球磨川『僕は超高校級の……なんだったかな』 (1000)
不可解な状況にさらされた14人は自然と大きな扉の前に集まっていた
ひと通りの自己紹介を終えたものの解決への糸口は見つからない
状況と未来への不安、閉塞、緊張、焦燥
仲間が見つかったことへの安堵、結束、希望
それらのプラスとマイナスの感情は、最後の15人目によって芽生えた感情で四散した
球磨川『みんな久しぶり!元気してた?』
ただ現れて挨拶をしただけ
にもかかわらず圧倒的嫌悪感を抱かせるその存在
名は球磨川 禊 血液型:AB型 超高校級の???
ダンガンロンパ×球磨川のクロス
一部安価あり
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380652942
桑田「久しぶりって……お前オレ達の事知ってんのか!?」
球磨川『知るわけないじゃん初めて会ったんだから』
球磨川『もしかして君って自分のこと有名人だと思ってるの?はっずかしー』
桑田「なっ!?てめーおちょくってんのか!」
球磨川『まさか!僕はただ少し気になることがあって……』
桑田「んだよ!」
球磨川『おまえって第一章で殺されそうな顔してるよな(笑)』
桑田「もう我慢できねぇ殴る!」
霧切「そこまでにしなさい二人とも」
霧切「ここで争っても何も解決しないわ」
桑田「でもよぉ」
霧切「いいから私に任せて」
霧切「……あなたの名前を聞かせてくれないかしら?」
球磨川『おいおい、名前を尋ねるときは自分からだろ?』
球磨川『だから僕から聞くよ!僕の名前は球磨川禊』
球磨川『好きな女の子のタイプは銀髪のロングヘアで手袋をしている子かな!』
球磨川『それで君の名前は?』
霧切「霧切、霧切響子よ」
球磨川『好きな男の子のタイプが抜けてるよ』
霧切「人の好みを詮索しない人ね」
球磨川『なんだってー!』
球磨川『僕ほど人の好みを詮索しない男はいないよ!』
球磨川『それに今思い出したけど、確か僕は銀色の髪の子のパンツをみないと死んでしまう病気なんだ!』
霧切「奇遇ね、私はパンツを見られると死んでしまう病気なのよ」
桑田「おいおい話が進まねぇぞ」
霧切「球磨川君、あなたもこの学校……」
霧切「希望ヶ峰学園に入学してきた一人で間違いないわね」
球磨川『さすがだね響子ちゃん!名推理だよ!』
球磨川『その推理力は超高校級の探偵ってところかな?』
霧切「さあ?どうかしら」
球磨川『玄関で食パンを加えた女子にぶつかろうと待ち構えていたら気を失った』
球磨川『起きたらみんなが僕をハブって仲良く集まってるところに出くわしちゃってね』
球磨川『あ、気にしないで!僕は嫌われるのには慣れてるんだ!』
霧切「つまり球磨川君もなぜここに閉じ込められているかわからないのね」
球磨川『閉じ込められる……?』
球磨川『……ふーん。確かに窓も封じられてるし、出入口には物騒なものがついてるね』
球磨川『密室で二人きりだなんて照れちゃうね響子ちゃん!』
霧切「15人よ」
球磨川『そんな!奇数だなんてまた僕がハブられるじゃないか!』
球磨川「でも気にしないで!僕は嫌われるのには慣れてるんだ!」
霧切「それはもう知っているわ」
球磨川『そんなことまで知ってるなんて響子ちゃんってもしかして僕のこと好きなの?』
霧切「本当に話が進まないわね」
球磨川『すすめるも進めないも……』
球磨川『僕たちは監禁されていて、出ることができない』
球磨川『それ以上の情報があるの?』
霧切「……ないわ。だから情報が必要なの」
霧切「あなたもここから出たいのでしょう?協力してちょうだい」
球磨川『でる?ここを?なんで?』
球磨川『出なくていいんじゃないかな』
球磨川『せっかくみんなが出会えた場所だっていうのに!』
球磨川『まるで不本意みたいにここを貶めて!』
球磨川『最低だよ響子ちゃん!』
球磨川『もっとポジティブに!社交的にならないと!』
球磨川『そうだ!僕に素晴らしい低案があるぞ!』
球磨川『みんなここで暮らすんだ!そして夫婦になって子供をつくって』
球磨川『孫に見守られながらゆっくり老衰しよう!』
石丸「さっきから黙って聞いていれば……」
石丸「いい加減にしたまえ球磨川君!」
球磨川『だれ?』
石丸「石丸清多夏、超高校級の風紀委員だ!」
球磨川『聞いてもない才能のことまで勝手に喋っちゃって』
球磨川『清多夏ちゃんって自意識過剰なんじゃない?希望ヶ峰学園は恥ずかしい人ばっかりだなー』
石丸「自己紹介で身の上を話すのは当然のことだ!」
石丸「球磨川君も名前ばかりでなく他のことも紹介したらどうかね」
球磨川『それじゃあ僕も清多夏ちゃんを見習って、僕の超高校級の才能を披露するよ!』
球磨川『僕は超高校級の……そうだな。超高校級のジャンプマニアなんてどうだい』
石丸「まるで今考えついたかのような言い方じゃないか!」
球磨川『失礼な!30秒も前に思いついていたよ!』
石丸「ふざけていないで、僕のように本当のことを言いたまえ!」
球磨川『えぇ!?それじゃあまさか』
球磨川『さっきの超高校級の風紀委員ってのは本当のことだったの!?』
球磨川『なんだよ超高校級の風紀委員って(笑)』
球磨川『厳しく取り締まったり、不良を更生させたりするのかな』
球磨川『でもそれって教師や警察の役目できみのやることじゃないよね』
球磨川『それを勝手に出しゃばって成功したら自分の功績、失敗したら学校に守ってもらう』
球磨川『そんな立場で偉そうに風紀だなんていって恥ずかしくないのかな』
球磨川『でも清多夏ちゃんはそれでいいんだよ!』
球磨川『役立たずで疎まれて守られてなきゃ何にも出来ない弱いやつ』
球磨川『それがきみのかけがえのない個性なんだから!』
球磨川『きみはきみのままでいいんだ』
球磨川『ね、清多夏ちゃん』
石丸「う、うぐぐ」
ピンポンパンポーン
「あー、あー。マイクテス、マイクテス。新入生のみなさん!今から入学式を執り行います!」
「至急体育館に集合してください!」
前にもこの手の似たようなssがあったけど完結しなくてな
これは期待していいんだよね?
面白いから続けろ続けてください
>>16
全開パーカー先輩とのクロス知ってはいたんだけど
どうしても書きたかったからしょうがないね
言葉もなく14人の集団と1人の男は歩き出す
情報の収集と脱出を考えて行動していた面々が移動した理由は
あれほど求めていた事の進展のためではなく
ただ球磨川から離れたいという衝動に従った結果だった
その中で平静を保ち状況をみていたのは
球磨川本人と、その球磨川を見つめる霧切のみだった
体育館は閑散としていた
入学式に相応しいであろう垂れ幕や敷物はあるが
祝辞をのべる教師も、拍手で迎え入れる保護者や先輩方もいない
椅子と壇上のマイク以外になにもない
あたりに困惑が漂いはじめたのを見計らうように、それは現れる
モノクマ「よーし!それじゃあそろそろ始めよっか!」
不二咲「え……ヌイグルミがしゃべった……」
山田「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ」
モノクマ「ヌイグルミじゃないよ!モノクマで学園長だよ!」
球磨川『別にぬいぐるみが喋るくらいどうってことないよ』
球磨川『週刊少年ジャンプでもよくある話さ』
大和田「ど、どっかで操作してるやつがいるんだろ?」
モノクマ「違うんですけど!モノクマなんですけど!」
モノクマ「もー進行も押してるからさっさと進めるよ!」
モノクマ「オマエラ!おはようございます!」
モノクマ「返事がないだなんて、オマエラ元気がないなあ」
モノクマ「石丸クンあたりなら元気に挨拶してくれると思ったのに!」
石丸「……ブツブツブツブツ」
モノクマ「石丸クンが壊れてる!?」
石丸「僕は役立たずじゃない僕は役立たずじゃない……」
球磨川『まったくひどいことをするよ!許せないよね!』
霧切「……えぇ、そうね」
モノクマ「もー調子狂うなあ」
モノクマ「とーにーかーく!」
モノクマ「オマエラにはここで共同生活をしてもらいます!」
モノクマ「期限はありませんッ!秩序とルールを守って楽しく一生ここで暮らすように!」
舞園「ちょっとまってください!そんなの、困ります……」
モノクマ「安心してください!資源は豊富だから食べるものには困らないよ!」
江ノ島「ウソ、でしょ。一生ここで過ごすとかありえない」
モノクマ「それと外の世界とは完全にシャットアウトされてますから!」
桑田「なんだよこれ……ふざけんなよ……」
モノクマ「まあ、どうしても出たいっていうんなら卒業してもらわないとね!」
腐川「そ、卒業?」
モノクマ「そうです!秩序を破った人には卒業してもらいます!」
十神「その秩序とはなんだ」
モノクマ「それはね……人を殺すことです!」
モノクマ「殴殺刺殺撲殺惨殺焼殺圧殺絞殺惨殺呪殺……殺し方は問いません!」
モノクマ「人を殺した人のみがここからでていけるのです!」
球磨川『……』
大和田「な、てめぇふざけるんじゃねぇぞ!」
モノクマ「ふざけてなんかいないよ。物分かりの悪い連中だなぁ」
大和田「このやろうがあああ!」
モノクマ「うわああボクを持ち上げてどうする気だよ!学園長への暴力は校則違反だよ!」
大和田「うるせぇ今すぐ俺達をここからだせ!」
モノクマ「」ピコン
大和田「黙ってんじゃねぇぞ!」
モノクマ「」ピコンピコンピコンピコン
球磨川『危なくなーい!』ドカッ
大和田「ぶほっ!」
ドカーン!!
霧切「っ!球磨川君!」
霧切(爆発する瞬間、球磨川君は思い切り大和田君を蹴り飛ばした)
霧切(その衝撃でモノクマと名乗るあれは床に落ち、吹き飛んだ大和田君は爆発に巻き込まれなかった)
霧切(しかし至近距離で爆発を受けた球磨川君は……!)
