【ラブライブ!】「Heart to Heart」 (51)

ドキュメンタリー形式です。
途中設定など後付けもあります。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1475110812

#introlude

6月25日になると多くの人間がとある霊園に集まる。それは多岐に渡る人で主に20~30代の人間が多い。

「すごい暑さですね?」

「あっ!元A-RISEの!」

英玲奈「それはいいんだ。ところで何をしに?」

「決まってます!お墓参りです」

英玲奈「ファンですか?」

「もちろん!μ'sの時からの!」

英玲奈「5年前は大変残念でしたね…」

「ええ…どうしていいかわかりませんでした…」

英玲奈「すいません、ありがとうございました」

ここに集まるファンは誠実で純粋に彼女を愛してる人ばかりだった。

英玲奈「すいません、お話しいいですか?」

「もちろん」

英玲奈「5年前は大変残念でしたね?」

「ええ、辛かったです」

英玲奈「最後の作品は見ました?」

「ええ!リピートで」

英玲奈「ファンとしてはあの死は不可解なものですか?」

「当たり前ですね。不可解でしかない」

英玲奈「余りにも若いから?」

「それもありますけどね…」

英玲奈「他にも?」

「いや…ファンからすると」


「高坂穂乃果は殺されたんですよ」

#1.穂むら

1999年、この本の主人公高坂穂乃果は生まれた。夏の暑い日にも関わらず元気に生まれたと言う。

東京千代田区に生まれた彼女の家は饅頭屋の穂むら。老舗である。

英玲奈「では…辛いと思いますが…」

ほのママ「いえ…いいんですよ」

雪穂「英玲奈さんの頼みですから」

そうは言うものの顔は思い出したくない様子だった。

英玲奈「ではまず幼少期っていうのは…」

ほのママ「穂乃果は昔から変わらず天真爛漫で…ほとほと手がつけられなくなってましたよ」

ほのママ「2年後には雪穂も生まれ、充足していました」

英玲奈「へえ…では音楽というのは…」

ほのママ「はっきり言って魅力は感じませんでした」

雪穂「私もです…」

現在30歳の高坂雪穂は穂乃果の唯一の妹である。

ほのママ「よく歌ったり踊ったりはしていましたけど…人並みですよ」

雪穂「誰が好きなんてのも無かったと思うし…」

英玲奈「それではあの活躍ぶりは?」

ほのママ「穂乃果じゃない!って思いましたけどね」

雪穂「でもμ'sを始めて…音楽にすごく近かったから」

雪穂「あの時点でのカリスマは否めませんね」

英玲奈「確かに私達A-RISEも感じてましたね」

綺羅ツバサに会ったときを思い出したことをよく覚えている。

ほのママ「そうね。でも…」

ほのママ「行かせないほうがよかった。高校で終わらせとけば良かったと今でも思うときはありますね…」

雪穂「姉は…いくつになっても子供だったんです…」

雪穂「余りにも純粋だったんですよ…」

穂むらから車を走らせてすぐにある日本家屋。そこには重要なキーマンがいる。

英玲奈「すいません」

「あ、統堂英玲奈さんね?上がってください」

英玲奈「はい。失礼して」ガラガラ

千代田区の有数の名家、園田家である。

奥の客間の襖を開けると未だ変わらない美貌がそこにいた。

海未「お久し振りで、英玲奈さん」

