妹「へえ…彼女いるのに私のことそんな目で見るんだー」 (105)

男「は?」

妹「いやらしー、お風呂あがりの私の裸見て興奮しちゃってるんだー」

男「…いや、そこに仁王立ちされるとテレビが見えないんだけど?」

妹「そこまで露骨にジロジロ見られても妹の立場としてどうして良いか困っちゃうんだけどなー」

男「黙ってどいてくれれば良いんですが…」

妹「で、でもお兄ちゃんの頼みなら、もう少し色々と見せてあげても――」

男「妹」

妹「はいな?」

男「邪魔」

妹「…はい」スッ

男「分かればよろしい」

妹「…むー、お兄ちゃんのばか」

タッタッタッ…

男「…なんだったんだ?」

男「は?」

妹「いやらしー、お風呂あがりの私の裸見て興奮しちゃってるんだー」

男「…いや、そこに仁王立ちされるとテレビが見えないんだけど?」

妹「そこまで露骨にジロジロ見られても妹の立場としてどうして良いか困っちゃうんだけどなー」

男「黙ってどいてくれれば良いんですが…」

妹「で、でもお兄ちゃんの頼みなら、もう少し色々と見せてあげても――」

男「妹」

妹「はいな?」

男「邪魔」

妹「…はい」スッ

男「分かればよろしい」

妹「…むー、お兄ちゃんのばか」

タッタッタッ…

男「…なんだったんだ?」シコシコ

男「――みたいな感じで最近困ってる」

男友「……。」

男「ん?なんで黙る?」

男友「いや、どんな反応すればいいんだよ。羨ましがれば良いのか?」

男「どこに羨ましがる要素が?」

男友「全部だ、全部。みんなのアイドルだった女さんと付き合い始めて、可愛い妹には嫉妬してもらえて…」

男「嫉妬?いやいやなんであいつが嫉妬なんかするんだよ」

男友「まあ、色々と構ってもらいたい年頃なんだろうよ」

男「…うーん」

男友「とりあえず、俺は知らん」

男「そんなこと言うなよー」

男友「ほら、彼女が待ってるぞ?」

男「ん…あ、おはよう」

女「おはよー、男くん」

男友「じゃあ、俺は先行ってるからな」

男「は?」

妹「いやらしー、お風呂あがりの私の裸見て興奮しちゃってるんだー」

男「…いや、そこに仁王立ちされるとテレビが見えないんだけど?」

妹「そこまで露骨にジロジロ見られても妹の立場としてどうして良いか困っちゃうんだけどなー」

男「黙ってどいてくれれば良いんですが…」

妹「で、でもお兄ちゃんの頼みなら、もう少し色々と見せてあげても――」

男「妹」

妹「はいな?」

男「邪魔」

妹「…はい」スッ

男「分かればよろしい」

妹「…むー、おにいのばか」

タッタッタッ…

男「…なんだったんだ?」


こうするとより臭い

女「え、そんな気を使わなくても良いから!」

男友「いやいや、俺にはこの空気は耐えられん…じゃあまた後でな」

タッタッタッ

男「…悪いことしちゃったな」

女「そうだね」

男「まあ律儀なところは昔からなんだけど」

女「幼馴染みなんだっけ」

男「そんなところ」

女「羨ましいなぁ…男くんのこと、私よりたくさん知ってるってことだもんね」

男「はは、そんなん知らなくていいって。ほら、行こう」

女「……。」

男「…?」

女「手、繋ぐの恥ずかしい」

男「やめる?」

女「ううん、繋ぐ!」ギュッ

妹「……。」

妹友「妹ー」

妹「あ、はいなんでしょうか」

妹友「…なんでそんな改まった?」

妹「ごめん、ぼーっとしてたから」

妹友「なんかあった?」

妹「私はなにも無いよ」

妹友「てことはお兄ちゃんになにかあったってこと?」

妹「…べ、ベツに、なにもないし」

妹友「分かりやすい…」

妹「……。」

妹友「んーと…たとえば、お兄ちゃんに彼女が出来たとか?」

妹「ッ!?」ピクピクッ

妹友「…ほんっと、分かりやすい」

妹友「まあ、しょうがないよね。お兄ちゃん、高校生だし」

妹「しょうがなくない!」

妹友「お、急に元気になった」

妹「私が許可してないのに勝手に付き合うなんて許せない」

妹友「す…凄いこと言ってるの分かってる?」

