響「移籍してから生活費がたりないぞ...」 (206)

響 『ま、待ってよ!もう1回チャンスをくれれば、自分』

響 『次はゼッタイ優勝してみせるからっ!』

黒井『もう1回、次は、か......。やれやれ』

黒井『そんな言葉はききてくなかったねぇ、響ちゃん』

黒井『言ったはずだ。IUで優勝できなければクビだと』

黒井『勝てないアイドルは、いらないんだよ!」

黒井『せっかく金をかけてやったのに、ムダにしやがって!」

黒井『とっとと故郷にでも帰るんだなっ!』

響 『うぅ......』

響 (自分は、あのオーディションを優勝できなくて、961プロをクビになった)

響 (だけど、それでもアイドルを続けることを選んだ自分は)

響 (ライバルだった765プロに、貴音と美希と一緒に移籍させてもらって活動を続けている)

響 (おかげで、ランクは落ちちゃったけど今もアイドルを続けられている)

響 (文句なんてある訳ない。...だけど......)

響 「生活費が、足りないぞ......」

響 (わかってる、わかってるんだ...)

響 (大手の961プロと弱小の765プロじゃ資本金だって天と地ほどの差がある)

響 (だから、福利厚生がしっかりしていないのだってしょうがない)

響 (ましてや、移籍した自分はまだEランク)

響 (給料が貰えているだけでもありがたいぐらいなんだって)


響 「わかってるさー..........でも」ソッ


いぬ美「わふ?」


響 「........このままじゃ、みんなを」ナデナデ

響 「養えない......」

-765プロ-

ガチャ

響 「はいさーい!」

春香「あ、おはよう響ちゃん!」

真 「響、おはよー!」

やよい「おはよーございます!響さん!」

響 「うん!みんなおはよーっ!!」

春香「今日も響ちゃん、元気いっぱいだね!」

響 「自分完璧だからな!いつだって全力投球さー!」

真 「へへっ、響らしいや!」

ワイワイ

響 (やっぱり、ここは居心地がいいさー...)

ガチャ

P 「おーい、春香、やよい、真。そろそろ行くぞー」

真 「あ、はーい!...ゴメン響、ボク達もう行かなきゃ」

響 「あ、ううん。......行ってらっしゃい!頑張ってね!」

春香「うん、それじゃまた後で!」

響 「今日は転ばないように気をつけるんだぞ」ケラケラ

春香「もう!そんなにしょっちゅう転ばないよ!」

やよい「いってきま~す!」

ガチャ
タンタンタン


響 「.......」

響 (春香たちはもうAランクのアイドルで、仕事もたくさんある)

響 (プロデューサーがそっちに掛かりきりになっちゃうのも、仕方ないぞ...)

響 「自分で頑張らないとな...!」


ガチャ


貴音「おはようございます」

美希「ハニー!おはよーなの!」

響 「おはよう、貴音、美希。あ、プロデューサーならもう出かけちゃったぞ」

美希「えー、ガックシなの...」シュン

響 「ははっ!さ、それじゃ荷物置いたら今日もティッシュ配りに行くさー」

美希「うぇえ...ミキ、もっとデコちゃんたちみたいにキラキラした仕事がしたいの...」

響 「ほらほら、文句言わない!....それじゃピヨ子、行ってくるね!」

小鳥「はーい、気をつけてね!」フリフリ

-街中-

ザワザワ

響 「よろしくおねがいしまーす!」

美希「よろしくなのー!」

貴音「よろしくおねがいします」


響 (ティッシュ配り...地味だし、楽じゃない仕事だけど)

響 (こういう草の根活動が大事だって律子が言ってたぞ!)

響 (今がコラエドキって奴だよね!)


響 「おはようございまーす!よろしくお願いしまーす!」

男 「あれ、あの人たちって」

女 「あー、なんか前にプロジェクトフェアリーとかって」

響 (っ!!)