英玲奈「こちらこそ」

海未「穂乃果のドキュメンタリーでしたよね?」

英玲奈「ああ、辛いと思うが…」

海未「…確かに親友でしたからね…」

海未「辛くないと言えば嘘になります」

英玲奈「まずは幼少期を…」

海未「そこからですか?分かりました」

海未「穂乃果は真っ直ぐな人でした。悪く言えば愚直」

海未「だから昔から人はついてきましたよ」

英玲奈「天真爛漫だった?」

海未「うーむ、天真爛漫とも少し違います。彼女は考えてないようで考えていましたから」

海未「それでも、想いの方が先に出るんですよ」

英玲奈「へえ…小学校から同じだったはずだが?」

海未「ええ。ですが私は別荘の大分で生まれたのでここに来たのは小学校2年の最初ですよ」

英玲奈「南ことりは?最初から?」

海未「ええ。最初から。彼女の親友でした」

英玲奈「中学校にあがると?」

海未「いいえ、ほとんど変わりません。小学校のままの穂乃果です」

英玲奈「それはずっと?」

海未「ええ、ほぼずっと」

英玲奈「一度アダルトチルドレンという事で雑誌に載りましたね?」

露骨に嫌な顔をした。高坂穂乃果を語る上でタブロイドというのは嫌な傷を残す。

海未「穂乃果がアダルトチルドレンと書かれた時、少しだけ仕方ないと思いました」

英玲奈「仕方ない?」

海未「穂乃果は…ピーターパンになりたがっていました。でも彼女は頭が良かったから…その狭間で苦しんでいたはずです」

英玲奈「ピーターパン?まるでマイケルジャクソンのように?」

海未「憧れていたとは言っていましたがマイケルジャクソンに影響されてピーターパンと言ったとはとても思えません」

英玲奈「高坂穂乃果、園田海未、そして南ことりというのはずっと親友だった?」

海未「ええ。後はヒデコ、フミ、ミカの三人…」

英玲奈「アイドルや音楽については?」

海未「全く。高校の一年までは全くその気配はありませんでした」

英玲奈「全く?」

海未「ええ。歌は上手い方だとは思いましたが後にスーパースターになるとはとても…」

英玲奈「μ'sを始めて、アイドルに目覚めた」

海未「そうです。それでもあそこまでとは…」

それは私も思っていたことだ。

英玲奈「では高校の穂乃果さんは?」

海未「…変わらないですね」

英玲奈「子供のまま?」

海未「というよりは純粋なままだったのです」

海未「クラスでも仲間は多かったです」

英玲奈「人は相当良かったみたいだな」

海未「ええ、愛されてましたよ」

英玲奈「大きなケンカとかは?」

海未「小さいいざこざなんかはしょっちゅうでしたけど大きいものは無かったですね」

英玲奈「それは遠慮して?」

海未「いえ私達二人はそんな器用なまね出来なかったと思います。ことりは別ですけど」

英玲奈「南ことりは?」

海未「ことりは…一人だけ大人だったんですよ」

海未「でも肝心なとこが子供の…思春期の女の子だったんです」

英玲奈「では…μ'sにおいて…高坂穂乃果のμ'sというのは…」

#2.μ's

秋葉原から徒歩でまわるとすぐに目につく建物。

秋葉原スクールアイドル記念館。スクールアイドルの繁栄にともなって高坂穂乃果が多大な援助を行ったことで知られる。

「ああ!お待ちしておりました!」

この記念館の発起人であり館長の黒澤ダイヤだ。彼女自身もスクールアイドルとして輝いた経験がある。

