◆ニンジャが出て◆このサツバツとした世界に血の雨を!◆殺す◆ (68)

◆注意な◆

当SSは「この素晴らしい世界に祝福を!」と「ニンジャスレイヤー」のクロスオーバーです。

なお、自分はアニメイシヨンからのニュービーな上、SS初心者なので色々と拙いと思われます。

時間軸等は気にしないで下さい。「あれ?軸は一部なのか二部なのか三部なのかハッキリしろよ」と言う投稿は控えて頂けると幸いです。

「このすば」に関してはWeb版、アニメの知識しかないです。ある程度ネタバレにならない様にはしますが、アニメしか見ていない人にとってはわからない事等があると思います。其れについては投稿にて質問等を御願いします。

なお、1は用事があったりとしていなかったりしますが、暇な時にでも見てやるか程度にお楽しみ下さい。




とにかく、注意としては色々危うい上ぶっつけ書き溜め無しと言う事です。



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...

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455681844



………

「此処は、一体…」

暗い闇の中、一人の男が立っている。目深に被ったハンチング帽に、トレンチコートを着ている。

其の男は思いを反芻させた。確か、自分は敵のニンジャと戦って居た…はずだ。だが、そんな彼を煩い程の静寂のみが包む。

「…ナラクよ。居ないのか」

男は自らの胸に手を当て、小さく呟いた。彼の精神に宿る不浄の存在。其れのざわめきを感じる事が出来ないのだ。

今まで出せていた力が出せない様だ。不確か乍も彼は確信した。

自分は、死んだのだ。ニンジャとのイクサに敗れ、惨たらしく死を迎えたのだと。志半ばで死んだのだと。

彼は俯き、顔を顰めた。此れが、此の静寂がジゴクなのだろうか。そう考えた時だった。

「_____ようこそ、死後の世界へ」


「…オヌシは、誰だ」

「私は女神。貴方に新しい道を示す者です」

白く煌びやかな髪の女性。女神と言うに相応しい服装をしている。そして其の胸は豊満であったが、欺瞞にも思える形であった。

「…」

「あ、信じていませんね?ホントですから。私、こう見えても其れなりに崇められてますよ?」

おどけた様に笑みを零し、首を緩く傾けた。そんな相手に、彼はこう言い放った。

「私は、死んだのか」

既に知っている事だ。そう思い乍も認めたくは無い。

「はい、貴方は…えぇと、ニンジャ…ですか。其の存在により殺害され、此処に居ます」

「そうか」

暫くの無言が場を支配した。

「…女神とやら。オヌシは何をしに来た。私をジゴクにでも送るか」

「そうですね…貴方は、多くの人を殺しました。ですが、其の成り行き等から、天界より温情の報告があります」

「温情?」

ジゴクより、多少マシな所に連れて行かれるのだろうか。彼はそう考えた。

「はい。ジゴクに行くか…其れとも、生まれ変わって人生をやり直すか。その際には、記憶などは消させて頂きます」

生まれ変わる、という言葉に彼は更に考えた。記憶が無くなるのであれば、妻子の事も忘れてしまうだろう。それも、ある意味彼にとっては辛い事だった。

「後は、記憶や姿を其の儘に、異世界で魔王軍と戦う冒険者になる事です」

「…………魔王、だと?」

突拍子もない言葉だった。思わず驚きに目を見開き、困惑の表情を浮かべてしまう。


「えぇ、とある異世界では、魔王の侵略に悩まされています。多くの人を救う為、其の世界で…戦ってくれますか?」

「…私には、戦う理由が…もう、無い」

疲れ切ったサラリマンの様に、気怠げに息を吐いた。手を開いては握り、幾多の敵を捻り潰して来た感触を思い出す。

