貴音(喉にお餅が詰まりました……) (27)



765プロ 事務所


貴音(ふむ……呼吸することも声を出すことも出来ませんか……)

貴音(更に現在事務所内には私以外誰もいませんね)キョロキョロ

貴音(………)

貴音(……………ふっ)

貴音(この状況……常人なら慌てふためくでしょうが私は違います)

貴音(冷静に沈着に対処すればこれくらいの危機など危険ではありません)

貴音(これはトップシークレットですが)

貴音(私は最大3分34秒間息を止めることができます)

貴音(まあ今は呼吸が不十分だったので精々3分くらいでしょうが…)

貴音(ですが3分もあれば喉に詰まったお餅を取ることなど余裕です!)



【残り2分50秒】



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貴音(まず椅子に座り現状を確認しましょう)スチャ

貴音(うんっ!)

貴音(………)プルプル

貴音(………)プルプル

貴音(………)

貴音(……ふむ、咳き込むこともできませんか……)

貴音(気道が完璧に防がれていますね)

貴音(流石に磯辺餅を12個も一気に食べたのは不味かったようです)

貴音(………)

貴音(ちなみに……磯辺餅は真美味でした)



【残り2分40秒】


貴音(こう……喉のお餅を……指で……)グググ

貴音(むむむ……)カスカス

貴音(………)

貴音(むう……指で摘めませんか……)

貴音(他に喉が詰まった時にするべき対処……)

貴音(………)

貴音(胸を叩く)トントン

貴音(叩く)ドンドン

貴音(たた……)ドン!ドン!

貴音(……っ……っっ)ドン!ドン!ドン!ドン!

貴音(痛い!!)

貴音(そして取れない!!)



【残り2分28秒】


貴音(他には……)グスッ

貴音(確か背中を強く叩く方法も)

貴音(こうやって……)トントン

貴音(………)トントン

貴音(背中………)トントン

貴音(………)トントン

貴音(背中に……手が届きません……)トントン

貴音(………)トントントントン

貴音(背中というよりも腰を叩いているだけですねこれ)



【残り2分19秒】


貴音(………)

貴音(……無駄に胸と腰が痛いだけでした)

貴音(もういっそ救急車を呼びましょうか……)

貴音(………しかし)

貴音(この声がでない状態は……)ググッ

貴音(助けを呼ぼうにも……)ン~ン~

貴音(………)

貴音(これでは電話もできません……)

貴音(………)

貴音(……あっ)



【残り2分9秒】


貴音(聞いたことがあります)

貴音(喉に詰まったお餅を掃除機で吸い出したというお話を)

貴音(口の中に掃除機を入れるなど不衛生ですが……)

貴音(この際文句は言えません)

貴音(早速掃除機を使いましょう)

貴音(やよいがよく事務所内の清掃をしている時に使って……)キョロキョロ

貴音(使って……)キョロキョロ

貴音(使……)キョロキョロ

貴音(………)キョロ

貴音(………)

貴音(どこに掃除機は置いてあるのでしょう?)



【残り1分58秒】


貴音(………)

貴音(………ふぅ……)

貴音(言い訳ではないのですが……)

貴音(事務所内を隅まで探せば掃除機は見つかると思います)

貴音(………が)

貴音(無呼吸状態で無作為に動き回るなど愚の骨頂)

貴音(動いてしまえば立ち所に肺の中の酸素が無くなるでしょう)

貴音(ふふ流石は私……どんな時でも冷静に物事を判断できていますね)

貴音(ふふふ……)

貴音(ふふ……)

貴音(………)

貴音(ふむ冷静に物事を判断したら……)

貴音(……詰みました)



【残り1分45秒】



貴音(私の銀色の脳細胞がこの状況は詰みと囁きます)

貴音(ちなみに銀色の脳細胞というのは私の高度な情報分析力を示す)

貴音(いやそんな説明どうでもいいですね!)

貴音(私としたことが現実から逃避ってしまいました)

貴音(ここで諦めずに考えるのです四条貴音!)

貴音(この状況でも助かる……なにかできることを)

貴音(例えば目の前の机の上にあるものを使ってなにか……)

貴音(机の上には硯と……筆と……便箋……)

貴音(………)

貴音(お父様お母様妹故郷の民の皆そして765ぷろの仲間達先立つ不幸を)サラサラサラ

貴音(って違います!!)ペシッ



【残り1分34秒】



貴音(ですがこれのお陰で一つ妙案が浮かびました!)

貴音(そう……考えてみれば声は出ずとも手は指は動きます)

貴音(やるしかないようですね……)

貴音(今まであえて避けていたあれを……)

貴音(皆からいくら催促されても決してやらなかったあれ)

貴音(そう!)

貴音(『らいん』を!)