妹「勿論、お兄ちゃんにはこんなこと絶対言えないし」

妹友「…よかった」

妹「でも、やっぱり納得出来ないー」

妹友「妹も彼氏作ればいいじゃん」

妹「別に彼氏が作りたいわけじゃないもん!」

妹「私は、お兄ちゃんと仲良くなりたいだけなの!」

妹友「…ブラコン」

妹「なにか?」

妹友「いえ」

妹「うー…どうすればいいんだろう」

委員長「男くん。プリント提出、今日までなんだけど」

男「ん、ちゃんと持ってきたよ…はい」

委員長「どうも」

男「……。」

委員長「……。」

男「…まだなにか?」

委員長「…これは、私の個人的興味からの質問なんだけど」

男「うん?」

委員長「その筆箱に付いている可愛らしいネコちゃんキーホルダーはあなたの趣味かしら?」

男「ん…?って、なんだこれ!」

委員長「別に、無理して自分の趣味を隠そうとしなくても良いけど」

男「いやいや!たく…妹の仕業だな」

委員長「ふふ、可愛らしい妹さんを持っているのね。じゃあ、他の人からもプリント集めてくるわ」

男「はいよ…はあ、変な汗かいた」

メガネ「それはネコではなく、正確に言えばケルベロスですけどね」

男「なんだって?」

メガネ「『P.Pすみれ』というアニメに出てくるケルベロスのケルちゃんです」

男「…あ、そうですか」

メガネ「折角同士を見付けたと思ったのに、妹さんのイタズラでしたか…妹さんと是非お近づきになりたいものです」

男「まあ、機会があったらな…」

男友「男、部活行くぞー」

男「お、りょーかい。じゃあな、メガネ」

メガネ「はい、さようなら」

男友「お前も何か部活に入ればいいのに」

メガネ「あいにく、僕も忙しいので…部活勧誘でしたらそこの転校生さんにでもしてください。それでは、また」

転校生「……。」

男友「…別に、勧誘した覚えは一切無いんだが」

男「……。」チラッ

転校生「…なにか?」

男「い、いや…行こう、男友」

男「つ…疲れた」

男友「ああ…いつになくスパルタだったな」

先輩「おい、男」

男「はい、なんでしょうか」

先輩「『アレ』の相手、行って来い」

男「…今日は俺っすか」

男友「……。」~♪

男「おい、よそ見しながら口笛吹いてんじゃねえよ」

男友「ご指名はお前にだからな」

男「…しょうがない」スッ

男友「…先輩、賭けましょうよ」

先輩「部長にジュース1本」

男友「俺も部長に…って、賭けにならないじゃないっすか」

部長「……。」コオォォ…

男「…部長、一本お相手願います」

部長「……。」コオォォ…

男「…あ、あの、部長」

部長「…お手柔らかに頼む」スクッ

男「僕のセリフです、それ」

先輩「審判いるか?」

部長「いらない」

先輩「それじゃあ――」

男友「剣道歴一年ちょっとの男VS」

男「……。」ゴクッ

男友「女子剣道界期待の星である部長の試合、か」

部長「……。」

先輩「はじめっ!」

男「てやあああぁぁぁぁ!!」


――――――――
――――
――

男友「ま、こうなるわな」

男「……。」

部長「すまない、加減したつもりではあるのだが…」

男「…いえ、ありがとうございました」

男友「いや、よく果敢に行ったと思うよ、俺は」

男「うるせえ、明日はお前だからな」

部長「よく冷やした方がいい」

男「は、はい、お気遣いありがとうございます」

ガラッ

妹「お兄ちゃーん、迎えに来たよー」

男「へ?」

男友「お、妹さん?」

妹「きちゃった//」テヘッ

男「…てへ、じゃねえよ」

男「いてて…」

妹「大丈夫?お兄ちゃん」

男友「男の勲章だよな」

男「女子に一方的にボコボコにされた傷に勲章と呼べる価値が有るのか…」

男友「未来のオリンピック代表からつけられた傷だって誇ればいい」

男「情けなさすぎるだろ…あと、剣道はオリンピック競技じゃない」

妹「部長さん、そんなに強いんですか?」

男友「負けたところは見たことないな」

妹「ほえー…」

男「家が剣術道場なんだっけ?」