霧切(投げさせればよかったのに何故いちいち蹴りで)
霧切「大丈夫!?球磨川君!?」
モノクマ「あーあ、関係ない球磨川クンが巻き込まれちゃったよ」
桑田「うわ!別のがでてきやがった……」
モノクマ「あの爆発は人間じゃねぇー」
球磨川『最近のクマは爆発するんだね。まあ妹も爆発する時代だから珍しくもないか!」
モノクマ「!?」
霧切「!?」
球磨川『どうしたのみんな?鳩がガトリングガン食らったような顔して』
霧切「球磨川君、あなたなんで無傷で」
球磨川『粉じん爆発って知ってる?』
霧切「知っているけれど関係あるのかしら」
球磨川『……さぁ?』
モノクマ「と、とにかくボクは本気だからね!それじゃあねー!」
ショックの大きい事実と奇っ怪なモノクマのおかげで
なぜ球磨川は無傷でいられたかは、さほど追求されなかった
あるものは現実に脳が追いつかず、あるものは疑心暗鬼に陥っていた
気がつけば一人、またひとりと体育館から出て行く
案内をうけた部屋に行ってみるものもいれば、捜索をしているメンバーもいる
球磨川『さて、それじゃあ僕はどうしようかな』
球磨川『>>29(モノクマの中の人以外)と一緒にいよう!』
完結する気がしない
それじゃまた明日とか
さくらちゃん
あら、すごいことになってるな
あとぼくも江迎ちゃんの作った味噌汁のみたい
安価はゲームで言う自由時間で、結末に影響ないよー
安価の心配するくらいならどうやってエタろうか考えてる俺の心配してやってくれ
球磨川『ねぇ君、暇なら僕とエロ本買いに行かない?』
球磨川『いい本屋をしってるんだ』
球磨川『そこの店員にそっくりな人がでてるエロ本があってね』
大神「……球磨川か」
球磨川『あれれ?なんだいその顔』
球磨川『もしかして迷惑だったかな』
大神「……」
球磨川『怖いなあ。睨まないでくれよ』
球磨川『びびっちゃうぜ』
大神「我になにか用か」
球磨川『さっきも言ったじゃないか』
球磨川『どんな幼児でも覚えてられるほどついさっきだぜ』
大神「ふん、くだらん」
球磨川『わ、ちょっとまってよ!』
球磨川『ひどいや、僕がなにをしたっていうんだい?』
大神「はっきり言おう」
大神「我はお主が嫌いだ」
大神「この危機的状況で、助け合わなければならないというのに」
大神「ひとり無計画にかき乱す」
大神「協力しろとはいわん。だが邪魔はしてくれるな」
大神「これ以上輪を乱すようなら容赦せん」
球磨川『容赦しないって、僕を殺すつもり?』
大神「……殺しはせぬ。ただ大人しくなってもらうだけだ」
球磨川『甘ぇよ』
球磨川『雑魚といったら魚がかわいそうとまで言われる僕が』
球磨川『殴られてただで済むと思うのかい』
大神(何故いい顔で情けないセリフを)
球磨川『響子ちゃんに聞いたよ』
球磨川『向かうところ敵なしの超高校級の格闘家なんだってね!』
球磨川『それだけ強いと実力を試す相手もいないでしょ』
球磨川『よかったら僕が的になってあげようか?』
球磨川『大丈夫!僕はいままで負けたことしかないんだ!』
球磨川『だから安心して油断してよ!』
大神「そんなものはいらぬ」
球磨川『なんだよ、ガッカリしちゃうなぁ』
球磨川『せっかく裏切り者を倒してみんなと仲良くなれると思ったのになー』
大神「……何を言っている」
球磨川『あれほど言ったのに忘れちゃったの?』
球磨川『僕は勝ったことがないんだ』
球磨川『弱くて弱くて弱すぎて負けて負けて負けて負けてきた』
球磨川『だからきみが誰よりも強さを知っているように』
球磨川『僕は誰よりも弱さを知っているんだ』
球磨川『そんな僕を前にさあ』
球磨川『あのヌイグルミを前に、あんな目をしちゃいけないよ?』
大神「……そんな話を聞いた覚えはない」
球磨川『言ってないからね』
球磨川『それとこれも言ってないと思うけれど』
球磨川『僕は正直者なんだ』
大神「……覚えておこう」
球磨川『そうそう!まだ名前も聞いていなかったね!』
球磨川『ほらほら!これにサインかいてよ!』
球磨川『みそぎちゃんへ。大神さくらよりってさ!』
球磨川『あれ?どこいくの?』
球磨川『おーい』
球磨川『……』
球磨川『ひどいや』
球磨川『へぇ!いい部屋じゃないか!』
球磨川『僕の住んでた犬小屋より広いよ!』
球磨川『それにこのベッド!』
球磨川『ふかふかしててキレイだし、真っ白だ』
球磨川『おや、シャワールームまでついているなんて』
球磨川『まるで人間の部屋だね!』
球磨川『思春期のみんなに心強い丈夫そうな鍵もついてるよ!』
霧切「えぇ、そうね」
霧切「その丈夫そうな鍵はかけていたと思うのだけれど」
球磨川『あ、ごめんね!』
球磨川『女の子の部屋に勝手に入っちゃって!』
球磨川『でも響子ちゃんが悪いんだよ』
球磨川『だって響子ちゃん、僕の弟の父親の息子の元同級生に声がそっくりなんだ』
球磨川『親近感覚えちゃうな』
霧切「ふぅ……まぁいいわ」
霧切「球磨川君、校舎は見て回ったかしら?」
球磨川『もちろん!この隅から角まで速やかにね!』
霧切「そう、それなら報告会で役立ちそうね」
球磨川『なんだいそのヤクザの集まりは』
霧切「球磨川君が鉄板のネジで遊んでいる間に決まったのよ」
霧切「みんなで校内を回って、わかったことを報告しあうって」
球磨川『あれれ。僕は何も聞いてないぞ』
霧切「いま聞いたでしょう」
球磨川『うーん。なんだか響子ちゃんに慣れられてる気がするなあ』
霧切「それで、球磨川君はどうするの」
霧切「そろそろ食堂に集まる時間だけれど」
球磨川『もちろん行くよ!だって僕たち仲間じゃないか!』
霧切「えぇ、そういうと思ったわ」
霧切「だから、ここにいてちょうだい」
球磨川『響子ちゃん、そこにいるとまるで僕を通せんぼしてるみたいだ』
球磨川『僕、勘違いしちゃうぜ?』
霧切「あなたを足止めする役をかってでたのよ」
霧切「球磨川君と一緒にいると話し合いにならないもの」
球磨川『んん?つまり響子ちゃんきみは……』
球磨川『僕と二人きりになりたかったんだね!』
球磨川『惚れなおしちゃうぜ』
霧切「あながち間違いでもないわ」
霧切「ねぇ、球磨川君」
霧切「あなたの意見が聞きたいわ」
霧切「モノクマについてね」
霧切「あれの目的はなんだと思う?」
球磨川『なんだ、そんなことか』
球磨川『せっかく甘酸っぱい恋バナとかできるとおもったのにさ』
霧切「他のだれでもない、あなたの話が聞きたいのよ」
球磨川『……響子ちゃんって彼氏とかいるの』
霧切「…?いないわ」
球磨川『ふーん……』
球磨川『まぁいいや!』
球磨川『モノクマの目的だっけ?』
球磨川『うん』
球磨川『ごめーん!僕そういうのよくわからないや!』
球磨川『人間は無意味に生まれて無関係に生きて無価値に死ぬに決まってるのにさ』
球磨川『殺し合いだってそうだよ』
球磨川『あいつはよっぽど僕たちに無駄死に犬死にしてほしいみたいだけれど』
球磨川『無駄じゃない死なんてあるわけないのにね』
球磨川『うわー恥ずかしーはずかしー』
球磨川『好きな女の子の前だからって格好つけちゃったぜ』
球磨川『惚れなおした?』
霧切「別に」
霧切「でも少しだけ、あなたのことがわかった」
霧切「気がするわ」
霧切「やっぱり、ここを脱出する鍵はあなたにあると思う」
球磨川『さすが名探偵だね!確かに響子ちゃんの部屋の鍵は僕のポッケに入ってるよ!』
霧切「モノクマを操っている黒幕すら霞むほどのマイナス要素」
霧切「そんなあなたならあるいは……」
霧切「……私も少し弱気になっているようね」
霧切「いまのは忘れてくれるかしら?球磨川君」
球磨川『僕が響子ちゃんのことを少しでも忘れるわけがないだろう?』
霧切「そう、残念だわ」
霧切「さて、そろそろ報告会も終わったでしょう」
球磨川『響子ちゃんは参加しなくてよかったの?』
霧切「えぇ。あとで聞かせてもらうのよ」
霧切「それじゃあ球磨川君、はやめに自分の部屋に戻るのね」
霧切「セレスさんが夜時間の外出を禁止にする案を考えていたから」
霧切「さっさと戻らないとルール違反になるわ」
球磨川『それは大変だ!超高校級の風紀委員として早く戻らないとね!』
霧切「それと球磨川君」
霧切「鍵は置いていきなさい」
結末以外何も考えてなくてやばい
それじゃまた明日とか
オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました!今日も張り切って行きましょう!
セレス「……」
球磨川『ねーねー』
セレス「……」
球磨川『おーいセレスちゃーん』
セレス「……」
球磨川『んー?高校生の間で僕を無視するのが爆発的に流行してるのかな』
球磨川『でも人の噂も七十五日っていうし、流行だっていつかは廃れるよね』
球磨川『よし決めたぞ!セレスちゃんが反応してくれるまで75日間話し続けよう!』
セレス「……」
セレス「……はぁ、おはようございます球磨川君」
球磨川『おはよう!いい天気だね!』
セレス「外は見れませんけれどね」
セレス「それで、わたくしに何かご用ですか」
球磨川『かわいい女子に会いに来るのに理由なんているかな』
セレス「つきまとってくる不快な男子を拒むのに理由がいりまして?」
球磨川『えぇ!誰かにつきまとわれてるの!?』
球磨川『セレスちゃんに迷惑をかけるなんて許せないよ』
球磨川『僕にできることがあるならなんでも言ってよ!』
セレス「でしたら球磨川君、そいつを見かけたらやめるように言ってください」
球磨川『わかったよ!学園中の鏡を叩き割ればいいんだね?』
球磨川『そういえば聞いてよセレスちゃん』
セレス「聞きたくないのですけれど」
球磨川『じゃあやめとくよ!』
球磨川『夜時間の外出禁止を決めたのはセレスちゃんなんだって?』
セレス「あなたの話し方は聞いていると疲れますわね……」
セレス「外出禁止を提案したのは、確かにわたくしですわ」
セレス「なにか問題ありまして?」
球磨川『まっさかー!』
球磨川『いいことづくめで何にも悪くないよ』
球磨川『合法的に女の子の部屋に泊まれるしね!』
セレス「確かに校則には個室で就寝とあるので、他の個室で泊まることも可能でしょうけれど」
セレス「あなたを泊めてくれるような酔狂な女性はいないと思いますわ」
セレス「自室でおとなしくすることをオススメします」
球磨川『僕もそうしたいのはやまやまなんだけれど』
球磨川『でもしょうがないよ』
球磨川『だって僕の部屋、ないんだもん』
セレス「は?部屋がない?」
球磨川『ひどいよね!みんなの部屋はあるのに僕だけないんだぜ』
セレス「……確認させていただいても?」
球磨川『もちろん構わないよ』
球磨川『でもただ確認しにいくだけじゃ面白くない』
球磨川『賭けをしようよセレスちゃん!』
セレス「このわたくしを相手に賭けですか」
球磨川『僕の部屋があるか、ないか』
球磨川『それだけだよ』
セレス「なるほど」
セレス「わたくしが勝った場合なにをいただけるのかしら」
球磨川『セレスちゃんの言うことを1つ、なんでも聞いてあげるよ!』
セレス「ではわたくしが負けたら?」
球磨川『全裸エプロンで僕に傅け』
セレス「では、わたくしは部屋がない方に賭けますわ」
球磨川『……ふーん。どうして?』
セレス「ただのリスクの問題ですわ」
セレス「部屋があったのなら、球磨川君はそこで就寝すればいいのだし」
セレス「賭けたとおり部屋がなければ、わたくしの部屋に入らないように言えばいい」
セレス「部屋がある方に賭けたほうが勝った時のうまみが多いのは事実ですが」
セレス「失敗した場合にうまみがひとつもないのも事実」
セレス「所詮まけたところで裸エプロン如き大したことありませんわ」
球磨川『ふーん、超高校級のギャンブラーのくせに』
球磨川『随分気の小さい賭け方だね』
球磨川『ガッカリしちゃうなあ』
球磨川『麻雀でひたすら小さい役であがるみたいなつまらなさだよ』
球磨川『希望の象徴とまで言われた希望ヶ峰学園のギャンブラーが』
球磨川『人生という川で角を削られて丸くなったおじさんみたいな賭け方するなんて』
球磨川『あーあ現実なんてこんなもんか。週刊少年ジャンプでもよもっと』
セレス「0か1かという賭けも嫌いではありませんが」
セレス「球磨川君はギャンブラーというものを勘違いしているようですわね」
セレス「ギャンブルは常勝無敗である必要などありません」
セレス「トータルでプラスになればいいのです」
セレス「大きな勝ちを拾うために小さな負けが必要な場合もありますわ」
セレス「まあ」
セレス「わたくしは今まで負けたことはありませんが」
球磨川『ふーん』
球磨川『じゃ確認にいこっか』
セレス「確かに……ありませんわね」
セレス「昨日はここに部屋があったと思うのですけれど……」
セレス「見事に壁しかありませんわ」
セレス「……昨日はどうしたんです?」
球磨川『寝てないよ』
セレス「そうですか」
セレス「ですが賭けはわたくしの勝ちですわね」
セレス「お願いはもう決まっています」
セレス「二度とわたくしに近づかないでくれます?」
球磨川『うん、約束するよ』
球磨川『あーあ、また勝てなかった』
球磨川『それじゃ』
球磨川『また明日とか!』
>>802
一時間後の未来人?
