橘ありす「抜本的改革が必要です」 (22)
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橘ありす「待てますか?」P「いつまでも待つさ」
橘ありす「待てますか?」P「いつまでも待つさ」 - SSまとめ速報
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桃華「急にミーティングなんてどうされましたの?」
ありす「可及的速やかに対策を立てないといけないと思うんです」
晴「オレ、今日はオフなんだけどな、サッカーしたい」
梨沙「アンタは宿題残ってるでしょうが。終わるまで解放しないわよ」
晴「うげー」
桃華「大丈夫ですわ、私もありすさんも見てますからすぐ終わります」
晴「逃げられないだけじゃんか」
ありす「逃がしませんよ。ということですぐ外に遊びに行ってしまう晴さんも捕まえられる良い機会なのでミーティングを行おうと思います」
梨沙「それで、アタシらだけで何をミーティングしようってのよ?」
ありす「今後の私たちの方向性です。私たちも小学六年生、そろそろ具体的に考えないといけません」
晴「将来のこととかー? まだオレたち子供だろ」
ありす「でも晴さんにも目標ありますよね? プロサッカー選手とトップアイドルを両立するっていう難しい目標が」
晴「ああ、それがオレの目指すところだからな。どんなに難しくても頑張るつもりだ」
ありす「それは今後どのように頑張るんです?」
晴「そりゃ……まず中学入ったらサッカー部入るだろ、アイドルもちゃんと仕事するだろ、あと、色々頑張る!」
梨沙「晴に聞いてもそんな賢い回答返ってこないわよ、ありす」
晴「ひっで、オレだってちゃんと考えてるんだぞ」
ありす「いいえ、晴さんの国語力が壊滅的なのは理解してますが、そこが問題ではないです」
晴「おい」
ありす「晴さんは『まず中学入ったら』と言いましたが、その時点で何も考えてないんですよ」
晴「なんだと!」
ありす「それは晴さんに限ったことではありません。私だってそうです」
晴「むっ?」
ありす「私は将来は音楽に関する仕事がしたいという理由でアイドルをやっていますが、目標自体も漠然としてますし、具体的にどうしたらそうなれるのかを考えてませんでした」
晴「うーん……そう言われるとな」
梨沙「確かにトップアイドルってどうやってなればいいのかわからないわね」
桃華「Pちゃま頼りになってしまってますわね。最近、言われたレッスンや仕事をこなすばかりだった気がしますわ」
ありす「そうです。もうすぐ私たちは受験も控えてますし、学生やりながら目標に向かうプランニングをしないといけないと思うんです」
桃華「そうですわね、中学生になったら学校も忙しくなりますのに、考える時間も少ないと」
晴「大変なんだなー、オレには受験関係ないけど」
ありす「何言ってるんですか、晴さんこそ受験しないとでしょう」
晴「いやいやオレそんな頭よくないし」」
ありす「中学でも女子サッカーを続けられる学校は限られてますよ。サッカー部はあっても女子の大会出場はできない学校も多いんです」
晴「マジかよ!」
ありす「これが資料です。晴さんの通学可能圏内でまとめてみました。都内にこれだけ中学校があっても女子サッカーを本格的に続けられるのはこれくらいしかありません」
晴「少なっ」
ありす「女子サッカー選手養成所もありますが倍率が高すぎる上に、そこに入るならアイドルを続けることはできなくなります。晴さんの選択肢はこの中学校に行くしかないんです。さらにアイドルを続けられる環境となれば選択肢はさらに狭まります。受験、関係なくないでしょう?」
晴「くそー……サッカーやるために勉強しないとなのか」
ありす「ということで私が調べた限りだと晴さんはこの方向性に努力する、こういう具体的な話を決めないといけないと思いました」
梨沙「まるで保護者みたいね」
ありす「梨沙さんもですよ。そもそもアイドルに集中するなら受験のない中高一貫に行くのがベストです」
梨沙「まー、確かに。パパと中高一貫の話はしてるわよ」