男友「そうそう、なんたら流とかいう…結構由緒正しいやつ」

妹「それじゃあ負けてもしょうがないよね」

男「まあな」

男友「彼女が見てなくてよかったな」

男「うるせー」

男「ただいまー」

母「おかえりー…ってあら、妹も一緒なの?」

妹「たまたまそこで会った」

男「…何故嘘をつく」

妹「うっさい」ゲシッ

男「痛い」

母「ご飯出来てるからお風呂入っちゃいなさい」

男「あ、風呂には入るけどご飯はまだいいよ、出かけてくるし」

母「お出かけ?」

男「ちょっと彼女に会いに」

母「…ふーん」

男「そのニヤニヤはやめろ…」

妹「……。」ゲシッ

男「いってぇ!なんだよ」

妹「…べつにー」

女「あ、来た!」

男「ごめん、待たせちゃったな」

女「ううん、いま来たとこ…でもないけど」

男「だよな」

女「もう虫もいなくなってきたし平気だったよ」

男「そっか…でもまあ待たせたお詫びに、はい」

女「…おでん?」

男「そこのコンビニで」

女「……。」

男「ん、おでん嫌いだった?」

女「…これ買わなかったらもっと早く来れたんじゃない?」

男「…確かに」

女「ふふ、男くんって面白いね」

男「そうかな」

女「ほら、あそこのベンチで食べよ?」

女「美味しー」

男「良かった」

女「男くんは優しいね」

男「そうか?」

女「うん、優しいところ、好きだよ」

男「…彼女に優しくするのは当然だろ?」

女「私の告白にオーケーしてくれたし」

男「それは優しさ関係ないだろ」

女「じゃあなんでオーケーしてくれたの?」

男「……。」

男「好きだったからに決まってんじゃん」

女「なに?今の間は」

男「いや、当たり前すぎて言葉に詰まった」

女「そんなに話したこともなかったのに」

男「…うーん」

男「それを言えば女だって、そんなに話したことなかったのに俺のこと好きになってくれたから告白してきたんだろ?」

女「うん、そうだよ」

男「じゃあ別に俺がオーケーすんのもおかしくないんじゃないかな」

女「……。」

男「好きだよ、女のこと」

女「…私のこと、好き?」

男「勿論」

女「じゃあ、私のお願いは、なんだって聞いてくれる?」

男「俺が出来る事なら」

女「…私と別れてって言ったら?」

男「……。」

女「別れて欲しいって言っても、聞いてくれるの?」

男「…俺と、別れたいの?」

女「ううん」

男「……。」

男「…もし、女がそう願うなら」

男「俺は、別れるよ。それがお前の願いなら」

女「……。」

男「勿論、そんな気持ちにさせないことが一番大切だけどな」

女「…ん」

男「ほら、おでん冷めちゃうから早く食べようぜ」

女「ううん、今日はもう帰るね」

男「お、おい――」

女「また明日」

タッタッタッ…

男「……。」


男「…なんか、まずいことでも言ったか、俺?」

トボトボ

男「…なんなんだ、一体」

男「悪いのは俺か?」

男「なんか不機嫌になるようなこと言ったのか?」

男「……。」


女『…私と別れてって言ったら?』

女『別れて欲しいって言っても、聞いてくれるの?』


男「…そこで、嫌でも別れないって言えば良かったってか?」

男「…あほらし」


女『なんでオーケーしてくれたの?』


男「……。」

男「……。」

男「そんなの、可愛い子に告られたら付き合うに決まってんじゃん…」

男「あーもういいや、さっさとご飯食べて寝よう」

男「女も明日になれば機嫌直ってるだろ」

男「……。」

男「…付き合うって、大変だなー」

キラッ

男「…ん?」

男「なんか光ったか、今?」

カタッ

男「…ゲームボーイ?」

男「これまた懐かしいものが…カセットも入ってら」

男「んー…『スクールトレジャー』?知らないゲームだな」

男「……。」

男「よし、今日はこの見るからにクソゲーっぽいこいつで徹夜でもするかな」

男「そんで期待通りクソつまらなかったら男友に貸してやろーっと」

