『バレンタイン』


P「今年もやってきましたね、バレンタイン」


ちひろ「そうですね、Pさんも待ち遠しいでしょう」


P「そりゃあそうですよ」


P「アイドル事務所にとっては稼ぎ時ですよ！稼ぎ時！」


ちひろ「あ、そっちですか」

『期待と絶望』


ちひろ「男性としてはチョコを貰える貰えないでドキドキするんじゃないんですか？」


P「まぁ、学生の頃はドキドキソワソワしてましたけど……」


P「期待したところで貰えないのがオチですよ」


ちひろ「………かわいそうに」


P「哀れむなよ……余計惨めになるでしょうが………」

『母チョコ』


ちひろ「お母様から貰ったりはしないんですか？」


P「いや、もうそういう歳じゃないですし、それに……」


ちひろ「それに？」


P「ウチの母親はチョコ代を渡して自分で買って来いとかいう人ですから」ハハハ


ちひろ「……………かわいそうに」ホロリ


P「だから、哀れむなよ！そんな優しい目で俺を見るな！」

『朗報？』


ちひろ「そんな哀れなPさんに朗報です」


P「とうとう哀れって言っちゃったよこの人……」


ちひろ「事務所、男女、二人きり………ここから導かれる答えは？」






P「………え？なに？殺されるの？」


ちひろ「あなたは馬鹿なんですか」

『天使と悪魔』


ちひろ「はい、バレンタインのチョコです」つ


P「…………なんですか、これ」


ちひろ「新発売のエナドリ、チョコ風味です」ニコリ


P（なぜ微炭酸のエナドリにチョコを足そうと考えたのか………悪魔かっ！？）


ちひろ「フフッ、冗談ですよ。本物はこっち、手作りのチョコクッキーです」


P「おぉ！やはり天使か！」


ちひろ「来月………お返し………30倍………」ボソリ


P「今、不穏な言葉が………」

『真打ち登場』


ガチャ


茄子「お疲れ様です♪」


P「あれ、茄子？今日は休みじゃなかったっけ？」


茄子「Pさんに会いたくて来ちゃいました♪」


P（かわいい）


ちひろ（かわいい）

『察するちひろ』


茄子「それで、ですね」チラッ


ちひろ「………！」


ちひろ「すいません、少しお花を摘みに……」


P「ここら辺にお花畑ってありましたっけ？」


ちひろ「あなたはアホなんですか」

『隙を見て』


茄子「まだお仕事の途中でしたか？」


P「いや、ちょうど休憩してた所だから大丈夫だよ」


P「外寒かっただろ。暖かいお茶入れてくるよ」スタスタ


茄子「ありがとうございます」


茄子「………今の内に」


ガサゴソ

『少しの期待』


P（今日はそういう日だしな……）


P（ちひろさんにはああ言ったけど、期待してしまうよなぁ……）


P「入れて来たぞー」


茄子「あ、Pさんすみません。少し用事が出来てしまったので今日はこれで失礼しますね」ペコリ


P「え……あ、うん」


茄子「それでは、あなたに幸運が訪れますように♪」


ガチャ バタンッ






P「………チョコじゃなかったか」ハァ

『チョコは？』


ちひろ「あれ？茄子ちゃんは？」


P「帰りましたよ。用事が出来たんですって」


ちひろ「……それで、チョコは貰えたんですか？」


P「………」ズーン


ちひろ「え!?貰えなかったんですか!?」


P「ちょっと期待してしまった自分が悔しい……」ズーン

『引き出しの中には』


ちひろ「ま、まぁ仕事に戻りましょう！」


P「うっす………」ズーン


ちひろ（うわぁ………）


ちひろ「ん？………あ、すいませんPさん。ボールペン貸してくれませんか？」


ちひろ「インクが切れてしまったので」


P「……いいですよ。引き出しにいっぱいありますから」ガラッ


P「………ん？」

『なんと、そこには……!!』


P「」


ちひろ「？……どうかしましたか」


P「………これ」


ちひろ「ハート型の箱に手紙ですね」


ちひろ「それ多分茄子ちゃんのですよ」





P「俺の担当アイドル可愛すぎません？」


ちひろ「何を今さら」

『手紙』


親愛なるPさんへ


直接渡すのは恥ずかしかったので引き出しに隠してみました♪


見つけてくれましたか？


あまり長いのもどうかと思うので手短かにしたいと思います。


私はPさんにとても感謝しています。


私を見つけてくれたこと、私をアイドルにしてくれたこと、私に幸せを教えてくれたこと。


誰かと幸せを分かち合うことがこんなにも素晴らしいなんて、私、知りませんでした。


あなたといると、とても倖せになります。


これからも2人で力を合わせて、末永く、幸多い日々を送りましょうね♪


鷹富士茄子より

『秘密』


ちひろ「手紙にはなんて書いてあったんですか？」


P「秘密です」


ちひろ「……なんで泣いてるんですか？」


P「……秘密です」


ちひろ（……まぁ、なんとなくわかりますけどね）