ダイヤ「どうぞこちらへ!」

入口を入るとすぐに目につく大きな写真。第二回覇者μ'sの集合写真。

英玲奈「ふふ…恥ずかしいな」

その裏には私達A-RISEの衣装と個人のスナップが飾られている。

応接室はとても綺麗で穏やかだった。ダイヤは始終にこやかだった。

ダイヤ「本日はどうも…」

英玲奈「いや、こちらこそありがたい。ドキュメンタリーの取材に答えてくれて」

ダイヤ「いいえ、私達の憧れであったμ's…光栄ですわ」

黒澤ダイヤは今年28歳。第7回にスクールアイドル「Aqours」として優勝している。

英玲奈「μ'sは憧れだった?」

ダイヤ「ええ!もちろん!」

英玲奈「その中でも光る存在というのは?」

ダイヤ「そうですわね…私は絢瀬絵里氏のファンでしたけれど…高坂さんの輝きもすごかったことを記憶しています」

英玲奈「つまりカリスマ性は高坂穂乃果にあったと…」

ダイヤ「そうですわ。私は彼女がプロになることもうなずけましたわ」

英玲奈「プロになるのに反対の人が?」

ダイヤ「私達のリーダー、高海千歌は反対していましたわ」

英玲奈「それまたなぜ?」

ダイヤ「多分…スクールアイドルでの輝きがすきだったんでしょう…」

英玲奈「ほう…スクールアイドルの高坂穂乃果を高海千歌は応援していた」

ダイヤ「真意は分かりませんがね?」

英玲奈「そういえば黒澤さんは高坂さんと幾度か出会ってますよね?」

ダイヤ「英玲奈さんからの敬語はなれませんわ…」

そういって顔を赤らめる。私は彼女の先輩だがこれは私の取材が名目だ。敬語が適切だろう。

ダイヤ「ええ…4回ほど…ですね」

英玲奈「初めては?」

ダイヤ「ええと…ラブライブ10周年の時ですから21歳の時ですわ」

英玲奈「ああ、あの時…」

ラブライブ10周年イベントは私達はライブ組だった。私達はその後A-RISEを解散したが各大会の優勝グループが揃った時だった。

ダイヤ「あの時μ'sでいない人は南さんと星空さんだけでしたから」

英玲奈「らしいですね」

ダイヤ「私はすぐ話しかけに行きましたわ」

英玲奈「高坂さんに?」

ダイヤ「最初は絵里さんでしたが話しかけてきたのは高坂さんでしたわ」

英玲奈「気さくなキャラクターに感じた?」

ダイヤ「気さくというよりは純粋ですね」

英玲奈「しかしその時既にスーパースターだったはずでは?」

ダイヤ「ええ。だから驚いたのですよ」

当時の彼女は黒澤ダイヤより4つ上の25歳。ファーストアルバムのツアーを行っていたときだ。

ダイヤ「それから立て続けに。私が大学を卒業するころに最後でしたね」

英玲奈「ここを最初に建てたのはあなたでは?」

ダイヤ「発起人は私でしたが正式な初代館長は小泉花陽さんです」

英玲奈「ははあ。なるほど…」

英玲奈「スーパースターのカリスマ性はあった?」

ダイヤ「ありましたわ。しかし…それ以上に純粋だったのですよ」

英玲奈「…μ'sの時と変わらず?」

ダイヤ「何1つ変わっていないと思われますわ」

英玲奈「最後に…Aqoursにとってμ'sの大きさは?」

ダイヤ「余りにも輝きすぎる太陽…ですわ」

話を戻そう。Aqoursはすごいグループだった。それにおいてμ'sの存在は大きかったのだ。

ならばμ'sのメンバーからの高坂穂乃果という存在はどうだったのか?

