本田未央「……あっ、もう4月なんだ……」
未央「うーん……」
未央「……ところで、こないだ、うち、圧力鍋が壊れちゃってさー。お母さんが困っているんだ」
未央「家族全員、お母さんが圧力鍋で作る豚の角煮が大好きでさー」
未央「えっ、あっ、しまむー、本当に困らなくていいんだよ? 圧力鍋の話は本当だけど……」
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五十嵐響子「ええっ、卯月ちゃん、1億円当てたの!?」
小日向美穂「すっごーいっ!」
響子「1億円あったら、家族ずっと養えそうだなあ……」
美穂「ま、まさか、卯月ちゃん、アイドル辞めちゃったりしないよね……」
響子「ええっ!? そ、そんなあ……」
美穂「そんなのいやだ……卯月ちゃんと響子ちゃんと一緒にここまで来たのに……」
響子「え、辞めない?」
美穂「今日は何の日、って……?」
響子・美穂「あっ」
輿水幸子「い、いい、い1億円!」
幸子「いちおくえんってことは……ぜろがいくつ……ええっと、いち、に、さん、じゅう、ひゃく、せん、まん……」
幸子「それだと、うちから事務所までの交通費でだいたい……毎日通ったとしても38年分くらい……? ノートだと、ひと月に、ええと……」
幸子「え、あっ、4月1日……?」
幸子「え、ええ、知ってましたよ! このカワイイボクはなんでもお見通しですからねっ!」
多田李衣菜「ええっ! 1億円!」
李衣菜「1億円あったら、色んなもの買い放題じゃん!」
前川みく「……りーなちゃん」
李衣菜「ほしかったレコードも大人買いして、ああっ、あのヘッドフォンも買えて……まだお釣りが来ちゃう!」
みく「……りーなちゃん」
李衣菜「ねえ、みくちゃんは何したい!?」
みく「いや、その、今日は何月何日?」
李衣菜「今日は……あっ!」
みく「……ったく、李衣菜ちゃんも考えなしだけど、卯月ちゃんも人が悪いにゃ……」
みく「ちなみに、みくは、みんなの応援があれば生きていけるから、そんなお金はいらないにゃ!」
李衣菜「みくちゃん、こないだ私が出したジュース代返してよ。『喉乾いて死にそうだけどお財布忘れたにゃー!』って半泣きでせがまれた時のアレ……」
みく「あっ、はい……」
高垣楓「1億円ですか……」
楓「1億円あったら、地元に戻って呑んで遊んで暮らせますね」
楓「でも、私はアイドルを続けたいですから、しばらくこっちに居たいです」
楓「卯月ちゃんは、その1億円で何をするんですか?」
三船美優「1億円、ですか……」
美優「私なら、半分くらいは実家の方に送って、あとの半分は自分で使いますね」
美優「えっ、自分は何に使うのかって?」
美優「……何に使えばいいんでしょう……」
依田芳乃「1億円ーですかー?」
芳乃「私がもっていてもー使いようがありませぬー」
芳乃「しかしー卯月さんー。今日が4月の1日だからといってーあまりー……」
芳乃「えー『私、まだ何も言ってないのに、なんでわかるんですか?』ですってー?」
芳乃「それは失礼をー。しかし、今、そんな気をーとても感じましたのでー―――」
神谷奈緒「えっ、1億円?」
北条加蓮「あー、そういう……」
奈緒「卯月、そういうこと、あんま言いふらさない方が……」
加蓮「奈緒、本気にしてるの?」
奈緒「いやっ、ちげーし! ほら、さっきの……!」
森久保乃々「い、1億円……」
乃々「あー、さっきの凛さん……」
乃々「ええ、凛さんが卯月さんのこと探してましたよ……」
乃々「ちなみに、もりくぼが1億円あったら何をしたいか……?」
乃々「……ここに引きこもります……」
乃々「……で、できないって……そんなぁ……だって、もりくぼは、プロデューサーさんの机の下がぁ……」
島村卯月「あっ、凛ちゃーん!」
凛 卯月の腕をガシッ
卯月「えっ! あの、凛ちゃん?」
渋谷凛「卯月、ちょっと」
卯月「ええっ、どこへ……」
誰もいない会議室
鍵 ガチャッ
卯月「凛ちゃん、何を……」
凛 壁ドンッ!
