莉嘉「あの遠くでくねくねしてる白いのなんだろ……?」 (27)

莉嘉「あー、楽しかった!」

莉嘉「お姉ちゃん! 虫取りについてきてくれてありがとね☆」

美嘉「どういたしまして★」

美嘉「ま、莉嘉の頼みだしね」

莉嘉「ふふっ、お姉ちゃん大好きっ!」

美嘉「ん、ありがと」

美嘉「……でも早くお風呂に入りたいわ」

莉嘉「まあ泥だらけだもんねー」

莉嘉「特にお姉ちゃんなんか……」

美嘉「やめて」

莉嘉「木の根っこに躓いて……」

美嘉「やめてってば!」

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美嘉「もう、忘れなさい!」

莉嘉「えー、忘れらんないよー」

莉嘉「だってあの時のお姉ちゃんの顔も、声も……」

美嘉「忘れなさい!」

莉嘉「こんな顔でー♪」

美嘉「そこまで変な顔してない!」

美嘉「もう、ほんとに怒るよ!」

莉嘉「きゃー♪」

莉嘉「ごめんなさーい☆」

美嘉「まったく……」

美嘉「……余計汗かいちゃったじゃない」

莉嘉「早くお風呂に入らないとだねー☆」

美嘉「……そうね」

美嘉「はぁ……それにしても暑いわ……」

莉嘉「ねー」

莉嘉「風もぜんっぜん気持ちよくなくってやな感じ!」

美嘉「うんうん。この風、なんか生暖かくてすっごい嫌……」

莉嘉「ほんとほんと!」

莉嘉「せっかくなんだからもっと涼しい風が吹いて欲しいのに!」

美嘉「ね……そしたらちょっとはましな気分になるんだけど」

莉嘉「うー……」

美嘉「はぁ……」

美嘉「……ん?」

莉嘉「どしたの、お姉ちゃん?」

美嘉「いや……あれ」

莉嘉「あれ?」

美嘉「うん……ほら、あそこ。なんか変なのがない?」

莉嘉「んー……?」

莉嘉「……あっ、あの遠くで白いくねくねしてるの?」

美嘉「そうそう」

美嘉「何かなーって思って」

莉嘉「んー……なんだろ?」

莉嘉「……あっ、かかしとか?」

美嘉「いや、かかしはあんなんじゃないでしょ」

莉嘉「だから、きっと新しいかかしなんじゃない?」

莉嘉「ほら……風で動くようになってる仕掛けとか!」

美嘉「あー……」

美嘉「……そんなことできるの?」

莉嘉「わかんないけど……でも、アレ動いてるし……」

美嘉「んー……じゃあそういう仕掛けもあるのかな――」

美嘉「――あ……風止まった」

莉嘉「……ほんとだ」

莉嘉「でも、アレ動いたまんまだね」

美嘉「そうね……んー……なんなんだろ、アレ」

莉嘉「なんなんだろうねー」

莉嘉「……あっ!」

美嘉「なにかわかったの?」

莉嘉「そうじゃなくて……ほら、お姉ちゃん双眼鏡!」

美嘉「双眼鏡……あー!」

美嘉「そういえば持ってきてたわ」

莉嘉「うん!」

莉嘉「それで見たらアレの正体もわかるんじゃない!?」

美嘉「そうね……」

美嘉「ん、ちょっと見てみる」

莉嘉「えー、お姉ちゃんから見るの?」

美嘉「だって双眼鏡持ってるのアタシだし」

莉嘉「でも提案したのはアタシだよ?」

美嘉「アタシが見た後に貸してあげるから」

莉嘉「ぶー……」

莉嘉「……ま、いいや」

莉嘉「今日はお姉ちゃんに頼みごと聞いてもらったし……譲ってあげる」

美嘉「ふふ、ありがと★」

莉嘉「でも! 見終わったらちゃんとアタシにも貸してよね!」

美嘉「はいはい」

美嘉「さて、あれの正体は――」















ヘレン「ヘイ!!」













美嘉「――」

莉嘉「なんだったの、お姉ちゃん?」

美嘉「――」

莉嘉「……お姉ちゃん?」

美嘉「――莉嘉」

莉嘉「な、何?」

美嘉「今のあなたは見ないほうがいいわ」

美嘉「そう……世界レベルに達していないあなたにはね」

莉嘉「……えっ?」

美嘉「アレは世界レベルを求める者、欲する者こそ見るべきものなの」

美嘉「わかる?」

莉嘉「お姉ちゃん……?」

美嘉「……それでもあなたがこちらの世界を望むというのなら」

美嘉「双眼鏡でアレを見なさい」

美嘉「肉眼じゃなく、双眼鏡で、アレの隅から隅までを見るの」

美嘉「そうすれば莉嘉も世界レベルの一歩を進めるわ」

莉嘉「ふ、ふざけているんだよね……?」」

美嘉「そう見えるのなら、あなたもまだ地域レベルにおさまっているということよ」

美嘉「世界にはまだ到底及ばないわ」

莉嘉「……」

美嘉「……それじゃあ、アタシは先に帰るわ」

美嘉「アデュー!」

莉嘉「……」

莉嘉「……」

莉嘉「お姉ちゃん……?」

莉嘉(あの白いくねくねしたのを見てからおねえちゃんが急に変になっちゃった……んだよね)

莉嘉(……歩く後姿もなんかちょっと変……くねくねしてるみたい)

莉嘉(いつものお姉ちゃんとぜんぜん違う感じ……)

莉嘉(……あっ!)

莉嘉(わかった! お姉ちゃんアタシをからかってるんだ!)

莉嘉(だって、いきなりお姉ちゃんがあんなふうに変になるなんてありえないし!)

莉嘉(だから、アタシを変に驚かせようとしてあんなふうになっちゃっただけ!)

莉嘉(ふふっ、お姉ちゃんぜんぜん演技力がなってないなー)

莉嘉(どうせすぐそこで待ってるだろうし、アドバイスしてあげ――)