                                                   クケケ

妹「あ、お兄ちゃんおかえりー」

男「おー」

妹「ん?なんか元気ない!」

男「なんでそんな嬉しそうに言うんだよ」

妹「えへへ、喧嘩でもしたぁ?」

男「うっせ、ほっとけ。俺は今日これで遊ぶんだから邪魔すんなよ」

妹「…ゲームボーイ?」

男「拾った」

妹「ネコババいけないんだー」

男「貰った」

妹「あからさまな嘘つかないのー」

タッタッタッ

妹「あ、待ってよー!」

男「無視無視」

男「さて、と」

男「女からメールとかは…来てないか」

男「…良いや、明日謝ればいいし」

男「じゃあ早速こいつをやってみるかなー」

男「電池は…入ってるな、よし。スイッチ・オン、と」

ピコーン

男「懐かしー、白黒…カラーの前とか小学校入ったばっかの頃だぜ、きっと」

ス ク ー ル   ト レ ジ ャ ー

男「スクールトレジャー…学校の財宝、か?アクションっぽいなー」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

男「…ん?なにも始まらない」

・・・・・・・・・・・・・・・・トウジョウジンブツヲ キメテクダサイ___

男「お、来た来た…ん?『登場人物を決めてください』?なんだこれ」

   アナタノ ナマエハ?___

男「…あー、なるほどね。名前入力の画面ってわけか」

男「『オトコ』っと」ポチッ

   コイビトニシタイヒトノ ナマエハ?___

男「恋人にしたい人?…これは恋人の名前でいいんだよな?」

男「というか、実際の名前使うのってどうなんだ…まあどうせすぐ飽きるだろうし良いけどさ」

男「『オンナ』っと」ポチッ

   イモウトニシタイヒトノ ナマエハ?___

男「…いや、これも妹いる場合は普通にそれでいいんだよな」

男「『イモウト』っと」ポチッ

   シンユウノ ナマエハ?___

男「……。」

男「……。」

男「…『オトコトモ』っと」ポチッ

男「……。」

男「…あいつにバレたら恥ずかしすぎる」

男「なんなんだ、この始める前にやめたくなる名前選択画面は…」

   コウハイノ ナマエハ?___

男「まだ続くのかよ!」

男「…後輩?別に誰でもいいんだよな…だったら」

男「『イモウトトモ』っと」ポチッ

男「…ぱ、パーティーは可愛い子の方がいいし…って、誰に言い訳してんだ、俺」

   イヤナヤツノ ナマエハ?___

男「嫌な奴って…まあ、誰でも良いや、パッと思いついた奴にしよう」

男「『メガネ』っと」ポチッ

男「…すまん、メガネ」

   リーダーノ ナマエハ?___

男「リーダー?頼もしそうな人ってことかな…じゃあ」

男「『イインチョウ』っと」ポチッ

   ツヨソウナヒトノ ナマエハ?___

男「これは文句なしに『ブチョウ』っと」ポチッ

   フシギナヒトノ ナマエハ?___

男「まだ続くのか…いい加減始めさせてくれ」

男「…不思議な人?なんだそれ」

男「よく分からない人ってことか?それならまあ…」

男「『テンコウセイ』っと」ポチッ

男「まともに人と話してるのを見たことないしな…」

男「で…まだあるのか?」

   アトハテキトウニ スキナナマエイレテ

男「なんだそりゃ!」

男「…つい突っ込んでしまった」

男「適当って…今までのはなんだったんだ」

男「…まあいいや、適当に先輩とか担任とかの名前入れとこ」ポチポチッ

男「…これでよしっと」

男「なにはともあれ、いよいよ始まるんだろ?」ポチッ

 ・・・・ソ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ア・・・・・・・・・・・・・・・・・。

男「お…おい…」

・・・・・・キ・・・・・・・@・・・・・・タ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラ・・・・・・・・・・・・・・・・。