晴「え、梨沙も受験すんのか!?」
梨沙「現実的に考えたらするしかないでしょー。そんな偏差値高いところ行こうとしなければいいのよ」
晴「それじゃあ梨沙、一緒の中学行こうぜ!」
梨沙「アンタ、私に勉強教えてもらいたいだけでしょ」
晴「うっ……」
桃華「晴さん、進路はそんな誰かと一緒という形で決めるものではなくてよ?」
晴「それは、そうだけどさ……」
梨沙「はいはい、寂しいわけね。まあ別に一緒の学校受けてもいいわよ」
晴「本当か!?」
梨沙「ありすのリストにあるこの学校とかちょうどいいじゃない。アタシも候補に入れてた学校よ。勉強教えることが勉強になるから助けてあげるわ」
晴「神様仏様梨沙様!」
桃華「梨沙さんはお優しいですわねえ」
ありす「意外と進路の方はすんなり決まりましたね。私と桃華さんは志望校は決まってますし」
桃華「あら、どうしてそれを?」
ありす「Pさんのスマートフォンにメモしてありましたので。あと桃華さんが結構Pさんに相談してるのとかも」
桃華「どうしてそれを見てるんですの!?」
ありす「そんなことより、あとは具体的にどうトップアイドルになるか、です」
晴「そもそもトップアイドルっていうのがよくわかんねー」
梨沙「トップアイドルが何かとか考えるんじゃなくてどれだけみんなに好きになってもらえるかを考えればいいんじゃない?」
桃華「梨沙さんと同意見ですわ」
ありす「ですが、どういうアイドルになって人気を得るかや、どういう場所でライブをするなどという具体的なイメージを作っておかないといけないと思います」
桃華「一理ありますわね」
ありす「ということで、三年以内にこの四人でドームライブを埋めるのを仮目標としましょう」
晴「ドームて」
梨沙「これは大きく出たわね」
ありす「あながち夢物語じゃないですよ。最近ももぺあべりーでもビートシューターでも小規模なハコでは収まらなくて中規模のハコでライブを始めてるじゃないですか」
桃華「私たちとPちゃまが本気になれば不可能でないと、私は思いますわ」
梨沙「そうは言ってもねえ……確かに人気出始めたかもしれないけどドームなんてまだまだ雲の上よ?」
ありす「そうですね。だからこそ、可及的速やかな対策が要るのです」
晴「かきゅうてき……つまり早くなんとかしないとってことだよな? そんな急ぐ必要なくないか?」
ありす「そうでもないんです。私たちのデビュー時からのイメージで戦うとすると今の年齢なりの売り方はすぐに通じなくなります。そこで方向転換を余儀なくされるんです。積み上げたものを一部犠牲にして、ですよ」
梨沙「あーうん、確かにね。アタシのファンのロリコン共もアタシが大人になったら離れちゃうだろうし」
ありす「そういうことです。なので……」
梨沙「でもアンタ、それだけじゃないでしょ」
ありす「な、なんですか」
梨沙「なーんかそれらしいけど強引だな、と思ってたのよ。晴の学校調べてきたりとか普通に考えてそこまでやらないでしょ」
桃華「確かにいくらありすさんといえ、とりあえずで作るものではありませんね」
ありす「それは晴さんに真剣さが足りないから現実をですね」
梨沙「アンタは現実じゃなくて理想見過ぎでしょ」
ありす「決して理想で終わる話では」
梨沙「違うわ。アンタ、アイドルの話してるけど、アイドルより先見てるわ。なんとなくわかっちゃった」
ありす「確かに私は音楽に関する仕事を」
梨沙「そうじゃない」
梨沙「――アンタ、アイドルやめるつもりでしょ?」
ありす「……っ」
晴「は!?」
梨沙「でも勝手に一人だけ抜ける罪悪感で全員で目標達成したらやめるとか考えてるんでしょ」
ありす「そ、そんなことする理由なんて」
梨沙「言っておくけどアンタがPと付き合ってるのなんかバレバレよ」
晴「付き合って!? え!?」
桃華「晴さん、ちょっと静かに」
ありす「……よくわかりましたね、私とPさんの関係なんて」
梨沙「いや、逆にあれだけ事務所でイチャイチャしててなんでバレないと思ったのよ。何事務所であーんとかやってんのよ」
ありす「い、イチャイチャなんて」
