・「アイドルマスター シンデレラガールズ」のSSです
・概ねアニメ寄りの世界線ですが、その他のコンテンツの要素や独自の解釈を含むことがあります
-----事務所-----
ガチャ
かな子「おはようございますっ!」
杏「おはよー……って、なんだ。まだ誰もいないじゃん」
智絵里「みたいだね……」キョロキョロ
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かな子「ふふっ。そう思わせて、イタズラ好きな子がどこかに隠れてたりして」
智絵里「あぁ……みりあちゃんとか、そういうの好きそう、かも」
杏「あー、ね。ソファーの裏に隠れて、寝てたりしてね」
智絵里「それは杏ちゃんじゃあ……?」
かな子「たまに思うんだけど、あんな場所で居眠りしてて、窮屈じゃないの?」
杏「そりゃまあそうだけど。でも、あんまり堂々と寝てるとプロデューサーに見つかって起こされたりするからさ。仕方ないじゃん?」
杏「いやー、こういう時、身体が小さいと便利だよねー」
智絵里「そういえば、前に言ってたよね。小さい頃、かくれんぼが得意だったって」
杏「まぁね。北海道の潜伏女王とは、杏のことだよ」ドヤァ
かな子「そ、そんなすごい二つ名が……?」
杏「いや、今考えた」
かな子「今考えたんだ……」
智絵里「あはは……でも、そうやってすぐに思い付けるのって、すごいよね」
杏「そう? たまたまだよ、たまたま」
杏「んー、けどこうやって普段からアドリブ力を鍛えておけば、トーク番組とかでは役に立つのかもね」
かな子「確かに……ふふっ。杏ちゃん、やっぱりちゃんとお仕事のこと考えてるんだ」
杏「……あっ。いやその、これも今思い付いただけだよ。うん」
かな子「もう、またそうやってごまかすんだから」
智絵里「アドリブかぁ……私、少し苦手だなぁ」
杏「智絵里ちゃんはもうちょい不測の事態に対応できるようになったほうがいいよね。ほら、道端でいきなり大きい犬に吠えられた時とか」
智絵里「はうっ……!」
かな子「ああ、この間の……。すぐ後ろに私がいたから良かったけど、そうじゃなかったら智絵里ちゃん、尻もちついちゃいそうだったもんね」
智絵里「うぅ……二人とも、あれは忘れてって言ったじゃないですかぁ……!///」カァァ
杏「ごめんごめん。つい」
かな子「ワンちゃんは可愛かったけど、急に大きな声で吠えられるとびっくりしちゃうよね」
智絵里「うん……胸が、きゅってなっちゃった」
杏「俗に言う、胸キュンだね」
智絵里「そ、それとは違うような……」
かな子「でも、ほら。少女漫画とかだと、こういうのをきっかけに飼い主の人と仲良くなって、恋に落ちちゃったりとか……♪」ウットリ
智絵里「……えっと、確か飼い主さん、女の人だったはずだけど……」
杏「いやでも、犬はオスだったかもしれないし」
智絵里「え、ええぇ……!?」
かな子「さ、さすがに犬と恋に落ちちゃう少女漫画は、見たことないよ……」
杏「最近はドラマの視聴率も落ちてるって聞くし、それぐらい尖った設定のほうが注目されるかもよ?」
かな子「あ、もう実写ドラマ化決まってるんだ、それ……」
智絵里「うぅ……わ、私が恋愛ドラマの主演なんて、務まるかなぁ……?」
かな子「そっちが問題なの?」
杏「うーん……智絵里ちゃんが演じやすいようにするには、脚本に少しファンタジーっぽい要素を足そうか」
かな子「ファンタジー……あ、こんなのはどう? ワンちゃんの心の声が、智絵里ちゃんにだけ聴こえるの」
杏「あ、なんかそれっぽい。いいね」
智絵里「うん……案外、素敵なお話になりそう」
杏「じゃあ、その犬の心の声は、みくちゃんにでも声を当ててもらおうか」
かな子「犬なのに!?」
智絵里「またみくちゃんに言われちゃうよ? アイデンティティがーって」
杏「でもさ……考えてみてよ」
かな子「うん」
杏「……散々働きたくないって言ってるのに、これだけ仕事をしてる杏が、一番アイデンティティがしっちゃかめっちゃかしてると思わない?」
智絵里「言われてみると……そうなるのかな?」
杏「でしょー? まったく、プロデューサーが変に真面目なせいで……」
かな子「じゃあ逆に、今日から進んでお仕事を楽しむキャラに路線変更すれば……」
杏「なんでやねん。ヤダよ、そんな社畜みたいなの」
杏「杏は自分を曲げないよー」グデー
かな子「あはは……やっぱり、そうだよね」
智絵里「私は、杏ちゃんやかな子ちゃんとのお仕事、すっごく楽しいけどなぁ」
杏「うぐぉ……なんて純粋な瞳……杏みたいな日陰者には、眩しすぎるよ……」
智絵里「二人と一緒なら、私……前を向いて、胸を張ってアイドルできるからっ」キラキラ
杏「……ねぇ、かな子ちゃん。サングラス持ってない?」
かな子「も、持ってないよぉ、そんなの」
杏「そっかー……仕方ない、アイマスクで妥協しよう」ガサゴソ
智絵里「……あ、それは持ってるんだ……」
かな子「アイマスクにぴにゃこら太の顔が描いてある……」