モバP「――莉嘉!」

莉嘉「わっ、Pくん!?」

莉嘉「どうしてここに」

モバP「あいつの付き添いで……ってそれはいいんだ!」

モバP「お前、見たのか!?」

莉嘉「見た……って」

莉嘉「アレを……?」

モバP「ああ!」

モバP「……いや、様子を見る限り見ていないか」

莉嘉「う、うん……肉眼では見てるけど」

モバP「この距離なら大丈夫だ」

モバP「そうか……よかっ……いや……」

モバP「……」

莉嘉「……ねぇ、Pくん」

莉嘉「アレは……なんなの……?」

モバP「ああ、あいつはだな」

モバP「ヘレンだ」

莉嘉「ヘレンさん……」

莉嘉「えっ、ヘレンさん?」

モバP「ああ、ヘレンだ」

莉嘉「……でも、あんなに遠くにいるのに、結構大きく見えるけど」

モバP「ああ」

莉嘉「なんか白色に見えるけど」

モバP「ああ」

莉嘉「……ヘレンさんって実は白色の巨人だったの?」

モバP「いや、違う」

モバP「アレはヘレンのオーラだ」

莉嘉「……」

莉嘉「……Pくん、熱?」

モバP「いや、いたってまともだ」

モバP「……ヘレンはな。あまりにも世界レベルなんだ」

モバP「それは、踊ることによって自らを模した巨大なオーラを出せるくらいにな」

莉嘉「……」

莉嘉「……Pくん、病気?」

モバP「いや、健康だ」

モバP「普段はヘレンも本気を出さないが、ずっとそのままだとフラストレーションがたまるだろ?」

モバP「だから、たまにああして人気の少ないところで全力で踊るんだ」

莉嘉「……」

莉嘉「……Pくん、頭大丈夫?」

モバP「ずいぶんストレートになったな」

モバP「だが、俺の言っていることは本当だ」

モバP「過去にも、美嘉のようにあの全力のヘレンを見てしまったものたちはいる」

モバP「そいつらがどうなったか知っているか?」

莉嘉「ううん、知らないけど……」

モバP「みんな世界レベルになったのさ」

莉嘉「……?」

モバP「ある者は、自分の分身を生み出せるほどの世界レベルのピエロになった」

モバP「ある者は、常に自身が世界一位であることを目指し、世界二位を認めなかった」

モバP「このように、あのヘレンを見たものはみんな世界レベルを目指すんだ」

莉嘉「……」

莉嘉「じゃあ……お姉ちゃんもそうなるってこと……?」

モバP「ああ」

モバP「もう、元の美嘉には戻らないだろう」

モバP「ただ、世界レベルを目指すのみになるだろうな」

莉嘉「……Pくん、あんまり面白くないよ?」

モバP「俺だって冗談であって欲しかったよ」

モバP「……さっき、美嘉に会ったんだ」

モバP「そのとき、美嘉は何をしていたと思う?」

莉嘉「……お姉ちゃんなら帰るって言ってたし、普通に歩いてたんじゃないの?」

モバP「いや、乾布摩擦をしていたよ」

莉嘉「……」

モバP「道端でダンサブルな曲を流しながら、リズムに乗って、乾布摩擦をしていたんだ」

モバP「お前の知ってる美嘉はそんなことしたか?」

莉嘉「……ううん」

莉嘉「外ではそんなことしてない」

モバP「……家ではしてたのか」

莉嘉「……あっ」

莉嘉「……Pくん、これ秘密ね」

モバP「あ、ああ……」

莉嘉「それよりも!」

莉嘉「……今の嘘だよね、Pくん?」

モバP「いいや、本当だ」

莉嘉「ううん、絶対嘘!」