男 「あーそうだった。なんかクビになったんだろ?」

女 「そうそう。移籍したってラジオで言ってたけど本当だったんだ」

響 (......そうだよね、自分達を覚えてる人だっていっぱいいるんだ)

響 「あ、あの、よろしくお願いします!」


男 「わ......どーも」

女 「あ、もう、でれでれしちゃって...ほら、行きましょ」グイッ

男 「おいおい、わかったよ」

女 「......どうせもう落ち目なんだから」

女 「ソンナノより私を見なさいよね」

響 「......っ!」

響 (落ち目って...ソンナノって......)フラ

響 (....っ)

響 「......だめだめ!」パシン

響 (色んな人がいるのは当然だろ!この程度でくじけちゃだめさー!)

響 「よろしくおねがいしまーす!」

美希「わ、響、今日はすごい気迫なの」

貴音「ふふ、わたくし達も負けていられませんね」


響 (家族を養うためにも、自分、頑張るぞ......!)


響 「よろしくおねがいしまーす!!」

-数ヵ月後-


響 (ぅぅ......一度負けた者に世間の目は厳しいぞ......)

響 (移籍が...負けることがそんな悪いことなのか?)

響 (グラビアとか、結構きわどい仕事も無理して受けるようにしてるのに)

響 (自分、まだDランクから上がれてない...)グスン

響 「..........」ナデ

いぬ美「わふ?」

響 (961プロの時の貯金もそろそろ限界だぞ...)


響 「どうしたらいいんだろう...にぃに....」

響 「あんまー...」

響 「......」ギュ

響 (あんまーの旅館だって、たーりーがいなくて大変だし)

響 (頼るわけにはいかないさー...)

響 (にぃにだって...)


いぬ美「.....くぅん」ソッ

ハム蔵「...ぢゅいっ」ソッ


響 「おまえたち...」

響 「...だいじょうぶ、大丈夫だからな」

響 「お前達は、自分がちゃんと守るから、安心するさー」ナデ

響 (......)

響 (......)

響 (拾ってもらった765プロに、これ以上迷惑を掛ける訳にはいかないさー)

響 (だから......もう、これしかないんだ...)ゴソ


ピポパ


響 「.........もしもし」


響 「黒井社長?お久しぶり...です」


響 (これしか...)ギュゥッ

-翌日 765プロ-


響 「......」ボー

美希「...き、...びき...響!」

響 「わっ、み、美希!」

美希「もう!響ってば、ちゃんと聞いてた?」

響 「ご、ゴメン、ちょっとボーっとしてたさー」

美希「......響、最近ぼーっとしてることが多いの...」

貴音「ええ、最近どこか元気がないように見受けられますが、大丈夫ですか?」

響 「あ......うん!だいじょうぶ!自分完璧だからな!」

響 「なんくるないさー!!...で、何の話だっけ」

美希「それはね......うーん」ジロ

響 「なっ、なんだ美希......?そんななめ回すように自分を見ないでほしいぞ」

美希「うーん...」ジロジロ

響 「うぅ...はずかしいぞ...」

美希「...やっぱり」

美希「響、なんか痩せた?」

響 「!」ギクッ

響 (最近ちゃんと食事してないからな...)

