明石「賑やかですね」

夕張「何の話題ですか」

提督「最近ウチの鎮守府にもイタリア艦が増えてきただろ」

大淀「あ、はい。アクィラさんも来ましたね」

提督「日本の食文化として、まずは麺類を紹介しようと思ってな」

明石「ふむふむ」

提督「どうせなら一番旨いものを……という事で、最強を決めている所だ」

夕張「なるほど」

提督「夕張は何だと思う？」

夕張「私なら天ざるですね」

涼風「！」ﾊﾟｱｱｧｯ!

夕張「温かいのもいいですけど、麺のコシが味わえるざるの方が好きです」

涼風「くうぅ～、夕張姉ちゃん分かってるねぇ～！」

谷風「うんうん、やっぱり蕎麦だよな！」

提督「明石はどうだ」

明石「私はうどん派ですね。冷おろしぶっかけに、ちくわ天トッピングで」

黒潮「！」ｷﾗｷﾗ!

提督「ああ、ちくわ天いいよな」

黒潮「さすが明石さんや、本物をちゃんと知ってはる！」

提督「ふむ、他の意見も聞いてみるか」

提督「ちょっとその辺で誰か連れて来てくれ」

涼風「合点でいっ！」

黒潮「よっしゃ、まかしとき」

◇


浦風「お好み焼きじゃ」

提督「浦風かよ！」

提督「こいつは駄目！」

夕張「何でですか」

提督「そりゃこいつに聞いたらお好みって言うよ！お好みしか食わないんだから！」

浦風「肉玉そばダブルイカ天餅入り鉄板で」

提督「ほら見ろ、訳の分からない事を言い出したぞ」

明石「呪文ですかね」

大淀「何かの暗号かも」

提督「お好み焼きは麺類じゃないだろ」

浦風「そんなら焼きそばでええよ」

提督「焼きそばか……」

浦風「お好みソース最強じゃけん」

提督「悪くはないが、一番かと言われると……」

明石「ちょっと微妙ですよね」

大淀「三、四番手のイメージです」

浦風「ビールも付けるで」

提督「！！」ｶﾞﾀｯ!

提督「え、何？ビール付くの」ｿﾜｿﾜ

浦風「もちろんじゃ。ビールと焼きそばはセットじゃけん」

浦風「提督さん好きじゃろ？」

提督「おいおいマジか、ビールに焼きそばってヤバ過ぎだろ」

涼風「ヤバイの？」

提督「ヤバイ。凶悪にヤバイ。ゴールデンコンビだ」

谷風「そんなに凄いんだ」

提督「メチャメチャ凄い。ハンセンとブロディぐらい凄い」

黒潮「誰やの、それ」

提督「不沈艦とキングコングだ」

五月雨「長門さん？」

黒潮「ああ、長門さんか」

谷風「長門なら仕方ないね」

夕張「長門さんェ……」

時雨「それなら皿うどんはどうかな」

提督「む、皿うどんか」

時雨「ビールも付くよ」

提督「！！」ｶﾞﾀﾀｯ!

涼風「すごい反応だね」

提督「麺はパリパリのヤツか？」

時雨「それは細麺だね。佐世保では太麺も人気だよ」

提督「香ばし細麺……もっちり太麺……これは悩み所だな」

谷風「どっちがビールに合うの？」

提督「どっちも合う。レベルが高すぎて甲乙つけ難い」

五月雨「そんなに凄いんですか」

提督「最強クラスの双璧だ。千代の富士と北の湖だな」

涼風「誰なのそれ？」

提督「裸ふんどしの力持ちだ」

五月雨「武蔵さん？」

黒潮「武蔵さんやな」

涼風「武蔵なら仕方ねぇな」

明石「武蔵さんェ……」

時雨「あと、チャンポンも美味しいよ」

提督「いや、チャンポンはいい」

時雨「あれ？嫌いだったかな」

提督「ラーメン系はもう議論したからな」

時雨「へえ、そうなんだ」

提督「ああ、サッポロ一番の味噌が最強という事で結論が出た」

時雨「えっ？」

明石「全然違いますからね」

大淀「騙されては駄目です」

清霜「やれやれ、みんな分かってないなー」

提督「ん、清霜か」

涼風「何だよ清霜」

谷風「じゃあ、何が一番なんだよー」

清霜「そんなの決まってるじゃん！」

清霜「最強はこれ！ナポリタンだよー！」ﾊﾞﾊﾞｰﾝｯ!

涼風「はうあっ！！」ﾄﾞｯｶｰﾝｯ!

谷風「ふおおっ！！」ｽﾞｶﾞｶﾞｰﾝｯ!

提督「ヤバイ！涼風と谷風が一撃でやられた！！」

涼風（大破）「夕張姉ちゃん、ゴメン……」

谷風（大破）「ナポリタンには勝てなかったよ……」

夕張「涼風ちゃん！谷風ちゃん！しっかりして！」

五月雨「す、すぐに手当てを……！」

清霜「プリンも付くよ」

五月雨「きゃああーーっ！！」ﾊﾞｷｬｱｱｱｰﾝｯ!

夕張「五月雨ちゃーーんっ！！」

明石「でもイタリア艦にパスタを薦めるのは、ちょっとどうかと」

提督「いや、独自の進化を遂げた新種だからな。イタリアには無いらしい」

夕張「和食じゃないけど大丈夫なんですか」

提督「まあ、旨けりゃ正直なんでもいいさ」

提督「さっきの皿うどんもそうだけど、別に目くじらを立てる事でもない」

夕雲「それならこちらはどうでしょう」ｽｯ

提督「それは……たらこスパか」

夕雲「はい。明太子クリームもあります」

大淀「！」ｶﾞﾀｯ!

大淀「サラダは？サラダは付きますか」

夕雲「生ハムとアボガドのサラダです」

大淀「決定。これがいいです、これにしましょう」

提督「落ち着け、大淀」

夕雲「今ならガーリックトーストに、ミネストローネも付いてます」

提督「カフェじゃん」

明石「OLのランチですね」

夕雲「デザートはどうしましょう」

大淀「ティラミスとエスプレッソでお願いします」ﾆｯｺﾘ

提督「こらこら、目録を手渡すな。まだ何も決まってない」

黒潮「なんやなんや。おまけばっかりして、そんなんズルいわ」

黒潮「そやったら、ウチもたこ焼きサービスや」

提督「いや、うどんにたこ焼きって」

明石「ダブル炭水化物ですね」

提督「デブまっしぐらだぞ」

黒潮「ちょっと待って。何？ウチ全然太ってないで」

夕張「ああ、うん」

大淀「ソウデスネ」

黒潮「待って待って、そんな可哀想な子を見る目やめて」

黒潮「ウチ普通やから。明石さんや大淀さんが特別なだけやから」

提督「……」ﾎﾟﾝ

黒潮「いやいや、そんな優しく肩に手を置かんでええから」

提督「明日から一緒にジョギングしような」

夕張「私、ワンダーコアとか作れますよ」

明石「いいサプリも入荷出来ますから、大丈夫です」

大淀「こっそり経費で落とすので安心して下さい」

黒潮「うわああーんっ！その優しさが胸に刺さるううぅーーっ！」