進撃のハンター!その名はサシャ(706)
その日は激しい雷雨でした。
廊下で彼と話をしていたのを覚えています。
突然、窓の外に激しい雷鳴が走り、視界が真っ白になる。
そして私の意識は遠のいていった。
―――
――
―
???「起きろ!サシャ!!起きるんだにゃ!!」
サシャ「・・・にゃ??」
突飛な一言で目を覚ますとそこには一匹の黒猫がいました。
サシャ「ん~?だいぶ大きな猫ちゃんですね・・・」
???「何、言ってるんだ?寝ぼけてるにゃか!」
サシャ「猫が喋ってる・・・?」
目が怖い黒猫に引っ張られ身体を起こす。
この子、お腹は真っ白ですね。
エレン「サシャわからないのか?俺だ、エレンだにゃ!」
サシャ「あなたはエレンって名前の猫ちゃんなんですか?」
私はまだ夢の中らしいですね。
エレン「・・・?」
サシャ「とりあえず自分の手を見てくださいな。」
エレン「・・・すっげえ!もふもふだにゃ・・・何だこれ?」
私は立ち上がり背筋を伸ばす。
サシャ「ん~~~~♪」
エレン「・・・にゃあ、お前いつの間に身長が・・・」
黒猫が絶望とした表情でこちらを見上げている。
サシャ「その顔・・・ふふふ」
サシャ「どうやら、エレンは猫ちゃんになってしまったようですね。」
サシャ「ところで、ここは一体どこでしょう?」
エレン「お前にゃあ・・・他人事だと思って・・・」
非難めいたことを言ってるが無視しましょう。
目の前には道のようなものが見えている。
その向こうは渓流になっているようでさらさらと音が聞こえますね。
しかし、辺りを見回しても覚えのない景色が広がっているようです。
とりあえずポケットの中にあった蒸かし芋を食べることにしましょう。
冷めてしまったが仕方ないですね。
エレンがまだ凹んでいるので半分あげることにします。
エレン「ありがとう・・・サシャ・・・1/3もくれるにゃんて・・・」
サシャ「ふふ、私は優しいんですよ?」
もふもふして可愛いので頭を撫でる。
エレン「撫でんにゃよ!!」
そんな馬鹿なことをしていると、また一匹、猫ちゃんがやってきました。
雷にでも打たれたのか、毛が逆立って焦げていますね。
???「お二方?何してらっしゃいますにゃ?」
エレン「猫が喋ったにゃ!!」
???「んにゃ?とりあえず、ここは危ないからすぐ離れるにゃ!」
とても緊迫した様子、嘘を言ってるようには見えませんね。
サシャ「何かあったんですか?」
???「話は後にゃ!早く乗ってくださいにゃ!」
どうやら、猫ちゃんは何かから逃げてきたようです。
私たちは変な生き物に引かれた荷車に乗り込む。
なんだか臭い・・・荷物の一部が焦げているようですね。
猫ちゃんは大急ぎで荷車を走らせる。
しばらくすると私たちのいた所に大きな雷光が走るのが見えた。
いったい何が起こっているんでしょうか?
次回へ続く
書き忘れ
このSSはモンスタハンターポータブル3rdの一部設定と
進撃の巨人の一部メンバーを使って作っております。
モンハン側はモンスターのサイズダウンや
アイテムの効果の減少、
ユクモ村のキャラの省略など色々と変更しております。
どうか悪しからず御了承ください。
支援ありがとうございます。
前回、投稿した量を一話として
現在、二十三話できています。
基本、手直ししながら一日一話更新、
新たに一話完成するたびに追加更新していきます。
時間は不確定です。
終了は、とあるモンスターを倒すことに設定してますが、
間にどの程度の話を挟むのかは未定です。
鬱蒼とした木々のトンネルの中を荷車に揺られる、
しばらくは興味深そうにしていたが、
景色が変わらないため、エレンは寝てしまいました。
謎の猫ちゃんも落ち着いてきたようなので
話しかけてみましょう。
サシャ「何か助けてもらったようですね、ありがとうございます。」
サシャ「お名前を聞いてもいいですか?」
コテツ「にゃ、僕はコテツっていいますにゃ。」
とりあえず名前はコテツくん。
そして、やっぱり喋っていますね・・・
色々なことがあって、まだ感覚が麻痺しているようですが、
エレンも、この子も猫ですよね・・・
見たこともない大きな鳥で荷車を走らせる。
サシャ「さっきは何があったんですか?」
思い出してしまったのか、少し悲壮な顔になる。
コテツ「僕は配達を仕事にしている猫ですにゃ。」
コテツ「遠く離れた町と村を往復してますにゃ。」
コテツ「その途中で、雷を纏った大きな獣に襲われたんですにゃ・・・。」
さらに詳しく聞くと、これから向かう村に
連れてくるはずだった狩人が殺されてしまったらしい。
コテツ「僕は怖くて逃げてしまったんですにゃ・・・。」
サシャ「そんなことがあったら私だって逃げてしまいますよ。」
慰めてみたが、コテツくんはまた落ち込んでしまったようです。
しばらく風を受け走っていると、
少し落ち着いたのか倒れていた耳が立ち上がる。
コテツ「そういえばお二方の名前は何ですかにゃ?」
サシャ「私の名前は『サシャ・ブラウス』です。」
サシャ「あっちの猫ちゃんは『エレン・イェーガー』ですよ。」
コテツ「姓も持ってるにゃんて、アイルーには珍しいにゃ!」
アイルー?わからない事だらけなのを思い出し、
賢い私は記憶の一部が欠落している振りをすることに決めた。
心配してくれたコテツくんは色々な事を教えてくれた。
少し心苦しいが円滑に話をするためには仕方ないですね。
あとで落ち着いたら謝りましょう。
とりあえず、わかったことがある、
壁の外の可能性もありそうですが、
ここは私たちがいた世界ではなさそうだということ。
そして、これから向かう村の名前はユクモ村、
そこでは狩人、こちらの呼び名で『ハンター』を募集しているらしい。
ハンターですか・・・
ここに長く留まるようなら考えねばなりませんね。
一応聞いてみましょうか。
サシャ「私も村で狩りをしてたんですけど・・・」
コテツ「本当にゃ?ハンターになりませんかにゃ?大歓迎ですにゃ!」
サシャ「猪くらいなら狩れるかと思うんですけど・・・」
サシャ「でも、そんなすごい狩人じゃ・・・」
コテツ「とりあえず山菜集め専門のハンターもいるくらいにゃ」
コテツ「きっと何かできますにゃ!」
狩猟の村に生まれたことを感謝します。
私たちはいつ帰れるかわからない以上、
何か仕事をしなくてはならない。
隣で寝ている図太い猫(エレン)の鼻提灯を破壊しつつ、
私はここで生きていく覚悟を決めました。
そして木々の切れ間からユクモ村がゆっくりと見えてきました。
次回へ続く
今はお昼頃でしょうか?
ようやくユクモ村に到着しました。
ここはとても小さな村ですが、何と温泉があるそうです♪
アイルーのコテツくんに案内され、
村の入り口の階段を登り始めると、エレンが騒ぎ始めました。
エレン「すっげえ!湯気だらけだにゃ!」
エレン「なんだあれ?なんか匂うぞ!!」
顔を左右に向け、プンプンと音を立てながら匂いを嗅いでいる。
とても喜んでいるように見えますね。
私たちは足湯に連れてきて貰いました。
その名の通り、足をお湯につけて休めるんだそうです。
近くには、とても大きな剣が飾ってある店もありますね。
土産物を売ってるような店も見えます。
とりあえずブーツを脱いで足を入れると、
じんわりとした温かさに覆われる。
少しピリピリしますが、気持ちいいですね。
コテツ「それじゃあサシャさん、村長さんに話をしてきますにゃ。」
コテツ「ちょっと待っててくださいにゃ!」
サシャ「はーい、よろしくお願いしますねー。」
ペコリと頭を下げるコテツくんに手を振る。
私たちはしばらくここで待つことになります。
エレン「意外にこの風呂広いよにゃ・・・」
泳ごうとする黒猫を慌てて捕まえて抱っこする。
サシャ「ダメですよ!エレン。」
エレン「やめろ!抱っこすんにゃ!!」
サシャ「足湯は足だけです!そもそも泳いじゃ駄目でしょ?」
サシャ「それより、今後のことを考えましょうよ。」
エレン「今後にゃ?」
大人しくなった彼に先ほどの考えを伝える。
エレンの目が輝くのが見えました。
エレン「ハンターか・・・いいにゃあ、色々なところを冒険できそうだにゃ!」
サシャ「戻れるまで、ここで頑張りましょうね?」
エレン「おう!立派なハンターになってやるにゃ!」
エレンのテンションは上がりっぱなしですね。
興奮してしまったのか、また騒ぎ始めた。
エレンを静かにさせるために
本当は黙っていようとした現実を伝えることにしましょう。
サシャ「ハンターは私ですよ!」
サシャ「エレンはオトモアイルーというらしいですよ!」
エレン「にゃにそれ!格好悪いにゃあ・・・」
また絶望した表情でこちらを見てきた。
ちょっと可愛いですね。
そうこうしてると、コテツくんが帰ってきました。
コテツ「ただいまですにゃ!早速、村長さんにお会いしてくださいにゃ!」
むむ、怖い人じゃないといいんですけど・・・
サシャ「村長さんですか、どんな人なんでしょうか?」
コテツ「竜人族の女性の方ですにゃ!温泉宿の女将もやってますにゃ。」
エレン「ん、竜人族ってなんにゃ?」
コテツくんは私たちに竜人族や獣人族について説明してくれました。
エレン「違う種族かー不思議だにゃあ。」
サシャ「うぅ・・・緊張しますね。」
コテツ「とても優しい人だから大丈夫ですにゃ。」
その一言に安心したものの、
果たして、私たちは村長の御眼鏡に適うことができるのでしょうか・・・
格好つけたほうがいいでしょうかね?
襟を正していきましょう!!
あ、お姉さん!
この温泉卵っていうやつ食べていいんですか?
いいですよね!
次回へ続く
村長は予想の何倍も不思議な雰囲気の方でした。
コテツ「お連れしましたにゃあ。」
サシャ「わあ・・・綺麗ですね・・・」
エレン「耳長いにゃあ。」
柔らかく優雅な物腰と穏やかさが滲む表情・・・
まるで、どこかのお姫さまのような方でした。
私たちの様子に少し微笑んでいたのが印象的でしたね。
コテツ「じゃあ僕は教官に伝えてきますにゃあ。」
村長「コテツ、よろしくお願いしますね。」
村長「改めてようこそ、ユクモ村へ」
村長「私がここの村長でございます。以後、よしなに。」
サシャ「あ、あの、よろしくお願いします!」
エレン「よろしくにゃー」
・・・エレンは猫になって軽くなったのでしょうか?
しかし私もだいぶ緊張していたはずなのですが、
村長を目の前にすると何故か緊張感が消えました。
これは彼女の仁徳がなせる業なのですかね?
村長「コテツから話は聞いております。」
村長「ハンターに志願してくださったようで・・・」
同じ言葉を話しているはずなのですが、
花が舞うような言葉遣い、とでも言えばいいのでしょうか?
何か独特の美しい拍子ですね。
一瞬呆けてしまいました。
慌てて返事をする。
サシャ「はっ!サシャ・ブラウスといいます!」
エレン「エレン・イェーガーですにゃ!!」キリッ
村長「まあ、二人とも可愛らしい。」
エレン「えへへ・・・」
なんとエレンが照れている!
私たちにはそんな態度見せないくせに・・・
大人の魅力なんでしょうかね・・・
なんか少しだけムッとします・・・少しですよ。
村長さんは私たちにこの村の現状を話してくださいました。
このユクモ村は、あまりに町から遠いため、
湯治を目的としたお客くらいしかこない。
そして自然が多い地域なので管理のためにも、
専属のハンターが何人か欲しいところなんですが、
何もないですからね・・・なかなか来てはくれないそうです。
サシャ「わ、私は、ここがとても好きです。」
サシャ「自然があって綺麗ですし、温泉もある。」
サシャ「温泉卵だってとてもおいしいです・・・」
村長「サシャさんはここを好きになってくれたようですね。」
村長「エレンさんはどうですか?」
エレン「俺も好きですにゃ!」
エレン「なんというか・・・この村は暖かいですにゃ!」
村長がうれしそうに微笑むのが見えた。
きっと彼女はこの村に誇りを持っているのでしょう。
村長「ふふ、それでは本題に入りましょう。」
村長「ハンターになるために、なすことは簡単です。」
その内容とはこの村に、ロックラックという町の訓練所の
元教官がいらっしゃるそうなので、
その人の眼鏡に適えば、ハンターとして推薦して貰えるそうです。
訓練所・・・教官・・・なんだか嫌な予感しかしませんね。
次回へ続く
村長「それでは後のことは教官殿にお任せしましょう。」
コテツ「じゃあ早速、行きましょうにゃ!」
いつの間にかコテツくんが戻っている。
サシャ・エレン「・・・教官か・・・」
コテツ「はいにゃ!そこ登ってすぐのとこにいらっしゃいますにゃ。」
コテツ「そこでお二方の資質を見てもらいますにゃ。」
サシャ「ここまできて教官なんていやです・・・」
エレン「流石にちょっとないにゃー・・・」
私たちは絶望に包まれながら教官の元へ向かった。
コテツ「お二方・・・大丈夫ですにゃ?」
エレン「うん・・・まあ大丈夫」
サシャ「まあ、語尾が『にゃ』じゃなくなるくらい憂鬱ですね・・」
コテツくんが両手を擦って心配そうにしている。
少し凹んでいたが、ここは違う世界だということを思い出しました。
サシャ「大丈夫ですよ!ここは私たちのいた訓練所じゃないんです。」
エレン「そうだ・・・そうだにゃ!」
元気を取り戻す。
そう私たちは既に自由を手に入れたのである!
まあ結論としてはキース教官がいました・・・
キース「名前を聞いたときはまさかと思ったが・・・」
キース「ブラウス訓練兵!また会えてうれしいぞ!」
なんでも五年前からこっちにいるそうです。
すごくうれしそうな顔をしてますが、
確かにちょっと皺が増えているに見えますね。
それに足を引きずっているような・・・
とりあえず、私たちの記憶では一日前に見たんですけどね・・・。
エレン「教官もお元気そうで何よりですにゃ!」
キース「ん?・・・まさか・・・貴様がイェーガー訓練兵か!」
エレン「ニャッ!!」ケイレイ
キース(グリシャ・・・今日お前の息子は猫になったぞ・・・)
教官はエレンを見て、何やら考え込んでいる。
何ともいえない顔をしてますね。
キース「まあよい、ハンターになりたいそうだな。」
サシャ(・・・いいんかい!)
サシャ「はっ!私にもできますでしょうか?」
キース「貴様は問題あるまい、狩人としての資質も身体能力もな。」
キース「問題はイェーガー訓練兵だ!」
エレン「にゃ!?」
確かに今は猫ちゃんですからね・・・
エレンは結局、体力測定やら知能測定やらで
この後、夕方まで色々やらされていたみたいですね。
私はちょっと遅い昼食を頂いていました。
このおにぎりというのがおいしくておいしくて・・・
あ、終わったみたいですね。
エレン「ぜえ・・・ぜえ・・・」
サシャ「エレーンおつかれさまー♪」
キース「イェーガー訓練兵よくやった。」
キース「貴様、オトモアイルーとしては破格の能力だぞ!」
エレン「オトモ・・・」
こっちに来て、三度目の絶望とした表情ですね。
とてもいい顔です。
やっぱりエレンはオトモが気に喰わないようだ。
まあ、そもそも私たちはもっと驚くべきなんでしょうね。
なんせ猫になっちゃったんですからね。
そういえば教官はぜんぜん驚いてませんねえ・・・
そんなことを考えていると嬉しい命令が下りました。
キース「積もる話もあるが・・・」
キース「とりあえず貴様らは温泉にでも入ってこい!」
キース「その間に私がハンターの推薦の手続きをしておいてやる。」
キース(コテツの話もギルドに伝えておかねばなるまい・・・)
やったー!温泉ですよ!!
次回に続く
乙
ハゲは膝に矢を受けたか(笑)
キース「膝に矢を受けてしまってな。」
サシャの武器はなんだろう?
双剣か弓か
大穴で狩猟笛
私たちは村長に就任の挨拶をしてから
温泉へやってまいりました。
なんと温泉は混浴でした・・・
ユアミという、ここで着用するものを借りたんですが
水着にタオル巻いただけなんですね・・・。
私にも恥じらいはありますからね!
まあ裸じゃなくて良かったです。
うー、でも足が丸見えですね・・・
あ、一応、更衣室は別でした。
それと番台に座っていた猫ちゃんの服が可愛かったですよ。
いつまでもここにいるわけにもいきません、
覚悟を決めて入りましょうか。
ただ、ちょっとこの格好でエレンの前に出るのは恥ずかしいですね。
いやらしい目で見られたらどうしましょう・・・
サシャ「エレーン、は・・・入りますよー♪」
エレン「俺たちだけにゃ!はいれはいれにゃ!」バシャバシャ
・・・エレンは早速、泳いでるようです。
目を離すと、すぐこれです。
ミカサが世話を焼くのが分かる気がしますね。
サシャ「もうエレン!泳いじゃ駄目って言ったじゃないですか!」
エレン「む・・・誰もいないし、いいじゃにゃいか!」
訓練や食事のときは分からなかったのですが、
本当のエレンは子供っぽいのでしょうか?
それとも猫になってしまった副作用でしょうか?
とりあえず捕まえて抱っこする。
するりと逃げる。
外は夕暮れが近づいてきたようです。
この露天風呂も紅く染まり、とてもいい感じです。
しかし、この猫のせいで良い雰囲気も台無しですよ!
サシャ「もう、エレンは風情も何もあったもんじゃないですね!」
ちょっと怒りながら湯船に浸かる。
流石に察したのかエレンが静かに泳いでくる。
エレン「ごめんにゃ・・・はしゃぎ過ぎたにゃ。」
耳がたれて可愛いです。
まあ環境が変わって興奮してるんでしょう。
サシャ「ふふ、反省したなら許してあげますよ。」
しかし温泉とういうのは素晴らしいですね。
心も体も癒されます。
ん?エレンがこっちを凝視しているようですね・・・
サシャ「なんですか?」
エレン「お前すごい格好してるのにゃ。」
エレン「ちょっと恥じらいを持ったほうがいいにゃよ!」
この猫は今更、何を言ってるのでしょうか・・・
サシャ「私もさっきまでは恥らっていたんですよ!」
サシャ「エレンこそ、もっと照れてください。」
エレン「うん?頑張るにゃ!」
いやらしい目で見てくるのもどうかと思いますが、
流石に、こういう態度を取られると
自分に魅力がないと否定されたような・・・
(猫になったせい・・・猫になったせい・・・)
まあ、この後の夕飯を楽しみにしましょう。
次回へ続く
残りのメンバーで武器想像しやすいのは
ライナー(ランス)グラビ装備
アルミン(笛)フルフル装備
ジャン(双剣)ギザミ装備
かなぁ
アルミン笛なんて重くて持てないだろ(笑)
>>62>>63
装備はもう決まっていますが、
全員、その身体能力にあっているのではと思っています。
あと何人かはオトモです。
ライナーが全力でおしりを振りながら、
狩猟笛を吹き鳴らす姿だけは
とても絵面が悪いので早々に没になってます。
では投下します。
ついに念願の夕飯の時間がやってまいりました!
お昼はおにぎりという米に塩を付けて丸めたものを頂いたんですが、
これですら私には絶品でした!
塩なんて貴重なものでしたからね。
そして夕飯の席に案内された私は気を失いかけました。
まずは猪の鍋、味噌なるもので煮込まれているようです。
川魚の塩焼き、塩がふんだんに使われていますね。
筍ときのこの煮物に胡瓜の漬物、
漬物は何やら酸っぱい匂いがします。
そして、とても綺麗な白い御飯、
お吸い物っていわれたけどなんでしょうこれ?
スープなんですかね?
見たこともないものばかりですが、とてもおいしそうです。
・・・私はもう帰れないかもしれません。
おいしすぎて舌が痛いです。
食べ始めたのですが、
これはもう・・・言葉が出ません!
何しろ私たちが食べていたものといえば、
萎れた野菜が入ったスープに固いパン・・・
もちろん、食べれるだけでありがたいことなんですけどね。
今日の御飯は別格です。
エレンですら泣きながら食べてましたからね。
まさに至福の時でした。
ふぅ・・・なんだか複雑な気分です。
食後のお茶を頂いていると教官がやってきました。
キース「貴様ら、ここの食事はどうだった?」
サシャ「・・・美味しすぎて涙が出ました。でも・・・その・・・」
挙動不審になってしまいました。
エレンが言葉を繋いでくれる・・・
エレン「仲間のことを思うと申し訳ないですにゃ・・・」
教官は優しく微笑むと私たちに話し始めました。
キース「気持ちは分かるが郷に入れば郷に従え。」
キース「この食事を糧として、それを力に変える努力をするのだ。」
キース「そしてこの世界で知識と経験を得なさい!」
キース「いずれ、帰れる日が来るかもしれないからな・・・」
キース「それらはきっと元の世界でも役に立つ。」
教官は私たちにお守りをくれました。
中身は五穀というものなんだそうです。
キース「身に付けていれば元の世界に持ち帰れるかもしれん・・・」
キース「後ほど、それらの育て方、使い方も教える。」
そして、少し厳しい表情になる。
キース「こちらの世界も過酷だ、生死を賭けることも多々ある。」
キース「貴様らはそれを持ち帰らねばならんということを努々忘れるなよ。」
教官の考えと優しさに涙が出ました。
最初に出会うことを嫌がったことが情けないです。
サシャ「教官!ありがとうございます!」
エレン「頑張りますにゃ!」
キース「うむ、貴様らも精進するように・・・」
キース「さて・・・本題に移るとするかな。」
キース「貴様らの仕事についてだ。」
というと教官は私たちに説明を始めました。
まず私たちは仮ですが、ハンターとして登録されました。
そして明後日、渓流地域の動植物の再確認及び、
この地域特産の筍ときのこなどの採取を行うそうです。
キース「同行したいところだが、私は足を怪我しているのでな・・・」
キース「まあ代わりの者をつけるから安心しろ。ふふふ」
なんか笑っていますね・・・
それに教官が怪我ですか、何をしたのか想像できません。
ともかく明日は一日中、座学のようですね。
地形図、危険な生物に採取できる物の把握・・・
覚えなければならないことが沢山あるようなので心配です。
でも一日も早く立派なハンターになるために頑張ります!
次回へ続く
乙
おもしろい支援
モンハン詳しくないけど面白いので期待
猫ってのはあのよく見掛ける二本足で立ってるかわいいやつでいいのかな
教官かっけーな
渓流地域はユクモ村を覆うように広がっています。
村からすぐに野営地点があり、
そこから岩肌が見える険しい山間部を降りると、
大嵐にあったとかで放棄された住居跡が残っております。
その近辺が渓流地域と呼ばれる場所ですね。
ここは水源が豊富なため、緑がとても豊かなんですね。
それに伴い、多くの動植物がここで命を育んでいるようです。
教官の説明はさらに続き、
採取できる木材や鉱物、植物
そして色々な動物たちへと移りました。
ガーグァ、荷車を引くのにも使われる臆病な鳥竜種、
その肉や卵、そして毛皮はとても重宝されています。
ジャギィ、上記と同じ鳥竜種だが攻撃的で見た目はトカゲのようである、
数が多い場合は注意が必要だそうです。
次にブルファンゴ、猪のようですが、ひどく攻撃的なようです。
鍋に・・・ケフンケフン
見つからないようにするか、早めに排除すべき存在だそうです。
何より危険なのはアオアシラと呼ばれる大きな熊だそうです。
教官は何度か、退治しているようですが・・・
今の時期はここらにはいないようですが、
なるべく遭遇はしたくないですね。
一通り終わったところで、笛の音が聞こえてきました。
私たちに同行してくれるハンターが帰ってきたようです。
一日掛けて水没林と呼ばれる地域へ行っていたようですね。
彼らは半年ほど前から、唯一のお抱えハンターになったそうです。
キース「呼んでくる、少し待っていろ。」
先輩ハンターさんですか・・・
サシャ「どんな人たちなんですかね?」
エレン「ハンターになるくらいだから、ライナーみたいな大男だにゃ!」
サシャ「でも私は可憐な乙女ですよ?」
エレン「へー」
サシャ「もうエレンは意地悪ですね・・・」
他愛のない話をしていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
それはとても懐かしく優しい声でした。
ユミル「まさか、芋女に会えるとはな・・・」
サシャ・エレン「ユミル!!」
もう仲間には会えないと覚悟していたので、
ちょっと涙が出ちゃいました・・・。
私に抱きつかれたユミルもちょっと嬉しそうでした。
エレンもとても喜んでいました。しかし・・・
エレン「また会えて嬉しいにゃユミル!」
ユミル「なんだこの馴れ馴れしい糞猫は・・・」
笑顔で引っ付こうとしたエレンは押し返され、
こっちに来てから四度目の絶望した表情をしていました。
意地悪した罰ですね。ぷぷぷ
とりあえずエレンだということを説明しました。
エレンは酷く情けない顔、
大笑いするユミルは乙女にあるまじき姿でした。
エレン「教官もユミルもサシャも普通にゃのに・・・」
だいぶ愚痴ってますね。気持ちは分かります。
ユミルはまだ笑いが止まらないようですね。
話は変わりますが、
彼女が着ている『ユクモノ』という装備、素敵ですね。
私たちもこの後に、支給されるようなので楽しみです。
おや・・・大笑いしていたユミルも落ち着いてきたようです。
ユミル「しかし、エレンがアイルーとはな、似合ってるじゃねーか。」
ユミル「まあ、会えて嬉しいよ。」
ユミル「それに、猫はお前だけじゃないから安心しな。」
お前だけじゃないですか、
むむ、他にも誰か来てるのでしょうかね?
