ユーゴ「･･････しゃあねえ。聞いてやるとするか！」

ユーリ「･･････」

遊矢「･･････柚子ってさ、よくハリセンで俺を叩くんだよ」

ユート「それがどうした？」

遊矢「なんというか。結構理不尽な理由が多くてさ。最近遂にそれに対して我慢の限界が来そうなんだよ」

遊矢「だからちょっと箸休めというか、他の3人はどうなのかなって思ったんだ」

ユーゴ「･････まあ、気持ちは分からなくもねーが」

ユート「だが、柚子に失礼だとは思わないのか？」

遊矢「でもさ、２人だって不満の一つや二つはあるだろ？」

ユーゴ「不満ねえ――。強いて言うならいつまで経っても幼馴染のまんまって事だな」

遊矢「それは切実だね･･････。ユートは？」

ユート俺は特に瑠璃に不満なんてな――」

ユート「･･････あったな」

遊矢「自分で言い出してなんだけど、ユートは意外だったよ」

ユーゴ「んで、理由は？」

ユート「瑠璃本人は別として、隼がな･･････」

遊矢「あー･･････。なるほどな」

1

ユート「オレと瑠璃はよく2人きりで会うんだが…伝えていないのに隼はいつの間にかオレ達を尾けているんだ」

遊矢「普通にストーカーじゃないか……」

ユート「だから本当に2人きりのデートがどんなものなのか知りたい、というのはあるな」

遊矢「なるほどなるほど…」

ユーリ「あのさぁ」

遊矢「ん？」

ユーリ「君らは勝手にイチャイチャしてるから関係あっても、僕は別にセレナと接点ないんだけど」

ユーゴ「イチャイチャできてたら苦労しねえよ」

ユーリ「僕がセレナと喋ったの、ほんの少しだけだし」

遊矢「それは言っちゃ駄目だって！」

ユーゴ「そうそう。オレなんか遊矢と喋ったことないんだぜ」

ユーリ「それを言うなら僕もないよ」

ユート「オレもユーリと会った事がないな」

遊矢「やめろ！こんなのSSじゃない！俺の信じるSSは、みんなを幸せに…！」

あ、一応シンクロ次元で4人とも会ってましたね。失礼しました

ユート「落ち着け遊矢！」

遊矢「はっ･･･!?　オレはいったい何を･････」

ユーリ「茶番はもういいからさ。話戻すけど、僕はセレナへの不満とかないから帰っていい？」

ユーゴ「そう言うなって。なんかあるだろ？　一つぐらいさ」

ユーリ「ないよ」

ユート「そんなはずはない。オレ達はズァークの意志を制してそれぞれの次元で平和に暮らしているんだ。ないはずがない」

遊矢「あれ？そうだっけ？」

遊矢「確かオレは父さんに拘束されて、それから･･････」

ユーゴ「クリアウィング・シンクロ・ドラゴン！」ｷｨﾝ!

ﾄﾞｫｫｫｫｫﾝ!!