海未「そうですね…μ'sの穂乃果は…ただ輝こうとしてただけだと思います」

英玲奈「だけ?」

海未「つまりスクールアイドルでなくても音楽でなくても良かったのです」

英玲奈「はあ…なるほど」

海未「私達は廃校を阻止するツールとしてスクールアイドルを始めましたが…」

海未「私達はあなた方がいなければ始めなかったということです」

英玲奈「私達…A-RISEか」

海未「ええ」

海未「穂乃果は完全に憧れを抱いていました…」

あのスーパースター高坂穂乃果から憧れられていたとはいかんせん恥ずかしい。

海未「かといってスクールアイドルをなめていたわけでもありません」

海未「彼女は一度決めると純粋に突っ走るのです」

英玲奈「…園田海未にとってのμ'sは?」

海未「……穂乃果のドキュメンタリーですよね?」

海未「それは…私達が興したメモリアルです」

英玲奈「…そうか。取材協力ありがとう」

海未「ええ」

海未「穂乃果を…悲劇のヒロインにだけはしないでください」

英玲奈「え?」

海未「穂乃果は最後まで純粋なスーパースターだったから…」

μ'sと高坂穂乃果は対でもありそのものでもあるのかもしれない。

私は行かなければならないという想いにかられた。

ーーー音の木坂学院に。

陸上部の練習の声が聞こえる。

「すいません、お待たせしました!」

まるで印象が違う。取材対象者星空凛。

英玲奈「こちらこそすまない」

凛「じゃ、元部室にどうぞ…」

ガチャ

これが…μ'sの過ごした部室。しかし痕跡は1つしかない。

英玲奈「これは…高坂さんの写真?」

凛「そうです。思い出ですから」

そういって星空凛はお茶を出す。

凛「で、穂乃果ちゃんの話でしたっけ?」

英玲奈「ああ。μ'sでの高坂穂乃果を…教えてくれ」

凛「そう…ですね」

凛「やっぱりスクールアイドルでいるべきでしたね」

英玲奈「それは?」

凛「彼女はスクールアイドルではカリスマでしたけど…純粋すぎましたから」

英玲奈「純粋…」

凛「μ'sではまず穂乃果ちゃんの行動や思案を待つんです」

凛「それから曲の構成を始めていました」

英玲奈「曲は西木野真姫が、作詞は園田海未では?」

凛「そうですが…まずは穂乃果ちゃんなんですよ」

凛「私達は穂乃果ちゃんを中心に個々を出していたんです」

英玲奈「…そういえばあなたはラブライブ10周年のイベントに参加してないですよね?」

凛「私は興味ないですし学校がありましたし」

英玲奈「興味がない?」

凛「スクールアイドルは大好きですけど…ラブライブだけではありませんしね」

英玲奈「…メンバーに会いたくなかった?」

凛「……それもあります」

凛「私は穂乃果ちゃんが嫌いになったんですよ…」

英玲奈「え…?」

凛「嫌いというと語弊がありますけど…穂乃果ちゃんがポップスターになるのは不安だったんです」

凛「穂乃果ちゃんは意外と…強くはないんです」

英玲奈「精神的に?」

凛「いいえ…全て」

凛「だから私は反対だったんです…」

英玲奈「反対?高坂さんのデビューについて話し合ったことが?」

凛「いいえ。でも…」

つまりは自分が納得出来なかったということだろう。

凛「それなのにラブライブのイベントに出るだなんて…」

凛「スクールアイドルはプロでないから重要なんです!」

英玲奈「!」

これには言葉を返せなかった。なぜなら私達A-RISEもデビューしていた身だから。

英玲奈「そ、それはなぜ?」

凛「本物のアイドルにも負けない練習はしてきたと思いますがスクールアイドルがプロになってその後のスクールアイドルはみんなプロを目指すようになります」

凛「前例があれば誰かは必ず目指すんです」

凛「そんな危ない賭けに私だったら賛成は出来ませんね」

英玲奈「…なるほど」

英玲奈「では最後にμ'sの高坂穂乃果は一言で?」



凛「スクールアイドルのスーパースター」

#3.渡米

彼女はJ大に行き、普通の大人になる道に歩いた。

しかし高校のスーパースターは大学でも逃げられはしなかった。

美和子「そうですね…人望は篤かったですね」

高倉美和子は最初の高坂穂乃果のゼミの担任であり師である。

英玲奈「結局留学にOKを出したのも?」

美和子「私です。しかしあれは留学ではありません。大学が出したわけでもありません」

