グンタ「おはよう」(35)
コンコン ガチャ
ハンジ「おっはよー!爽やかな朝だね!!」
グンタ「……うーっす」
エルド「……朝っぱらから元気っすね…」
ハンジ「はっはっは、君たち爽やかさのかけらも無いね!ひげ汚いよ、グンタ!!」
グンタ「…あー…まじっすか…」ジョリジョリ
エルド「壁外調査の打ち合わせ資料の準備でちょっと寝そびれちゃって…」
ハンジ「何だ、終わってないの?」
エルド「いや、終わったんですけど、朝の打ち合わせまで繋がっちゃったんでもう寝るのよそうかなって」
ハンジ「なんだなんだ、若いもんが。徹夜くらいでへばっちゃって」ハッハッハ
グンタ「言うほど若くないっすよ……」グテー
ハンジ「かくいう私も研究で一睡もしてないんだけどね!」ハッハッハ
エルド「まじっすか…そのテンションを維持するエネルギーはどこから来てるんですか…」
ハンジ「……いやー……」
エルド「うわ、いきなりテンション下がった」
ハンジ「実は最近、さすがに寝ないとキツくなってきてさー…そのマグ、飲んでないならもらっていい?」グテー
グンタ「落差が激しいっすね…まだ口つけてないんで、どうぞ」
ハンジ「もうちょっと若い頃は勢いでいけてたんだけどねー…ミルク取って」
グンタ「ですよねー…睡眠って大事だって思いますよ、ほんと。あ、これ食べます?」
ハンジ「何これ?」
グンタ「ペトラが作ってきた…オレンジ…何とか言うやつです」
エルド「ピール」
グンタ「そうそう。オレンジピール」
ハンジ「あー、コーヒーに合うね」モグモグ
エルド「寝不足の時にはありがたいですよね、甘いもの」
ハンジ「これ作るの、確かちょっとめんどくさいんだよね」
グンタ「そうなんすか」
ハンジ「やったことないから分かんないんだけどさ。結構マメだね。砂糖だって安くないのに」
エルド「そう言う所は女の子ですよね」
ハンジ「何言ってんの。可愛いじゃない、ペトラ。このむさっくるしい男所帯の中で正に掃き溜めに鶴」
エルド「さりげに俺ら落としてますよね」
ハンジ「いーわー。可愛い女の子良いわー」ズズー
グンタ「分隊長、そっちの気あったんすか」
ハンジ「バカだね。こんな仕事してると可愛い子は存在するだけでもう癒しなの。分かる?」
エルド「ハンジ分隊長は巨人が癒しなのかと思ってました」
ハンジ「癒しの要素は幾らあっても困らないのさ」ズズズ
グンタ「ペトラと言えばさ、こないだすっげー衝撃的なことがあった」
エルド「何だよ」
グンタ「駐屯兵団の同期と飲みに行ったんだよ。久しぶりに会ってそれはもう盛り上がって」
グンタ「その勢いでその…爽やかに汗をかきに行ってさ」
エルド「…っふww」
ハンジ「ふふっw」
グンタ「で、朝になって同期とも別れの挨拶を交わしてさ。『またな、戦友!』みたいな」
エルド「無駄に清々しいな」
グンタ「そのままの勢いで仕事来ちゃったんだよ。したら、ペトラに会って」
ハンジ「罵倒でもされた?」
グンタ「いえ、そんなんじゃないんですよ。何て言ったと思う?ペトラのやつ」
エルド「さぁ」
グンタ「おはよう!グンタ!」(裏声)
エルド「wふふwふww、ただの挨拶じゃねえか」
グンタ「違うんだよ。こう、美しい朝日の下でだよ。この世の汚れを知らなさそうな女の子が屈託の無い笑みで」
グンタ「おはよう!グンタ!」(裏声)
エルド「ふっw、それやめろw」
グンタ「爽快な気分が石鹸の香りと共に吹き飛んだね。俺、何やってんだろう…ってすっげー凹んだわ」
ハンジ「ほんとバカだねw」
エルド「…ん?それってこないだの休暇明けの話か?」
グンタ「あーっと…そうだな」
エルド「俺、お前が凹んでたから声掛けたよな。何かあったか、って」
グンタ「そうだっけか」
