早坂美玲「ガオった!」(14)

幸子「はひー、疲れましたねぇ」ぜーぜーっ

輝子「フヒッ、今日のレッスンは…いつもよりハードだったな…」ハァハァ

飛鳥「そうだね。小梅、生きてるかい?」

小梅「え、えへへ…死んでる、み、みたいに、ハァ、ハァ、見える…?」ぐったり

蘭子「ちょっとだけ」クスクス

乃々「もりくぼめっちゃ疲れました…」ぜーはー

美玲「あー、めちゃくちゃガオったぞッ!」

飛鳥「……ガオった?」

美玲「ん?ああ、レッスンキツかったからな!ウチもガオったぞ!」

小梅「?」

幸子「あー、美玲さんはケモノ的なキャラですからね!鳴き声のような、『ガオー!』みたいな意味でしょうか?」

美玲「何言ってんだオマエら。ウチはただ『ガオった』って言っただけだぞ?」

輝子「??」

乃々「ちょっと意味がわかんないんですけど…」

美玲「は?オマエらどうしたんだよ?」

まゆ「美玲ちゃん」ぬっ

美玲「おおっ!?まゆ、どっから現れたんだ!?」びくっ

まゆ「私のことはいいんです。それよりも、美玲ちゃん」

美玲「な、なんだよ?」

まゆ「『ガオる』はね……」


まゆ「宮城の方言ですよ」


美玲「!!?」

美玲「ガオるが方言!?う、嘘だろまゆッ!?」

まゆ「方言ですよぉ。実際みんなに通じてないでしょう?」

幸子「何ですかガオるって!?」

乃々「原型が全くわからないんですけど…」

美玲「オマエらマジで言ってんのか!?」

小梅「ふ、不思議な…言葉…」

蘭子「キャッスルパレスに伝わりし呪文か…(宮城県の方言なんだね)」

美玲「呪文じゃねーよッ!」

美玲「マジか…ガオるが通じないのか…ッ!」

飛鳥「どんな意味の言葉なんだい?」

幸子「美玲さん全然訛ってる感じしないのに、珍しいですねえ」

輝子「ガオるの語感から…意味が想像できない…」

美玲「いや、ウチはただこえぇと思ったからガオるって言っただけだぞッ」

小梅「こえぇ…?」

蘭子「美玲ちゃん、レッスン怖かったの?」

美玲「は?ウチにコワイものなんてあるわけねーだろッ!」

まゆ「美玲ちゃん」

美玲「…まさか」

まゆ「『こえぇ』もね…」


まゆ「宮城の方言なんです!」


美玲「うっそだろまゆ…こえぇまで通じないのかよ!?」がくっ


幸子「ガオるの説明に対して新たな方言が出てきちゃいましたね」

輝子「無限に連鎖したりして…ヒヒッ!」

小梅「こっちも、ご、語感から意味が…あんまり、わ、わかんない、ね…」

まゆ「『ガオる』『こえぇ』、どちらも宮城県の方言で『疲れた』という意味なんですよ」

輝子「まさかの同じ意味だった…」

幸子「まぁ、ガオるの説明にこえぇが出てきましたし」

美玲「ウチもまさか二つとも方言だとは思わなかったぞッ」

まゆ「同じ疲れたの意味でも、ガオるは『バテる』『参る』のような意味で、こえぇは口に出して『疲れたー』と言うような使い方なんです」

蘭子「摩訶不思議な言語!(おもしろい言葉だね)」

美玲「オマエにだけは言われたくねーぞッ!」

飛鳥「美玲の珍しい一面が見られたね」

輝子「フヒ…仙台の要素、眼帯だけじゃなかったんだね…」

幸子「そういえばまゆさんも美玲さんも宮城県出身でしたね。今さらですけど」

まゆ「そうですね。私も東京に出てきたばかりの頃は少し言葉で困ったから…美玲ちゃんには私がいろいろ教えてあげますよぉ?」

美玲「……しずねっ!かっちゃぐぞ!(うるせーッ!ひっかくぞ!)」ぷいっ

まゆ「もう、美玲ちゃん。わざと訛ったりしてますね?」
まゆ「なじょしたっちゃ?むつけたんすぺ?(どうしたの?スネちゃった?)」

美玲「んだ!(そーだよ!)こいづらウヂがあぺとぺだっづっでバカにすて!(コイツらウチがわけわかんねーこと言ってるってバカにしやがって!)」

まゆ「すてねーっちゃや(してないよ)言葉のごだすがだねーすて直すすがねーでがすぺ?(言葉の事は仕方ないんだから直すしかないでしょう?)」

美玲「おもしゃぐねー!ウヂのごどごしゃぐな!(おもしろくねー!ウチに説教すんな!)」ぷいっ

まゆ「きがねなや…(強情張って…)」


全員(まったくわからない…)

美玲「オマエらおだづなよ!(オマエら調子乗んなよ!)バーカバーカ!!」ダッ

まゆ「あっ、美玲ちゃんっ!……もう、逃げちゃった」

まゆ「ごめんなさい、みんな。美玲ちゃん機嫌悪いみたいで…」

幸子「まぁ、美玲さんならいつものことですし」

小梅「き、気に、しないで…っ」

乃々「1、2時間すれば戻って来ると思いますし…」

まゆ「ありがとう、みんな」にこっ

蘭子「美玲ちゃん、怒っちゃったのかな?」

輝子「ちょっとだけ、からかっちゃったかな」

まゆ「美玲ちゃん強情というか、気性の荒いところがあるから…」

飛鳥「ずいぶん気にかけているんだね、美玲のこと」

まゆ「ええ。同郷というのもあってだけど、なんだか放っておけなくて」

幸子「わかりますねー。美玲さんといっしょにいるとつい構っちゃう感じ!」

小梅「み、美玲ちゃん、か、かわいい、から…」

まゆ「そうですね。私にとっては、めんこい(かわいい)妹のような子ですから」にこっ

輝子「フヒッ、良い姉妹だね」

乃々「みんなの妹みたいな存在ですよね…」

飛鳥「うん。少し世話のやける妹だけどね」

幸子「確かに!」

蘭子「あはははっ」

小梅「ふふふっ」



美玲「~~~~ッ///」


こうして、扉の向こう側に隠れたまま出て行きづらくなる美玲なのであった


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