【残り1分27秒】


貴音(ふふ携帯を持たされてから電話しかしなかった私が)

貴音(ついにらいんでびゅぅですか……)

貴音(確かこう……操作して……文字を打てばいいのですね)ピッピッピッ

貴音(文面は……)

貴音(『春暖の候皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます』)

貴音(『さてこの度は皆様にお詫びとお願いがあって筆をとらせていただきました』)

貴音(『まずお詫びは皆様の磯辺餅を勝手に食べてしまいました申し訳ございません』)

貴音(『そしてお願いはお餅が喉に詰まってしまい呼吸ができません助けてください』)

貴音(『誠に勝手なお願いではありますが何卒よろしくお願いいたします。』っと)

貴音(ふむ……少々長くなってしまいましたがまあいいでしょう)



【残り1分17秒】


貴音(さあ、書いていきましょう……『春暖の候』……し…し…)ピッピッ

貴音(し……し……)ピッピッ

貴音(し……はどうやって書けば……)ピッピッ

貴音(……む……『す』ではありません『し』です)ピッピッ

貴音(……次は『じ』?……小癪な…これで終わりです!)ピッピッ

貴音(…………っ!)ピッ!

貴音(……ふぅようやく『し』を書けました……)

貴音(………)

貴音(……はいこれ書ききる前に『死』にますね……)



【残り1分6秒】


貴音(文字数を少なく……10文字いえ4文字で書ききりましょう)

貴音(短く簡潔に……それでいて即座に理解できる文面……)

貴音(………)ピッピッ

貴音(………)ピッピッ

貴音(………)ピッピッ

貴音(………)ピッピッ



【残り1分】



事務所近くのコンビニ


P「なあ、真」ペラ

真「はい、なんですか?」ペラ

P「龍狼伝のさ、神の聖杯(エリクシール)ってなに?仲達の新しい配下?」

真「さあ?僕は赤壁あたりで見るのを止めたのでわかりません」ペラ

P「見限るの早いなあ、俺は念体習得するまで見てたのに」~♪~♪

P「っと、ラインの通知か?誰から……って貴音?」

真「僕の方にも来てますね、貴音がラインを使うなんて珍しいですね」

P「珍しいっていうか、初めてだろ……なになに?」

P、真「『もちけて』?」


真「え?なにこれ?打ち間違え……ですかね?」

P「………」

真「プロデューサー?」

P(もちけて?もち……モチ……餅、餅……そういえば今日は事務所に差し入れの磯辺餅が……)

真「あの~……プロデューサー?」

P(今はみんな仕事中…いや、貴音は違う……となれば、事務所に戻って…磯辺餅が貴音の目の前に……)

真「お~い」

P(貴音なら全部食べて……餅を?全部?……けて…けて……たす、けて……助けて!まさか餅が喉に!?)

P「貴音が危ない!!すぐに事務所に戻るぞ!」

真「え?は、はい!」



【残り41秒】



765プロ 事務所


<ガチャ!


P「貴音ーーー!!」

貴音「………」グッタリ

P「た、貴音ーーー!?くそっ!今、餅を吸い出してやるからな!」ムチュー

真「ちょ、なに貴音にキ、キスしようとしてるんですか!///」

P「キス違う!喉に詰まった餅を吸い出そうとしてるんだ!」

真「も、餅?それなら吸い出すよりも、こうやって」グイッ

P「貴音を背後から持ち上げて……ハイムリック法ってやつか」

真「はい、まだ意識はあるみたいですから、まずはハイムリック法を試してみます!」

P「そ、そうか……」

真「なに少し残念そうな顔してるんですか!プロデューサーは救急車を呼んでください!」


真「えい!えい!」グッグッ

貴音「――っ!――っ!」ビクッビクッ

P「貴音!吐け!吐くんだ貴音ー!」

真「くっ、ダメか……次は背部叩打法を!」バシンッバシンッ

貴音「――っっ!――っ―っ!」ビクン!ビクン!

P「ひっひっふーひっひっふー!」

真「これでもダメか……」

P「諦めんなよー!まだまだイケルって!なんでそこで諦めんだよ!頑張れ頑張れ真超頑張れ!」

真「プロデューサーうるさい!!」

P「すんません!」


真「そもそも!なんで貴音は!餅なんか!食べてるんですか!」グッグッグッグッ

貴音「――っ!―――っ!――っ!――――っ!」ビクッビクッビクッビクッ

P「いや、餅くらい食ってもいいだろ……」

真「それは!そう!ですけど!」バシンッバシンッバシンッ

貴音「―っ!―っ!――っっ!」ビクン!ビクン!ビビクン!

P「それに今日は、差し入れで磯辺餅をもらったからな」

真「………は?いまなんて?」ピタッ

P「いや……差し入れで、みんなにって貰った磯辺餅があってな」

真「……それは今どこに?」


P「え~っと……あの容器の中に入っていたぞ……中身は…無くなっているなあ」

真「………」

貴音「………」

真「……なるほど、みんなの分を食べ尽くした上に……それが喉に詰まったと……」

貴音「………」ダラダラ

P「ま、真それよりも貴音がすごい汗をかいてるぞ!そして顔が紫……いや真っ青になってきた!?」


真「プロデューサー……僕、本気で叩きます。今なら手加減なしでいけそうです」グググ

P「え?それってどういう」

真「せりゃあああああ!!!」


バチコーーーーーン!!!


貴音「ぽぅぅぅうう!!」スポーーーン!



その後、一命を取り留めた貴音は皆から死ぬほど怒られたけど



貴音「生きてるって素晴らしいことですね」モグモグ

P「大福を食べながらよくそういうこと言えるなあ」



死ななくてよかったとしみじみ思ったそうな



おわり


終わりです
ありがとうございました

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