このSSにはV3そのもののネタバレしかありません。
また、V3そのものの捏造しかありません。
未プレイの方の閲覧は非推奨です。
短い。圧倒的短さ。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1488439908
最原 「キミは、僕達が嘘の記憶でできた、フィクションの存在だっていうんだね?」
白銀 「そうよ! あなた達はこのダンガンロンパでしか存在できない、フィクションなのよ!」
最原 「だったら、赤松さんと衣装交換をしたときのアレルギーってなに?」
白銀 「だから言ったよね? 私のコスプレは……っ!」
最原 「そう。キミは自ら証明しているんだよ」
最原 「赤松さんへの説明にも“二次元”だと限定しているワケではなく“受け付けるのはフィクションだけ”としか言っていないはずだよ」
最原 「つまり、君にとって僕達の存在はフィクションじゃないっていうことになるよね?」
白銀 「っ!」
最原 「さらにいえば、白銀さん」
最原 「キミは“白銀 つむぎ”という役を与えられたフィクションだよね?」
白銀 「は?」
最原 「その制服を着ていられるのが証拠だよ」
最原 「赤松さんを再現しようと、赤松さんの制服を着ただけでアレルギーがでるなら、学生でもないキミがその制服を着ていられるのはおかしいよね?」
最原 「もはやノンフィクションのコスプレであるはずなのに、アレルギーがでなということは“白銀 つむぎ”こそがフィクションの存在ってことになるよね」
白銀 「ちょっと待って! キミはなにを言ってるの?!」
白銀 「この企画の立案者、いわば首謀者たる私がフィクションだっていうの?」
白銀 「そんなこと言って現実から目を反らして私を煙に巻こうなんて、絶望的にツマラナイわ!!」
白銀 「ほら! 今までの自分を存在していなかったと否定された絶望を味わいなさいよ!!」
最原 「ねぇ、白銀さん」
最原 「気づいてる? さっきから僕とキミとでしか会話をしていないんだよ」
白銀 「……え?」
モノクマ 「……」
春川 「……」
夢野 「……」
キーボ 「……」
白銀 「なに…これ? まるで時間が止まったみたいに……」
最原 「真実はこうだよ」
パチンッ
最原くんが指を鳴らす。乾いた音がした途端、世界が闇に包まれたかのように、一面黒い空間に塗りかわる。
さっきまであったはずの裁判場も、視聴者たちが映ったモニターも、春川さん、夢野さん、キーボくん、モノクマの姿さえも消えて、現実にはあり得ないような光景が広がっている。
前と後ろ、天地さえ、自分の位置すら解らない。
空気の流れすら聞こえてこない完全な無音。音も光もない空間が、私の心を飲み込もうとしている。そんなただの黒い空間の中に、最原くんの姿だけがはっきりと不自然に浮かんでいる。
それはアニメによくある内面世界で、キャラクター同士が対話をするあのシチュエーションそのもの。
フィクションそのもの
この闇がまるで私の胸にまで侵食してくるような錯覚に陥る。
白銀 「どうなっているの?」
最原 「やっぱり、キミは忘れてしまっているんだね」
目の前にいる最原くんは、私を憐れむような眼差しを向けて肩を竦めた。
姿形は最原くんのはずなのに、表情の作り方がまったく違うといえばいいのか…今まで見てきた最原くんの表情に当てはまらない。
最原くんの皮を被っているだけで、中身が挿げ替えられているといってもいいほど。
“アレ”は本当に最原くんなの?
私がフィクション?
フィクションなのは私?
そんなの認めない!!
だって、私があのダンガンロンパ世界を実現させようとしたリアルフィクション! リアリティーショー!!
私は白銀 つむぎ…現実にも番組としてのダンガンロンパを立ち上げた、出演者の中で唯一のホンモノ!!
最原 「この世界のキミはキミの真実ではないよ」
白銀 「だから!! その真実ってなんなのよ!?」
さっきから含みのある遠回しな言葉しか寄越さない最原くんにイライラして、声が荒れてしまう。余裕を欠く私に対して、なんでもない顔をして最原くんは続ける。
最原 「この世界は、キミの思考を読み取ってできている仮想現実の中だよ」
白銀 「仮想現実?!」
イヤというほどに、それが何かを知っている。スーパーダンガンロンパ2がそうだったように、今回のV3にもそれを使ったコロシアイがあったんだから。
最原 「例えるなら、入間さんが作ったVR世界に、キミひとりがPCとしてログインして、他のヒト達はNPCとして存在していることになるかな」
白銀 「PCは私だけ……? さっきから全てを知ったようにペラペラ説明している最原くん自身はなんなのよ?!」
取り乱しはじめる私に、最原くんはにこりと笑う。
最原 「僕はこのプログラムの管理者のひとりだよ。今はこのNPCのアバターをPCに書き換えて間借りしているだけだから」
最原 「本物の僕は最原でもなんでもないよ」
正直、そんな気はしていた。でも、実際にそうだと言われてしまうと、否定的な感情が芽生えてしまう。
最原 「だから、僕達が“フィクション”っていうのには間違いないんだけどね」
最原 「でも、“フィクション以外のコスプレ”にアレルギーがでるくらいには」
最原 「この仮想現実がキミにとっての現実になってしまっているようだね」
白銀 「嘘よ…そんなのありえない」
だって、この暗闇に包まれる前の五感に訴えかけていた現実感はなんだったっていうの…?
