キース「……」

サシャ「……」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

キース「おい……貴様は何をやってる……？」

サシャ「……？」ﾓｸﾞﾓｸﾞ

キース「貴様だ！貴様に言ってる！何者なんだ！？」

サシャ「……」ｺﾞｸﾝ

サシャ「ウォール・ローゼ南区、ダウパー村出身。サシャ・ブラウスです」

キース「右手に持っている物は何だ？」

サシャ「調理場にあった頃合いの芋です」

キース「貴様盗んだのか？なぜだ……なぜ今、芋を食べた？」

サシャ「……」

サシャ「……それが、人の本質だからです」

キース「……！？ いや、わからないな」


サシャ「人間の三大欲求の内の一つである、食欲。私はこの欲を満たす為、本能的に従ったまでです」ﾓｸﾞﾓｸﾞ



ドォオオオオオ




サシャ「フッー……」

エレン「おいおい、あの芋女まだ走らされてやがる」

アルミン「本当、すごいよねー。私だったらもうとっくのとうに倒れてるよ」

エレン「ふっ……お前の体力は他より劣っているからな。いい加減、練磨したらどうだ？」

アルミン「その為にここに入ったんでしょ？バカなの？」

エレン「うっ……うるせーな！俺はただ練磨するためにここに入ったお前とは違うんだよ」

アルミン「ふーん、じゃあ他にどんな目的があって訓練兵団に入団したのさ？」

エレン「なんだ、分からないのか？まあ当たり前か。何しろ俺の域に達してないんだからな」

アルミン「もう君には驚愕を通り越して絶句だね」

エレン「はっ言っていろ……」

コニー「話してる途中で悪いけど、ちょっといいかな？」

エレン「あん？」

コニー「君は、シガンシナ区出身だよね？」

エレン「そうだが、それがどうした？」

アルミン「あ、ちなみに私もこいつと同じシガンシナ区出身だよ」

コニー「なら……あの日見たよね？超大型巨人を」

エレン「ああ……あの図体のデカいクソハゲか」

アルミン「ハゲと言えば、さっきの教官もハゲだったよね」

エレン「言われてみりゃあ、確かにそうだな」

コニー「教官に似てるのか……僕はさっき頭を鷲掴みにされたけど、確かにとんでもない怪力だったよ」

コニー「危うく、頭を砕かれるところだった……あの荒々しい性格、巨人にも匹敵する怪力」

コニー「あれはもう、名付けて巨人系男子だね」

アルミン「……」

エレン「……」

コニー「いやいや、黙り込まないでよ」

―――食堂

ジャン「クソッ……あのハゲ教官、頭突きなんてしやがって」

ジャン「まだ痛みが残ってやがる」


ざわ……ざわ……


ジャン「しかしさっきから騒がしいな、何やってんだ？」

訓練兵A「あっちに超大型巨人を目撃した奴がいるんだってよ！」

ジャン「なんだと？」


エレン「チッ……うるせーなガキ共。お前らに進言される筋合は―――」ｶﾞﾁｯ

訓練兵Ｂ「また舌を噛んだぞ！」

コニー「これで7回目だよ。もうこれはある意味資質だね」

アルミン「はは、ごめんごめん。エレンは昔からこういう人なんだよ」

ジャン「……こいつがか？」

カンカンカン


訓練兵Ｃ「おいおい、結局何も聞けずに終わっちまったぞ」

マルコ「終始、舌を噛んだだけだったからな」

ジャン「舌を噛み続けた所為で何も話せず終了ってかなりシュールだな」

ミカサ「仕方ないですよ。それが彼、エレン・イェーガーなんですから」

ジャン「そうなのか……？それよりもアンタ、綺麗な黒髪だな」

ミカサ「あっ髪フェチの方でしたか。これは失礼」

ジャン「ちげえよ」

アルミン「ミカサー私達もそろそろ行くよ」

ミカサ「あ、アルミン！助けて下さい。この人が私の髪の毛を狙ってるんです」

ジャン「だからちげえよ」

アルミン「何だって！？エレン、ミカサが大変だよ！」

エレン「なんだ、ミカサがどうした？」

アルミン「この刈り上げ君に付きまとわれてるんだってさ」

ジャン「されげなく話を盛るんじゃねえ！髪フェチからなんで変質者になってんだよ！」

エレン「おい、刈り上げ。俺の家族に手を出そうとはいい度胸だな」

ジャン「だから手なんて出そうとしてねぇって……つーかお前ら家族だったのかよ……」