「ジゴクに行っても、得をする訳でもありません。記憶を無くすのも嫌なのでしょう?…それに、戦う理由ならあります」

「……何?」

「多くの人を救えます。貴方が、そう望むのなら…其の力も、与えましょう」

力。ナラク。ニンジャ。ニンジャを[ピーーー]、力。ニンジャソウル。

「よかろう」

自分は死んだ。だが、まだ生きている。否、生き延びる。生きて、元の世界に戻る為に戦う。其れが、理由だと。

「魔王を討伐した暁には、天界より何でも願いを叶えてくれるでしょう」

彼の思いを肯定するかの様に、女神は告げた。

「さぁ、選んで下さい。貴方の欲する力を」

魔剣。スキル。様々な恩恵を並べ立てる女神へと、彼は言った。

「ニンジャを[ピーーー]。妻子を殺したニンジャを全て[ピーーー]。…其れまでは、[ピーーー]ぬ。[ピーーー]ぬのだ」

目を閉じ、精神を研ぎ澄ませた。彼のニンジャに対する憎悪。其れこそが、彼の求める力の根源である。

そして、彼は呼んだ。自らを取り込もうとし、善良なる市民すらも慈悲無く[ピーーー]存在を。

「ナラクよ。もう一度、力を貸せ」




...

「えぇ、とある異世界では、魔王の侵略に悩まされています。多くの人を救う為、其の世界で…戦ってくれますか?」

「…私には、戦う理由が…もう、無い」

疲れ切ったサラリマンの様に、気怠げに息を吐いた。手を開いては握り、幾多の敵を捻り潰して来た感触を思い出す。

「ジゴクに行っても、得をする訳でもありません。記憶を無くすのも嫌なのでしょう?…それに、戦う理由ならあります」

「……何?」

「多くの人を救えます。貴方が、そう望むのなら…其の力も、与えましょう」

力。ナラク。ニンジャ。ニンジャを殺す、力。ニンジャソウル。

「よかろう」

自分は死んだ。だが、まだ生きている。否、生き延びる。生きて、元の世界に戻る為に戦う。其れが、理由だと。

「魔王を討伐した暁には、天界より何でも願いを叶えてくれるでしょう」

彼の思いを肯定するかの様に、女神は告げた。

「さぁ、選んで下さい。貴方の欲する力を」

魔剣。スキル。様々な恩恵を並べ立てる女神へと、彼は言った。

「ニンジャを殺す。妻子を殺したニンジャを全て殺す。…其れまでは、死ねぬ。死ねぬのだ」

目を閉じ、精神を研ぎ澄ませた。彼のニンジャに対する憎悪。其れこそが、彼の求める力の根源である。

そして、彼は呼んだ。自らを取り込もうとし、善良なる市民すらも慈悲無く殺す存在を。

「ナラクよ。もう一度、力を貸せ」




...

( 変換のアレを無効にするの忘れてました、ケジメは後でします。)

突如、彼をどす黒い不浄の存在が包み込んだ。

(((グググ…フジキドよ…死して尚、ワシに助けを求めるか。情けない…だが、神とやらの力は凄まじい。ワシですら抵抗出来ぬとは…)))

彼にしか聞こえない声は、彼の精神に宿った。先程まで、トレンチコートに身を包んでいた彼の姿は赤黒いニンジャ装束へと変わっていた。

「黙れナラク。オヌシは、何時からそんなに饒舌になった」

(((ワシを呼んでおいて…まぁ良い。マオウ、とやらを殺し、さっさと戻るのだ…フジキド…)))

「無論、最初から其のつもりだ…オヌシには、まだまだ力を貸して貰うぞ」

改め、フジキドと呼ばれた彼は、女神へと向き直った。

「さぁ、準備は出来た。何時でも良い」

其の様子を見守って居た女神は、目を伏せて頷き彼へと言葉を掛ける。

「では、行ってらっしゃいませ。魔王を見事打倒し、また会える日を楽しみにしていますね」

其の言葉と共に、彼は光に包まれ、やがて…。

_______________

_______

___

_

.