英玲奈「というと、あれは休学をして単身でアメリカに行ったと」

美和子「その通りです」

英玲奈「なぜアメリカへ?」

美和子「最初の英語の時間…彼女は新しい音楽に触れたんです」

英玲奈「音楽?」

美和子「私のゼミでは最初に英語の時間をとります。その時に興味を持ってもらうためのビデオを見せるんです」

英玲奈「その音楽とは?」

美和子「本物のポップです」

英玲奈「本物?」

美和子「スティングやマドンナ。マイケルジャクソンやプリンスを見せたんです」

美和子「彼女はすぐに聞いてきました。この人たちみんなアメリカ人?と」

英玲奈「スティングは…」

美和子「ええ。スティング以外はみんなアメリカ人よと答えました」

美和子「彼女は本場の音楽を知らなかったみたいです」

美和子「しかも彼女は特例でした。自分たちのμ'sの音楽とあなた方率いるA-RISE以外を知らなかったんですから」

それに関してはうなずける。彼女はスクールアイドルを始める前まで音楽に興味が無かったのだから。

美和子「『We are the world』も知らないというから驚きましたよ。私のゼミでは一人だけでした」

英玲奈「それは…すごいですね」

美和子「だから…余計に強く印象に残ったんだと思います」

美和子「更に彼女の周りも煽ったんです。穂乃果ちゃんならちょっと踊って、と」

美和子「出来ない部分は悔しく、知りたい部分は完璧に。いつも私の研究室に押し掛けてきましたよ」

英玲奈「それで?」

美和子「私は際限なく教え込みました。ブルース、ロック、ポップにジャズ。私が知る限り全て」

美和子「すると彼女は英語の点数が上がりだして…」

歌詞を読み取ったか、または歌えるように勉強したのだろう。

美和子「彼女がある時大学の催しで踊ることになったのですが」

美和子「彼女はμ'sの時の持ち歌ではなくヴァン・ヘイレンの『Panama』でダンスしたのです」

美和子「その時みんな思ったと思います」

美和子「格が違うって…」

英玲奈「…その時既にスーパースターの片鱗が?」

美和子「いいえ。既にスーパースターでした」

神戸市の一角に大きなホテルがある。待ち合わせはそこのグランドフロアの一室だった。

時間を縫っての取材だ。まるで同じ歳に思えないキャリアウーマン。

絢瀬絵里だ。

絵里「お久し振りです。英玲奈さん」

英玲奈「こちらこそ。忙しそうなとこを」

絵里「穂乃果のことでしょう?断れるわけ無いわ」

英玲奈「ではまず留学をけしかけたのは絢瀬氏か?」

絵里「けしかけたわけじゃないわ。あの子が相談しに来たのよ」

絵里「私が3年生に上がって少しして、私の大学に乗り込んできたのよ」

英玲奈「またなぜ?」

絵里「海未ちゃんは頼りにならないしことりちゃんは忙しそうだから、らしいわ」

そういって絵里はタバコをとりだす。

英玲奈「タバコを?」

絵里「…穂乃果が死んでから。イメージもくそもないし」

絵里「私はあの子と違うから」シボッ

英玲奈「…話を戻そう。それで高坂さんはなんと?」

絵里「その時は留学したいっ!てだけ」

絵里「プランも何もかもが無かったからそれを考えてきたら相談にのってあげると言ったの」

絵里「そしたら翌日に持ってきたの!それもかなり調べてね」

絵里「この時穂乃果は本気なんだと気付いたわ。英語力も私より既に上だったし」

絵里「それからは音楽の話になったわ。穂乃果の趣味がガラリと変わってて驚いたのを覚えてるわ」

英玲奈「例えば?」

絵里「穂乃果は好きなアーティストにテイラー・スウィフト、シンディ・ローパー、プリンス、マイケル・ジャクソンをあげたわ」

絵里「見事にスーパーポップスターばかりよね」

絵里「そしたらということで私はロサンゼルスに送ることを勧めたの」

絵里「彼女は語学留学するつもりなんて一切無くて音楽しか目になかったから」

英玲奈「へえ…ロス」

絵里「ネックはもちろん純粋すぎるとこよ」

絵里「彼女は全ての人間を信じ愛そうとするから」

絵里「彼女は決断するとすぐに動こうとする。そこは流石元リーダーね、と思ったけどね」

絵里「希にも話したわ。穂乃果が留学したがってるって。希はかなりおちゃらけた調子で賛成してたけどね」

