綾「陽子が留年?」 (51)
~職員室~
先生「そうなの…」
綾「…う、嘘、です、よね…」サー
先生「本人以外にこんな事知らせるのはどうかと思ったんだけど」
先生「小路さんは猪熊さんと、とても仲が良いみたいだし、それに、」
綾「…はい…」
先生「猪熊さんから「綾にだけは言わないでください」って言われて」
綾「え…」
先生「猪熊さんは小路さんに心配をかけないように強がってるみたいだったの」
綾「……」
先生「でも私は小路さんにならこの事を話しても大丈夫だと思った」
綾「……」
先生「小路さん、猪熊さんの力になってあげて…」ポロッ
綾「……」
綾「…もう…」
綾「もう、どうにも、ならないんですよね…?」
先生「……」
先生「私もどうにか進級させてあげたかったんだけど、」
先生「ど、どうしても、できなくて、」ポロポロ
綾「先生」
先生「は、はい」ポロッ
綾「教えてくれて、ありがとうございました」ペコッ
先生「…はい…」グスッ
綾「失礼します」クルッ
スタスタ
先生「小路さん…」グスン
~教室~
陽子「お~綾ー、どこ行ってたんだ?」
綾「うるわいわね、少しトイレに行ってただけよ」
陽子「ねぇ綾」
綾「何よ」
陽子「なんか怒ってる?」
綾「お、怒ってないわよ」プルッ
陽子「じゃあなんかあった?」
綾「ど、どうして?」プルプル
陽子「だってなんかおかしんだもん綾」
綾「…う、うるさい…」ポロッ
陽子「え?」
綾「う、うるさいわよ、」ポロポロ
綾「…ば、バカようこぉ…」ポロポロ
陽子「お、おい、どうして泣いてんだ?」
綾「なんでもない」ポロポロ
陽子「なんでもないわけないだろ」
綾「なんでもないのよ、バカ…」ポロポロ
ギュッ
陽子「……」
陽子「……」ギュッ
ダキッ
綾「…くっ…うっ…」グスングスン
~次の日 放課後~
陽子「そういえば綾は今日の小テストどうだった?」
綾「まぁまぁよ」
陽子「綾はいっつもまぁまぁって言っていい点取ってんだよなぁ」
ピラッ
陽子「ん?」
綾「あっ」
陽子「これ小テスト?」チラッ
テスト「0点」
綾「……」
陽子「珍しいな綾が0点なんて」
綾「そ、そうね」シュン
陽子「……」
綾「……」
陽子「……」
綾「……」
陽子「……」
陽子「なぁ綾」
綾「……」
陽子「お前なんか昨日からおかしくないか?」
綾「そ、そんな事ないわよ」ドキッ
陽子「もしかして、」
綾「……」ドキドキ
陽子「カラスちゃんから何か聞いた?」
綾「き、ききき聞いて、ないわよ!」
陽子「……」
綾「何よ!?」
陽子「あははっわっかりやすいなぁ綾は」
綾「な、何がよ…」
陽子「私が留年するって聞いたんだ?」
綾「……」
陽子「…言わないでって頼んでたんだけどな…」
綾「……」
陽子「なぁ綾」
綾「…何…?」
陽子「私がいなくなっても綾はちゃんと進級してくれ」
綾「……」
陽子「……」
陽子「…私は、」
陽子「あ、綾が」ポロッ
綾「よ、陽子、」
陽子「私の所為で進級できなくなるのは、絶対に嫌なんだよ」ポロポロ
陽子「あ、綾」ポロッ
綾「な、何?」
陽子「さっきの小テスト、私と一緒に留年する為に白紙で提出したんだろ?」ニコッ
綾「え…ち、違う!私は、」ウルッ
陽子「綾はそういう奴だもんなぁ」ポロッ
陽子「でもな、綾、」ポロッ
陽子「さっきも言ったけど、綾には、ちゃんと進級してほしい」
綾「……」グッ
陽子「私は1年留年したくらいなんとかなる、大丈夫」
陽子「でも綾は、綾は留年しちゃダメだ」
陽子「お前は中学の頃から、」
綾「違うの!!」ポロッ
陽子「な、何?」
綾「私は手を抜いてなんかいない!さっきのテストは本当にできなかったの!」ポロ
陽子「お、おかしいだろ?綾ならあんな、」
綾「わ、私!、先生から陽子が留年するって聞いて、」
綾「そ、それを聞いたら、も、もう、」
綾「その事を、忘れようと思っても、忘れられなくなっちゃったのよ」ポロポロ
綾「忘れようと思っても忘れられなくて」ポロポロ
綾「でも、その事を考えていると何も手に付かなくて」ポロポロ
綾「そ、それで、それで、あの、テスト、は、」ポロポロ
陽子「それでも私が原因なんだな」
綾「あ、…」
陽子「ははっ…」ニコッ
綾「そう、ね、貴女が原因ね」ポロッ
陽子「……」
綾「……」
陽子「……」
綾「……」
陽子「……」
綾「……」
綾「ね、ねえ陽子」
陽子「ダメ」
綾「まだ何も言って無いわよ」
陽子「綾が私と一緒に留年するのはダメ」
綾「……」
綾「そんな事言ったってわざと0点をとったわけじゃないのよ?」
陽子「私の事を考えずにいられるように努力するんだ」
綾「無理よ」
陽子「無理でも」
綾「無理ったら無理!!」ポロッ
陽子「……」
綾「陽子と離れちゃうのに!」ポロポロ
綾「よ、陽子の事を考えずにいられるわけ無いでしょ!?」ポロポロ
陽子「はは、嬉しい」
綾「嬉しいとかそんな事を言ってるんじゃない!!」
陽子「そうだったね」ポロッ
綾「ど、どうすれば、」ポロッ
ダキッ
陽子「……」ギュッ
ギュッ
綾「…どうすれば、いいって言うのよぉ…」ポロポロ
ギュッ
陽子「…頑張るんだ…」
ナデナデ
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