『始まりの街 アクセル』


「…随分と、長閑で平和そうでは無いか」


(((周囲にニンジャソウルは無い…フジキドよ、ニンジャ装束は些か目立つと思うのじゃが)))


赤黒い全身を包む服装は異世界でも珍しい様だ。街の住人と思わしき人物らがちらちらとフジキドを見遣り、囁き声で話している。


ニンジャ聴力を御持ちの読者様には聞こえただろうか。彼の姿を訝しむ声が。


「……」


ニンジャを見ても動揺すらしない住人に慣れない様なフジキドは木陰へと身を寄せ、素早くトレンチコート、目深なハンチング帽姿へと戻った。


初めての街では、どうすれば良いのか。滞在中は何処に居ればいいのかと思った彼は、近くで一番大きな建物へと向かって行った。

『冒険者ギルド』

諸々の説明を、受付嬢から受けたフジキド。彼の最初の仕事は、ギルド登録の為の金稼ぎだった。

「…ヌゥーッ…どうしたものか…」

何事にも、順序は大切である。元サラリマンの彼は其れを良く知っていた。

「異世界にて、職探しとは…と言っても、力仕事であるならば問題は無い」

彼はニンジャとしての腕力があり、少なからず自信を持っていた。

滞在中、馬小屋にて空いているスペースがある為、其処を使わせて貰えると聞いたフジキドは一度其処へ向かう事にした。






( 今日の所は此処までです。続きを書くのは、明日以降か時間が空いた時になりそうです。遅筆なので、御了承下さい… )

シリアスになるのかギャグになるのか
予想がつかない

( 米有難う御座います。先述の通り、書き溜め無しなのでゆっくりと投下していきます。ナラクおじいちゃんの喋り方とか忘れているのはすいません。)



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「成る程。休むには悪くない」
藁山のみが置いてある馬小屋の一室へと入った彼は、不満だと感じない声を漏らした。
「…少し休んでからにしようか」
此処まで来る途中、土木作業をしている者を見掛けた。彼は暫く、其処にて金を稼ごうと思案したのだ。
何時から働けるのか…と思いもしたが、如何やら人手が足りない様で直ぐにでも手を貸して欲しいと言われ、採用された。
彼は馬小屋の一室にて胡坐をかき、目を閉じた。深呼吸する様に、息を吐いては吸い、幾度か其れを繰り返す後に目を開ける。
やがて立ち上がり、先程の場所へと向かう事にした。

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「おぉ、兄ちゃんか。早速来て貰って悪ぃな。じゃあ、先ずは使う木材とか、運んでくれるか?」
筋骨が良く発達している、どうやら親方らしき男に声を掛けられる。
「…うむ、分かった」
ニンジャ腕力の持ち主である彼には容易い作業が続いた。木材運び、つるはしでの耕し等々、其の速さに周りの作業員らを驚かせる。
暫くし、今日の作業の終了を伝える声が掛けられた。
「いや、兄ちゃんよ…案外力、あるんだな。着痩せするタイプなのか?」
「いいえ、そうでもないですよ」
奥ゆかしく其れだけ返答すれば、作業着を脱いで元の服装へと戻った。トレンチコート等は動きにくいだろうとの事で、作業前に借りた物だ。
「ちょい待ち。ほら、勤め始めって事でさ。少ないが取っときな」
男が差し出した袋には、ギルド登録に十分な位の金(単価はエリス。一円=一エリスだと思って下さい)が入っていた。
「…此れは」
「兄ちゃんも、アレだろ。冒険者になろうってクチじゃねぇの?違ってたら其れは其れでイイんだがな。ま、ただの勘だ。手伝ってくれてありがとよ?クエストとか、嫌になったらまたこっちで働いてくれるといい」
強面乍も笑顔を浮かべ、彼の肩を軽く叩いた。
「有難う御座います」
「いいって事よ」
彼も薄く微笑み返し、一礼すれば其の儘ギルドへと向かった。

>>13 シリアスより、ギャグ成分高めだと思われます!