響 「き、気のせいじゃないか?あはは...」

貴音「いえ、そんなはずはありません」

響 「貴音まで...」

美希「ふふん......そういう時は」

美希「こうすれば早いの!えーい!」ガバッ

響 「わわっ!」

美希「どれどれ~」モミモミ

響 「わ、ちょ、み、美希なにをっ」

美希「んー、やっぱりなんか痩せてるの...どことは言わないけど」モミモミ

響 「う、うぎゃぁ...」

美希「わき腹もいい感じなの...」モミモミ

響 「うっひゃ!」

美希「いい反応なの~」サスサス

響 「うひゃひゃ...って、もう、いい加減にするさー!」バッ

美希「きゃーなのー」


響 「はぁはぁ...まったく!自分お姉さんなんだからね!」

美希「えへへ、ごめんなの」テヘ

響 「反省してるようにみえないぞ...もう」

貴音「ふふ...堪能させていただきました」

響 「貴音も同罪だぞ!」

貴音「......面妖な」シュン

--------------------

響 「じゃあ、自分はそろそろ出かけてくるぞ~」

美希「あれ、今日は一緒に活動しないの?」

響 「今朝言っただろ、自分、今日は用事があるから抜けるって」

美希「そういえばそんなことも言ってたかも」

美希「ミキ、ほぼ寝てたからちゃんと聞いてなかったの!あはっ」

響 「まったく......自分がいなくても、ちゃんとやるんだぞ」

貴音「わたくしがついております。心配は要りませんよ、響」

響 「それもちょっと心配だけど......うん、よろしくね!」

響 「いつ自分がいなくなっても大丈夫なようにしておくんだぞ!」

貴音「? どういう意味ですか?」

響 「...あ、いや、深い意味はないけど...」

美希「......3人揃ってはじめてフェアリーだよ」

美希「だから、いなくなるなんて悲しいこと言わないでほしいの」

響 「うん、ごめん......」

響 「.......」チラ

美希・貴音「?」キョトン

響 「っ!」ブンブン


響 「......よしっ!」

響 「それじゃ、行ってくるね!」

美希「いってらっしゃーい」

貴音「お早いお帰りを」


ガチャ

-屋外-

テクテク

響 (あはは、美希ってばまったく自分のことなんだと思ってるんだ...)

響 (貴音も止めてよね...)

響 (でも......楽しかったな)


響 (やっぱりあの場所は...765プロは)

響 (壊しちゃいけない大事な場所さー)

響 (...だから)


黒井「ウィ。久しぶりだね」


黒井「響ちゃん」


響 (これは、自分だけで解決しないといけないんだ)ギュ

-961プロ 社長室-


黒井「......それで」

黒井「負け犬となりここを去った響ちゃんが」

黒井「折り入ってこの私に話とは、一体どうしたんだい?」

響 「.......」

黒井「.......」

響 「.......」

黒井「...チッ、だんまりか」

黒井「話せないのならさっさと帰ったら...」

響 「お金が...ほしいんだ」ボソ

黒井「何?」

響 「その.....生活費が、足りないんだ...」

黒井「もしやとは思っていたが......金の無心に来たのか?」

響 「.......」コクン

響 「ここにいたときは、家賃とか、補助してもらってたから...」

黒井「ナルホド、それで高木のところに移ったら金が払えないと?」

黒井「クハハ、それは当然だろう」

黒井「奴の事務所に、我が961プロと同等のことができるわけなかろう」

黒井「高木の事務所など、所詮は内輪でやるごっこ遊びの延長に過ぎん」

黒井「しかしそこまで逼迫していたとはな...クク」

響 「......」ギュ

響 「このままだと、自分の家族たちを養えないんだ」

響 「だから......」

黒井「だから?」

響 「っ!」ビクッ

黒井「だから、お金を貸してくれ、と」

黒井「そういうわけか」

響 「........はぃ」ブルブル

黒井「.......」

響 「.......」ブルブル

黒井「.........」フゥー

黒井「.........」

黒井「765プロの奴らには相談したのか?」

黒井「あそこには確か、水瀬財閥の娘もいただろう」

響 「.......」フルフル

黒井「ほう、それはなぜだ?」

響 「みんなには、迷惑は掛けられないから...」

黒井「この私にクビにされ、行くアテのなかった自分を拾ってくれたからか?」

響 「.......」コクン

黒井「.........ふぅ....ヤレヤレ」

黒井「響ちゃん、君は自分がどれだけ虫のいいことを言っているのかわかっているのか?」

響 「...っ」ビク

黒井「クビになった人間が、私が最も敵視する会社に移籍した挙句」

黒井「そこでの生活が立ち行かないからというくだらん理由で私に金を無心する」

黒井「常識で考えればどう考えても無理だとわかるだろう」

響 「うぅ......」

黒井「しかも、移籍先の事務所には内緒で...だ」

黒井「これはある意味立派な裏切り行為といえるのではないかな?」

響 「そ、それは......」

黒井「ククク......こいつは傑作だ!高木にこの光景を見せてやりたいねぇ」

黒井「高木の奴、アイドル一人十分に養うこともできんとは!実に滑稽だ!!」

黒井「滑稽だよ!!ハハハハハハハハ!!!」


響 「う...うぅ......」グスン

響 「うぅう.......」ポロポロ

響 (だめ、泣いたらだめだぞ....)