次回へ続く
照りつける太陽の日差しを受け、川を渡っている。
眩しそうに片手で笠を持ち上げ、
周りを警戒する物憂げなユミル。
先に渡り終え、大きな岩に座り込み、
余りの暑さに笠を団扇にする健康的なサシャ。
これがユクモノという装備。
再開します。
突然ですが、私はこう見えて耳や鼻がとても良いのです。
近づいてくる音がします、
ぽふぽふした足音からして猫二匹ですね。
一匹はコテツくんのようです、誰かを案内しているようですね。
しかし、一匹は聞き覚えがあるようなないような声・・・
ん~、いまいちですね。
まあ見れば分かるでしょう。
扉を開けて入ってきたのは、やはりコテツくんでした。
そして後から入ってきた、もう一匹は
絹のように白く美しい猫ちゃんでした。
その瞳はまるで晴れ渡った空のように青いです。
ぜんぜん、見ても分かりませんでしたね。
しかし猫ちゃんは私を見ると、
その大きな瞳に涙を湛えながら走ってきました。
????「サシャ!!」
サシャ「この声はまさか・・・クリスタなんですか??」
驚き、抱きついてきた猫ちゃんに顔を埋めて匂いを嗅ぐ、
確かに獣っぽい中に甘いクリスタの匂いがしますね。
サシャ「本当にクリスタですね!」
白い猫は涙を流しながら頷く。
エレン「にゃんと、クリスタなのか!俺だ、エレンだにゃ!!」
エレンも再開を喜んでいます。
しかも同類の登場、満面の笑みを浮かべておりますね。
あらら、大興奮ですねこれ・・・踊り始めました。
クリスタ「エレン?エレンにゃのね!」
クリスタ「また会うことができるにゃんて嬉しいにゃあ。」
クリスタ「嬉しいけどアイルーになってるにゃあ」ポロポロ
エレン「一緒にゃ、一緒だにゃ!!」
もう大混乱です。
エレンは興奮すると奇行に走るらしいですね。
ユミル「よしよし、猫になっても可愛いクリスタ。」
ユミル「話が進まないから泣き止んで頂戴な。」
さて、ユミルは慰めるのに忙しそうですが、
とにかく聞きたいことがいっぱいです、
色々と話をしてくださいね。
――
―
どうやら彼女たちは半年前にこちらへ来たようです。
ただし元の世界から飛ばされた時間は一緒のようですね。
そして飛ばされる瞬間に、やはり雷がなっていたそうです。
サシャ「これも一緒のようですね、何か関係あるんでしょうか・・・」
しばらく考えてみましたがさっぱりですね。
エレンと目が合うとコクリと頷いてきました。
ぜんぜん分かってないのに頷きましたよ、この子!
ともかく彼女たちは教官に救われて、
ハンターとしてここで生きていくことを決めたそうです。
噂をすれば、教官が戻ってきたようですね。
キース「再開は楽しめたか・・・?」
サシャ「はい驚きましたが、とても嬉しかったです。」
キース「この広い世界で貴様らを拾えたのは奇跡だろうな。」
教官も嬉しそうな顔をしています。
キース(しかし私のときも確か雷が・・・偶然とは思えんな。)
キース(そういえば例の現場も見に行かねばな。)
教官がまた何か考えているようだ。
こちらの世界へ来ても忙しいようですね。
キース「コテツ!ちょっと来てもらおう。」
コテツ「はいですにゃ!」
キース「貴様ら明日の準備は怠るなよ。」
キース「後のことはユミル、任せるぞ!」
ユミル「はっ!」
キース「その後は自由にするがいい。」
素早く準備を終わらせましょう!
次回へ続く
私たちは長く訓練をし、共に暮らしてきました。
仲間というより、既に家族といっていいでしょう。
再開できて、とても嬉しいですね。
ユミル「さてと、もう大丈夫かな?」
サシャ「クリスタがまだちょっと・・・」
ユミル「まあいい、久しぶりに会えたんだからな。」
ユミル「積もる話もあるが・・・」
ユミル「先にサシャの装備を合わせちまおう。」
この装備、ユミルの雰囲気にとても似合っています。
流し目されるとちょっとドキドキしちゃいます・・・
私もちゃんと着こなせますかね。
まあ見た目を気にしてる暇はないんですけど、
やっぱり私も女の子ですからね。
ユミル「あと、お前、武器どうする?」
サシャ「弓ありますか?あるならそれで。」
ユミル「あいよ、じゃあ行くぞ!」
ユミル「クリスタはエレンの装備よろしくな。」
クリスタ「うん、まかせて♪」
クリスタもやっと落ち着いてきたようです。
装備は隣の小さな倉庫にあるそうです。
早速向かいましょう。
ユミル「そういえば、お前、弓で狩りしてたんだっけ?」
サシャ「村にいたときに使ってました。」
サシャ「ユミルの武器は何なんですか?」
ユミル「私は片手剣を使ってるよ。」
片手剣ですか、頭の回転が速くて
臨機応変に動けるユミルにとても合ってそうですね。
ここには色々な装備がありました。
凄く大きな剣もあります。
私では振り回すのは無理そうですね。
鞘に入っているのは太刀でしたっけ?
これなら、なんとかなりそうかなあ・・・
ユミル「大きさは同じくらいでいいか・・・」
ユミル「これとこれと、これな!」
早速、ユクモノを着てみましょう。
ふむふむ、丁度いい大きさですね。
というか、この装備・・・胸が随分と強調されるような・・・ドキドキ
クリスタ「ちょっとどいてにゃー♪」
クリスタ「はいはい、これ持ってくにゃよ。」トテトテ
エレンの装備を取りに来たようです・・・びっくりした・・・
・・・そういえばユミルの胸、大きいですね。
こんなにありましたっけ?
ユミル「何、見てんだよ・・・」
サシャ「いえ・・・大きいなって・・・」ジー
ユミル「お前だってサラシをはずせば、でかいだろ?」
ユミル「てか、クリスタが騒ぐから、この話題出すなよ。」
とりあえず、男性が教官とエレンで良かったです。
ライナーあたりだったら鼻血が止まらなかったかもしれませんね。ププ
部屋に戻ると、猫用ですがエレンも同じのを着てますね。
サシャ「可愛い!エレン似合ってますよ。」
エレン「へへへ、お揃いだにゃ!」
サシャ「おや?エレンは木刀ですか?」
エレン「うん、これすごく硬いんだにゃ。」ブンブン
そういえば、クリスタも同じのを持っているようですけど、
振り回せるのでしょうかね。
とりあえず、これで明日の準備も終わりました。
少し練習もしたんですが、弓の扱い何とかなりそうです。
昔取った杵柄ですね。
後は、お風呂に入って夕御飯を食べて、寝るだけですね。
でも話したいことがいっぱいあるから、
すべての時間が楽しみです。
ちゃんと寝られるか心配ですね。
次回へ続く
クリスタがハンターだった場合
1・わークリスタが狩猟笛に潰されたぞー!
クリスター「きゃーライナー助けてー」ジタバタ
ライナー「まかせろ!(結婚しよ)」
2・片手剣でアイテムをガンガン使うクリスタ格好いい!
クリスタ「閃光玉、閃光玉、これかな?えい!!」ボフン
ライナー「はい残念、これは俺だし、それは肥やし玉(結婚しよ)」
3・小回りの利くライトボウガンこそクリスタの真骨頂!
クリスタ「回復弾でライナーを回復よ!」バシュ
ライナー「間違いない今なら拡散LV3でも回復できる(結婚しぉ・・・
あれ?可愛い結婚したい!
続き投下します
興奮していたわりには、
昨晩は、あっという間に寝てしまいました。
起きたらクリスタが不満そうな顔をしてます。
まあ、話はすることは、
これから何時でもできますからね。
おかげで今日の狩りに支障をきたさないで済みそうです。
まずは朝食を頂きに行きましょう。
おや?エレンも起きてきたようですね。
エレン「おはようにゃ・・・」
サシャ「おはようございます、エレン!」
エレン「サシャ・・・元気そうだにゃ・・・」
サシャ「いっぱい寝ましたからね!」
あらら?目を擦ってます。
椅子に座ったエレンですが、
これは、どう見ても眠そうですね・・・
クリスタ「エレン・・・まさか」
エレン「ぜんぜん寝れなかったにゃ・・・ごめんにゃあ」
ユミル「あーあ、お馬鹿だねえ」
エレンは本当に世話の焼ける子ですねえ。
いったい、どうするのでしょうか?
キース「話は聞かせてもらったぞ!」ガラッ
キース「イェーガー訓練兵、これを飲むがいい。」
突然、現れた教官はとても怪しく、
胡散臭い飲み物を出してきました。
なんか青いですね・・・あと臭いです・・・
キース「安心しろ!これは『栄養剤』と呼ばれる素晴らしい液体だ!」
キース「ぐっっと一本いっとくがいい!」
首を振って、いやいやしていたエレンですが、
頭を抑えられ無理やり飲まされてました。
エレン「くしゃい、いやにゃーーぁぁ・・・・・・・
まあ後で分かったのですが、効果は絶大でした。
流石は教官お勧めの飲み物ですね!
倒れてるエレンを尻目に教官が話し始めました。
キース「コホン、今回はこの世界の雄大な自然を見てくるがいい。」
キース「そして自分たちがこの世界で何を成し遂げるのか、よく考えるのだ。」
サシャ・ユミル・クリスタ「はっ!!」
エレン「・・・・・・にゃ・・・」
おや?エレンも気づいたようですね。
キース「私はコテツと共に、少し出かけてくる。」
キース「準備はしっかりするんだぞ!」
キース「では四人とも気をつけて行け、以上だ。」
今回は準備といっても、私たちが所属することになった
ギルドから支給される『携帯食料』だけを持っていきます。
クリスタは角笛のようなものを持っていくようですね。
ん~?ユミルがなんか大きなものを入れています。
サシャ「ユミルそれなんですか?」
ユミル「ん~秘密~♪」
ユミルって時々、可愛らしいんですよね。
私のオトモ、エレンくんはどうするのでしょう。
サシャ「エレンは何を持っていくんですか?」
エレン「虫網にゃ!」
エレン「ロイヤルカブトを捕まえるんだにゃ!」
サシャ「・・・そうにゃんですか。」
エレン「釣竿はどうしようかにゃあ?」
思わず猫語になってしまいました。
これが楽しみで寝れなかったんでしょうかね?
まあ元気いっぱいになって良かったです。
そうこうしていると、みんな準備ができたようです。
早速、狩猟開始です!
といっても野営地までちょっと移動があるんですけどね。
ガーグァ荷車を連れて出発です。
次回へ続く
到着した野営地から、さらに降っています。
強い日差しを浴び、ほんのり汗をかいているのですが、
川を通ってくる風がとても涼しく気持ちいいです。
緊張感は持っています。
だけど、とてもいい天気なので、ちょっとだけ行楽気分です。
そんなことを考えていると、お腹が鳴ってしまいました。
クリスタ「サシャ、もうお腹空いちゃったにゃ?」クスクス
サシャ「恥ずかしいです、ちょっとだけ・・・」
ユミル「少し降りれば、広いところへ出れる。」
ユミル「もうちょっと我慢しなよ。」
おや、水辺にガーグァがいるようです。
群れのようですが逃げるそぶりを見せませんね。
ユミル「この辺は野営地の近くで天敵が少ないからな。」
ユミル「ちょっかいかけなきゃ、逃げねえよ。」
ふむふむ勉強になりますね。
サシャ「確か、脅かすと卵を産んで逃げるとか・・・」
クリスタ「たまに金の卵も産むらしいにゃよ。」
エレン「脅かしてきていいにゃ?」
クリスタ「今回は必要にゃいから駄目にゃ。」
エレン「残念にゃ・・・ん?」
エレンが何か見つけたようですね。
エレン「サシャ、虫がいっぱいいるにゃ!捕ってくるにゃ!」
クリスタ「ひいぃぃぃ・・・」
あっという間に行ってしまいました。
ユミル「あいつが取ってる間に私たちはこれだ。」
そういうとユミルは紅く咲く花の根元から
濃い緑色の草を採りはじめました。
サシャ「これは・・・薬草というやつですか?」
ユミル「そうそう、これを磨り潰して傷口につけときゃ止血できるのよ。」
ユミル「単体じゃそれほど効果はないけどな。」
サシャ「ふーん、少しいただいていきますか。」
少し指で擦って舌につけてみると苦味が広がりました。
よく効きそうな味ですね。
さて水辺の横の大岩に座って休憩です。
ふぅ・・・携帯食料はとてもおいしくないですね・・・
しばらくすると、エレンが帰ってきました。
サシャ「何か捕れましたか?」
エレン「にが虫ってやつだっけ?いっぱい捕まえたにゃ。」
クリスタ「うようよいるにゃ・・・」
サシャ「ロイヤルさんは駄目でしたか?」
エレン「いなかったにゃあ。」
高く売れるとは聞いていたのですが、
ユミル曰くかなり珍しい昆虫なのだそうで・・・
そうそう捕れないでしょうね。
ユミル「ともかく、にが虫は便利だからな」
ユミル「よくやったエレン!」
エレン「頑張ったにゃ!」
女性は基本的に虫は嫌いでしょう。
私も率先して捕りたいとは思わないです。
しかし貴重な素材になるものも多いらしいので
エレンの存在はありがたいですね。
とりあえず、もう少し奥へ進みましょう。
道が二手に分かれているようです。
ここら辺は以前、人がいた場所でもあるので
まだ道がしっかりしていますね。
片方は高台に向かっていたようですね。
私たちはさらに降って村の跡へやってきました。
サシャ「ひどい有様ですねえ・・・」
ユミル「昔、大嵐にあったらしいが・・・」
大きな柱にはまるで爪あとのような傷が残っているのが見えます。
とても強い嵐だったようですね。
そのときエレンが何かに気づいたようです。
エレン「何か来るにゃ!!」
私も気づきました・・・
うっすらと血の臭いがしますね・・・
次回へ続く
乙
モンハンで真っ先に思い出すのはブルファンゴにはねられまくった思い出…
おつです
このエレンは精神年齢が幼く感じてかわいい
サシャはとても大人っぽい
>>135
エレンの子供っぽさは
猫化の影響と、玩具を目の前に
広げられたような現在の環境に在ります。
もう少し時間がたつと落ち着いてくれるでしょう。
サシャはエレンの面倒をみるために、
母性が刺激されてる状態ですね。
食糧事情も良いため、集中力が周りに向かっています。
また寝ますzzz
今のエレンはとても鼻が利くようです。
私も人間としては良いほうなのですが桁違いですね。
やってきたのはジャギィと呼ばれる小型の肉食鳥竜でした。
何かを捕食した後なのでしょうか?
強い血の匂いがしますね。
見える位置にいるのは三匹・・・
小さく唸り声を上げている。
まだ隠れているのもいるようです。
沈黙を破りユミルが指示を出す。
ユミル「エレン!全力で一匹仕留めな!」
エレン「おうにゃ!!」
言うが早いかエレンは全力で
最も近くにいた一匹の元へ走りました。
そして素早く間合いをつめ、回転しながら飛び掛り、
ジャギィの鼻先を木刀で叩く。
鈍い音と共に悲鳴が響きわたりました。
むう、エレンは想像以上に強いようですね。
この一撃で絶命に至らしめたようです。
その迫力に気圧されたのか、
残ったジャギィたちは隠れていたのも含め、
散り散りになって逃げてしまいました。
ユミル「この時期は大物がいないから一匹やりゃ逃げるとは思ったが・・・」
クリスタ「エレンすごいにゃあ・・・」
サシャ「エレン!格好いいですよ♪」
エレンが誇らしげに戻ってきました。
四足で歩くその姿は鼠を仕留めた猫ちゃんですね。
もともと格闘技術に秀でているのは知ってましたが、
素晴らしい身体能力です。
間合いを詰める速度も素晴らしかったです。
先日、教官が褒め称えたのも納得ですね。
まあ折角、こっちへ戻ってきたのに申し訳ないのですが、
皮や骨を剥ぎ取りたいのでそっちへ一緒に戻りましょうね。
ジャギィを解体していると、
古いようですが猪の足跡がありますね。
それを目で追っかけると大きな倒木があるのが見えました。
サシャ「ユミル、あれは?」
ユミル「ありゃユクモの木だな。」
クリスタ「あれはにゃ、ユクモ村の特産の木でとても丈夫にゃんだよ。」
サシャ「ほほう、重そうですけど帰りに回収しましょうかね。」
木を切り倒すのは林業専門の人にのみ許されているようです。
このように倒れてしまった木から採取するのは
私たちでも可能なんだそうですよ。
目印をつけながら、さらに奥へと進みます。
またガーグァの群れがいますね。
のんびりと何かを啄ばんでいるようです。
そしてこれは・・・ものすごく大きな切り株です。
こんなに大きな木をどうやって切ったのでしょうかね。
ん?なにやらクリスタが匂いを嗅いでいますね。
クリスタ「あ、甘い匂いにゃ!エレンこっちこっちにゃ!」
エレン「にゃ?本当にゃ!甘い匂いがするにゃあ」クンクン
サシャ「ん?本当です、いい匂い~♪」クンクン
ユミル「お前らの鼻はどうなってるんだか・・・」
匂いを辿っていくと、随分と大きな蜂の巣がありました。
幸いなことに、もう主はいないようですね。
分解して持って帰りましょう。
まあ少しだけ中の蜂蜜を摘み食い・・・ん~♪
ハンター冥利に尽きますね。
次回へ続く
所々に群生するきのこたちを集めながら
目的の一つ、竹林を目指します。
川の中流と思われる場所に滝がありました。
ユミル「この滝の裏から洞窟に入れるから覚えときな。」
サシャ「はーい、わっ!冷たい・・・」
火照った身体に水飛沫が気持ちいいですね。
洞窟に入ると静寂が広がっていました。
しかし、何かの気配を感じます。
サシャ「ユミル・・・ここって・・・」
ユミル「ああ、さっきのジャギィどもが巣作りしているようだ。」
ユミル「少し骨を集めたら、さっさと出るぞ。」
さっきの件があったためか、姿は見せませんね。
張本人のエレンは大きな虫を追っかけています。
ブナハブラとかいう飛甲虫です。
飛び跳ねて追っかけるのですが
まるで降りてこないようです。
もう集め終わったので声を掛けましょう。
サシャ「エレン、早く行きましょうよ!」
エレン「ちょっと待ってにゃ!あっ・・・」
体制を崩したエレンは背中から落ちてしまったようです。
泣きながら戻ってきました・・・
アイルーって丈夫なのでそんなに痛くないはずなんですが・・・
あれ?なんか、ものすごく臭いです・・・
背中がうんち塗れですね。
エレン「そこの水溜りで背中洗うにゃあ・・・」トボトボ
クリスタ「ちょっと待ってにゃ!」
クリスタ「この臭いは飛竜のフンにゃ!」
クリスタ「エレン!回収するから、このまま洞窟出るにゃ。」グイッグイッ
ここで留まるのは危険ですからね。
久しぶりの絶望の表情です。ぷぷ
鼻が良くなっているので想像以上に臭いのでしょう。
エレンは回収されながら泣いていました。
戻らないと水辺がなさそうなので洗えなそうですね。
可哀想ですが、目的地はすぐそこです。
ちょっと壊れそうな橋を渡って先に進みましょう。
この橋・・・大丈夫ですよね?
なんとか渡りきると、そこには竹林が広がっていました。
ここに特産の筍があるんですね。
おや、アイルーがいます。
でも寄ってきませんね。
好奇心旺盛と聞いたのですが・・・
ユミル「エレンの臭いだろうな。」
ユミル「凶暴な飛竜の臭いがするから寄ってこないんだよ。」
サシャ「確かにこの鼻に刺さる臭いは嫌ですね。」
さくさくと筍の採取をしましょう。
あまり大きくなっているものは筋張ってしまうので、
ほどほどのものを探します。
しかし、ここは何か特別な空間なのでしょうか?
他の動物の気配がしませんね。
とりあえず、充分に集めたのでユクモの木を回収してから撤収です。
早くエレンを洗ってあげないと可哀想ですからね。
途中の岩場を抜けると、
まだ新しい猪の足跡を発見しました・・・
爪跡からして間違いないでしょう。
大物のようです、そのせいなのか単独で動いているようですね。
確か猪肉の在庫少なかったような・・・
折角なので一匹狩りますかね!
サシャ「ユミル!猪を一匹狩りたいんですけど?」
ユミル「いいけど、どこにいるんだ?」
サシャ「足跡あったので追います。」
エレン「俺も行くにゃ!」
サシャ「逃げられちゃうから駄目ですよ!」
ユミル「臭いからな・・・私たちはここで待つ、無理はすんなよ!」
サシャ「終わったら狼煙あげます。じゃ!」
風向きに気をつけながら追跡します。
新しい跡なので、すぐのはずです。
どうやら倒木のあった場所に向かってるようです。
巡回しているんでしょうか、
あの下は虫なんかがいましたからね。
それを狙っているのでしょう。
移動を早めて待ち伏せしましょう。
風向きと自分の臭いを確認し、
藪の中に身を伏せていると案の定きたようです。
食事に取り掛かって隙ができるまで、
弓を緩く引いた状態で気配を消して待ちます。
勝負は一瞬でした。
予想通り、食事を始めたブルファンゴの眉間に
私の矢が深々と刺さりました。
暴れる猪を遠巻きに見つめ、
とどめの矢を打ち込み、絶命するのを待つ。
弓を引いたままで待ってたので
少し手がしびれていますが上手くいったようです。
狼煙をあげ、皆を呼びましょう。
ここは野営地も近いし、
水場もあるので良い狩場になりそうですね。
血抜きのために頚動脈と大動脈も切ったので、
とりあえず先に内臓を取り出しておきましょう。
あとは縄でくくり、流水に浸けておけば大丈夫でしょう。
早くユミルたちこないかなー♪
次回へ続く
乙
乙
毎回面白いから楽しみにしてる
追いついた
おもしろいですぞ
ついに彼女たちが
持っていた道具が何なのか判明しました。
まずはクリスタの角笛です。
彼女が吹いた笛の音が聞こえると、
不思議なことですが身体が熱くなり、
藪を走り抜けるために付いた細かい傷が瞬時に塞がってしまいました。
クリスタ「どうにゃ?傷塞がったにゃあ?」
サシャ「塞がりましたよ!不思議ですね?」
他にも不思議な音色があるそうです。
なんでもアイルー族の秘儀らしいですね。
エレン「臭いは消えなかったにゃあ。」
エレン「そこで洗ってくるにゃあ。」
残念でしたね、エレン。
そしてユミルが持っていたものは
なんと組立式の肉焼き器でした!!
ユミル「サシャ!嬉しいか?」
サシャ「ユミル!大好きです!」
猪の肉がたくさん採れたのですが
全部持ち帰るのは大変だったんですよ。
この肉焼き器があるならば、
ここで少しだけ食べていくことができそうです。
早速、ユミルが棒に肉を巻きつけ、焼き始めました。
持ち手をグルグルと回すと
なんと肉焼き器から音楽が流れ始めました!
オルゴールのようになっているようです。
ん?なぜかクリスタがおしりを振っています。
ズッチャ♪ズッチャ♪チャンチャチャチャン♪
チャカチャチャンチャチャン♪チャカチャチャカチャン♪
チャカチャン♪チャカチャン♪チャカチャン♪チャカチャカチャン♪
不思議な音楽が終わった少し後に、ユミルが棒を取り外しました。
ユミル「とりゃ!」
クリスタ「上手に焼けましたにゃー♪」パチパチ
サシャ・エレン「!?」
クリスタ「・・・」
ユミル「サシャ・・・使いたい?」
サシャ「使いたい!」
戻ってきたエレンも目を輝かせています。
ふふっ・・・では早速、使ってみます!
ズッチャ♪ズッチャ・・・
やはり不思議な音楽が流れてきました。
そして横に来ていたエレンがおしりを振っています。
後はユミルの真似をして焦げ付かないように・・・
サシャ「えいっ!」
エレン「上手に焼けましたにゃ!!」パチパチ
サシャ・エレン「!?」
サシャ「何なんですかこれ!」
ユミル「うーん・・・こっちの世界の道具ってさ」
ユミル「音で頭の中に刺激を与えるようなものが沢山あるんだよ。」
クリスタ「私の笛なんかもそうにゃよ♪」
ユミル「まあ、それの一種としかわからん。」
エレンがまだ鼻歌を歌いながら、
おしりを振っているのが少しだけ気になりますが、
納得するしかなさそうです。
ものすごい昔からある道具だそうなので
本当は何か意味があるのかもしれませんね。
何度か使ってみましたが、少し分かったことがあります。
一定の距離に入ると、踊りだしてしまうようです。
逃げるユミルを回しながら追いかけて、
射程に入れると彼女も踊りだしましたから。
まあ、どうでもいいことですかね。
たんこぶができましたが、新鮮なお肉はおいしいですね。
野営地まで色々運ぶのは大変ですが、
頑張る気力が沸きました!!