『冒険者ギルド』

時間も良い頃故か、夕食を食べている冒険者が多い様だ。彼は辺りを見回し乍、受付へと足を運んだ。
「すみません。登録料を持って来たのですが」
「あ、はい。登録料、千エリスとなります」
先程貰った金を袋から取り出し、受付へと渡す。少し金は余ったので、後で使い道を考えようと彼は思案した。其れを懐へと仕舞えば、説明を待つ。
「では、此方の水晶に手をかざして下さい」
言われた通り、片手を水晶に向けた。すると如何言った仕組か分からない彼を他所に、水晶の下にあるカードへと次々に文字や数字が書き込まれていった。

「……はい、有難う御座います。此れでステータスがわかりますよ」
「成る程」
「其の数値に応じて、なりたい職業を選んで下さい。職業によっては、経験を積んでいけばスキルを習得出来たりしますし」
「成る…ウム?スキル…?」
「えぇと…特殊能力、と言うものです」
「フム…ジツの様なもの、か…」
頭上にクエスチョンを浮かべる受付嬢へ、何でも無いですと彼は答えた。
「…あ、中々に良いステータスですね。此れなら、幅広く職業を選べると思いますよ!」
彼のステータス記載されたカードを見ると、嬉しそうに声を漏らした。
「…ニンジャはありますか」
「?…その様な職業は、無い様です…すいません」
初めて聞いたと言いたげに首を傾げる受付嬢へ、何でも無いですと彼は答える。
「では、冒険者で」
すると彼女はきょとんと目を丸くし、不思議そうにしている。
「…どうかされましたか」
「いえ…ステータスの割には、上位職を選ばないのですね、と思いまして」
「…いえ、ただ、余り分からないもので…」
「所謂、初心に戻るってやつですね…では、登録は此れにて終わりです。態々有難う御座いました!」
礼儀正しくオジギをする彼女へと、彼もまた同じ様にオジギした。

改行(改稿)とか忘れがちです。見にくくてすいません。



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翌日、彼はギルド内の掲示板にてクエストを見繕って居た。

「…ジャイアント・トード…?カエルの一種…か。此の世界の生き物がどんなものか、見てみる必要はありそうだが」

(((フジキドよ…ニンジャは。ニンジャはおらぬのか)))

「黙れナラク。ニンジャという単語すら知られて居ない様な世界だ…そんなもの、少なくとも此処には居ない」

(((口惜しや…早く元の世界に戻るぞ、フジキド)))

落胆するナラク・ニンジャを放って、彼は『ジャイアント・トード 討伐』のクエストを受注した。


※原作、アニメでのジャイアント・トードは鳴きません。


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「イヤーッ!イヤーッ!!」

「ゲコーッ!!」

緑が覆う地にて、大きな蛙が倒れた。目標のジャイアント・トードだ。

「…どうやら、スリケン(※手裏剣)が有効らしい。殴った場合は効かぬ様だな…」

(((ワシであれば、この様なブザマにはなるまいて。いいか、フジキドよ…大人しく体をワシに…)))

「黙れ。異世界に来ても変わらん…というか、うるさくなったな」

呆れた様に肩を竦めながら、辺りを見回し残心する。

「兎に角、これで討伐目標数は達成だ」

そう独りごち、今日は休もうと街へ向かう。

そろそろ出掛けるので、引き延ばしっぽい中断の仕方ですいません。用事済ませた後、色々して寝てしまうと思われるので今日のところはちょっと進んだくらいです。書いてない間も、この後の展開を考えたりはするので、許してください。それでは。

◆ちまちま更新していきます◆

※叫び声等、忍殺テイストになっていますが御了承を。

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赤黒のニンジャ装束に身を包んだ彼は街へと向かう途中、奇妙な物を目にした。

「…」

「アイエエエエエエ!アイエ…アイエエエエエ!!」

先程、ニンジャスレイヤーが倒したのと同じ姿をした魔物____ジャイアント・トードが人を呑んでいた。

下半身を食まれ、叫ぶ者は薄い青の髪を揺らし泣き叫ぶ形相を浮かべ蛙の口から逃れるべく無意味な抵抗を繰り返す。

(((フジキドよ。関わる事は無い…さっさと帰って今日は休めばよい)))