遊矢「うわッ!?」

ユーゴ「お前はこんな事を思い出しちゃいけない･･････。この思い出は、お前を苦しめるだけなんだ･････」

遊矢「ユーゴ！いきなりなにするんだよ！部屋が滅茶苦茶じゃないか！」

ユーゴ「で、ユーリ。お前の不満はなんなんだよ?」

ユーリ「……僕がプロフェッサーの話をしてるのに、「そんなことよりデュエルだ！」とか言ってディスクを展開してくるデュエル犬な所とかかな」

遊矢「ああ、セレナならやりそうだね」

ユーリ「やりそうって言うかやってるから言ってるんだけど」

遊矢「そういうわけで、皆なにかしらの不満がある、と」

ユーゴ「えらい強引に持ってったな……」

ユート「それで？柚子たちをシャッフルするのはいいが、具体的にはどうするつもりだ？」

遊矢「簡単な話だよ。オレ達が互いに成りすまして、それぞれの次元で過ごすんだ」

遊矢「だから正確には、シャッフルするのはオレ達の方だね」

ユート「なるほど、そういうことか」

ユーゴ「確かに、どうせオレ等が入れ替わってても誰も気づきやしねえもんな」

遊矢「そういうこと」

ユーリ「それでいいんだ君達」

ユート「似ているものは仕方がないだろう」

遊矢「(まあ、柚子はオレじゃないって気付いてくれると思うけど)」

ユート「(瑠璃ならオレ以外の誰かだと気付いてくれるだろうな)」

ユーゴ(リンならオレじゃねえって気づくよな、絶対)」

ユーリ「(なんだかんだ言っても、セレナは僕じゃないことには気がつくかな)」

遊矢「あとはバレないように念には念をいれようか」

ユーゴ「念には念？」

ユーリ「面倒なのは嫌だよ」

遊矢「大した事じゃないって。服とデッキを交換するだけだから」

ユート「服は分かるが、デッキも取り替えるのか？」

遊矢「だってもしデュエルしようってなったとき、例えばユーリがEMやオッドアイズを使ったら不自然だろ？」

ユーゴ「んー･･････他人のデッキかぁ」

ユーリ「まあいいんじゃない。面白そうだし」

遊矢「よし！じゃあくじ引きでどの次元に行くか決めよう！」

ユート「そこはエンタメチックに決めないんだな」

遊矢「デュエルしてるわけじゃないからね」

結果

遊矢→エクシーズ次元　ユート→スタンダード次元　ユーゴ→融合次元　　ユーリ→シンクロ次元

ユート「決まったな」

ユーリ「シンクロ次元ってことはユーゴだよね。･･････ま、いいか」

ユーゴ「どういう意味だテメエ」

遊矢「はいはい喧嘩はそこまで！じゃあ全員着替えて解散！」

-数時間後-

舞網市～柚子の部屋～

柚子「と、いうわけで集まってもらったの」

柚子「やたらとブレスレットが光るから遊矢の様子を見に行ったら、こんな話になってったってわけ」

瑠璃「ユート･･････」

リン「ユーゴのバカ！見損なったわ！」

セレナ「私のことをデュエル犬呼ばわりとはな。少しは骨のある奴と思っていたのにとんだ期待はずれだ」

柚子「多分明日には全員すり替わってるんだと思う。で、本題に入るんだけど」

リン「どういう仕打ちをしてやるか、ね」

柚子「その通り」

瑠璃「仕打ちって･･････どうするつもりなの？」

柚子「あの4人が行く次元それぞれに、私達もすり替わってやるのよ！」

リン「あ、それ名案！」

セレナ「？　どういうことだ？」

リン「つまり、セレナはユーリが行くシンクロ次元に行くってことよ」

セレナ「そんなことはわかっている。わざわざそんな面倒な事をする意味の方だ」

瑠璃「別の次元の私達に鼻を伸ばしている所に正体を明かして驚かしてやる、っていうとこかしら？」

柚子「まあそんな所ね。やり方は個人に任せるけど、私達が向こうのおバカな遊びに付き合ってあげる義理はないでしょ？」

リン「オッケー。じゃあ私は融合次元ね」

瑠璃「皆がやるなら私も･･････。私はこのスタンダードにそのまま残るわ」

セレナ「私はシンクロ次元だな」

柚子「で、私がエクシーズ次元ね」

柚子「皆、くれぐれも早々にバレたらダメだからね」

瑠璃「気付かれないのもそれはそれでどうかと思うけど……」

リン「というかちゃんと気付いてくれたら許してあげるわよ」

セレナ「またライディングデュエルが出来るのは楽しみだな」

柚子「セレナ……。別にデュエルはしなくてもいいのよ？」

セレナ「馬鹿を言うな。他次元に行くのにわざわざ指を咥えておしゃべりなどできん」

柚子・瑠璃・リン「（それ、やっぱりデュエル犬なんじゃ･･････）」

セレナ「なんだ？」

柚子「な、なんにもないわよ！　じゃ、私達もデッキと服装を交換しましょう！」

ｺﾞｿｺﾞｿｺﾞｿ

柚子「よーし。皆、明日は頑張るわよ！」

ｵｰ!