エレン「何？ おい、こいつはそう言ってるいるが？」

ミカサ「あれま、少し冗談が過ぎたようですね」

アルミン「えー嘘だったの？てっきり本気にしちゃったじゃん」

エレン「チッ……お前らの三文芝居に付き合ってる暇はないんだよ。疑って悪かったな、刈り上げ」

ジャン「刈り上げじゃねえ、俺にはジャン・キルシュタインという歴とした名前があんだよ」

エレン「ジャンか……エレンだ」

―――一方、その頃

サシャ「……やっと、終わった」


ドサッ


サシャ「私の人生も……ここまでか……」

サシャ「……」

サシャ「………！？」ｽｳｯ

サシャ「この……匂いは……！」

「おい」

サシャ「パァン！」ﾄﾞｵｯ

「うおっと」

サシャ「うまい……」ﾊﾞｸﾊﾞｸ

「急に奪い取るとは……猛獣かお前は？」

サシャ「……あんたは？」ﾊﾞｸﾊﾞｸ

「ああ、私か？私は……」







クリスタ「クリスタ・レンズだ」

サシャ「クリスタか……どういう意図で助けたのかは知らないけど、助かったよ」ﾊﾞｸﾊﾞｸ

クリスタ「礼には及ばないよ」

サシャ「いや、及ぶね。何か礼をさせてくれない？」

クリスタ「やけに気前がいいな。まあ、元からそのつもりだったが」

サシャ「そう？命を救ってもらったんだ。その貸しはきっちり返上するもんだと思うんだけど」

クリスタ「なんだ、案外まともな奴なんだな」

サシャ「酷い言い様だね」


ユミル「何……やってるの？」

クリスタ「！ あーバレちゃったか……」

ユミル「隣に居るのはサシャ……？」

サシャ「……」

ユミル「早く……」

ユミル「早く、サシャをベッドまで運ばないと！」

サシャ「……え？」

クリスタ「……教官にチクらないのか？」

ユミル「そんな事する訳ないじゃない。ほら、ぼさっとしてないでサシャに肩貸すよ！」

サシャ「面目ない……」

クリスタ「あ、ああ。おい、歩けるか？」

サシャ「ああ、肩を貸して貰えば何とかね」

ユミル「じゃあいくよ。せーの！」ｸﾞｯ

クリスタ「よっと……てっ重！」ｸﾞｯ

クリスタ「食い過ぎなんじゃないか……？」

サシャ「……あんたの力が無いだけでしょ」

クリスタ「クッ……」

ユミル「僻み合ってないで早く行くよ！」

クリスタ「つーか、なんでお前はここに来たんだ？」

ユミル「うーん……なんとなくかなあ」

クリスタ「は？なんだそりゃ。随分と気ままに生きてんだな」

ユミル「失礼な、私はちゃんと算段踏んで生きてるよ。じゃあ逆に聞くけど、何故あなたはここにきたの？」

クリスタ「そりゃあ、サシャに貸し作って恩に着せるためだ」

ユミル「恩に着せてどうするの？」

クリスタ「さあな。後々考える予定だよ」

ユミル「……こんな事言ってるけど、サシャは構わないの？」

サシャ「別に構わないよ。命を救ってもらった事に変わりはないしね」

クリスタ「それに何しろ、私とサシャの仲だもんな」

サシャ「出会ってまだ間もない仲だけどね」

クリスタ「フッ絆に時間の概念など存在しないんだよ」

ユミル「ははは。あっそういえばまだ自己紹介してなかったね。私の名前はユミル」

クリスタ「クリスタ・レンズだ」

サシャ「私は―――」

ユミル「サシャは通過儀礼で印象強かったから知ってるよ」

サシャ「あ、そう」

クリスタ「欲を満たす為、本能的に従ったまでです、だったっけ？」

ユミル「そうそう」

クリスタ「本当、とんでもない言い逃れだよな。だいたい、欲を満たす為ってなんだ―――」

クリスタ「ッ！ いや、待てよ……！？」

ユミル「いきなりどうしたの？」

サシャ「何か閃いた様だね」

クリスタ「……ああ。とんでもない事を思い付いてしまったぞ。やはり、私は天才かも知れん……」

ユミル「大丈夫？」

クリスタ「サシャ。お前にどう恩を返させるか思い付いた」

サシャ「そうかい。私ができる事なら何でもするよ」

クリスタ「そうかそうか！」

クリスタ「ふははは。これからこの今期訓練兵団は、私達が仕切る事になるぞ！」

ユミル「え？」

サシャ「……は？」

とりあえず、今日はここまでです

たった13レスで申し訳ない