「…それもそうだな。何かの罠かも知れん」

目を伏せ肯定するかの様に頷けば、視線を道へと戻し街へ帰ろうと____________

「ア、アンターッ!ちょっと助けなさいよ!私は女神よ。女神がこんな危機的状況なのに助けないってどういう了見なの、エェッ!?」

運悪く見付かった彼へ助けを求める彼女。自らを女神だと吹聴…おお、ブッダ。彼女の命はロウソク・ビフォア・ザ・ウィンド。死に瀕した彼女は気でも狂ったのだろう。



「……女神だと?何とも怪しい奴だ」

「アンタみたいなヘンな恰好した人に言われたかないわよっ!」

「ほう。其の状況でなおも喋るか。私の助けは要らないのではないか?」

「すみません名も知らぬ御方!えぇっとぉ…どうにか助けて頂けると嬉しいです!!」

慌てて取り繕う様に言い方改める彼女は下腹部辺りまで呑まれていた。蛙の飲み込みは遅い様だ。

「…私に得があるとは思えんのだが」

「えっ。…ひ、人助けに得を求めるのは間違っているわ!兎に角そう言う込み入った話は助けてからぁッ!」

段々と飲み込まれて行く感触に背筋を震わせ、最早彼女は形振り構わず助けを求めた。

此れ以上問答を繰り返しても終わらない。そう考えたニンジャスレイヤーは一先ず助けてやるべくスリケンを構えた。

「イヤーッ!」

「ゲコーッ!」

「アイエエエエエエ!!」

倒れる蛙の口から女神と自称する青髪の女がまろび出る。



「うぇえ…生臭いよぅ…生臭いよぅ…」

ぐすぐすと目に涙を溜め項垂れる女神(自称)を横目にニンジャスレイヤーは声を掛けた。

「オヌシは…何故かの蛙に喰われていたんだ」

当然の疑問である。彼女は蛙の粘液を纏い乍事の説明をした。

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此処は、大きな豪邸の一室。

「…アクア。何してんだ」

アクアと呼ばれた青髪の女はソファに横になり酒瓶片手にくつろいでいた。

「んー?見ればわかるでしょ。それともいちいち説明しないと駄目?プークスクス。カズマさんってば御子様なんだから」

酔っているのか、仄かに頬を紅く染めへらりと小莫迦にする様な口調で返した彼女へ、カズマと呼ばれた男は苦虫を噛み潰した様な表情でこう告げる。

「ちったぁ出稼ぎくらいしてこいよ…何で昼間っから酒呑んでんだよ。おっさんか御前は」

「なぁにー?女神である私に楯突く訳?ふーん良い度胸じゃない。今度死んでも蘇生してやらないんだから」

文句をぶつぶつと垂れる彼女の脳天へと容赦無い平手が打たれた。

「あだっ!何するのよ、バカになったらどうすんのよ!!」

「るっせぇ駄女神!!元々阿呆面の癖して何言ってやがる!…丁度、ジャイアント・トードの繁殖期だ。ちょっと数匹狩って来いよ。そしたら酒も大目に見てやるから」

「い、嫌よ!蛙は嫌!!アンタ、私のトラウマをほじくり返す気でしょ!?もっと私を甘やかして、崇めてよ!」

顔を青くして彼女はぶんぶんと首を横に振る。

「…おい。ゼル帝(鶏?)が唐揚げになってもいいのか。そうだな。御前の酒のつまみにゃなるわな」

「ッ!!ア、アンタ…私の可愛いゼル帝を人質、もとい鳥質にするつもり!?クズ!クズマ!鬼畜!!」

「何とでも言え!何なら今から晩飯の準備をしてきてもいいんだが」

更に追い打ちを掛ける様に言葉を紡ぐ彼の表情は真顔であった。

「……わかったわよ!!!あんな蛙如き、ゼル帝の代わりに唐揚げにしてやるんだから!!見てなさい、カズマ!!」

彼女は半ば泣きっ面で自らの武器である杖を引っ掴むとばたばたと出て行った。

「ふぅ…此れでちょっとは反省してくれるといいんだが」

置きっぱなしの酒瓶を片付け、祈る様に呟いた。

