カズマ「おまわりさん!こいつです!」ダクネス「!?」 (14)

「ふぅ……今日は月がきれいですね」

 ここは留置場。
 子供から名前をバカにされ、むしゃくしゃして広場に爆裂魔法を使ったら捕まってしまった。
 世知辛い世の中になったものだ。

「めぐみん。めぐみん!」
「ん?この声はアクアですか?」
「迎えに来たの。逃げるわよ」
 まったく……。私のために脱獄の助けをするなんて、素晴らしい仲間を持ったものです。


----まぁ、明日には釈放されるので、余計な事はして欲しくないのですが。

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「大丈夫です。明日には出られる身ですので、アクアは見つかる前に逃げてください。そろそろ見回りも来る時間のはずです。」
「大丈夫。心配しないで」
 心配しないで?どういう意味なのだろう?


「外でダクネスとカズマが露出お散歩プレイをしているから、警察はそっちで手一杯なの。だから見回りは…………って、なんで寝たふりするの!?めぐみん!?」


 これ以上、警察の人に怒られたくないので私は寝ることにした。

■別の日

 私、ダスティネス・フォード・ララティーナは我慢の限界だった。

「か、カズマ……。そろそろ我慢の限界だ」
「え?なにが?」
 くっ、この男。わかっているくせに……
「わ、私の口からそれを言わせるのか。さすがカズマだな。いいだろう」
「は?お、おい。お前、何を……」

 我慢できなくなった、私は声を大にして言う。
 ギルドにいた他の冒険者も私に注目した。
「先日、めぐみんと屋敷で深夜におしっこ我慢プレイをしていたんだろう!? なぜ私を呼んでくれなかったのだ!? 私はこう見えて我慢大会連続優勝者だぞ! その私をのけ者にするなんて……く、くぅ……さ、さすがカズマだ! まさかのお預けプレイとは! ……ん? めぐみん、どうかしたのか? 赤くなってプルプル震えて…………」



「『エクスプロージョン』ッッ!」



----あぁ、やはり爆裂魔法は最高だ----

■別の日

 ここは留置場。先日何かをやらかしたダクネスを迎えに来た。
 あいつは貴族だからすぐに留置場から出られるらしい。
 この異世界は権力が全てだからな……。はぁ……


「おい、迎えに来たぞ。ダクネス」
「いつもいつもすまないな。カズマ」
「で、今度は何をやって捕まったんだ?」


「広場で大量のところてんスライムが体に絡まってな。それで興奮……いや、取るのに時間がかかってな。するとなぜか警察がやってきて……って、どこに行くんだカズマ!? 走ってどこに行くんだ!?」



 その後、全力でところてんスライムを大量購入し、屋敷でダクネスにプレゼントしようとしたら、めぐみんとアクアに白い目で見られたのはまた別の話だ。

■別の日

「ダクネスにはこういう服が似合うと思うの」
「こ、これは私には可愛すぎないか!?」
 私、水を司る女神アクアがアクシズ教団の勧誘を行っていたら、お店の前でうろうろしていたダクネスを見かけた。
 ダクネスは中々自分に素直になれない。
 きっと欲しい服も買えない。
 だから、気が利く私が服を選んであげることにした。


「またのご来店を~♪」


「ありがとう。アクア。今日はその……いい服が買えた」
「いいのよ。いつもダクネスにはお世話になってるしね」
「ああ、でも、こんな可愛い服……。私に本当に似合うだろうか?」
「大丈夫よ。自分に自信を持ちなさい」
「あ、ああ。そうだな。せっかくだし頑張ってきてみる」

 ダクネスはもじもじして恥ずかしそうにしている。
 んー、もしかしたら、きっかけがないと着れないのかも……
 あっ、ひらめいた。


「買った服。確かスカート短かったわよね? だったら露出プレイだと思ってみるといいわ。試しにカズマの前に行ってみなさい。絶対に変な目で見られるから」

「お、おい。さすがの私もそれはどうかと思うぞ。だが、せっかくの仲間の提案だ。試してみりゅ」


 ダクネスはすごく嬉しそう。喜んだ犬みたいにハァハァ言ってる。
 さすが私。今日も良い事したわね。

■別の日

「おはようカズマ」
「おはようダクネス」
「あ、あれ?」

 朝起きたら、いつも俺が座る椅子がなかった。
 お、おかしい。昨日はあったはず……誰かが隠したのか?