今回の採取はここまでです。
次回へ続く
荷物を満載したガーグァ荷車を
みんなで押しながら、やっと帰ってこれました。
夕焼けに染まったユクモ村はすぐそこに見えています。
クリスタ「・・・コホン」
サシャ「どうしました?」
ぷおおおぉぉぉぉん♪
クリスタが突然、角笛を吹き鳴らしました。
なんとその音を聞いて、
手が空いている村人のみなさんが出てきてくれました。
階段があって大変なので手伝っていただけるようです。
先日、教官はこの音を聞いて
ユミルたちが帰ってきたのを知ったんですね。
しかし、一つ気になることが・・・
サシャ「あぁ・・・恥ずかしいです・・・・」
ユミル「急に顔を隠して・・どうした?」
サシャ「猪肉を食べ過ぎたことを後悔しています。」
余りの美味しさに半分近く食べてしまったのです。
もちろん三人も食べたのですが、私は・・・
ユミル「くくく、大丈夫だよ!」
ユミル「確かに大分目減りしたけどな。」
ユミル「大物だったんだ、普段よりも多いくらいだよ。」
サシャ「・・・そうなんですか?」
ユミルはこう言ってくれましたが、
次回は遠慮して食べることにします。
だって猪の皮に対して
肉が半分なのはちょっぴり恥ずかしいです・・・
全部、合体させると貧相な猪になってしまうんですもん。
そんなことをしていると杖をついた教官と
コテツくんも降りてきてくれたようです。
ちょっと教官の顔色が悪いように見えますね・・・
なにやら話があるようなので
私たちは教官と共に階段を登り始めました。
片付けなどは村の方とコテツくんがやってくれるそうです。
村長さんに挨拶をして更に階段を登っていく。
ユミル「あまり、いい知らせではないようですね・・・」
キース「ふぅ・・・その通りだ。」
キース「皆、集会浴場のほうへ来てくれ。」
私たちは事務員さんたちに奥の部屋へ通されました。
キース「殺されたハンターを覚えているか?」
サシャ「はい、本来ここに就任するはずだった方ですね。」
エレン「にゃにかに殺されたってコテツが言ってたにゃ・・・」
教官が話し始めました。
彼を殺したのはジンオウガという牙竜種ではないかということだ。
本来、人里を離れた山奥に住む生き物らしいですね。
目撃された回数が少ないため、
調べたギルドの資料にも僅かに名前と
雷光を纏う姿が描かれているだけのようです。
教官が現場を調べたところ、
たくさんの落雷の焦げ跡に雷光虫の過剰な発生など
ジンオウガがそこに存在した可能性が高い状況だったそうです。
死体は残念ながら見当たらなかったようです。
キース「喰われた可能性が高いだろうな。」
サシャ「人の味を覚えたということですか・・・」
キース「その通りだ、今はまだ山の向こうだ。」
キース「そもそも何故降りてきたのかも分からん・・・」
キース「しかし、いずれは・・・」
さらに現在の状況もよくないようです。
そいつが住み着いたせいで生態系が変わり始めているということ。
近辺に住んでいた大型の生物たちも
こちらへ逃げてくる可能性が高いようです。
なんにせよ私たちも覚悟しなければならないでしょう。
次回へ続く
読んで頂いてありがとうございます。
明日は何やらあるようですし、
説明回ということもあるので
二回分の更新をします。
今日は渓流に出ることがある大型生物の勉強です。
大きな熊のアオアシラ、ジャギィの総大将ドスジャギィ
年を食って大きくなった猪、ドスファンゴです。
他にも来ることがある奴もいるそうですが、
時期が外れていること、滅多にこないこと、
そもそも今の私たちでは対応できないということで
今回はなしです。
まずはドスジャギィです。
この子は一旦群れを離れて過酷な生活をこなし、
無事に生き抜くことができた雄のことなんだそうです。
エレン「立派な奴だにゃ!」
キース「その通りだ、だからこそ油断するなよ!」
基本的にはジャギィの大物ですね。
しかし大きいということがとても危険なのです。
ただ、この子は以前に退治され、
新しい子はまだ帰ってくる季節ではないということです。
次にドスファンゴ、
年を取り多少の知性が芽生えた大きなファンゴです。
そのせいか、猪突猛進ではないようですね。
サシャ「質問です!おいしいのでしょうか?」
キース「不適切な質問だが答えよう、不味いぞ。」
がっかりですね。
ともあれ、冷静で細かく距離を測ってくるそうなので、
追尾性能がとても高くなってるそうです。
まあドスファンゴもしばらくは確認されてないようですね。
とりあえず、ドスジャギィもドスファンゴも
罠に嵌めたり、毒や麻痺をさせることで
比較的、安全に狩ることができるそうです。
最後にアオアシラです。
まだ小型だそうですが、既に渓流で蜂蜜を食べているところを
林業の人が目撃しているそうです。
この子は牙に爪、体当たりに飛び掛り、
いくつか攻撃の型があるのですが、
教官曰く、人型でとても分かりやすい動きだそうです。
どの敵にも言えることですが、
大振りの攻撃をかわし、
隙を見つけて小さく当てる、これの積み重ねが大事ですね。
エレンは興奮しやすいので少し心配です。
回復する技術の高い世界とはいえ、
怪我をしないに越したことはないですからね。
さて実際に遭遇したときはユミルとの連携が大事そうです。
彼女は沢山の道具を使いこなすそうなので、
後で合図などを決めて練習しましょう。
さらに重要な事といえば装備でしょう。
次回の渓流で鉱物を採ってきて、
私たちの武器の強化をしたいところですね。
最後に教官の話では、
ジンオウガがユクモ村へ近づく兆候があった場合、
実力のあるハンターを雇うかもしれないそうです。
残念ながら私たちは新人ですからね・・・
頼っていただけなくても仕方ありませんね。
とりあえず、ジンオウガがこちらに来たとしても、
まだまだ先のことでしょう。
私たちは少しでも役に立てるように
頑張って成長していこうと思います。
次回へ続く
一旦、夕飯を食べてからもう一話上げます。
鉱物の採取が間に合って良かったです。
早くもアオアシラ討伐の依頼がきました・・・
林業の人たちが作業中に襲われたそうです。
幸い怪我はないようですが
気紛れに居座られて仕事にならず、
とても困っているそうです。
目撃された熊は小型ということもあり、
教官は私たちでも狩れると判断されました。
少し心配ですけど頑張ります。
ともあれ、早急に討伐して欲しいそうなので
早速、作戦会議です。
ユミル「アオアシラ狩りには閃光玉とシビレ罠を使う。」
エレン「はい!それはにゃんですか?」
クリスタ「はい!説明しますにゃ。」
まず閃光玉を作るには光蟲、シビレ罠を作るには雷光虫が必要です。
光蟲は前回、エレンが虫を採ったときに
何匹か紛れていたそうです。
雷光虫は教官が例の現場から採ってきてくれました。
光蟲とは衝撃に反応し電光を放つ習性を持つおもしろい虫で、
これと素材玉を合わせ、持ち手を付けた物を閃光玉と呼びます。
これを投げると空中で破裂し、強烈な光を放つんです。
その凄まじい閃光は敵の目をくらませ、
その動きを制限することができます。
おや?説明を聞いているエレンが
まるで閃光玉を食らったようですね。
エレンの限界もきたので、
気分転換も兼ねて練習のために闘技場にきました。
とりあえず、敵の視界内で炸裂するように投げる必要があり、
使いこなすには多少コツがいるそうですね。
さらに閃光玉を投げて炸裂の瞬間に目を逸らす・・・
練習したんですが一回、目をやられました。
しばらく見えなくなるので厄介です。
シビレ罠は埋め込んでスイッチを押すと勝手に展開してくれます。
そして、そこに通りかかった生物を雷光虫の電撃で痺れさせ、
その場にしばらく固定する装置です。
その場所に敵を通さねばならないので、
よく観察してから止めに使いたいですね。
上手く誘導できるといいんですが・・・
あと一定の重さがないと反応しないようです。
エレンが通り過ぎても何も起こりませんでした。
部屋に戻るとユミルが閃光玉を渡してきました。
ユミル「閃光玉は一個ずつだ。」
ユミル「いざという時は自分の判断で投げろよ・・・」
エレン「・・・」コクリ
今回は私も道具がいっぱいです。
先ほどの閃光玉に、矢の先に浸けるビン。
爆発の衝撃で威力を上げる強撃ビンと
相手に毒を与える毒ビンの二種です。
さらに前回採った薬草にキノコを混ぜた回復薬、
これはかなりの速度で身体を活性化させて回復を促すようです。
そういえば、この世界の大地は
私たちのいた所より逞しいのでしょうか?
あらゆる生物や植物など、すべてが力強く感じます。
ここの食事を取り、空気を吸っていると
なんだか私たちも力が溢れてくるようです。
実際、私たちより長くいる
ユミルたちは元々よりだいぶ強くなっているようです。
大体、終わりましたかね。
おや?クリスタがどこからか帰ってきましたが、
ご機嫌な様子ですね。
何をしていたのでしょうか?
どこかで嗅いだことのある妙な臭いがしますね・・・
代わりにエレンが挙動不審です。
すごくソワソワしています。
サシャ「エレン、大丈夫ですか?」
エレン「何か嫌な臭いがするにゃ・・・」
エレンも気づいているようです。
クリスタを凝視していますね
さて全員の準備が終わったようです。
明日の朝一番、初めての討伐依頼を開始します!
次回へ続く
朝日が差してきた頃、私たちは渓流へ到着しました。
前回、あんなに美しく見えた風景が、
なんだか少し薄暗く見えます。
緊張した空気を感じ取り、
エレンもクリスタも頻繁に臭いを嗅いでいます。
ユミル「まずは村の跡を抜けて下流へ進もう。」
ユミル「そこから上流へ向かって登っていくぞ。」
ここの生き物たちはいつもと変わらないように見えます。
しかし私たちは警戒を解くわけにはいきません。
ユミルは周囲を目視で警戒し、私は足跡や藪こぎをする音を探す。
エレンとクリスタは臭いを探る・・・
下流に到着したが、遭遇できませんでした。
やはり蜂蜜のあった場所を探すべきでしょうか。
とりあえず、このまま川を遡っていきます。
しばらく進むと洞窟に入れる滝が見えてきました。
ん?土の上に何か見えます。
サシャ「ユミル!足跡です!!」
サシャ「古いのがいくつかあります。」
サシャ「何度か通ってます、巡回しているのかもしれませんね。」
ユミル「・・・一旦ここで休憩しつつ待ち伏せしよう。」
少し高台になっている林の奥に入り込む。
ユミル「サシャ、ここ風向きとか大丈夫か?」
サシャ「滝が風を起こしているので平気でしょう。」
歩き通しで疲労を感じ始めていたので、
ちょっと休憩は嬉しいですね。
ただ火は使えないので肉焼きは駄目です。
おいしくない携帯食料をいただきましょう。
しばらく林の奥から滝を見つめる。
滝の側でジャギィたちがはしゃいでいますね。
彼らも害がなければ可愛いものです。
身体の大きな雌、ジャギィノスもいるようだ。
垂れ下がった耳が特徴の子です。
身体を丸めながら地面に寝そべっていますね。
さて食べながら作戦を決めました
まずは通過するアオアシラの片目を私が潰します。
直撃せずとも強撃ビンなら衝撃で、しばらくは使えないでしょう。
そして基本ユミルは見えない側から攻撃、
小回りの聞くエレンは見えるほうで立ち回ってもらいます。
クリスタは角笛で援護ですが、
基本はエレンのさらに後ろ、熊の視界の中で動いてもらいます。
人数がいるように錯覚して欲しいからです。
あとは体力が削れるまで回避と攻撃の繰り返しです。
足場が悪いのが少し気がかりですが・・・
エレン「なんか毛がピンピンにゃ」
エレンの首筋の毛が逆立っています。
そろそろやってくるかもしれません。
いつのまにかジャギたちもいなくなっていました。
今は滝の轟音のみが聞こえてきます。
次回へ続く
誤字・・・ジャギィですね
脱字だった・・・
俺の名前を言ってみろ!
いつもおもしろいです
乙です
滝を割って何かが姿を見せました。
あまり餌が食べれずに追い出されたのか、
少し小型ですが間違いなくアオアシラです。
それでも私たちを大きく超える大きさをしています。
やはり、このルートを通ってくるようですね。
ユミル「あの大きさなら何とかなるかな・・・」
サシャ「質問!ユミルは大きいやつ狩ったことありますか?」
少し考えてから答えてくれました。
ユミル「水没林でドスファンゴをやった・・・」
ユミル「あれより大きかったな・・・」
ユミル(実際は同じくらい・・・小さかったかな・・・)
たぶん嘘半分でしょう。
でも気持ちは受け取りました。
ともかく初撃が大事です、目いっぱい集中しましょう。
大きく深く呼吸をすると、
心臓がゆっくりと鼓動を刻んでいるのを感じます。
アオアシラはこちらに気づいていないようです。
大丈夫!自分の心に声を掛ける。
そして力強く弓を引き絞る。
だが世の中は常に無常です。
射る瞬間、突風が吹き荒び、奴に私たちの存在を伝える。
こちらに気づいたアオアシラは
咆哮を上げ、威嚇してきました。
気づかれてしまったが、私はとりあえず一射する。
立ち上がられ、射線がずれたため、
奴の丈夫な首筋に浅く突き刺さる。
しかし射ると同時にユミルとエレンが左右に散開したのが見えた。
視界を奪えなかった以上ユミルが危険だが、作戦は続行ということだ。
サシャ「クリスタは絶対に無理しないでくださいね!」
クリスタ「うん!回復笛の準備だけはしておくにゃ。」
ユミル「おら!こっちだ!」
ユミルが大げさに盾を鳴らしながら、奴の右後ろに回りこむ。
上体を回し、追いかけるアオアシラ。
左足が大地を蹴り軸足が右に移った瞬間、
後ろからエレンが低く飛び込み、その右の膝の側面を木刀で打つ。
エレン「っにゃ!!」
ジャギィを一撃で仕留めた
その威力はここでも発揮され、鈍い衝撃音が響く。
アオアシラが悲鳴を上げる。
体重が掛かっていたため、多大な損傷を与えられたようだ。
そしてユミルと入れ替わり、エレンが視界に入る。
突然、小さな生き物に代わった為、混乱しているのが見て取れる。
戦力は完全にこちらが上であることを確信する。
最初の一撃で奴は自慢の突進力が使えない、
足に力が入らないようだ。
走れない以上、大げさに手を振り回し接近を嫌がるしかない。
しかし、その大きな手は距離があっても
風を切る音が聞こえる恐ろしいものだった。
近距離のみに集中させないために、
私も視界に入り込み混乱を誘うことにする。
そして手の自由を奪うために、執拗に目を狙い射る。
直撃することはなかったが上体と手が上がり、
その隙にユミルとエレンが交互に足を削る。
ユミル「おらぁ!!」
さらに先ほどから矢を毒ビンに浸けていたため、
首や腕に刺さった矢から静かに毒が廻る。
目に見えて奴の体力が削れていくのがわかった。
また立ち上がり吼える。
だが威嚇の声が弱々しい。
勝利が確信へ変わろうとしていた。
止めとばかりにユミルが指笛を吹く、閃光玉の合図だ!
しかしその瞬間、彼女の足場の石が大きく崩れる。
奴は倒れたユミルに狙いを定め、最後の力を振り絞り突進してきた。
エレン「っく・・・」
エレンが全力で追いかける、しかしこの距離は・・・
私も弓を射るが背中の硬い甲羅に阻まれる。
遂にユミルを引き裂くために、
その鋭い爪を持つ腕が振り上げられる。
私は絶望で顔が青ざめるのを感じ、目を瞑ってしまった・・・
だが、その瞬間はやってこなかった。
目を開くと目の前は黄色い煙に覆われ、
アオアシラは洞窟へ向かって足を引きずりながら逃げていった。
この臭いは確か・・・
ただしエレンもどこかへ行ってしまったようです・・・
次回へ続く
クリスタ「みんな大丈夫だったにゃ?」
ユミル「クリスタか・・・助かったよ。」
クリスタ「サシャも平気にゃ?」
泣きそうなクリスタが声を掛けてくる。
なんとか頷く・・・私も半分泣いちゃいました。
どうやら先ほどの煙はクリスタが投げたこやし玉でした。
前回、エレンの背中についていた
飛竜の糞を加工して作ったんだそうです。
やっと、エレンも帰ってきたようです。
完全に巻き込まれたようで、
まだ、しきりに顔を振っていますね。
くしゃみが止まらないようです。
クリスタ「エレン、ごめんにゃあ・・・」
エレン「仕方なかったにゃ・・・」クシャン
さて余り話をしている時間はありませんね。
奴に止めを刺さねばなりません。
サシャ「手負いになったのでかなり危険ですね・・・」
ユミル「ああ、だがこちらも文明の利器があるからな。」
今度こそ、閃光玉とシビレ罠の出番のようです。
ユミル「奴は洞窟を抜けて自分の巣に帰るだろう。」
サシャ「橋の近くの蜂蜜の辺りですね。」
体力が残っている私たちは、
横の斜面を一気に駆け登り、
洞窟出口の手前で待ち伏せをすることにします。
どうやら、まだ奴はきていないようです。
今のうちにシビレ罠を展開しておきましょう。
さらに少し草を被せて擬装しておく。
奥から弱りきった唸り声が聞こえてきました。
もう、こちらを気にかける余裕もないようです。
洞窟の闇から出てきたばかりの
奴の眼前にユミルが閃光玉を投げ込む。
大混乱に陥ったアオアシラは両手を振り回し前へ進んだ。
なんとか自分の巣に逃げ帰りたいのだろう・・・
私はシビレ罠に掛かったアオアシラの目に矢を射ち込む。
深く深く突き刺さったそれは、脳に到達した。
そして、アオアシラの断末魔の声が渓流に響き渡った・・・
サシャ「絶命してるとは思いますが、近寄らないほうがいいでしょう。」
ユミル「近寄る気力もないがな・・・」
私たちは狼煙の準備に取り掛かる。
今回は大きな獲物だと分かっていたので、
運び出すために村の人たちを呼んであったのです。
サシャ「とりあえずユミルに怪我がなくて良かったです。」
狼煙が目に沁みて涙が出てくる・・・。
初めての狩りが・・・
命のやり取りが終わり、気が抜けてしまいました。
ユミル「みんな・・・ありがとな・・・」
照れているのか、こっちを見てくれません。
何はともあれ、彼女が無事で本当に良かったです。
私は座りこんだユミルにそっと寄り添う。
クリスタも泣きながら抱きつく。
エレンも寄りたそうにしているのですが、
臭いを気にしているみたいです。
ユミル「エレンもこっちきな・・・」
エレン「ユミル、生きてて良かったにゃあ」
近寄ってきた、エレンも少し泣いていました。
間に合わなかったことを思い出し、
ショックを受けているようです。
エレンの頭をぽんぽんと
叩いているユミルの姿はお姉さんのようですね。
遠くからざわめきが聞こえる。
狼煙に気づいた村の皆さんが来てくれたようです。
いつまでも泣いていては格好がつきませんよね。
しっかりと立ち上がり手を振りましょう。
今回、私は自然に立ち向かう高揚感と怖さを知りました。
これからも経験を積み、ハンターとして
しっかりと成長できるよう頑張っていきたいと思います。
次回へ続く
帰還後、小さな宴会をしてもらうことになりました。
みなさん、仕事が再会できることをとても喜んでいますね。
心配そうな顔で待っていた教官も今は嬉しそうです。
しかし、アオアシラがこの時期に来たということは
やはりジンオウガが山の向こうにいるということでしょうか・・・
不安は尽きませんね。
話は変わって私の装備が新しくなります!
今回のアオアシラの毛皮をたっぷり使ったものだそうです。
楽しみですね~♪
サシャ「ユミルは『アシラ』作らないんですか?」
ユミル「私は鉱物で作った『アロイ』ってやつを頼んであるんだよ。」
ユミル「本当は今回使いたかったよ。」
クリスタ「危なかったもんにゃあ。」
少し、今回のことが思い出される・・・
しかし鉱物の鎧ですか・・・
重そうですけど、硬い防具は重要ですもんね。
そういえば私たちの装備を一新することにより、
余る材料でエレンとクリスタの装備も変わるそうです。
とても楽しみです。
猫用装備は小さくて可愛いんですよね。
サシャ「そういえばエレンはどこですか?」
クリスタ「・・・私が当てちゃったこやし玉の臭いが取れにゃくて・・・」
サシャ「温泉ですか?じゃあ背中流してあげますかね。」
温泉はすぐ近くです、
更衣室に入ってささっと着替えましょう。
おや?慌ててきたのですが、
エレンはもう湯船に入ってますね。
ちゃんと洗えたんでしょうか・・・
とても臭いです、ここまで臭ってきます。
ぜんぜん駄目ですね。
エレン「獲物を屠る♪いえーにゃー♪」
サシャ「エレン・・・洗ってませんよね?」
エレン「・・・」
のんびり歌ってた猫を引っ張り上げる。
椅子に座らせたんですが、黙ってますね。
サシャ「エレン?何も言わないんですか?」
エレン「お湯でちゃんと流したにゃ・・・」
サシャ「・・・」
エレン「石鹸が目に入るのが嫌いにゃ!」
サシャ「猫になっちゃったから洗えないんですよね?」
エレン「・・・」
サシャ「洗いますよ?覚悟はいいですね?」
エレン「嫌だにゃ・・・」
サシャ「目を閉じててくださいね。」
武士の情けです。
一瞬で洗い終えましょう。
エレン「目がー目がー!にゃー!」イタイイタイ
サシャ「なんで目を開けたんですか?閉じてくださいよ!」
エレン「どこまで洗えたか気になって開けちゃうにゃよ。」
サシャ「目を開けても頭は見えませんよ!!」
お湯をかけて泡を洗い流す。
ん~?少しは臭いが消えたようですね。
持ち上げて湯船に戻しましょう。
まだ、何か言ってるエレンの
横に並んで浸かり、夜空を見上げる。
サシャ「あまり星を見上げたことがないんですけど」
サシャ「やっぱり元の世界とは違うんですかね・・・」
エレン「・・・たぶん違うんじゃないかにゃ。」
エレン「一緒だったら教官が気づきそうにゃ。」
私たちの世界よりも夜空が美しく感じます。
空気が綺麗だからでしょうか?
それとも、ここにある自由がそう感じさせるのでしょうか?
少し不安がよぎり、膝を抱える。
サシャ「たまに元の世界のこと思い出しちゃうんですけど・・・」
サシャ「私たちってどうなるんですかね?」
エレン「わからにゃい・・・ミカサやアルミンも心配だにゃあ。」
しんみりしてしまったので何か元気になることを・・・
サシャ「あのですね、こっちで頑張ってたら皆に会える気がするんです。」
エレン「・・・ただの勘かにゃ?」
サシャ「ただの勘ですよ!」
ちょっと恥ずかしくなったので
置いてあった妙な鳥の玩具を鳴らす。
なんですかねこれ?
本当にただの勘なんですけど、
皆こっちにいる気がするんですよね。
エレン「サシャの勘は当たるってミカサが言ってたにゃ。」
エレン「だから信じて頑張るにゃ。」
サシャ「うんうん、みんなで頑張っていきましょうね。」
折角、私たちのために催された宴会も待ってます。
これからのためにも戻って英気を養いましょう。
次回へ続く
宴会から二日が過ぎ、依頼が一つ入りました。
水没林に巣食うフロギィの数が多くなり過ぎたため、
間引いて欲しいそうです。
やはり理由はジンオウガのようです。
近辺に多大な影響が出ていますね。
というわけで今日は水没林についての復習です。
地図とにらめっこしながら頑張ります。
それと今日は自主勉強の予定です。
これから、教官がコテツ君とロックラックの町へ向かうからです。
さっきまで何やら資料を読んでいたのに突然ですね。
用事を含めて往復で一週間は掛かるそうですよ。
キース「イェーガー、ブラウス、レンズ・・・無理はするなよ。」
教官は私たちがとても心配らしいです。
孫を心配するお爺ちゃんの顔になっています。
キース「頭の回る貴様がいて良かった・・・」
キース「私がいない間のことは頼むぞ!」
ユミル「はっ!」
教官はユミルに全てを任すようです。
ユミルは頼りになりますからね。
サシャ「コテツくんも気をつけてくださいね。」
コテツ「ありがとですにゃ、教官さまがいるので平気ですにゃ。」
教官が見えなくなって分かったのですが、
頼れる人がいなくなって、私はちょっと不安みたいです。
まあ、寂しがっても仕方ありません、
不安は頑張って勉強をすることで解消しましょう。
まず水没林は渓流地域の辿り着く場所であるということです。
さらに雨が非常に多く降るため、
地域の大半は常に水浸しになっています。
住んでいる生物も渓流とは大分違うようですね。
ズワロポス、分厚い脂肪に覆われた巨体を持っています。
鈍重で近寄っても、とても大人しい草食動物です。
ただし怒ると怖いのでちょっかいは出さないようにしましょう。
エレン「ライナーみたいにゃ!」
サシャ「大きいですもんね。」
そして今回の討伐目標のフロギィ・・・
ジャギィの亜種のようですが、
毒液を吐いてくるので性質が悪いです。
こんなのが増えたのだから他の動物は堪らないですね。
エレン「ジャンみたいにゃ!」
サシャ「フロギィが?」
エレン「あいつも毒を吐くにゃよ。」
毒舌ということですかね。
ちなみに、この地域を抜けると火山があるらしいです。
ん?事務員さんがユミルを呼んでいるようです。
ユミル「ちょっと受け取ってくるわ。」
クリスタ「手伝うにゃよ。」
どうやらアロイ装備、できたみたいですね。
加工屋さんのおじいちゃんが持ってきてくれたそうです。
私も早速、見せて貰いました。
青と銀、とても綺麗ですね。
そして思ったより、ぜんぜん軽いですねえ。
これは硬く、しかも軽いというマカライト鉱石を
ふんだんに使っているからだそうです。
防御重視のユミルは肩の部分を大きくしてもらったり、
独自の仕様で作ってもらったそうですね。
サシャ「ユミル、ユミル!着てください!!」
ユミル「ちょっと待ちな、エレン出な!」
エレン「にゃい!」
クリスタ「エレンの新しい装備もあるにゃよ。」
クリスタ「こっちきてにゃ、私がお手伝いしてあげるにゃ。」
そういえばエレンはユミルの装備の余りで
アロイネコ装備を作ってもらったそうです。
お揃いじゃなくなるのは寂しいですね・・・
これで全部、着れたようです。
ユミルの鎧は身体を動かしやすいように、
通常の物よりも所々を絞ってもらったそうです。
そのせいか着用してもスタイルの良さが際立ちますね。
サシャ「いいです!とっても格好いいですよ。」
ユミル「よせよ、恥ずかしい・・・」
照れながら身体を動かして動作の確認をしています。
顔が赤くなってます、ユミルは本当に可愛らしいですね。
現在、ユミルの武器はハンターカリンガと呼ばれる
片手剣を改造したものになってます。
それも一緒に装備して干渉しないか入念に確認します。
サシャ「大丈夫そうですね。」
ユミル「うん、そうだな・・・」
どこからか、鈴の音が聞こえてきました。
エレンも着替え終わったようです。
なんと耳付きの兜と鈴付きの鎧ですよ!
