宇宙飛行士「地球は……すごく青いです!」 (15)

リポーター「それではスペースシャトルの宇宙飛行士さん達と中継が繋がっています!」

リポーター「こんにちは~!」

宇宙飛行士『こんにちは!』

後輩『こんにちは~!』

リポーター「宇宙はいかがですか?」

宇宙飛行士『無重力で体がふわふわして……とても気持ちいいです!』

後輩『まるで自分の体が自分のものじゃなくなったみたいでーっす!』

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1522310450

リポーター「……なるほど、宇宙空間ではそのような不便もあるんですね!」

リポーター「では、最後に質問させて下さい」

宇宙飛行士『はい!』

リポーター「宇宙飛行士さんは船外活動もされたそうですが」

リポーター「宇宙から見た地球はいかがですか?」

宇宙飛行士『そうですね……』

宇宙飛行士『地球は……すごく青いです!』

リポーター「なるほど~!」

リポーター「素晴らしい名言を頂きました!」

リポーター「ではここでいったん、中継を切らせて頂きます! ありがとうございました!」

宇宙飛行士『さようなら~!』

宇宙飛行士「ふぅ、やっと終わったぜ」

後輩「お疲れーっす!」

宇宙飛行士「ったく、くだらねー質問ばかりしてきやがってめんどくさいったらねえ」

宇宙飛行士「どれもネットで検索すりゃ、すぐ答え分かるような質問ばかりじゃねえか」

宇宙飛行士「特に最後のやつ、宇宙から見た地球なんて聞いてどうすんだよ?」

宇宙飛行士「地球が青いなんて、今時幼稚園児だって知ってるぜ」

後輩「まあ、しょうがないっすよ。これも仕事のうちっすよ」

宇宙飛行士「まぁな」

後輩「しっかし、“素晴らしい名言”には笑ったっすね」

宇宙飛行士「ああ、ぶっちゃけめんどいからガガーリンの言葉をパクっただけなのに」

宇宙飛行士「まぁ俺がなにを言おうと、“素晴らしい名言”にするつもりだったんだろうがよ」

宇宙飛行士「それがマスコミってもんだ」

後輩「ガガーリン、実際には言ってないらしいって説もあるっすけどね」

宇宙飛行士「まぁな」

宇宙飛行士「ま、んなことはどうでもいいさ」

後輩「お、噂をすれば窓の外に地球が見えるっすよ」

宇宙飛行士「ホントだ」

後輩「手でも振ってやりますか」

宇宙飛行士「おう」

宇宙飛行士「お~い、下々の奴ら~! 見てるか~!」ヒラヒラ

宇宙飛行士「お前らの殆どは、一生宇宙になんて来れないんだろうなぁ~、ざまあみろ~!」ヒラヒラ

宇宙飛行士「せいぜい地上ではいつくばって生きていけよ~!」ヒラヒラ

後輩「ギャハハハハハッ!」

宇宙飛行士「お前もなんかいってやれよ」

後輩「はいっす!」

後輩「オレたちは厳しい訓練を耐え抜いた超エリートっすよ~!」

後輩「お前らなんかとは住む世界が違うっすよ~!」

宇宙飛行士「アハハッ! いいね、いいね!」

宇宙飛行士「もしこのシャトルに爆弾が積んであったら、何発か地上に落としてやりてえわ」

宇宙飛行士「“天罰!”とかいって!」

後輩「あの国とかあの国あたりに落としたいっすね!」

宇宙飛行士「そしたら、少しは世界も平和になるんじゃねえか」

宇宙飛行士「だけど、投げキッスも落としておいてやろう」チュパッ

後輩「誰にっすか? もしかして、奥さんと息子さん?」

宇宙飛行士「ンなわけあるかよ。愛人だよ、愛人」ニヤッ

宇宙飛行士「あんなブスな嫁にも、俺に似ずバカな息子にも、とっくに愛想が尽きたわ」

宇宙飛行士「家族には中指でも立てといてやるさ」ビッ

後輩「ギャハハハッ、ひでぇ~!」

宇宙飛行士「お前こそ、資産家の娘だっていう彼女とはどうなんだよ?」

後輩「いやぁ~、あっちはオレに惚れ込んでますけど、オレはもう冷めてますね」

宇宙飛行士「ん? じゃあ別れるつもり?」

後輩「いやいや、だけどあいつ、金だけは持ってますからね」

後輩「こうして、宇宙飛行士の夢が叶ったのも、あいつのスネをかじったからってとこあるし」

後輩「なるべく、金を引き出してから、別れ話に持ち込みたいと思ってます」

宇宙飛行士「おぬしもワルよのぉ~!」

後輩「先輩にいわれたくないっすよ~」

宇宙飛行士「なんつうか、あれだな」

宇宙飛行士「人間、無重力になると、体だけでなく心も軽くなって」

宇宙飛行士「こうして気軽になんでも話せちゃうな」

後輩「そうっすね」

後輩「地上にいる時は、オレたちあんまり打ち解けてなかったっすからね」

後輩「地球ももうちょい重力が低けりゃ、もっと平和だったんじゃないっすか?」

宇宙飛行士「かもな~! アハハハッ!」

宇宙飛行士「さぁって、しばらくは自由時間だから暇だな……」

宇宙飛行士「気晴らしにAVでも見るか? とっておきのを持ち込んであるんだよ」

後輩「いいっすね~! 見ましょ、見ましょ!」

宇宙飛行士「無重力でAV上映会ってのもまた格別ってもんだ」


アアーン… アンッ イヤァーン… アァン… ギシギシ…


宇宙飛行士「やっべ、ムラムラしてきた! 何度も見てるやつなのに!」

後輩「早いっすね! 先輩!」







『あのー……』

宇宙飛行士「ん? お前、今なんかいったか?」

後輩「なにもいってないっすよ?」

リポーター『こちら、地上のリポーターなんですけれど……』

宇宙飛行士「!? ……な、なんであんたが!?」

後輩「中継はさっき終わったじゃないっすか!」

リポーター『じ、実は……こちら側の機器の不手際で、中継が切れてなくてですね……』

宇宙飛行士「え!?」

後輩「え!?」

宇宙飛行士「ってことは、今までの映像と会話……全部……?」

リポーター『は、はい……放送されて、しまって……。す、すみません……』

後輩「マジっすか?」

リポーター『マジ……です……』

宇宙飛行士「…………」

後輩「…………」

宇宙飛行士「あのー……リポーターさん」

リポーター『……なんでしょう?』

宇宙飛行士「今の僕たちの顔色、いかがですか?」

リポーター『すごく……青いです……』









おわり

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