エルド「いや、朝っぱらから影作ってたからさ。そんな話かよ、しょうもねーな」
グンタ「俺的にはショックだったんだって」
エルド「返せ。俺の気遣い返せ」
グンタ「分かった。今度お前があのキラキラっぷりに打ちのめされたら俺が慰めてやる」
ハンジ「この世の汚れねぇ…調査兵団の精鋭だから、それなりにキツい場面には立ち会ってるんだけどね」
エルド「そう言われりゃそうですね。余り感じないけど」
グンタ「まだ19だったっけ。わっけーよなー」
ハンジ「……ラールはーまだー19だーからー……」ボソッ
エルド「…………」
グンタ「…………」
ハンジ「…………」
エルド「………………ふっww」
グンタ「…………ふへっwふっww」
ハンジ「……ふふふwww」
エルド「なんすかwそれwww」
グンタ「名字でいくんすかwあえてww」
エルド「そこかよw」
グンタ「多分、ペトラ本人が聞いてもきょとーんってされるだけですよ」
ハンジ「そうかな」
グンタ「ジェネレーションギャップ激しすぎて、会話にならないん…じゃ…」
ハンジ「……………」
エルド「……………」
グンタ「…………あの…スイマセン…」
ハンジ「……グンタ」
グンタ「……ウス」
ハンジ「…今度の査定、覚えとけよ」
グンタ「…ハンジ分隊長は俺たちの査定には関係ないと思いm」
ハンジ「エルヴィンに無いこと無いこと吹き込んでやる」
グンタ「ホントウニモウシワケアリマセンデシタ」
エルド「…バーカ」ボソッ
エルド「オルオも地味に若いんだよなー」
グンタ「あれだけは詐欺だろ、どう見ても俺らより年上じゃねーか。実はオルオじゃなくてオルオパパなんだろ」
ハンジ「言動は若いけどね。ふふw」
グンタ「あの兵長の真似?みたいな奴ですよね。笑えないんっすよ、痛くて」
エルド「ひでぇな。そっとしといてやれよ」
ハンジ「若さ故だよ。10年後に思い出してのたうち回れば良いよ」
エルド「オルオがこの間化粧水の束を抱えてたんだけどさ」
グンタ「似合わねーな。あいつもそんなとこに気ぃ使うのか」
エルド「ちらっと見えたんだけど、プロアク…何とか言う奴だった」
ハンジ「ふふふっw、ニキビ気になっちゃうんだ」
グンタ「そのチョイスがもう…何ていうか…わけーなー!もう!!」
エルド「何キレてるんだよw」
ハンジ「さっきから突っかかるねー」
グンタ「そんなつもり無いんですけど」
ハンジ「好きな子には辛く当たっちゃうんだよね」
グンタ「やめてくださいよ、訓練兵からかってるんじゃあるまいし」
ハンジ「ふふふ、心配してんでしょ。可愛い後輩なんだし」
グンタ「あいつほど可愛いって言う言葉が似合わない奴も珍しいですね」
ハンジ「あーじゃあ、元々の意味での『可愛い』」
グンタ「どういうことっすか?」
ハンジ「可愛いって言葉、元々は危なっかしくって見ちゃいられないって言う意味だったんだって」
エルド「あー、なるほど」
グンタ「危なっかしい、ねぇ」
ハンジ「良いじゃない。先輩として後輩が可愛いのは当たり前だよー」
エルド「まーあれだ、菓子作りだの化粧水だのに気が向くのは余裕が出てきた証拠だろ。悪いことじゃねーよ」
グンタ「余裕が出てきた頃が一番こえーんだよ。慢心は油断を生むっつの」
ハンジ「ほら、やっぱ心配してんじゃん」
グンタ「えー…じゃあもうそれで良いっすよ」
エルド「オルオはあれで討伐数はすげーからな。ペトラも優秀だし、そんなやきもきする必要ねーよ」
グンタ「してねぇって!」
ハンジ「ふふっ、素直じゃないねぇ」
ハンジ「エルドー、彼女元気ぃ?」ズズズ
エルド「何ですか、いきなり。今度は俺ですか」
ハンジ「いいじゃん。暇なんだし」
グンタ「俺見た事ある。清楚系の美人っすよ、髪の長い」
エルド「何で知ってるんだよ」
グンタ「いつか忘れたけど、調査兵団の詰所の近くまで来てただろ」
エルド「それ、大分前だぞ。よく覚えてるな」
ハンジ「んふー、良いねぇ。さあ、お姉さんに惚気話を聞かせてごらん」
エルド「嫌ですよ、んな素面で」
ハンジ「じゃあ、今度飲みに行った時」
グンタ「こいつ、酔っても口滑らせないからつまらないんですよね」
エルド「毎度毎度ゲロで締めるやつよりマシだ」
ハンジ「じゃあ今でも変わらないじゃん!ねーエルドー」クイクイ
エルド「嫌ですって」
ハンジ「ねー、その美人さんが初めての彼女ー?」クイクイ
グンタ「聞いてねぇw」
エルド「まさか。違いますよ」
ハンジ「えー、じゃあ初恋は?初恋ー。甘酸っぱい話聞きたいよー」クイクイ
エルド「何ですかもー、朝っぱらから」
ハンジ「さっきのペトラのフレッシュっぷりを聞いたらさー」
グンタ「そうやってフレッシュとか言う言葉が出てくるのがもうアレなんじゃないんすか…ね…」
ハンジ「……………」
エルド「……………」
グンタ「…………あの…スイマセン…」
ハンジ「……グンタ」
グンタ「……ウス」
ハンジ「…今度の壁外調査、背後には気をつけろよ」
グンタ「…さすがにそれは冗談キツ」
ハンジ「 気 を つ け ろ よ 」
グンタ「ホントウニモウシワケアリマセンデシタ」
エルド「…学習しろよ」ボソッ
エルド「初めての彼女とか…あんま思い出したくないっすねー」
ハンジ「ふふふ、苦い思い出ー?」
グンタ「分隊長、大分眠いんじゃないんですか?」
ハンジ「眠いよー?多少ウザい絡みは我慢してねー」
エルド「タチわりぃな…」
ハンジ「いやー、聞きたいなー。苦い思い出聞きたいなー」
エルド「あーもう。端的に言えば緊張しすぎて中折れして、気まずくなってそれっきりです」
グンタ「ふっw、あるある」
ハンジ「うーん、甘酸っぱいのかなー。微妙だなー」
エルド「ご期待に添えなくてすんません」
ハンジ「初めての彼女じゃなくてさー。初恋よ、初恋。実らなかった想い的なさー」
エルド「えー…名乗るならまず自分からでしょ。分隊長はどうなんすか」
ハンジ「うふふ、私はいつも片思いだよ」
グンタ「相手巨人じゃないっすか…」
ハンジ「聞きたい?」
グンタ「遠慮しときます」
エルド「実らなかった、ねぇ…あー、別に付き合ってはいなかったんですけど、女の子と初めて2人で出掛けることになって」
グンタ「中折れの子か?」
エルド「嫌なネーミングだな…違うよ」
エルド「待ち合わせが夕方だったんですけどね、まだ陽が高いうちからそわそわしちゃって」
ハンジ「いーねいーねー」
エルド「やることもないし落ち着かないしで布団に潜り込んで寝てみるんですけど」
グンタ「寝過ごしたか」
エルド「いいから聞け。で、目が覚めて外を見ると、秋の日がかんかんしてるんだよ」
グンタ「何だよ、かんかんって」
エルド「陽が高いまんまでな。で、仕方ないからまた布団に潜り込んで…」
ハンジ「そわそわ感が良いねーキュンキュンしちゃうね」
グンタ「良いのか…分隊長のツボが分かんないっすよ」
エルド「もう一回目が覚めて外を見ると、やっぱり秋の日がかんかんしてる」
グンタ「またかんかんかよ」
エルド「仕方ないからまた布団に…」
グンタ「なげーよ!さっさと出ろよ!」
エルド「待ち合わせの時間にならないからしょうがねーだろ」
ハンジ「グンタはせっかちだねぇ。だから女の子に呆れられるんじゃないの?」ハハハ
グンタ「何の話ですか!適当なこと言わないで下さいよ!」
エルド「しょうがねーから待ち合わせの時間にしてやるよ。まあ、決めといた場所に出掛けるわけだ」
グンタ「やっとか」
エルド「ところが、そこに彼女はいない」
ハンジ「何?事件に巻き込まれた彼女を助けにいく的な何か!?」
グンタ「ベタだなー」
エルド「オチは、彼女が二股かけてて結局本命の方に行っちゃって、俺は忘れられてたって言う」
ハンジ「甘酸っぱいじゃなくって世知辛いだけじゃん。何だよー」
エルド「俺に言ってもしょうがないですよ」
グンタ「つーか、お前かんかん言いたかっただけだろ」
グンタ「さっきの中折れちゃんと言い、微妙なのばっかだな」
エルド「うるせーな…まあ良いんだよ、二股っつっても別に付き合ってたわけじゃないしなー…」
ハンジ「その子も清楚系でしょ」
エルド「まあ…そんな感じでしたね」
ハンジ「意外とねー、そう言う女の方がえげつないこと平気でしちゃったりするんだよねー」
グンタ「うぉっ、分隊長が言うと何かこえー」
ハンジ「うふふ。女はね、時に巨人よりも恐ろしいときがあるんだよ」
エルド「分かる気がします…」
ハンジ「おぉ!?まだ何かあるなら話してごらん!ほれ!!」
エルド「もー嫌ですよ。朝っぱらからなんでこんな話してんだ、俺…」ズズー
グンタ「ハンジ分隊長でも怖いものあるんですねー」
ハンジ「こればっかりはね。立体機動でも逃げられないし、剣振り回して叩き切るワケにもいかないからね」
エルド「分隊長ならやりかねないですけど」
グンタ「ふひw女子力高いっすね」
エルド「まあ、女子って言う年でも…」
ハンジ「……………」
エルド「………………あっ…」
グンタ「……あーあ…」
ハンジ「……グンタ」
グンタ「……え、俺?」
ハンジ「…寝入った頃合いをみて耳元で巨人トーク繰り広げてやる」
グンタ「…俺何も言ってない…地味に今までで一番嫌ですね、それ…」
ハンジ「今日から毎晩な、毎晩」
グンタ「…ホントウニモウシワケアリマセンデシタ…何でだよー…」
エルド「…っふwふふっw」
コンコン ガチャッ
ペトラ「おはよう!エルド、グンタ、打ち合わせ始めるよー」
エルド「おー、時間か」
ハンジ「…あー…グンタの言うこと分かるわ。朝日背負ってキラキラしてる」
グンタ「…………………おはよう!ペトラ!」(裏声)
ペトラ「!?」ビクッ
エルド「wっひwふふっ、気に入ってんじゃねーよw」
ハンジ「いーね、可愛い子良いね。若い子は良いねー」モフモフ
ペトラ「ぅわっ、ハンジ分隊長何ですか!ちょっ」
エルド「好きにさせてやれ。色々溜まってんだとよ」
ペトラ「何でよ、もー……」
グンタ「ハンジ分隊長も打ち合わせ参加しますか?」
ハンジ「そうだねー。気分転換にリヴァイでもおちょくるかー」モフモフ
ペトラ「分隊長ー…離して下さいー」
エルド「あんまり引っ掻き回さないで下さいよ」
ハンジ「大丈夫だよ。気まずくなったら立体機動で逃げるから」
グンタ「俺ら全員叩っ切ってですか」
ハンジ「女子力高いでしょ」
ペトラ「何の話??」
エルド「気にすんな」
ハンジ「ペトラはねー、こいつらみたいな爛れた大人になっちゃいけないよー」
グンタ「ひでぇw」
ペトラ「もー、だから何の話ですか!」
ハンジ「そうだねー…まあ一言で言うなら」
エルグン「「そのままの君でいて」」
ハンジ「あはは、そうそう」
ペトラ「え?え?どういうこと???」
エルド「おう、行くぞ。ペトラ」
ペトラ「はいはい、行きます!…もー…何なのよ一体…」タタタッ
おしまい
乙!
何気ない会話+新鮮な三人組で良かったです
おつ
オルオさんも純粋そうだよね
おつ
良かった
こういうのいいよな
オルオさんに限らずリヴァイ班は皆いい人だったから余計につらかったなぁ
乙
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