響 「...ふ....ぅ」グシッ

響 「...虫のいいことを言ってるってわかってるさー」

響 「でも、自分が、765プロ以外で頼れるところは」ギュ

響 「ここしか、ないから」

響 「だから...お願い......します」ペコ

黒井「.........」

響 「.........」ブルブル

黒井「......ふん、事情はわかった」

黒井「いいだろう」

黒井「響ちゃん。キミが望むだけ、金を差し上げよう」

黒井「加えて、響ちゃん達が再びトップアイドルとして再起できるよう、手助けもしてやろう」

響 「! ほんと!!」バッ

黒井「ただし!!」

響 「っ!」ピク



黒井「条件がある」

響 「条、件...」

黒井「当たり前だろう。無償で融資が受けられるとでも思っていたのか?」

響 「...ううん、そんな甘いことはないってわかってるぞ」

響 「それなりに、覚悟はしてきたつもりさー」

響 (オーディションでわざと負けるとか...)

響 (グラビア写真の個人撮影...とか)ブルリ


黒井「...ほう。ならば」


黒井「私と一夜を共にする覚悟ができているということかな?」


響 「.....え?」

響 「一夜をともに...って、それってつまり」

黒井「同衾...ありていに言えば肉体交渉をするということだ」

響 「そ、そんな」

響 (そ、そんなのって...!)

響 「......」ガタガタ

黒井「おやおや、純真な響ちゃんはそこまで考えていなかったようだな」

黒井「覚えておきたまえ、女性が男から金を借りるということは」ズイ

響 「...ひ」ビク

黒井「少なからずこういった性交渉が絡むことになる」

黒井「大人の世界とは、こういうものなのだよ」

響 「うぁ...」ガクガク

響 (にぃに...あんまー...みき、たかね...)

黒井「ククク、ずいぶんとおびえた表情だな」

黒井「...どうする、今ならまだ」

黒井「引き返すこともできるが」

響 (ハム蔵、いぬ美...みんな..........)

響 (自分は、どうしたら...)

響 「......うぅ、自分、自分は」


1. 拒否する
2. 受け入れる

>>65

2

響 「......わかったぞ」

黒井「......本当にいいのか?」

黒井「私が言うのもなんだが、取り返しはつかないぞ」


響 「...家族を、守るためだから」

響 「自分が、守らないといけないから」

黒井「ククッ、見上げた根性だ」

黒井「気に入ったよ響ちゃん。いいだろう、あちらの部屋で待っていたまえ」

黒井「私のプライベートルームで...いや、やはり夜を待って街に出るとしよう」


響 「......はい」

響 (これでいいんだ...これで)

-夜 歓楽街 ホテルの一室-

ガチャ

黒井「スイートルームだ。せいぜいくつろぎたまえ」

響 「......」ガクガク

黒井「クク、無理な話だったな...」

黒井「とりあえずシャワーでも浴びてくるといい」

響 「...!」ビク

黒井「なに、レディのシャワー中に押し入るような無粋な真似はしない」

黒井「する必要もない」

響 「......わかったぞ.....じゃあ」

響 「いってくる」



黒井「......クク」

----------------------------
-シャワールーム-

ザアアアアアア

響 (..........)


響 (..........)


響 (..........)



響 (..........)



ザアアアアアア

-------------------

ガチャ

響 「浴びてきたぞ...」

黒井「ほう、これはまた、ずいぶん情欲的な姿じゃないか」

響 「やめてくれ......」

黒井「クク、では私も浴びてくるとしよう」


ガチャ


響 「.........」

響 「..........」

響 「..........」

響 「........ぅ」グス

-------------------

黒井「待たせたな」

響 「ぜんぜん待ってないぞ...」

黒井「クク、まあそう言うな」

黒井「せいぜい楽しもうじゃないか」

響 「そんなの、無理に決まってるぞ...」

黒井「フン、そうだろうな」

黒井「だがお前がそのような態度では、とても楽しむ気にはならん」

黒井「いや、それはそれで面白いのかもしれんが」ニヤ

響 「.......」ゾク

黒井「まぁ、とにかく少しリラックスしてはどうかね」スタスタ

ガチャッ

黒井「これでも飲みたまえ」スッ

響 「冷蔵庫にグラス...いつの間に」

黒井「それを気づかせないのが紳士というものだ」

響 「......」クンクン

響 「これ...お酒?」

黒井「ウィ。上等な日本酒だ」

響 「日本酒...」

黒井「女性でも飲みやすいようにフルーティ味わいのもをチョイスさせて頂いた」

黒井「このままでは響ちゃんもただただ不快なだけだろう」

黒井「それは私のジェントルとしてのプライドが許さん」

響 「この状況でジェントルって...笑うとこなのか?」

黒井「未成年ということを気にする状況でもないだろう」

黒井「とにかく、一杯くらい飲んでみて損はないと思うぞ」


響 「.....わかった」

響 「.......」

響 (....もう、どうにでもなれ....)