大和田「おい!球磨川!」
球磨川『きみは僕の大親友の!』
球磨川『……?誰だっけ』
大和田「大和田だ!大和田紋土!」
球磨川『ふーん、紋土ちゃんって言うんだ』
球磨川『そのとうもろこしみたいな髪型どうしたの?』
球磨川『とうもろこしの端っこの方残して呪われたのかな』
大和田「お前はほんと挨拶代わりに喧嘩うってきやがるな」
大和田「腹立つがまあいい」
大和田「今日は礼をいいにきたんだ」
球磨川『そんな!あの程度のこと気にしなくていいよ!』
球磨川『たかだが髪型の不自然さを指摘したぐらいで!』
大和田「もうその話はいいってんだろうが!」
大和田「昨日のことだよ!」
大和田「昨日は、その、ありがとよ」
大和田「俺を蹴り飛ばしてくれて」
球磨川『そんなに喜んでくれるとうれしくなるな!』
球磨川『よーし、これからは毎日紋土ちゃんを蹴り飛ばすね!』
大和田「……ったく、まともに礼も言わせねぇなお前は!」
大和田「まあいい。用はそれだけだ」
大和田「じゃあな」
球磨川『……』
球磨川『さて』
球磨川『朝食にしよっと』
球磨川『その後は、また誰かと遊ぼうかな』
>>817会いに行く人(モノクマの中の人以外)
安価はするけど結末には影響しないのでよろしく
完結させたい
>>811
確かにあと1時間まって投稿すればちょうどよかったわ
それじゃまた明日とか
セレス
球磨川『どうしたんだいセレスちゃん』
球磨川『浮かない顔をしているようだけれど』
セレス「えぇ、さきほどまでは晴れやかな気分だったのですが」
セレス「球磨川君の顔を見たその時から吐き気が止まりませんわ」
セレス「ああ、何もおっしゃらなくて結構です」
セレス「ド低能のあなたにもよーくわかるようにお話しますから」
セレス「どうか質問の答えだけを簡潔にお答えください」
セレス「わたくし、二度と近づかないように言いましたわよね?」
球磨川『うん!』
セレス「球磨川君は今、わたくしに近づいていますわね?」
球磨川『うんうん』
セレス「約束を守る気がないのですか?」
球磨川『僕はいままで一度も約束を破ったことないのが自慢だった気がする』
セレス「舌の根も乾かぬうちに姿を現すとはとんだ恥知らずですわね」
球磨川『舌の根よりも喉が乾いたなぁ』
球磨川『そうだセレスちゃん!一緒に食堂に行こうよ』
球磨川『好きな人の告白大会しようぜ』
セレス「このダボがあああああ!!」
球磨川『!?』
セレス「おまえの顔も見たくねぇって言ってんだよお分かりですかあ!?」
セレス「いい加減つきまとうのはやめて壁に向かっておしゃべりしてろビチグソがああ!!!」
セレス「これ以上わたくしの前でふざけたこと言ったらちょんぎるぞ!ああぁ!?」
球磨川『……』
球磨川『うわぁ……ないわぁ……』
球磨川『でもさぁ』
球磨川『こんな狭い学校で、二度と会うなっていうのも無理な話だぜ』
球磨川『それこそ、セレスちゃんが学校から卒業でもしないとね』
セレス「ふん……わたくしは卒業する気はありませんわ」
セレス「適応力は生命力、ここで暮らしていけばいいのですから」
球磨川『易々考え方だね!僕もそう思うよ!』
モノクマ「まったくオマエラときたらそうやって楽することばかり考えて!」
モノクマ「がんばってコロシアイ生活のルール作ったんだから早くころしあってよ!」
セレス「あらあら……いつの間にあらわれたのかしら」
モノクマ「セレスティアなんとかさんだけじゃなくてみんな大人しくしてるし……」
モノクマ「先生かなしいです……なのでなんで何も起きないのか考えました!」
モノクマ「人もいる、環境も揃ってる、ミステリー要素もある、なのに……」
モノクマ「あ、閃いたのだ!」
モノクマ「ズバリ、動機だね!」
モノクマ「なーのーで!みんなのために、ある映像を用意しちゃいました!」
モノクマ「うぷぷぷぷ!学校内のある場所に行けば見れるらしいですぜ!」
モノクマ「がんばって見つけてね!セレスティアなんとかさん!ばいばーい!」
セレス「……とんでもない速さで去って行きましたわね」
セレス「まあ、いいですわ」
セレス「それじゃあ球磨川君、見つけてきてください」
球磨川『えぇ!?なんで僕が?』
セレス「どうせ約束を守る気もないのでしょうし、そのぐらいやりなさい」
セレス「映像というくらいでしょうから、視聴覚室でしょう」
セレス「わたくしはみんなにこのことを伝えてきますわ」
セレス「その間に視聴覚室にいって、罠があったらはまっておくといいですわ」
球磨川『しょうがないなあ、わかったよ』
球磨川『DVDか。ラベルに名前が書かれているぞ』
球磨川『えーっと、僕のぶんはどこかな』
球磨川『あったあった。再生してみよう!』
球磨川『……』
球磨川『やっと映った』
球磨川『へぇ、これがセレスちゃんの家族かあ』
球磨川『多恵子ちゃん(笑)』
球磨川『ん?……おやおや』
球磨川『……ふーん、なるほどねぇ』
球磨川『動機ってこういうこと』
球磨川『……』
球磨川『戻しとこっと!』
セレス「球磨川君、みんなを連れてきましたわ」
球磨川『遅かったねセレスちゃん!』
球磨川『人生を振り返れるほど待ったぜ』
セレス「そんなことより、なにかありましたか?」
球磨川『もちろん見つけたよ!このDVDをね』
セレス「DVD、ですか。なかは確認しましたか?」
球磨川『うん、そうだね』
球磨川『学園の外の映像が写っていたよ!』
セレス「学園の外ですって!?」
『学園の外の映像』
その言葉は大きな波紋となって全員の心に波をたてた
事態の究明に急ぐもの、望郷の念を抱くもの
双方に大きな期待と希望をもって波及したそれは
大きな絶望になって返ってくる
家族、友人、大切な場所、物、想い
それらが無残に壊れたかのようにみえる映像が、そこにあった
みんなが困惑し、把握し、青ざめていくさまを球磨川はただ眺めていた
そして彼はその弱さゆえに、この場で一番の弱さを露呈したものを見逃さない
球磨川『ねぇ、さやかちゃん。大丈夫かい』
球磨川『随分顔色が悪いけれど――』
舞園「っ……!やめてっ!!」
球磨川『おっと!』
球磨川『まってよさやかちゃん!ひとりでいるのは危険だよ!』
球磨川『あーあ、いっちゃった』
セレス「球磨川君……あなた……」
セレス「こんな映像だと知って、みんなに見せたのですか」
球磨川『何を言っているんだい』
球磨川『僕はみんなに強制なんかしていないよ』
球磨川『ただ外の映像だって正直にいっただけじゃないか』
セレス「外の映像だなんていえば、みんなが飛びつくことなんてわかりきっているでしょう!」
球磨川『そうかもしれないね』
球磨川『でも中にはいい映像もあるかもしれないじゃないか』
セレス「そんなわけがないでしょう!」
セレス「あったとして1%にも満たない、賭けるに値しない確率ですわ!」
球磨川『1%でも可能性があるなら諦めちゃダメだろ!』
球磨川『最後まで戦うんだ!』
セレス「っ……もういいですわ」
球磨川『そう?それじゃ僕はこれで』
舞園「はぁはぁ……どうしようどうしよう……」
舞園「はやくここから出て確かめなきゃ……!」
球磨川『ねぇ、さやかちゃん』
舞園「く、球磨川君!?いつからそこに」
球磨川『落ち着いてよ』
球磨川『冷静にならなきゃ、助かるものも助からないぜ』
舞園「……私のことは放っておいてください」
球磨川『ばか!そんなことできるわけないだろう!』
球磨川『僕たちは仲間なんだぜ!』
舞園「もうっ!なんなんですか!」
舞園「あなたが私を助けてくれるっていうんですか!?」
舞園「なにも出来ないなら、放っておいてください!」
球磨川『確かに僕はなにもできない』
球磨川『きみが何を見たのかも知らないし』
球磨川『それにどんな思い入れがあったのかわからないし』
球磨川『でも、僕は決めてるんだ』
球磨川『常に一番弱いものの味方をするってね』
舞園「……お心遣いは感謝します」
舞園「ですけどごめんなさい。いまは球磨川君の軽口に答えている余裕はないんです」
球磨川『軽口だなんて心外だなあ』
球磨川『僕はいつだって本気だぜ?』
舞園「……球磨川君もあの映像をみたんでしょう?」
球磨川『まあね』
舞園「でしたらなんで……なんでそんないつもどおりでいられんですか!」
舞園「大事な人のことが、気にならないんですか!」
球磨川『んー?』
球磨川『僕の、大事な人のこと、ね』
球磨川『別にならないけど』
舞園「……」
舞園「そうですか」
舞園「それではやっぱり、球磨川君とはわかりあえませんね」
球磨川『その言い方だとまるで』
球磨川『他に分かりあえている仲間がいるみたいだね』
球磨川『僕以外だれもきみを追いかけていないのにさ』
舞園「あたりまえです、あんな映像みて平気でいられるはずがないです」
舞園「それでも仲間の心配をしてくれる人なんていたらそれはきっと」
舞園「とっても優しい、希望のような人でしょう」
球磨川『そんなに褒めないでよ、照れるぜ』
舞園「あなたは、違います」
舞園「口では仲間だ、助けるなんていっても」
舞園「うそばっかりです、超高校級の嘘つきです」
球磨川『今まで一度もウソをついたことがないような気がする僕に』
球磨川『ひどい風評被害だね』
舞園「もういいです!はやくここから出てってください!」
球磨川『……』
球磨川『……ねぇ、さやかちゃん』
舞園「まだいたんですか。はやくここから」
球磨川『僕、殺されてあげよっか?』
やっとプロローグ終われそう
さっさと一回目の学級裁判行きたいです
それじゃまた明日とか!
