僕の名前は穂村澪(ほむら れい)
ある事情でこの地域の名家である彩月(さつき)家に引き取られました
そんなある日奥様から
「今年から果穂(かほ)と一緒に学校にいってほしいのだけどかまわないかしら」
澪「お嬢様とですか?」
「そう、果穂が学園で上手くやっていけるか心配で、それに寮生活になるから安否確認もしたいし」
奥様はちょっと過保護な部分がある
まぁ、大事な一人娘だからしょうがないのかな?
澪「引き受けました」
「ありがとう、あなたならそう言ってくれると思ったわ」
快く引き受けた僕であったが
まさかの事態に追い込まれるのでありました
数日後、奥様から学校編入の紙を渡されました
「あなたは二学年に編入して貰うわ
1年生の時は別の学校にいて…まぁ、ここはいいわね」
僕は奥様の話を聞きながら概要に目を通した
澪(凄いなぁ、創立40年か…)
「それでここからが重要なところだけど…」
奥様が少し声のトーンを変えて話し始める
「これからあなたには女の子になって貰うわ」
澪「…はい?」
まるで意味が分からなかった
澪「あの…それはどう言う…」
「ここね、女子校なのよ」
澪「…はっ?!」
「まぁ、そう驚くわよね」
澪「お、驚きますよ!なんでそれを言ってくれなかったんですか?!」
「だって、言ったら断るでしょ?」
澪「そ、そりゃ、断りますよ!」
「まぁ、騙したのは悪いと思ってるわ
でもね、我が子のためなの…」
出た、奥様の過保護
僕は真っ先に辞退をしようとしたが
「でも、もう編入手続きしちゃったのよねぇ」
この人っ!
「だから、もうあなたは女の子になるしかないのよ!」
奥様が指を鳴らすと扉が開き使用人が僕を取り押さえた
澪「ちょ!痛いですっ!」
「さぁ、あれを着せるのよ!」
奥様の声で使用人たちは僕の服を脱がせ
新たな服を着せてきた
澪「わっ!ちょ!」
着替えが終わったのか使用人たちは僕から離れていく
澪「うぅ…酷い目に……」
あれ…やけに股が涼しいなぁ
僕は下半身に目をやる
原因はすぐにわかった
澪「す、スカート!?」
よく見ると上も白を基調にしたセーラー服を着せられていた
「まぁ、結構似合うじゃない」
いや、まぁ、女の子っぽい顔立ちとは言われたことあるけど
これは…ない!
「あぁ、あと名前も変えて貰うわ
あの娘にバレたら責められるから」
だったらやめればいいのに
すると、コンコンと軽快にノックの音が聞こえた
えっ?この状態は不味い!
果穂「お母様~」
「はぁい、ちょっと待ってね
澪、これからあなたの名前は如月凪沙(きさらぎなぎさ)よ
あと、これ被って」
澪「え?え?」
もう、頭の中がごちゃごちゃしてる
「果穂今開けるわ」
ちょっと待って!
と、とりあえずこれ被って…
ガチャ
果穂「お母様、お話って何ですか?」
「果穂は今年から高校生になるでしょ?
それで、私たちの親戚に同じ学校へ編入する子がいたから挨拶しようと思ってたのよ」
果穂「そうなんですか?」
「えぇ、ほら、あそこに立ってるから挨拶して」
果穂「は、はい」
果穂お嬢様は少し足早に近づいて
果穂「えっと、彩月果穂です
今年からよろしくお願いします!」
深々とお辞儀をするお嬢様
澪「あっ、えっと…」
オドオドしながら奥様の方に目をやる
奥様はニコニコしながらこちらを見た
あぁ…本当にやだなぁ
凪沙「如月凪沙です
果穂ちゃん、これからよろしくね」
少し声を高くして話してみる
果穂お嬢様はバッと顔を上げ僕の顔を見つめる
果穂(ジーッ)
…バレたかな
まぁ、バレたらこの計画も終わりだしいいことだ
と、思っていました
果穂「よろしくお願いします!如月先輩!」
僕は絶句した
奥様は笑っていた
凪沙「あっ、うん、よろしくねぇ…」
嘘でしょ…何故バレないの?
僕ってそんなに女の子っぽい?
バレなかった安堵と逆に気づかれなかったショックが混ざる
果穂「あの、先輩?どうかしましたか?」
凪沙「う、うぅん、なんでもないよ」
果穂「そうですか」
「それじゃあ、果穂私たちもう少しお話があるから、席外してもらえる?」
果穂「はい、では先輩、学校でお会いしましょう」
凪沙「うん、、学校で」
お嬢様は扉の前に移動し一礼してから出ていった
少し間を空けて…
澪「はぁぁ…」
僕はヘナヘナのその場にゆっくり崩れた
「ふふっ、いい対応だったわよ」
澪「対応じゃないですよぉ…」
ここまで言ってしまったのだから
もう後戻りは出来ない
引き受けた身ではあるがとても面倒なことになった
「概要の紙見てもらったと思うけど
始業式は1週間後だからしっかりね」
そう言い残して奥様は出ていった
澪「…はぁ」
今日はここまでとなります
まだまだ導入編が続きますが、何卒お付き合いお願いします
ちまちま再開します
1週間はあっという間だった
今は家から奥様と一緒に車で校門前に移動している
「いよいよねぇ」
澪「いよいよじゃないですよ」
この日のために異性の勉強をしてきた
生理とか言動、思考などなど
それにブツがバレないように万全の対策をした!