コクッ

響 「......!」

響 (おいしい...!)

コクコク

響 「......ぷぁ」


黒井「どうやら、気に入って頂けたようだ」トクトク


響 「うん、これ、凄くおいしいさー」

響 「......」


響 「もういっぱい、もらってもいい?」

黒井「.....ウィ」ニヤ

~~~~~~~~~~~~~~

響 「.....」ポー

黒井「...響ちゃん?」

響 「ん?どうしたんだ黒井しゃちょ~」

黒井「だいぶ顔が赤くなってきたようだな...どんな気分かね」

響 「なんか、ふあふあするさー」

響 「凄くいい気分だぞ...」

黒井(頃合か...)

黒井「さて、響ちゃん」

響 「んぇ?」



黒井「そろそろ、始めようか」

響 「.......ふぁ」

黒井「先に言っておくが響ちゃん。今日は私の言う事には従ってもらう」

響 「...ぁえ?」

黒井「絶対服従、という奴だ。ペットを飼っている響ちゃんなら良くわかるだろう?」

響 「じぶんかんぺきだからなー、それくらいしってるぞ!!」フニャ

黒井「そうか。それはよかった」

黒井「ではまず響ちゃん」


黒井「服を脱いでくれないか」


響 「.....ぅ?」

響 「....ふく?」

黒井「暑いし邪魔だろう?それにペットは服なんて着ないものだ」

響 「....ぁ...れ、でも」

黒井「脱ぎたまえ。服従、だろ?」

響 「......うん」



スルリ

黒井(自分がスカウトしたアイドルを抱くことになるとはな....)

響 「脱いだぞ」

黒井「クク...よくできたね」

黒井「それじゃあ」






黒井「こっちにおいで」

チュンチュン


響 「......」パチ

響 「あれ、自分」

響 (このベッドは...それに、自分)

響 (何も........着てない、ぞ)

黒井「おはよう、響ちゃん」

響 「...きゃぁっ!」バッ


黒井「おっと、つれないねぇ」

黒井「昨夜の営みを忘れてしまったのかい?」


響 「!!!」

響 「さく、や...」

響 「.........」

響 「.......!」

響 (おもい、だした...自分は)

響 「........うぷ」

黒井「覚えてくれていたようだねぇ、私も年甲斐もなく張り切ってしまったよ」

響 「ぁ、あぁ.....」ポロ


響 「うあぁああぁ....」ポロポロ

響 「.........」ポロポロ

黒井「......クク」

黒井「とにかく、これで融資については契約成立ということだ」

響 「っ!」

黒井「アイドル活動の手助けについても、近日中に開始しよう」

黒井「楽しみに待っていたまえ」

黒井「響ちゃんの献身が、家族と自分を救ったのだからな」

黒井「私を頼って正解だよ。ククク....」

黒井「クク...ハーッハッハッハ!!!」


響 「....うぁ.....うぅう...」


響 (悪い夢を見てるみたいだぞ...)

響 (でも、もう、終わったんだ.....みんな助かるんだ)

響 (よかったんだ、これで)

響 (そうだよね...みんな.......)

響 (それから、自分の生活は大きく変わっていった)

響 (お金は、黒井社長の個人口座からたくさん振り込まれていて)

響 (生活に困ることはなくなった)



響 (そして、あの日から数日後、自分達にプロデューサーがつくことになった)

響 (高木社長は、有望な新人が入ってくれたって喜んでいたけど)

響 (自分だけは、あれが961プロの人間だって知っていた)



響 (そして、自分達は961プロから仕事を優先的に斡旋してもらうことで)

響 (すぐにトップアイドルにまで上り詰めることができた)

響 (うれしくない、といえば嘘になる。だけど...)

響 (自分は、美希や貴音みたいに、キラキラした笑顔は)

響 (きっと......)



響 (そして...)

-961プロ 社長室-

ガチャ

響 「おはようございます...」

黒井「やあ、響ちゃん、はいさい」ニヤ

響 (黒井社長は、あの日歓楽街を歩いていた自分達を)

響 (専属のカメラマンに取らせていた)