なんですかこれ!可愛すぎます。
サシャ「エレン似合ってますよ!抱っこさせてください!」
エレン「抱っこは嫌にゃよ。」
エレン「あと武器も作って貰ったにゃあ!」
大剣を模した、アイアンネコソードというらしいです。
肉球マークもついて良いですね。
クリスタ「可愛くていいにゃあ・・・」
サシャ「クリスタはこれ着ないんですか?」
おや?なんか恥ずかしがっていますね。
クリスタ「作って貰ったのにゃあ・・・」
クリスタ「でも重くて動けなかったにゃ・・・」
サシャ「それは・・・残念ですね。」
エレンより一回り小さいですし、仕方ないですよね。
軽くて使いやすいアシラ装備ができるまで
お互い我慢しましょう。
さて、私たちは明日の朝に出発し、
夜には水没林の野営地につくそうです。
その後、一日掛けてフロギィを討伐し、次の朝に帰ってくる。
三日間の行程ですね、
アシラ装備もこの間に完成するといいですねえ。
次回へ続く
いつも読んで頂いてありがとうございます。
出かけるので急いで投下します。
水没林・・・思った以上に酷い所ですね。
私たちは今、膝まで水に浸かって移動しています。
エレンたちに至っては上半身も浸かっている状況です。
しかも肝心のフロギィが見当たりません。
エレン「にゃあ?ぜんぜんいないにゃ・・・」
サシャ「おかしいですねえ?」
クリスタ「全域に出るって言ってたのににゃあ。」
ユミルが考え込んでいます。
たまに気配がするのですが姿が見えません・・・
まるで観察されているようです、とても嫌な感じですね。
ユミル「一旦、野営地に戻るぞ。」
エレン「にゃんでだ?」
ユミル「前に来たときと違う雰囲気だ。」
ユミル「・・・ドスフロギィがいるかもしれない。」
木々の陰で見えませんが、
確かに何やら組織だった行動をしているように思えますね。
たまに遠吠えも聞こえます・・・
ドスフロギィが指示を出しているのでしょうか?
もし、そうなら閃光玉やシビレ罠も持ってきたいですね。
引き返し始めたのですが、
何やら嫌な予感が高まってきました・・・
そしてエレンが何かに気づいたようです。
エレン「囲まれてるにゃ!」
ユミル「間に合わなかったか・・・」
残念ながら遅かったようです。
威圧感のある低い遠吠えが、また聞こえました。
どうやらドスフロギィのようですが、姿を見せませんね。
しかし、その声に呼応するかのように
密集した木々の間からフロギィたちが出てきました。
かなりの数ですね。
非常にまずいです・・・後ろは崖、逃げ道はありません。
ユミル「クリスタ、サシャを守れ!」
クリスタ「わかったにゃ!」
ユミル「サシャ!援護しながらドスフロギィを探してくれ!」
ユミル「どこか見える位置にいるはずだ。」
サシャ「了解です!!」
ユミルが的確に指示を飛ばす。
しかし、これだけの数を捌くには・・・
急がねばなりません!
ユミル「エレン、覚悟を決めるぞ!私と突撃だ!」
エレン「おうにゃ!」
逃げようとするとでも思っていたのだろうか、
突撃してきた二人を見てフロギィたちが少し混乱する。
この突撃と私の矢で三匹に致命傷を与えたものの、
多勢に無勢・・・囲んでいた何匹かが一斉に毒液を吐き出してきた。
サシャ「ユミル!!」
ユミル「・・・っち!」
盾を振りかざしたものの、
やはり大半の毒液を浴びてしまった。
クリスタが直ぐに解毒を促進させる笛を吹くが
何度も受ければ回復が間に合いません。
エレンは水に潜って回避に成功したようです。
しかし、このままだと不味いですね。
私は周りを見渡し、ドスフロギィを探す。
目立つ赤い色をしているはずなのですが、
木々の中に見つけることができません。
ジリ貧ですね、ユミルとエレンも頑張っているのですが、
どこにいたのでしょうか、次々にフロギィが現れます。
ユミル「げほっ、ごほっ!・・・まずいぞ!」
エレン「・・・にゃあぁ・・・」
二人とも毒が廻り始めているようです・・・
こちらもクリスタが頑張っていたのですが、
押し返しきれず、遂に分断されてしまいました。
このままでは全滅する・・・
恐怖が身体を覆いつくす。
しかし、それを引き裂くように
激しい音が水没林に響き渡った。
そして分断していたフロギィが
何匹も水に沈んでいくのが見えた。
次回へ続く
音を発した武器だけが見える。
確かヘビィボウガンと呼ばれる武器だ。
先ほどの一撃のせいなのか、
砲身がずたずたに裂けてしまっている。
しかし、何故か扱っている人が見えない・・・
サシャ「いないですね?」
クリスタ「いないにゃね・・・」
次の瞬間、水が大きく泡立った。
なんと武器に押し潰され沈んでいる!!
サシャ「だだだ、大丈夫ですかぁ!」
クリスタ「にゃーにゃーにゃー」
慌てて武器をどけて引き上げると
そこにはとても懐かしい顔がいた。
コニー「げほっ、わりぃサシャ!助かったぜ。」
サシャ・クリスタ「コニー!」
新たな再開に嬉しさが込み上げてくる。
しかし、慌てて弓を構えて周りを見渡す。
私たちは囲まれていたのだった。
だが、あれほどいたフロギィたちは
一匹残らずいなくなっていた。
クリスタ「みんな逃げちゃったにゃ・・・?」
サシャ「いえ、遠巻きに見てるようですね・・・」
サシャ「息遣いがします・・・」
どうやらコニーが撃ち込んだ散弾でかなりの数が巻き込まれ、
恐れたフロギィたちは一時撤退したらしい。
とりあえず、そのボウガンは壊れてしまったようです。
どうやら野営地の小屋に置いてあった
古い物のようなので、一発撃てただけで御の字ですね。
いくつかあったという散弾も捨てたほうがいいでしょう。
積もる話はありますが、何より撤退せねばなりません。
ユミルとエレンもかなり毒が廻ってるようなのです。
サシャ「コニー!この子を抱っこして付いて来てください。」
エレンはコニーにまかせ、私はユミルを背負う。
このままでは、また襲われます。
全速力で野営地に戻りましょう。
サシャ「もうすぐですよ!」
何匹か追いついてきたのがいましたが、
野営地への一本道へ入ると追撃を諦めたようです。
・・・なんとか助かりました。
ユミルとエレンの治療はクリスタにまかせ、
私とコニーは一本道を見張りましょう。
やっと、ゆっくりと話せますね。
サシャ「コニー・・・ええと、えへへ、再開できて嬉しいですよ♪」
コニー「おお、そうか・・・俺も嬉しいぜ。」
コニー「でもさ、ここはどこなんだ?」
コニー「それにあの化け物もいったい何なんだ?」
どうやらコニーは昨晩、この世界へ来たようだ。
目を覚まし、混乱していると、
荷車で走る私たちが見えたので追いかけてきたんだそうです。
コニー「誰も気づいてくれなくてさ大変だったぜ!」
ガーグァ荷車は以外に速いですからね。
最初に私たちに会えたこと、
迷わずにここへ来れたことを含めて、
とんでもない運のよさですね。
まあ村のほうが近かったんですけどね。
しかし暗闇の中、車輪の跡を追尾してくるとは、
月明かりがあったとはいえ、すごいですね。
流石はコニー、狩猟民族は伊達じゃないです。
さて、ユミルたちの治療には時間が必要でしょうから、
現状をしっかりと説明しましょうかね。
・・・できるでしょうか?
次回へ続く
コニーにこの世界についての説明をする。
三割くらいでも理解・・・
というよりは納得してくれると嬉しいのですが・・・
サシャ「頑張って聞いてくださいね!」
コニー「おう・・・!」ゴクリ
私もぜんぜん理解できてないことのが多いですけどね。
なにせ元いた世界とは違うことが多すぎです。
コニー「黒猫がエレンで白猫がクリスタ。」
コニー「で、サシャとユミルと教官がいるんだな!」
サシャ「そうです!」
サシャ「あと、ここはよく分からない世界なんです。」
サシャ「だけど頑張りましょうってことですよ。」
コニー「なんだか分からないけど、頑張ろうぜ!!」
ふぅ、大成功のようです。
私の中の三割をしっかりと伝えられました。
ユミル「ねえ・・・何してんの?馬鹿なの?」
クリスタ「もう!ユミルは口が悪いにゃ!」
エレン「コニー!久しぶりだにゃあ。」
どうやら、二人とも回復したようですね。
一時はどうなるかと思ったけど良かったです。
コニー「おい。もう大丈夫なのか?」
ユミル「え、ああ、もう平気だよ。」
コニー「そうか!良かったな!」
コニーは優しいですからね。
ユミル「んだよ・・・ブスとか言ってくるかと思ったのに・・・」
エレン「にゃんだ、気にしてたのか?」
ユミル「私だってそりゃあ、ちょっとはな・・・」
ユミルは乙女なところがありますからね。
エレン「クリスタ、ちょっとあっち行ってにゃ。」
クリスタ「ん?わかったにゃ。」トテトテ
何するんですかね?
唐突に寸劇が始まりました。
エレン「コニー聞いてくれにゃ!」
エレン「俺この前、みんなを守るために頑張ってたにゃ!」
コニー「おう!猫になってるし、大変だったな。」
エレン「そしたらクリスタがうんちを投げてきたにゃあ」
コニー「おいおい、女神がやったのか?汚ねえじゃないか!」
エレン「臭かったにゃ、ひどいにゃあ」ウニャーン
まあ半分くらい事実ですけど・・・
これが何なんでしょうかね?
コニー「ひでえな、なんてことするんだ!あのブス!!」
エレン「にゃ?こういうことにゃよユミル。」
コニー「なんだよ?」
悪口の語彙なんか少ないほうがいいですよね・・・
ユミルの眉毛が八の字ですね。
心底がっくり来ているようです。
クリスタ「終わったにゃ?」
サシャ「はい、色々と終わりましたよ。」
エレン「作戦会議しなきゃにゃ!ユミル頼むにゃあ。」
意気揚々としているエレンですが、
ユミルが睨んでますよ。
ユミル「その前にクリスタを出しに使ったからな!」
エレン「にゃああぁぁあぁ・・・」
ユミル「ちょっとでも悩んでた自分が馬鹿みたいだよ・・・」
クリスタ「ユミル、エレン?大丈夫にゃ?」
ユミル「・・・ああ、さっさと奴を倒しにいこうかね。」
エレン「ほっぺが伸びたにゃ・・・」
とりあえずコニーには小屋に残ってもらいます。
装備がないのは危険ですからね。
ユミル「よし!リベンジだ!」
ユミル「突っ込んでいって閃光玉を投げ込んでやる。」
エレン「駆逐してやるにゃ!」
もう元気になりました。
・・・流石、駆逐系男子ですね。
ユミルもエレンも理不尽な怒りに満ちています。
しかし、作戦としては悪くありませんね。
姿を見せないドスフロギィは厄介ですが、
フロギィの数を減らせば、
群れの長として出てこないわけにはいかないでしょう。
コニー「なんか、まだ分からない事だらけなんだから、」
コニー「ちゃんと帰ってこいよな!」
装備を整えた私たちは不安そうなコニーに手を振り、
先ほどの場所へ全力で戻ります。
追い返した奴らが、すぐに戻るとは思わないでしょう。
強襲して閃光玉を真ん中へ投げ込んでやりましょう!
次回へ続く
強襲自体は大成功です。
ユミルが投げ込んだ閃光玉は
休んでいたフロギィたちの真ん中で炸裂し、
奴らをあっという間に無力にしました。
一匹また一匹と殲滅していく。
しかし肝心のドスフロギィが見当たりません。
群れの主としての誇りを刺激すれば出てくると思ったのですが・・・
毒持ちの生物なので、
相手が完全に弱らないと出てこないのかもしれませんね。
こうなると巣を発見しないと
ドスフロギィを見つけることは困難です。
サシャ「ん~駄目ですね、見当たりません。」
まあ本来の目的の間引きは終わったのです。
依頼は成功したわけなんですが、
なんとも釈然としません。
ユミル「畜生!!こそこそしやがって!」
エレン「次は絶対に駆逐してやるにゃ!!」
興奮している二人は不満な様子ですね。
正直、色々と勉強不足でした。
今回のような多数相手の依頼のときは
武器も考えねばならないかもしれません。
クリスタ「まあまあ、二人とも落ち着くにゃよ♪」
まだ鼻息が荒い二人はクリスタにまかせ、
私は周りを警戒しましょう、残念ですが撤収です。
あれから一日が過ぎました。
私たちはコニーを連れて無事に村へ戻ることができました。
これからギルドへ狩猟した数を報告します。
連絡には鳶を使うようですね。
「ピーヒョロロロロ…」という独特の鳴き声が離れていく。
教官のように陸を行くと往復一週間近く掛かる距離を
鳶なら三日掛からずに飛ぶようです。
一緒に送る教官宛の手紙に
コニーが見つかったことも書いたので、
ハンター登録もして貰えると嬉しいですね。
さてと次の依頼が来るまでにコニーの武器も考えないとですね。
訓練所に戻ると、四人ともいました。
既にコニーとエレンが武器を弄っているようです。
何か決まったんでしょうかね?
サシャ「何してるんですか?」
コニー「俺の武器を考えてたのさ。」
エレン「結構まじめに考えたにゃ!」
まずは近接武器について話し始めました。
これらは筋力と体重があったほうが有利です。
小柄なコニーには向かないと判断したようです。
コニー「格闘は苦手だしな!」
なかなか合理的ですね。
というわけで弓に、ボウガン二種ですね。
弓もいいそうですが被るのが気に喰わないそうです。
サシャ「合理性を褒めたばっかなのに・・・」
そしてヘビィボウガンは前回、反動の凄さから、
扱うのが大変なことを知ったようですね。
というわけで、ライトボウガンを選ぶようです。
コニー「俺は小回り効くし判断だって悪くないだろ?」
エレン「うんうんにゃ。」
サシャ「反応速度はいいですけど・・・」
コニー「それに格好いいからな!」
不安も確かにありますが、
誰かが指示すれば平気ですかね?
そこまで悪い選択ではなさそうですよね。
ボウガンの機構を覚えるのは少し大変そうですけど・・・
では次の依頼もすぐでしょうから短期間で覚えてもらいましょう。
何しろ、味方も巻き込みかねない危険な武器ですからね。
早速、紐をつけて逃げれないようにしましょう。
他人のこといえませんがコニーは勉強嫌いですからね・・・
コニー「なんだよ?何してるんだよ?」
サシャ「しっかりと堅結びしているので待っててくださいね♪」
サシャ「あ、トイレも御飯も連れて行くので安心してください!」
コニー「・・・」
片側を私に結びつける。これで逃げれませんね。
それを見たエレンが脱走する。ユミルが無言で追いかける。
まあ、これから何日間かみっちりお勉強ですね。
教官がいらっしゃらないので、
教える気満々のクリスタのお世話になりましょう!
ユミルが逃げ出したエレンを捕まえてきました。
何か叫んでるようですね。
エレン「ちゃんと覚えてるにゃ!俺は平気にゃんだ!」
ユミル「嘘付け!お前も覚えることいっぱいなんだよ!」
みんなで楽しい勉強会です。
自分たちの命に関わることですから
頑張って学んでいきましょう。
次回へ続く
やはり二人とも勉強が好きではないだけで、
とても優秀でした。
クリスタ先生も大満足ですね。
エレン「疲れたにゃ・・・」
コニー「リオレイア、リオレウス、クルペッコ・・・」
ちょっぴり痩せ細った気がしますが、
半日で色々覚えることができたようです。
多少のリスクは仕方ないですよね。
痩せ細った分は夕飯で取り返しましょう。
コニー「すげえ・・・これ食っていいのか?」
サシャ「頑張ったんですからね、もちろんですよ♪」
やはり、とても驚いてます。
こんなにすごければ当たり前ですかね。
コニーはこの後の温泉にも驚いていましたね。
でも、いやらしい目をしてたので
二段重ねのたんこぶを作ってあげました。
私に関しても話しましょうかね。
実は新しい武器を学び始めています。
大物の相手はやはり弓にしますが、
前回のように多数の雑魚を相手にするときのために
大きな刀、太刀と呼ばれる武器も使おうと思います。
訓練のために違う身体の
動かし方をするのもいいですからね。
何より最初に見たときは
重そうだと思って敬遠してたのですが、
案外、軽かったんですよ。
周りを薙ぎ払える攻撃がとても魅力的なんです。
そして訓練漬けの日々の中、
遂にアシラ装備と新しい弓ができました。
ちょっと時間が掛かったみたいですね。
早速、着てみましょう。
サシャ「ユミルー!早くくださいな。」
ユミル「ちょい待ち!これクリスタのな。」
クリスタ「ありがとにゃあ。」
フードに耳が付いてますよ!かわいー♪
クリスタが小さい熊になりましたよ!
こんな可愛い生き物いませんね!!
サシャ「抱っこさせてください!」
クリスタ「いいから早く着替えなさいにゃ!」
ユミル「じゃあ私が先だね!やったー!」
怒られちゃいました。
ささっと着替えましょう。
あれ?私のこれって随分と太腿の露出が大胆ですね。
毛皮足りなかったんでしょうか?
サシャ「ユミルー!ねえこれって?」
ユミル「そういうデザインなんだよ!」
ユミル「ガチャガチャしてると走りづらいだろ?」
サシャ「そういわれてみるとそんな気が・・・」
こっちへ来てから太腿を晒す回数が増えている気がします。
乙女としてどうなのでしょうかね?
ちょっぴり恥ずかしいけど、
クリスタと一緒にお披露目しに行きましょうかね。
さて訓練所に戻ってきました。
私たちの装備を褒めちぎって貰うために帰ってきたんです。
そのはずだったんです。
でも戻ったら骨を被った小さな変質者がいました・・・
私より太腿を露出した変質者でした。
サシャ「あれはいったい・・・」
コニー「よー、お前ら!」
こっちへ歩み寄ってきたので全員で迎撃しました。
思ったより頑丈な装備でビクともしません。
コニー「なんだよ、おい!」
コニー「俺だよ!コニーだって!」
コニーだって叫んでいたけど断じて違います。
あれは間違いなく変質者でした。
次回へ続く
本当にコニーでした。
まあ、分かってたんですけど、ぷぷぷ。
コニーがいると楽しいですね。
装備については骨しか余ってなかったそうです。
しばらくすると事務員さんが手紙を持ってきてくれました。
教官からお返事が来たようです。
一日遅れの明後日に帰れるそうですね。
他にも色々書いてありますね。
おや、どうやら三日後にはリベンジです。
ドスフロギィの討伐の依頼がきました。
確かにあのままにするわけにはいかないですもんね。
あいつを退治しないと水没林が
フロギィの溜まり場になってしまいます。
そして、これは驚きです。
なんとジャン・キルシュタインを見つけたそうです。
人材一覧の名簿に名前があり、
教官はその確認でロックラックに行ったそうです。
ん~エレンと仲悪いからちょっと心配です。
でも、今のエレンは猫ちゃんですからね。
大丈夫でしょう。
一応、釘を刺しておきましょう。
サシャ「エレン!仲良くするんですよ?」
エレン「・・・あいつの出方次第だにゃ!」プイ
目つきの悪い困った猫ちゃんです。
やっぱり心配です・・・
倒れてるコニーに声をかける。
サシャ「コニーもいざという時は助けてくださいね?」
コニー「オレサマ・・・オマエラキライ・・・ヘンタイチガウ」
なんか未開の部族みたいになってますね。
サシャ「もう!謝りますからっ!」
コニー「実際問題、俺じゃあ止められねえよ、よっと!」
コニー「エレンもジャンも対人格闘、俺より上だからな。」
エレン「えへんにゃ!」
クリスタ「私が止めるにゃ!安心してにゃあ!」
やる気・・・ではなく止める気満々ですね。
確かに女神の力なら・・・おっと今は小熊ちゃんでした。
ユミル「なんにせよ明後日の話だ。」
ユミル「今はリベンジの件もあるんだし、作戦考えるぞ!」
確かにそうだ。
やることは既にいっぱいですもんね。
クリスタ「ジャンはどうするにゃ?」
サシャ「いきなり連携は厳しいですかね?」
ユミル「いつ、こっちへ来たかも分からないからね。」
ユミル「今は考えても無駄、来てのお楽しみだ。」
明後日が楽しみですね。
次回へ続く
折角なので全員の装備や能力の確認です。
サシャ
武器 フロギィリボルバーⅠ(弓)
防具 アシラシリーズ(可愛い)
ユミル
武器 ハンターカリンガ改(片手剣)
防具 アロイシリーズ(とても綺麗)
コニー
武器 クロスボウガン改(ライトボウガン)
防具 ボーンシリーズ(変態)
エレン(白黒ぶちアイルー)
近接のみ 大型一筋 勇敢
武器 アイアンネコソード
防具 アロイネコシリーズ(ラブリー)
とても勇敢で自分より大きな敵にも怯みません。
しかし感情が高ぶりやすく猪突猛進の傾向があります。
攻撃は近接のみですが非常に強力です。
クリスタ (白無地アイルー)
近接のみ 小型一筋 主人愛
武器 アシラネコトゲ棍棒
防具 アシラネコシリーズ(可愛すぎてやばいです)
近接武器を持ってますが、
小型から護衛対象を守るときのみ使います。
大型には近づきません。
笛を吹いたり、肥やし玉を投げたりして援護してくれますよ。
以上です
早起きしての散歩は格別ですね。
この毎朝の行為が
朝御飯を何倍もおいしくする秘訣なのです。
今日もユクモ村はとてもいい天気だ。
それはこの地域には季節の変化が殆どないからだそうです。
しかし少し離れると厳しい気候の地域があるようです。
ここは毎日、過ごしやすい陽気なので嬉しいですね。
休憩がてら足湯を楽しんでいると、
何やら階段を登ってくる気配がしました。
きっと教官とコテツくんですね。
やっと帰ってこれたようですよ。
サシャ「教官、コテツくん!お帰りなさい♪」
キース「うむ、怪我などなさそうだな?」
サシャ「はい!コテツくんも元気ですか?」
コテツ「元気ですにゃ!ただいまですにゃあ。」
再会を喜びコテツくんを抱っこしていると、
教官の影から真っ黒な猫が出てきました。
この子、目つき悪いですね。
でも、エレンじゃないです。
彼のお腹は真っ白ですからね。
この子は泥棒してくるメラルーって子ですね。
???「サシャにゃのか?」
名前を知っているということは・・・
サシャ「まさかジャンなんですか?」
ジャン「また仲間に会えるにゃんて・・・」
いつも強気だった彼の目に
あっという間に涙が溜まっていきました。
サシャ「あわわわ、ど、どうしたんですか?」
キース「キルシュタインは一年近く前にこちらへ来たようだ。」
サシャ「一年もですか・・・」
ジャンが泣いています。
あまり褒められた性格ではなかった彼ですが、
猫になって、この世界で一人・・・その辛さは分かります。
サシャ「ジャン・・・大変でしたね。」
私は膝を突いて彼を抱きしめました。
ジャンはちょっと照れちゃったみたいです。
ジャン「サシャ、ありがとにゃ!もう大丈夫にゃよ。」
キース「キルシュタインには大体のことは伝えてある。」
キース「さあ、皆のところへ向かうぞ。」
そうそう言っておかなければいけません。
サシャ「ジャン!エレンと喧嘩しちゃ駄目ですよ?」
サシャ「約束ですからね。」
ジャン「ああ分かってるにゃ!」
ジャン「こんなことになったからにゃ・・・」
ジャン「喧嘩なんてしたくないにゃよ。」
どうやら彼はこちらへ来て
仲間の大切さを強く学んだようですね。
サシャ「そうだ!教官、足湯で待っててください!」
キース「ふむ、そうだな・・・イェーガーにはきちんと伝えるのだぞ。」
サシャ「はっ!ジャン、またあとで!」
ちょっぴり喧嘩腰のエレンにちゃんと伝えておかないと
猫になったジャンを馬鹿にしたりして、
大きな誤解が生まれそうですからね。
今なら・・・
二人ともこの世界ならば、
きっと仲良くできるでしょう。
次回へ続く
私は訓練所に急いで戻り、
みんなにジャンのことを伝えました。
エレン「そうか・・・ジャンもにゃのか。」
クリスタ「しかも一年もだにゃんて・・・」
やはり二人とも、ジャンの辛さが良くわかるようです。
サシャ「エレン、仲良くしましょうね?」
エレン「うん、約束するにゃ!」
しばらく待つと教官たちがやってきました。
キース「・・・キルシュタイン入りなさい。」
ジャン「はいにゃ・・・」
ジャン、ちょっと不安そうです。
これは・・・ちょっと大げさにし過ぎちゃいました。
彼は最初に私を見て、ユミル、クリスタ、
そしてコニー、最後にエレンを見据えています。
私がドキドキしてきました。
ジャン「エレン、みんにゃ!また会えて嬉しいにゃ!」
受け入れてもらえるのか少し心配なのでしょう。
緊張したジャンの声が部屋に響きました。
ジャン、ごめんなさい・・・
しかし、その空気を弾き飛ばすように
エレンが声を出してくれました。
エレン「ジャン!俺もまた会えて嬉しいにゃ!」
エレンちょっと涙ぐんでいますね。
クリスタも拍手しています。
これで仲直りできたのでしょうか?
歓談しているエレンとジャン、コニーのところへ
こっそりと近付く・・・
サシャ「ジャン?あの、ごめんなさい・・・」
サシャ「なんか、大げさにしちゃいました。」
ジャン「いや、ありがたかったにゃよ・・・」
ジャン「実際あのまま会ってたら、にゃんかしら揉めただろうにゃ。」
エレン「・・・俺もそう思うにゃ。」
コニー「よくわからんが、仲直りできて良かったな!」
自分でこんな風にしといて何ですが・・・
シリアスな猫と骨ってシュールな画ですね。
でも仲良くなれたのなら、嬉しいです。
キース「小さな気遣いをすることはとても大切なことだ。」
キース「貴様の天真爛漫な性格でなければ、できんことでもある。」
キース「誇っていいことだ。」
教官がにこやかに微笑んでいます。
こそばゆいですね。
キース「さて貴様ら前回はしてやられたらしいな。」
キース「まあ強く説教をする気はない。」
キース「だが自分の命に関わることだ、糧にして次回へ生かしなさい!」
相変わらず心に響く御言葉です。
キース「スプリンガー!」
コニー「はっ!」
キース「着替えてきなさい。」
あまりに自然な格好だったので、
すっかり忘れていましたが、変態装備のままでしたね。
需要があるかは知りませんが、
教官はギルドバードという装備です。
まるで、どこかの貴族のような格好です。
紅い色の装備なんですけど似合ってますよ。
帽子は被ってるのを見たことないです。
さて明日はもう討伐依頼の日ですね。
今日は一日掛けて、
ドスフロギィについての勉強をしましょう。
その後はジャンも含めて連携の練習です。
一年いた実力を見せてもらいましょう。
やることがいっぱいですね。
次回へ続く
座学が終わったので、
ジャンを加えての連携の訓練に移ります。
闘技場に向かいましょう!