「どうしたカズマ? ん? 椅子がないのか? 仕方ない。クルセイダーである私が椅子になってやろう。なに気にするな。仲間を守るのは聖騎士として当然のことだ」

 ダクネスは訳の分からない事を言うと空気椅子のポーズをとる。
 なるほどダクネスを椅子にして座ればいいのか。これは極上の椅子っぽいぞ。
 特に背もたれが気持ちよさそうだ。



「!?」

 めぐみんが目を真っ赤にしながら俺を見ていた。
 や、やばい。このまま座ったら殺される!?




「ほぅ。私の視線に気付きながらダクネスに座るとはいい度胸ですね」
「なっ、お、俺はいつの間に!? こ、これが極上の椅子の魅力の力か!?」
「か、カズマ、あまり力を入れるな。私にも……んんっ。あぁ限界がぁ……」




 この後、無茶苦茶めぐみんから殴られた----

■別の日

 私、ダスティネス・フォード・ララティーナは誇り高い聖騎士のクルセイダーだ。
 我慢大会も連続で優勝している。これもクルセイダーの特訓の為だ。
 クルセイダーは前衛で耐えるのがメインだ。
 我慢大会くらい簡単に勝てないようでは、前衛は務まらない。
 しかし、そんな誇り高い聖騎士で我慢強い私でもカズマには勝てない。



「さあ、ダクネス。これは野球拳と言って日本の正式な国技だ。負けたら絶対に脱ぐんだぞ! 絶対だからな!」
 あと1回。あと1回負けたら私の下着姿がこいつの目の前で露わになる。

「え?めぐみんさん…………目が凄く真っ赤なんですが……って、ぎゃぁぁぁぁ! 痛い痛い痛い!」
 そして、下着姿になった私はカズマの舐めるような視線を受けて……


「ギブギブギブギブ! 助けてくれ! ダクネス!」
 あぁ……もう最高だ!!!!! 早く脱がせてくれ! カズマ!







 ん?やけに静かだな。
 私が妄想にふけっている間にかなりの時間がたったようだ。

 ま、まさか、カズマ……。ここまで脱がせておいて部屋に戻ったのか!?
 くぅ……。なんという屈辱。こんな屈辱初めてだ!
 やっぱりあいつは最高だ!

■別の日

 親友のダクネスがいつも楽しそうにしていた。
「どう? たまにはあたしとクエストにいかない?」
「クリス。その誘いは嬉しいが……。すまない、今日はカズマ達と行く予定が」
「そっかー」
「そう悲しそうな顔をするな。よかったら一緒にどうだ?」
「ううん。そうじゃないんだ。あのダクネスが私意外と上手くやってるのが……。ちょっと妬けちゃってさ」
「うっ……いやその……なんだ……」

 照れくさそうにしながら、返答に困っているダクネスにあたしは一つ質問をする。
「ねえ、ダクネス。今のパーティーは楽しい?」
「……ああ。最高の仲間だ。この仲間になら命をかけてもいい。そう思えるくらいに最高のパーティーだな」

 ダクネスの笑顔を見た。
 くやしいなぁ……。
 あたしといた時以上の笑顔だよ。

「そっかー。じゃあ、いつもの病気もほどほどに頑張るんだよ」
「び、病気などではない! で、では、ちょっと行ってくる」
「うん。行ってらっしゃい」


 親友を見送ってあたしは----

もっともっとその素晴らしい仲間を好きになりますようにと。心の底からの祈りを捧げた--




あと例の性癖も少しは落ち着きますように----





       終わり

これにて終わりになります。
読んでくれてありがとうございました!
また機会があればよろしくお願いします!

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