【モバマス】39位は特別賞 (22)
「28位、かぁ・・・」
誰もいない事務所の廊下で一人、Pチャンからもらった今回の総選挙の結果を見て、みくは呟いた。
前回から9位のランクダウン。
「みくの人気には波があるし、全体で見れば十分上位だから誇っていい」ってPチャンは言ってくれたけど、やっぱりちょっと悔しいにゃ。
みくだって、シンデレラガールの夢を諦めたわけじゃない。
もっともっと、頑張らないといけないにゃ。でも・・・
「・・・奈々チャン、良かったにゃあ・・・」
今回のシンデレラガールは奈々チャン。
もちろん自分がなれなかった悔しさはあるけど、それ以上に奈々チャンがシンデレラガールを勝ち取ったことは嬉しかった。
みくといつも仲良くしてくれて、それでいて目標である奈々チャン。
2歳しか違わないのにすごくしっかりしてて、みくはいつも頼りにしてたにゃ。
・・・ほんとに2歳しか違わないのかは置いといて。
涙で顔をぐしゃぐしゃにしてた奈々チャンを見て、みくももらい泣きしそうになってしまったにゃ。
おめでとう、奈々チャン。
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「で、あとは・・・」
みくの結果と、奈々チャンを含めた上位の結果を確認して。
次に気になるのはやっぱり、みくの相方であるあの子の結果。
最初からずっと50位圏内に入ってたけど、前回はギリギリの49位。
みんなの前では「ギリギリ圏内もロックだよねー!」なんて強がってたけど、
みくの前では不安な顔して「今回が正念場だよ。」って言ってた。
いままでずっと圏内に居たから、落ちたらすごく落ち込むと思う。
でもみんなの前では強がって弱みを見せないと思う、そんな李衣菜チャンをみくは見たくないにゃ。
祈るような気持ちで李衣菜チャンの名前を探す・・・・
・・・
・・・
・・・あった!
39位!前回より10位も上げてる!
「やったにゃ!!」
「・・・って、なんでみくが李衣菜チャンの結果見て喜んでるにゃ。」
思わずガッツポーズなんてしてしまったけど、ふと我に返って恥ずかしくなる。
いま周りに誰もいなくて良かったにゃ。
「ん?・・・39位・・・?」
ふとこの数字が、頭にひっかかった。
この数字、なんかすごく親近感が沸くような。
39・・・39・・・み、く・・・みく!?
李衣菜チャンがみく位・・・
「いやいやいやいや!!!」
39だからみくってなんて安直な!
でもなんかちょっと嬉しいと思ってる自分が居て更に恥ずかしい!
乙女か!って自分で自分にツッコみたくなるにゃ。
「どうしたのみくちゃん、いきなり叫んだりして。」
と、一人でドギマギしていたら、後ろから聞きなれた声が聞こえてきた。
「李衣菜チャン!?」
「え、うん。私だけど。そんなびっくりしなくてもいいじゃん。」
「急に声かけられたらびっくりするにゃ!」
「そんな急でも無かったと思うけどなあ。で、どうしたの?なんか叫んでたけど。」
い、言えないにゃ・・・
まさか李衣菜ちゃんがみくっぽい順位でニヤニヤしてたなんて!!
「な、なんでもないにゃ!それより、総選挙の結果見た?」
慌てて話題をそらす。
李衣菜チャンもPチャンから結果貰ってたはずだから、当然見てるはずなんだけどね。
「あー・・・う~ん、その、あれ・・・」
微妙な表情で言いよどむ李衣菜チャン。
あれ?あんまり触れてほしくない感じ?
「どうしたにゃ?ちゃんと圏内に入ったし、10位も上がったんだから立派な結果にゃ。」
「まあ私はね・・・でもほら、みくちゃんは・・・」
ああ、李衣菜チャンはみくが下がったことを気にしてるにゃ。
普段ロックロック言ってるくせに、そういうところはすごく気遣い出来て・・・
ほんともう。李衣菜チャンってば。
「はぁ・・・李衣菜チャン、ロックじゃないにゃあ。」
「な、なんだとう!?」
「みくは自分の結果をしっかり受け止めてるからいいの!
それより、自分の結果を喜ぶべきにゃ!10位ランクアップなんてすごいにゃ!
おめでとう!李衣菜チャン!」
「・・・うん、ありがとう!私、実はすごい不安だったんだ。今回が正念場だって思ってた。
だから今回の結果見たとき、すごく嬉しかったし、ほっとしたんだ。」
笑顔の李衣菜チャンの目じりには少し涙が浮かんでる。
みくも李衣菜チャンが落ち込む姿は見たくなかったから、良かったにゃ。
「でね、嬉しいことがもうひとつあってね。」
もうひとつ?なんだろう?
「うれしいこと?」
「うん。ほら、私って39位だったじゃん?」
あ、嫌な予感。
「39・・・ってさ、ほら、語呂合わせっぽくひらがなにするとさ。」
にゃ、これはまずい。
「・・・『みく』っぽくない?ほら、みく位だよ!私!!」
にゃああああああああああああ!!
気付きやがったこのロック!
そして比較的大きめの声で!嬉しそうに!
私が一人気付いて悶絶していたそのワードを簡単に!
「・・・李衣菜チャン!ちょっと言いたいことがあるにゃ!」
「え?なになに??」
いろいろ言いたいことはあるけれど、とりあえずこの一言に込めるにゃ!
「・・・李衣菜チャン、そういうとこにゃ!!」
「あ、よく言われるやつだ!そういうとこってどういうとこ!?」
「そういうとこはそういうとこにゃあああああ!!!」
~~~~
「・・・怒られたね。」
「・・・怒られたにゃ。」
廊下で李衣菜チャンと騒いだ結果、通りかかったちひろさんに「廊下で騒がないでくださいね。」
って笑顔で起こられた。怖かったにゃ・・・
「でも、みくちゃんが元気そうで良かったよ。」
「え?」
「言いにくいけど順位下がっちゃったから落ち込んでるんじゃないかって、心配したんだ。私。」
「んもー。これぐらい平気にゃ。それに・・・あのね・・・」
「何?」
「みくも・・・李衣菜チャンが39位で・・・なんか、うれしかったから・・・」
恥ずかしいけど心配してくれた李衣菜チャンのために、気付いていたことをバラす。
李衣菜チャンが39位・・・みく位だって気付いたら、意味はないけどすごく嬉しくて。
そしたら、なんか抱えてたモヤモヤが吹き飛んだから。
「ありがとう・・・李衣菜チャン。」
みく位になってくれて、ありがとう。
「わ、私は何もしてないけどね?あはは・・・」
照れながら笑う李衣菜チャン。
みくもそれに釣られて笑う。
39位は、特別賞。
みく位を取った、李衣菜チャン。
みくにとってのシンデレラガールは、李衣菜チャンだよ。
終わりです。ありがとうございました。
多田李衣菜さん総選挙みく位おめでとうございます!!
すみません名前変換を間違えてしまいました。
菜々に訂正でお願いします・・・
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