前方を男の子三人が仲良く連れ立っています。
エレン「ジャンは何を使うんだにゃ?」
ジャン「俺はにゃ、小タル爆弾を使うんだにゃ!」
コニー「なんだそれ?こええな。」
爆弾・・・?物騒な単語が聞こえてきました。
興味ありますね。
三人の間に顔を差し込む。
サシャ「それ、どう使うんですか?」
ジャン「着火して投げ込むだけにゃ。」
ジャン「投げる場所を変えれば色々できるにゃ。」
ジャン「足元に投げて体勢を崩したり、耳元に投げて驚かしたりとかにゃ。」
ジャン「威力だってにゃかにゃかすごいんだにゃ!」
後で見せてくれるそうです。
欠点は数を持っていけないことらしいですね。
エレン「頭を使う道具だにゃあ、すごいにゃ!」
エレン「俺も、もうちょっと考えて行動しなきゃにゃ。」
サシャ「できないんですか?」
エレン「うっ、身体が先に動いちゃうにゃ。」
コニー「うっ、俺もそうだな・・・」
ちょっと意地悪したら、
二人共しょんぼりしてしまいました。
ジャン「エレンとコニーの良さはそこだからにゃ。」
ジャン「二人の一番の武器は勇気だにゃ!」
ジャン、自分で言って照れてますね。
耳が畳まれてしまいました。
褒めなれてないのか、セリフが恥ずかしいのか・・・
やはり照れているエレンとコニーが
ジャンに寄っていって抱き合ってます。
友情を育んでるようで良かったですね。
ようやく闘技場に着きました。
早速、爆弾の威力を見せてもらいましょう。
ジャン「ちょっと離れてるにゃよ!」
爆弾は『訓練用ジャギィくん人形6号』の足元へ投げ込まれました。
爆発音は鉄砲の発射音より少し大きいです。
音の割りに威力は良好ですね。
ジャギィくんの足は吹っ飛んでしまいました。
エレン「すごいにゃあ、俺も欲しいにゃ!」
ユミル「良さそうな武器じゃないか。」
ユミル「冷静な判断ができるジャン向きだな。」
サシャ「エレンは駄目ですからね!」
ユミル「ん、駄目だな。」
敵を駆逐するまで、
ところ構わず投げ込むのが目に浮かぶようです。
ユミル「私たちは比較的安全な閃光玉を使うべきだろうね。」
クリスタ「私も前回持っておけば良かったにゃって思ったもんにゃ。」
コニー「俺は先に使い方を覚えないとな!」
ジンオウガの話を考えれば、
大型の生物はいつでも現れると思ったほうがいいのでしょう。
対大型の道具は常備しておかねばなりませんね。
キース「よく話し合っているようだな!」
キース「連携をとるには自分の仕事を理解することだ。」
キース「もうしばらく時間を掛けて考えろ!」
明日はドスフロギィの討伐です。
自分たちのできることを話し合い、
きっちり練習したいと思います。
次回へ続く
おまけ
みんなのお仕事はなんでしょう
エレン「俺は前衛にゃ!」
最も近づき、常に敵の注意を引く危険な位置ですね。
小回りが利き、アイルー特有の柔軟な防御力で
攻撃を往なせるエレンに最適な位置取りですね。
ユミル「私はその後ろでエレンへの指示と支援だな。」
道具を駆使し仲間を支援しつつ、
自身も注意を引くように動く。
頭の回転が速く身体能力も高いユミルは適役ですね。
ジャン「中盤で指揮するのが俺かにゃ?」
冷静で指揮能力が高いジャンは安全な中盤です。
全体への指示を出しながら、道具を使用したり、
爆弾で雑魚を追い払うなど柔軟に前後の支援をしてもらいます。
コニー「俺はジャンの横にいたほうがいいだろうな。」
その場でジャンの護衛をしつつ指示を貰い、
素早く適切な弾丸で全体を援護します。
反応がいいコニーはここでしょう。
サシャ「私は一番後ろですね。」
雑魚は周りに任せ、
遠距離や高い位置などにいる敵への攻撃や
近接が届かない弱点へ攻撃できるのが強みです。
クリスタ「私はサシャの護衛にゃ!」
回復、鬼人、硬化に解毒、多数の笛の音で援護ですね。
攻撃能力が劣るクリスタは私に向かってきた敵を
コニーが処理するまで押し返すことも仕事です。
以上です。
ドスフロギィ討伐のため
また水没林へやってきました。
今回はこちらの人数も多いためか、
遠巻きに威嚇の声がするのですが仕掛けてはきません。
こちらを観察しているといった感じでしょうか。
ユミル「ジャン、どうする?」
ジャン「やっぱり巣を見つけるしかにゃいだろうにゃ。」
サシャ「ここら辺じゃ水だらけで足跡も見つけられないんですよね。」
サシャ「奥に行きましょうよ。」
ジャン「あそこからにゃら、全体を見渡せるかにゃ?」
確かこの地域の真ん中に一際高い岩場があったはずですね。
そこから回りを探っていきましょう。
ユミル「っち!早く見つけねえとストレスが溜まっちまうぜ。」
エレン「ひっひっふーにゃよ、ユミル!」
エレン・・・それ何か違うんじゃないですか?
しばらく水を漕いで高台へ向かう。
コニー「そういや野営地の直ぐのとこにも陸地あっただろ?」
コニー「あそこは探らなくていいのか?」
ちゃんと地図が頭に入ってたんですね。
特訓が役に立ちました。
偉いですよ、コニー!
サシャ「あそこは野営地から見下ろせますからね。」
ジャン「人目に晒された場所に巣を作るのは危険だからにゃ。」
コニー「なるほどね、お前らは頭いいな。」
ようやく高台に着きました。
今日は天気がいいので遠くまで見渡せますね。
ジャン「サシャ、コニーどうにゃ?何か見えたにゃ?」
コニー「ズワポポンだが何だかはいるな・・・」
サシャ「逆にまったく見えない、あの林の中が怪しい気がしますね。」
もう直ぐ火山地域というような場所に深い林が見える。
前回の強い警戒心を考えると可能性は高そうです。
ジャン「俺はサシャの考えを支持するにゃ。」
クリスタ「サシャの勘はよく当たるもんにゃ。」
エレン「指揮官はジャンにゃ!俺はまかせるにゃよ。」
エレンとジャンの間に
合った壁はあっという間になくなりましたね。
男の子って、そういうものなんでしょうか?
ジャン「ユミルはにゃんかあるかにゃ?」
ユミル「大局的に考えるのは苦手、ジャンにまかせるよ。」
ユミルの言葉にジャンが頷く。
ジャン「まず、あそこのエリアは未開にゃ。」
サシャ「地図にも林としか載ってないですね。」
ジャン「だが、巣があるならば獣道なりがあるはずにゃ。」
ユミル「サシャ、探せるのか?」
あれだけの群れにドスフロギィの大きさを考えれば
発見はさほど難しくないでしょう。
サシャ「運が悪くなければ平気でしょう。」
作戦自体は単純です。
監視しているフロギィを倒して混乱させる。
全力で走り、巣に奇襲を掛ける。
ドスフロギィがいなかったら、とりあえず巣だけでも駆除します。
しかし、その場合は長期戦に突入となってしまいます。
避けたいものですね。
ジャン「全員走る準備をするにゃよ。」
一番近くに見えているフロギィはジャンが爆弾で、
少し離れて見えてるのは私が仕留めましょう。
コニーは気配がするエリアに散弾をばら撒きます。
ユミル「私とエレンはサシャの露払いだな。」
クリスタ「私は頑張って付いていくにゃ!」
コニーが散弾を装填しています。
作戦開始です!
次回へ続く
風を切り裂いて矢が飛び、
悲鳴を上げることもできずにフロギィが倒れていく。
それを合図にジャンが爆弾を投げ込み、
コニーが散弾をばら撒く。
ここからは時間と勝負です。
武器を収納し全力で走り出す。
私を先頭にユミルとエレンが併走する。
道なりに走っていますが林の中に一匹付いてきていますね。
ジャン「コニー、左後方の林に一匹にゃ!」
コニー「よっしゃ!任せろ!」
素早く装填された散弾が撃ち込まれる。
仕留められたかはわかりませんが、動く気配は感じない。
大きな獣道を走り抜け、
視界が開けた岩場を一気に通り抜ける。
ようやく先ほど見えた密林が見えてきた。
サシャ「やはり、この奥が巣ですよ!」
疑惑が確信に変わる。
あからさまに他の生物の気配が消えたのだ。
つまり、ここからは奴らの支配地域だということだ。
林を回りこみ入口を探す。
ジャン「エレン!右から一匹にゃ!」
エレン「おうにゃ!!」
クリスタ「正面に三匹にゃ!」ゼエゼエ
コニー「俺が纏めてやってやる!」
コニーが全力で加速して滑るように正面に立つ。
そして既に装填されていた散弾を撃ち込み殲滅する。
サシャ(随分と数が多いですね・・・)
そのとき脳裏にこのフロギィは
警備のためにいたのではという考えが浮かぶ。
私は全員を止めて近辺の草木を注意深く観察する。
しかし、その必要があまりないほど、
大きく広がった空間を発見した。
奴らが通っている獣道だ。
警戒していたフロギィの数からして間違いないですね。
サシャ「エレン、私の前にきてください。」
エレン「了解にゃ!」
ジャン「一列縦隊だにゃ、最後尾はユミルにゃ。」
ジャン「コニーは弾丸を温存にゃ。」
ジャン「前の人間に全力で着いて行けにゃ!」
後ろから案内をしようとしていたのですが
どうやら必要ないようです・・・
ドスフロギィはかなりの大物のようですね。
奴が通った後なんでしょう。
入り口だけでなく内側まで、
木々が左右に広く薙ぎ倒されています。
奥に進み待ち伏せていた一匹をエレンが処理する。
そして光が見えてきた、
ようやく木々のトンネルを抜けられたようだ。
こんなに広い空間があったんですね。
上からではわかりませんでした。
そして、果たして作戦は成功だったのでしょうか?
奴はフロギィを集め、待ち伏せしていたようです。
数がいれば勝てると思われたのでしょうか?
ユミル「こりゃあ大物だね・・・」
エレンとユミルが前に出て、
ゆっくりと武器を構える。
その後ろでジャンがコニーに耳打ちしてるのも見えた。
そしてドスフロギィの力強い唸り声が聞こえる。
かなりの巨躯ですね・・・
ユミルは盾の裏で既に閃光玉を握っている。
戦闘開始の合図は彼女に委ねられたようです。
次回へ続く
木々の中にいるのも含めると
いったい何匹いるのでしょうか?
複数の殺気を帯びた視線が私たちに降り注ぐ。
姿勢を低くしたエレンが静かに唸る。
ユミルが盾の裏に閃光玉を隠し持っているのが見えますね。
手で合図を送ってきました。
これは動くないうことですね。
彼女は何かを待っているようです。
ジャンは両手に小タルを持っている。
目が忙しく動いている。
フロギィを数えているのでしょうか?
弾丸を装填し終えた、
コニーは宙にボウガンを向けている。
覚悟ができたのか口を真一文字に結んでいます。
クリスタは笛を口に近づけている。
緊張しているのか何度も唇を噛んでいるようです。
私はドスフロギィの右足の大腿骨の付け根に狙いを定める。
逃走を防ぐためです。
命中すれば、刺さった矢じりが動きを制限してくれるでしょう。
弓を目いっぱい引き絞る。
ユミルの待ての合図が続く。
痺れを切らしたドスフロギィが大きく息を吸い込むのが見えた。
吼えて部下たちを鼓舞するつもりなのだろう。
それを阻止するかのようにユミルが叫ぶ。
ユミル「いくぞ!!」
彼女が閃光玉を投げ込むのが見えた。
私たちは一斉に目を瞑る。
コニー「うわー・・・・・
音と光が広がるのを感じる。
コニーの悲鳴も聞こえる。
彼はしっかり目をやられました。
しかし狙いを定めた状態から
微動だにしていませんでした。
そして閃光玉により気勢をそがれ、
混乱した奴らの真上に的確に拡散弾を撃ち込む。
中空で爆発した拡散弾は、小爆弾を広範囲に撒布する。
目をやられているフロギィたちは更に足止めされた。
これは先ほどジャンに耳打ちされてた作戦でしょう、なんとか成功ですね。
このおかげで私にも千載一遇の機会が巡ってきました。
閃光を浴び、逃走のために反転しかかった
ドスフロギィは私の狙いを正面にして立ち止まったのです。
矢は壁になっているフロギィたちを抜け、
大腿骨の付け根に驚くほど深々と突き刺さる。
悲鳴こそ上げなかったものの、
ドスフロギィが痛みに身体を縮こめるのが見えた。
余りの威力に驚いたのですが、
どうやらクリスタが鬼人の笛を吹いていたようですね。
女神の加護を受けたエレンとユミルの二人も
まさに鬼人のような活躍を見せました。
左右に散開した二人は
拡散弾の射程外にいたフロギィたちを
次々と蹴散らしていきました。
そしてジャンが一気にフロギィの間を抜けていく。
ジャン「・・・」
サシャ「ジャン!危ないですよ!!」
しかし危険を冒して進んだ理由が分かりました。
ジャンは先ほどからドスフロギィの逃げ道を探していたのです。
そして彼は奴が逃げようとした方向に
大きな抜け穴を見つけ、
そこに複数の爆弾を投げ込み、塞いでしまいました。
ジャン「やったにゃ!」
流石ですね。
さらに、これで護衛のために追走したエレンと
ドスフロギィを挟み撃ちの形にできました。
決して逃がしはしませんよ!
次回へ続く
コニーが閃光弾のダメージから復活したことで、
あっという間に雑魚が片付けられていく。
散弾の威力はすごいですね。
残っていたフロギィたちも散り散りになってしまいました。
コニー「ん?弾切れだ!」ガキガキン
ユミル「上等、後は任せな!」
この奇襲作戦は大成功でした。
残るは私の矢とジャンの爆弾をいくつも受け、
傷だらけとなっているドスフロギィと、
既に深い傷を負った三匹のフロギィ。
それと卵を守っているのでしょうか?
離れた位置に少し大型の雌のフロギィが二匹います。
エレンとユミルが円を描くように
ドスフロギィとの間合いを詰めていく。
円がゆっくりと小さくなっていく。
守っている三匹の視線が近づく二人に移った。
その瞬間、手薬煉を引いて待っていた私は引き手を放す。
矢は空気を切り裂き、一匹のフロギィを貫く。
そして絶命したフロギィに視線を移してしまった二匹は
エレンとユミルにより大きく切り裂かれた。
最初の拡散弾で傷を負っていた彼らは
即死はしなかったものの
最早、立つことはできないでしょう。
ドスフロギィに視線を戻す、
足を引きずり、満足に動くことができない奴は
頭を低くして威嚇の体勢をとっている。
しかし、何か様子がおかしいですね・・・
目を凝らすと首の周りの袋が
ゆっくりと膨らんでいくのが見える。
ジャンからは死角になって見えないようだ。
サシャ「二人とも下がってください!!」
エレンとユミルが後ろへ飛び退る。
それを追うように、ドスフロギィは
斜めに首を振り上げながら霧状の毒液を撒き散らす。
少し吸ってしまったのかユミルが大きく咳払いしている。
クリスタが即座に解毒の笛を吹き鳴らす。
事なきを得たが、少し吸っただけでこの威力です。
やはりフロギィの毒と比べて桁外れですね。
しかし、こんなに大きな隙を見逃すほど
私も甘くありませんでした。
顎が上がり、大きく露呈した毒袋を目掛けて矢を射る。
今度は大きな苦悶の声が聞こえた。
深く突き刺さった矢を伝って毒液が垂れているのが見える。
そして追撃の二の矢を射る。
呼吸がしづらいのかドスフロギィは目に見えて弱り、
逃げ道を探すために体を持ち上げる。
その隙を付き、エレンが後ろから飛び掛る。
この一撃は矢の刺さった右の膝裏を深く切り裂く。
そして彼が離脱すると同時にジャンの爆弾が投げ込まれた。
爆発を受け、足があらぬ方向へ曲がり、
大きくバランスを崩したドスフロギィは
激しい音と共に倒れこんだ。
弱い喘鳴音が聞こえる。
もう起き上がる力はないでしょう。
私は息も絶え絶えになったドスフロギィに止めを刺す。
矢は目を貫き脳に達した。
あっという間に戦いは終わりを告げた。
周りを見渡すと雌のフロギィが、
まだこちらを威嚇しているようです。
困った私はジャンに目線を送る。
ジャン「見逃して問題ないにゃ。」
ジャン「依頼はドスフロギィだからにゃ。」
残酷かもしれませんが、
ドスフロギィの死体は解体して持ち帰らせてもらいます。
終わり次第、撤収しましょう。
次回へ続く
明日から私たちの装備を
強化するための採取旅行が始まります。
なんでも場所は凍土と呼ばれる、ものすごく寒い地域だそうです。
キース「今回の場所は遠いぞ!」
教官が行ったロックラックの町が片道三日かかり、
これから向かう凍土は四日もかかるそうです。
色々な道具やお弁当など沢山の準備が必要です。
旅行みたいでわくわくしますね。
今回の目標採取物はアイシスメタル。
結構、貴重な鉱物です。
凍土でしか取れないんだそうですね。
コニー「俺の防具は変わるのか?」
ユミル「まずは武器だろうな、諦めな!」
ユミルとコニーの武器の強化に必要なんで
沢山取れると嬉しいですね。
早速、準備に取り掛かりましょう。
まずは外套ですね、
外側はファンゴの毛、良く水をはじきます。
内側はケルビという鹿のような動物の皮です。
ふわふわでとても温かいですね。
エレン「ふわふわで気持ちいいにゃ。」
サシャ「エレン、その毛皮ちゃんと返してくださいね。」
そして、それらの間にガーグァの羽毛が入ります。
これが保温効果を高くします。
エレン「・・・眠くなってきたにゃ。」
クリスタ「エレン、詰めるの手伝ってにゃ!」
これを装備の上に羽織るのです。
しかし、これでもまだ寒いそうです。
ん~?見た目はちょっと野暮ったいですね。
エレン「いいにゃこれ、俺たちの分はないのにゃ?」
クリスタ「私たち寒くにゃいでしょ?」
アイルーは寒さにも暑さにも強いらしいです。
ユミル「でも、私たちのアロイはやばいかな?」
ユミル「私も頭部の装備はずしていくかな。」
確かに金属をさらけ出したままなのは良くなさそうですね。
エレンは小さい外套でも作りましょうかね?
キース「寒さに強い装備がある、後で持ってこよう。」
エレン「やったにゃ、新しい装備にゃ!」
サシャ「良かったですね、エレン。」
どんな装備なんでしょう?
楽しみですね。
クリスタ「いいにゃあ・・・」
キース「すまんが一人分だ・・・我慢しなさい。」
クリスタ「・・・にゃあ。」
聞かれていたのに気づいたクリスタが照れてますね。
とっても可愛いです。
しかしこんな、すごい外套を着ても
凍土と言う地域はまだ寒いそうです。
そこで使うのが、
この大量に用意したホットドリンクです。
この真っ赤な液体は
大量のとうがらしが混ぜられています。
飲むと暫くの間、寒さに耐えられるそうです。
サシャ「辛くてエレンが嫌いそうな味ですね。」
エレン「もう匂いがするにゃよ・・・」
結局匂いを嗅いでしまい、
エレンのくしゃみが止まらなくなりましたが、
準備もあと少しですね。
早く終わらせて温泉にでも入りたいですよ。
おや?外套を纏ったコニーが何やら、ぼやいています。
コニー「俺はこの格好でいいんだろうか・・・」
コニー「なあジャン、この格好やばくないか?」
ジャン「・・・」
確かに半裸に外套は不味いかもしれませんね。
びっくりするほど変質者ですよね・・・
ジャンが絡まれてます。
助けたほうがいいのでしょうか?
コニー「ジャンは登録上、俺のオトモだよな、仲間だよな?」
コニー「ボーンネコって装備もあるんだってさ・・・一緒に」
ジャン「・・・」
ちなみにジャンの装備はジャギィネコです。
コニー「なあ・・・ジャン・・・」
キース(今は材料がないのだ・・・すまぬ・・・)
まあ、前を開けなければ平気ですよね?
次回へ続く
今日から凍土へ向けて出発です。
教官に村長さん、
コテツくんも見送りに来てくれました。
村長「みなさん、お気をつけて。」
キース「くれぐれも無理だけはするなよ・・・」
コテツくんも出発した私たちが
見えなくなるまで手を振ってくれていました。
とても嬉しいですね。
今回の荷車はかなり大型です。
しかも二台です。
幌も付いていて豪華ですね。
引っ張るのは、もちろんガーグァたちなのですが、
今回は途中までなんです。
エレン「にゃんだ途中までにゃのか?よしよしにゃ。」
ガーグァ「ぐぁっぐぁ!」
ガーグァは寒さに強くはないので
凍土で動くことができません。
サシャ「では、どうやって荷物を運ぶのでしょうか?」ビシ
エレン「はい、わかりませんにゃ!」
コニー「はい、俺もさっぱりです!」
それはユクモ村と凍土の間にある小さな集落で、
ポポと呼ばれる体毛が長く寒さに強い草食獣を借りるのです。
もう!勉強したはずですよね?
しかし集落に着くまでも二日間・・・遠いですねえ。
暇なので併走した荷車から声を掛ける。
サシャ「ユミルも凍土は初めてですか?」
ユミル「そうだよ、気を引き締めないとな。」
何だか、隣のジャンが遠い目をしてますね。
クリスタ「ジャンは行ったことあるにゃ?」
ジャン「置いてかれたことがあるにゃよ・・・」
クリスタ「へー・・・・にゃ!?」
なんでも、オトモにしてもらったハンターが
報酬を払いたくないがために置いていったそうです。
酷い奴ですね。
後に通報してギルドナイトに捕まえて貰ったそうですが、
ジャンの心に大きな傷を残したようです。
ジャン「あれ以来、仲間の大切さを知ったにゃ・・・」
ジャン「アイルーじゃなかったら死んでたにゃよ。」
エレン・コニー「ジャン・・・」
エレンとコニーが向こうの荷車に乗り込んでいきました。
恒例の友情抱っこタイムですね。
エレン「ユミル、詰めてにゃ。」
ユミル「せ・ま・い!!」
今回はクリスタも混じっていますね。
サシャ「また再開できて良かったですね♪」
ユミル「あんな厳しい訓練をこなした仲だしな。」
ユミル「他の奴よりは信頼はできるわな。」
少し憂いがある。
今はとても素直・・・気も利きますね。
しかも、頭も運動神経もいい。
今のジャンはもてそうですねえ。
まあ、現在の見た目は猫ちゃんなんですけどね。
さてさて、あれから荷車に揺られること二日、
もうすぐ途中の集落に着きそうです。
クリスタ「もう、そろそろ見えるかにゃあ。」
ジャン「火山が見えてきたからにゃ、もう少しにゃ。」
エレン「ちぇ、爆発してないにゃね。」
この集落は火山地帯、凍土、水没林の
三つの地域に跨った場所にあります。
そのお陰で、色々な気候を味わえるそうです。
コニー「しかし、すげえ雨だな・・・」
ユミル「地面がぬかるんでるな、気をつけなよ。」
ジャン「ゆっくりでいいからにゃ!」
今はまるで水没林のように
大雨が降り続いているようですね。
ふう、なんとか無事到着です。
ここを管理している夫婦の方に御挨拶をします。
サシャ「サシャ・ブラウスです、お世話になります。」
エレン「エレン・イェーガーですにゃ、よろしくにゃ。」
お二人はここに住み込んで、
ガーグァ、アプトノス、ポポの
三種の移動用動物の管理をしています。
これらをハンターのみなさんに貸し出しているようですね。
そして報酬として、私たちが運んできた
猪の肉や野菜などを受けているそうです。
少しだけ、お喋りできましたが
余りのんびりはしてられません。
早速、ガーグァとポポを交換してもらいます。
サシャ「ジャン!大丈夫ですか?」
ジャン「おう、乗っかれたにゃ。」
それぞれのポポの上にクリスタとジャンが乗ります。
上に乗らないと前が見えないんです。
よし、準備は万端ですね。
サシャ「では行ってきますね。」
エレン「またにゃー!」
ガーグァ「ぐぁぐぁ!」
エレンがガーグァに手を振っています。
おっと忘れてました、エレンの装備は
ウルクネコと呼ばれる防寒用装備です。
お古なんですが、この装備もまた可愛くていいですよ!
次回へ続く
凍土に着きましたよ、なんですかこれ?
すごく寒いです・・・想像以上です。
エレン「雪見るの久しぶりにゃあ。」
サシャ「うぅ、寒いです・・・」
今回、私は太刀を持ってきました。
弓は引けないわけじゃないですが、
とても辛いと思ったので・・・
まだホットドリンクを飲んでないのですが、
この寒さを考えると、たぶん正解です。
指先がとても痛いです。
猫たちは元気そうです。
荷物の準備や片付けのために走り回っていますね。
サシャ「エレン寒くないんですか?」
エレン「ん?平気にゃよ。」
クリスタ「私も平気にゃあ♪」
ジャン「俺も平気。」
本当に平気そうです。
三人ともふわふわですもんね。
結局、準備のほとんどをやって貰っちゃいました。
オトモアイルー様様ですね
ユミルなんて、ここ来てから一言も喋ってないですよ。
あれ?大丈夫ですよね?
サシャ「ユミル!ユミル!寝ちゃ駄目ですよ!!」
ユミル「・・・」
サシャ「コニーの外套の中に入りますか?」
ユミル「・・・それは嫌・・・」
コニーを連れてきたのを見て、なんとか起きてこれました。
無事でよかったですね。
どうやらユミルも大丈夫そうなので、
ジャンの案内で凍土採取ツアー出発です。
あっと、その前にホットドリンクですね。
むぅ、やっぱり辛いけどこれは・・・
サシャ「ふわぁ、身体が熱くなってきましたよ!」
ユミル「すごいね・・・」
コニー「これすげえ!外套、脱げそうだぞ!!」
クリスタ「駄目!・・・それは駄目にゃ!」フリフリ
コニー「・・・」
寒いからですね。
決して見た目があれだからではないです。
クリスタが阻止してくれました。
改めて出発です。
野営地を出ると早速、珍しい動物がいますね。
確か名前はガウシカだったかな?