梨沙「うっさいのろけんな。っていうかなめんな。自分がなんとかしないとずっとこのままだと思った?」
ありす「そんなつもりは……」
梨沙「何が三年よ。三年後引退したら結婚できるとか? ふざけてんの?」
ありす「うっ……」
梨沙「一年よ」
ありす「……はい?」
梨沙「雲の上なんて撤回。一年でアンタの言ってるドームに到達するわ」
ありす「はい?」
梨沙「そんな早くにドーム埋めるアイドルになったら、アンタはアイドル辞めるに辞められなくなるわね」
ありす「……そしたら一年後に辞める口実ができますよ」
梨沙「辞めさせないわ、アタシたちでもっと高みへと行かざるを得ない状況にしてやるわ」
ありす「スキャンダルの危険性ありますよ」
梨沙「そもそもアンタの言った三年間でスキャンダル撮られる危険性もあるでしょ。前提が崩壊してるわ」
ありす「それでも……」
梨沙「あーーーーもううっさい。アンタはアイドル続けたいの、続けたくないの、どっち!?」
ありす「続けたいですけど……!」
梨沙「スキャンダルなんて346プロの権力で握りつぶさせればいいでしょ!」
ありす「それでも! 万が一があったら皆さんに迷惑を」
梨沙「そんな迷惑、アタシらが気にすると思った?」
晴「オレは気にしないぞ。その、つ、付き合ってるっていうのはびっくりしたけどよ」
桃華「何かありましたら、私は家の力に頼るのは本意ではありませんけども、櫻井家の力で全て闇に葬れますのよ」
ありす「皆さん……」
梨沙「ありす、アンタ最近気負いすぎよ。少しは肩の力抜いたら? みんな味方なんだから」
ありす「ありがとうございます……すみません、こんなワガママな話」
梨沙「ま、晴に宿題頑張らせる理由もできたからいいんじゃない?」
晴「うげっ」
梨沙「うげっじゃない。真面目に勉強しないとサッカー続けられないわよ」
晴「うー……わかったよ、勉強するかあ」
桃華「ふふ、結果的にありすさんのミーティングは成功ですわね」
晴「あー、桃華やありすは頭良いから楽勝かーちくしょー」
桃華「私もうかうかしてられませんわ。櫻井家たるもの、入試はトップで通るつもりですの」
ありす「残念ながらトップは難しいと思いますよ。私が受けるのも桃華さんと同じ学校ですので」
桃華「それは楽しみですわ。ありすさんを成績で負かす楽しみが増えるなんて」
ありす「私に勝てるとでも? 桃華さんがPさんに送っている成績見る限りだと私の方が上ですよ」
桃華「だからどこまで見てるんですの!?」
ありす「愛するPさんに届くメッセージは全て確認するのが妻の義務です」フンス
桃華「開き直らないでくださいまし!?」
――――
後日。
ありす「うー……」
P「どうしたんだ、浮かない顔して」
ありす「大丈夫です、なんとかなります」
P「いや何が……」
桃華「私が説明しますわ!」
ありす「くっ……説明を許さざるを得ないポーズ!」
P「桃華、優雅じゃないからそういうポーズはやめよう」
桃華「私は今、ありすさんに小テストの点数も連勝中な上に、月例テストでも勝利したのですわ!」
ありす「次は負けませんからね……!? 通算で言えば私の方が勝っているのです」
桃華「ふふん、今までの成績など関係ありませんわ。本番が近い今に私が連勝している、その事実こそが大切ですわ!」
ありす「くっ……」
P「あー……ありす、悪いな。俺ももっと家事するようにするよ。勉強時間足りないよな」
ありす「いえ、大丈夫です。Pさんはお仕事の時間が圧倒的に多すぎるんです。というか今もほとんど家事は分担してるじゃないですか」
P「といってもなあ」
ありす「私は、私の料理を食べて欲しいです。Pさんが美味しいって言ってくれると元気出ますから」
P「ありす……」
ありす「Pさん……」
桃華「なんですのこれ」
梨沙「これでよく隠してるつもりになれるわね」
ちひろ「罰としてPさんのこの前の領収書、私が出したことにしておきましょう」
P「おい」
おわり
かっこいいヴァリサが書きたかった
明日はありすちゃんの誕生日です
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