『オリジナル』勇者と山賊 (12)
勇者1:ボリス(♂)。類稀なる剣の才能を買われ、王国に選ばれた勇者。
勇者2:ダリア(♀)。類稀なる魔法の才能を買われ、帝国に選ばれた勇者。
様々な魔物や蛮族が生息している危険度の高い山。その中腹に、大昔に王族か貴族が住んでいたであろう石造りの古城がある。2人の勇者が、拘束した山賊達から聞き出したアジトである。
ボリス「此処が山賊のアジトか」
ダリア「私達には魔王討伐という使命がある。早く終わらせよう」
2人が門に近づくと、ギギッと重い音を立てながら木製の門が開く。
ボリス「……」
ダリア「……」
門の向こうには、1人の男が立っていた。身長は2mを軽く超え、人間離れした筋肉の鎧を纏った大男だ。肌は浅黒く、髪と眼は鮮血のように赤い。
ゼル「俺の子分達が世話になったらしいじゃねえか」
ボリス「お前が山賊達の言ってたボスか」
ゼル「おうよ、俺はゼルギウスってんだ。お前等は?」
ボリス「俺はボリス。魔王討伐の旅をしている、王国に選ばれた勇者だ」
ダリア「……」
ゼル「ほう、そりゃ大物だ。んで?そっちの女は」
ダリア「炎よ爆ぜよ!エクスプロード!!」(このセリフは、ゼルギウスの「そっちの女は」に被せるように)
ダリアが対象を爆発させる魔法を放つ。その威力は高く、門が破壊されゼルギウスは煙に包まれる。
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ゼルギウス「くだらん……ただ埃を巻き上げるだけの技か」
ダリア「聞いていなかったのね」
ゼルギウス「なに?」
ドン ッ
ダリア「言ったでしょう。爆ぜろって」
ゼルギウスだったもの「(沈黙)」
ボリス「(結界で肉片を弾きながら)生臭い花火だな」
ボリス「前方に反応。どちらも爆ぜた奴と同一の波形パターンだ。遮蔽物の陰に二人いる」
ボリス「二人とも完全に同一。なぜだろうな?」
ダリア「さあ。怠け者の管理者のせいといったところかしら」
ダリア「ワームホール」
ボリス「異次元に放り込んだのか。一瞬で気配が消えた」
ダリア「こちらの主観では一瞬でも、彼らのそれでは永遠でしょうね」
ダリア「よい旅を」
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