響 (黒井社長からの要求を断れば、芸能雑誌にリークされる)

響 (影響は、自分だけじゃない。765プロのみんなに及ぶだろう)


黒井「じゃあ始めようか、響ちゃん」

響 「.......はい」

響 (自分に逃げ場は、ない...)

響 (このまま少しずつ自分が壊れていくのを)

響 (眺めることしかできない...)

響 (自分は、どこで間違えちゃったのかな...)

-bad end-

安価位置まで戻ってやり直していいですか

響 (ハム蔵、いぬ美...みんな..........)

響 (自分は、どうしたら...)

響 「......うぅ、自分、自分は」


1. 拒否する
2. 断る

>>141

積極的にセックス

響 「......ごめんなさい」

響 「それだけは、できません」


黒井「そうか。そうだろうな」

黒井「響ちゃんの家族を思う気持ちやらも」

黒井「所詮その程度というわけだ」

響 「......」

黒井「帰りたまえ」

響 「...しつれい、しました」


ガチャン


黒井「.....フン」

-街中-

響 「......」

響 「...結局、自分は....」


『貴様の家族を思う気持ちやらも』

『所詮その程度というわけだ』


響 「......うっ」

タタタ

響 「うぇぇ...」ビシャ

響 「.......」

響 「もどろう、戻って、営業しないと....」

-2ヶ月後-

響 「.......」

響 「もう...ほんとに貯金がないぞ」

響 「ははっ、スカンピンってやつさー」

響 (仕事も、まだぜんぜんないし)

響 (美希たちには心配そうな顔されるし)

響 「...ははっ...なんだこれ....」

響 「......ゴメンよ、みんな」

響 「もうずっと、満足にえさを買ってやることもできなくて」

いぬ美「くぅん....」キュルル

ハム蔵「ヂュウ...」キュルル

響 「......もしかしたら」

響 「自分には、動物を好きになる資格なんて」

響 「なかったのかもしれないさー」

響 「....だから...」

響 「お前達を...誰か、心優しい人に」

響 「引き取ってもらおうと、思うんだ」

響 「ぴよ子が言ってたんだけど、ネットでそういう人たちが集まる掲示板があるんだって」

響 「そこなら、きっとみんなを養ってくれる優しい飼い主が」

響 「みつかるよね」

いぬ美「くぅぅん...」

響 「よしよし...ごめんよ、ふがいない飼い主で...」ナデナデ


響 「ピヨ子から一週間だけ、パソコンとモバイルるーたー?って言うのを借りてきたから」

響 「これで探そうね」

カチカチ

カチカチ

響 (......あれ)

響 (自分、みんなと別れたくなくて...)

響 (守るために一生懸命だったのに)


響 (今は、みんなと別れるために一生懸命だぞ)

響 (....へんなの)


響 「.....へん......なの.....」ポロポロ

響 「....ふ....うっ......」

響 「みんな、ごめんよ、ごめんよぉ...」

響 「別れたくないよ.....」

響 「うぁあああぁぁぁぁぁ」ボロボロ

-5日後-

響 「それじゃ......みんなの事、よろしくお願いします!」

響 「これ、みんなのことを書いたメモです!参考にしてください!」

男 「ああ、ありがとうございます」

男 「ちゃんと世話しますんで、安心してください」

男 「では...」

ブロロロロ...


響 (みんなは結局、全員をまとめて引き取ってもいいっていう)

響 (親切な人に引き取ってもらった)

響 (きっとお金持ち...お金のない自分のところにいるよりも)

響 (きっと幸せに暮らせるはずさー)

響 「みんな、幸せに暮らすんだぞ......」ポロポロ

響 (だめだ、最近泣いてばっかりだぞ...情けないったらないさー)

-1ヶ月後 765プロ-

真 「ええっ、じゃあ響、引っ越したの!?」

響 「うん、みんながいなくなったからな」

響 「安いところに引越したんだ」

伊織「ちょっと見ない間にそんなことになってたなんて...」