-翌日-スタンダード次元
ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ

ユート「あ、おはよう柚子のお父――、塾長。柚子いますか？」

修造「おお遊矢！柚子なら部屋にいるから今呼んでくるぞ」

修造「おーい柚子！遊矢が遊びに来てるぞー！」

瑠璃「あ、はーい！　今行くわ！」

ﾀﾝﾀﾝﾀﾝﾀﾝ

修造「（心なしか、どうも柚子がいつもより大人しい奮起のような……気のせいか？）」

奮起×→雰囲気
ですね。
失礼しました。

瑠璃「おはようユ、遊矢」

ユート「おはよう柚子」

瑠璃「えっと……何か用？」

ユート「いや･･････ちょっと散歩でもどうかと思って」

瑠璃「散歩？うーん……」ﾁﾗｯ

修造「ん？行ってこりゃいいじゃないか。　遊矢、柚子を任せたぞ！」

瑠璃「い、いいの？じゃあ行きましょ遊矢」

ユート「あ、ああ。」

ユート・瑠璃「（あっさり許してくれるとは（なんて）……同じ家族でも隼（兄さん）とはまるで違う･･････）」




瑠璃「散歩って･･････どこに行こうとかは決めてるの？」

ユート「いや、特には･･････。そうだ。フトシと一緒に痺れる練習でもするか？」

ユート「（遊矢の話じゃ、こういう抜けた会話をしたりするとハリセンが飛んでくるらしいが……）」

瑠璃「え？あ、ああ！いいんじゃないかしら！」

ユート「！？　い、いや！冗談だって、冗談！」

ユート「（おかしいな。馬鹿らしさが足りなかったのか？）」

瑠璃「（痺れる練習ってなにかしら･･････。ユート、急にどうしたんだろ……）」

瑠璃「（あ、でも今ユートは遊矢の真似をしてるわけだから･･････。遊矢ってこんな人なの？）」

ユート「とりあえず･･････カード屋でも行こっか！」

瑠璃「あ、うん」

ユート＆瑠璃「（やりづらい･･････）」

-カードショップ-

瑠璃「遊矢、欲しいカードでもあるの？」

ユート「特別何が、って訳じゃないんだけど」

ユート「（そもそも遊矢のデッキに必要なカードなんて分からないんだが）」

ユート「ほら、パックを開ける瞬間は最高のエンタメだろ？　だから柚子と一緒に楽しみたいと思ってさ」

瑠璃「へー･･････」

瑠璃「（ユート、私にはそんなこと言ってくれたこと無かったのに･･････）」

ユート「（いつもは隼が気になって踏み込んだことは言えないから新鮮だな）」

ミエル「あっ、ダーリン」

ユート「え？」

瑠璃「はい？」

ミエル「こんな所で出会えるなんて！やっぱりダーリンはミエルの運命の人なんだわ！」ﾀﾞｷｯ

ユート「なにッ！？」

瑠璃「な、な、な･･････！」

ミエル「あら柊柚子。いたの？」

ユート「（この娘、今俺、もとい遊矢のことをダーリンと･････。まさか遊矢……）」

瑠璃「ち、ちょっとあなた！　ユー､ｺﾞﾎﾝｯ!　遊矢から離れなさい！」

ミエル「なんでミエルがあなたの言うことを聞かないといけないのよ。ねーダーリン？」

ユート「い、いや･････」

瑠璃「（ユート……どうして拒絶してくれないの？）

ユート「（もしかしたらこの娘は遊矢の……いや、オレは遊矢を信じる！）

ユート「ごめん。オレには柚子がいるから、キミの気持ちには答えられない」

瑠璃「ユート……!!」

ユート「え？」

ミエル「え？」

瑠璃「あ」

ユート「まさかキミは、瑠璃なのか？」





瑠璃「かくかくしかじか、というわけなの」

ユート「まいったな。まさかあの会話を聞かれてたとは……」

瑠璃「兄さんのせいで、あなたに気を遣わせてたのよね。その、ごめんなさい」

ユート「瑠璃が謝ることじゃない。それに隼には感謝してる」

瑠璃「え？」

ユート「隼が居なければ、あの時瑠璃を紹介してくれなければ、こうして君と共に居れることもなかった」

ユート「だから今度は、俺が隼に瑠璃を紹介できるような決闘者、いや。男になればいいさ」

瑠璃「ユート……。ありがとう」

瑠璃「･･･････そういえば、この次元には兄さんはいないのよね」

ユート「それは･･････確かにそうだな。今頃隼は遊矢と柚子を俺達だと思っているはずだ」

瑠璃「･･････」

ユート「･･････瑠璃？」

瑠璃「ねぇユート。私を兄さんに紹介できるような男になってくれるのよね？」

ユート「あ、ああ」

瑠璃「じゃあ今日はユートにエスコートしてもらおうかしら。よろしくね、ユート？」

ユート「……任せろ」



ミエル「あのねぇ。何をカードショップでイチャイチャしてるのよ」

ユート「」

瑠璃「」