透華「デスノート……」 (23)
~ 龍門渕邸 バルコニー ~
一「……これでよしっと、今ので最後?」
智紀「そう」
純「はあ、やっと終わったか……今日洗濯物多すぎだろ」
一「仕方ないよ。最近ずっと雨続きだったし」
智紀「今日の仕事はコレで終わり。午後は自由」
純「自由っつっても、どうせ衣の相手することになるんだろうな……」
一「でもなんだかんだ言って一緒に遊んであげるんだよね、純君は」クス
智紀「わかりやすいツンデレ」
純「うるせ」
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純「とにかく、さっさと戻って着替えようぜ。この服ごわごわして好きじゃないんだよ」
一「ふふっ、ボクはよく似合ってると思うけどなあ、純君のメイド服姿。ね、ともきー?」
智紀「…………」
一「ともきー?」
智紀「あそこ」スッ
純「ん? 中庭がどうかしたのか?」
智紀「なにか落ちてる」
一「……ホントだ。黒くて四角い……ノート、かな?」
智紀「今日の中庭掃除は純の担当」
一「ダメじゃない純君、ちゃんと掃除しないと」
純「おっかしいな……ちゃんと掃除したつもりだったんだが……」
智紀「あのままにしていたら透華に怒られる」
一「だね。みんなで拾いに行こっか」
~ 龍門渕邸 中庭 ~
智紀「回収完了」ヒョイ
純「真っ黒いノートってなんか珍しいな」
一「別段汚れてるわけでもないし、きっと落し物だね」
純「でもノートなんて落とすか? 普通」
智紀「…………?」
純「どしたともき?」
智紀「……これ」スッ
“DEATH NOTE”
一「デスノート……死のノート?」
純「ずいぶん物騒な名前だな」
一「どういう意味だろう?」
智紀「……表紙の裏になにか書いてある」ペラ
純「どれ……うげっ、全部英語じゃん」
一「ともきー、訳せそう?」
智紀「やってみる…………HOW TO USE、“使い方”」
純「使い方?」
智紀「“このノートに名前を書かれた人間は死ぬ”」
一・純「……え」
『書く人物の顔が頭に入っていないと効果はない
ゆえに同姓同名の人物に一遍に効果は得られない』
『名前の後に人間界単位で40秒以内に死因を書くとその通りになる』
『死因を書かなければすべてが心臓麻痺となる』
『死因を書くと更に6分40秒詳しい死の状況を記載する時間が与えられる』
一「うわぁ……」
純「……なんつーか、コレ作った奴は相当病んでるんじゃねえか?」
智紀「悪趣味」
一「ここに落ちてたってことは、うちで働いてる誰かの物だよね。落とし主、探す?」
純「別にいいんじゃねえの? 中は白紙で使ってるわけでもなさそうだし、それに……」
智紀「バレたら黒歴史確定」
純「だな。そっとしておいてやるのが一番だろ」
一「そっか、それもそうだね」
純「それより、衣と透華にもこのノート見せてやろうぜ」
智紀「透華はこういうの嫌いそう」
一「ふふっ、確かに。くだらないって一蹴しそうだね」
~ 龍門渕邸 別館 ~
透華「まったく、くだらないですわ!」
一「やっぱり」
智紀「予想通り」
透華「? なにがですの?」
純「透華の性格がオレ達の思った通りだったってだけさ」
透華「はあ……?」
ガチャ
衣「……おはよー」
透華「あら、おはよう衣」
純「もうすぐ昼だけどな」
衣「ふあぁ……みんな集まって何してたんだ?」
智紀「呪われた殺人ノートの話」
衣「ノート?」
一「うん。実はさっき中庭でね―――」
衣「―――じゃあ、このノートに名前を書かれたら死んじゃうのか?」
透華「まさか、ただのイタズラですわ」
衣「なんだ、イラズラか」
純「でも結構凝ってるよな。同姓同名の奴は死なない、とかさ」
一「ノートの装丁とか、説明書きの字体もなんかそれっぽいよね」
智紀「作り手のこだわりを感じる」
純「……なあ、ちょっと試しに使ってみないか?」
一「使うって、誰かの名前を書くってこと?」
透華「おやめなさい。たとえ遊びであろうと、人の命を弄ぶ行為など私が許しません」
一「そうそう、ダメだよ純君」
智紀「非道徳的」
衣「ダメな純に衣お姉さんが教えてやろう。人殺しはいけないことなんだぞ?」
純「……いや冗談だよ。ちょっと言ってみただけじゃねえか……あとそのムカツク顔やめろ衣」
一「だいたい書くにしても、殺したい人なんていないよ」
純「まっ、それもそうか」
衣「そんなものは放っておいて、早く衣と遊ぼう!」
透華「その前に! 衣はすることがあるでしょう?」
衣「? なんだ?」
智紀「顔を洗って歯を磨く」
一「寝癖を直してパジャマを着替える」
純「そんで最後は昼飯だな。オレもうおなかペコペコ」
衣「うー……そのあとは衣と遊ぶんだからな!」
純「へいへい、わかってるよ」
―――
――
―
五日後
~ 龍門渕邸 廊下 ~
智紀「…………」スタスタ
『うわああああああああああああ!!』
智紀「……?」
~ 龍門渕邸 別館 ~
ガチャ
智紀「なにかあっt」
一「何アレ?! ねえ何あの化け物?!」
純「知るかよオレにもわかんねえよ!」
透華「……二人とも一体どうしたんですの?」
衣「???」
智紀「……透華、なにかあったの?」
透華「ああともき。それが私にも何がなんだか……」
衣「一と純が部屋の奥に化け物がいるーって言うんだ。でも衣にはそんなもの見えないぞ」
智紀「化け物……?」チラ
リューク「よう」
智紀「」
透華「ともき?」
衣「ともきにも何か見えるのか?」
智紀「…………あなた、誰? いや、何?」
リューク「俺の名前はリューク。死神だ」
一「し、死神……?」
純「……冗談だろ?」
リューク「信じられないだろうが本当だ。……お前だな、ノートの所有者は」
智紀「ノート……?」
リューク「“DEATH NOTE”と書かれたノートを拾っただろ? アレは俺が人間界に落としたものだ」
智紀「……一、この前拾ったノート、どこにしまってある?」
一「そ、それならそこの本棚に……」
智紀「本棚……」スタスタ
純「おいともき! 近づくとあぶねえぞ!」
一「食べられちゃうよ!」
リューク「いや食べないけど……」
透華「一体なんなんですの……?」
衣「わかんない……」
智紀「……あった。これのこと?」
リューク「そうだ。その様子だと、まだそれがどんなものか気づいてないみたいだな」
純「それって前拾ったイタズラノートだよな……」
一「たしか名前を書かれたら死ぬって……まさか」
智紀「…………本物?」
リューク「くくっ。ああ、その説明書きは俺が書いた。すべて本当だ」
純「それが本物って……んなバカな」
一「で、でも死神が実在してるんだし……」
透華「ちょっと! いい加減にしてくれませんこと!?」
衣「そうだそうだ! 衣達も仲間にいれろー!」
智紀「……この二人にあなたが見えないのはどうして?」
リューク「ノートに触ってないからだ。死神はノートに触った人間しか見ることができない」
智紀「……透華、衣、こっちにきて」
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