春香「そんな...相談してくれれば、力に...」

春香「ううん、ごめん。響ちゃんが決めたことだもんね」

響 「春香...うん、ありがとう」ニコ

P 「すまない響...!俺がふがいないばかりに...!!」

響 「か、顔を上げてよプロデューサー...別にプロデューサーのせいじゃないぞ」

響 「自分の努力が足りなかったんだ」

P 「そんなことはない、俺が...俺がもっとしっかりしていれば...」

美希「そうだよハニー。ハニーってば、春香たちばかり見てて」

美希「ミキたちのこと、あんまり...ううん、ゼンゼン構ってくれなかったの!」

P 「うああああ!すまない、本当にすまない......!」

響 「美希、それくらいで....」

美希「だから!」

P 「...美希?」

美希「だから、これからはミキたちのこともしっかりプロデュースしてほしいの!」

美希「ミキと、貴音と、響がまたキラキラできるように!」

P 「.......ああ、約束するよ」

美希「えへへ、ゼッタイだよ?」

P 「ゼッタイだ!!」

響 「...ふぅ、ひやひやさせないでほしいぞ...」

美希「ゴメンなの...うん、でも、響が元気になってくれてよかったの」

響 「美希?」

美希「ちょっと前までの響、ぜんぜん笑わなくなってたから...」

美希「やっぱり、どこかで無理を抱え込んじゃってたんだと思うな」

響 「そう、なのかな...」

美希「ゼッタイそうなの!」

貴音「今回の響の家族達のことは、もう響が悩んだ末決断したこと故」

貴音「なにか言うつもりはありません...ですが」

響 「貴音......」

貴音「今度そのようなことがあった時は、必ず相談してください」

響 「貴音......でも」

貴音「わたくしや春香たちへ迷惑をかけるわけには...ですか?」

響 「っ!」

貴音「それは無用な心配です。それよりもわたくしたちは」

貴音「響が独りで抱え込み、気づかぬうちに取り返しのつかない事になっている...」

貴音「その事の方が、なによりも怖いのですから」

響 「.....貴音...うん」

響 「ごめんね......ありがとう」

貴音「ふふ、わかっていただければよいのです」ヨシヨシ

貴音「今はただ祈りましょう。響の家族が、新たな地で幸せに暮らしていることを」

響 「うん...そうだね!!」


春香「よーし、それじゃあ今日もはりきって...」


バン


小鳥「響ちゃん!!た、大変よ!!!」


響 「....え?」

真 「どうしたんですか、小鳥さん。そんなにあわてて...」

小鳥「こ、こ、こ、これ....!」

律子「なになに.........珍獣オークション?」

春香「小鳥さん、これって....」

小鳥「このページ、見て...」

P 「......っ!」

-----------------------------
ワニ   \ 100,000 ~
モモンガ \ 20,000 ~
-----------------------------

P 「ワニ、モモンガ、シマリス、豚、蛇...おい、これ...」

伊織「なによ、これ...ちょっと響?これ」


響 「........うそ」

響 「......なんで」

響 「なんで、ワニ子やモモ次郎たちが、売りに出されてるんだ...?」フラ

春香「響ちゃん!!」

やよい「し、しっかりしてください!」

響 「だって、あの人...」


『ちゃんと世話しますんで、安心してください』


響 「............」

響 「......自分.....だまされたのか?」

P 「こんなやりかた...」

やよい「ひどすぎます...」


響 「うぁ...どうして...」

響 「自分が、あの時気がついていれば...」

真 「響?」

響 「こんなの、みんな、ぜんぜん幸せじゃないぞ...」フラ

響 「そんなの......そんなのって」

真 「響!落ち着いて!!」



響 「うあぁ....あぁぁぁああ」ポロポロ

響 「あああああああぁぁぁっ」ボロボロ



貴音「響っ!!」


パシン

響 「っ!」ジンジン

響 「た、たかね...」

貴音「落ち着いてください。響」

