幸子「事務所の危機ですか?」 (24)
P「765プロの39プロジェクトは知ってるか」
幸子「ま、まぁ業界内のニュースですしなんとなくは…確か、39人のメンバーを新たに集めて劇場公演を行うんでしたっけ?」
P「そうだ、その集まったメンバーがまた逸材だらけらしくてな、今後脅威になるだろうと我が事務所でもマークし始めている」
紗枝「逸材、なぁ…」
友紀「でも、劇場公演をメインにやってるんでしょ?うちの事務所とあんまり関係なくない?」
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P「確かに今までは、向こうは劇場中心、こっちはTVなどのメディア中心で住み分けが自然となされてたんだ。だけど、徐々に向こうも人気が出てきてな、アイドル達がバラエティなどに起用され始めたんだ」
紗枝「なるほどなぁ…バラエティ部門でぶつかり合うことになりそうやから、うちらKBYDに相談した、というわけやねぇ」
P「流石紗枝、察しがいいな、そういうことだ」
友紀「あたしたち今やバラエティに引っ張りだこだもんね~」
幸子「ふーん、状況は理解しましたが、ボクには何か問題があるとは思えないですね。ボク達KBYDは仕事も数をこなしたことでバラエティの要領も得ていますし、何より、ボクのカワイさがあれば視聴者さんは満足でしょう!!!!」
P「そこなんだよ問題は」
幸子「へ?」
P「39プロジェクトのメンバーにもな…自分カワイイキャラを売りにしているアイドルがいるんだ」
友紀「幸子ちゃん以外にもいるんだ…」
紗枝「アイドル界も広いなぁ…」
幸子「ちょっと!!ボクのはキャラじゃありません!事実です!」
紗枝「はいはい、かいらしぃかいらしぃ」
幸子「カワイイって言えばいいってもんでもないです!」
P「幸子は置いとくとして、それだけじゃないんだ。野球好きアイドルもいる」
友紀「ええ~!!他にもいるんだ~!!野球好きアイドル!キャッチボールしたいな~」
幸子「友紀さんは呑気ですね…」
友紀「え~だって野球好きに悪い奴なんていないし」
紗枝「この流れで行くと、ウチともおんなじ系統のアイドルがいはるんやろか?」
P「ああ…2人ほど」
幸子「2人もいるんですか…身内でキャラ被ってて大丈夫なんですかね」
P「資料によると、1人は和に憧れ、日本舞踊も嗜む金髪英国少女、もう一人は家が呉服屋で、生真面目ながら方言のギャップもある子、だそうだ」
友紀「す、すごい個性…」
幸子「飽和してますね…」
紗枝「あらあら…これは強力なライバルさんの登場やなぁ…」
友紀「紗枝ちゃん笑顔なのに怖い…」
P「さらに」
幸子「まだあるんですか」
P「向こうのアイドルはいろいろな噂があってな、『自分を模したキャラクターのご当地人形で北東地域制覇した』とか『この前空飛んでるのを見た』とか『1回宇宙崩壊させた』とか…」
幸子「意味がわからないです!!そんな突拍子も無い噂がなんなんですか!!」
P「真偽はわからないがネタ性が高い、ということでネットで人気らしい」
友紀「話題性や勢いはたしかに大事だもんねー」
幸子「ぐぬぬ…それで、プロデューサーさんは何か対策を練ったんでしょうねぇ?」
P「ああ、事務所全体で各所に掛け合ってな。
なんと今度からKBYDの冠番組がもらえた!しかもゴールデンだ」
友紀「すごいじゃん!プロデューサー!」
紗枝「バラエティやろか?」
P「アイドルが限界に挑戦!がテーマのバラエティだそうだ」
幸子「またボクが体を張る仕事ですか…?もうあらかたやりつくした感が…」
P 「幸子、喜べ。今回の番組で幸子はMCだ。スタジオ収録だけで良いんだ」
幸子「えっ…良いんですか?」
P「番組ディレクターたっての要望で、純粋なカワイさを押し出した幸子のMCも見てみたい、とのことだ」
幸子「フフーン!!ようやく世間にボクの真のカワイイをお届けできますね!
いや~プロデューサーさんもたまには良い仕事しますね!」
友紀「良かったね~幸子ちゃん!もうスカイダイビングしなくても良さそうだね!」
紗枝「せやけど、幸子はんが体張らないってことはゲストさんがチャレンジするんやろか?」
P「いや、この番組では友紀と紗枝、2人のチャレンジがメインだそうだ」
幸子「えっ」
紗枝「あら…」
友紀「ええ~!?聞いてないよ~」
幸子「まぁボクがMCってことはそうなるでしょうね
今までとは違うKBYDを見せる、と言ったところなんじゃないですか、おそらく」
P「ああ。それで早速なんだが、2人の初回分のチャレンジ内容資料を渡しておく」
友紀「どれどれ…」
紗枝「ウチは…着物で南極大陸横断…?」
友紀「アタシは降ってくる溶岩をバットで打ち返す…」
幸子「…は?」
P「頑張れよ!二人とも!」
幸子「いやいやいやいや無理でしょうこれ!死にますよ!」
P「初回だからインパクトが強い企画ではある。だけど、やる前から無理とか言っちゃいけない。
成功すれば話題性抜群、人気絶頂間違いない!」
幸子「そんな簡単に言いますけど人間限界はありますよ!