嘘だと否定したいのに、私の体はまるで彼の言葉を認めるように焦りが現れる。動悸が激しく、イヤにまとわりつく汗が噴き出してとまらない。
最原 「世界でダンガンロンパの番組が成立して成功するのも当たり前だよね」
最原 「最初から用意されているプログラムっていうことではなく、キミの思考から生まれている世界だからね」
白銀 「え」
最原 「“世界が望んでいる”のではなくて“キミ自身が望んでいる”ダンガンロンパを利用したフィクションだよ」
用意されたプログラムではない?
私の…思考?
最原 「リアルタイムに想像する世界を読みこんで構築、再現することが可能になった、新しいVR。なかなかスゴいでしょ?」
最原 「キミはそのモニター第一号なんだよね」
最原 「楽しくなっちゃって、何度も繰り返してしまうのも解るけどね」
最原 「ここまで続けられるキミの妄想力には感心すればいいのか苦笑いすればいいのかって感じだよね」
最原 「よかったじゃないか。キミの大好きなスーパーダンガンロンパ2さながらの状況で同じような絶望体験ができたんだ」
最原 「ゲームの中の自分と、現実での自分は別物だっていうね」
最原くんの姿をしたその人はにこりと笑った。
白銀 「~~っ!!」
私はなにかを叫びたかったのに、喉から声にならない音をさせるだけで絶句してしまう。
最原 「いい加減、戻ってもらわないと困るんだよね」
最原 「いくら重役の娘とはいえ…モニターでここまで独占されるのはさすがにね」
最原くんの姿をしたその人は、呆れた視線を私になげて嘆息する。
今の私が嘘? 偽物? フィクション?
駅のホームで突然背中を押されたような、混乱と恐怖の中、なにも理解できないままに全てが終えてしまうような理不尽さ。
頭の中が思考とノイズでグチャグチャに混線して吐き気がする。胸がぎしぎし軋むように痛んで体が震える。
──不安が、恐怖が、絶望が、私を引き摺り込もうとしている──
白銀 「私はいったいなんなのよ!! 何者なのよ!!」
白銀 「ここから出ちゃったら…外の私は誰になるのよッ!!!」
絶叫した瞬間、気がついた。
ああ…今までの参加者はこんな気持ちを味わっていたのね……。
底冷えしそうなほど冷えきった声が投げかけられる。
最原 「51回も遊んだんだし、もういいだろ?」
最原 「現実と虚構を見失ってるみたいだし」
最原 「キミには悪いけど、これも僕の仕事だからね」
最原 「完全にどんな立場にあるのか忘れてしまっているキミに、戻ったときに混乱しないよう、現実を受け入れ易くするように説明しにきたんだから、まだ有情でしょ?」
有情? 冗談じゃない。
最原 「改善点も見つけたし」
最原 「強制退出させてもらうね」
白銀 「得体の知れないものに戻されるなんてゴメンだよ! もう、ここでの私が私なのっ!!」
耳の奥から甲高い、耳鳴りのような不快な音が頭で鳴り響く────
白銀 「イヤ! だってここが私の世界!!」
意識が、音が、感覚が遠退く────
白銀 「この世界でまだダンガンロンパをするの!!!!」
私が────消える────
白銀 「あんたを殺して終わらせな
― ― ―さんがログアウトしまいました
最原 「管理者権限を持たないキミが僕達に逆らえるワケないよね」
― ― ―さんがログアウトしました
白銀P 「第53回キルデスビジネス放映開始よ!!」
参加メンバーは6章の4人という、タイトル落ち&出落ちにしかならない妄想と
白銀ちゃんがあんなに彼らの存在をフィクションフィクション言っているのに“赤松ちゃんの服着たときに反応でるのおかしくね?” “番組スタッフなら学生じゃない…ってことは、制服はもはやコスプレになっちゃうやん?”っという疑問から捏造してみました。
オチも山も意味もなくて申し訳ない。
キルデスビジネスとV3の世界観って親和性高すぎると思います。キルビジも基本的にコロシアイするゲームですし。
次は星君中心のスレを立てる予定ではあります。もし立っているのを見かけましたら、そちらもお願いいたします。
ここまでお付き合い頂き、ありがとうございます。
このSSまとめへのコメント
怖えぇ……