球磨川『おーいモノクマー』
球磨川『でてこいよー』
球磨川『モノクマちゃーん、こっちの水は甘依存ー』
モノクマ「……どうしたんだい球磨川クン」
モノクマ「そろそろ夜時間だよ!いい子ははやく寝る準備をしろ!」
球磨川『僕もはやく寝たいんだけどさ』
球磨川『僕の部屋がないんだよね』
球磨川『このままじゃ居眠りで校則違反になっちゃうよ』
モノクマ「おやおやぁ?きみの部屋も確かに用意したはずだよ!」
モノクマ「なのに何でないのかな?」
球磨川『僕が知るわけないだろう?』
モノクマ「球磨川クーン……部屋はね、確かにあったんだよ」
モノクマ「だからボクが聞きたいくらいだよ!!」
モノクマ「どうやって部屋を消した?」
球磨川『クマ語で話されてもわかんないな』
球磨川『あっ!僕も名前にクマがついてるからもしかしてわかりあえるかも!』
球磨川『くまー』
モノクマ「……わかったわかった!ボクの負けだよ!」
モノクマ「球磨川君は特別に個室以外で寝ることを許可します!」
モノクマ「具体的にはトイレとかね!うぷぷ!」
モノクマ「なんていうと思ったかー!」
モノクマ「ボクだって校則を守ってるのに球磨川クンだけ特別扱いするわけないでしょ!」
球磨川『校則なんて追加すればいいだろう』
球磨川『球磨川禊は女子の部屋で寝ることとか』
球磨川『直立二足歩行を禁止するとか、手及び食器類を用いる飲食の禁止とか』
球磨川『僕が学園長ならそうするぜ』
モノクマ「エクストリームな提案だけど却下だよ!」
モノクマ「校則を破ったら例外なくおしおきだからね!」
球磨川『じゃあ僕はどこで寝ればいいの?』
モノクマ「うぷぷ!寝なきゃいいんじゃないの!」
球磨川『学園長が生徒をいじめるなんて世も末だぜ』
球磨川『まあ、でも』
球磨川『いわれなき迫害もあどけない迫害にも慣れてる』
球磨川『それに僕の趣味は夜の散歩だった気がするぞ』
モノクマ「球磨川クンは前向きだねぇ」
球磨川『僕は前向きなことだけが取り柄な平凡な少年だからね』
球磨川『それじゃねモノクマ。また明日とか』
モノクマ「……うぷぷぷ!いい悪夢を」
午後10時になりました。ただいまより“夜時間”になります。
間もなく食堂はドアをロックされますので、 立ち入り禁止となりまーす。ではではいい夢を。おやすみなさい…
球磨川『寝れないことぐらいは慣れているけれど』
球磨川『どうやって時間を潰そうかな』
球磨川『携帯もいつの間にかなくなってるし、モノクマにも困ったものだよ』
球磨川『誰かに話し相手になってもらおうかな』
球磨川『ああ、その前に』
球磨川『校内を見回してこようかな』
球磨川『僕だけ探索してないみたいに思われたくないからね』
球磨川『僕だってたまにはみんなの役に立つことをしようと思うんだぜ』
球磨川『飽きた』
球磨川『かれこれ1時間は探したけどなにもないや』
球磨川『そもそもみんなが探しつくしたに決まってる』
球磨川『仲間なんだから信じないとね!』
球磨川『おや、あれは……』
球磨川『誰だったかな』
球磨川『清掃のおじさんかもしれない』
球磨川『ちゃんと日頃のお礼を言わないとね』
球磨川『おーい!紋土くーん!』
大和田「……」
球磨川『僕を無視するのが高校生の流行なのは知っているけれど』
球磨川『振り向くくらいしてほしいぜ』
大和田「……うるせぇな。話しかけるなよ」
球磨川『どこへ行くの?』
大和田「なんだっていいだろうが!!気持ちわりぃからついてくんなよ!」
球磨川『ふーん……』
オマエラ、おはようございます! 朝です、7時になりました!今日も張り切って行きましょう!
霧切「……球磨川君がいると食堂が空いてていいわね」
球磨川『やあ響子ちゃん』
球磨川『どうやら僕と響子ちゃんに気を使って2人にしてくれたみたいだぜ』
霧切「単純にあなたが気持ち悪いからだと思うけれど」
球磨川『そんなひどいことを言われたのは昨日以来だよ』
霧切「コーヒーをいれるけれど飲むかしら?」
球磨川『よろこんで、と言いたいところだけれど』
球磨川『いくら響子ちゃんの淹れてくれたコーヒーでもこの眠気はさめないかな』
霧切「眠れる時に寝ておかないといけないわ」
霧切「なにがあるのかわからないのだから」
球磨川『まったく正論だね』
球磨川『だからちょっと響子ちゃんの部屋貸してくれないかな』
霧切「返答次第では貸してあげてもいいわ」
球磨川『響子ちゃんにならなんでも答えちゃうぜ』
霧切「あなたの部屋が消えていたけれど、なにがあったの」
球磨川『僕が消した』
霧切「……そう」
霧切「なんのために?」
球磨川『なんのため?』
球磨川『……さぁ?』
球磨川『女の子の部屋に泊まるための理由作りとか?』
霧切「本当のことが聞きたいのよ」
球磨川『響子ちゃんは面白いね』
球磨川『部屋を消したことは信じるくせに、理由は信じないの?』
霧切「別に信じたわけじゃないけれど」
霧切「塗り込めたような跡も時間もないし、私達が寝ている間に建物が入れ替わるはずもない」
霧切「そういった可能性がダメだとなったら、どんな起こりそうにないことでも残ったものが真実だと仮定する」
霧切「そう考えているわ」
球磨川『本当に探偵みたいなことを言うんだね』
霧切「そうね。本当にそうなのかもしれない」
霧切「球磨川君、あなたにだから言うのだけれど」
霧切「私は自分の才能を忘れてしまったのよ」
球磨川『ずいぶんと器用な物忘れだね』
球磨川『だからそれはきっと』
球磨川『忘れたんじゃなくて、忘れさせられたんじゃないかな』
霧切「……ふむ」
霧切「確かに、ありえるかもしれない。いい線いっているわ」
霧切「まさかあなたにヒントをもらえるなんてね」
霧切「球磨川君のくせに生意気よ」
球磨川『知り合いに記憶をいじれる子がいてね。思いついただけだよ』
球磨川『だからお礼は全裸にエプロンか、部屋を貸してくれるかがいいなあ』
霧切「ふふ、その二択なら部屋を貸すしかないわね」
霧切「さて、球磨川君はもう行ったし少しでも探索を進めようかしら」
霧切「優秀な助手でもいればいいのだけれど」
霧切「ふふ……球磨川君にはそういうのは期待できないわ」
霧切「……あら。舞園さん、そんなところでどうかしたのかしら」
舞園「いえ……」
霧切「球磨川君がいなくなるのを見計らって出てきたようにも見えたけれど」
舞園「……」
舞園「霧切さんは……平気なんですか」
舞園「その、球磨川君と一緒にいるのが」
霧切「そうね。平気だわ」
舞園「強い、んですね」
舞園「私も、他の人たちもどうしてもダメなんです」
舞園「十神君でさえ彼を視界にさえ入れたくないみたいで……」
舞園「あの声を聞くぐらいなら耳をそぎ落としくなる」
舞園「あの姿を見てしまうくらいなら目を潰したくなる」
舞園「あの手に触れるくらいなら手首を落としたほうがマシ」
舞園「みんなそんなことを言っています……」
舞園「私も……あの人が側にいるだけで心が折れそうになる」
霧切「気持ちはわかるわ」
霧切「あれほどのマイナスは私も聞いたことがないもの」
舞園「マイナス?」
霧切「そう呼ばれる人たちがいるのよ」
霧切「といっても私も詳しいわけじゃないわ」
霧切「……才能だとか技能というものに重きを置く人が知り合いにいたのよ」
霧切「その人から少しだけ聞いたことがあるの」
霧切「人を才能だけで区別するとしたら4つに分けられるそうよ」
霧切「普通であることのノーマル。特別であることのスペシャル」
霧切「特化した才能を持つ異常、アブノーマル」
霧切「希望ヶ峰学園の生徒はこのスペシャルに分類されるのかしらね」
霧切「そして最後が彼のようなマイナス」
舞園「マイナスだと、どうなるんですか」
霧切「大きな欠点、欠落を抱えているわ」
霧切「他の何かで補ったり、隠そうとするはずの欠点を武器に生きる存在」
霧切「それが球磨川君のようなマイナスの生き方なのよ」
霧切「もしかしたら、私は彼が羨ましいのかもしれない」
舞園「羨ましい……?」
霧切「えぇ。球磨川君は強いひとだもの」
舞園「……そう、なんでしょうか」
霧切「彼は今まで、すべての勝負に負けてきたそうよ」
霧切「当然といえば当然だわ。だからこそのマイナスなんだから」
霧切「でも、負けてきたということは、それだけ戦ってきたという証でもある」
霧切「なんでもでも立ち上がれる彼を、私は弱いと思わない」
霧切(……私も、いい加減立ち上がらないといけないのかもしれない)
舞園「……実は、私はいま球磨川君から一つの提案をうけているんです」
霧切「……」
舞園「その内容は、とても魅力的に思えました」
舞園「ただそれは、私が球磨川君を信じなければ成立しないものなんです」
舞園「霧切さん……私は彼を信じていいんでしょうか」
霧切「信じていいわけないでしょう」
舞園「ええ!?」
舞園「さっきまでいい感じで球磨川君を褒めてたじゃないですか!」
霧切「それとこれは話が別よ」
霧切「彼が最底辺な人格者であることは変わりないもの」
舞園「それって矛盾してません!?」
霧切「矛盾しないのよ。それが球磨川君なの」
霧切「善も悪もごちゃまぜにするのが球磨川君よ」
霧切「それでも、もし彼を信じるのだとすれば」
霧切「それは命がけになるわ」
舞園「……死んでも構わない……そのぐらいの覚悟はあります」
霧切「ごめんなさい、すこし訂正するわ」
霧切「それは、貴方と球磨川君と、そして私達と黒幕全員の命を」
霧切「あなたひとりの一存で賭ける覚悟がいるわ」
舞園「……それでも。私は……」
舞園「霧切さん、ありがとうございます相談にのってくれて」
霧切「相談だったのねこれ」
舞園「おかげで決心がつきました」
霧切「役に立てたのなら良かったのだけれど」
舞園「はい……。私ちょっと球磨川君のところに行って」
ピンポンパンポーン
「死体が発見されました。オマエラはやく体育館に集合してください」
舞園「え……なにこれ……」
霧切「……はじまってしまったようね」
十神「遅いぞ。霧切、舞園」
舞園「ごめんなさい十神君」
霧切「これで全員かしら?」
山田「まだ大和田紋土殿と……球磨川禊殿もおりませんな」
霧切「そう。それでアナウンスで死体といっていたのだけれど」
桑田「そそそっ、そうなんだよ!!!」
桑田「と、トイレに人が血まみれで!!!!」
桑田「それで俺慌てて石丸とか大神とか呼んできて」
舞園「そんな……まさか……」
霧切「……」
モノクマ「じゃじゃーん!オマエラ全員集まったかな!」
モノクマ「やっとコロシアイもはじまったようだし、さっそく学級裁判の話をしていくよ!」
霧切「まだ全員ではないのだけれど?」
モノクマ「ああ。その二人はいいよ!うぷぷ!」
モノクマ「というわけだよ!」
霧切「つまり犯人を当てれば犯人だけが処刑される」
霧切「もし間違えれば私達全員が処刑されるのね」