角も毛皮も肝臓も価値が高かったはず。
ホワイトレバー・・・いつか食べたいものです。
あれ?何もしてないんですけど、
逃げて行っちゃっいましたね・・・
ジャン「・・・お前、食べたいと思ったにゃ?」
サシャ「・・・」
ジャンがおかしなこと言ってますが気にしません。
やや!あちらでは瞬間移動した
エレンが座り込んで何か見てますね。
サシャ「エレン、どうしました?」
エレン「ここに虫がいるにゃよ・・・びっくりにゃ」
こんなに寒いのにいるもんですね。
今回はピッケルを沢山持ってきたので、
虫網も籠も持ってきていないんですよね。
エレン「油断したにゃ!」
とても残念そうです。
あまり遊んでもいられません。
とりあえず奥へと進んだのですが、
広い平原ですね、風を防ぐものがないので更に寒いです。
コニーではまったく防げませんよ・・・
サシャ「うぅ、ライナーかベルトルトが欲しいです。」
ユミル「・・・わかるわ。」
遠くにはバギィと呼ばれるジャギィの亜種が見えます。
寒さに強いのか元気に走り回っているようです。
とても平和な光景ですね。
ユミル「ジャン・・・洞窟までどんくらいだ?」
ジャン「ホットドリンクが切れる前に着くにゃよ!」
しばらく歩き続けると、
眼前に大きな岩山が広がりました。
ここのどこかに洞窟があるそうです。
壁沿いに進むと早々に入り口が見えてきました。
サシャ「わあ、大きな入り口ですね・・・」
クリスタ「本当だにゃ・・・」
ジャン「中もかなり広いにゃよ。」
ジャン「迷子にならにゃいようににゃ!」
次回へ続く
マカライト鉱石、ライトクリスタル、アイシスメタル
綺麗な鉱石を採り放題です。
あまりにも採れるので私とエレンは運び屋をしています!
もう二往復もしていますよ。
流石に少し飽きてきたのかエレンが雪玉を投げてきました。
エレン「うにゃ!」
サシャ「もう、エレンは本当に子供ですね!」
ふふ、私も投げ返してやりましょう。
サシャ「それっ!」
小さな雪玉を作りエレンに投げる。
雪玉は弧を描き、エレンに命中すると
ガキンという硬い音を立てる。・・・ガキン?
エレンは避けずに当たり、こちらを凝視している。
目を見開いて私の後ろを見てますね。
・・・音も後ろからしましたね。
振り向くと大きな兎がいました。
地面に鋭い爪を突き立てています。
立ち上がりました・・・私より随分大きい兎です。
あわわわわわ・・・ウルクススです!!
慌てて閃光玉を投げる。
サシャ「エレン!逃げますよ!!」
エレン「目がー目がーにゃあぁ!」
何故、突然出てきたのでしょうか?
エレンを抱っこして全力で走る。
早くも回復したのか威嚇の声が聞こえる。
後ろを振り向いて様子を見ると、
めちゃくちゃ滑ってきてる!!
なんで目の敵にされてるのでしょうか?
ここは巡回ルートであっても、
縄張りじゃないはずです。
サシャ「あなたと戦う気はないんですよー。」
エレン「やっと前が見えてきたにゃ・・・」
エレン「にゃ!?サシャ、追いつかれるにゃよ!」
洞窟の入り口から騒ぎを聞きつけた
ジャンが走ってくるのが見える。
ジャン「そのまま通り抜けろにゃ!」
すれ違いざまにジャンが爆弾を投げる。
大きな爆発音がして
派手に転倒したウルクススが動きを止め、悶えている。
ジャンも即座に反転して逃げてくる。
洞窟に入り、影から様子を伺うと、
怒ってますね、すごく怒ってますよ。
ジャン「お前たち何をしたんだにゃ?」
サシャ「何もしてませんよ!」
エレン「雪合戦してただけにゃよ!」
いったいなんだと言うんでしょう!
八つ当たりでもされたんでしょうかね?
少し興奮して騒いでいると、
珍しくコニーがエレンをじっと見ています。
コニー「あのさ、エレンが子供に見えたんじゃないのか?」
エレン「んにゃ?」
確かにミニウルクススのように
見えないこともないようなあるような・・・
まさか・・・そんな・・・
ユミル「子供に雪玉を当てる悪い奴・・・」
クリスタ「しかも誘拐してきたにゃ・・・」
エレン「悪い奴だにゃ!」
えぇ!これって私のせいなんでしょうか?
ちょっと理不尽な気がします。
じゃあ解決策はこういうことでしょうか?
サシャ「この抱っこしてるの置いてきましょうか?」
エレン「にゃ!?嫌だにゃあ!」
エレン「置いてかないでにゃ!」
ジャン「討伐対象じゃにゃいしにゃ、遠回りして帰ろうにゃ。」
ユミル「まあ、そうするしかないわな。」
洞窟を抜けていけば野営地の近くへ出れるそうです。
上手く会わずに帰れるといいんですが・・・
もう一つ気になることがあるんです。
あの子、威嚇してるけど
洞窟に寄ってこないんですよね。
次回へ続く
多少の光は入るものの薄暗く不気味な洞窟です。
そして何か不気味な息遣いが聞こえます。
今や全員が気づいています、何かいると・・・
凍土に巣食う生物、ウルクスス、ドスバギィ
そして、ギギネブラ、別名は毒怪竜でしたかね。
暗く寒い環境を好み、洞窟を根城としている
飛竜種の一種ですね。
ジャン「ユミル!解毒薬いくつあるにゃ?」
ユミル「あまりないよ、サシャは?」
サシャ「三個です、あんまり入らなかったんです。」
ジャン「これじゃ駄目だにゃ・・・」
クリスタの解毒笛に頼りたいところですが、
強い音波を受ける笛はよく壊れます。
クリスタ「ドスフロギィのとき使い続けたからにゃあ・・・」
クリスタ「新しいの持ってくればよかったにゃ・・・」
エレン「とりあえず左前方の壁面を見てにゃ・・・」
コニー「うお、どうみても何か張り付いてるな・・・」
エレンが目ざとく発見しました。
確かにヌラっとした何かが壁に張り付いています。
兎に角、静かにここを脱出しましょう。
洞窟を出てウルクススと交戦する方がいいです。
クリスタ「怖いにゃあ・・・」
ユミル「気づくな、気づくなよ・・・」
忍び足で洞窟を抜け出ました。
とりあえずは脱出成功です。
どうやら寝ていたようですね。
で、改めて目の前に仁王立ちしている
ウルクススと戦闘開始です!
ジャン「逃げたら追わなくていいからにゃ!」
エレンとユミルが左右後方へ散開しました。
ウルクススは左右に首を振り威嚇してきます。
ジリジリと間合いを詰めようとした矢先、
ウルクススは大きく手を上げると、
その場で円を描くように滑り、私たちを薙ぎ倒していきました。
しかしエレンの手前で止まりました・・・
やはり子供だと思っているのでしょうか?
エレンが戸惑っています。
とても攻撃しづらそうです。
できる限り追い払いたいですね。
ユミル「そうだ!ちょっと待ってろ!」
立ち上がったユミルが野営地に向けて全力で走っていきます。
逃げる人ではないので何か作戦があるのでしょう。
ジャン「ユミルが戻るまで回避し続けるにゃ!」
ジャン「それだけに集中にゃ!」
しかしアオアシラと体格は似てますが、
動きはとんでもないですね、読みづらいです。
閃光玉を投げたいのですがタイミングが合いません。
回避に集中しているのに、危ないです。
それに段々とクリスタに攻撃が集中しているようですね。
クリスタ「にゃあ・・・」
小熊だと思って追い出そうとしているのですかね?
連続で襲われ始めています、まずいです。
仕方ないので峰の部分で鼻面を叩いてやると、
少しだけ怯みましたが意に介していません。
また、クリスタに向かって滑ろうとしています。
もう疲労しきっています、回避しきれないかもしれません。
ジャン「クリスタ!耳を塞ぐにゃ!」
奴が勢いをつけて滑り出した直後に
ジャンが爆弾を投げ込みました。
どうやら、ずっと狙いを定めていたようですね。
ウルクススはまたもや倒れてしまいました。
頭を抑えて悶えています。
本当に音に弱いんですね。
クリスタ「ジャン!!ありがとにゃあ。」
ジャン「ふぅ、上手くいって良かったにゃ。」
しかしこのままでは直ぐに起き上がってしまいます。
どうしましょう?
次回へ続く
事情も事情なので、
余り傷つけたくはないんですよね。
依頼も怨みもないですから・・・
しかし、追い払おうにも決定打がありません。
とりあえず、目を回してる隙に野営地へ近づきましょう。
コニー「クリスタ!サシャに乗っかれ!」
クリスタ「ごめんにゃあ・・・」
疲労したクリスタを背負って走る。
兎に角、ユミルに手があるようなので合流を急ぎます。
不慣れな雪道を全力で走る・・・
後ろから威嚇の咆哮が聞こえてきました。
早くも気づき、こちらに滑ってきています。
ジャンが振り向きざまに爆弾を投げ込むと
鋭い爪で速度を殺したようです。
どうやら最初の音はこれですね。
ジャン「にゃ!回避されたにゃ!」
サシャ「むぅ、学習してますね・・・」
雪上では向こうのほうが一枚上手のようだ。
エレン「ユミル、まだかにゃ?」
ジャン「これ以上は厳しいにゃ!」
迎撃の覚悟を決めようとした矢先に
ユミルの声が聞こえてきました。
ユミル「誰か、兎の動きを止めろー!」
サシャ「ジャン!!」
ジャン「最後の一個にゃ!」
さっき上手く避けられましたからね。
どうやって当てるのでしょうか・・・
ジャン「エレン!囮になるにゃ!」
ジャン「止まるんだにゃ!」
エレン「にゃ?立ち止まればいいにゃか?」
なるほど、子供の振りですね。
ジャン「目の前に投げ込むにゃ!」
ジャン「爆風に巻き込まれるのを覚悟しろにゃ!」
エレン「んにゃ!?」
既に立ち止まってしまったエレンが理解したようです。
もう逃げるのは間に合いません。
絶望した表情になりました、久しぶりですね。
耳を押さえ、目を瞑るエレン、
滑ってくるウルクスス・・・
サシャ「可愛いけど目は開けてください!」
サシャ「ギリギリで回避ですよ!」
まあ実際はジャンが上手く投げ込んだので、
巻き込まれはしなかったんですけどね。
ウルクススが仰向けに倒れています。
兎に角、なんとかなったようですね。
上手く気絶したところに、ユミルが合流しました。
その手にはナイフが見えますね。
視線に気づいたユミルが教えてくれました。
ユミル「これは睡眠薬が大量に塗ってあるナイフだよ。」
ユミル「二・三本も当てれば深い眠りに落ちる強い奴さ。」
そう言うとユミルはウルクススにナイフを投げました。
一番痛くなく、傷も残らないようにとお尻に向けて・・・
しばらくすると、静かな寝息が聞こえてきました。
これでしばらく起きることはないでしょう。
あとはこの子がバギィたちに襲われても
嫌なのでこやし玉を当てときましょう。
臭いのは我慢してくださいね。
そういえば、鉱石残ってるけど諦めないとですね。
ちょっと勿体無いです・・・では撤収です。
次回へ続く
無事に集落まで辿り着きました。
ポポとガーグァを交換したら少しだけ休憩です。
エレン「ただいまにゃあ!」
ガーグァ「ぐぁ!」
エレン「よしよし、いい子にゃあ。」
あの二匹は何か通じ合っているようです。
仲良きことは美しきかなですね。
それはともかく、なにやら火山が凄いです。
噴火というらしいです、一回爆発するたびに、
大地が激しく揺れていますよ。
エレン「すっごいにゃあ!」
クリスタ「にゃあ・・・また爆発したにゃ・・・」
ここの夫婦の話では、噴火しているときは
火口で何か命を懸けた戦いが
起こっているという伝承があるようです。
クリスタ「・・・何かいるのかにゃ?」
ユミル「火山に住む奴・・・アグナコトルだったかな?」
ウラガンキンとかいうのもいましたね。
コニー「しかし、すげえ音だな・・・」
ジャン「耳が痛くなってきたにゃ。」
ジンオウガの影響で、
大型生物が活発に動いているのでしょうかね。
私たちはこれらの大型生物に対抗するために、
武器や防具をどんどん強化しないといけません。
急いで帰って依頼の確認をしたいですね。
もう何かきてる気がするんです。
サシャ「そろそろ帰りますか?」
ジャン「そうだにゃ・・・」
ジャン「よーし、みんな早く乗るにゃあ。」
ガーグァ荷車に乗ってユクモ村に帰還しましょう。
しかし帰るのにまた二日間、移動時間は暇ですね。
でも行きとは雰囲気が違います。
ユミル「あああぁぁぁ・・・気持ちいいぃ。」
クリスタ「ユミル、そんな声出しちゃ駄目にゃよ。」
サシャ「男の人の前ではしたないですよ!」
ユミルはエレンに足踏みマッサージを受けて、
凄い声を出しています。
とても気持ちよさそうですけどね・・・
ユミル「ジャンもコニーもあっちだからいいじゃないかぁ。」
エレンも男の子なんですけどね。
エレン「もう、いっぱい踏んだにゃ・・・」フミフミ
エレン「俺もあっち行きたいにゃ・・・」フミフミ
ユミル「お前は駄目!」
ユミル「ウルクススに襲われたのは、お前が原因だからな!」
エレン「そんにゃ・・・」フミフミ
ユミル「エレン、助けてくれたのは誰だ?」
エレン「ユミルにゃあ!」フミフミ
ユミル「ユミル?」
エレン「ユミル様にゃあぁ・・・」フミフミ
ユミル「うんうん、じゃあ一生懸命、踏まなきゃな!」
ちょっと理不尽な気がします。
寒さでストレスが溜まっていたのでしょうか?
悪ユミルになってますね。
でも、ここで助け舟を出したら、次は私が絡まれます。
エレン、ごめんなさいね・・・
おや、流石です、クリスタが行きました。
でも、女神の力でも駄目な気がします。
・・・逃げましょう。
クリスタ「エレンばっか働かせちゃ駄目にゃよ!」
サシャ「私、あっちに・・・」
ユミル「ん?全員、私に借りがあるだろ?」
ユミル「あ、大丈夫、クリスタにもサシャにも仕事をあげるよ。」
サシャ「私・・・」
あ、掴まれました、すごい笑顔でこっち見てます。
あまり可愛くはない笑顔です。
既に私たちも含まれているようですね。
どうやら帰り道の暇はなくなりそうです。
とても残念です・・・
次回へ続く
無事にユクモ村に帰ってきました。
採ってきた鉱物をどんどん運んでいきます。
凄い量で大変ですけど頑張りましょう。
クリスタ「よいしょ♪よいしょ♪」
エレン「じいちゃん、こんなに採れたにゃあ。」
加工屋のおじいさんも村に活気が出てきて嬉しそうです。
そういえば、このおじいさんも
村長さんと同じ竜人族みたいですね。
おじいちゃんには早速、私たちの命でもある
装備の強化をお願いしておきましょう。
ユミルの片手剣がアサシンカリンガ、
コニーのライトボウガンがクロスブリッツ、
そして私の弓はフロギィリボルバーⅡになります。
今回はそれぞれの銃身や刀身、
弦などを丈夫な物に代えて強化するそうです。
さらに今回は雑貨屋さんも大喜びです。
コニーが怪しい物を大量に拾ってきました。
名前はマンドラゴラ、
引き抜いた者の命を奪うと伝えられている危険なキノコだそうです。
サシャ「・・・コニー生きてますか?」
コニー「おう!ぴんぴんしてるぜ!」
サシャ「怪しいものを持ってきちゃ駄目ですよ?」
伝承の信憑性なんて、こんなものですよね。
まあ兎に角、すごい調合材料らしいですよ。
一通り片付けも終わったので教官のところに戻りましょう。
私たちの無事の連絡を心待ちにしてるでしょうしね。
・・・そういえば、今回は降りてきませんでしたね?
サシャ「サシャ・ブラウス戻りました!」
キース「うむ、今回も無事に帰ってこれたようだな。」
キース「貴様らの成長、嬉しく思うぞ。」
怪我が酷くなったのかと思ったのですが、
むむ、何時にも増してご機嫌なようです。
これは何かあるのでしょうか・・・
キース「今日は貴様らに紹介するハンターがいる。」
キース「呼んでくる、少し待っていろ。」
以前、言っていた凄腕のハンターのことでしょうか・・・
サシャ「いったいどんな人でしょうね?」コショコショ
エレン「きっとライナーみたいにでっかいにゃよ。」コショコショ
サシャ「だから乙女もいるんですよ!」
キース「静かにしろ、三人とも順番に入ってこい。」
早々に戻ってきました、怒られちゃいましたよ・・・
ともかく教官のほうがハンターより上の立場のようですね。
扉を抜けて、一人目が入ってきました。
まさにハンターといった骨格!
これはごっついですね・・・ってライナー??
エレン「にゃあにゃあ!本物のライナーにゃ!!」
ライナー「みんな久しぶりだな!」
クリスタ「にゃあ!本当にライナーにゃよ♪」
頼れるみんなの兄貴分、ライナー・ブラウンです。
ハンターの正体は彼だったのですか!
エレンとクリスタが駆け寄っていきました。
ライナー「聞いてはいたが、本当に二人とも猫なんだな。」
ライナー「ふふ、それにジャンも猫なのか、可愛いじゃないか!」
ジャン「久しぶりだにゃ、ライナー!」
ライナー「コニー、サシャとユミルも元気そうで良かった。」
キース「さあ、他にもいるぞ!次だ!」
教官、とても嬉しそうですね。
というか二人目ですか、見えてきましたよ。
その巨体が扉から入り・・・づらそうです。
前に屈まないと通れない高さです、
これは間違いなくベルトルト・フーバーですね。
ベルトルト「やあ、みんな。」
ユミル「ふふ、再開の挨拶がそれだけかい?ベルトルさん。」
ベルトルト「ははっ、なんだか照れくさくてね。」
サシャ「ベルトルト、久しぶりですね♪」
ベルトルト「サシャも元気そうでなりによりだよ。」
少し申し訳なさそうな優しい顔、
ベルトルトも本当に変わりませんね。
サシャ「おや?そこに最後の一人が見えてますね。」
キース「うむ、アニ・レオンハートだ!」
同期で一番のクールビューティーです。
しかし、いつも冷静な彼女ですが様子がおかしいです。
こちらに気づいてないのでしょうか?
まだ扉の影から覗いていますね。
ライナーの背中に張り付いてる
エレンとクリスタを見てます、すごく見てます。
・・・アニの目ってこんなに開いてましたっけ?
何か気まずいので声を掛けましょう。
サシャ「アニ・・・・?」
アニ「!?」
エレン「おーアニ~♪久しぶりにゃあ!」
アニ「う、うん・・・ひ、久しぶりだね。」
一瞬、驚いたような顔をしたんですが、
何事もなかったように入ってきました。
あ、目が元の大きさに戻りました・・・
いったい何だったんでしょうか?
キース「以上三名が新しいハンターだ!」
キース「この後は歓迎会を催そうと思う。」
キース「ふふ、仲良くするようにな。」
教官のとても幸せそうな顔を見ていると、
何だか、こそばゆくなりますね。
でも久しぶりの再開です、私も嬉しいですよ。
あと久しぶりのユクモの御飯!
私もすごく興奮してきましたよ♪
・・・ちゃんと再開が一番ですよ。
次回へ続く
歓迎会を開始しまーす♪
早速、たくさんの料理が運ばれてきて大感激です。
ベルトルト「サシャ・・・とても幸せそうだね。」
サシャ「はい!幸せれふよ・・・」モグモグ
ライナー「はは、俺たちの歓迎会と聞いたんだがな。」
あう・・・やらかしてしまいました。
乙女失格ですね・・・モグモグ
キース「これでも少しはしっかりしてきたのだ。」
キース「多めに見てやってくれ・・・」
少し酔ってきた教官に庇われてしまいました。
二人は、そんなわけないだろって顔をしてるし・・・
とても恥ずかしいれふよ・・・モグモグ
サシャ「もう、二人とも私も少しは成長したんですよ!」モグモグ
コニー「おい!それ俺の魚じゃないか!」
キース・ライナー・ベルトルト「・・・」
あちゃー、つい癖が出てしまいました。
とにかく宴はまだまだ続いています。
アニ、今度はエレンとジャンを見ているようです。
ユミル「アニ、無口なのは知ってるよ。」
ユミル「それにしても喋らないじゃないか・・・」
アニ「・・・そ、そんなことないよ。」
アニ「エレンとジャンが仲良くしてるのが珍しくてね。」
慌てて食べ始めました、なんか怪しいですね。
アイルーが珍しいのか、エレンかジャンを見ているのか・・・
サシャ「まあ・・・アイルーって珍しいですもんふぇ」モグモグ
クリスタ「サシャ!お行儀悪いにゃよ!」
ベルトルト「兎に角、みんな元気そうで本当に安心したよ。」
ユミル「そういや、ベルトルさんたちは最近きたのか?」
ベルトルト「僕たちはちょうど一週間前かな・・・」
やはり彼らも雷光を見たそうです。
そして食堂の入り口にいたはずなのに、
気がつくと村の階段の下に三人でいたそうですね。
コニー「そういや、俺も雷が当たったよ。」
サシャ「当たっちゃったんですか?」
ユミル「それでハゲたんだな!だはは」
キース「・・・」
ユミルも酔ってますね、危険な冗談です。
しかし、みんな雷ですね・・・雷と言えばジンオウガ・・・
まあ、よくわからないので食べるのに集中しましょう。
こういうことを考えるのはアルミンの担当ですからね。
どっかから降ってくることを祈りましょう。
宴は進み、御飯もなくなってしまいました。
教官も酔いつぶれたのでそろそろ終了ですかね。
む!アニが今度はクリスタを見てます。
また目が開きましたよ!
これはもしかして・・・
サシャ「アニ、アニ!猫が好きなんですか?」
アニ「え!?」
アニ「・・・・・・・・うん。」
サシャ「もしかして抱っこしたいんですか?」
アニ「・・・・・・うん!」
アニ、顔が真っ赤になってます!
すごく可愛いですよ!
ライナー「それで落ち着きがなかったのか・・・」
ベルトルト「見たことない顔してるよ・・・」
ユミル「アニちゃんも可愛いところがあるねえ!」
ユミル「ただしクリスタは私の猫!!ぶはは」
ユミルは酔っ払って真っ赤ですね。
可愛い感じがしないこともないです。
まあ、しょうがないので代打です。
サシャ「エレン、ジャン!来て下さい。」
ジャン「にゃんだ?」
サシャ「アニに抱っこされてくださいな♪」
エレン・ジャン「嫌だにゃ!」
よく見えなかったんですけど、足払ったみたいです。
二匹とも綺麗に引っくり返ってますね。
今度はクリスタを凝視しています。
うわ、すごい近いですね・・・
顔と顔がくっつきそうですよ。
クリスタ「にゃう・・・あの私のこと抱っこするにゃ?」
アニ「・・・うん♪」
ユミル「っち、しょうがないねえ・・・」
完全に酔ったユミルから許可も出ました。
とても満足そうです、良かったねアニ♪
次回へ続く
依頼は入ってませんでしたか・・・
勘が外れましたね。
まあ、いい予感は当たることが少ないんです。
でも嬉しい再開があったので良しとしましょう。
とりあえず、今日は仕事がないので
ライナーたちと連携の訓練です。
まずは彼らの新しい武器を拝見しましょう。
ライナーの武器はハンマーです。
屈強な肉体と運動能力で攻撃を往なし、
超重量のハンマーを軽々と振り回す姿は
惚れ惚れとしてしまいますね。
クリスタ「あんな重そうなのにすごいにゃあ♪」
エレン「ライナー格好いいにゃあ!」
二人はライナーに夢中ですね。
次はベルトルト、彼の武器はかなり特殊です。
その名もガンランス!
大きな盾を用いた、その防御性能は大抵の攻撃を跳ね返します。
何よりも、特筆すべきなのは一撃必殺の竜撃砲ですね。
見せてもらったのですが、とんでもない破壊力でした。
目標物の『訓練用ジャギィくん人形7号』が消し飛びましたよ。
しかし、この武器は使う場所をとても選びます。
冷静で頭も良く運動能力も高いと三拍子揃った
ベルトルトでないと扱うのは厳しそうですね。
ユミル「盾を使った往なし、大したもんだね・・・」
ジャン「ああ、本当にすごいにゃ・・・」
ジャン(やべえ、ガンランス超格好いいにゃああ)
ジャン(猫用ガンランス作れないか聞いてみようかにゃ・・・)
なんかジャンが変な顔してますね・・・
最後にアニです、彼女は太刀を使うそうです。
彼女は元々、体術に長けているせいなのか、
太刀を扱う技術もすぐに習得したようです。
切っ先がまるで生き物のように動いてますね。
サシャ「私とぜんぜん違いますね!」
コニー「怖えぇ・・・」
コニー「なんか刀の動きが蛇みたいに見える。」
この様子に教官も満足そうです。
キース「三人とも流石だ!」
キース「そして先に謝っておこう!ブラウンよ、すまない。」
唐突ですね・・・なんでしょう?
ライナー「!?」
ライナー「え、あの・・・どういうことでしょうか?」
後ろでコテツくんが防具を大量に運び込んでいますね。
理由は、ここにあると見ましたよ!