貴音「確かに事は一刻を争う事態です。その男とやらにも制裁が必要でしょう」

貴音「ですが、それは決して独りで抱え込むものではないでしょう?」

貴音「先ほどわたくしは申し上げました。何かあったときはわたくしたちを頼ってくださいと」

貴音「今が、その時なのではありませんか?」

響 「貴音...」

春香「予定よりだいぶ早かったけど...でも大丈夫!」

真 「ボク達は、いつだって響の味方だよ!」

やよい「うっうー!家族とはなればなれなんて、そんなのだめです!!」

響 「みんな...ありがとう」グス

響 「......」グシッ

響 「...おねがい」

響 「自分の......自分の家族を...たすけて!!」


伊織「ガッテン!」


ピポパ



小鳥「終わりましたね」

P 「ええ。俺達の勝利です」

伊織「新堂?今から至急お願いしたいことがあるんだけど」

伊織「ええ、そうよ。大至急」

伊織「それがね...」

テキパキ


響 「......」ポカン

千早「......ふふ。みんな、待ってたのよ」

響 「千早?」
 
千早「あなたが、手を伸ばすときを」クスッ

あずさ「うふふ...あとは伊織ちゃんや私達に任せておいて大丈夫だから」

あずさ「安心してちょうだい」ヨシヨシ

響 「あずさぁ...」ウルウル

響 「う、うぅ、ありがとう...みんなぁ....」ダキッ


響 「うああああああん!!」ビエー

あずさ「あらあら」ナデナデ

-数日後-

響 「......」ソワソワ

春香「もうそろそろだと思うけど....」チラ

春香「あ、来た!響ちゃん!!トラック来たよ!」

響 「っ!!」ガバッ

響 「みんなぁぁああああ!!」

ダダダダダ バン


雪歩「響ちゃんお茶がはいったよ~...ってあれ?」

亜美「ひびきんなら外に出て行ったよ~」

真美「すっごい勢いでびっくりしたよ~」


小鳥「響ちゃん、よかったわね...」グス

タタタタ...

響 「みんなぁ!!」


いぬ美「わふっ!!!」ガバッ

シマ男「きぃっ!」シュッ

ハム蔵「ヂュイ!!」タタッ

へび香「シャー!」シュバッ

オウ助「タダイマ!」バサッ

ねこ吉「にゃー!」バッ

ブタ太「ぶぃぶぃ!」ドスドス

うさ江「プィー!」ビョン

ワニ子「グルル!」グァッ

モモ次郎「キューッ!」ブワッ


響 「わぁっ!!?」

ドサドサドスッ

響 「う、うぎゃーあああああ!!」モミクチャ

あずさ「あらあら、もみくちゃね~」ウフフ

響 「た、たすけてぇ~」ワタワタ

伊織「...新堂、ありがとう」

新堂「いえ、この程度でしたらお安い御用です」

響 「こらぁ、みんな、離せっ!」

響 「....よしっ」パタパタ

響 「....新堂さん、伊織...それにみんな!」

響 「みんなのおかげで、また家族に会えました」

響 「ありがとう、ございます...!」ウルウル


響 「うぅっ...本当に、ありがとう...」

伊織「いいのよ。みんな言っていたでしょう?」

伊織「もっと私達を頼りなさいって。わかった?」

響 「う、うん。わかったぞ!」

伊織「にひひっ、よろしい。これからも何かあったらすぐ相談するのよ?」

伊織「アンタに頼られて嫌な顔をする奴はウチの事務所にはいないんだから!」

美希「そうだよ!だって」

千早「私達みんな」

春香「仲間だもんね!」


響 「みんなぁ...」ウルウル

伊織「それじゃ、前に話したとおり、いぬ美たちはしばらくウチで預かるから」

伊織「養えるだけの力がついたら引取りにきなさい」

響 「本当に...何から何までありがとう、伊織」

伊織「スーパーアイドル伊織ちゃんに掛かれば、これくらいどうってことないわ」

伊織「ただ、あの子たちも寂しがるだろうから、こまめに会いに来なさいよね」

響 「うん!!」




響 (それから自分が、美希や貴音と一緒にトップアイドルに返り咲くのは)

響 (また別の話...だぞ!)



過去最長になりましたが無事終わりました
ありがとうございました

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