やめましょう!友紀さん達も嫌でしょう!」
紗枝「ウチはまだ死にたくないなぁ…なんとかならんの?」
P「なんともならん。2人がやらなければまず番組がなりたたない」
友紀「えー…でも…」
P「でもじゃない。やれ。仕事を選んでいる場合ではないのはわかるだろ?」
幸子「…ちょっと、さっきからプロデューサーさんおかしいですよ!?」
P「なんだ幸子、文句あるのか。
なんならMC外して今からでも2人のどっちかと変わってもいいんだぞ??ほら選べ」
幸子「ボクが代わりに…?」
友紀「えっと…幸子ちゃん、代わるなら紗枝ちゃんと代わってあげて?ワタシは大丈夫だよ!」
(友紀さん…気丈に振る舞っているけど目に涙が…)
紗枝「あら、ウチに気使う必要あらへんよ。
着物の力も馬鹿にできひんし、友紀さんと代わってもらって構いまへんで」
(紗枝さんも少し震えて青ざめてる…)
P「二人とも優しいんだな。ホラ、どうするんだ?
体を張らずにMCをするチャンスだぞ?さっさと選べ」
幸子「……」
友紀「……」
紗枝「……」
P「……」
幸子「…友紀さん」
友紀「は、はいっ」
幸子「…紗枝さん」
紗枝「はい」
幸子「…3人でこの事務所を辞めましょう」
P「!??」
友紀「えぇちょっと幸子ちゃん?」
紗枝「本気どすか?」
幸子「本気です。事務所のためとはいえ、ボク達のことなんか考えず、危険が及ぶような仕事を平気で受けてくるプロデューサーに失望しました。
今までも過酷なロケはありました。でも、あくまでアイドルのボク達を1番に考えてくれている。
そう思ってましたがどうやら勘違いだったようですね。」
P「……」
幸子「それに…友紀さんと紗枝さん、どっちを選べなんて無理です!!
2人ともボクの大切な仲間なんです!仲間を蹴落としてお仕事なんてしたくないです。
それも理解できないプロデューサーとはもうやっていけません!!」
友紀「幸子…ちゃん…」
P「ちょっと待て、良い子だから考え直せ?な?」
幸子「そうと決まればさっさと出ましょうこんな所。今後のことはボクが考えます…
プロデューサーのバカ!バカバカバカ!信じてたのに!なんで!!最低!!」
ガチャ
瑞樹「は~いどうも~」
幸子「…………は?川島さん?」
瑞樹「幸子ちゃん事務所辞めないで!ミズキ悲しい!」サッ
『ドッキリ大成功』
幸子「…は???え???」
瑞樹「ごめんね、これ、ドッキリなの」
幸子「はああああああああああああ??!!?」
瑞樹「プロデューサーが幸子ちゃんだけ優遇!その時幸子ちゃんの判断は?というモニタリングドッキリだったの」
P「幸子~ごめんなぁ~」ズビズビ
幸子「プロデューサーさん…」
紗枝「幸子はん…ごめんなぁ」
幸子「じゃあ…全部ウソ?」
友紀「うん、番組もウソだし、プロデューサーの態度も演技だよ、安心して」
幸子「よがっ゛だぁあああああ゛あ゛あ゛」
友紀「うわっ幸子ちゃん!?」
幸子「MCはうれしくてでもプロデューサーさんがひどくてゆきさんとさえさんたすけなきゃおもってでもじむしょやめたあとどうしようっておもってうわあああああ嘘だったんですねえええよかっああぁ…」
P「こんな仕事、おでは絶対うげない゛し、あんだひどいごどい゛わなぃぃ…」
友紀「幸子ちゃん…私達のことあんな風に思ってくれてたんだね…嬉しいよ」
紗枝「ほんまに…泣いてまうやんなぁ…」
瑞樹「幸子ちゃん、自分より仲間を大事にしたその判断、ステキだったわ。私の涙腺もつい緩んじゃった」
幸子「えへへ…ま、まぁボクは仲間思いですからね…っていつまでプロデューサーさん泣いてるんですか」
P「幸子にボロクソ言われて心がもたなかっだ…」
アッハハハハハ…
[スタジオ]
パチパチパチパチ…
MC「いやー幸子ちゃんっていつもは『ボクカワイイ』って感じだけど仲間思いでもあるんだねぇ」
幸子「当然です!お二人がいることでボクのカワイさが際立ちますからね!
お二人にはいてもらわないと」
友紀「またまたー、そんなこと言っちゃってー」
紗枝「幸子はんはほんとかいらしぃなぁ」
幸子「ホ、ホントですよ!!からかわないでください!」
アハハ…
MC「いやー、やっぱりKBYDは仲がいいって言うのがこのドッキリからも伝わって良かったよ!」
幸子「それにしてもこのドッキリはもうちょっと凝るべきでしたね!
大体、『この前空飛んでるのを見た』なんて噂ウソにしても下手すぎますよ!」
友紀「たしかに~!」
MC「いやーさすが幸子ちゃんバラエティに厳しい!よっリアクション芸人!」
幸子「誰がリアクション芸人ですか!!」
アハハ…
ピッ
プツッ…
茜「他事務所も大変だねー。まさか茜ちゃんの事が出るとは思わなかったけど」
環「ねーねーれいか、さっきのうわさってほんとーなのか?」
麗花「ふふっ、ほんとうだったら楽しいわね♪空を飛べるなんてステキ!」
環「たまきも空飛びたいぞ~!」
茜「…」
律子「…噂が漏れるのが思ったより早かったわね。どうやって揉み消そうかしら…」
終わり
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