早速、三人に配られるようです。
アニに用意されたものはユクモノですね、
一着だけ作れたようです。
彼女は小さいので素材が少なくても、何とか足りたようですね。
武器は鉄刀[神楽]です。
ベルトルトはアロイです、ユミルとお揃いですね。
今回の凍土採掘で鉱石素材は結構あったので良かったです。
武器は討伐隊正式銃槍です。
火山にあるという特殊な鉱石を集めて、
さらに強化できるそうですよ。
そして、ぶふっ・・・ライナーです。
変態骨装備です、コニーと一緒ですね。ぷぷ
飲んでる水を吐き出しちゃいそうでした。
ライナー「サシャ、何を喜んでいるんだ?」
サシャ「なんでもないです・・・はい。」
武器はブルヘッドハンマー、
骨の固まりに猪の皮を被せたやつです。
兎に角、骨素材だけは沢山ありましたからね。
キース「ベルトルトは守りの要になる。」
キース「鉱石で作られた丈夫なアロイは外せんからな。」
・・・正論ですね。
教官には一切の他意がないように感じます。
ライナー「その通りであります。」
ライナー「骨でも大丈夫です!重要なのは中身であります!」
ライナー「なあ、みんな?」
すごく良い笑顔で振り返りました。
また水を含んだばかりなのに・・・
あ、駄目でした・・・
吹き出した水をコニーにかけちゃいましたよ。
エレン「え、うん、ライナーなら似合うと思うにゃ・・・」
クリスタ「私もライナーなら、きっと似合うかにゃーって・・・」
彼も挙動不審な二人の様子に気づいたようです。
ライナー「な、なんだ!?これは骨を使った装備ってだけだろ?」
ライナー「二人とも何故、目を合わせてくれないんだ?」
一人の濡れそぼった少年がライナーに近寄ってきました。
彼はあんなに優しそうな目ができるんですね。
一緒にいる時間は長かったんですが初めて見ました。
コニー「ライナー・・・一回、着てみるんだろ?」
コニー「俺、着替えるの手伝うよ!」
ライナー「え?あぁ、え?ありがとう・・・」
ユミルはもう駄目かもしれません。
笑い声が聞こえないのに笑い続けています。
次回へ続く
今、私たちは渓流に来ています。
結局、あの後に二つ依頼が入りました。
一つはドスジャギィが渓流に帰ってきたそうです。
奥の方に居てくれれば良かったのですが、
獲物を求め、野営地の近辺にまで出てきたようです。
どうやら奥地での獲物の取り合いも
だいぶ酷くなってきてるのかもしれませんね。
ここへは私とエレン、ライナーとアニで来ています。
今回は平行して採取も行います。
ちなみにユミルたちはドスフロギィにラングロトラ、
なんと二体同時討伐のため火山へ向かいました。
珍しい鉱石もいっぱいらしいので結果が楽しみですね。
さて、ライナーがしゃがみこんで採取しているのが見えます。
猪の頭(ハンマー)が彼の動きに合わせてゆらゆらと揺れています。
その後姿には哀愁が漂っていますね。
ライナー「ほう、これが薬草か・・・」
横でエレンも一緒に採っているのですが、
ちらちらと様子を伺っております。
会話に困っているようです・・・
変態的として知られるボーンシリーズ・・・
正直、コニーの姿は可愛げがありました。
骨格、筋力共に最高レベルのライナーが装着すると
肌が見える部分が大幅に増え、
この防具をとても危険な物へと変貌させました。
本来、今回の装備の話題になるべきは、
アニの大きな胸の話だと思っていました。
しかし、彼の装備はそれを全て消し去る破壊力がありました。
もう、困りましたね・・・
仕方がないので元気になる魔法の言葉を伝えましょう。
サシャ「ライナー、今日の討伐対象を知ってますか?」
ライナー「サシャか・・・あぁ、確かドスジャギィだったかな?」
どこか上の空と言った感じですね。
目の焦点があっていません。
こんなライナー初めて見ました。
サシャ「よく聞いてくださいね?」
サシャ「それ倒したら全ての素材を使っていいですよ!」
ライナー「な!?じゃあ、これは着なくてもいいのか?」
サシャ「はい、新しいやつです。だから、頑張りましょうね?」
ライナー「あぁ、勿論だ。頑張ろう!」
元気な返事が返ってきました。
エレンもほっとしたようです。
エレン「ライナー良かったにゃ!」
なんとか彼の目には光が戻ったようですね。
本当に良かったです。
おや、アニが心配顔ですね?
アニ「水差すようで悪いけど、そんな約束していいのかい?」
サシャ「ん~、それは大丈夫です、元々その予定でしたから。」
サシャ「ただ、逃げられたら困りますね。」
アニ「そう、じゃあ頑張らないとね。」
少し面倒くさがりな所もありますが、
やっぱり彼女は優しいですね。
ところで話は変わりますが、縄張りで採取してれば、
勝手に襲ってくると思っていたのですが、
ドスジャギィの奴、まったく来る様子がありませんね。
どうやら探しに行かないと駄目そうです。
サシャ「ライナー、エレン!川下から上流へ向かいますよ。」
エレン「了解にゃ!」
ライナー「ふふふ、ドスジャギィよ、早く出ろ!」
アニ(やっぱり変な格好・・・ふふ)
どんどん進み、集落跡を抜けて川下に辿り着いたのですが、
おかしいですね、ガーグァもいませんよ・・・
エレン「これっておかしいよにゃ?」
アニ「生き物が一匹もいなかったよ・・・」
これは嫌な予感どころじゃないですね。
一匹もいないなんて異常です。
アニ「こんなことありえるの?」
私的見解を言わせてもらえば、
ドスジャギィが比較にならないほど強い生物が
ここ渓流に来てるのではないでしょうか?
ライナー「例えば何だ?」
サシャ「例えば飛竜とか、ですかね・・・」
次回へ続く
兎に角、現在の状況を
把握しに行かなければなりません。
サシャ「一つ言っておきますね。」
サシャ「もし見つけても交戦はしません、存在の確認のみです。」
無論いないほうがいいのですが、
発見した場合はギルドに報告して
その後に依頼としてくるのを待つという流れになるでしょう。
サシャ「では、行きますよ!」
エレン「にゃあ!」
ライナー「・・・了解だ。」
上流へ向かって進む。
やはり渓流のせせらぎだけが響いてくる。
アニ「居場所の検討は付いてるのかい?」
サシャ「ええ、以前エレンがうんちが踏んだところです。」
アニ「・・・」
アニが冷たい目線をエレンに送っています。
エレンが少し、しょんぼりして耳が垂れるのが見えた。
滝に到着したら慰めてあげましょうかね。
サシャ「もうすぐ到着です。」
ライナー「ほう、絶景だな・・・」
彼が口を開いたその瞬間、
大地を揺さぶるような咆哮が聞こえた。
周りの木々がざわめき、
激しく空気が震えているのが伝わってくる。
ドスジャギィではない、何かもっと巨大な生物のものだ。
ライナー「今のは・・・いったい・・・」
サシャ「・・・その滝の裏から入れます。」
ここの大洞窟は滝の裏の小さな洞窟を抜けると一気に空間が広がる。
私たちはその洞窟の岩壁の影から、そっと内側を覗き見た。
初めて見ました。緑の甲殻に身を包んだ雌火竜。
陸の女王、リオレイアです。
ドスジャギィたちへ向けて
激しく何度も威嚇の咆哮をあげています。
やはり、ジンオウガの影響で
生存競争に敗れて渓流へきた固体なのだろうか。
それにしては、かなりの巨躯である。
アニ「何あれ?あんなのと戦うの?」
サシャ「いずれは・・・」
彼女の顔が青ざめるのが見えた。
声を掛けてあげたいところですが、
今後のためにも私は観察を続けなければなりません。
よく見ると、このレイアは右側面が怪我だらけだ。
右目に至っては完全に塞がっているようですね。
刀傷のように見えます。
その傷のせいなのか、
噛み付こうとするが距離感が合わない。
随分と苦戦しているようです。
業を煮やしたリオレイアは、
その長大な尾でドスジャギィを
近辺の岩ごと薙ぎ払った。
エレン「にゃ、吹き飛んだにゃ!」
サシャ「一撃ですね・・・」
確か尻尾の先には複数の毒針があったはず、
中途半端な距離で掠めるのも危険そうです。
しかし、この一撃で散り散りになると
思われたジャギィたちですが、王を守るためなのか
倒れたドスジャギィの壁になるように集まる。
なかなか根性がありますね。
しかし、それを見た怒れるリオレイアは
終止符を打たんと大きく息を吸い込む。
次の瞬間、灼熱の火球が吐き出され、
ジャギィたちの真ん中に着弾し、轟音と共に爆散した。
アニ「すごい・・・」
ライナー「とんでもない奴だな・・・」
勝利の咆哮をあげる彼女の足元には
死屍累々とした有様だけが残っていた。
すさまじい光景を見た私たちは
ひとまず洞窟の外に出た。
思わず深い溜息が出る・・・
そして私はライナーに
大切なことを伝えなければならないのを思い出した。
サシャ「ライナー、冷静に聞いてくださいね。」
ライナー「ああ、少し落ち着いてきた・・・それでどうした?」
サシャ「先ほど、ライナーの新しい防具は燃え尽きました。」
この静かな渓流にライナーの慟哭も響き渡った。
次回へ続く
渓流から撤退した
私たちは教官へ報告へ行きました。
キース「隻眼のリオレイア・・・」
サシャ「はい、右側面が怪我だらけでした。」
キース「そうか、戻ってきたか・・・」
教官の目つきが鋭くなりました。
ちょっと怖いです・・・
キース「ギルドへは私が連絡を入れる。」
キース「いずれ依頼が来るだろう、覚悟しておけ!」
サシャ「はっ!」
こちらへ来てから
優しい教官しか見てないので、
殺気立った姿にびっくりしてしました。
ライナー「何か知っている様子だったな。」
アニ「因縁がある相手みたいに感じたよ。」
教官の様子も気になりますが、
私たちの今後の予定も考えねばなりません。
火山へ狩猟に行ったユミルたちは
およそ二週間後に帰ってきます。
それまで遊んでいるというわけにはいきません。
燃え尽きたライナーの防具の件もあるので、
それまでにどこかに採取に行きたいものですね。
サシャ「どうしましょうかね?」
ライナー「やはり俺は・・・早く防具が欲しいな。」
エレン「二人の実戦の場も欲しいにゃね。」
アニ「確かに、あんな巨大な生物といきなりじゃね。」
こればかりは私たちが、
どうにかできることではないですからね。
サシャ「何か大物の依頼・・・くるといいですねえ。」
サシャ「まあ今日は温泉に入って、のんびりしましょう。」
お昼から温泉なんて優雅ですね。
男性陣は早くも入っているようです。
ライナーが背中を洗ってもらってるようで、
二人の楽しそうな話し声が聞こえます。
アニ「ねえ、サシャ・・・本当に混浴するの?」
サシャ「ん?アニは三人で入らなかったんですか?」
アニ「だって、こんな格好で一緒なんて・・・」
アニは恥じらいのある乙女さんですね。
・・・私もですよ?
サシャ「公共の場ですからライナーも弁えてますよ。」
サシャ「いやらしい目をしてたら私が追い払いますから!」
アニ「それはそれで嫌だけど・・・」
アニ「普通に見られても恥ずかしいから・・・」
サシャ「大丈夫ですよ、さあ入りましょう♪」
面倒くさいので、無理やり更衣室から押し出す。
湯船に浸かっているエレンが手を振っています。
私たちも身体をお湯で流して入りましょう。
ライナー「先に入らせてもらってるぞ。」
ライナーがこっちを見て少し微笑みました。
大丈夫、いやらしくはないですね。
サシャ「ほら大丈夫ですよ。」
アニ「そうじゃなくて、この格好が恥ずかしいの。」
エレンとライナーが不審がっています。
まあ特に問題もなさそうなので隣を失礼しましょう。
ライナー「二人ともどうかしたのか?」
サシャ「ライナーがいやらしい目をするかどうか話してたんです。」
ライナー「はっはっは、俺くらいになると感情は表に出さんよ。」
アニ「もう!私はこの格好が恥ずかしいだけで・・・え!?」
つまり今、爽やかに笑った彼の心の奥底は
いやらしい気持ちでいっぱい・・・ということですか。
エレン「ライナーが流されていくにゃよ・・・」
ライナー(冗談だったのに・・・)
二段重ねのたんこぶができたライナーが
湯に落ちた草花と一緒に
排出口にゆっくりと流されていく。
あまり風流とはいえませんね。
サシャ「信じてたのに・・・もう!」
アニ「はぁ・・・まあ冗談半分だったんだろうけどね。ふふ」
サシャ「あれれ?そうだったんですか?」
アニ「でも、自業自得だよ。」
まあこれは比較的、理由のある暴力でしたね。
次回へ続く
ライナー・・・流石にもう許してあげたので
明日から、どうするのかを決めましょう。
何か適当な理由をつけて
どこかに採取に行きますかね・・・
おや、教官がいらっしゃいましたね。
これは運良く来ましたかね?
キース「依頼が入ったぞ、砂原だ!」
サシャ「砂原ですか・・・」
キース「こちらにもドスジャギィが確認されたらしい。」
キース「ブラウス、依頼書を確認して準備に取り掛かれ!」
サシャ「はっ、了解しました!」
どうやら渓流の大将に成り損ねた、
小型のドスジャギィが集まってしまったらしい。
このままでは砂原の生態系を壊しかねないので
討伐することになったようですね。
しかし確認した数、三匹もですか・・・
ライナー「都合がいいじゃないか!」
防具素材が燃え尽きてしまったライナーは
実にやる気満々ですね。
エレン「砂原かぁ、楽しみだにゃあ。」
エレン「一度、行ってみたかったにゃあ。」
アニ「ふーん、それで砂原ってのは遠いの?」
渓流の端まで一日、砂上船でロックラックまで二日、
ロックラックから砂原まで二日ですかね。
往復で二週間といったところですかね・・・
ユミルたちが帰ってくるのもそれくらいでしょう。
時間的にも実に都合がいいですね。
サシャ「砂原の勉強は移動中にしましょうね。」
エレン「了解だにゃ!」
ジャンもユミルもいないので
私が頑張らないといけません。
では早速、準備に取り掛かりましょう。
閃光玉に回復薬、肉焼き器も持って行きましょう。
さらに日光を遮るための外套も用意します。
そして、いざと言うときには
最も重要になるクーラードリンクですね。
砂原はその名の通りの砂の平原が一部に広がっています。
その空間は日中、非常に激しい日差しが降り注ぎます。
ドリンクを飲まないと数分で倒れてしまうそうです。
まあ、今回は逃げ込まれなければ必要ないでしょう。
次々と背嚢に道具を入れていると
不安そうな顔をしているライナーがやってきました。
ライナー「すまない、聞いてくれないか?」
サシャ「なんですか?」
ライナー「そのだな、外套を着ると少し変な格好になるんだが・・・」
気持ちはわかります、すごい見た目ですからね。
コニーも悩んでいました。
でも、予備の防具がないんですよ。
サシャ「前を開けなければ平気ですよ・・・」
サシャ「・・・嘘です、ごめんなさい、我慢してください。」
ライナー「!?・・・そうだよな、我慢するよ。」
意気消沈したライナーの向こうでは
鼻歌交じりでご機嫌なエレンが見えます。
アイルー用の背嚢に
折れてもいいように大量の虫網が刺さってますね。
ライナーに我慢を強いるので、
エレンにも我慢してもらいましょう。
サシャ「エレン!虫網と虫篭はいりませんよ!!」
エレン「にゃ!?にゃんで?」
サシャ「一個でも多く閃光玉を入れてくださいね!」
エレン「世知辛い世の中だにゃ・・・」
ちょっと厳しすぎでしょうか・・・
アニは着々と準備していますね。
どうやら大丈夫そうです。
しかし、ちょっと背嚢が
膨らみすぎているように感じます。
どうやら確認する必要がありそうです。
サシャ「アニ、見てあげますね!」
アニ「あっ、うん・・・うん・・・」
背嚢の中にはクルペッコ人形に
アイルーとメラルー人形が入ってました。
お土産屋さんにあったやつですね。
アニ、こういうの好きだったんですね・・・
そんな哀しそうな目で私を見ないでください。
エレンにも言った以上、
贔屓するわけにはいかないのです。
サシャ「エレンも我慢しました・・・一個にしましょう。」
アニ「・・・はい。」
あれから随分たつのに、
アニはまだ悩んでいるようです。
でもまあ、みんな準備は大丈夫そうですね。
明日の朝一番にはユクモ村を出発し、
明後日には砂上船に乗ります。
有名な大砂漠に行くのも
砂上船に乗るのも初めてなので楽しみです。
では、おやすみなさい。
次回へ続く
昨晩は寝つきが悪かったようです。
半分くらいは寝ていたと思うのですが、
気だるい目をした女の子が
アイルーとメラルーはセットじゃないとどうとか・・・
熱く語っている夢を見た気がします。
今はもうガーグァ荷車の上なのですが、
アニの背嚢の隙間から二匹がこっちを見てるので、
どうやら夢ではなかったようです。
視線に気づいたアニが慌てて背嚢に押し込んでます。
冷静沈着なアニは行方不明のようです。
サシャ「アニ、あのですね。」
アニ「あんたさぁ、寝ぼけてたんだよ!」
なんて強引な言い分けでしょうか・・・
サシャ「・・・アニ!」
アニ「ごめんなさい、クルペッコ人形は置いてきたから・・・ね?」
アニ「許して・・・」
これ以上は不毛なようです。
アニは意外に頑固な乙女ですね!
今度はこっちですね。
下手な口笛を吹きながら、
こっちを見ている挙動不審な猫です。
サシャ「ライナー!なんで虫網持ってるんですか?」
ライナー「ん?ああ、エレンが、」
エレン「ごめんにゃさい・・・」
もう、仕方ないですね。
それほど大きい荷物ではないですしね。
私、甘いのでしょうか・・・
サシャ「はぁ、ジャンやユミルのすごさが分かりますよ。」
ライナー「ははは、あの二人なら虫網は没収だろうな。」
ライナー「確かにあいつらは指揮官に向いてる。」
二人とも冷静だし、自他共に厳しいですしね。
私も命に関わることならなんとかしますが、
これくらいのことだと見逃してしまいます。
ライナー「あまり気にするな。」
ライナー「俺たちには俺たちのやり方があるさ。」
夕日を浴びて佇むライナーは
半裸で変な装備をしているけど、
優しい上に頼りになるし、とても格好いいですね。
そんな彼を見ていると突然、熱い熱風が顔を叩きました。
ライナー「ほら、砂漠が見えてきたぞ!」
サシャ「わぁ、すっごーい!」
少し残っていた緑が一気に消え、
眼前には、あっという間に砂の海が広がりました。
これがロックラックの町を中心に広がる大砂漠です。
ようやく、大砂漠の砂上船乗り場に到着しました。
ジンオウガの件もあり、残念ながら人は疎らですね。
アニ「本当に砂の海だね・・・すごい。」
エレン「うにゃあ、すっごいにゃあぁ!うにゃあ!」
ライナー「向こうの果てまで砂だ・・・」
ここ大砂漠は昔は海の底だったらしいです。
本当に凄い光景が広がっています。
ライナーに肩車をしてもらってるエレンもご機嫌ですね。
今夜は、この乗り場の宿に泊まります。
砂上船には荷車ごと乗せるので、
準備は殆んどありません、楽ちんですね。
ライナー「エレン!ガーグァの交換を手伝ってくれ!」
エレン「また、お別れだにゃ・・・」
ガーグァ「ぐぁ・・・」
そうそう、ガーグァはここで交代です。
ここからは暑さに強いアプトノスの出番です。
準備を終え、部屋に入るとアニの枕元に
既に例の二匹がいました、本当に好きなんですね。
・・・少し潰れたクルペッコもいました。
アニ「ごめんね・・・サシャ・・・」
サシャ「向こうの世界には、こんなに可愛い人形なかったですからね。」
自由な世界というのは押し殺していた
感情などを開放する力があるのかもしれません。
エレンもそんな感じですしね。
私は今のアニのほうが可愛くて好きです。
それに持っていく荷物は全部入れてあるし・・・
だから、許しちゃいます。
次回へ続く
砂上船、思ったよりもとても速いですね。
しかし、帆に受ける風や砂の流れの影響で
真っ直ぐにうまく進めるとは限らないようです。
サシャ「エレン!落ちないように気をつけてくださいね!」
エレン「わかってるにゃ!」
結構、激しく左右に揺れています。
命綱があるとはいえ、
舳先に立っているエレンが心配です。
狭くて近寄ることができないので、
ライナーも心配そうに見ています。
ライナー「この砂の上に落ちたらどうなるんだ?」
船長猫「浮輪がないと沈みますにゃ!」
船長猫「ライナーさん重そうだから、あっという間ですにゃ!」
ライナー「・・・そうか。」
船長猫「まあ、命綱があれば平気ですにゃ。」
そうそう、人の船長さんもいるらしいですが、
うちの船長さんは自称凄腕のアイルーです。
髑髏模様の帽子を被っています。
船は砂を掻き分け進んでいます。
もう、そろそろお昼の時間でしょうかね。
おにぎりを沢山、用意していたので早速・・・
おや?アニの様子がおかしいです。
なんだか気分が悪そうですね。
サシャ「アニ、どうしました?」
アニ「なんか足元が流れるような感じがして気持ち悪い・・・」
どうやらアニの高精度な感覚が
船の下の動きまで感じてしまっているようですね。
サシャ「部屋に入って壁に背中をくっつけて座っててください。」
サシャ「少し楽になると思いますよ。」
アニ「うん・・・そうする。」
アニなら慣れれば平気そうだと思うのですが心配ですね。
確かに前に進んでいるのか
下がっているのか分からなくなりそうです。
とても不思議な感覚ですね。
不思議と言えば、遠くにデルクスが泳いでいるのが見える。
一応は魚竜種らしいですが、
足もヒレになっており竜の原型はないそうですね。
いつの間にかエレンが横にいて、
こちらを見ている。
エレン「デルクスだにゃ。」
サシャ「ん?キモがおいしいらしいですよ。」
エレン「サシャは相変わらずだにゃ。」
サシャ「ふふふ、美味しいものには目がないですからね。」
しかし、なんかおかしいんですよね。
デルクスの数が尋常じゃないような・・・
エレンも何かに感づいているようです。
一瞬、砂が盛り上がった気がします。
まるで何か大きなものが砂の中を通ったような感じです。
サシャ(気のせいかな?)
突然、風が逆巻く・・・砂嵐がくるようだ。
船長猫「みなさんは室内に入っててくださいにゃ。」
エレン「・・・大丈夫にゃか?」
ゴーグルをつけた船長は少し不安そうに見える。
はっきりとは言いませんでしたね。
でも、部屋に入っても命綱を指定の場所にしっかり結べということです。
まあ、これが答えでしょう。
しかし、少し高いお金を払って
幌付きより上の部屋付きにして正解でしたね。
揺れに強い大きめの船だし、
木製の建物で覆われた空間は外の嵐を軽減してくれます。
アニ「風の音がすごいね・・・」
エレン「船長、大丈夫かにゃあ。」
ライナー「荷車、もっとしっかりと固定しておくか。」
木製の船が軋みを上げています。
みんな、とても不安そうです。
そんな気持ちを余所に砂嵐はあっという間に過ぎ去りました。
掠めただけのようで、とても運が良かったようだ。
砂塗れの船長さんご苦労様でした。
船長猫「峯山龍が近くへ来てるかもしれないにゃ。」
サシャ「ん~ジエン・モーランでしたっけ?」
船長猫「みなさん峯山龍狩りに参加できるかもにゃ。」
ここ砂の国ロックラックの風物詩、峯山龍狩り
なんでも町を挙げての祭りらしいです。
しかし、さっきの砂嵐も関係あるかもしれないとは・・・
天候にまで影響を与えるなんてすごいですね。
次回へ続く
砂の町、ロックラックに到着しました。
ここは、とても大きなところなんですね。
立派な建物に、色々な人々、
個の気配が雑踏に紛れていく・・・
私はちょっと苦手な町です。
サシャ「うぅ、落ち着きません・・・」
エレン「俺もにゃよ・・・」
アニ「私もユクモ村のほうが好き・・・」
みんな、ここが苦手なようです。
早くユクモ村に帰りたいですね。
ライナー「気持ちは分かる。」
ライナー「だが背中に隠れるのは止めないか?」
ライナー「落ち着かん・・・」
彼のそんな気持ちを余所に
私たちは少しだけ安堵できました。
エレン「ライナーの背中、落ち着くにゃ。」
サシャ「日陰もできて涼しいです。」
アニ「・・・落ち着くね。」
ライナー「わかったわかった。」
ライナー「すぐに乗船手続きをしてきてやる。」
ライナー「ここは早々に出よう、荷物は任せたぞ。」
エレン「背中に乗ってていいにゃ?一緒に行くにゃよ。」
人の熱気に当てられて疲れてしまいました。
私たちはここで座って待たせてもらいましょう。
サシャ「お祭りが近いから、こんなにいっぱいなんですかね?」
アニ「わかんない、私たちに関係ないしどうでもいい。」
ここの雰囲気に船酔いでアニのご機嫌は斜めですね。
どこかに人形売ってませんかね・・・
あれから、一時間ほど立ったでしょうか?
