【SS】夢と狂気の部活 (6)
(校舎の廊下 画面左からIN)
「しまった、場所を聞いていなかった…」
俺は鈴鹿敏男。ごく普通の公立高校にかよう高校二年生だ。
部活は新聞部に所属していて、今日の放課後に取材の一環としてアニメ制作部に訪問しにいく、はずだった。
端的にいって、部室の場所がわからなくなったのだ。
わからないということを思い出した、と言い換えてもいい。
この高校はそれなりのマンモス校であり、校舎は大きく四つに別れている。
そのうちの部室棟にアニメ制作部があるということはわかっていた。
だがその先を知らない。ざっと歩いてみたところ、廊下には面してなさそうだ。
*なんというかごめんなさい
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しばらく廊下の真ん中で立ち止まっていると、向かいからやってくる人物が目にはいった。
「おや、鈴鹿くん。こんなところでどうしたんだい?」
それは白衣とベレー帽が特徴的な我が校のマドンナ、保健室に席を置いている足塚 治美(あしづか おさみ)先生だった。
鈴鹿「いえ、少し道に迷ってしまって…足塚先生はアニメ制作部の場所ご存じですか?」
足塚「アニメ制作部…?」
足塚先生はなぜか少しいたずらっ子のような笑みを浮かべて、こう答えた。
足塚「アニメ制作部の場所なら知ってるよ。ついてきて」
僕はその反応に首をかしげながら、素直に彼女の後をついていった。
この時に少しでも躊躇すれば、俺がこのあとに巻き込まれる一連の狂騒を部外者として眺め、取材し面白おかしく書き立てることができたのだろう。
足塚先生につれられて、階段を上る。
どう考えてもいま上っているのは屋上行きのそれである。
鈴鹿「先生、本当にこの先にアニメ制作部が?」
足塚「まあついてきて」
屋上のドアを開くと、無駄に広い屋上の打ちっぱなしのコンクリートの大地に、粗末なプレハブ小屋が建っているのが見えた。
え、まさか。
鈴鹿「すいません、まさかあのコンテナじみたものが…」
足塚「ああ。あれがアニメ制作部の部室だよ」
鈴鹿「ええ…」
困惑する俺を尻目に足塚先生は小屋の方に歩きよると、ドアを開ける。
俺は急いでドアの元に駆け寄る。そして中をのぞきこんだ。
窓に黒い紙が張られているせいか、西日が強く差し込んでいるにも関わらず室内は暗く、卓上ライトに照され、机になにやら人が座っているのが見えた。それが三ヶ所。
足塚先生は手を叩いてその場にいる人々を注目させる。
カリカリと響く鉛筆の音が静まり、皆が目だけを動かしてこっちを凝視した。
こわい
足塚「みんな!吉報だよ。彼が新しく動画として入ってくれるそうだ!」
鈴鹿「え… え!?」
この時にはっきりと否定していれば、俺がこのあとに巻き込まれる一連の狂騒を部外者として眺め、取材し面白おかしく書き立てることができたのだろう。
しかし彼女らの、こちらを品定めするような鋭い目が俺をその場に固定してしまった。
そして暗闇の中から声が聞こえた
「そいつ、つかえるの?」
(FO 黒BGに白字でタイトル)
OPパート 彼女たちとの出会い
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