男「バグった?まじかよー…」

・・・・・・・・クケケケケケケ・・・・・・・・・・・・・・・・・・クケケケケ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

男「…まあいいけど、名前入力だけで案外楽しませてもらった――」

                   死___

男「――し…って、え?」

 …ピーーーーーーーーー

男「うわ、完全にバグりやがった!」カチッ

男「……。」

男「…一瞬なんか見えた気がしたんだけど、気のせいかな」

男「漢字、出せるのかよっていう突っ込みもしたくなくなるような不吉な字だったんだけど…」

男「……。」

男「…とりあえず」

男「明日、男友に押し付けよう」

トントン

男「っ!?」ビクッ

妹「お兄ちゃーん、お母さんがご飯食べないのー?だって」

男「なんだ、妹か…なにビビってんだ俺」

男「今行くって言っといて」

妹「はーい」

トットット

男「…よし」

男「このことは、忘れよう!それがいい」

男「……。」

男「てことで、晩飯食おーっと」

トットットッ…





                                     クケケ

男「ふはー、食った食った」

妹「お腹いっぱいだねー」

男「そうだなー…って、待て」

妹「はいな?」

男「なんで当たり前のように俺の部屋に一緒に入ってきてるんだ?」

妹「遊ぶためですけど?」

男「一人で遊べ」

妹「ひ、一人遊びをしろと?//」

男「なに想像してるんだ…」

妹「ナニを?」

男「……。」

ドンッ!バタンッ!

妹「な、なんで追い出すのさー!」

男「当たり前だろうが!」

妹「…むー」

男「はあ…疲れた。寝よう」

チカッチカッ

男「ん?メールか?」

パカッ

男「2件…1件目は、男友か」

 『部長の流派思い出した!残影流だ!残影流!かっこいいよな!』

男「…ど、どうでもいい」

男「『神ゲー見付けたから明日貸してやるわ』っと…2件目は」

 『明日、今日と同じ時間にね。 女』

男「…機嫌直ったのかな、良かった」

男「『分かった。おやすみなさい』…これでよし」

男「よし、寝よう」

カチッ


男「…おやすみ」

  クケケケケ!!            クケケケケケケケケケ!!
           クケケケケケケ!!
 うるさいなあ、もう

                クケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケケ!!!
クケケ!!       クケケケケケケケ!!!!         クケケケケケ!!

 なんだよこの不快な笑い声は

 クケケケケ!!     クケ!    クケケケケケ!!! クケケケケケケケケケケケ!!
    クケケケケケケケケケケケケケ!!       クケケケケケケ!!

 こんなんじゃあ落ち着いて寝れやしない
              クケケケケケケケケケケケ!!!!     クケケケケケケ!!!
      クケケケケケケケ!!  クケケケ!    オキテ    クケケケケケケケケケケケ!!!
 
 夢のなかでくらい、いい気分にさせてくれよ、まったく

クケケ!!   オキテ    クケケケケケケケ!!!!         クケケケケケ!!
                クケケケケケケケケオキテケケケケケケケケ!!!
      クケケケケケケケ!!!!         クケケケオキテケケ!!
 あと、ちょいちょい妹の声で起きてって言うのやめてくれよ。いつもそれで起こされてるからいい気分しないんだよ

     クケケケケケケケ!! クケケケ!  オキテオニイチャン!
   クケケケクケケオニイチャン!ケケケ!!           オキテッテバ!!
 分かった、分かったよ。朝なんだな?分かったからその下品に笑うのをやめてくれ、起きるから

  クケケケケケケ    オキロッテ   クケ    クケケ タイヘクケケン  ナンダ
 なんだ、男友の声まで聞こえてきたぞ?まだ夢か?ならもう少し寝ても――

男友「なにもう一回寝ようとしてんだおい!」ゲシッ

男「いっってえ!」

妹「あ、ようやく起きた」

男友「始めから蹴り起こせば良かったんだよ」

男「…男友…後で覚えとけよ」

妹「お兄ちゃん、ふざけてる場合じゃないって」

男「あ?どういうことだ…?というかなんで男友が俺の部屋にいるんだよ」

男友「寝ぼける前に周りをよく見ろ」

男「は?周りって…」


男「…ん?どこだここ?」


男友「知らん、気付いたらここにいた」

妹「体育倉庫みたいなんだけどね」

男「……。」

男「…夢?」

ムギュウッ!