そろそろ二人とも戻ってきませんかね。
暇つぶしに道行く人を見やる。
よく見ると骨装備を着てる人って結構多いですね。
変態を隠すなら変態です。
ライナーもここでは目立ちません。
あ!帰ってきましたね、間違ってました。
やっぱり大きくて、ごついせいか、
ライナーはとても目立ちますね。
さて、思っていたより混んでいたそうですが、
乗船の手続きは終わったようです。
サシャ「ライナー、ありがとうございます。」
ライナー「お安い御用だ。」
エレン「御用にゃ。」
サシャ「ん、エレンは何かしたんですか?」
エレン「判子押したにゃよ。」
アニ「あんた子供みたいだね・・・」
自分は子供じゃないと
憤慨してる子供猫を荷車の後ろに乗せて
砂上船乗り場に向かいましょう。
乗り場を近くにいたガイドさんに聞く。
この子もアイルーです、よく見ると沢山いますね。
さてさて、砂原行きは町の裏手のようです。
アプトノスに引かれた荷車は
人混みを掻き分けるようにゆっくりと進む。
サシャ「この町は活気はあるんですけどねえ。」
アニ「緑ないし、嫌い・・・」
ライナー「アニ、あまりはっきりと言うな。」
アニ「・・・ごめん。」
まあ、ここを好きな人もいるでしょうからね。
おや、乗り場に着いたのですが、
待ってるのは来るときにお世話になった船長さんですね。
ライナー「中で会ってな、またお願いした。」
サシャ「そうだったんですか、よろしくお願いしますね。」
船長猫「あんた達、金払いがいいから安心にゃよ。」
船長猫「またよろしくにゃ。」
この船は向こうから一緒だからなのか、
とても落ち着きますね。
それでは砂原へ向けて出発です。
次回へ続く
聞いてはいたのですが、
砂原とは本当に砂漠が広がってるだけの
地域ではないんですね。
アニ「あんなに砂だらけだったのに・・・」
ライナー「ここはオアシスというやつなのか?」
さらに遠くには大きな湖まで見えますね。
大砂漠を渡って野営地に到着した私たちは
この突然の景色の変化に驚いてしまいました。
サシャ「でも向こうから吹く風はすごく熱いですね。」
エレン「ほんとだにゃ。」
ここは砂漠に挟まれた不思議な場所ですね。
地図を広げて洞窟の入り口を確認する。
この洞窟のある岩山の向こうに歩ける砂漠が広がっているらしい。
熱風のくる方向とも確かに合っているようだ。
サシャ「ん~、すごく暑そうですね。」
アニ「今回は砂漠に用事はないんだよね?」
サシャ「砂漠に逃げこまれなければ・・・ですね。」
ライナー「ふぅ、準備をしないわけにはいかないか・・・」
今回の目的は砂原に住み着いてしまった
ドスジャギィ三匹の討伐です。
改めて、作戦の確認をしましょう。
アニ「水源がある洞窟で待ち伏せするの?」
サシャ「上手く隠れる場所があればいいんですけどね・・・」
おや?景色を見てるだけでは飽きてきたのか
エレンが寄ってきました。
エレン「作戦決まったにゃ?」
サシャ「エレンも考えていいですよ?」
エレン「・・・」
ふふ、微笑みかけた私から目を逸らし、
耳を畳んで聞こえないふりですね。
でも、そんな隙を見せるとアニに襲われますよ。
アニ「・・・」
エレン「・・・」
ライナー「いてっ!」
間一髪、ライナーの頭から
野営地の天幕の上に逃げてしまいました。
アニ「何もしないから降りといでよ!」
サシャ「エレン、危ないですよ!」
エレン「・・・聞こえにゃい。」プイ
また、聞こえない振りですね。
本当に子供っぽくなったものです。
そうそう肝心なことを忘れてました。
サシャ「一匹目は二人だけで討伐してもらいますよ。」
それを聞いたアニが天幕によじ登ろうとしたまま
不安顔になってしまいました。
サシャ「レイアみたいに大きくはないですから、大丈夫。」
アニ「そうかな・・・」
ライナー「何より俺たちの訓練だからな!」
レイアの姿を思い出し不安になっているアニに魔法の言葉を伝える。
いざとなったらライナーに防具が逃げるよって言って鼓舞するのです!
アニが少し笑っています。
少し緊張もほぐれたようです。
サシャ「二匹目は皆で頑張りましょう。」
サシャ「援護を加えて連携の練習ですね。」
アニ「ん、了解。」
三匹目は後から考えましょう。
とはいっても、事故は起こるものです。
まあ、同時に来た場合などは全力で戦いましょうね。
では早速、水場に向かいましょう。
荒地を南に行けば入り口が見えるはずです。
サシャ「エレン、終わりましたよ♪」
エレン「にゃ、頑張ろうにゃあ!」
サシャ「もう、都合がいい耳ですね。」
呆れた猫ちゃんです。
アニ「ふふふ」
エレン「アニ、よく笑うようになったにゃ!」
ライナー「うむ、いいことだな。」
サシャ「笑ったほうが可愛いですもんね。」
真っ赤になったアニがライナーに突撃していきました。
アニ「・・・」
ライナー「おいおい、照れ隠しに蹴らんでくれ!」
アニ「ライナー・・・あんた、ごつくなった?」
アニが蹴っ飛ばしてるんですが、効き目は薄いようです。
彼女はとても不思議といった顔をしています。
そういえば、なんだかライナーの身体がとても大きく、
ついでに引き締まっているようです。
全員に感じるのですが、元の世界では皆、
影が差していたかのような雰囲気だったはずです。
しかし今は明るくなり、
色々な力に満ち溢れてるように見えます。
まあ、何せ食事も良いし自由で楽しい。
元気が出る要素は沢山ありますからね。
おっと、雑談ばかりではいけませんね。
兎に角、水場へ向けて出発です。
エレン「ライナー!ちょっと待ってにゃ!」
ライナー「ん?」
エレンも立ち止まったライナーの背中から
虫網と籠を取り、やる気満々ですね。
でも、本当に少しだけですからね!
困った猫ちゃんです。
次回へ続く
野営地を出て早々に虫を探し始めました・・・
エレンは石の下、草むらの中などを
入念に探索しています。
その姿はまるで迷探偵のようですね。
エレン「ライナー、この岩どけてにゃ。」
ライナー「あいよっと・・・」
ライナーも満更でもないようです。
一緒になって探しています。
仕方ないので少しだけ待ちましょうね。
離れたところにリノプロスが見えます。
気性が荒く、近寄ると襲ってくる草食の癖に危険な奴です。
サシャ「エレン!あれには近寄っちゃ駄目ですよ!」
エレン「わかったにゃあ。」
ライナー「エレン、ここも見てみよう!」
二人ともこっちを見向きもしません。
ライナーがいるので大丈夫だとは思うのですが、
本当にわかってるのでしょうかね。
心配です・・・ライナーも夢中なように見えます。
アニ「エレンってあんなだったの?」
サシャ「ライナーもあんなでしたっけ?」
アニ・サシャ「はぁ・・・」
エレンたちはどんどん進んでいきます。
どうやら大きな岩の根元にある草むらに狙いを定めたようですね。
エレン「すごいにゃ、大量にいるにゃ!」
ライナー「これは確か、雷光虫じゃないか!」
ライナー「昼間はこんなところにいるんだな。」
エレン「ロイヤルカブトもいないかにゃ?」
二人でしゃがみこんで楽しそうですね。
まるで兄弟みたいです。
ライナー「おい、まさかこれは・・・」
エレン「いたにゃあ!ロイヤルカブトにゃああ!!」
どうやら、例のレアな虫を捕まえたみたいです。
大岩の影で休んでいたようですね。
二人が立ち上がり、こちらへ手を振っています。
む、あまり喜んでいる時間はなさそうですね。
少し離れた洞窟の中から
小型のドスジャギィが現れました。
二匹のジャギィを従えています。
どうやら縄張りを巡回しているようです。
こちらには、まだ気づいていないようだ。
アニ「・・・どうする?」
サシャ「ここでやります。」
サシャ「逃げられてしまうので初撃は私で。」
エレンたちに手で合図を送る。
二人が手を挙げる。
どうやら気づいてくれたようです。
エレンが急いでロイヤルさんを片付けるのが見える。
サシャ「後の突撃の合図はアニに任せます。」
アニ「・・・うん。」
私は静かに目を瞑り、呼吸を整える。
次に目を開けたとき全てがゆっくりと動き出すように感じた。
さあ、楽しい狩りの始まりです。
私は心の底の感情を抑えきれず思わず微笑んでしまう。
強く引き絞った弓は力を溜め込んでいく。
次の瞬間、解き放たれた矢が空気を切り裂き、
ドスフロギィのときと寸分たがわず左足の大腿骨へ突き刺さる。
これで逃走を防げますね、我ながら大したものです。
周りを見ると、既に突撃を開始した三人が
同時に間合いを詰めていくのが見えた。
ライナー「おおおおぉぉぉ!!」
右後方から接近し、
ドスジャギィを射程に捕らえたライナーは
捻るようにしてハンマーを身体に引き付ける。
持ち手が軋む音がここまで聞こえるようだ。
そして、力いっぱいに引き付けられたハンマーが
彼の力強い両腕により全力で振り出される。
やっと気がついた奴が振り返った瞬間、
ライナーの体重とハンマーの重さ、筋力、その全てが破壊力に変わり、
鈍い衝撃音が砂原に響き渡った。
その一撃を横腹に受けた奴は、
一匹のジャギィを巻き込みながら大きく吹き飛ぶ。
直撃した横腹の損傷はわからないが、
体躯の割りに小さな右手は既に持ち上がらないようだ。
なんとか体勢を立て直し、
ライナーに対して弱々しく威嚇をする。
しかし驚くことに、その顔には大きな刀傷ができていた。
どうやら、左側面から接近していたアニが
吹き飛んだドスジャギィに合わせて、
切っ先で鶏冠から目に掛けてを素早く切り裂いていたようだ。
あまりに静かに接近して攻撃を終えたので、
その場の誰もが、その瞬間に気づいていないほどだった。
私たちの優位で狩りが進む・・・
そして今、既に一匹目のジャギィを倒し、
素早く回りこんできたエレンが
体勢を崩している二匹目に飛び掛っていた。
次回へ続く
サシャ「後は二人に任せますよ!」
その声に反応して二匹目のジャギィを倒し、
様子を伺っていたエレンが足元へ戻ってきた。
サシャ「追い詰められた獲物は牙をむきますからね!」
サシャ「気をつけてください!」
とは言ったものの、
二人とも気負いのない良い顔です。
ライナー「ふふ、サシャに教わる日が来るとはな。」
軽口を叩きながら、ライナーが無造作に間合いを詰める。
慌てて反応してしまったドスジャギィが
顎を鋭く突き出し、彼の首に噛みつこうとする。
ライナー「ふん!!」
左足を一歩引きながら、その攻撃を避け、
同時に顎を目掛けて右下からハンマーをかち上げる。
奴の首は完全に伸びきってしまっている。
あれでは衝撃を吸収できまい。
案の定、ドスジャギィは激しく脳を揺さぶられ、
盛大に目を回しているようだ。
そこにアニが飛び込み、
奴の左の足首の関節に狙いを定め、何度も切り刻む。
千切れかけた足首ではバランスが取れず、
音を立てて倒れこむドスジャギィ。
止めを刺すべくライナーがハンマーを天高く振り上げる。
そして、二度目の激しい衝撃音が砂原に響き渡った。
ドスジャギィの身体が突っ張るのが見える。
どうやら、その頭部への一撃で
悲鳴すら上げることができずに絶命したようだ。
しばらく、構えたまま死体の様子を見ていた二人が、
武器を肩にかけて戻ってきました。
サシャ「・・・すごいですねえ。」
ライナー「合格をもらえるかな?」
サシャ「装備は変ですが、とても格好良かったですよ!」
アニもやっと、緊張がほぐれたようですね。
自身の武器の血脂を拭う様に硬さがなくなりました。
アニ「ふぅ、緊張した・・・」
エレン「アニも格好良かったにゃ!」
アニ「ふふ、ありがとう。」
二人とも、とても優秀ですね。
文句のつけようがありません。
エレン「ライナー、皮を剥ごうにゃ。」
ライナー「おお、そうだった!」
急かされたライナーが丁寧に皮を剥いでいます。
自分の装備になるので慎重ですね。
私も手伝ってあげましょう。
一匹目の討伐が完了しました。
とても順調ですが、ここでの解体は大変です。
アニ「うぅ、臭いが凄いね・・・」
サシャ「ここは水場がないのできついですね。」
湖が見えるのですが、少し遠いですね。
仕方ないので素早く必要な素材だけをとって埋めてしまい、
血はその辺の砂に吸わせましょう。
おや?ライナーが剥ぎ取った皮を見ています。
自分の身体の大きさに足りてないことを心配しているようです。
今度は大切に折り畳んで背嚢にしまっています。
場所が気になるのか何度も入れなおしていますね。
そして、ちらちらと私を見ています、ちょっと可愛いです。
サシャ「ふふ、ライナー、野営地に戻りましょう。」
ライナー「あのだな・・・すまない。」
エレンのロイヤルカブトもいるし、
一旦片付けないと落ちつかなそうですからね。
野営地の大きな収納箱に骨や皮を入れて
改めて出発しましょう。
ロイヤルカブトだけは日陰で
風通しがよさそうな場所に置いていきます。
エレン「よし、ここなら平気にゃ。」
あとは水と蜂蜜があれば平気ですかね?
さて残りの二匹も順調にと思っていたのですが、
早くも暗雲が広がっています。
また大規模な砂嵐が近づいてきてるようですね。
ライナー「またか、多いんだな。」
サシャ「困りましたね。」
まだ砂嵐は遠いし食料もあるので先に進み、
待ち伏せついでに洞窟でやり過ごそうと思います。
あとロイヤルカブト、
収納箱にしまったのですが大丈夫ですかね?
次回へ続く
洞窟の外は目も開けられないような
酷い砂嵐になりました。
足が遅そうな嵐だったので
通り過ぎるまで思ったより時間が掛かりそうです。
エレン「暇だにゃあ・・・」
サシャ「そうですねぇ・・・」
エレン「アニ、尻尾さわんにゃ!」
アニ「・・・けち。」
エレンもアニも待ち伏せには向かなそうです。
二人とも意外に短気ですからね。
楽しいようには見えませんが
エレンはゴロゴロ転がっています。
アニはプライドが邪魔して転がれない分、
イライラしているようです。
・・・転がったらストレスがなくなるかは知りませんが。
サシャ「エレン、尻尾くらい駄目ですか?」
エレン「むずむずするから嫌にゃよ・・・」
仕方がないので今度はアニ用の人形を
色々と買っておきましょうか・・・
エレンは何で大人しくなるのでしょうかね?
ライナー「まあ、ゆっくり待とうじゃないか。」
流石です、彼は人間が出来てますね。
食べ物も水もあるし、のんびりしましょう。
そうそう、予想外だったのですが、
この水場は小さな滝があり水の流れもあるようですね。
私たちは、その近くの岩陰に座り込んで
先ほどからずっと待ち伏せているのです。
エレン「サシャ、この水って飲んでも平気にゃ?」
サシャ「滝から落ちてるのを飲んでくださいね。」
ライナー「お、この水袋にも入れといてくれ。」
エレン「わかったにゃ、ちょっと行ってくるにゃ。」
しかし、ここは土なのでお尻も痛くなく、
岩と草むらで姿も隠せるし、実に良い場所ですね。
おや?早くもエレンが戻ってきました。
あーあ、体中がびしょびしょです。
さらに、ご機嫌が斜めな顔になりました。
アニ「ぷぷ、飲めたの?」
エレン「飲めたにゃ・・・えい!」ブルブル
ライナー「うわっ!」
サシャ「うきゃっ!!」
もう、エレンは完全に子供です!!
真ん中に来てブルブルして行きましたよ!!
しかも、アニだけ何食わぬ顔で避けてるし・・・
そんな悪戯の最中、激しい風の音に紛れて
複数の生き物が近寄ってくる気配がしました。
サシャ「静かに!・・・何かきます。」
全員に緊張が走り、一斉に草むらにしゃがみこむ。
小さな唸り声が洞窟内に響いてきた。
なんと二匹のドスジャギィだ。
お互いを威嚇しあう様子を見る限り、
決して仲が良いとはいえないが平行して歩いてきている。
二匹はこちらの気配を敏感に感じ取っているのか、
水場に近寄るのを躊躇して左右を確認しているようだ。
サシャ「また予想外ですね・・・」
ライナー「弱い固体が共闘といったところか・・・」
さらにジャギィが五匹ですか・・・
実に大所帯ですね。
アニ「どうするの?」
サシャ「無難に閃光玉ですね。」
サシャ「ライナー、その間に一匹を気絶させてください。」
ライナー「了解だ、顎先を叩き割ってやる。」
今の彼なら本当にやってくれそうです。
先ほどの経験も加わり、
顔に自身が満ち溢れていますね。
何はともあれ、
パニックになっている間に一匹は片付けたいですね。
小さな固体なので難しくはないと思います。
サシャ「私たち三人はまず雑魚を処理します。」
アニ「最初の交戦で殲滅したいね。」
私たちの攻撃能力を考えれば問題はないでしょう。
後はドスジャギィを逃がさずに処理できるかでしょうね。
それに関しては、私が道具を使うことで対応しようと思います。
気絶させたほうが万が一気づいたら
もう一発、閃光玉をお見舞いするつもりです。
サシャ「私が合図を出すので上手く目を逸らして下さいね。」
エレン「わかったにゃ。」
警戒しながら近寄ってきたドスジャギィたちですが、
目の前で水を飲み始めましたね。
それぞれの間隔があいてますがなんとかなるでしょう。
では作戦開始といきます。
次回へ続く
全員と目を合わせ意思を確認する。
戦闘は私の指笛で開始しました。
ドスジャギィたちが、その音に気づく。
私は視線の集まる一点に素早く閃光玉を投げ込みました。
ライナー「いくぞ!」
エレン「にゃ!」
瞼越しに、少し熱さが伝わってくる。
すごいですね、練習はしていたのですが、
三人とも閃光の中を
目を瞑りながら一気に間合いを詰めていますね。
光の波が収まったときには
三人とも既に敵に攻撃を始めていました。
ライナー「おおおぉぉぉ!!」
ライナーが咆哮を挙げながら
並んだドスジャギィの右の一匹の顎を砕く。
振り上げられたハンマーが鈍い音をたてる。
倒れたドスジャギィが痙攣を起こし始めたのが見えた。
もしかしたら本当に仕留めてしまったかもしれません。
エレンは右端にいたジャギィに襲い掛かった。
自身の速さを生かし、一気に間合いを詰め、
その勢いを利用しジャギィの首を一瞬で切り落とす。
エレン「やったにゃ!」
さらに、その速度を維持したまま
残りの四匹のジャギィの後方に回り込む。
アニは・・・いました!
アニ「・・・」
彼女は本当に気配を感じさせませんね。
私が二人の攻撃を確認している間に
すでに二匹のジャギィを撫で斬りにしていました。
しかも、動けない程度に両足を切り裂いたようです。
この二匹は失血死を待つだけでしょう。
実に無駄のない攻撃ですね。
サシャ「アニ!残りの二匹も任せます!」
アニ「了解・・・」
既に次の二匹がアニの射程に入ったので
私は少し予定を変更する。
エレンとライナーもその声に反応し目標を切り替える。
落ち着きを取り戻した、もう一匹のドスジャギィは
顔を左右に振りながら小さく威嚇している。
二人が前後からゆっくりと間合いを詰めていく。
その間に私は倒れているドスジャギィの様子を伺う。
ライナーの一撃で致命傷を負ったようですが、
まだ、息があるようなので止めを刺しておきましょう。
毒が塗りこまれた矢を首筋へと次々と突き刺す。
これで万が一、起きてきても素早く処理できるでしょう。
一段落ついた私は視線を二人に戻す。
どうやら、あちらも問題ないようだ。
すでに傷だらけにされたドスジャギィは
悲鳴を上げる間もなくエレンに切り刻まれている。
遂に右足の靭帯を切り裂かれたドスジャギィは
大きく体勢を崩し倒れこむ。
エレン「ライナー、今にゃ!」
ライナー「ぬうううぅぅん!!」
呼吸を整え、力を溜め込んでいたライナーは
重量のあるハンマーを天高く振り上げ、
ドスジャギィの頭部に打ち下ろす。
まるで爆発が起こったこのような音が
洞窟に響き渡り、思わず耳を塞ぐ。
これは・・・間違いなく絶命しましたね。
確認するまでもなく頭部が完全に潰れています。
毒矢が刺さったドスジャギィも起き上がる気配がありません。
胸の上下動もないので既に死んでいるのでしょう。
アニ「もう終了かい?」
サシャ「ええ、閃光いりませんでしたね。」
残りの雑魚を片付け、
傍観していたアニも戻ってきました。
どうやら無事にドスジャギィ三匹の討伐完了です。
今回、ライナーとアニの力が遺憾なく発揮されましたね。
その実力の一端を見せてもらえて私も大満足です。
ライナー「よし、皮剥ぎだ!!エレン、手伝ってくれ!」
エレン「にゃあ!」
剥ぎ取りを開始したライナーも満足そうです。
全ての素材を使えば
巨体の彼の装備も充分にできそうですね。
ではロックラックの町へ撤収です。
次回へ続く
激しい砂嵐もやり過ごし、
無事にロックラックの町に帰還しました。
沢山のドスジャギィ素材を
手に入れたライナーもご機嫌です。
そういえば、あのときの砂嵐は、
やはりジエン・モーランが起こしていたようです。
町に戻ると峯山龍の話題で持ち切りでしたよ。
しかし天災扱いされる生物ですか、すごいですね。
今、ここロックラックの町は朝からお祭り騒ぎです。
町の危機のはずなのですが・・・不思議ですね。
サシャ「すごい熱気ですね。」
ライナー「ああ、だが俺たちはどうする?」
実は例の船長猫さんに、
このお祭りへの参加を勧められています。
どうやら船長は祭りを楽しみたいようですね。
今回はメインの狩猟ではなく、
落ちた人などの救助のお手伝いだそうです。
少しだけ報酬も貰えるそうですよ。
エレン「ちょっと見てみたいにゃ。」
アニ「私は本音は帰りたいけど・・・我慢するよ。」
危険も少なくはないようです。
しかし、滅多にないことなので是非とも参加したいですね。
アニ「私は判断をサシャに任すよ。」
ライナー「俺もだ。」
エレン「にゃ!」
ん~嫌な予感もしないし、
なにより、ジエン・モーランを見てみたいという
強い欲求が溢れてきます。
サシャ「ええと、では見てみたいです。えへへ」
報酬は少なくてもいいので、
なるべく安全そうなところへ配備してもらいましょう。
さて運がいいのか悪いのか・・・
今から砂の国ロックラックの風物詩、
峯山龍狩りの準備を開始します。
エレン「何、持って行けばいいにゃ?」
力んでみましたが、
どうやら用意も殆んどいらないようです。
砂の海に落ちた人たちを助けるための
命綱と浮輪くらいですね。
遠くに旗艦になる撃龍船が見えます。
先ほどから皆を鼓舞するためか
大銅鑼の音が鳴り響いています。
エレン「にゃあにゃあ、でっかい船があるにゃよ!」
サシャ「アニ、船酔いは大丈夫ですか?」
アニ「うん、さっきライナーが薬を買ってきてくれた。」
流石、みんなの兄貴分ですね。
興奮しすぎて船の縁に捕まりながら、
尻尾を振っている猫とは一味も二味も違いますね。
おや、どうやら今回の主役たちが
撃龍船に乗り込み始めたようです。
サシャ「ん~~、見えませんね!」
アニ「あんたが見えないんじゃ、私たちには無理だね。」
ライナー「うむ、まったく見えん。」
大柄な男性らしき三人・・・
一人は女性のように見えますね。
あとはアイルーが二匹のようです。
出発の大銅鑼がならされ、
撃龍船がゆっくりと動き始めました。
船の舳先では女性が何か演説しているようです。
双剣を持って皆を鼓舞する姿はとても素敵です。
サシャ「さて、食料も水も積みました。」
サシャ「私たちも出発ですよ!」
ライナー「おう!」
次回へ続く
今から四日まで
旅行へ行くので更新が出来ません。
では。
広大な砂漠を滑るように砂上船が進む。
少し遠くにはデルクスが泳いでいるのが見えますね。
おこぼれを狙う彼らの大きな群れがいるところ、
そこが今回の目標である
ジエン・モーランのいるところらしいです。
行きに見たデルクスの大きな群れ・・・
もしかしたら奴はあの時、
私たちのすぐ側にいたのかもしれませんね。
思い耽っていると
強い風が逆巻いて砂の波を起こし始める。
そして、それを超えるたびに船が小さく揺れる。
ライナー「アニ、大丈夫か?」
アニ「うん、ありがとう。」
行きの船上では苦しそうにしていたアニですが、
今は薬がしっかりと効いてるようです。
船団はジエン・モーランを探して大砂漠を突き進む。
旗艦である最も大きな撃龍船がそれを先導している。
サシャ「撃龍船、ここから見ても本当に大きいですね。」
エレン「にゃあ、浪漫がいっぱいにゃ!」
サシャ「ふふ、エレンは大きいのが好きですね。」
とても乗りたそうです、目がキラキラしてます。
いつか私たちも乗船して奴を探す日が来るのでしょうか?
楽しみですね~♪
む、そういえば考えてませんでしたが、
見つからなかったら報酬はまったくなしですかね?
船長猫「もちろん、なしにゃ!」
ライナー「・・・それは寂しいな。」
エレン「それより、ジエンを見たいにゃあ。」
アニ「折角、辛い思いして乗ったからね、私も見てみたい。」
まあジエンは町に向かっているので
見つけられない可能性のほうが低いくらいです。
報酬の件もあるので頑張って探しましょう。
ただ、そうは言っても時の運ですからね・・・
しかも、ここ大砂漠は恐ろしく広いのです。
サシャ「・・・まあ、山のように大きな生物ですからね。」
サシャ「きっと見つかりますよ!」
エレン「にゃあにゃあ、あそこの山くらい大きいのかにゃあ。」
エレンの指差した方向・・・
そうですよ、あれくらい大きい・・・
ん?こんなところに岩山・・・?
岩山・・・紛うことなき岩山ですね。
何時の間に現れたのか、その山の周りを
大量のデルクスが飛び跳ねている。
ライナー「おいおい、あの岩山動いてるぞ!!」
確かに・・・何時まで経っても位置が変わりません。
サシャ「どうやら間違いないですね。」
サシャ「アニ、信号弾を上げてください!」
サシャ「あれはジエン・モーランです!」
アニが素早く発見の信号弾を上げる。
それを確認した撃龍船から回頭の合図の銅鑼の音が響く。
船長猫「取り舵いっぱいにゃあ!!」
船団が一斉にジエン・モーランに向けて舵を取る。
近づくに連れて、どんどん大きくなっていくジエン、
遂に巨大な双牙が見えてきました。
そして、視線が上へ上へと向かう・・・
サシャ「まだ、そんなには近寄ってないですよね?」
アニ「うん、まだ寄ってないよ・・・」
ライナー「おい、マジかよ・・・」
後頭部から尻尾に渡って走る背ビレは
まるで連なる岩山のようです。
驚いて固まってしまった私たちを
船長の大きな声が現実に呼び戻す。
船長猫「今度は面舵いっぱいにゃ!縁につかまれにゃ!」
速度を上げ距離を詰めた撃龍船がまたもや回頭の合図を出す。
そして船団がジエン・モーランとの進路をあわせる。
エレン「にゃあ、この方向って町があるにゃよ?」
サシャ「そうですよ!」
このまま真っ直ぐ進むと無論、
先ほどいたロックラックの町へ直撃です。
祭りとして扱われている峯山龍狩りとは
ジエンの進路を無理やり変えることが一番の目的なのです。
全船団が配置に付き、遂に攻撃が開始されました。
いくつもの船からバリスタと呼ばれる大きな矢が発射される。
アニ「・・・効いてるのかな?」
ライナー「わからん・・・」
サシャ「くすぐったそうではありますね・・・」
命中すると確かに身を震わせてはいるのですが、
正直、効いているようには見えません。
果たして、この狩猟は上手くいくのでしょうか?
次回へ続く
このSSまとめへのコメント
これ続きないんか・・・