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「インガオホー…成る程な」

「そりゃあ、私だって酔ってたとは言え一人でクエスト受けるなんて愚かだったわ…で、でも、ジャイアント・トードくらいなら…って…」

「喰われて居たではないか」

「あっ、アレは!ゴッド・ブロー(物理技)が効かなかったのを忘れてただけ!!…たまたまよ」

(((グググ…フジキドよ…こやつが放つのはニンジャソウルとは違うモノ…だが、如何にも煩わしい…さっさと殺してしまえ…)))

「黙れ、ナラク」

目の前の女性は首を傾げ、言葉を投げ掛けた。

「アンタの中に居る其れって何。悪魔みたいなの?じゃあ祓っちゃってもいい?私、一応女神だし」

「…!!イヤーッ!」

自分の中に居る。その言葉を耳にしたフジキドはバック転し下がり、彼女へ警戒の念を向けた。

「…オヌシは何だ」


(((フジキドよ。警戒しろ…ワシの存在に気付くとは、ニンジャやもしれぬぞ)))

「…答えろ、女」

カラテを構え、彼女の答えを待つニンジャスレヤー。彼女は訝しむ様に顔を顰めた。

「だから、女神だっつってんでしょ。わかんないの?てか、私にはアクアって言う素晴らしい名前があるんですけど。アンタこそ、何その格好。ニンジャの真似?プークスクス!ダサいんですけど!ニンジャなんて居る訳無いのに、なりきっちゃってバカみたいなんですけどー!」

彼は彼女の言葉を気に留めず、一先ずカラテを解き彼女の問いに答えた。

「私の中に居る、邪悪なるソウル…。此れは、ニンジャソウル。ナラク・ニンジャの…魂だ」

「…?ニンジャなんて居ないってば。何、もしかして痛い子?」

(((なんたる屈辱か!フジキドよ、体を貸せ。ワシが直々に女神だとか言うこやつを殺す!!)))

「うわっ怖!やっぱ悪魔よ悪魔!アンタ憑かれてるのね!『ターン・アンデット』!! 」

「グワーッ!!!」

青白い光に包まれたニンジャスレイヤーはもがき苦しんだ。更に、彼のニューロンへと光は蝕み011101______________

「…イ、イヤーッ!」

辛うじて光の中から飛び出したニンジャスレイヤー。不浄のソウルは弱まり、ナラクの声も弱々しいものとなっていた。

(((ヌゥーッ…奴の、戯言は…事実だ。ワシの身を焼き切ろうとするとは…)))

「ちっ、仕留め損ねたわ!安心して。この女神が今、其の悪魔を祓ってあげるんだから!!」


忍殺語が分からない方の為。上記にあった「アクア=サン」と言う呼称は、忍殺由来の言い回しです。「○○さん」と言う意味なので、変わった意味はないです。



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「ま、待て…私の話を聞くのだ。アクア=サン…!」

「…?何よ。私に得があるの?エェッ?」

なんたるシツレイか!先程命を助けて貰ったのにも関わらず、彼女は悪びれもせず損得を要求するのだ。女神らしからぬ所業!おお、ブッダ。貴方は寝て居るのですか!

「…私は、異世界とやらから来た…と、言えば…納得するか」

「はぁ?…ああ、もしかして転生者?日本とかから来たの?」

「うむ。私はニホンのキョートからやって来た…」

やっと落ち着きを取り戻した彼女にニンジャスレイヤーは思わず安堵の息を小さく漏らした。

事の発端を説明するにあたり、ニンジャと言う存在。ナラク・ニンジャなるものについて。平安時代から時を経て復活したニンジャソウルについて…そして、彼の生い立ちを。



今日はここらへんで…またゆるりと書き込んでいきます。

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