杏「ふっふっふ。とある伝手から手に入れた、杏の快眠グッズだよ」ドヤァ
智絵里「ふふっ。それを着けてると、まるでぴにゃこら太がどや顔してるみたいだね」
かな子「なんだか、そうやって寝ると、夢にぴにゃこら太が出てきそう……」
杏「ぅわー、何その特に嬉しくない効果」
智絵里「あ……枕の下に好きな人の写真を挟んで寝ると、その人の夢を見られるっていうおまじない、あるよね。そんな感じなのかな?」
杏「お? さては智絵里ちゃん、実践済みだなー?」ニヤニヤ
智絵里「ふぇっ!? ちっ、違います違いますっ! その……お、お友達から聞いただけでっ……///」ワタワタ
杏「んふふ、慌てるあたり怪しいなぁ。ね、かな子ちゃん」
かな子「……ケーキの写真……レシピ本に載ってる写真でも、大丈夫かなぁ」ブツブツ
杏「……あー、そこまで頭ん中スイーツ一色なら、もう写真もいらないんじゃないかな、うん」
智絵里「……あっ。ねぇかな子ちゃん。ちょっと考えてみたんだけど……」
智絵里「おっきなスポンジケーキを枕にして寝られたら、すごく気持ちよさそうじゃないかな?」
かな子「わぁっ! それ、いいかも! 甘い香りに包まれて、うっとりしちゃいそう……♪」
杏「夜食代わりにもなるね」
かな子「いつでも寝ながらケーキが食べられる環境……ある意味、ちょっと怖いなぁ、それ」
杏「起きたら枕が無くなってたりしてね」
智絵里「か、完食……」
かな子「ダイエットコースまっしぐらだね……」
かな子「あ。そう考えると……夢の中でスイーツを食べるっていうのは、すごくいいのかも! 幸せな気分になれるし、おまけに太らないし!」
杏「いやまぁ、かな子ちゃんがそれでいいならいいけど」
智絵里「でも確かに、私も四つ葉のクローバーを見つける夢を見たときは、起きた後もちょっぴり幸せな気分でしたっ」
かな子「だよねっ! あぁ、これから毎日、スイーツの夢を見られたらいいのになぁ」
杏「毎日だとさすがに胃もたれしそうだから、週一で野菜食べる夢とかも見よう」
かな子「や、野菜!? うぅ、それだとあんまり幸せな感じがしないよぉ……」
杏「でもほら、ナスとかなら縁起もいいし」
智絵里「それはお正月限定じゃあ……?」
かな子「あぁ、初夢のこと? 富士山と……あとは何だっけ?」
杏「フジヤマ・ニンジャ・アイドル?」
智絵里「な、なんでやねんっ」ビシィ
杏「あぅ。……しょうがないなぁ。ナスで満足できないなら、追加でキュウリもつけよう」
かな子「今度はお盆になっちゃった」
杏「盆と正月がいっぺんにくる、とはまさにこのことだね」
智絵里「えと、絶対そういう意味じゃないよね……?」
かな子「あははっ。……でも、私たちもいつか、それぐらい忙しい売れっ子アイドルになれるように、頑張らなきゃねっ」
杏「えー!? そんなの杏、耐えられないよー。働き過ぎは体に毒。適度に休み休みいかないと」
智絵里「うーん……杏ちゃんの言うことも、少し分かるけど……」
智絵里「サマーフェスで美波さんが倒れちゃったときも、みんな心配したし……」
杏「でしょ? もしプロデューサーが休む間も無いような量の仕事を持ってきたら、杏は徹底抗戦するよっ」
かな子「ま、まさか……またカフェに立てこもる、とか……?」
杏「我々の正義のためには、強硬手段も辞さないかもね」フフーン
智絵里「だ、ダメだよ杏ちゃん……いろんな人に、迷惑がかかっちゃうし……」
杏「そんな……智絵里ちゃんは、杏の味方してくれないの……?」ウワメヅカイ
かな子「杏ちゃん……上目遣いっぽくしてるけど、ぴにゃこら太アイマスクのせいで全然伝わらないよ……」
智絵里「えぇ……っ!? そ、そういうわけじゃなくて……わ、私は、杏ちゃんの仲間で、味方……だよ!」コクコク
杏「でもほら、想いは伝わったよ。よぉし、優しい智絵里ちゃんには、とっておきの飴をプレゼントしよう」
智絵里「わぁ、いいの? ありがとうっ」
杏「智絵里ちゃんがなかまにくわわった! てってれー」
かな子「あぁ……働きたくない同盟が拡大されちゃう……」
智絵里「あっ、えっ? これって、そういうことだったの!?」ガーン
杏「ふっふっふ……杏はここに、ぐうたら王国を建国するのだー!」
かな子「ち、智絵里ちゃん! 昨日作ってきたスイートポテトあげるから、一緒にお仕事頑張ろう!」
杏「ぬぅ、食べ物で釣るなんて、卑怯な……!」グヌヌ
かな子「杏ちゃんだって、飴あげてたじゃないっ」
智絵里「あわわわ……ど、どうしたら……!?」
ガチャ
卯月「おはようございますっ!」
智絵里「ふ、二人ともっ! 私を……私を取り合うのはやめてくださいっ!」
卯月「ぅええぇ!? しゅ、修羅場ですかっ!?」
おわり
以上、お付き合いありがとうございました。
書き終わった後で知ったのですが、ぴにゃアイマスクは実在するそうですね。
前回
キャンディアイランドの大抵毒にも薬にもならないおしゃべり
も、よろしければどうぞ。
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