モノクマ「さすがは霧切さん。飲み込みが早くて先生鼻が高いです!」
江ノ島「ふ、ふざけんなよ!」
江ノ島「私、そんなの参加するのいやだからね!」
江ノ島「なんで私がそんなのに参加しなくちゃいけないのよ!」
モノクマ「おおう……目の前の圧倒的悪の迫力に正直ブルってるぜぇ……」
モノクマ「だけど校則は絶対です!どうしても参加したくないというなら」
モノクマ「ボクを倒してからにしろー!」
江ノ島「ふん!これで満足?」
モノクマ「……ボクに暴力をふるったね?」
モノクマ「これは校則違反だよ!」
江ノ島「それがどうしたっていうのよ!」
モノクマ「召喚魔法を発動する!たすけて!グングニルの槍ー!」
モノクマ「……ボクは今、お約束というものの偉大さを実感しています」
モノクマ「やっぱり見せしめは必要だったんだね!」
葉隠「そんな、死んだ……?死んじまったべ……?」
モノクマ「あたりまえじゃないか」
モノクマ「週刊少年ジャンプの世界じゃないんだよ。死んだら死ぬよ!」
モノクマ「じゃあ、捜査をがんばってくださいね!やるしかないんだから!」
モノクマ「それじゃあ素人のオマエラにはこのモノクマファイルをあげます!」
モノクマ「それじゃあねー」
霧切「……」
霧切「落ち込んでいてもしょうがないわ」
霧切「それに、この中に犯人がいるらしいとはいえ、まるっきり他人を信じないのも危険よ」
霧切「協力は必要」
霧切「誰を信じるか、信じないかは自由だけどね……」
セレス「そうですわね。いつまでも死んだ人のことを引きずってられませんわ」
朝日奈「ちょっと!そんな言い方……」
霧切(とにかく、死体のあった場所とこのファイルを調べてみないとね)
ザ・モノクマファイル1
被害者は大和田紋土
死亡時刻は午後11時頃
死体発見現場となったのは寄宿舎エリアにある男子トイレ
被害者は地面に倒れ伏していた
腹部に鋭い棒状のもので何度も刺された傷あとがある
おまえらネタを潰すのは真剣にやめろwwwwwwww
考えてたのとニアミスあって焦ったわ
それじゃまた明日か明後日とか
霧切響子の自室
球磨川『せっかく助けてあげたのに死んじゃうなんて恩知らずだなあ』
球磨川『ま、死んじゃったのは仕方ないよ。落ち着いてドラゴンボールを探そう』
霧切「球磨川君、私の話を聞いていたのかしら」
霧切「クロを当てられなかったら私達は処刑されるのよ」
球磨川『ああ、うん。それは聞いていたけど』
球磨川『仲間を信じられないでなにが友情だよ!』
球磨川『誰かが殺したなんて信じないぞ!きっと紋土ちゃんは自殺だったんだよ!』
霧切「私は犯人の可能性がある限り誰も信じていないわ」
霧切「もちろん、あなたもね」
球磨川『えぇ!?僕を疑っているのかい!?』
霧切「あなた以外も全員よ」
霧切「もっとも……そこの【血まみれの巨大な螺子】をみるまでは疑う程度で済んでいたのだけれど」
球磨川『うわあ。なんだこれー』
霧切「棒読みにも程があるでしょう」
球磨川『これじゃまるで、僕が紋土ちゃんを刺したみたいじゃないか!』
霧切「違うというなら、その血は一体誰のものなのかしら」
球磨川『それよりも学級裁判まで時間がないんでしょ?』
球磨川『こんなところで寝てる場合じゃないよ。捜査しにいこうぜ』
霧切「……はあ」
霧切「まだ決めつけるには早いかもしれないわね」
霧切「まずは死体発見現場の男子トイレにいきましょう」
球磨川『トイレといったら僕の庭みたいなものだね』
球磨川『案内は任せてよ!』
霧切「はいはい」
寄宿舎エリア1階 男子トイレ
霧切「いきなり右にまわって遠回りするとは思わなかったわ」
球磨川『近道ばかりが人生じゃないぜ?』
霧切「まずは死体を検分しましょうか」
霧切「いいかしら?大神さんに朝日奈さん」
大神「構わん。お主らが最後だ」
朝日奈「というよりちゃんと触って調べたのは十神だけだよね……」
球磨川『女子二人で現場保存だなんてひどいなあ』
球磨川『男子トイレなのにね』
朝日奈「あはは……」
霧切「モノクマファイルにあったように……」
霧切「【腹部から刺された大きな貫通痕】があるわね」
霧切「……ファイルにはなかったけれど」
霧切「【後頭部に打撃痕】もあるわ。血もでている」
球磨川『クロは紋土ちゃんにかなりの恨みをもっていたんだね』
球磨川『【頭を殴って昏倒させたあとめった刺し】なんて!』
霧切「……そうかもしれないわね」
球磨川『ひえー傷が生々しいなぁ』
球磨川『怖くて足が震えるぜ。手つないでいい?』
霧切「腹部の刺傷は……4、5、6つね」
霧切「傷口の割には【あまり血が流れていない】ようね」
霧切「学ランも穴だらけね……ん、これは……」
霧切「傷口にはあまり血がないのに、穴が空いていないところに【大きな血の跡】があるわ」
球磨川『響子ちゃんが相手してくれないや』
球磨川『葵ちゃん僕と一緒にドーナツたべにいかない?』
朝日奈「えっ!?わ、私はちょっと」
大神「……」
球磨川『冗談だよ冗談。だからさくらちゃん。その拳はしまってくれないか』
霧切「球磨川君、ドーナツなら生き残ったあとで私が付き合ってあげるからおとなしくしてなさい」
球磨川『さっすが響子ちゃん!その言葉だけで夏まで生きていけるぜ』
霧切「さて、これ以上ここに新しい情報はなさそうね」
霧切「次はみんなの証言を聞きに行きましょう」
球磨川『はーい!』
朝日奈「……なんか球磨川って霧切ちゃんには素直?」
大神「……球磨川と仲良く出来るとは、霧切は大した奴だ」
寄宿エリア1F 通路
霧切「モノクマファイルによれば大和田君の死亡推定時刻は11時」
霧切「夜時間になってから1時間後ね」
霧切「ちなみに球磨川君はなにをしていたのかしら?」
球磨川『夜時間から1時間すぎたころというと』
球磨川『紋土ちゃんと話し込んでいた頃だね』
霧切「そう」
霧切「……えっ?」
球磨川『僕は大事なことは2回言わないぜ?』
球磨川『昨日の11時頃紋土ちゃんにあって話していた』
霧切「一応言ってあげるけれど、2回いってるわよ」
球磨川『大事なことじゃないからいいんだよ』
霧切「そう。どこで、何の話をしていたの」
球磨川『裸エプロンの有用性について朝まで』
霧切「私は大事なことを2回言いたくない主義なのよ」
霧切「どこで、何の話をしていたの」
球磨川『僕が学園側の調査を終えて、次は倉庫で時間を潰そうかなと歩いている時だったよ』
球磨川『紋土ちゃんが自室から出てきたんだ』
霧切「確か大和田君の部屋は……食堂側から向かって左側、手前から2番目ね」
球磨川『そこから出て2,3歩して僕に気づいた』
球磨川『その瞬間、舌打ちして回れ右で僕から離れていったよ』
球磨川『僕は、ついてこいという友情の合図と受け取って追いかけたんだ』
球磨川『楽しい談笑だったなあ!』
球磨川『ただ紋土ちゃんは誰かと2人きりで会う約束があるから、といって足早に去ろうとしたね』
球磨川『誰との約束なのか聞いてみたんだけど、相手に迷惑がかかるとかなんとかで教えてくれなかったよ』
球磨川『なんで僕にばれると迷惑なのか聞きたかったんだけど、いきなりいいパンチをもらってね』
球磨川『目をまわしている間に消えちゃった』
球磨川『だからその後は知らないよ』
霧切「なるほどね……」
球磨川『いきなり暴力なんて最低だよね』
球磨川『死んで当然だよ!』
霧切「【球磨川君の証言】はよくわかったわ」
霧切「他の人にもアリバイを聞きに行きましょう」
学園エリア1F 体育館
球磨川『盾子ちゃんが串刺しじゃないか』
球磨川『モノクマめ!ゆるさないぞ!』
霧切「不二咲さん。昨日の11時頃なにしてたの?」
不二咲「えぇと……自分の部屋で寝てたよぅ……」
霧切「葉隠君は?」
葉隠「お、俺を疑ってんのか!?」
葉隠「俺じゃない!俺じゃないべ!」
霧切「じゃあ昨日の11時どこにいたのかしら?」
葉隠「そ、そりゃあ……自室で寝てたべ……」
霧切「そう。ふたりともありがとう」
霧切「どうやら球磨川君以外は【全員自室で寝ていた】みたいね」
球磨川『ちなみに響子ちゃんは昨日どんな格好で寝ていたの?』
球磨川『まちがえた。昨日どこにいたの?』
霧切「私は舞園さんの部屋にいたわ」
霧切「1時過ぎに自室に戻ったわね」
球磨川『二人だけアリバイがあるんだ』
球磨川『逆に怪しいよね』
球磨川『逆にってつけたら大体何でも通るから好きだよ』
球磨川『【響子ちゃんの証言】ゲットだぜ!』
霧切「頭部を殴った凶器がわからないわね」
球磨川『刺し傷もお忘れなく』
霧切「そっちはわかっているからいいわ」
霧切「これだけ探してそれらしいものが出てこないとなると」
霧切「既に処分されたか、あるいは個人で隠し持っているか」
球磨川『ミステリーの凶器といえば氷だよ』
球磨川『きっとクロは食堂で大きな氷を作って殴りつけ、そのまま氷柱で突き刺したんだ!』
霧切「たしかに【消える凶器】の可能性はあるかもしれない」
霧切「……調べつくすには時間が足りないわね」
球磨川『そう?僕はそろそろ飽きてきたけど』
霧切「……はぁ」
ピンポンパンポーン
「えぇ……ボクも待ち疲れちゃったんで、そろそろ始めちゃっていいッスか!?」
「それではお待ちかねの学級裁判をはじめます!」
「みなさん学校エリア1Fの赤い扉にお入りください」
球磨川『やったぞ。やっと山場だね』
球磨川『まったく序章が長すぎる』
球磨川『これが週刊少年ジャンプだったら打ち切りだよ』
霧切「まったく……球磨川君のせいで調べきれなかったわ」
霧切「仕方ない……行くしかないわね」
赤い扉の先は、大きなエレベーターだった
モノクマの案内によれば、裁判所に連れて行ってくれるらしい
乗り込んだみんなの表情は一様に固く、視線をさまよわせている
一生到着して欲しくないような、いち早く到着して欲しいような
そんな不安定な気持ちを知ってか知らずか、不気味に揺れるエレベーターの下降は止まらない
ただ一人、球磨川だけは相も変わらずへらへらと笑みを貼りつけていた
霧切「球磨川君……あなたは怖くないのかしら?」
球磨川『怖い?なんで?』
霧切「死ぬかもしれないのよ」
霧切「それも勝手に決められて巻き込まれた裁判のせいで」
球磨川『んー。僕ってそういうの慣れてるから』
霧切「強いのね……」
霧切「どうしたら、そんな風でいられるのかしら」
球磨川『そうだね』
球磨川『受け入れることだよ、響子ちゃん』
『不条理を』『理不尽を』『嘘泣きを』『言い訳を』
『いかがわしさを』『インチキを』『堕落を』『混雑を』
『偽善を』『偽悪を』『不幸せを』『不都合を』『冤罪を』
『流れ弾を』『見苦しさを』『みっともなさを』『風評を』
『密告を』『嫉妬を』『格差を』『裏切りを』
『虐待を』『巻き添えを』『二次被害を』
『愛しい恋人のように受け入れることだ』
『そうすればきっと』
『僕みたいになれるよ』
学級裁判 開 廷 !
