――本日はよろしくお願いします。
魔法使い「よろしくお願いします」
――私も術師のはしくれなので、色々と勉強させていただきたく思っています。
魔法使い「こちらこそ」
――さっそくですが質問です。魔法使いに最も必要なものとはなんでしょう?
魔法使い「それは間違いなく、体力ですね」
――体力?
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1455364851
――魔力ではなく、体力なんですか?
魔法使い「はい、体力です」
――それはいったいなぜですか?
魔法使い「魔法というのは、反動がものすごいんですよ」
魔法使い「それこそ一発撃っただけで肩が外れてしまうこともあります」
――すさまじいですね。
魔法使い「それと……装備品」
魔法使い「杖や魔導書ってものすごく重いんですよ」
魔法使い「試しにこの杖、持ってみますか?」
――うわっ、これは重たいですね。
魔法使い「でしょう?」
魔法使い「魔法の力に耐えきるために、丈夫さと重量を追求した結果なのです」
魔法使い「でないと、すぐ壊れたり吹っ飛んだりしてしまいますから」
――たしかにこれらを扱うには、相当の筋力がいりますね。
魔法使い「それと先ほどお話しした反動というのは、なにも衝撃だけの話ではありません」
魔法使い「たとえば火を出せば肌が焼け、水を出せばふやける」
魔法使い「雷を放てば体じゅうに痺れが残ります」
――自分にも、魔法の効果がある程度返ってくると。
魔法使い「そうなんです」
魔法使い「ですから、魔法というのはめったに使えるものではありませんし」
魔法使い「魔法使いには、あらゆるダメージに耐えうる強靭な肉体が必要になるのです」
――なるほど。
――体力をつけるために、どのような工夫をされているんでしょうか?
魔法使い「まず、食事はタンパク質中心にしております」
魔法使い「鶏のササミや牛ヒレ肉やプロテインなどですね」
魔法使い「それと、毎日のトレーニングも欠かしてはおりません」
――どのようなメニューをこなしているのですか?
魔法使い「腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットを毎日各1000回ずつ」
魔法使い「日によっては、ジョギングや水泳などもメニューに加えています」
魔法使い「あと、やはり自重トレーニングだけではどうしても限界があるので」
魔法使い「毎日ではありませんがジムにも通っています」
魔法使い「そこではダンベルやバーベルなどの器具を使ったトレーニングを行います」
――ご熱心ですね。
魔法使い「ハハハ、一度やり始めると、とことんのめり込むタイプなもので」
魔法使い「それと、最近では組み手やスパーリングもこなすようになりました」
――相手はどういった方なのですか。
魔法使い「東の王国の拳法家さんや、西の共和国のボクサーさんにお願いしています」
――どちらも世界に名だたる格闘家ですね。
魔法使い「ええ、おかげでずいぶん鍛えてもらいましたよ」
魔法使い「最近では、私も彼らからダウンを奪えるようになりました」
――それらの努力の結果が、背後にあるトロフィーや賞状ということになるわけですか?
魔法使い「おっしゃるとおりです」
魔法使い「数々の武術大会や武道大会で、結果を出すことができて嬉しい限りです」
魔法使い「おかげで“大会荒らし”なんて異名をつけられたりもしてますけど」
――これだけ鍛えたら、もう怖いものなんてないんじゃないですか?
魔法使い「うーん、そうですね」
魔法使い「たしかに今の私に弱点といえるものはないかもしれません」
――しかし……果たしてそうでしょうか?
魔法使い「……なに?」ピクッ
――最初にも申し上げましたが、実は私も術師でしてね。
魔法使い「なんの術を使うんです?」
――状態異常を専門としています。
魔法使い「ほう……」
――これからあなたをある状態異常にかけてみせましょう。
魔法使い「それは面白い!」
魔法使い「この鋼の肉体にあなたの術が通じるかどうか、試してみるといい!」
――では、いきます。
――あなた、本当に魔法を使えるんですか?
魔法使い「…………」
魔法使いは沈黙してしまった。
おわり
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