男「いってえぇ!」

男友「そのクダリは散々やったから早く認識してくれ、これは夢じゃない」

男「だからって思いっきりツネんなよ馬鹿!」

妹「大丈夫?お兄ちゃん」

男「…まあ、お陰ではっきりと目が覚めたけど」

男友「じゃあ次だな」

男「…次って?」

男友「覚醒した頭でもう一回周りをよく見なって」

男「…他にも人がいる」

妹「順番に起こしていこう?」

男「…そうだな。まだ全然状況は把握できてないけど」

男友「みんな一緒だよ、きっと。とりあえず全員起こしてから考えようぜ」

男「そうするしかなさそうだな…」

妹「…あ、妹友もいる!」

妹「妹友、起きて起きて!」ユサユサ

男「ここにいるのは…俺と妹と男友と…」

男友「おい、起きろメガネ!」

男「メガネに、委員長に、転校生に、部長まで…それと」

女「…ん」

男「女、起きたか?」

女「んにゃ…おとこくん…?……。」

女「…ッ!!?」ガバッ

男「うわっと!」

女「なななな、なんで男くんが私の部屋にぃ!?」

男「お、落ち着いて…深呼吸してから周りを見てみて」

女「へ?」

妹友「…あれ?妹、おはよー」ギュゥ

妹「い、妹友!寝ぼけてないで起きてー!」

メガネ「……。」

転校生「……。」

委員長「……。」

部長「……。」

男「これでみんな起きたか?」

メガネ「…説明してください。なんですかこれは?」

男「いや、俺に聞かれても…」

委員長「…誘拐?」

男「…分からない」

部長「ここはどこだ?」

男「体育倉庫…だと思います」

転校生「……。」キョロキョロ

男「多分ここにいる人はみんな、今の状況を理解できてないんだと思うんだけど」

妹「妹友、なにか分かることある?」

妹友「…まず私は妹と男先輩以外の人でさえ分かりませんけど」

男「男です、ベッドで寝て、起きたらここにいました」

妹「男の妹です。残念ながらお兄ちゃんと同じベッドではありませんが、同じく寝て起きたらここにいました」

男「真剣なときにふざけたこと言うな!」ポカッ

妹「痛いっ!」

男友「…こほん、男友です。経緯は男と同じです」

女「わ、私も普通に寝ていただけなのに、気付いたらここにいました…あ、名前は女といいます…」

メガネ「メガネです…メガネかけながら寝ててよかった。これが無かったらなにも見えないところだった」

委員長「あれ…そういえば私はコンタクトきちんと外して寝たけど、何故か今入ってるみたい」

転校生「…転校生…次、どうぞ」

部長「残影流師範代が娘、残影流第3門下、兼、女子剣道部の部長だ…よろしく頼む」

妹友「い、妹の友達の妹友です!こちらこそよろしくお願いします」

男「…自己紹介終わり、か」

男友「…謎が増えたな」

男「委員長、本当にコンタクト外してから寝たの?」

委員長「ぜ、絶対です!」

妹「今はもっと考えることがあると思うけど…」

男「…そうだな、とりあえず細かいことは後回しだ」

男友「大事なのは、ここが何処かってことと、なんでここにいるかってことだな」

委員長「ここにあるのは跳び箱にマットにバスケットボールに…まるっきり体育館の倉庫ね」

メガネ「…てことは出口とかがあるはずですよね」

部長「あそこはどうだ?」

男「お、出口っぽい。開けてみるぞ」

妹友「先輩、手伝います」

男「おう、じゃあ行くぞ…せーの!」

グッ

男「ふんぬー!」ブルブル

妹友「ぬー!」プルプル

男友「…予想できたことだけど」

妹「開かないのか…がっくしだね」

転校生「……。」

女「……。」

男「女、どうした?」

女「怖い…怖いよ男くん…」ブルブル

男「…大丈夫だよ。ここが体育館の中だとしたら、いずれ誰かが助けに来てくれるはず」

男友「……。」

男「…男友、思ってても口にだすなよ」

男友「さすがにそこまで野暮じゃない…けど、常に最悪の想定はした方がいい」

男「分かってるよ」

委員長「…なんで、こんなにバラバラな人たちが集まったんだろう」

男「え?」