球磨川のセリフ考えるだけで疲れてエタりたくなる
推理モノって難しいね
一応これだけでも犯人わかるようにしたつもりだけど矛盾あったらごめん
それじゃまた明日とか
モノクマ「――以上で学級裁判の確認を終わります!」
球磨川『ちょっとまってよモノクマ』
球磨川『いくつか聞きたいことがあるんだけど?』
モノクマ「もーなんだよ球磨川クン。キミの相手をすると長くなるんだよ!」
球磨川『そんなつれないこと言うなよ』
球磨川『僕だって人並みに傷つくこともあるんだぜ?』
モノクマ「それでは議論をはじめちゃってくださーい!」
球磨川『おーい』
霧切「……」
霧切(ここで死ぬわけにはいかない)
霧切(私にはやるべきことがあるのだから……)
霧切(集めた言弾を確認しましょう)
【血まみれの巨大な螺子】
・球磨川の私物。どこから持ち込んだかは不明だが、多量の血痕が付着している
【腹部から刺された大きな貫通痕】
・計6箇所刺されている。かなり大きな傷口
【後頭部に打撃痕】
・相当の衝撃で殴打されている
【頭を殴って昏倒させたあとめった刺し】
・球磨川の推理であり、なんの根拠もない
【あまり血が流れていない】
・腹部の貫通痕、頭部の打撃痕ともに相当な衝撃の割にはほとんど血が出ていない
【大きな血の跡】
・腹部とも頭部とも関係ない部分で血が多量に付着している
【球磨川君の証言】
・大和田の死亡推定時刻に出会っていた
・自室から出て数歩、球磨川に気づいて振り返って逃げるように去ろうとした
・大和田は誰かと二人きりで会う約束をしていた
【全員自室で寝ていた】
・霧切が全員から集めた証言。夜時間に出歩いた者は球磨川以外いないとのこと
【響子ちゃんの証言】
・犯行時刻、舞園の部屋で話し合いをしていた。内容は乙女の秘密
【消える凶器】
・球磨川の推理。頭部をなぐった凶器は見つからないのではなく、消えたとのこと
ノ ン ス ト ッ プ 議 論
議 論 開 始 !
十神「そうだな。まずは犯行時刻から話そうか」
不二咲「モノクマファイルだと……11時頃ってあるね」
朝日奈「夜時間から1時間後だよね」
山田「僕はルールを守って自室にいましたぞ!」
葉隠「というか、夜時間はみんな自室で寝てるはずだべ!」
桑田「ってことはみんなアリバイなんてねーのか?」
十神「夜時間のアリバイを証明できるものはいるか?」
球磨川『はいはいはーい!』
十神「チッ……言ってみろ」
球磨川『僕は部屋がないから出歩いていたんだけど紋土ちゃんと出会ったよ』
球磨川『だから僕の無実は天国の紋土ちゃんが証明してくれる』
十神「……」
桑田「……」
山田「おうふ」
セレス「……バカ、ですわね」
球磨川『あれ?僕うたがわれてる?』
球磨川『こういうとき一番疑わしい人は犯人じゃないって言うじゃん?』
球磨川『だから僕じゃない。それに凶器だって見つかってないのに決めつけるなよ』
霧切「それは違うわ」
霧切「私は球磨川君が【血まみれの巨大な螺子】を持っているのを見た」
腐川「や、やっぱり球磨川が犯人なんじゃない……」
葉隠「クロは球磨川っちに間違いないべ!」
桑田「やっても不思議じゃねぇと思っていたが本当にやりやがるとは」
舞園「く、球磨川君……」
球磨川『わお。ナイス裏切りだよ響子ちゃん』
球磨川『ときめいたよ』
霧切「なんの約束もした覚えがないわね」
山田「ジエンドですな!」
十神「球磨川。違うというなら反論してみせろ」
球磨川『反論、ね』
球磨川『特にないかな』
十神「クロだと認めるのか」
球磨川『はは、認めるわけないだろ。だって僕はやってないもの』
十神「ならば証拠をみせろと言っている!」
球磨川『ないって言ってるだろ。白夜ちゃんってもしかしてバカ?』
大神「……堂々めぐりだな」
桑田「もういいだろ。球磨川がクロっつーことでよー」
不二咲「ほ、他に夜時間に出た人はいないんだもんね」
霧切「まだ球磨川君がクロだと決まったわけじゃないわ」
山田「しかし霧切響子殿がおっしゃったではありませんか!」
山田「凶器は球磨川禊殿が持っていたと!」
霧切「えぇ、あの螺子は間違いなく大和田くんを貫いたでしょう」
朝日奈「モノクマファイルにも【腹部から刺された大きな貫通痕】ってあるもんね!」
葉隠「リアルな話、螺子以外に凶器になりそうなものがないべ」
霧切「その上でモノクマに聞くわ」
霧切「モノクマファイルには大きな貫通痕があると書いてあるのだけど」
霧切「これって」
霧切「死因なのかしら?」
モノクマ「……うぷぷぷぷぷぷ!」
霧切「死因とは明記されていないし」
霧切「大和田君の遺体には【後頭部に打撃痕】も認められるわ」
霧切「それもかなり強力な、おそらく殺意のこもった一撃がね」
舞園「つまり、刺傷じゃなくて後頭部への打撃が死因だってこと?」
桑田「でもよー、そうなると犯人は腹を何回も刺したあとに……」
桑田「まだ生きてたから頭をぶん殴ってトドメってことになるよな?」
桑田「それってちょっと違和感があるっつーか……」
朝日奈「たしかに、お腹に穴まで空けといてまだ生きてるってありえるの……?」
大神「仮に生きていたとしても、わざわざ打撃に切り替える意味も感じぬ」
霧切「えぇ、だからそれは順番が逆で」
霧切「刺した人と殴った人は別、ということよ」
十神「……ふん、なるほど」
霧切「球磨川君、ここまで言えば話してくれるわね?」
球磨川『……』
球磨川『仕方ない。ついに話す時がきたようだね……!』
球磨川『僕が今までウソをついてきたわけを!』
十神「理由があったというのか」
朝日奈「あそこまでした理由っていったいなんなの!?」
山田「まさか真犯人をかばって!?」
球磨川『それはほら。みんなが困ってる顔が好きだから』
セレス「……はあ」
霧切「……つまり、何者かによって頭部を殴られて死んでしまった大和田君を見つけた球磨川君は」
霧切「持っていた螺子で何度も遺体を突き刺したのよ」
舞園「既に亡くなっている大和田君を刺した……?」
朝日奈「え?え?な、なんのために?もう死んじゃってるんだよねその時」
桑田「なんでそんな事を!?」
セレス「……わたくしに分かる気がしますわ」
霧切「球磨川君と少しでも一緒にいた人ならわかるんじゃないかしら」
球磨川『みんなとの絆を感じるなー』
セレス「そのほうがもっと混沌となるからでしょう?」
霧切「ただ事態をかき乱す、そのためにしたんでしょうね」
球磨川『さっすがセレスちゃんに響子ちゃん。僕の元カノと今カノなだけあるね』
セレス「怖気の走る冗談はやめてくださる?」
球磨川『ばれちゃってるなら仕方ないね』
球磨川『響子ちゃんの言うとおり……』
球磨川『既に死んでる紋土ちゃんを刺したのは僕だ』
球磨川『どうしてわかったのか、教えてくれるかな?』
霧切「血の量よ」
舞園「血……ですか?」
霧切「えぇ。貫通するほどの傷なのだから出血の量はすさまじい量になるはずだわ」
霧切「にも関わらず、【あまり血が流れていない】のよ」
霧切「服に付着した血も貫通させたほどの量じゃない」
霧切「となると考えられるのは一つ」
霧切「刺された時に既に心臓は止まっていた」
霧切「だから血はあまり出なかった」
霧切「これでいいかしら?球磨川君」
球磨川『ふーん。ま、そういうことにしとこうかな』
霧切「腹部の傷が死後つけられたものなら、死因は頭部への打撃となる」
霧切「だから、球磨川君はただ便乗しただけで、真のクロは他にいるわ」
球磨川『それはどうかなー?』
セレス「球磨川君は黙っていてくださる?」
桑田「球磨川以外に犯人がいるってマジかよ……」
霧切「どうなのモノクマ」
霧切「死因は頭部への傷でいいのかしら?」
モノクマ「うぷぷ!その通りだよ!」
霧切「そう。では学級裁判を続けましょうか」
霧切「なぜモノクマがミスリードを誘ったのかはわからないけれど」
霧切「球磨川君を犯人だと決めつけるのは早いわ」
葉隠「で、でもよ。見つけた凶器でわからないとすると、他に手がかりがないべ!」
桑田「どーすんだよ手詰まりかよ!」
十神「騒ぐな愚民共。それを今から話し合うんだ」
腐川「だ、だれか情報はないの!?」
球磨川『ついに僕の出番のようだね!』
十神「引っ込んでいろ」
朝日奈「あはは……球磨川はちょっと信じられないかな……」
霧切「いえ、【球磨川君の証言】は必要になるわ」
霧切「夜時間、ずっと学校と寄宿舎を徘徊していた球磨川君の情報がね」
霧切「球磨川君、私に話してくれたあの証言を、みんなにも話してくれないかしら?」
球磨川『えー?どうしようかなあ』
霧切「……どうしても話してくれないかしら?」
球磨川『話すこともできるし、話さないこともできる』
球磨川『すごい自由度だよね、迷っちゃうよ』
霧切(……球磨川君に話をさせる方法はあるけれど)
霧切(できれば使いたくない。……いや絶対に使いたくない)
霧切(でも、背に腹は代えられないわね……)
霧切「……球磨川……君」
球磨川『よし決めた!今日の僕の気分は話さないだ!』
霧切「ぅぅ……っ……!」
霧切「く……球磨川君、そ、その、話を、してちょうだい……かわりに……かわりに」
霧切「あとでパンツみせてあげるから!!」
球磨川『あれは昨日の夜11時頃だったよ。夜時間のアナウンスがあって一時間くらいだから間違いない』
球磨川『僕は3回めの学園の探索を終えて寄宿舎エリアに戻ってきた』
球磨川『そこでちょうど自室から出てきた紋土ちゃんに出会ったんだ』
球磨川『部屋から出て数歩歩いたところで紋土ちゃんは僕に気づいたようで』
球磨川『舌打ちすると振り返って去っていったよ』
球磨川『時間を持て余していた僕はそれに追いすがり紋土ちゃんに話しかけたんだ』
球磨川『何度も話しかけたことで打ち解けてくれたようで、少しばかりお話できたよ』
球磨川『紋土ちゃんは誰かと二人で会う約束をしていて、それには僕が邪魔だったようだ』
球磨川『男の約束だから誰かは言えないとか何とか』
球磨川『もっと詳しく聞こうと思ったんだけど、何故か怒り心頭の紋土ちゃんに殴られてね』
球磨川『僕が目を回してふらふらしてる間に逃げられちゃった』
球磨川『しょうがないから僕はまた朝まで無駄な探索に戻ったよ』
