???『今の世には、多すぎると思わんかね？』


??『多すぎる……とは、なんのことでしょう？』


???『決まっておる、ゆるキャラ、御当地キャラのことよ』

???『ゆるキャラは複数はいらぬ』

???『最後に残るのは、真に望まれる者だけよ』


??『ならば、いかにしましょう？』

???『知れたこと』

???『闘いの幕開けだ』

??『……御意に』



~近江の国~

???「ここにアイツがいやがんのか……」

???「長い道のりだったぜ、わざわざ今治市からこんな滋賀県彦根の田舎まで来ることになっちまうなんてよ」

???「噂によりゃアイツは彦根城の天守閣に住んでるらしいが……登ってみるか」

???「たのもぉ！」ﾊﾞﾝｯ！

???「ここにひこにゃんがいると聞いたんだが、どこにいやがる？」


ひこにゃん「……騒々しい、何者だ」


ｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞｺﾞ……


???(な、なんていう気迫！！こんなもん、ゆるさの欠片だってねーじゃねぇか！)

???「アンタに名乗る必要はねぇな、アンタはここで倒れる運命なんだよ！」

???「バリィタックル！！」

ズオォッ！！！


ﾌｯ……

???「な！？消えた……！？」

ひこにゃん「後ろだ」

???「ッ！！」

???「……流石の身のこなし、参った、降参だ」

???「ま、そもそも本気で闘うつもりじゃなかったんだけどな」


ひこにゃん「だろうな」

???(おそろしい速さだ……きっと俺じゃかなわねぇ)

ひこにゃん「で、拙者に何のようだ」

ひこにゃん「バリィよ」


バリィさん「…！俺のことしってんのか？」

ひこにゃん「ゆるキャラとして生きていれば嫌でも名を聞く、今治市のキャラだろう？」


バリィさん「あぁ…愛媛県今治市の御当地ゆるキャラのバリィさんだ」

バリィさん「アンタに頼みたいことがある」

ひこにゃん「…茶室へ行こう、茶でも飲みながら話そう」

~茶室~

ひこにゃん「して、頼みとは？」

バリィさん「あぁアンタも知ってるだろ」

バリィさん「謎の権利団体からの命令『ゆるキャラ達の選定を行う、最後の１キャラになるまで殺しあえ』…ってな」


ひこにゃん「……」

ひこにゃんは表情を変えずに茶を一口含んだ

バリィさん「もちろん俺はこんな命令に従うつもりはない、むしろこんな闘いをとめようとここまできたんだ」

バリィさん「手を貸してくれ、【始まりのゆるキャラ】ひこにゃん」

ひこにゃん「……拙者は闘わぬ」

バリィさん「アンタ……！！心は痛まねぇのかよ！同じゆるキャラ達が殺しあうんだぞ！？」

ひこにゃん「我々ゆるキャラとはゆるくあるべき存在だ」

ひこにゃん「闘いなどゆるくないことはできん」

バリィさん「そんな…」



ひこにゃん「だが、力を貸すことはできる」

ひこにゃん「殺しは出来ない、だが仕置きは必要だろう」

バリィ「……！じゃあ手を貸してくれるのか！？」


ひこにゃん「拙者の手をとれ、バリィ」

バリィさん「あ、あぁ…」ﾎﾞﾌｯ


ひこにゃん「大切なものを守るため
に幾度も傷ついた手だな」

ひこにゃん「この手を持つものの願いは無視できん、ともに闘うぞ」

バリィさん「ひこにゃん……アンタがいたら100人……いや、100キャラ力だぜ！」

ひこにゃん「だが勘違いはするなよバリィ」

ひこにゃん「闘うとは言ったが拙者は刀は抜かぬ、徒手空拳にて敵を無力化するのみ」

バリィさん「あぁ、充分だぜ」

バリィさん「そうだ！仲間をここに呼び出すぜ！アイツもきっと力になってくれるはずだからな！」

ひこにゃん「仲間だと？」

バリィさん「アンタと同じ猫キャラさ、きっと気が合うと思うぜ」

バリィさん「待ってくれよ、いまから電話するからな」

ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……

ｶﾞﾁｬ

バリィさん「あ、しまねっこか？バリィだ、聞いて驚けよなんとあのひこにゃんが……」


しまねっこ『ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ……にげ……ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ……やつが……ｻﾞｻﾞｻﾞｻ』

バリィさん「お、おい！！しまねっこ！どうしたんだよ！！」

しまねっこ『アイツが……ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ…参加して……ｻﾞｻﾞｻﾞｻﾞ……ギャァァァァァァァァァ！！！！』

ﾌﾞﾂﾝｯ