委員長「私達の学校の人かと思ったら、妹さんや妹友さんもいるし…共通点がありそうで、見付からない」

メガネ「…確かにそうですね」

男「…いや、もしかしてと思ってたんだけど…ここに集まった人は――」

転校生「これ、なに?」

男「…っ!?それだ!」

部長「なんだそれは?」

男友「…ゲームボーイか?」

メガネ「正確には『ゲーマーズボーイ』。1989年に楠天堂から発売された携帯ゲーム機ですね」

妹友「部長さん、ゲームボーイ知らないんですか?」

部長「あ、ああ…昔から、剣を振ることしかしてこなかったから」

妹「これって、昨日お兄ちゃんがネコババしたやつ?」

男「…ああ、それが多分…今回の出来事の原因だと思う」

委員長「…どういうことですか?」

男「詳しくはわからないけど…今ここにいる人たちは皆、昨日俺がそのゲームに名前を打ち込んだ人たちなんだ」

男友「名前を打ち込んだ?」

妹友「それだけですか?」

男「ああ、そうしたら急にゲームがバグって、なにも出来なくなったから」

部長「…よく分からないが」

メガネ「…非科学的ですね」

転校生「……。」

妹「それだけだと、本当にこのゲームが原因かもよく分からないね」

男友「でも、もしそうだとしたなら、なんでこのバラバラなグループなのかっていう説明はつくんだろ?」

妹友「私達の他に名前は打ち込んでないんですか?」

男「…いや、他にも先輩だったり、担任の先生だったり」

委員長「…それじゃあ全然信憑性無いじゃない!たまたま名前を入れた人の一部が別の理由で集まってるだけかもしれないし」

男「…他に理由は考えられないんだけど」

男友「まあそれは良い。やっぱり大事なのは閉じ込められた原因より脱出方法だ」

メガネ「賛成です」

妹「うん、他に出口を探してみよー」

男「…そうだな」

転校生「…名前は?」

男「え?」

転校生「やったゲームの、名前」

男「えっと…確か――」


ス ク ー ル  ト レ ジ ャ ー

  ピコーン

男「…え?」

部長「なんだ、今の音は」

男「――起動音」

部長「え?」

男「転校生、ゲームボーイ貸してくれ!」

転校生「……。」ポイッ

男「っと、アブね!」

男友「付けたのか?転校生!」

転校生「なにもしてない」

男「……。」

妹「なになに?」

メガネ「男くん、見せてください」

妹友「わ、私も見たいですー」

部長「ふむ…『クリア出来たら』――」

   クリアデキタラ トレジャー アゲル___
         デキナカッタラ___


             死___________________________


男「……。」

部長「『トレジャーあげる』…」

メガネ「出来なかったら…」

妹友「…なんですかこれ、気味悪い」

男友「……。」

女「…嫌」ブルブル

委員長「…なによこれ」

妹「…あ!画面が変わる」

男「…ッ!」

  _____ヒトツメ___
     フツカカンデ ヒト 10ニン コロセ___


       ヨウイ スタート___クケケ

カチリッ

男「ッ!?」

男友「なんの音だ!」

ダッ! ガラッ

部長「…扉の鍵が開いた音だ」

妹「出られるの!?」

妹友「帰れる!?」

女「……。」ブルブル

メガネ「いや、多分…漫画とかの展開では、こういう場合――」

男友「…ゲームが、始まったんだろうな」

委員長「…嘘」

男「……。」

男「一つ目…二日間で、人を10人…殺せ」

男「…出来なかったら――」


                    一日目 はじまり

みたいなGANTZ的なSS、たまには読みたいよね
真夜中の暇潰しに付き合ってくれてありがと
おやすみなさい

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年04月28日 (月) 16:01:12   ID: g65JiY3j

つづきはー

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