卯月「ひっ……!」
凛「卯月」シーッ
卯月「へぇっ?」
凛「あんまり、大きい声で、そういうこと言わない方がいいよ」
卯月「そういうこと、って……」
凛「宝くじの話」
卯月「へっ……うええっ!? んぐぐ……」
凛 卯月の口を手で閉じて、シーッ
凛「だから、大声出さないで」
凛「そんなこと言いふらしたら、色んな人がたかりに来るよ」
卯月「……」
凛 卯月の口から手を放す
凛「こういうことはプロデューサーに……いや、プロデューサーは案外、お金のことに関して計画性がないから、ちひろさんとかに相談して、ちゃんと計画立ててやらないと……」
卯月「あの……」
凛「お父さんやお母さんは知っているよね? じゃあ、お金は家に任せて、卯月はちゃんと自分の選んだ道を進んだ方がいいと思う」
卯月「あの」
凛「卯月は、ずっとアイドルになりたかったんでしょ? それに私達のような子供じゃ、お金のことはわからないから。卯月が自分の道を進む方が、私も――」
卯月「あの、凛ちゃんっ!」
凛「?」
卯月「……今日、何月何日でしたっけ?」
凛「……」
凛「……あ」
幸子「ふ、フフーン! ボクは最初からわかっていましたけどね!」
李衣菜「わ、私もだし!」
みく(幸子ちゃんもわかってなかったんだ……)
未央「それにしても、しぶりんが本気で信じちゃうとは……」
美穂「わたし達がつい、凛ちゃんに卯月ちゃんの話をしたら、話の途中で走っていっちゃうなんて……」
響子「……ごめんなさい」
芳乃「わたくしもーもっと早く言っていれば―……」
奈緒「いやいや。凛も、真面目で、周りを見ないところがあるからなあ……あーあ、あたしが早く卯月に言ってあげられたら良かったんだけどなー。誰かさんが途中で余計な口挟むから」
加蓮「いやー、ごめんごめん。私も、凛がそこまで本気にしているとは思わなくて、つい……」
卯月「ど、どうしましょう……凛ちゃん、さっきも走ってどっかいっちゃいましたし……」
美優「卯月ちゃん。嘘はあまり良くないけど、エイプリルフールだから、仕方ないですよ……」
楓「でも、凛ちゃんも意外と純情なんですね。1億だから、じゅうのじゅんじょう(10の10乗)、なんてね。ふふっ」
幸子「楓さんもだいぶ動揺してますね……10の10乗は100億ですよ……ひゃ、100億円……!?」
未央「いやいや、さっちーも落ち着いて」
扉ガチャ
乃々「お手洗いからの、もーどーりぃー……」
卯月「乃々ちゃん、凛ちゃん見なかった?」
乃々「凛さんなら、もりくぼがお手洗いに行く途中に、屋上へ上がっていくのを見ましたけど……」
卯月「乃々ちゃん、ありがとう!」 ダッ
乃々「えっ?」
未央「あっ、しまむー!」
屋上
卯月「凛ちゃん……」
凛「……」
卯月「凛ちゃん、さっきは……」
凛「うづきのばかっ」
卯月「……」
凛「卯月が冗談を言うなんて思わなかった……私、ほんとに心配してたのに……」
凛「卯月の方が年上だし、意外としっかりしてると思ったけど……おっちょこちょいで、すぐ人を信じちゃうから、悪い人に騙されたらどうしようかって……」グズッ
凛「エイプリルフールだって気付かなくて、本当に心配した私、本当に馬鹿……」ヒクッ グズッ
卯月「そんなこと、ないよ……」
凛「……え」
卯月「私、知ってますから。凛ちゃんは優しい、真面目な人だから。凛ちゃんは、ばかじゃないです」
凛「……」
卯月「私のために、そこまで心配してくれたのは、本当にうれしかったです」
卯月「本当の馬鹿は私です。嘘をついて、本当にごめんなさい」ペコッ
凛「……」
卯月「……」
凛「もう、卯月……」
凛「……じゃあ、こんど」
卯月「……?」
凛「……今度、うちに遊びに来て。お互い、最近忙しくて、外であんま遊んでなかったじゃん」
凛「お母さんも、お父さんも、卯月に会いたがっていたし……ハナコも、卯月に、会いたいって、感じ、だった、し……だから……」カァッ
卯月「うん!」ニコッ
凛「……卯月」
卯月「今度、凛ちゃん家に遊びに行くね。ハナコちゃんと凛ちゃんで、またお散歩したいな!」
凛「うん!」ニコッ
卯月(でも……)
卯月(みんなや、凛ちゃんには迷惑をかけちゃって悪いけど……)
卯月(みんなから、楽しい話もきけたし……)
卯月(それに凛ちゃんの色んな顔まで見れた上に、近いうちに凛ちゃんの家に遊びに行けることができるなんて……)
卯月(また来年、私、嘘、ついちゃそう……)
おわり
以上で、話は終わりです。
ちなみに、この話には元ネタがあります。
声優の林原めぐみさんが、よく自分のラジオで話していたエピソードです。
林原さんが新人の頃、エイプリルフールの日にアニメの収録スタジオで「宝くじで凄い金額が当たった!」と、周りの共演者の皆さんに言ったそうです。
ほとんどの人は真に受けてなかったそうですが、一人、同じく当時新人だった山寺宏一さんは、林原さんを別の所に連れていき、こっそり、
「そういうことは大きい声で言わない方がいいよ」と、本気で注意をしたそうです。
あとで林原さんがネタばらしをして、他の共演者の方は笑っていたそうですが、山寺さん一人「そう言う嘘つくって信じられねえ!」とマジギレしていたそうです。
林原さんも「山寺さんって本当に良い人だな」と、当時を思い出して話しています。
投稿は以上です。失礼いたしました。
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