球磨川『そうやって徘徊してるときに紋土ちゃんの死体をみかけて、さっきの話のとおりにしたんだ』
球磨川『以上が僕が紋土ちゃんと会った話だよ響子ちゃん!』
霧切(恥ずかしすぎて死にそう)
舞園「……パンツの話は置いておいて」
霧切「~~~っ!!」
舞園「その会う約束をしていたって人が、真犯人ってことですよね?」
大神「確かにいい情報ではあるが……」
十神「結局犯人には結びつかないではないか」
不二咲「大和田君と話をして約束するタイミングは全員にあるもんね……」
霧切「い、いいえ……いまのでもう犯人は推測できるわ……」
球磨川『後でっていつかなぁ』
霧切「つまり大和田君が最初に球磨川君の方に歩いてきたというのが重要なのよ!!」
山田「………ふぅ。しかしそれがどうしたというのです?」
山田「ただ大和田紋土殿が約束の場所に向かおうとしたというだけの話では?」
霧切「思い出してちょうだい。夜時間は球磨川君以外、【全員自室で寝ていた】のよね?」
セレス「当然ですわね。そのためのルールですもの」
球磨川『確かに、夜時間に出会ったのは紋土ちゃんだけだったね!』
霧切「全員自室にいたことと球磨川君の証言が真実とするなら」
霧切「大和田君の目的地は、誰かの個室ということになるわ」
桑田「自室によびこんで後ろから殴って殺したってわけか!」
朝日奈「あれ?それだとおかしくない?」
朝日奈「だって死体は男子トイレにあったんだよ」
十神「殺害後、移動させたんだろう」
十神「そのまま自室に置いておけば、犯人は自分だと言っているようなものだから当然の話だ」
桑田「だったら最初から男子トイレに呼び出せばよくねーか」
大神「殺すつもりはなかった……ということか」
霧切「焦ったのでしょうね」
霧切「頭から流れ出る血を、大和田君の学ランで抑えながらトイレまで運び込んだ」
霧切「その結果、傷口と関係ない服に【大きな血の跡】がついてしまった」
霧切「まあそれも、球磨川君とモノクマのせいでややこしくなってしまったけれど」
霧切「おそらくクロの自室には、大和田君の返り血が散乱しているはずよ」
葉隠「じゃ、じゃあ全員の個室を調べればクロがわかるべ!」
霧切「どうなのモノクマ。いま調べに行ったら明らかになると思うのだけれど」
モノクマ「うぷぷ!許可してもいいんだけど、やっぱりダメッ!」
モノクマ「裁判中に移動なんてしちゃダメです!」
桑田「ああ!?これでクロがわかるんだから別にいいじゃねーか!」
モノクマ「もう自由時間は終わったんだよ!」
モノクマ「これだからゆとりはダメなんだよ!ルールは守らないとダーメ!」
桑田「チッ!」
朝日奈「ど、どーしよう!もう手がかりはないの……?」
球磨川『手がかりならあるぞ!』
球磨川『男子トイレに連れ込んだってことはクロは男子だね!』
球磨川『これで犯人は2分の1に絞られた!』
十神「愚民が」
霧切「そうね。もう手がかりは必要ないわ」
霧切「答えは寄宿舎エリアの地図にある」
山田「どういうことですかな?」
霧切「球磨川君の証言を思い出してみて」
霧切「大和田君は、学園エリアから戻ってきた球磨川君のいる方向にむかって数歩歩いた後、振り返って逃げたのよ」
葉隠「そ、それが?」
霧切「球磨川君じゃあるまいし、いちいち遠回りをしないのなら」
霧切「大和田君の元々の目的地は自室から出て右にあるってことよ」
十神「……そういうことか」
桑田「出て右っつっても、いろいろ部屋とか教室とかありすぎてわかんねーぞ!」
十神「……【全員自室で寝ていた】と証言しているのだから、自室に限った場合はそうではない」
霧切「えぇ、大和田君の部屋から出て右にある個室は3つ」
霧切「消えてしまった球磨川君の部屋、舞園さんの部屋」
霧切「そして、石丸君の部屋よ」
霧切「ちなみに舞園さんの部屋には夜1時まで私が一緒にいたから彼女はクロではないわ」
球磨川『体育館で聞いた【響子ちゃんの証言】だね』
霧切「だから、あなたの話が聞きたいわ」
霧切「一度もしゃべっていない、石丸君」
石丸「……」
霧切「もし自室にいるという証言が嘘だったのなら、嘘をついた理由と、どこにいたのか答えてもらうわ」
霧切「もっとも、夜時間中徘徊していた球磨川君に見つからなかった理由も答えてもらうけれどね」
球磨川『もらうけれどね!』
石丸「……」
霧切「一つずつ確認しましょうか」
霧切「あなたは夜時間、ずっと個室にいたのかしら?」
石丸「……もちろんだ」
霧切「大和田君は訪ねてきた?」
石丸「……」
石丸「あぁ、来た。約束だったからな」
霧切「何の話をしたの?」
石丸「風紀の話だ……。彼は著しく風紀を乱す格好と、言動をしていたからね」
石丸「だが僕は殺していないぞ。大和田君とはその場で別れて、それっきりだ」
霧切「ではなぜ、昨夜大和田君と出会ったことを黙っていたのかしら?」
霧切「風紀にこだわるあなたが、この裁判に非協力的になる訳は?」
石丸「……別に、重要ではないと思っただけだ」
十神「……」
朝日奈「どーしよう……」
桑田「……ちっ」
葉隠「石丸っちが犯人なのかわからないべ……」
不二咲「うぅぅ……」
霧切「……」
霧切(ここで認めてくれたら楽だったのだけれど、さすがにそう上手くいかないわね)
霧切(これ以上の追求は難しい。状況は間違いなく石丸君が犯人だと示しているけれど物的証拠がない)
霧切(あと一手……なのだけれど)
球磨川『なにを悩んでいるんだい響子ちゃん』
霧切「球磨川君……」
球磨川『ま、僕に任せてよ。女の子に暗い顔させたままじゃいない僕だぜ』
霧切「期待して、いいのかしら」
球磨川『僕が響子ちゃんのパンツにかける程度に期待していい』
霧切(忘れて欲しかった)
球磨川『ねぇ清多夏ちゃん』
石丸「……なんだね球磨川君」
球磨川『なんだかみんな決め手に欠けて困ってるみたいなんだ』
球磨川『協力してくれないかな』
石丸「したいのはやまやまだが、僕が出せる情報はもうないんだ」
球磨川『ふーん。じゃあいいや』
石丸「な……?」
霧切「ちょっと球磨川君?」
球磨川『みんな何を悩んでるのか知らないけどさあ』
球磨川『これって結局、犯人ぽいやつみんなで選ぶゲームなんだよね?』
球磨川『だったらさぁ。別に決定的な証拠なんていらないじゃん』
球磨川『犯人は清多夏ちゃん以外に考えられないんだし、みんなで選んじゃえばいいよ』
球磨川『証拠とか動機とかそんなのどうでもいいし』
球磨川『おまえ、なんだかそんな雰囲気って理由で処刑されろよ』
霧切(忘れてたわ、球磨川君の性格を)
霧切(過小評価していたというべきかしら)
霧切(善も悪もおしなべて台無しにする負完全)
霧切(石丸君の気持ちはもちろん、その後の私達に残るしこりや罪悪感なんて考えない、眼中にない)
霧切(そういう人だったわね)
石丸「なっ……君は……君というやつは!!!」
石丸「君が、君がいるせいで!!!!」
球磨川『おいおい、僕がなにをしたっていうんだよ人殺しやろう』
球磨川『超高校級の風紀委員のくせに、自分が一番風紀を乱すなんてどういうつもりなのかな』
球磨川『見なおしたよ清多夏ちゃん』
球磨川『きみは弱っちくて守られてないと何も出来ない疎まれる存在だと思ってたのに』
球磨川『殺人なんてガッツあるね!!』
石丸「く……球磨川ァああああああ!!」
石丸「違うちがうちがう!!!」
石丸「僕はそんな存在じゃない!!!」
石丸「だから証明してみせただろう!?」
石丸「風紀を乱す存在を!!」
石丸「僕ひとりで正してやったんだ!」
石丸「超高校級の風紀員として!正しいことを!風紀を!!」
石丸「みんなのために!!」
石丸「だから僕は……!僕は……」
石丸「僕は悪くない」
球磨川『その通りだよ清多夏ちゃん』
球磨川『きみは悪くない』
球磨川『悪いのは全部黒幕なんだ!』
球磨川『くそう!くろまくめ!清多夏ちゃんをこんな目にあわせやがって!』
球磨川『絶対にゆるさないぞ!』
球磨川『だから安心してくれ清多夏ちゃん!』
球磨川『きみの仇は必ず僕がそのうち取る!』
球磨川『さあモノクマ!投票しようぜ!』
モノクマ「……相変わらずだねぇ球磨川せんぱい!」
モノクマ「惚れ惚れしちゃうね!」
モノクマ「さあ投票タイムだよ!みんな手元のスイッチを押してクロを指名してね!」
モノクマ「あ、一応いっておくけど押さないのはナシだよ」
モノクマ「ちゃんと自分でおして、処刑に加わるんだよ!うぷぷ!」
GAME OVER
イシマルくんがクロにきまりました。
おしおきをかいしします。
possessions check
持ち物検査
あっという間の出来事だった
拘束され引きずられていった石丸は悲鳴一つあげず吊るされる
四方八方から現実味のないロボットのアームが、これもまた現実味のない刃物をもって出現した
ギロチン、チェーンソー、糸ノコギリ等々
誰一人、次に起こることを予想できない、予想したくない
それでもまさか、まさかと思い目を逸らすこともできない
しかしそれは唐突に、それよりも必然に起こる
様々な刃物たちは、石丸を切り刻んでいく
石丸の持ち物が何一つなくなるまで切り刻みえぐっていく
あとに残ったのは、彼の真っ直ぐさを示すような白い制服だけだった
モノクマ「いやっほううう!エクストリーーーム!!」
山田「あわ、あわわわわ」
腐川「なんなのよ……なんなのよこれぇ……」
不二咲「もういやだ……もういやだよう……」
モノクマ「もう嫌なら……ここで一生住むことを受け入れるんだね!」
桑田「てめぇ、一体なにが目的だよ!!」
モノクマ「目的?それはねぇ……」
モノクマ「絶望、それだけだよ」
球磨川『みんな落ち込んじゃダメだよ!こんなときこそ希望を持たないと!』
十神「……っ!そもそも、貴様が石丸を追い詰めるからこんなことになったんだろうが!」
球磨川『おいおい、やめてくれよ』
球磨川『僕がいつ清多夏ちゃんに人を殺せなんて言った?』
球磨川『それどころかトイレに置いてあった清多夏ちゃんの凶器を消して手助けしたんだぜ?』
球磨川『そもそも本当のクロを見つけないとみんな死んじゃうんだよ』
