まほ「日本に帰りたい」 (6)

朝食バイキング


まほ「………」

まほ「む、今日の朝食はウィンナーにするか」

まほ「おうい、係の人、エクスキュース・ミー! ウィンナー! アイン! アイン・ウィンナー、プリーズ?」

まほ「……」

まほ「…通じないか」

まほ「えー、ウィンナー! これ! ディス! ウインナー! 口を見ろって、ほら、ウ・イ・ン・ナ・ア! ひとつね、アイン!! はい、よろしく」

まほ「………」

まほ「そう、そう! ベリーグー。ダンケ!」

まほ「あ、それとケチャップどこにあんの? ケチャップ! ケチャップだってほら! 言わないかなドイツでもケチャップって?」

まほ「あー、なんだろう、ケチャップのドイツ語は……」

まほ「あの、ホラ………そう! デルモンテ! デルモンテ・プリーズ! ワン・カップ・デルモンテ!!」

まほ「おい! 通じてるだろ! デルモンテだって! ディエrrルモンテ!(巻き舌)」

まほ「ディエrrルモンテ・ケチャップ! ディエr……おい、そんな顔で見るな。いいから口を見ろって。ディエルモンテエ!!」



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まほ「ディエ……あ、わかった? え、どこにあんの? うん、この道を真っすぐ行って? それで? 右に曲がんの? オーケー! センキュ……ダンケ!」

まほ「えーここを真っすぐか。んで右…と……」


まほ「ここはトイレじゃないか!!!」


まほ「あんのやろうはめやがったな西住流を! ケチャップも分かんねえでやんの、あいつ。そんくらいの教育も受けてないから食堂のおばちゃんで人生終えんだよ」

まほ「あーもうイライラする。ケチャップなしでいいよもう。ウィンナー食うよケチャップなしで!」

まほ「あほたれが!」

まほ「あいつらこっち見やがって、何様のつもりだよあいt……み、見んなよ!! 何見てんだお前! お前だよ!! アホ面のおまえ!! シッ、シッ。アウェイ!! 散れこのくそ」


まほ「さあ他は何を食べようかな」

まほ「うーん、これといって何も…」

まほ「お、ポテトがあるな」

まほ「ポテイトウ・プリーズ! ポテイトウ! そうそう、ポテトね。 え、そんな入れんの?」

まほ「いやいやそんなに要らないって。いや要らないよそんなに。だって朝だよ? 要らんって言ってるじゃんか、コラ! 皿がギュウギュウだってそんなに入れちゃったら!」

まほ「ノーノ―。ポテイトウ・イレスギ☆ ポテイトウ・イレスギイ。だからポテイトウ……なんだよその目は! ポテトが多いって言ってなんでそんな目をされなきゃいけないんだよ!」

まほ「お前が入れすぎたからこっちは怒ってるんだからな! お前のせいじゃこれは。分かったら早く少なくしろって。」

まほ「あーそうかドイツ語か。わかったわかった。今お前にでもわかるようにドイツ語で言ってやるからな。」

まほ「あー、イッヒ、イッヒ、ポテイトウ、ソンナニ、ノーノ―。イッヒ、ポテイトウ、イレスギなんや。ワカッタラ、ハヤク、ヘラセ。……最後のは日本語だ。お前には一生分からない日本語だ」


まほ「だから…その……イッヒ、イッヒ………ノーポテイトウ。そう、イエス。そう、減らして……ああそれは減らし過ぎ! ストップ、ストップ!! そう、そのへん……ああもうちょっと欲しいかな。」

まほ「リ、リトル・ポレイロウ。……え? いきなりすごい話しかけてきた……。いや、そんなに急に喋られてもこっちは分からんって。もっとゆっくり…ちょっとス、スロウ、スロウ……いやすごい剣幕でまくし立ててきた……」