莉嘉「だって、Pくんの言ってることめちゃくちゃだし!」

モバP「……だけど、本当なんだ」

莉嘉「じゃあ証拠見せてよ!」

モバP「証拠か……」

莉嘉「そう、証拠! それが見せられないって事は――」

莉嘉「――あ、わかった!」

莉嘉「コレドッキリ、ドッキリなんでしょ!」

モバP「……」

莉嘉「ふっふー☆ 気づいちゃってごめんね、Pくん!」

モバP「……いや、本当にドッキリじゃないんだ」

莉嘉「またまた、そんなこといっちゃってー☆」

莉嘉「もう騙されないもんねー☆」

モバP「……」

莉嘉「あー、もう! 変な風に考えちゃって損した!」

莉嘉「そりゃそうだよね、お姉ちゃんが急にあんな風に変になるわけないし!」

モバP「莉嘉……」

莉嘉「……でも、結局アレはなんだったんだろ?」

莉嘉「ちょっと見てみよっと」

モバP「!」

モバP「それはだめだ、莉嘉――!」

莉嘉「――えいっ!」

莉嘉(そうやって、アタシが双眼鏡を覗き込むと……偶然にも、目当てにしたものはすぐに見えた)

莉嘉(遠くから見えた白いくねくねしたもの)

莉嘉(その正体は――)















ヘレン「ヘイ!!」












莉嘉「――」

莉嘉「――ッフ」

莉嘉「理解したわ」

莉嘉「そう、アタシは理解した」

莉嘉「世界レベルを……今、世界レベルをアタシは理解したわ!」

モバP「莉嘉……」

莉嘉「これが世界レベル……これが世界レベルなのね!」

美嘉「そう、それこそが世界レベルよ!」

莉嘉「!」

莉嘉「お姉ちゃん……いえ、マイシスター!」

美嘉「ふふ、莉嘉……いえ、マイシスター!」

美嘉「あなたも世界レベルへの一歩を踏み出したのね」

莉嘉「ええ……あなたに追いつくためにね」

美嘉「……フフ、そう」

美嘉「それなら、共にいきましょう?」

莉嘉「そうね」

莉嘉「アタシたち二人で、世界レベルになりましょう!」

美嘉「ええ、アタシたちならたどり着けるわ!」

莉嘉「莉嘉と! 美嘉で!」

美嘉「世界レベルの双子よ!」

ヘレン「そう、それこそが世界レベルの精神よ!」

莉嘉「!?」

美嘉「ヘレン!」

ヘレン「そう、私こそがヘレン」

莉嘉「さっきまであそこにいたのに……どうしてここに……!?」

ヘレン「世界レベルともなれば、一歩で太平洋を渡ることだってできるわ」

莉嘉「す、すごい……! これが……世界レベル……!」

ヘレン「フフ……」

ヘレン「……今のあなたたちからは世界レベルの意志を感じるわ」

ヘレン「でもそれはまだ微々たるもの……私のレベルには届いていない」

美嘉「わかっているわ」

莉嘉「そう……だからこれから目指すのよ」

ヘレン「……フフ、その心意気があれば心配ないわね」

ヘレン「……待っているわ、莉嘉、美嘉」

ヘレン「世界レベルの頂点でね」

ヘレン「……ヘイ!!」

莉嘉「ヘイ!!」

美嘉「ヘイ!!」

モバP「……」

モバP「……トリオユニットかな」





おしまい

突発的な思いつきと勢いとノリ。全国の城ヶ崎PとヘレンPにごめんなさい
ちなみに元ねたは都市伝説の「くねくね」


誤字脱字、コレジャナイ感などはすいません。読んでくださった方ありがとうございました

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