英玲奈「へえ…ならば穂乃果さん自身から留学を」

絵里「ええ。誰がどうさせたというわけじゃない。昔から同じよ」

英玲奈「なるほど。それですぐに?」

絵里「ホントすぐだったわ。びっくりひたもの」

絵里「まあ、そこらの手続きと金銭面はかなり真姫が噛んでると聞いたわ」

英玲奈「西木野真姫が…」

絵里「真姫ならホテルでも機材でもお茶の子さいさいでしょうから」

絵里「ホントは嫌だったと思うわ。自分勝手で仲間に迷惑をかけると心配してたはずよ」

絵里「それから1回電話してきたきり。いつの間にかスーパースター」

絵里「ホント…穂乃果は…」グズッ

英玲奈「…灰が落ちるぞ?」

絵里「ごめんなさいね。もう…5年なのよね」

英玲奈「ではそれから高坂さんはアメリカに…」

絵里「ええ。目をキラキラさせてね」

絵里「ラブライブの優勝の時と同じ目を」

英玲奈「…すまない。ありがたい話を聞かせてもらった」

絵里「こちらこそ。でもね英玲奈、これだけは知っておいて」

英玲奈「なんだ?」


絵里「『彼ら』はアーティストがいつ[ピーーー]ば生きているときよりも価値が上がるかを知っているってこと…」

ロサンゼルスのダウンタウン。清潔とはとても言えないこの場所に渡米直後の穂乃果を知る人物がいた。

「君がエレナトウドウ?」

英玲奈「ええ。今日はよろしくお願いします」

彼女は最初のルームメイトであり同じく音楽活動をしていたキャサリン・パウエルだ。

彼女もまた、穂乃果の恩恵を受けている一人だ。

キャシー「キャシーって呼んで?」

英玲奈「分かりました。それでは彼女の最初の印象を教えて下さい」

キャシー「そうね…かなりアメリカ人っぽかった、かな?」

キャシー「かなりお気楽だったし。でも音楽の趣味は中々だったわ」

英玲奈「というと?」

キャシー「私の部屋には当時ドラムがあったのよ。それを見たらマイケルジャクソンを叩いて!って言うのよ」

キャシー「それからよく音楽の話をしたわ」

英玲奈「それからすぐグループを?」

キャシー「いいえ。彼女は大学で友達をつくることを優先していたわ」

英玲奈「出来たのですか?」

キャシー「それはね。あの性格なら出来て当然よ」

キャシー「でもやっぱり日本人ね。一線は守ってたわ」

英玲奈「一線?」

キャシー「当時私達は荒れてたからドラッグパーティーなんて当たり前だったわ」

キャシー「穂乃果は決して行かなかったけど」

英玲奈「ドラッグはしなかったと」

キャシー「ええ。デビューしてからもね」

英玲奈「その友達でグループを?」

キャシー「そうよ。彼女が私は日本でアイドルをやっていたというから歌を聞いたの」

キャシー「彼女は『Stand by me』を歌った。それで私はグループを組まなきゃいけないと思ったの」

英玲奈「彼女の英語力は?」

キャシー「日本人にしてはかなり上手いほうね。英詞の書き方は私が教えたけどね」

彼女が21歳の頃に『Honoka group』を結成。初期は完璧にバンドのボーカルという立ち位置だった。

キャシー「彼女はオリジナルといって『Snow halation』を聞かせてくれた。それを英詞に書き直したのよ」

英玲奈「それでは『Honoka group』の初期ナンバーはμ'sの曲が多かった?」

キャシー「私達はμ'sなんて知らなかったけど結果的にはね」

英玲奈「『Honoka group』の初期は5人?」

キャシー「そこはずっと変わらないわ。メンバー変遷は多い方だったけどね」

英玲奈「穂乃果さんがメンバーをクビにしたことは?」

キャシー「無いわ。全部私よ」

英玲奈「リーダーは穂乃果さんですよね?」

キャシー「そうよ?でも実務とかライブ設定なんかは全部私。だからギャラも穂乃果と私で6割をもらってたわ」

英玲奈「メンバーの変遷に彼女は?」

キャシー「驚き悲しむ、が普通だったわ」

キャシー「最初のギタリストのカトリーナはジャンキーになっちゃったし」

キャシー「初ライブは穂乃果の出した曲だけでしたわ」

英玲奈「曲目は覚えてますか?」

キャシー「うーん…曖昧だけど1曲目が『Love Maginal』ってことは覚えてるわ」

英玲奈「どうでしたか?」

キャシー「最初はお客も気にしてなかった。けどすぐに変わったわ」

キャシー「私達は初ライブにも関わらず600ドルも儲かったのよ!」

