは当然だもん……)

憧「…………」

憧(あたしはただの友達だから……協力を申し出た時にしずは受け入れたんだ。最悪、あたしに嫌われても……和に嫌われなきゃいいんだもん)

憧「…………………」

憧(……あたしがやったことって、なんだったんだろ?)

憧(しずの望む通りにして、しずを悦ばせて。でもしずが好きなのは和で…………)

憧「あはは……しずのストレス発散の手伝いじゃん」

憧(あたしの気持ちにはまったく気付いてくれないし)

憧(露出の時だって、企画を練ったり場所を考えたり、あたしがどれだけ協力してるのか、全然わかってくれてない)

憧(…………それもこれも、しずを振り向かせるためだって頑張ってきたけど……)

憧(……今になって思えば、あたしがしずに協力する意味なんてなかったんだ。何やっても和が好きなのは変わらないんだし。得するのはしずだけ。あたしは何も…………あ)ハッ!

憧(そういえば…………あたしが協力するって言った時、しずは最初躊躇したけど、意外とすんなり受け入れた)

憧(あたし的にはしずが好きだから協力することに疑問はなかったけど、客観的に見たらありえない展開のはず)

憧(なのに、あんなにスムーズにあたしの協力を受け入れたのって……今考えると…………)

憧(あたしを利用しようとしてた?)


ドクンッ..

憧(そうだよ……あたしがこんなにしずを想ってるのに、その気持ちに全然気付かないなんてあるはずないもん。自分が和に恋してるならなおさら!)

憧(ってことは………あたしの気持ちをわかってて無視してたんだ…)

憧(露出を手伝わせるために、あたしの気持ちを利用したんだ!)

ドクン..

憧「……………」

憧(しずはあたしの気持ちが自分に向いていると気付いていた)

憧(だから、あたしがしずの露出趣味を知った場合、気を惹こうと協力するだろうと見抜いて……あえて学校で露出行為をした……)

憧(そう……絶対そうだよ……あのタイミングで保健室に行ったらあたしが心配して追いかけてくると思って……それでわざと見つかるように……)ギリ..

憧(恋人なんかじゃなく、露出をサポートするだけの関係。これならしずは自分の快楽を求められる上に、あたしは2人だけの秘密を持ってるという優越感から誰かに喋ることはない)

憧(露出行為は危険を伴う。その危険を防ぎ、かつ色々なプランを提供する従順な駒……それがあたし……)

憧(秘密を盾にしずに迫ろうとしたら、『憧を信じてたのに』とか言ってお茶を濁せばいいし、しずが和を好きだと知らないあたしは、慌てて謝って、元の関係に戻ろうとするだろうし)

憧(しずからすれば、理想の関係だ。なんて都合のいい……)

憧(それを…………あたしは……今まで……喜んで受け入れてた……っ!)ギリリ...

ドクン..

憧(しずに協力すれば、恋人同士になれるかも、なんて…………甘い夢を抱いて……)

ドクン!

憧(しずが好きなのは和で…………あたしのことはなんとも思ってないのに……)

ドクンッ!!!

憧「……はは…………あっははははは!!!」

憧(あたし……バカじゃん。ご主人様気取りでしずを手伝って…………これだけ尽くしても、結局あたしは駒………恋人にはなれない)

憧(どれだけしずを想っても……報われない………)

憧「…………」

憧「…………もういい」ボソッ..

憧(それなら……恋人になんかならなくていい).

憧(あたしがしずにとって唯一無二の存在であれば……しずが頼れる人間があたしだけになればいい……)

憧(そのためなら……あたしは…………)ギラリ..


数週間後

【奈良駅付近】

穏乃「今日はどうするの?」

憧「いいプランを考えてあるよ」

穏乃「おお、楽しみ……どんなの?」

憧「……ついて来て」テクテク

穏乃「うん……わ、ずいぶん狭い道だね……人ひとり歩くのがやっとだ」テクテク

憧「もう少し進むと、誰も通らない上にどこからも見えないゾーンがあるんだ」

穏乃「わ……そんな場所が……」ドキドキ..

憧「……ここ」

穏乃「本当だ……すごいなぁ憧は……よく見つけたね」

憧「まぁね。で、今日のプランだけど、まずここで裸のまま待機してもらう」

穏乃「うん」

憧「で、しばらくしたらあたしがしずの携帯に電話するから。そこで命令を伝える」

穏乃「なるほど」

憧「あ、そうそう。一応髪ほどいといて」

穏乃「え?なんで?」

憧「髪ほどいた方がしずだってバレにくいから。リスク軽減になる」

穏乃「あ、そっか……まだ明るいもんね。よいしょっと」シュル..

憧「よし……じゃあそろそろ脱いで」

穏乃「わかった」スルッ..

憧「服はあたしが預かる」

穏乃「っ……はい///」

憧「ん」ファサ

穏乃「はぁぁ……ちょっと怖いけど楽しみだなぁ……最近の憧、すっごいの考えるんだもん。本当に大丈夫かな?って思えるぐらいのやつ!」

憧「…………」

穏乃「でも最終的になんとかなるっていうか、なんとかなるようなプランを練って、私を守ってくれるんだよね!嬉しいな~」

憧「そう」

穏乃「憧だから安心して任せられるよ。いつもありがとう」ニコッ

憧「どういたしまして。それじゃあ後で電話するね」テクテク..

穏乃「はーい」

憧(あたしの方こそ、信頼してくれて嬉しいよ…………だからこそ、今日のプランを実行できる)フフ..


10分後

穏乃(…………遅いなぁ、憧。何かあったのかな?)

♪~

穏乃「きた!」ピッ!

穏乃「もしもし?」

憧『待たせたわね。今から命令を言うわね』

穏乃「うん」

憧『あたしに会いに来ること。それが命令』

穏乃「え?どういうこと?」

憧『説明すると……あたしはしずのジャージをコインロッカーの中に入れた』

穏乃「うん」

憧『そのロッカーのカギを持ってるのはあたし。だからあたしに会いに来ること。それが今回のプラン』

穏乃「っ!」ドクン!

穏乃(この辺りはまだ人通りは少ないし、すぐそばにコインロッカーがあるからほんの数秒とはいえ……街中を裸で……///)ゾクゾクッ!

憧『ちなみに、あたしがいる場所は奈良駅だから』

穏乃「……………………え?」


憧『電話するのがちょっと遅れたことでもわかるように、そこそこ距離あるから、頑張ってね』

穏乃「ちょ、ちょっと待ってよ!奈良駅までなんて無理だよ!!」

憧『だから言ったじゃん。今日のはすごいって』

穏乃「今までと次元が違いすぎるよ!人だって大勢いるんだよ!?絶対見つかっちゃうよ!!」

憧『うん。だから今回のテーマは、見つかることなんだよね』

穏乃「!!!」

憧『今までは見つかったらどうしよう……で快感を得てたよね。今回は実際に見つかってみようって話』

穏乃「な……な……っ」ガタガタガタ..

憧『女子高生が裸で歩いてる……注目されるよね。そこからどうするのか……大事なポイントだよ』

穏乃「うぅ……」

憧『警察に捕まったら学校で問題になるし、変な男に捕まったら……やられちゃうかも』

穏乃「っ!?」

憧『じっとしてたら写メ撮られて、ネットに晒されるかもしれない』

穏乃「そ、そんなことになったら……」

憧『大変よね。だから髪をほどいてしずだと気付かれにくくしたわけ』

穏乃「でも……それだけじゃ……」

憧『……ま、どうやり過ごすかはしずに任せるよ』

穏乃「…………」

憧『…………』

穏乃「ね、ねぇ……憧………こ、今回も……危ない時は助けてくれるんだよね?」ブルブル..

憧『安心していいよ。あたしだけはしずの味方だから。ただ、あたしは駅の中にいるから、ここまで来てくれないと助けられないけど』

穏乃「あ……」

穏乃(そうだった……じゃあ…………駅まで裸で行くのは確定……)

憧『アドバイスとしては、走って走って走りまくって……とにかく早く駅まで辿り着くことだね。信号で捕まったりしたら何されても文句言えないから気を付けて』

穏乃「ひっ……!」

憧『それじゃ……スタート!』ブツッ!

穏乃「…………」ツーッ..ツーッ..

穏乃「どうしよう……」

穏乃(今まで……裸で外を歩いたことはあったけど、はっきりと誰かに見つかりはしなかった)

穏乃(近くに憧がいたし、恐怖より興奮が勝ってたから大丈夫だった)

穏乃(だけど……今回は…………)

穏乃「………………」

穏乃(でも……やるしかないよね……ここから奈良駅は走れば5分足らず……うちまで裸で帰るよりは近い………)

穏乃(それに……憧が私の味方って言ってたもん。何かあったら助けてくれるはず)

穏乃「よ、よぉし……――――」ダッ!


穏乃「――――……はっ……はっ……はっ……はっ……」タタタタッ!

OL「えっ?何あの子……」

サラリーマン「うわ、露出狂だ」

穏乃「っ///」タタタッ!

穏乃(やっぱり……っ!人が大勢いるよっ!うぅ……みんな見てる……っ!恥ずかしい……でも…………あぁぁ…………熱いよぉ……///)ハァ!ハァ!ハァ!

おばさん「もしもし?ええ、目の前を裸の女が…」

穏乃(っ!?)ゾクゾクッ!

穏乃(まずいっ!早く!急がないと……って……信号が……赤になっちゃった!)

穏乃「くっ……///」ドクン..ドクン...

穏乃(無視したいけど……車が多くて……ダメだ。待つしかない)

ガヤガヤガヤ..

穏乃(うぅっ……こんな人が多いところで……裸のまま立ってないといけないなんて……っ!)ブルブルッ..

男A「なぁ、あんた露出狂ってやつ?」

穏乃「え……?」

男B「AV女優とかじゃね?」

男C「ありえねーって。どうみても中学生じゃん。AV出したら捕まんよ」

穏乃(囲まれた……っ!ジロジロ体を見られてる…………っ)

男A「どっちでもいいけどさ、めっちゃ濡れてね?」

穏乃「っ!」カァァ..


男B「AVじゃねぇなら趣味?キミ、エロイこと好きなの?だったら手伝ってやんよ」

穏乃「す、好きじゃありません……」

男A「好きじゃなきゃ全裸でこんなとこに来ないっしょ。正直に言えよ~」

穏乃「本当です。好きじゃないです……///」

男C「じゃあなんなんだよ?ご主人様に命令されました~……とかってやつだったり?んなわけねぇか」ハハッ

穏乃「あ…………そ、そう!そうです!!」

男C「え、マジ?」

穏乃「ご、ご主人様の命令で……だから私は……」

男A「ウソウソ。だって鬼畜すぎっし。ほれ、さっきから写メ撮られまくってるぜ?」

穏乃「え……?」

カシャ..カシャ..カシャ..

穏乃(あ……あぁ…………撮られてる……私の……裸…………もう回収は不可能……)ゾクゾクゾクッ!

男B「やっぱ嘘かよ。じゃあ俺らと遊ぼうぜ」グイッ

穏乃「っ!や、やめて!」バッ

男B「ぅわっ!」

穏乃(早く逃げないと…………あ、青になった)ダダッ!

男A「あっ、おい!!」

男C「逃げ足はえー……くそっ」

男B「ていうか、あんなのに関わったらマジヤバくね?ほっとこうぜ」

男A「……それもそうだな。こんなところでマッパになるとか、イカレてるしな」


穏乃(怖い……怖い……怖い……怖い……)タタタタッ..

穏乃(周りの人の目が怖い……私のことを……異常な人間を見るかのように見つめる目が…………怖い)

穏乃(怖い……怖い……怖い……怖い……)

穏乃(私の裸を見てる人たちの中に、もし知り合いがいたらと思うと、たまらなく怖い)

穏乃(怖い……怖い…………でも…………熱い)ドクンッ!

穏乃(誰かに捕まったらおしまいだけど……気持ちいい……学校にも通えなくなるかもしれないのに……気持ちいい……)

穏乃(気持ちいいけど……怖い……怖いけど…………熱い…………もう……何がなんだかわからない……)ハァ..ハァ..

穏乃(わかるのは……奈良駅に着いたら、もう走らなくてもいいってことだけ…………)タタタッ..


【奈良駅】

ザワザワザワ...

穏乃「はぁっ……はぁっ……はぁっ……」ダダダッ!

女子中学生A「何あれ……裸で走ってる……」ヒソヒソ

女子中学生B「最低……恥ずかしくないのかな……」

穏乃「……ん?あれは……」

穏乃(ならえき………ナラエキ………奈良駅…………奈良駅!?)ハッ!

穏乃(わっ、私、奈良駅に着いたんだ!)

サラリーマン「…………」ジロジロ..

タクシー運転手「…………」カシャ(写メ撮影)

穏乃(っ!早くコインロッカーを探さないと……あった!)タタッ..

穏乃(……あれ?ロッカーはあるけど憧がいない……)キョロキョロ

穏乃(どうして!?と、とにかく!電話……)

女子大生A「……あの子、なんかどっかで見たことあるような……」

女子大生B「知り合い?」

女子大生A「露出狂の知り合いなんかいるわけねーし。テレビかなんかだと思う」

女子大生B「芸能人?」

女子大生A「うーん……」

穏乃「っ!?」ドキッ!

穏乃(ヤバイ!!顔を見られないようにしないと!!それと、早く電話……)ピッピッ..トゥルルル..ガチャ


穏乃「あ、も、もしもし!?憧!?どこにいるの!?」

憧『しずこそ、どこにいるの?』

穏乃「私は……奈良駅だよ!早く来て!!」

穏乃(ここにいる人たちの中に、インハイを観た人がいるかもしれない!その人が私に気付いたら……)ゾゾッ..

憧『あちゃー……行き違いかぁ』

穏乃「えっ……?」

憧『あたし、しずを迎えに行っててさ…………今、しずがスタートした場所にいるんだ』

穏乃「………………………………え」

憧『もちろんジャージはあたしが持ってる。悪いけどさ、戻ってきてくれる?』

穏乃「…………」

憧『聞いてるの?』

穏乃「ぇ……?あ…………え?」

憧『しっかりしてよ。しずは今から裸のまま、スタート地点まで戻ってくるの。わかった?』

穏乃「………………あ…………」

穏乃(そんな………また……あそこに戻るの?ここまで来るのも大変だったのに……)ガタガタガタ..

憧『モタモタしてるとマジでヤバイよ?見られるだけですまなくなるかも……』

穏乃「っ!?わ、わかった!すぐ戻る!!」ダダッ!!


【奈良駅付近】

穏乃「はぁっ……はぁっ……」フラフラ..

憧「おかえりー」

穏乃「はぁっ……はぁっ……」

憧「よく頑張ったね」ニコリ

穏乃「あ……憧……」

憧「ん?」

穏乃「ひ、ひどいよ……こんなの……やりすぎだよぉ……」

憧「そう?でも気持ちよかったんじゃないの?」

穏乃「うっ……」

憧「『見られちゃうかも』で興奮するのは、見られることを想像して高ぶってるんだから、本心では見られたいってことでしょ?」

穏乃「それは……」

憧「しずが望んでたこと、叶ったじゃん。たくさんの人に、はしたない姿を見られたよ?」

穏乃「ぅあぁ……///」ブルッ...

憧「ううん、見られただけじゃない。きっと写メを撮影した人もいるよね。その人がネットにアップしたら、もっとたくさんの人がしずの裸を目にする」

穏乃「はぁ……っ……///」

穏乃(そんなことされたら……)ハァァ..

憧「もしその画像を壁紙にされたら……その人の前で、ずっと裸を晒してるのと同じだね」

穏乃「っ……///」ゾクゾクッ!


憧「……ねえ、気持ちよかったでしょ?正直に言いなよ」(耳元で囁く)

穏乃「ぅ……///」

憧「なんで言わないの?あたしの命令のおかげで、気持ちよくなれたんだよ?」

穏乃「ぁ……」

憧「あたしがいなかったら、一生こんな体験はできなかった……でしょ?」

穏乃「……う、うん///」

穏乃(確かに……私じゃ絶対ここまでしようと思わない……)

憧「だったらさ、あたしには正直に言わないとね?」

穏乃「うぅ……///」

憧「……そしたら、もっと気持ちいいプランを考えてあげるよ」

穏乃「っ!」ゾクッ!

穏乃(い、今のよりもっと……!?)ハァ..ハァ..

憧「もう1回聞くね……気持ちよかった?」

穏乃「そ、それより、恥ずかしいとか怖い気持ちが…」

憧「そんなこと聞いてない。気持ちよかったかそうでないか。答えて」

穏乃「それは……」

憧「気持ちよかった?それとも、気持ちよくなかった?」

穏乃「…………き、気持ちよかった///」

憧「……誰のおかげで気持ちよかったの?」

穏乃「憧……っ」

憧「そう。あたしが、しずに、命令、したから……しずは気持ちよくなれたんだよね。そうでしょ?違う?」

穏乃「ううん、合ってる。憧が命令してくれたから……///」

憧「そうね。あたしが命令したことを実行したから、しずは気持ちよくなったの」

穏乃「う、うん……」ハァ..ハァ..


憧「ふふ、聞かなくても、ここを触ればすぐわかっちゃうんだけど」ツツーッ..

穏乃「……っ!?や、やめて!触らないで……///」バッ!

憧「あ……」

穏乃「さ、さすがに……ね?」ハァ..ハァ..

憧「……こんなになるまで気持ちよくなれたのはあたしのおかげなのに、触られるのは嫌なわけ?」

穏乃「それは……」

穏乃(こんなところ触ったらばっちいし……恥ずかしいよ///)

憧「やっぱり和か……」ボソッ

穏乃「え?なに?」

憧「…………もういい。早く服着て。次行くよ」フイッ..テクテク..

穏乃「へ……?」

憧「今日はもう1個用意してるの」

穏乃「あ……で、でももうこれ以上は……」

憧「今度のは屋内だし、それほど過激じゃないから」

穏乃「でも……」

憧「…………今まであたしの言う通りにして失敗したことある?」

穏乃「……それは……ないけど」

憧「でしょ?それなのにしずは、あたしのプランを無視するの?」

穏乃「そ、そういうわけじゃ……」

憧「さっきも言ったけど、あたしはしずの味方だと思ってる。しずは、あたしをプランを考えるだけの都合のいい存在だと思ってるわけ?」

穏乃「ち、違うよ!」

憧「じゃあついて来て。あたしを信じてさ」テクテク

穏乃「う、うん……」

穏乃(憧がそう言うなら……大丈夫だよね………きっと…………うん)テクテク


【阿知賀女子学院 廊下】

憧「ただいま」テクテク

穏乃「おかえり。何してたの?」

憧「最終チェック。学校内で誰かに見つかったらヤバイからさ」

穏乃「あ……ありがとう。でもさ、その前にトイレ行きたいんだけど……」

憧「ちょっとだけ我慢して。そんなに長時間じゃないから」

穏乃「うー……わかった」

憧「よし。えーと……チェックの結果、先生は職員室とか体育館にいて、こっちの方には全くいない。生徒も同じ」

憧「運動部は体育館とかグラウンドで部活中で、文化系はほぼ全部休み。麻雀部も休みだしね」

穏乃「短時間でそこまで調べたんだ……」

穏乃(さすが憧……)

憧「……というわけで、ここで脱いじゃっていいよ。服はあたしが預かる」

穏乃「う、うん……」

穏乃(憧に見つかって以来、学校では一度も露出してないから緊張する……)ドキドキ..

憧「目的地は麻雀部の部室ね」

穏乃「!!」ドクンッ!

穏乃(部室……みんなでインハイ目指して頑張った……あの場所に……裸で……っ!?)

憧「鍵は開けてあるよ」

穏乃(みんなとの思い出の場所に…………私は……)ハァ!ハァ!ハァ!

憧「あたしは周囲を警戒しとく。ある程度堪能したら戻ってきてね」

穏乃「うん……わ、わかった。行ってくる……///」フラフラ..


穏乃(はぁ……はぁ……)テク..テク..

穏乃(この廊下……何度歩いたことだろう?)

穏乃(阿知賀こども麻雀クラブに通ってた時からだから…………きっと数えきれないくらいだ)テク..テク..

穏乃(憧や和、赤土さん、桜子たちと楽しく話しながら通った廊下……)

穏乃(そんな場所で露出してるなんて…………私、最低だよぉ……)ハァァ..

穏乃(でも……こんなことしちゃダメだっていう倫理感より、自分の思い出を汚す背徳感が強くて……気持ちいい)

穏乃(あぁ……とっくにわかってたことだけど……実感した……私はもう露出の魅力から逃げられないんだ)ドクン..ドクン..ドクン..

穏乃(一歩……また一歩って、部室に近付くにつれて……興奮と期待感が増して……)ハァ..ハァ..

穏乃(……周りの音が消えていく…………私の足音と心臓のドキドキと、呼吸しか聞こえない……)テク..テク..

穏乃(熱い。口が勝手に開いて、ノドが渇く)ゴクッ..

穏乃(唾を飲み込むだけで全身を撫でられたみたいな感覚が走る……)テク..テク..

穏乃(体中が敏感になってるみたい………早く部室に行きたいのに……足が震えて走れない……もうすぐそこなのに……)

穏乃(…………あと少し……あと少しだ)テク...テク...

穏乃「………………」テク...テク...

穏乃「…………」ハァァ..ハァ..

穏乃(着いた……部室……)

穏乃「…………」

穏乃(みんな……大切な部室を、私の性癖のために利用してごめんね……)グッ..


カチャ..キィィ..

穏乃「…………」テク..テク..

穏乃(あぁぁ……私……部室に裸でいるよぉ……)ゾクゾクゾクッ...

穏乃「~~~~っ///」ブルブル..ッ!

穏乃「ぁ……っ……はあっ……」ガクガクガク..

穏乃(気持ちいい……気持ちよすぎるよ……)ハァハァ..

?「何……してるの?」

穏乃「ぇ?」

穏乃(今の声……は……)チラッ


灼「…………」


玄「……し、穏乃ちゃん……」


宥「…………うぅ……」フルフル..


穏乃「………………え?」


穏乃(なんで……?なんで玄さんたちがいるの……?)

灼「穏乃、答えて」

穏乃「え……あ……えっ?ぅえ……お……」

穏乃(どうして!?どうしてどうしてどうしてどうして!)グラグラ..

灼「なんでそんな格好してるの?どう考えてもおかしいよね?」

穏乃「ぁ……うぁ……あ」ガタガタガタ...

穏乃(どうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうして!?)

ガチャ バタン

穏乃「っ!」クルッ!

憧「あたしから説明してあげるわ」

灼「憧……」

穏乃「……っ!憧!?」ハッ!

玄「憧ちゃん……知ってるの?」

憧「うん」

穏乃(憧……なんとかこの場を逃れる言い訳を……お願い!!)

憧「しずはね……露出狂なの」

灼・玄・宥「!!!」

穏乃「!?」


憧「肌を露出するのが大好きな変態。だよね?しず」

穏乃「ぁ……こ?」ガタガタ..

灼・玄・宥「…………」

灼「…………穏乃、本当なの?」

穏乃「うぅ……」

憧「わかってるくせに。裸で部室に入ってきたんだよ?それにあんなに濡らしてる」

灼「…………」

穏乃「!!」

穏乃(灼さんの目……すごく冷たい………汚いものを見るような……)ズキッ!

憧「廊下で服を全部脱いで、ここまで歩いてくる間に色々想像して興奮しちゃったんだよね?」クスッ

玄・宥「…………」

穏乃(憧……やめて……助けてよぉ……)

宥「あ、憧ちゃんは……穏乃ちゃんが……そうだって、知ってたの?」

憧「もちろん。手伝ってたからね」

宥「て、手伝ってた?」

憧「そうそう。しずが好きそうなシチュエーションを考えたりとか露出する場所を決めたりね」

玄「……これも……お手伝いなの?私たちを呼んだのも……」

穏乃「えっ?」

穏乃(呼んだって……なに?)

憧「うん、そう。せっかく部室で露出するなら、みんなに見てもらった方がいいっしょ?だから休みのとこ悪いけど来てもらったの」

穏乃「!!」

穏乃(じゃあ……みんなが部室にいたのは……憧の仕業ってこと……?)ギリッ..


穏乃「憧っ!!」

憧「何よ」

穏乃「ひ……ひどいよっ!!私を騙して……!」

憧「騙してなんかないって」

穏乃「だ、だって……誰もいないと思ったのに……みんなを集めてた!」

憧「玄たちに見られたくないなんて、一度も言わなかった」

穏乃「それは……そうだけど……でも言わなくたって…」

憧「『和に見られたくない』としか聞いてないからね。和以外ならオッケーなんでしょ?」

穏乃「そんな………」

憧「騙した云々については、バラしたら楽しさ半減だから黙ってた。それだけ」

穏乃「た、楽しくないっ!!く、玄さん!灼さん!宥さん!違うんです!これは……その……」

灼・玄・宥「…………」(顔を伏せる)

穏乃「み、みんな……?私の話を聞いてよ……」

灼・玄・宥「…………」

穏乃「どうして…………」

憧「普通、露出狂のいいわけなんてまともに聞かないって」

穏乃「そ、そんなことないよっ!」

憧「あっそ。じゃあ聞いてみようか?……宥姉」

宥「っ」ピクン

憧「宥姉はさ、奈良駅を裸で走り回る人を理解できる?」

宥「えっ!?」

穏乃「っ!」ビクッ

憧「しず……奈良駅でも露出したんだよ?しかも10分以上」

宥「…………」

灼「信じられない……」

玄「……う、うん…」


穏乃「あ、あれは憧が……!」

憧「確かに提案したのはあたし。でもさ、あたしはしずに携帯を持たせた。本当に嫌なら『できない』って電話すればいいだけの話だよ?」

穏乃「あ……」

憧「ま、あたしに命令されて仕方なくっていう方が興奮するから、そう思い込んでたんだろうけどね」クスッ

穏乃「………………」

憧「それにさ、今のしずが何を言っても説得力がないよ。格好もそうだけどさ、顔がね」

穏乃「顔……?」

憧「…………気付いてないの?自分の表情……」

穏乃「な、なにを言ってるの……?」

憧「……玄、言ってあげてよ」

玄「…………」

穏乃「く、玄さん?」

憧「ほら、早く」

玄「…………穏乃ちゃん」

穏乃「は、はい」

玄「穏乃ちゃんは…………どうして笑ってるの?」

穏乃「…………え?」

穏乃(笑ってる…………?え?誰が……?)

玄「今の状況で……どうして笑えるの?」

穏乃(私が……笑ってる……?)

憧「……ぷっ」

憧「あははははは!!」

穏乃「憧……」

憧「気付いてないんだ?みんなに見つかってからずっと、うっすら笑ってたよ?恍惚の表情を浮かべながらさ」


穏乃「!!」

憧「露出狂で変態のしずは、玄たちの前で裸でいることが……見下されるのが気持ちよくてたまらない!そうでしょ!?」

穏乃「そ、そんなの……違う……」

憧「だったらみんなの目をしっかり見てみなよ」

穏乃「…………」

灼・玄・宥「…………」

穏乃(みんなの目……)

ドクン..

穏乃(冷たい……)

ドクンッ...

穏乃(この感じ……奈良駅の……)

穏乃(……裸で必死になって走る私を見下し、バカにして、気持ち悪がるあの目に……似てる……)

ドクンッ!!

穏乃「~~~~っ!!」ビクビクッ!

穏乃(あ……ああ……)

灼・玄・宥「…………」

穏乃(気持ちいい………じゃあやっぱり憧の言う通り……?でも……私は…………違う……ううん、違わない……本当に?)フラ..

穏乃(あぁ……もう……何が何だかわからない……)クラクラ..

え…


憧「…………」テクテク

憧「しず」(穏乃の耳元で囁く)

穏乃「ふぇ……?」

憧「みんなの目、見たよね?」

穏乃「ぅん……」

憧「しずのこと、軽蔑してる」

穏乃「ぅん……」

穏乃(私を……軽蔑……)

憧「みんな、しずの露出趣味を受け入れられないみたい」

穏乃(私は……受け入れられない……)

憧「だったらさ、みんなのことは忘れて、とことん突っ走ったらいい」

穏乃「つっぱしる……」

憧「そ。しずを拒んだ玄たちは味方じゃないんだし、どう思われてもいいでしょ?」

穏乃「…………」

穏乃(そんなこと……ない。玄さんたちは……大切な仲間……ちゃんと話せばきっと…)

憧「もう、玄たちとは元に戻れない。しずを異質な存在として認識してるよ」

穏乃(そんなはずは………)

穏乃(…………でも……さっきの目……あれは……)

憧「……しずの味方は……あたしだけ」

穏乃「……ぇ?」

憧「今、麻雀部員全員がしずの露出趣味を知った。でも受け入れたのはあたしだけだよ」

穏乃「あ……」

穏乃(憧……だけ……)

憧「部員はあたし以外ダメ。じゃああとは誰がいる?クラスメイト?無理無理。一致団結してインハイを戦った仲間ですら受け入れられなかったのに、クラスメイトが受け入れられると思う?思わないよね?」

穏乃「……うん、思わない」

大好きですこういうの


憧「ね?しずの味方はあたしだけ。あたしなら、しずのどんな性癖だって受け止めてあげられる」

穏乃「憧……」

憧「実はね、今回玄たちに来てもらったのは、玄たちならしずの性癖を受け入れてくれると信じてたからなの」

穏乃(そう、だったんだ……騙したわけじゃなかった……)

憧「でも……玄たちは拒んだ。結果しずを傷付けちゃった。ごめんね」

穏乃(ううん、憧が謝ることじゃない……)

憧「だからここで改めて約束する。あたしだけはしずの味方で、しずとずっと一緒にいる」

穏乃「っ……うん……」

穏乃(そう……だよ。憧は私のために色々してくれた……)

憧「もうあたし以外の人間のことで悩む必要ない。誰に拒まれようが気にしないで。あたしが全部受け入れるから」

穏乃(憧が……全部受け入れてくれる……)

憧「……あたしのことだけ考えてればいいの」

穏乃(憧のことだけ……)

憧「ね?しずはあたしのことだけ考えてればいい」

穏乃(……憧の……ことだけ……)

憧「わかった?そしたら口に出して。『私は憧のことだけ考える』って」

穏乃「…………私は……憧のことだけ……考える」

憧「頭の中を『私は憧のことだけ考える』って言葉で埋め尽くして」

穏乃(私は憧のことだけ考える……私は憧のことだけ考える……私は憧のことだけ考える……私は憧のことだけ考える……私は憧のことだけ考える……)ボーッ..

憧「そう。それでいいの。しずがあたしのことだけ考えてれば、あたしがしずを守ってあげる」ニコッ

穏乃(……憧のことだけ考えれば憧が守ってくれる……憧のことだけ考えれば憧が守ってくれる……憧のことだけ考えれば憧が守ってくれる……)


憧「じゃあさ、最後の仕上げに入ろうか」

穏乃「…………しあ……げ?」

憧「そう。これから…………玄たちの前で、おしっこするの」

穏乃「!!?」ゾワッ..

憧「どんな反応するか……見てみたくない?」

穏乃「…………」ゴクリ..

憧「ふふっ……どう?」

穏乃「そ、そんなことしたら………きっともう……玄さんたちとは……」ドクン!ドクン!

憧「……言ったでしょ?玄たちはしずを拒んだ。もう関係ない。しずはあたしのことだけを考えればいいの」

穏乃「あ……」

穏乃(そうだ……私は憧のことだけ考える……私は憧のことだけ考える……憧のことだけ考えれば憧が守ってくれる……憧のことだけ考えれば憧が守ってくれる……)

憧「……しずが玄たちの前でおしっこするところが見たい。あたしはそう思ってる」

穏乃「あ……」

穏乃(憧が見たがってる……憧が望んでる……それなら……私は……)

憧「もう失う物は何もないよ?それどころかあたしが喜ぶ。デメリットはないよね?」

穏乃「………………」

穏乃(……そうだよ…………憧が望んでるんだから……私は……)フラフラ..

玄「!」

灼「し、穏乃……」タジッ..

宥「く、玄ちゃん……怖い」ダキッ

玄「……大丈夫だよ、おねーちゃん。穏乃ちゃんだもん……」

穏乃「…………」フラ..フラ..

灼・玄・宥「…………」

穏乃「…………」スッ(しゃがむ)

灼・玄・宥「?」

穏乃「ん……っ」

チョロ..チョロロロロロ.....

灼「っ!?」

玄「えっ!」

宥「……し、穏乃ちゃん……」

穏乃「はぁ……はぁっ……見てっ!憧っ!私、憧の言う通り……玄さんたちの前でおしっこしてるよぉお!!」

憧「ふふっ……」

玄「…………」

穏乃「ああっ!その目……いい!もっと!もっと見てくださいっ!!」チョロロロ..

灼「玄!い、行こう!」タタッ!

玄「う、うん!おねーちゃん!」

宥「あ……うん!」


憧「はいストップ」(ドアの前に立ちふさがる)

灼「!!」

憧「しずがせっかくおしっこしてるんだから、最後まで見てあげてよ」

穏乃「ありがとう憧……はぁぁ……はぁ……」チョロロ..

穏乃(憧……優しい……)ハァァ...

灼「……2人はおかしい。異常」

憧「そうかもね」クスッ

玄「うぅ……」ガタガタ..

宥「…………」フルフル..

憧「そんなに怯えなくても……ただ見てあげるだけでいいのに」

灼「とにかくどいて」

憧「……ちっ、わかったわかった。そんな睨まないでよ」スッ

灼「行こう」タタッ

玄・宥「……」コクリ

ガチャ バタン..

憧「………ふん」

穏乃「はぁあ……」

憧「終わった?」

穏乃「うん」

憧「拭いてあげる」

穏乃「え?でも……」

憧「大丈夫……」フキフキ

穏乃「ふぁ……んぅっ……///」ブルブルッ..

憧「……可愛い」

穏乃「あ、憧……?」

憧「………んっ」チュ

穏乃「っ!?ぁ……」

憧「…………っはぁ……」

穏乃「……い、今の……」

憧「あたしだけはしずの味方だっていう誓いのキスだよ」

穏乃「憧……嬉しい……」

憧「あたしも。だから……」

穏乃「?」

憧「しずは、あたしから離れちゃダメだよ?」

穏乃「あ……うん!わかってる!憧とずっと一緒にいる!憧のことだけを考える!」

憧「うん」

憧(しず……ずっと一緒だよ……)クスッ


憧(こうしてあたしは、しずの心を手に入れた)

憧(あたしのことだけを考え、あたしの想いを受け入れてくれるしず……)

憧(それは、長年の片想いが成就した瞬間だった)

憧(今まで報われなかった想い、そして願いが叶ったことに、あたしは過去味わったことのない幸せと喜びを感じた)

憧(これから先、しずと恋人同士としてずっと過ごしていく……そんな未来を想像するだけで、気分は高揚していった)

憧「……………」







憧(だけど………………)


2ヶ月後

【憧の部屋】

穏乃「ねえ憧!どうして!?」

憧「いや、だから言ったじゃん。授業中なんだからそんな頻繁にメール返してられないよ」

穏乃「でも……私からのメールだよ!?私、憧以外にメールしないんだよ!?」

憧「……そう言われてもさ。雑談メールだし……」

穏乃「ひ、ひどいよっ!憧のことを考えて送ったのに……」

憧「…………」

穏乃「うぅ……私には憧しかいないのに……」グスッ..

憧「………………」

穏乃「あこぉ……あこぉ~………」ヒグッ..グシュ..

憧「…………」

憧(玄たちの前で露出を行ったあの日以来、しずはあたしに依存するようになった)

憧(和へ向いている気持ちをあたしに向けるための計画が成功したためだ)

憧(しずを孤立させてあたし以外に頼れる存在をなくすこと。そうすればしずはあたしから離れられなくなる―――)

憧(だからあたしは、しずを奈良駅で露出させるという、極めて危険度の高いプランを実行した)

憧(大勢の人に見られることで過去最大の羞恥と快感を得るであろうしず。その快感はあたしが命令を下した結果得られたものだと思うように誘導すれば、しずはあたしを求めるようになる)

憧(もしも途中で知り合いに見つかったり警察に捕まったとしても、あたしにとっては好都合。しずの味方をする人間は家族以外であたしだけ。自然とあたしに頼る)

憧(捕まらなかった場合は、奈良駅で得た快感がおさまらないうちに部室へ連れて行き、玄たちの前で痴態を晒させることでしずの心の拠り所を潰し、その隙間をあたしが埋めればいい)

憧(これだけの強烈な体験をすれば、和への恋心以上に『あたしと一緒にいたい』『あたしだけは失いたくない』という想いが強くなるだろうと思った)

憧(そして、その通りになった。あたしの望んだ通りに……)


穏乃「……どうして何も言ってくれないの……」

憧「しず……」

穏乃「憧は私の味方なんでしょ?髪留めに誓ったじゃん!!」

憧「…………」

憧(髪留め……少し前にしずがくれたプレゼント)

憧(『ずっと一緒にいる。絶対に裏切らない』……その約束の証として貰った。お互い1個ずつ分けて持ってる)

穏乃「…………も、もしかして怒ってるの?」

憧「え?」

穏乃「……昨日エッチした時、私が先にイっちゃったこと……」

憧「は?そんなの全然……」

穏乃「だ、だったらさ!今、口でするから許して!ね?」

憧「大丈夫だって」

穏乃「いいからいいから」

憧「……本当に大丈夫だから」

穏乃「ううん、昨日は久々のエッチだったのに私ばっかりじゃダメだもん!ほら脱いで?あ、私が脱がしてあげ…」ズイッ

憧「いいって言ってるじゃん!!」ドン!

穏乃「っ!?」

憧「……ご、ごめ…」

穏乃「…………うっ……うう……」

憧「あ……」

穏乃「うわああああああああん!!!」

憧「………………」

穏乃「ごめんなさい!許して!!捨てないでよぉお!!わあぁぁあん!」グシュ..

……


憧「しず……」

憧(あたしは……ずっとしずが好きで、しずの気持ちをあたしに向けたかった。和よりも、あたしを見てほしかった)

憧(そして今、しずはあたしを……あたしだけを見てくれてる)

憧(でも……喜びの感情が湧かない。充足感も……全く無い)

憧(ずっと望んでたことのはずなのに、日を追うごとに心が冷めていく)

穏乃「あこ……あこぉ!!」

憧「……押しちゃってごめんね?あたしは怒ってないから」ナデナデ

穏乃「あこ……」グス..

憧「っ……」ナデナデ

憧(あたしは………………バカだ)

憧(……心が満たされない理由なんて、考えるまでもなかった)

憧(あたしが本当に望んでたのは…………こんな関係じゃない)

憧(自分勝手なワガママで……しずを、あたしにとって都合のいい人間に変えてしまった)

憧(あたしだけを頼り、あたしだけを見て、あたしに依存する以外の方法を考えられない、とても不安定な存在に……)

憧(なんてひどいことをしちゃったんだろ…………あたし……最低だ……)ポロッ..

穏乃「憧?泣いてるの?」

憧「っ……」

穏乃「どうして?」

憧「……しずを悲しませちゃったから……」

憧(もう天真爛漫なあの笑顔は二度と見れない)

穏乃「憧……大丈夫だよ」ダキッ

憧(あたしをぐいぐいと引っ張っていく背中も……)

穏乃「私は憧の味方だよ。どんなことをされたって私は絶対に裏切らないし、絶対に離れないから。安心して、ね?」

憧(もう二度と見れないんだ……)グスッ..

穏乃「私は、憧と一緒にいられて幸せだよ」

憧(……それは全部あたしのせい……だったら責任を取らなくちゃいけない)

穏乃「憧はどう?」

憧「あたし……」

憧(だから……しずが本物の幸せを見つけられるように……しずが心から笑えるように……)

憧「……あたしも、しずと一緒にいられて幸せだよ」ニコ..

憧(一生を懸けてでも償おう……――――)

<BAD END>

ハッピーエンドはよ


<別ルート>

>>38の次から

憧「…………」

憧(和には見られたくない、か………あたしはよくて和はダメって、やっぱきついなぁ……)

憧(しずがインハイを目指したのは和がきっかけだし、和を好きかもってのはなんとなくわかってたけどさ)

憧「………………」

憧(……でも、和って宮永さんと怪しい雰囲気だったし、普段は長野だからそうそう会えない。今のところは、しずとどうなるって感じはなさそうだよね)

憧(ということは…………チャンスかも)

憧(あたしは和も知らないしずの露出趣味を知ってるし、協力もしてる。前よりも一緒にいる時間が増えた)

憧(この調子でしずの手伝いを続けていけば、あたしのポイントはどんどん上がってくよね)

憧(…………本音を言えば、危ないからやめてほしいけど……)

憧(しず、すっごい喜ぶんだよなぁ……だからあたしもついついエスカレートしちゃうんだよね……バレたら大変なんだから気を付けないと)

憧(ファミレスの時なんて、ご主人様モード入ってたからちょっとやりすぎちゃったし……あれ以上を求めたらいつか見つかっちゃう……)

憧「………………よし」

憧(これからはもう少し安全っていうか、リスクが低い露出プランを練ろう)

憧(周りに誰もいなかったとしても、しずが気付かなければいいんだから、言葉巧みに誘導すれば大丈夫だよね)

憧(そうと決まったら次は……)

♪~

憧「ん?電話……しずからだ!」ピッ!

憧「もしもし!」

穏乃『憧?あのさ、今週の日曜って暇?』

憧「うん。暇だよ」

穏乃『よかった。じゃあさ、遊ばない?』

憧「ぁ……いいよ!何して遊ぶ?」

憧(しずから誘ってくれるなんて……さっそく手伝いの効果が出た)エヘヘ

穏乃『んとね、行きたいお店があって……――――』


日曜

【街】

穏乃「~♪」

憧「ふぁあ……」

穏乃「憧……なんか眠そうだね」

憧「え?あ、ううん、そんなことないよ」

憧(しまった……デート中にあくびとか最悪じゃん。今日を楽しみにし過ぎて寝不足になったとはいえ……)

穏乃「そう?ならいいんだけど……」

憧「うん……それで、どう?その服気に入った?」

穏乃「あ、うん!すっごく!こういう服はあんま好きじゃなかったんだけど、胸元がヒラヒラしてるからさ、屈んだりしたら胸がバッチリ見えちゃうじゃん?それがいいなって///」

憧「よかった」

憧(今回、しずの目的は露出に適した服を買うことだった。裾の短いジャージもいいけど、もっと生地が薄く、少しの風でめくれてしまうような物が欲しかったみたい)

憧(いい傾向だ。服を着たままチラチラと肌を見せるぐらいなら、もし見つかっても言い訳できるし)

憧(上手くいけば、これを機に露出度を下げられるかもしれない)ウンウン


穏乃「……あ、それでこの後なんだけど」

憧「ん?うん」

穏乃「一旦家に帰って、制服に着替えてもらっていいかな?」

憧「え?なんで?」

穏乃「学校に行きたくて」

憧「……学校?」

憧(なんか嫌な予感……)

穏乃「うん……きょ、今日は休みだから人少ないだろうし…………///」

憧(…………やっぱり)

穏乃「ま、前は平日だったから失敗しちゃったけど、今日は日曜だし大丈夫だと思うんだ」

憧「学校はリスクが高すぎるって。やめた方がいいよ」

穏乃「でも……」

憧「どうしても学校でしたいならさ、夜に忍び込むとか……」

穏乃「…………」

憧「…………」

穏乃「……憧は、反対?」

憧「…………うん。あたしは反対」

穏乃「そっか……」

憧(……しずのこの目は、絶対やると決めた目だ……あたしが賛成したら2人でやる。反対したら1人でやる……だったら)

憧「反対だけど……いいよ」

穏乃「え?」

憧「ダメって言ってもやめないでしょ、しずは」

穏乃「あ、あはは……」

憧「だからあたしが付き合ったげるわよ」

穏乃「ありがとう」ニコリ

憧「ん。でも、危なくなったらすぐ止めるからね」

穏乃「うん!」


【阿知賀女子学院 下駄箱】

憧「……で、どうするの?」

穏乃「んと……ここのロッカーにジャージを入れて、教室まで行く。そこで制服をどこかにしまって、ここまで戻ってくる」

憧「…………それ、あたしに見つかった時と同じやつじゃん」

穏乃「うん」

憧「やばくない?逃げ場ないよ?」

穏乃「だ、大丈夫だと……思う。先生とか見回りしてなければ……」

憧「…………」

穏乃「憧?」

憧「……1つだけいい?脱いだ制服は、あたしが持つ。これでどう?」

穏乃「ふむ」

憧「あたし1人じゃ完璧な見張りは無理。だからせめて見つかりそうになった時にすぐ渡せる状態にしておきたい」

穏乃「……そうだよね……見つかったら終わりのスリルは捨てがたいけど……憧がそう言うなら」

憧「決まりね」

穏乃「うん」

憧(よかった。これで少しはリスクを減らせる……)ホッ..

穏乃「それじゃあ、行こう」テクテク

憧(……なんかホッとしたら眠くなってきた……ってダメダメ!これからが本番なんだからシャキッとしないと………)


【廊下】

穏乃「よ、よし……脱ぐね?」

憧「うん……」

憧(休みの学校…………すごく静かで……やばい……また眠くなってきた)ボーッ..

穏乃「…………」シュルッ..パサッ..

憧「…………」

憧(……しずの体、相変わらずキレイ……すごく引き締まってるし)

穏乃「はぁ……はぁ……///」スルッ..

憧(興奮してるから肌が少し赤くなって……それがまたいい……)

穏乃「ふぅぅ……///」ブルッ..

憧(あ……しずの乳首が勃って……震えてる……触ってほしがってるみたい……)ドクン..

憧(……それならあたしに言ってくれればいいのに……そうすればこうやって…)スー..(穏乃の胸に手を伸ばす)

クニッ..

穏乃「ふぁっ!?」ビクン!

憧「…………」クニッ..クニ..

穏乃「あ、ああ……憧?」

憧「……え?何?」クニ..

穏乃「ど、どうして胸を……触るの///」

憧「…………っ!?」ハッ!

穏乃「///」


憧「ご、ごご、ごめん!わ、わざとじゃないの!ただ……寝ぼけてたというか、ボーっとしてて……」

穏乃「そ、そう……//」

憧「ホントごめん!」

穏乃「うん、大丈夫」

憧「そ、そう?ありがとう……」ホッ

穏乃「…………」

憧「…………」

穏乃「えと……それじゃ、行くね」

憧「そ、そうだね。あ!制服」

穏乃「うん、お願い」パサ

憧「ん」

穏乃「よ、よぉし……///」テクテク

憧(……さっきまでしずが着てた制服……体温が残っててあったかい……)ゴクリ..

憧(この生地に、しずの大事な部分が触れてたんだ……)

憧(あ……ここ、少し濡れてる)ハァ..ハァ..

憧(露出するという想像だけでこんなに……しず、ヤラシイ……)


憧(……に、匂いとか嗅ぐのは……さすがにヤバイかな……)

憧(あたしだったら自分の制服をしずに嗅がれるとか嫌だもん……汗でも気になるのに、それが…………ねぇ?)

憧(でも……本能が嗅ぎたがってる気がする……スカートのシミから目が離せない……)

憧(っ!ダメ!しずに知られたら引かれる!っていうか、今のあたし……制服を持ちながらヤラシイこと考えてるところをしずに見られてるんじゃ…)ゾクッ!

憧「し、しず!これは違………あれ?しずがいない……」

穏乃「」テクテク

憧(……って、もうスタートしてる!?あんな遠くに……)

憧(ヤバイ!早く追いついて行き先の安全を確認しないと!)タタッ!

憧「…………」タッタッタッタッ!

穏乃「」

穏乃「…」

穏乃「……」スッ..

憧(あっ!角を曲がっちゃった!急がないと!)タタッ!

?「何をしてるの!!」

憧「っ!?」ドキッ!

憧(この声……まさか…)


穏乃「あ……あぁ……」ガタガタ..

穏乃(ヤバイ……ヤバイ、ヤバイ、ヤバイ…)ドクン!ドクン!ドクン!

女教師「…………」

穏乃「そ、それは……その……」

穏乃(なんて言おう?正直に言ったらダメだよね?でも嘘がバレてもまずい……じゃあなんて言えば……)フラフラ..

女教師「はっきり言いなさい。どうしてそんな格好をしているのか」

穏乃「え……っと、いや……その……」

穏乃(あぁぁ……わかんない……どうすればいいか……わかんないよぉ……)

憧「すみません!!」タタッ!

女教師「?」

穏乃「……憧……」

憧「あたしがやらせました!」

女教師「!」

穏乃「!?」

憧「……今日、一緒に買い物行ったんですけど、しずが興味あるショップばっかり連れていかれて……あたしの行きたいところには全然回れなくて……」

女教師「…………」

憧「ちょっと頭にきて……罰ゲームとして裸で校内を歩け、って言ったんです……」

穏乃「!?」

穏乃(憧……私をかばうために……嘘を……)

女教師「それは……本当なの?」

穏乃「ちが…」

憧「本当です。実際服も買ってますから、ショップの店員さんに聞いてもらえば立ち寄ったのは確認できます」

女教師「いえ、そちらではなくて罰ゲームの方よ。今の話は本当なの?高鴨さん」

憧「本当です。ね、しず?」

穏乃「えっ……えと……」

憧「…………」ジィー..

穏乃(あの目……話を合わせてってことだよね……)

穏乃「…………はい、本当です」

穏乃(ごめんね……憧……)


女教師「……どうしてこのような罰ゲームをすることを受け入れたのですか?」

穏乃「え?」

女教師「ジュースを買ってこさせる、というような内容ならば友達同士で行うこともあるでしょう。しかし、裸で歩くなんていうのは罰ゲームの域を超えてます。何故拒否しなかったのですか?」

穏乃「それは……」

女教師「…………」

穏乃「……に、日曜に学校にいる人は少ないだろうから、大丈夫かなって思いました……」

女教師「人に見つからなければいいという問題じゃありません。裸で校内を歩くという行為そのものに対して、何も思うところはないのですか?」

穏乃(……その行為が好きでたまらない……なんて言えないよね……)

憧「あ、あの……全部あたしが悪いんです。あたしがカッとなってしずに罰ゲームをやらせたので……」

女教師「新子さん……」

憧「裸で歩くことに対して、しずは戸惑ってました!でも、制服を持ったあたしがすぐ近くにいるから、ほんの数メートル歩いたら返すって約束をして……でも、あたしがその約束を破ったんです」

女教師「…………」

憧「しずはあたしを信用してくれたのに……しずの後ろを追いかけなかった。振り返った時にあたしがいなかったら、裸のまま慌てるだろうと思って意地悪したんです」

穏乃(あ、ああぁ……そんなこと言わないでよぉ……想像したら……ヤバイから///)モジモジ..

女教師「…………」

憧「……ごめん、しず」スッ(制服を手渡す)

穏乃「あ、うん……」ファサッ..

女教師「…………」

憧「全責任はあたしが負います。友達にひどいことをした上、先生にも学校にも迷惑をかけてしまいました。申し訳ありません」

穏乃「っ!?憧!?全責任って……せ、先生!憧は悪くないです!私が最初に…」

女教師「……もう結構です」

憧・穏乃「!」

女教師「本来なら、友達間の罰ゲームであろうと問題なのですが……あなたたちの普段の生活態度と麻雀部での功績を考慮し……今回は不問にします」

憧「あ……」

穏乃「先生……」

女教師「もちろん、今回のみですよ?次に見つけた時は容赦なく処分を下しますので、そのつもりでいてください」

穏乃「は、はい!本当にすいませんでした」ペコッ!

憧「すいませんでした!」ペコッ

女教師「では……今日はもう帰りなさい」

穏乃「はい!」

憧「失礼します」ペコッ


【通学路】

憧「ふぅ~……危なかった。ごめんね、しず。あたしがボーっとしてたせいで……」テクテク

穏乃「ううん、憧は悪くないよ。それよりさ……どうして私をかばったの?」

憧「え?」

穏乃「今回の露出はさ、私が率先して計画したよね?憧は危ないって止めた。でも無理矢理実行して、結果見つかった。全面的に私が悪い」

憧「……いや、あたしだって悪いよ。止めたって言っても最終的にオーケー出したんだもん。それに、あたしがしっかりしてたら見つからずにすんだ」

穏乃「そんなことないよ……私が浮かれてたから……なのに、憧は私をかばって……もし停学とか退学になったらどうするの……?」

憧「あー……まぁ、そうだよね……でも……うん。あたし成績いいしさ、一応なんとかなるかなーって思って」ハハ

穏乃「でも……なんとかならないかもしれないのに……」

憧「…………それでも、あたしはしずをかばうよ。あ、別に自己犠牲とかそんなんじゃないよ?あたしはただ、しずが……」

憧(好きだから)

穏乃「私が?」

憧「……しずを大切な友達だと思ってるから」

穏乃「憧……」

ドクンッ..

穏乃(あれ?今の……露出する時の感じと似てるけど……ちょっと違う……)??

憧「…………」

穏乃(胸の辺りが温かくて……憧に大切だと思われてるのがすっごく嬉しい……)

憧「ちょ、黙らないでよ!なんか恥ずかしいじゃない!」

穏乃「ごめん」フフッ

憧「何笑ってるのよ!言っとくけど、あたしがピンチの時は、しずがあたしをかばうんだからね!」

穏乃「うん、約束するよ。憧が危ない時は私が助ける」

憧「え?あ……ぅ………その………今のは冗談……なんだけど……まぁ…………ぁりがと///」カァァ...

穏乃「うん」

憧「……じゃ、じゃあ……あたしはそろそろ帰るね。また明日」バイバイ

穏乃「また明日」バイバイ

穏乃「…………」

『しずを大切な友達だと思ってるから』

ドクンッ..

穏乃「…………」

穏乃(憧……)




【穏乃の部屋】

穏乃「…………」

穏乃(憧と別れて家に帰ってきてから、今日のこと、今までの露出のこと、憧のこと…………色々考えてみて気付いたことがある)

穏乃(それは……私は自分のことばかり考えてたってこと)

穏乃(憧が私のためにプランを練ってくれたりしていた時も、憧に任せておけば大丈夫だと思うだけで何もしなかったし)

穏乃(……なんか露出に目覚めてからずっと、自分勝手になってる気がする……)

穏乃(普通なら、色々と手伝ってくれた憧にプレゼントの1つでも…………あ!)

穏乃(そうだ……ちょっと前にもそんなことを思ったのにすっかり忘れてた)

穏乃(ああ……私ホントダメだ。今日以外にも憧に助けられたことはいっぱいあったのに……)

穏乃(憧が知ったら悲しむよね……ごめんね憧……)ハァ..

穏乃(……どうしよう)

穏乃(私が露出を続ける限り、今日みたいなことになる可能性はある……憧は優しいから手伝ってくれるだろうけど……)

穏乃(気持ちいいのは私だけで、憧は何もない。ただリスクを負うだけ……そんなの……絶対ダメだ)

穏乃(なら、どうすればいい)

穏乃「…………!」ハッ

穏乃(私が露出を……やめる……)

穏乃(そう……それだけで解決する。簡単な話だよ……最初から決まりきってたことだ)

ドクン..

穏乃「でも……」

穏乃(あの快感を忘れるなんて、できるのかな)

穏乃(体が痺れて、頭の中がすべて気持ちよさで埋まる、あの快感を……)

穏乃「っ!」ブンブンッ

穏乃(何考えてんだ私……憧の方が大事じゃんか!)

穏乃(今まで露出のことばっか考えてたのが間違いなんだ!もう露出のことは忘れよう!)

穏乃(うんうん!それでいい。山でエッチな本を拾う前の私に戻るんだ!)


2週間後

【阿知賀女子学院 麻雀部 部室】

穏乃「…………」

憧「しず?帰らないの?」

穏乃「え?あ、うん。今行く……」

憧「…………」

憧(しず……ここんところ様子がおかしい。元気がないわけじゃないけど物憂げで、たまにすごく辛そうな顔をする)

憧(なのに何かあったか聞いても何もないとしか言わない。露出の誘いもまったくないし)

憧(……いや、露出をしないのはいいことだと思うんだけど、今までのしずからすると2週間も空くなんておかしい)

穏乃「…………」テクテク..

憧「ちょっと待って」

穏乃「ん?」

憧「……何かあった?」

穏乃「……どうして?」

憧「だって元気ないから」

穏乃「……そう、見える?」

憧「うん。最近は毎日のように遊んでるじゃない。こないだの土日だってそう。そりゃ気付くよ」

穏乃「…………」

憧「…………アレの誘いもないしさ」

穏乃「!」ブルッ..

憧「……しず?」

穏乃「なんでも……ないよ」

憧「なんでもあるようにしか見え……えっ」

穏乃「////」ハァ..ハァ..


憧「ちょ、ちょっと……どうしたの?顔、真っ赤だよ?」

憧(それに、なんていうか……すごくヤラシイ表情……)ゴクリ

穏乃「あぁ、しまった……考えないようにしてたのに……///」

憧「……どういうこと?」

穏乃「////」

憧「……教えて」

穏乃「そ、その……//」

憧「…………」

穏乃「憧はわかってると思うけど、私……学校で先生に見つかってから、露出してなくて……」

憧「うん」

穏乃「だから……ムラムラというかウズウズというか……そんな感じでさ///」

憧(なるほど。それで……)

穏乃「露出のことを考えるだけでたまらなくなっちゃうから、ひたすら無心でいようと頑張ってるんだけど……」

憧「……だったらあたしに相談してくれればいいじゃん」

憧(エスカレートしすぎるのはまずいけど、我慢しすぎるのもダメだし……というか、しずはどうして我慢してるんだろう?少なくとも、今までは露出に関わることはなんでもあたしに聞いてきたのに)

穏乃「ううん、それじゃ前と同じになっちゃうから……」

憧「前と同じ……?」

穏乃「うん……憧が私のために色々してくれてるのに……私は露出の時、ずっと自分のことばかり考えてた。ひどいよね……」

憧「しず……」

憧(そんなのあたしだって同じだよ……自分がしずに好かれることだけを考えてたんだもん)

憧(しずを悦ばせようとして……ううん、しずによく思われようとして、どんどん過激なプランを練って…)

憧(しずがここまで露出にのめり込んだのは、きっとあたしのせいだ……)

穏乃「……憧は私を大切な友達だって言ってくれた」

憧「え?う、うん……///」

穏乃「私も同じ……私も憧を大切な友達だと思ってる」

憧「!!」


穏乃「だからさ、露出を続けて憧に迷惑をかけるのはやめようと思ったんだ」

憧「……あたしは迷惑なんて思ってないよ?」

穏乃「…………でもさ、私が露出してる。その近くに憧がいる、ってところを誰かに見つかったりしたら……」

憧「…………」

穏乃「ね?迷惑かかるでしょ?」

憧「それは……あたしが望んだことだし……」

穏乃「ありがと。でも危険だってわかってながら露出するのは私のワガママ。私のせいで憧が辛い目に合うのは嫌だし」

憧「しず……」

穏乃「……まぁ、そんなわけで露出をやめてみようと思ったんだ。そしたら何か変わるんじゃないかって」

憧「…………」

穏乃「毎日のように憧と遊んで……すごく楽しかった。健全な遊びっていうの?久しぶりな気がして新鮮だったよ」

憧「うん……あたしも楽しかった」

穏乃「でしょ?だからさ、私はもう露出なんかしなくたって全然大丈夫…………うん」

憧「大丈夫って……ムラムラするんでしょ?」

穏乃「う……ま、まぁそれはそうなんだけど……」

憧「…………」

穏乃「///」

憧「…………あ、あのさ」

穏乃「?」

憧「じ、自分で……アレしたりとか……しないの?」

穏乃「アレ?あぁ……してみたよ」

憧「したの!?」ドキッ!

穏乃「うん」

憧「そ、そう」

憧(しずが快感を貪ろうと自分のアソコを激しくいじる……うわぁ、エロイ……///)ドキドキ

憧(その時、何を想像したんだろう?あたしだったら嬉しいけど……///)


穏乃「でもダメだった」

憧「え?」

穏乃「……いいところまではいくけど、そこで止まっちゃうんだ。露出した時の快感には届かないんだ」

憧「…………」

穏乃「まるで……最後までいきたかったら露出しろって、体に命令されてるみたいでさ……」

憧「そっか……」

穏乃「………あ……で、でも大丈夫!だからってまた露出したいとか言うつもりはないよ!安心して!」

憧(しずは……この先ずっと我慢するつもりなのかな?あたしに迷惑をかけないように……)

憧(……確かに、露出しないでいられるならその方がいいだろうけど……その結果、しずが辛い思いをするならあたしは……)

憧(…………よし)グッ..

穏乃「慣れの問題だと思うから、きっとそのうち…」

憧「……いよ」

穏乃「え?」

憧「露出、してもいいよ」

穏乃「あ……憧?」

憧「過激な露出じゃなければ、上手く誤魔化す方法はあるだろうし」


穏乃「……できないよ」

憧「どうして?」

穏乃「だ、だって……この前みたいに見つかったら……」

憧「次はあたしがしっかりすれば避けられるよ」

穏乃「でも……私だけ楽しんで……」

憧「そんなことない。あたしはしずのエッチな顔見てるの好きだし」

穏乃「えっ……///」

憧(あ、やば……本音すぎたか……引かれるかも)

穏乃「そ、そうなんだ……///」

憧(あれ?意外な反応……)

穏乃「///」

憧「ま、まぁ…だからあたしのことは気にせずに…」

穏乃「っ!でもやっぱりダメだよ……」

憧「……なんで?」

穏乃「露出したいってのは私のわがままだし……憧に付き合ってもらうのは……ダメだよ」

憧(うーん……口で言ってもわからないみたい。それなら……)

憧「じゃあさ……」

穏乃「?」

憧「あたしの露出に付き合ってよ」

穏乃「…………え?」


【山】

憧「…………」

憧(この辺りなら人はいないし、遠くからも見えない……大丈夫よね)ドクン..ドクン..

穏乃「やっぱりやめた方が……」

憧(まずは上から……)スルッ..パサッ

憧「っ」ブルッ..

憧(ぅあ……っ!胸を出しただけなのに……怖い……心細くて……緊張する)

穏乃「はぁぁ……///」ゴクリ

憧(つ、次は……下よね……うぅ……)スルッ..

穏乃「!」ドクン..

憧「ぁ……」グラッ..

憧(あたし……外で……裸になってる)ゾワッ..

憧(うぅ……全然気持ちよくない……怖い……こんな格好、誰かに見られたらおしまいだ…………早く……早く服を着たいよぉ……)ガクガク..

憧(……でも、それじゃダメ。せめてもう少しこのままでいないと……)ブルブル..

憧「し、しずも……脱いだらどう?あ、あた……あたしと一緒に露出しよう……よ。ね?」

憧(これなら、一緒に露出することをあたしが望んでるように見える……だからもう我慢しなくていいんだよ?おいで……しず)ガタガタ..


穏乃「…………」

穏乃(憧……さっきから震えてる。気持ちよさからじゃなく、怖くて震えてる……本当は露出が苦手なんだ)

穏乃(それなのに……露出を我慢してる私を助けようとして……)

憧「しず……?」ブルブル..

穏乃「…………」

穏乃(私のために……苦手な露出をして…………こんなところで裸になってる)

穏乃(…………憧の……裸……)

ドクンッ..

穏乃(最近は一緒にお風呂に入ることがなかったから見る機会がなかったけど……こんなにキレイだったんだ……)

ドクン...

穏乃(鎖骨……胸……脇腹……)ゴクリ...

ドクン...

穏乃(おへそ……腰……お尻……)ドクンドクン..

憧「……しず?」クルッ

穏乃「!!」

穏乃(恥ずかしさで真っ赤な顔……私を見つめる目……)

ドクンッ!

穏乃「ぁ……――――」

ドクン..ドクン..

穏乃(あ、あれ?私、おかしいよ……脱いでないのに……憧の裸を見てるだけで……体が熱い……)ハァ..ハァ..

穏乃(どうして……っ!?憧に……触れたくてたまらない……)ゾクゾクッ..

穏乃(私の手で……憧の……色んなところを触って……ううん、触るだけじゃなく……舐めて……)


ドクンッ!!

穏乃「!!!」ゾワァアァ!

穏乃(あぁ……想像しただけで……たまらない気持ちになってきちゃった……我慢できそうにないよぉ……)ハァ..ハァ..

憧「ねぇ、どうしたの?」

穏乃(ぅぁあ……触りたい……撫でたい……舐めたい……キスしたい……もう、メチャクチャにしたい)ドクンッ!

憧「き、気持ちいいよ?し、しずもおいで」ブルブル..

穏乃(おいで?来てってことだ……裸の憧のそばに……私が……?)ハァ..ハァ..

穏乃(それってつまり……)ゴクッ..

穏乃「……いいの?」

憧「うん」ニコッ

穏乃「!!ぁ……うあ……」ドキッ!!

穏乃(憧が……私を求めてくれた……憧が……)

穏乃「……憧っ!!」タタッ!

憧「ぇ?」

穏乃「っ!」ガバッ!

憧「きゃっ!」


ドサッ...

穏乃「はぁ……はぁ……」(憧を押し倒す)

憧「ぇ……し、しず?」

憧(何この展開……?2人で露出する流れのはずなのに……)

穏乃「んっ」チュッ

憧「んゅっ!?」

憧(ええええっ!?しずが……あたしにキス!?)ドクンッ!

穏乃「……は……んむっ……ちゅ……」

憧「ふぁ……ぁん……っ///」

憧(あぁ、もう……わけわかんない……けど……嬉しい)

穏乃「憧……憧ぉ……」サワサワ

憧「ちょ……しず……そこは……///」

穏乃「憧ぉ……///」ハァァァ..

憧「うっ///」

憧(なんてヤラシイ顔してんのよぉ……そんな顔されたら拒めないよ)モジモジ..

穏乃「れろ……」ツツーッ..

憧「ぁんっ!」ビクッ

憧(初めてが外とか……ありえないかもだけど……しずとなら、あたしは……――――)

いっちゃいなよYOU


事後

穏乃「ご、ごめんなさいっ!!」ガバッ!

憧「ど、土下座なんてしなくていいって!」

穏乃「でも……私、無理矢理……」

憧「最初はそうだったけどさ、途中からはあたしも……その……ね///」

穏乃「うん……確かに1回終わってからは憧の方が積極的だったけど……」

憧「い、言わないでいいわよ!」

穏乃「ご、ごめん……」

憧「……でもさ……しずって……えと……露出以外じゃ最後までは無理だとか言ってなかったっけ?」

穏乃「あ!そうなんだよ!私もビックリしたんだ!憧にしてもらった時、露出と同じくらいの気持ちよさで……私、つい……///」カァァ..

憧「そ、そう……///」

穏乃「ご、ごめんね?顔に……その……///」

憧「だ、だから言わないでいいって!」カァァ..

穏乃「うん……」

憧「…………」

穏乃「…………」

憧「ねぇ、あたしは一緒に露出しようって言っただけなのに、どうしていきなり……その……きたの?」

穏乃「え?」

憧「それって……あたしのことを……///」

穏乃「……憧の裸を見てたらたまらなくなっちゃって」

憧「え?」


穏乃「ムラムラが爆発したというか……憧の体以外に意識が向かなくなって……気が付いたら押し倒してた」

憧「な、何よそれ……好きだからしたいんじゃなくて、体だけ欲しかったってこと?」

穏乃「っ!?ち、違うよ!」

憧「でも!いきなり押し倒してエッチして……終わったら土下座して謝って……」

穏乃「そ、それはそうだけどっ!」

憧「してる最中だって……好きとか全然言ってくれなかったし……あたしは何度も好きって言ったのに……」

穏乃「あ……そう!憧に好きって言われる度に胸がキュンってなった!すっごい嬉しかった!それで私も憧が好きなんだって気付いたんだよ!」

憧「しず………本当?」

穏乃「うん!気持ちよさが段違いだったもん!それは好きな子としてるからだよ!」

憧「他の子としたことないくせに」

穏乃「う、そうだけど……信じてよ」

穏乃(他の子にはあんな気持ちにならないってわかるもん)

憧「……でもさ……告白前にエッチとか……ひどくない?」

穏乃「うぅ……ごめんなさい」

憧「…………うーそ♪」クスッ

穏乃「え?」

憧「しずに好きになってもらえただけでも嬉しい」

穏乃「ぁ……」ドクンッ..

憧「ずっと片想いだったから」ニコッ

穏乃「憧……」

穏乃(そんな顔されたら……またしたくなっちゃうよ……)スーッ..


憧「えい」ピシ(穏乃の手を軽くはたく)

穏乃「わっ」

憧「……また体が先行してる」

穏乃「う……///」

憧「ねえ……しずはさ、あたしに露出の手伝いをさせたことを、自分のワガママって言ったよね?」

穏乃「え?うん」

憧「じゃあ……あたしもワガママ言っていい?」

穏乃「あ……うん。もちろん。何?」

憧「…………しずから……告白してほしい」

穏乃「あ……」

憧「ダメ……かな?」

穏乃「ううん。ダメじゃないよ」

憧「よかった」

穏乃「…………」

憧「…………」

穏乃「…………憧」

憧「はい」

穏乃「私は……憧が好き」

憧「っ……」

穏乃「いつからかは……ごめん、わかんない。好きだって気付いたのはついさっきだけど、いつから好きだったのかはハッキリしないんだ」

憧「うん」

穏乃「でもね、今この瞬間……私は憧が好きだって、胸を張って言えるよ!」

憧「うん……」グス..

穏乃「だから……私と付き合ってほしい。私、憧と恋人になりたい」

憧「……あたしも、しずが好き。しずと恋人になりたい」


穏乃「…………」

憧「…………」

穏乃「……これで私たち、恋人同士だね」ニコリ

憧「うん…………うぅ」グスッ..

穏乃「憧?」

憧「やった……やっとしずと……」

穏乃「あ……ええと……ハンカチハンカチ……」ゴソゴソ..

穏乃「あっ!!」

憧「……どうしたの?」

穏乃「すっかり忘れてた…………はい!」サッ!