自分でいうのはなんだけどバレないと思う
ていうかバレるな
バレたらのことを考えたくない
警察沙汰はもちろんだろうけど…
そんなことを考えていたら意外とすぐ着いてしまった
使用人がトランクから寮生活に必要なものが入っているキャリーバッグを取り出してくれた
時刻は午前10時半頃を指す
登校中の生徒は当然の事ながらいない
そんな子がいたら遅刻だし極力自分のことは見られたくない
僕と奥様は一緒に校舎までの一本道を進んだ
一本道道と言ってもあまり距離はないけど
道の左右には桜が満開しており
別の世界に来たような錯覚を起こすぐらい
まぁ、男が女子校に来てる時点で
別世界に入り込んだ様なものだけど
「とても綺麗ね」
澪「そうですね、ここが女子校じゃなかったらもっと良かったですけどね」
「まだそんなこと言ってるの?
もう諦めなさいよ」
誰のせいですかねぇ
校舎に着くと昇降口に1人の女性が立っていた
「こんにちは、本日から転入される生徒とこの保護者でいらっしゃいますか?」
「はい、この通りでございます」
「では、応接室にご案内します
そこでクラス分けや1年間の活動などをお話しますね」
「よろしくお願いします」
凪沙「よ、よろしくお願いしますっ」
あぁ、これから…どうなるんだろ
応接室に向かう廊下は清掃が行き渡っており
ピカピカだった
でも、女子校に来ている実感はあまりなかった
もちろん、頭の中では理解はしているけど言い方が悪いけど女の子を見てないから
「ここが応接室です
どうぞ、お入りください」
凪沙「え、えっと…」
4回ノックしてから
凪沙「失礼します」
ゆっくり扉を開け中に入る
最近ワックスを掛けたのか床はピカピカで
少しだけ入ることを躊躇してしまう
「どうぞ、中へ」
応接室の中にいた女性が中へ促してくれる
凪沙「は、はいっ」
部屋のソファの横につき何となく一礼してから座る
奥様も僕の隣に座る
そのあと僕と対峙するように応接室にいた女性がすわりその隣に案内をしてくれた女性が座る
「では、自己紹介から始めますね」
真美「私は学園長の斉藤真美です
この度はこの学園への転入ありがとうございます」
第一印象はとても綺麗な人だと思った
それに学園長にしては若いと思う
真美「そして、私の隣に座っているのが
あなたの担任となる霜崎萌(しもさきめい)先生です」
萌「よろしくお願いします」
凪沙「よ、よろしくお願いします」
霜崎先生は赤い眼鏡が特徴で
歳は学園長と同じくらいだと思う
真美「では、自己紹介も終わった事ですし本題に入りましょう」
凪沙(本題?)
真美「如月凪沙さん…もとい穂村澪くん
あなたの事情は分かっています」
凪沙「あぁ、知ってる…え?」
し、知ってるってことは…バレてるって事だよね…と言うことは
真美「もちろん、本来ならありえないことなんです
ですが、凄い端的にいうと特例なんです」
凪沙「ち、ちなみにその理由は…?」
真美「それはですね…」
「まぁ、そこは私から説明するわ」
真美「すみません、お願いします」
凪沙(そんなに凄い理由なのかな)
「実はね、この学校の創始者は私の母の母、おばあ様なの」
凪沙「え、そうなんですか?」
「えぇ、だからその創始者と言うことを利用して強制入学ってことよ」
凪沙「…それ、本当ですか?」
「えぇ」
僕は学園長、霜崎先生の方をみる
学園長は外を見ており
霜崎先生は俯いていた
どうやら本当らしい
凪沙「…はぁ、まぁ、理由は分かりました」
「あら、結構素直に受け入れるのね」
凪沙「結局、入学はするんですから
もういいです」
「ふふっ、それもそうね」
何となく肯定してしまったが複雑な気分だ
真美「ですが、創始者の家系であってもずっと生活させるわけにもいきません
なので、学校生活は前期の約3ヵ月間となります」
凪沙「3ヵ月ですか」
まぁ、2年間バレずに過ごすは正直無理だと思ってたし3ヵ月なら…
と、考えていると
真美「あっ、すみません
そろそろ行きますね、あとの説明は霜崎先生お願いします」
萌「は、はい」
学園長が部屋からでて行くと
霜崎先生は1回咳払いしてから
萌「えぇと…なにか質問はありますか?」
凪沙「し、質問ですか…えっと…
このことを知っているのは?」
萌「それは私と学園長だけです
先程もいいましたが本当に特例なんです
ですから、知っている人は最低限でないといけないんです」
凪沙「それは分かるんですが
なんで学園長と霜崎先生だけなんですか?」
萌「それは本当にたまたまといいますか、
彩月家の方からお電話が来た時に
受けたのが私でその時に」
『今電話を受けている方と学園長にお話が有るんです』
萌「と、言われまして」
んー、これはある意味先生も半分とばっちりを受けたみたい
僕の場合は彩月家の使用人でもあるからしょうがないけど
…本当にお気の毒と言うかなんかすみません
と、心の中で謝罪をして
施設の見取り図を覗き込んだ
凪沙「本当に広いですね」
萌「そうですね、私もここに来た時はびっくりしましたし」
校内のほぼ真ん中に校舎が位置してあり
校門のほうからみて左に体育館
校舎の裏に運動場が広がる
凪沙「あの、寮って」
萌「えっと、寮はですね」
霜崎先生は見取り図をひっくり返して
萌「学校をでて左手にあります
第一から第四の4つに分けられています
だいたい一つの寮に20名ほど住んでいます
如月さんには第3寮に入って貰うことになってます」
寮もかなり大きく入口入ったらエントランスがあり右手に食堂、左手に大浴場があった
大浴場の文字を目にした瞬間重要なことを思い出した
凪沙「あの…お風呂って…」
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