球磨川『感謝こそすれ、怒られるなんて心外だなあ』
球磨川『大体悪いのはモノクマだろ!』
球磨川『こんな環境を用意して清多夏ちゃんを追い詰めたから悪いんだ!』
球磨川『だから』
球磨川『僕は悪くない』
球磨川『だって僕は悪くないんだから』
それはまた明日とか
寄宿舎エリア1F 渡り廊下
舞園「……みんな自室にこもっちゃいましたね」
霧切「無理もないわ。あんな勝っても負けてもいない、ひどい終わり方をしたのだから」
舞園「……彼はいったい、なにものなんでしょう」
霧切「何者?」
舞園「さっきの球磨川君をみて、わたし思っちゃったんです」
舞園「一生ここで暮らしてもいい、グループの仲間たちも構わない」
舞園「そんなことより、彼という存在のいないところへ行きたいって」
舞園「外の生活よりもグループの安否よりも、ただ球磨川君がいない世界を望んだんです」
霧切「……そう」
舞園「きっとみんなそう考えたんだと思います」
舞園「同じ人間というカテゴリでわけられるのさえ気持ち悪いと思わせる」
舞園「そんな彼は、一体なにものなんでしょう」
霧切「私はそこまでの嫌悪感を覚えていないからなんとも言えない」
霧切「でも、彼の正体を確かめることは必要だと認識したわ」
霧切「これは完全にただの予感、根拠のない確信なのだけれど」
霧切「このまま彼を放置したら、おそらく黒幕は球磨川君にねじ伏せられる」
霧切「だけどそれは今回のように勝者なき戦いになる」
霧切「誰も得しない、誰も幸せにならない。ひたすらに後味の悪い結果になるでしょうね」
霧切「それは私も望むところじゃないわ」
霧切「だから球磨川君を制御する、そのために球磨川君という正体を知る必要がある」
舞園「すごいですね霧切さん……。私にはとても、球磨川君のことを知る勇気はありません……」
霧切「えぇ、それは私に任せてちょうだい」
舞園「パンツで制御するんですか?」
霧切「それは思い出させないでちょうだい」
舞園「ふふ……でも、どうやってあの球磨川君を調べるんですか」
霧切「実は、1つだけ彼を知るための心当たりがあるの」
霧切「とってもか細い糸、たぐりよせるのも大変な意図なのだけれど」
霧切「……彼の動機用DVDが視聴覚室にあるはずよ」
学園エリア1F 視聴覚室
「……ぇ……ねぇ……これ撮れてるかな?」
「おいおい!お前が持つと腐っちまうだろ」
「あ、そうだったね飛沫ちゃん」
「せっかく頂いたカメラなんですから壊してはいけませんよ」
「んー?これ使い方がわかんない」
「あたしに聞くなよ。そこで寝てるヤツに聞けばいい」
「ねぇ、起きてー起きてー」
「だから腐ってるって!ひひひ」
「あー江迎さん。私が持ちますよ」
「えー……えーと……球磨川さん、こんにちは」
「球磨川さんがえーっと、なんて学校だっけ?」
「しらねぇ」
「どこかに転校してそこそこ経ったけどどうですか?」
「ていうかよー、いちいちコイツの言うこと守って応援メッセージなんて言わなくていいだろ」
「我々は球磨川先輩のから言われていたことだけお伝えすればいいです」
「それもそっか」
「じゃあ私達が出て行ったあとの箱庭学園のお話をしま~す」
「私たちが生徒会戦挙にいつもどおりに負けて出て行った後、箱庭学園は瓦解しちゃいました」
「黒神さんもなんだか覇気がなくなったって人吉くんも言ってたし」
「そうそう!球磨川さんのアドバイス通りにしたら私、人吉くんと仲良くできたんです!」
「あれを仲良くと呼ぶのかどうか疑問ですが」
「蛾々丸くんは私たちの愛が分かってないんだよ。もちろん二人の愛は二人だけのものだから分からないのも当然だけどね?」
「だって人吉くんたら、えへへ。いつもの待ち合わせ場所で会った時についに下の名前で呼んでくれてね」
「すっごい恥ずかしそうにしてたの、顔まっかで。でも私もきっと負けず劣らず赤くなっちゃってそれでそれで」
「あーストップストップ」
「ともかく球磨川先輩の仰ったとおり、我々も件のスキルホルダーを探していますがこれといって発見はありません」
「希望ヶ峰学園に球磨川先輩の探している人いればいいのですが」
「面白いのがいたから仲良くなったって手紙こなかったっけ?」
「ああ、なんていう名前でしたか」
「江ノ島ー……だっけ?」
「そっちはダメだったほうだよ」
「そう、確か名前は……」
「霧切響子」
学園エリア 2F
球磨川『シャッターが開いてるからあがってみれば、なにもないね』
球磨川『週刊少年ジャンプを置いていない図書館なんて信じられないよ』
球磨川『おや、またシャッターがあるじゃないか』
球磨川『困ったなぁ。僕、屋上でお弁当を食べるのが夢なのに』
球磨川『人の夢を邪魔するなんて最低だ!』
球磨川『螺子り通っちゃうね』
学園エリア3F
球磨川『いやはやさてさて。ここにもなにもないなぁ』
球磨川『そろそろかなと思ったんだけど、やっぱりラスボスは一番上にいるのかな』
球磨川『希望の象徴とかいうくらいならエレベーターくらいつけて欲しいね』
モノクマ「……うぷぷ。球磨川クン何しているのかな」
球磨川『おや!クマが仲間になりたそうな目でこちらをみているぞ』
球磨川『でもごめんね。親が熊アレルギーでさあ』
モノクマ「勝手にシャッター壊してはいってきて!校則違反だよ!」
球磨川『監視カメラの破壊はダメらしいけどシャッターはダメとは書いてないぜ?』
モノクマ「もー!これだからゆとりは!言葉尻をとらえていい気になっちゃって!」
モノクマ「でもそう言うと思って校則を追加しておいたのです!」
モノクマ「シャッターの破壊を禁止します。ちゃんとみてよね!」
球磨川『おいおい、これ明らかに今追加しただろ』
球磨川『条件ってやつは始まる前に提示しなかったら意味がないじゃん』
モノクマ「球磨川クンのくせに正論いうなよ」
球磨川『まあいいや。あとでなかったことにしておくから抵触しないよね』
モノクマ「まさか、このまま通れるとでも思っているのかな?」
モノクマ2「うぷぷぷ!甘すぎだよ!激甘だよ!」
モノクマ3「球磨川クンはここでおしおきだよ!!」
モノクマ4「これ以上コロシアイ生活を荒らされるのは勘弁だからね!」
球磨川『わあ、驚いたなー。モノクマっていっぱいいるんだ』
球磨川『どのくらいいるの?』
モノクマ「50体くらいかなぁ」
球磨川『バスケの大会でも開けそうだ』
モノクマ「間違えた。500体だよ!」
球磨川『野球も余裕だね』
モノクマ「じゃあね球磨川せんぱい。楽しかったよ!」
学園エリア4F 情報処理室
江ノ島「まったく、やっと校則違反してくれましたわね」
江ノ島「ったくよぉ!球磨川のやつ意外にルール守りやがるから困ったぜ」
江ノ島「大嘘憑き……物体を消すことが出来るスキルとか言ってましたっけ」
江ノ島「そんなとんでも能力はミステリーには不要です」
江ノ島「うぷぷ……死体は確認できたし後はシャッター直して仕切りなおしかな」
球磨川『盾子ちゃん久しぶりっ!』
江ノ島「……は?」
球磨川『僕だよ』
江ノ島「な……くまがっ」
球磨川『第一章が終わったばっかりだからまだ攻撃されないと思った?』
球磨川『黒幕ぶってれば安全だと思った?』
球磨川『おしゃべりの最中なら死なないと思った?』
球磨川『甘ぇよ』
球磨川『……が』
球磨川『その甘さ』
球磨川『嫌いじゃあないぜ』
江ノ島(いま、球磨川の螺子はアタシの頭蓋を貫通したはず)
江ノ島(幻覚か錯覚……?)
江ノ島(『大嘘憑き』の力は物体を消すスキルだと一年前に言っていたけどそれは嘘だった)
江ノ島(となれば死体を確認したにも関わらず平然と生きてることにも説明がつく)
江ノ島(部屋を消したのではなく、消したとみせかけているのか)
江ノ島(うぷぷ。1年かけたブラフってことね)
球磨川『どうしたんだい盾子ちゃん。なにやら思案気な顔をしているけれど』
球磨川『きみには笑顔が一番似合うぜ』
江ノ島「うぷぷ!球磨川くん、きみは死んだんじゃなかったのかな」
球磨川『君もだろう?お互い様だよ』
江ノ島「ぎゃはははは!確かにその通りだなあ球磨川ぁ!」
江ノ島「私の見通しが甘かったことを認めざるを得ません」
江ノ島「一応絶体絶命なので言いましょう」
江ノ島「きゃー球磨川クンなんでもするから助けて欲しいの!」
球磨川『もちろん。女の子の頼みは断らないぜ』
江ノ島「そう言ってくれると私様は確信していた!」
江ノ島「うぷぷ。むしろさあ。ボクと組まないかな?」
江ノ島「君とならいい絶望を味わえそうな気がするんだ」
球磨川『絶望?』
球磨川『ふーん』
球磨川『ま』
球磨川『どうでもいいかな』
球磨川『応援してるよ』
球磨川『がんばってね』
江ノ島「つれないですね球磨川クン」
江ノ島(1年前は僕と一緒にいれば世界一絶望できるって言ってくれたのにね)
江ノ島「それじゃ。私様にどういう要件でここにきた?」
球磨川『ドラマちっくな理由を期待していたのなら悪いけれど』
球磨川『いや僕は悪くないけれど』
球磨川『今回はただ顔を見に来ただけだよ』
江ノ島「てっきりアタシを殺してゲームに勝利するつもりなのかと思った」
球磨川『一応、僕もルールは守って勝つつもりなんだ』
球磨川『だから、黒幕の正体は盾子ちゃん!なんてバラさないから安心して!』
球磨川『僕は正々堂々、このコロシアイ生活を勝ち抜いて黒幕のきみを倒すぜ!』
球磨川『死んだ清多夏ちゃんのためにもね!』
球磨川『あ、シャッター直しといてね』
球磨川『それじゃまた明日とか!』
俺…これが完結できたら……江迎ちゃんのヤンデレSS書くんだ……
それじゃまた明日とか
ちょっと忙しくなってきたのと2回めの学級裁判のネタがいい感じで固まらないから月曜か火曜に書くよ
エンディング以外なにも考えずに立てた結果がご覧の有様だよ
その時新しいスレたてます。残ってたらここにURLはる
じゃあまた来週とか
このSSまとめへのコメント
こんなSS書くバカは苗木アンチか球磨川厨
早く続きが見たい!!
続きみたいなこれは
球磨川が主人公だとここまでウザイのか……
クロスもので厨とか言い出しちゃうキチガイくんは京豚ssや八幡豚ssを読んでみようね?
球磨川の良さを理解してない人
結構いて草