憧「何?これ……」

穏乃「プレゼント!!部活終わってから渡そうと思ってポケットに入れたままだった」

憧「え?あたしに?」

穏乃「うん!色々お世話になったお礼に買ったんだ」

憧「ありがとう……開けていい?」

穏乃「もちろん!」

憧「…………」ガサガサ..

憧「あ……髪留め……」

穏乃「うん。ずっと身に付けてもらえるものがいいなって思って。憧が好きそうなやつだと思うんだけど……どうかな」

憧「ぅん……あたしの好みにピッタリ合うよ……ありがとうしず……嬉し……っ」グス..

穏乃「あわわわ……ご、ごめん!プレゼント持ってきた代わりにハンカチ忘れてきたみたいで……何か拭くもの…………あ、そうだ!」

穏乃「あ、あたしの胸で泣いてよ!な、なんちゃって……///」

憧「…………」ダキッ

穏乃「わ……///」

憧「しず……大好き……」

穏乃「憧……私も大好きだよ……」ギュッ


数週間後

【穏乃の部屋】

穏乃「ん……ちゅ……」

憧「……っ……」

穏乃「ぷぁ……」

憧「も、もうっ!勉強中なのに……///」

穏乃「だって……憧が私を全然見てくれないんだもん」

憧「しょうがないじゃん。ノート見ないと勉強できないでしょ?」

穏乃「やだ!憧は私をずっと見ててよ!」ギュッ..

憧「ぁ……///」

穏乃「憧ぉ」チュ..チュ..

憧「んっ……あたしは、ずっとしずを見てるよ?ううん、しずしか見えない///」サワ

穏乃「ゃ……っ///」モジ..

憧「……だから、早く勉強を終わらせてイチャイチャしよ?」チュ

穏乃「…………じゃあ勉強する。あ、その前に『しばらくしずを見つめられなくてごめんね』のキスして?」

憧「うん。しばらくしずを見つめられなくてごめんね?ちゅ、ちゅ、ちゅ……」サワ..

穏乃「んー……ちょ、胸……触られると……///」

憧「ふふっ……ごめんごめん。次はしずの番だよ?『勉強中は憧のこと以外を考えるけどごめんね』のキスして」

穏乃「でも私……勉強してても絶対憧のこと考えちゃうよ……ちゅ…///」

憧「しず…………もうっ!しずはホント可愛いなー!!」ギュッ!

穏乃「わぁ!」


憧「はぁぁ……勉強は後回しにしよ?イチャイチャしてからの方がはかどるし」スリスリ

穏乃「やった!」キュッ..

憧「///」ナデナデ

穏乃「///」スリスリ

憧「はあぁ……幸せ。最近は毎日こうしてるけど、全然飽きないよ」

穏乃「私も!憧と一緒だから……かな?」モジモジ

憧「こらっ!しず!可愛すぎるの禁止!」チュ..チュ..

穏乃「ふぁ……そこ……弱いのにぃ///」ハァァ..

憧「んっ……ちゅ……れろ……」

穏乃「あぁ……っ、もう……ダメ……ェ……///」

憧「ふふふ……可愛い」

穏乃「ちょ、タンマ……それはまた後で……ね?」

憧「はーい。今はまったりしよっか」

穏乃「うん」

憧「…………」スリスリ

穏乃「…………」ナデナデ

憧「こうして触れ合うだけでも……気持ちいいね」

穏乃「うん。ホントにそう思うよ」

憧「…………」


穏乃「…………」

憧「…………あの、さ」

穏乃「?」

憧「……しずは……よかったの?」

穏乃「え?何が?」

憧「…………露出、やめちゃって」

穏乃「あー…………うん」

憧「ごめんね、こんなタイミングで。でも気になって」

穏乃「そうだよね。憧の気持ちはわかるよ……でも、いいんだ」

憧「……あたしは別に反対してないよ?」

穏乃「それでも。私が決めたんだ」

憧「…………」

穏乃「私が露出にハマった理由って、自分でもよくわかんないけど、一番大きいのは快感だったと思う。この世の全ての中で、露出することが一番気持ちいいって思えるくらいだったし」

憧「……うん」

穏乃「でもね?憧と……その……した時は、露出以上に気持ちいいんだ。なんだろう……私を求めてくれてる喜び?好きな人に触れられる充実感?上手く説明できないけど……」

憧「……あたしもわかる気がする。しずとしてる時……いや、今こうして触れ合ってるだけでも、幸せすぎてたまらない」

穏乃「うん。私も同じだよ。だからもう露出する気にならないんだ。露出は私だけが満足、エッチは私と憧の2人が幸せになる。こっちの方が断然いいしね」ニコリ

憧「うん……」ギュッ..

穏乃「あ!もちろん、気持ちよさだけじゃないよ?憧のことは大好きだから一緒にいるだけでも…」

憧「わかってるって。必死すぎ」クスッ

穏乃「う、うん」

憧「ふふっ」

穏乃「………それとさ、付き合い始めてから何日か経った時、憧がポロッと言ったじゃん」

憧「え?なにを?」

穏乃「『しずはあたしだけのもの』って」

憧「あ……い、言った気がする……」

穏乃「でしょ?すっごく嬉しかったんだ~!私も『憧は私だけのもの』って心から思ったし!」

憧「うぅ……本心だけど、独占欲丸出しでちょっと恥ずかしい///」

穏乃「それだけ好きってことでいいじゃん!」エヘヘ

BAR?カップルですなぁ


憧「あ、でもそれがなんで露出をしないことと繋がるわけ?」

穏乃「んと……例えば憧が露出をする。露出をするということは、私以外の人に裸を見られるかもしれないよね?」

憧「うん」

穏乃「そう考えたら、絶対嫌だ!って気持ちになってさ。憧の裸は誰にも見せたくない!」

憧「しず///」

穏乃「でさ、当たり前だけど、それは憧も同じだって気付いたんだ。憧も私の裸を自分以外の人に見せたくないって思うよね?」

憧「もちろん!」

穏乃「やっぱりそうだよね。だから露出は絶対やめようって強く誓ったんだ!憧を悲しませるなんてありえないから!!」

憧「しず……///」

穏乃「……ま、そういうわけで、露出とはきっぱりお別れだね!思い出のエッチ本も、昨日ゴミに出したし」

憧「そっか」クスッ

穏乃「そ、それでさ……」

憧「ん?」

穏乃「なんか……憧の裸を想像したら……きちゃって///」

憧「もぅ……相変わらずエッチなんだから」フフッ..

穏乃「お母さん出かけてるし……いい?」

憧「うん……///」

穏乃「じゃあ……憧……」スーッ

憧「ん、ちょっと待って。髪留め外すから」サッ..

穏乃「あ、うん」

憧「しずにもらった宝物だから、傷が付かないようにしないと…」シュル..

穏乃「……ぁ」キュン

憧「よし、オッケー」コトッ

穏乃「憧……今のセリフは反則……///」

憧「え?」

穏乃「私にとっては……憧の全てが宝物だよっ!」ガバッ!

憧「ゎ!」

穏乃「憧……憧っ!好きっ!大好きっ!!」

憧「うん……あたしも好き…………しずが大好き。これからもずっと!……――――」


【ゴミ捨て場】

やえ「ふぅ……王者らしく道のど真ん中を散歩するのは気持ちがいい」テクテク

ヒュゥゥウ..バサッバサ..

やえ「ん?今の音は…………ああ、ゴミ捨て場の本が落ちたのか。まったく、ちゃんと紐で結んでおかないから……そんなざまではニワカ市民のニワカゴミ出しだぞ」

『投稿マニアッ倶楽部~マニアック×ラブ~』

やえ「な、なんだこのいかがわしい本は……マニアックだと?ふん、王道と正反対ではないか。ニワカ出版社のニワカ記者がニワカペンで書いた物なんだろうな」

やえ「…………」

やえ(しかし……何故か気になる。王者が気になる要素があのニワカペーパーにあるというのか……)

やえ「…………」キョロキョロ

やえ(人類が進歩したのは好奇心があってのこと。少しだけ……)テクテク..

ペラッ...

『露出狂ヘブン』

やえ(露出狂……?)ゾワ..

やえ(………………)フムフム..

やえ「!!」

やえ(な、なんだこの女たちは……こ……こんな格好で出歩くなど……)

ドクン...

やえ(いつ何時、見つかるかわからないだろう!それなのに何故嬉しそうな表情を……もし裸で歩いてるところを見られたら……)

ドクンッ!!

やえ(ぁ……)ゾクゾクゾクッ..

やえ(な……んだこれは……体が……熱い…?)ハァ..ハァ..

やえ(まずい……これは危険だ………これ以上この本を読んだらいけない……なのに、本から目が離せない)ゴクリ..

やえ(くっ……王者がこんな本を読んでいるところを見られただけでもダメだというのに……)

やえ(私は……どうして……興奮してるんだ……)


やえ(…………露出……か)

やえ(た、例えば……今私は道端にいる。ここで……スカートをめくったりするのも……露出だな)

ドクンッ!

やえ「…………」ドキドキドキ..

やえ(……露出が邪道だと文句を言うのは容易いが、そのためには一度体験してみた方がいい……うん、それこそが王者らしい)

やえ(よ、よし……)キョロキョロ..

やえ(……ここで……スカートをめくって……しばらく…………晒す……///)ハァ..ハァ..

ペラッ..

やえ(っ///)カァァ

ドクンッ!!

やえ(私は今……こんなところでスカートを……もし誰かに見られたら……///)

やえ(恥ずかしい…………でも、気持ちいい!これは……)ハァァア...

?「あ~~~!!!」

やえ「っ!?」ドキッ!

桜子「…………」ギバッ..

やえ「お、お前は…………」

桜子「…………」

やえ「…………ま、待て。これにはわけがあって…」

桜子「晩゛成゛高゛校゛3゛年゛生゛の゛小゛走゛や゛え゛さ゛ん゛が゛道゛端゛で゛ス゛カ゛ー゛ト゛を゛め゛く゛っ゛て゛る゛~゛~゛!!」

やえ「なぁっ!?」

桜子「露゛出゛狂゛ダ゛ァ゛ア゛ー゛ー゛!!!」

やえ「こ、この……ニワカ子供ぉおおお!!!」

おわり

歴史は繰り返す

読んでくれた人、どうもありがとう

超乙

乙~

ゾクゾクした


次回あるなら期待

おつおつ

乙乙ー

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