英玲奈「600ドルも」

キャシー「それからライブが楽しかったわ」

英玲奈「穂乃果さんの様子は?」

キャシー「同じよ。メンバーをクビにするときは辛そうだったけどライブはイキイキとしてた」

英玲奈「オリジナルはいつ頃から?」

キャシー「最初にオリジナルを書いたのは私だった」

英玲奈「え?」

キャシー「彼女はマイケルやロッドスチュワート、プリンスなんかが好きだったけど私はロックが好きだったから」

キャシー「アコギで数フレーズを組み合わせて曲を作ったわ」

英玲奈「穂乃果さんに提供は?」

キャシー「彼女がプロになってからはないわ」

キャシー「あの子のほうが曲作りはうまかったし」

キャシー「それから1年くらいかな。穂乃果のデビューのきっかけになるギタリストが入ったわ」

英玲奈「メリー・ロウですか?」

キャシー「そうよ」

メリー・ロウは高坂穂乃果と因縁のある人物だ。2回の訴訟を穂乃果に対しておこし2回とも敗訴しているが示談金は多く獲得していた。

英玲奈「メリー・ロウを入れたのは?」

キャシー「穂乃果よ。その時彼女のバンドが私達の相手だったのよ」

キャシー「ライブが終わってすぐ穂乃果はメリーに話かけにいった」

キャシー「その時はたまたま4人でしててギタリストが必要だった」

英玲奈「それですぐにメリーをとったんですか?」

キャシー「いいえ。メリーは渋ったわ」

キャシー「彼女は穂乃果の天真爛漫さが嫌だったみたいね。余り最後まで仲良く無かったわ」

英玲奈「それが訴訟に繋がった?」

キャシー「あれはメリーも穂乃果も悪いけどプロデューサーやマネージャーの悪意も大いにあるわ」

英玲奈「悪意ですか…」

キャシー「そうよ。二人のイメージを下げるのにあの裁判はちょうど良かったわ」

英玲奈「そしてメリーが加入した後は?」

キャシー「音楽が異常に進化したわ。私のドラミング、メリーのギター、穂乃果の声が完璧に融合してた」

キャシー「それですぐに私達はデビュー出来るんだ!と思ったわ」

キャシー「そしてスカウトされた。穂乃果は日本に帰らなかった」

英玲奈「それは穂乃果さんが何歳の時ですか?」

キャシー「ええと…23になろうとしてたわ」

多分最初から日本に帰るつもりは無かったのだろう。

キャシー「それからインディーズレーベルでデビューしたわ」

英玲奈「メンバーは?」

キャシー「メリー、穂乃果、私、ハンナ、マイカよ」

メリー・ロウとキャサリン・パウエル、高坂穂乃果以外は有名ではない。

キャシー「ファーストアルバムは穂乃果とメリーが名前で荒れたわ」

キャシー「メリーは『In the back』って付けようとして穂乃果は『H.O.P.E』にしようとしたの」

キャシー「結局穂乃果の案が通ったけど穂乃果とメリーの仲は治らなかったわね」

キャシー「そして私達のファーストはカレッジチャートで初登場2位。最高の出だしだったわ」

英玲奈「週は?」

キャシー「4週連続よ」

キャシー「そしてライブを重ねてプロのスカウトが来た。でもこれが問題だったわ」

英玲奈「全員別々だった。ですね?」

キャシー「そう。まず最初は私だった。私がBGCに誘われたわ」

キャシー「次に穂乃果がソニーにそしてすぐにメリーがワーナーに行った」

キャシー「穂乃果は最後まで仲良くみんなでって言ったけど…メリーは早々に抜けたわ」

キャシー「そしたら穂乃果はこの5人じゃなきゃ意味がないって解散したわ」

英玲奈「解散後は?」

キャシー「私とメリーは良かったけど穂乃果は大変だったわ」

キャシー「あのグループの責任者は穂乃果だったからレーベルから違約金を求められたわ」

キャシー「だから私が弁護士を呼んで解決させたのよ」

英玲奈「弁護士?」

キャシー「この時の弁護士が『高坂裁判』の穂乃果の弁護士、ジェフ・アンダーソンよ」

キャシーは後に飲酒運転で怪我して以来ドラムを辞めた。しかし、ホントの原因は穂乃果の死では無かったのだろうか。

彼女は真意を語りはしなかった。しかし、キャサリン・パウエルに否定的な意見も多い。

そう彼女は『高坂裁判』の時にメリー側にたっていたのだから…

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom