野原ひろし(55)
突如体に違和感を覚えたのはほんの数週間前。
病院へ向かい宣告されたのは白血病、それも重度の。
しんのすけ「父ちゃん…大丈夫…!きっと父ちゃんと適合するドナー見つかる…絶対っ!」
ひろし「はははっしんのすけは優しいな!どうだ?就活の方は」
しんのすけ「父ちゃん……今そんなことしてる場合じゃないって…」
ひろし「しんのすけ…もぅいいんだぞ!毎日毎日病院に来てくれるのは嬉しい」
ひろし「だけどな、父ちゃんはおまえがこの先誰かと結婚して子供が出来て」
ひろし「家族を大切にしてやれるように…そい願っているんだ」
しんのすけ「父ちゃん…父ちゃんはどうすんだ…」
上地「父ちゃん…大丈夫…!きっと父ちゃんと適合するドナー見つかる…絶対っ!」
ひろし「父ちゃんはもぅダメだ…まだみさえやひまわりには言ってないけどな」
ひろし「父ちゃんのドナーなかなか見つからなくてお医者さんも苦労してるみたいなんだ」
しんのすけ「………うん」
ひろし「それでな、昨日院長さんが来ていろいろ話してくれたんだ」
ひろし「どうやらドナーを見つけるのは厳しいらしくて」
ひろし「これからは病院で残りわずかな時間を過ごそうと思う」
よしりん「野原さぁ~~~ん!!!」
川口「係長!!」
草加ゆみ「野原さん…!」
しんのすけ「なんで父ちゃんはいつも笑ってるんだ…」
ひろし「そりゃ父ちゃんこれまでの人生を後悔してないからさ!」
ひろし「もっと早く病院に行っていればなんて思ってもないしなっ!はは」
ひろし「しんのすけっ!どうだ?父ちゃんの頭ツッルツッルだろ?」
しんのすけ「……笑えないって…笑えないって………笑えないって」
紳助「そりゃ父ちゃんこれまでの人生を後悔してないからさ!
しんのすけ「今日かーちゃんパートで来るの夜になるって…」
しんのすけ「ひまはかーちゃんと一緒に来るって…ケーキ持って来るって…」
ひろし「そうか……そっか…わかった! しんのすけお前はそろそろ帰りなさい」
しんのすけ「……え…どうして…」
ひろし「もうすぐ院長さんが来て診察と検査をするんだ!」
しんのすけ「…………そっか…」
ひろし「そうだしんのすけ!ビール買ってこないか?久しぶりに一緒に飲もうぜ!」
しんのすけ「……ここ病院だぞそれに………」
ひろし「し~んのすけ!……っな!」
しんのすけ「…うんっ!わかったぞ」
ひろし「先生には内緒で飲もうぜ! なぁにばちなんか当たんないさっ!」
しんのすけ「そうだぞ!父ちゃんは何一つ悪いことなんて言ってないから…買ってくる…!」
ひろし「ぁ、しんのすけ! 彼女出来たら絶対連れて来いよ!約束だ!」
しんのすけ「父ちゃん焦りすぎだぞっ!!」
ガラガラピシャ
ひろし「はっはっはっは !……」
ひろし「………しんのすけももぅ一人前だな…」
ひろし「しんのすけの奥さん…子供………見たかったなぁ~~~くぅ」
ひろし「ひまわりの花嫁姿……見たかったっ…」
ひろし「みさえには苦労かけっぱなし……ごめんなぁ……………」
しんのすけ「ビールっビールっと……って売店に売ってるわけないか」
しんのすけ「(おら泣かないぞ…父ちゃんとビール飲んだって泣かないぞ)」
しんのすけ「(おら父ちゃんが死ぬって分かってても泣かないぞ…)」
しんのすけ「なんで……なんでなんで父ちゃんなんだ……なんで父ちゃんなのさ…なんで…なんで」
しんのすけ「うあぁぁ…うぅ…なんで父ちゃんなんだ…父ちゃん……」
しんのすけ「もぅ助からないなんてやだ…うあぁぁああ…ぅぐ…」
しんのすけ「父ちゃん…助からない助からない…うぁぁぅぅ…」
しんのすけ「早すぎだぞ……ぅぅ…ふざけんな…ふざけんな…」
しんのすけ「ビール……父ちゃんビールだけでいいのかよっ……絶対一緒に飲むぞ……絶対」グス
しんのすけ「はぁ…はぁ…はぁ…」
しんのすけ「ビール…ビールビール」
~緊急治療室~
院長「野原さんっ!野原さんっ! 息子を待つんでしょっ!」
院長「緊急手術を行う…」
患者「206号室の野原さん急に血を吐いたと思ったそのまま倒れこんじゃって…」
患者「毎日息子さんが来てくれてるんでしょ? 大丈夫かしら…心配だわ…」
しんのすけ「父ちゃんもうちょっと待っててな…おつまみいっぱい買っていくぞ」
しんのすけ「怒られる時は一緒だぞっ!」
みさえ「ひま…急ぐわよ……はぁはぁはぁ…」
みさえ「あなた…あなた…うっ…うあぁぁ…何でよ…」
ひまわり「お母さん…泣かないでよもぅ…泣かないでよ……泣かないで…」
みさえ「だってもぅあんな電話来たら…急がないと死んじゃう…ぁぁぁ……」
ひまわり「お医者さんがいまお父さんちゃんと治してくれるよ…大丈夫…大丈夫」
みさえ「もぅ……もぅ…まだまだ一緒にいたいのに…うああん…」
ひまわり「お母さん………ぅっ……ぅっお父さん…お父さんっ!」
みさえ「お願いあなた…もうすぐもうすぐだからぁぁうあぁぁ…ぅっ」
しんのすけ「はやく父ちゃんのとこに…!」
しんのすけ「あれ……かーちゃんにひまか…?」
しんのすけ「なんで…?…泣いてる…ん…だ」
しんのすけ「なんでかーちゃんとひま泣いてたんだぞ…」
しんのすけ「………え?」
しんのすけ「病院のほうに走って…」
しんのすけ「はぁはぁ…はぁはぁ…オラも急がないと…はぁはぁ」
しんのすけ「はぁはぁ…はぁ……はぁ…あれ?…なんでまた涙が…」
しんのすけ「涙が自然に……はぁはぁ…止まらないぞ…」
しんのすけ「はぁはぁ…はぁはぁ…はぁはぁ…」
しんのすけ「はぁ……はぁ…はぁ…はぁ…」
しんのすけ「………はぁ」
しんのすけ「……かーちゃん!ひまっ!…」
みさえ「………ぅっ…あんたどこいってたのよ…ぅぅああ…」
ひまわり「……お兄ちゃんちゃん…お兄ちゃん…お兄ちゃん」
しんのすけ「……それに先生達まで…」
しんのすけ「嘘だ………嘘だ…そんなわけ…」
みさえ「死んじゃったのっ!!お父さん死んじゃったの……うあぁぁああ…」
ひまわり「お兄ちゃん……お父さん死んじゃったって……」
ひまわり「病院からちょっと前に電話があって……お父さん倒れたって」
しんのすけ「……だって父ちゃんさっきまで……笑って……ビール飲みだいっで…い゙っで…」
しんのすけ「い゙しょに゙のも…ぅ゙っで…」
ひまわり「お兄ちゃん……お父さん死んじゃった…死んじゃったよ死んじゃった…ぅっ…ぅっ…」
みさえ・ひまわり「…………ぷぷっ…クスクス」
院長・看護婦「………クスクス……クスクス」
しんのすけ「………えっ?」
ポンッ
しんのすけ「……!」
ひろし「ビール買ってきたか!!!飲むか!!!」
みさえ・ひまわり「あっははははは」
しんのすけ「………え……えっ?」
しんのすけ「父ちゃん……父ちゃんなんで生きて……?」
ひろし「あれな…嘘なんだ実は…」
しんのすけ「……」
ひろし「実はただの胃潰瘍でなぁ~大事に見せかけたドッキリって奴さ」
ひろし「しんのすけっ!すまんっ!」
しんのすけ「………はっ……?」
みさえ「ごめんねしんのすけ……ぷははは」
ひまわり「お兄ちゃんが騙されてると思うと……ははぷっぷ…」
ひまわり「笑い過ぎて涙が……」
しんのすけ「……ふざけん…なよ…」
しんのすけ「ふざけんなよお前ら…」
ひろし「い~だろったく~ お前就職してないんだし暇だったろ?」
ひろし「わざわざ髪まで剃ったんだ……気づかなかったろ?はは」
しんのすけ「……………」
一同「はっはっはっあっはははは」
こうして無職である屑の息子・その屑の家族の屑によるドッキリは終わったのであった
当然ながら>>1も屑である
END
このSSまとめへのコメント
ドッキリでよかった〜