まほ「もうこんな白人に怒られたら適わないな……。オ、オーケー! センキュ…ダンケ! え? 行っちゃいけないの? 戻って来いって…。いや、ポテトは要らないって、さっき言ったじゃんそう。ノーノ―・ポテイトウ。だからノーだって。要らねえtt…な、う、うるせえなお前さっきから! 何が気に入らねえんだよ! 何が気に入らねえか言ってみろよ! え!? ドイツ語分かんねえって言ってるだろ!!」

まほ「もういいよお前は日本語喋れねえからこっちがドイツ語で喋ってやるよ! お前が馬鹿だからこっちも苦労するよ本当に!! 言っとくけどお前が日本語喋れねえからこっちがドイツ語喋るんだからな!」

まほ「ドゥ、ドゥー! スカポンタン! バームクーヘン!! クーヘン!!!」

まほ「フォルクス・ワーゲン! ドゥ―、ディートリッヒ!! あほんだらお前!」

まほ「い、イッヒ、ドゥ―………クーヘン!! クーヘン、お前のことじゃドアホこんなろう。……な、なに笑ってんだよお前こら! お前が…元とは言えばお前がポテト入れすぎたからこうなったんだぞ分かってんのかお前は! だから笑うなってんだろうが!! おい! だれだ今後ろからポテト投げてきたの!! お前か! お前だろうなお前はそういう顔してるよ本当に。ポテト投げただけで喜ぶおめでたい頭持ってそうな顔してるよ!」


まほ「お前なんかもうあの……ナチだ!! お前はナチだああああああ!!!!」


まほ「……」

まほ「はあ、はあ……。なんか言えよ。おい、なんで急に黙ったんだよ。お前、ほらポテトのお前、何か言えよ。」

まほ「そんな目で人を見るな。なんで何も言わねえんだ。もういいや、ポテト要らないから、ケチャップの場所だけ教えてくれ。やっぱりウィンナー味なしで食べたくないから。」

まほ「え? ほら、お前でいいや。教えてよ。あー、う、ウェアー・デルモンテ? ウェアー……え? おい! 誰だ後ろから羽交い絞めにすんの!! は、放せよ! 放せこいつ…ッ」

まほ「おい! 警備員かお前!! 放せってんだおら! おまっ……おめえみたいな不細工が西住流に触ってんじゃねえよ!! はなせよ!! おまっ……よく見たらお前はあれに似てるよ。あのー、西川きよし師匠に似てるよ」

まほ「おうい! 見てないで助けてえ! ポテトのお前エ! へ、ヘルプ! ヘルプ・ミー!!!」ズルズル


大洗・みほの部屋

みほ「あ、お姉ちゃんから手紙だ」

拝啓 みほ

 グーテンターク! 私は今初夏の匂いを微かに感じながら、ああ外はもう夏の足音が…と感慨に浸りながらこれを書いています。ドイツの夏は、日本に比べるととても空気がさらりとしていて、太陽もそれほど近くなく、非常に過ごしやすいです。日が落ちると空が真っ赤になって私の部屋にも差してくるのですが、それがみほと一緒に過ごした熊本での夏を思い出させます。
 ところで話は変わりますが、私は今訳あって部屋に閉じこもっています。座学が忙しくて、やってもやっても追いつかないので、志願して部屋に閉じこもるよう特別に許可をもらいました。単刀直入に言いますが、鉛筆をください。あればあるだけ送ってください。今持っている鉛筆が小さすぎて書きにくいのです。やっぱりコクヨの鉛筆が書き心地最高なのです。私の部屋を管理してくれている男の人はとても親切なのですが、ちょっと顔が怖くて、おまけに馬鹿で「鉛筆」という言葉が通じません。あと、出来たらカーペットとクッションが欲しいです。床がつめたいです。ちょっとえんぴつが短くなってきたので、そろそろおわりにします。みほの顔がみたい。わたしは日本にかえりたいです。みんなにあいたい

 PS ういんなーのどいつごをおしえてください
敬具
 


おわり

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