惑星フリーザNo.58――
兵士A「ふう、今日も激戦だったな」
兵士B「ああ、あの惑星の奴ら、なかなかしぶといな」
兵士A「だが次の襲撃で必ず落としてやろうぜ!」
兵士B「おう!」
医者「お前たち、傷を負ってるじゃないか。メディカルマシーンに入りたまえ」
兵士A「いいよいいよ、めんどくさい」
兵士B「この程度の傷ぐらいで、いちいち入ってられるかっての!」
医者「…………」
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医者(うーむ、どいつもこいつもメディカルマシーンに入りたがらん)
医者(もうすぐフリーザ様の視察があるというのに、このままでは――)
フリーザ『なんですか、この星は。皆さん傷だらけで見苦しいですね』
フリーザ『この星のメディカル担当の者はいったいなにをしているのですか?』
フリーザ『責任を取って、消えなさい!』ビッ
ボォォォォン!
医者(フリーザ様は美意識が高いから、こういうことになりかねん……)
医者(しかし、フリーザ様が来るから入れ、といってそれを報告されてもまずいし……)
医者(なんとか皆がメディカルマシーンを利用するようにしなければ……)
医者(入れば特典がつく、なんて仕組みを作っても利用する者は大して増えないだろうし)
医者(メディカルマシーンを改造し、治療にかかる時間を大幅に短縮させるというのも)
医者(今の医学や科学力では難しいだろう……)
医者「うーむ……どうすれば……」
医者「…………」
医者「そうだ!」
……
……
フリーザ「お久しぶりです。視察に参りましたよ」
責任者「これはこれはフリーザ様、よくいらっしゃいました!」
責任者「ささ、こちらへどうぞ!」
フリーザ「ほっほっほ、ご丁寧にどうも……」
医者(うう……ついにこの日が来たか……)
「フリーザ様万歳!」 「バンザイ!」 「バンザーイ!」
フリーザ「ほう……この星の兵士たちは皆さん傷一つなく、見栄えがいいですね」
責任者「お褒めにあずかり光栄です」
フリーザ「こちらの前に視察した星の兵士たちは皆さん傷だらけで、あまりに見苦しかったので」
フリーザ「その星のメディカル担当者には、責任を取って死んでいただきました」
フリーザ「ですが、こちらではその必要はなさそうですね」
医者「あ、ありがとうございます」
医者(あぶねえ~……)ホッ…
フリーザ「あなたがこの星のメディカル担当者ですか」
医者「は、はいっ!」
フリーザ「ところで今、メディカルマシーンを利用したがらない兵士が増えてるそうですが」
フリーザ「あなたはどうやってメディカルマシーンを使わせているのです?」
医者「はい、このたび私は新型のメディカルマシーンを開発いたしまして……」
フリーザ「ほう……見せてもらってよろしいですか?」
医者「もちろんです。あちらになります」
フリーザ「おや……?」
ワイワイ…
「次はオレだ!」
「いーやオレだ!」
「おいちゃんと並べ!」
ワイワイ…
フリーザ「これはすごい。メディカルマシーンの前に行列ができていますね」
フリーザ「あれが、あなたの作った新型、というわけですね?」
医者「その通りです」
医者「しかし、私は近々あれにさらなる改良を加えた最新式を配備するつもりでおります」
フリーザ「ほう!」
医者「その最新式が、こちらの部屋にございます」ピッ
プシュー…
フリーザ「これが最新式のメディカルマシーンですか」
医者「はい」
フリーザ「入ってみてもよろしいですか?」
医者「そうおっしゃられると思い、スタンバイは済んでおります」
医者「さ、どうぞ」
医者「では、作動します」ピッ
フリーザ「…………」コポコポ…
フリーザ「…………」コポコポ…
フリーザ「!?」コポコポ…
フリーザ「~~~~!」コポコポ…
フリーザ「~~~~~~~~~~~~!」コポコポ…
医者「いかがでしたか?」
フリーザ「なんという気持ちよさ! すばらしかったですよ!」
フリーザ「これが皆がメディカルマシーンを利用するようになった理由というわけですね?」
医者「そうなのです」
医者「私はメディカルマシーンのあの“気持ちよさ”を高めるよう、改良を施したのです」
医者「薬液の配合を変えたり、微妙に振動を加えるようにしたり、呼吸器を調整したり……」
医者「それを極限まで追求したのが、この最新式というわけです」
フリーザ「よくやってくれました」
フリーザ「ところで、もう一回入ってもよろしいですか?」
医者「どうぞどうぞ!」
フリーザ「…………」コポコポ…
フリーザ「ハァ、ハァ、ハァ……最高だ!」
フリーザ「もう一回入ろう!」
医者「あ、あの……フリーザ様……これでもう30回目ですよ? もうそろそろ……」
フリーザ「うるさい!」ビッ
医者「ぎゃっ!」ボンッ!
フリーザ「しまった! つい……」
フリーザ「まあいい、自動で動くモードにすれば問題あるまい!」
……
コルド大王「なにをやっておるのだ、フリーザ! メディカルマシーンなどに溺れおって!」
クウラ「我が一族の誇り高き使命を忘れたか!」
フリーザ「うるさい人たちですね……」
フリーザ「あなたがたも一度このメディカルマシーンを体験したらどうです?」
フリーザ「そうすればきっと考えも変わりますよ」
コルド大王「ふむ……」
クウラ「面白い、入ってみるか」
フリーザ(ぎもぢいぃぃぃぃぃぃぃぃ!)コポコポ…
コルド大王(最高だぁぁぁ~~~~~……!)コポコポ…
クウラ(この気持ちよさ……まさに宇宙一!)コポコポ…
フリーザ「次は私が入りますからね」
コルド大王「いや、ワシだろう」
クウラ「オレが入るんだ!」
フリーザ「ならばジャンケンしましょう。もう惑星の支配や売買などやってられませんよ」
フリーザ「ほーっほっほっほっほ……」
こうしてメディカルマシーンは宇宙にほんの少し健康を取り戻させた――
<終わり>
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