女首領「ここまでだな、ヒーロー」
ヒーロー「くそっ……!」
女首領「さぁ、崖から落としてやる!」ドカッ
ヒーロー「うわぁぁぁ……!」
女首領「フッ、この高さでは助かるまい」
手下「さすがですぜ!」
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数日後――
ヒーロー「とうっ! 悪事を働くのはよせ!」スタッ
女首領「なにっ!? バカな……貴様は崖から落ちたはず!」
ヒーロー「落ちたところが森だったから、助かったのさ!」
女首領「おのれ……!」
……
女首領「ふん、せっかくの復活だったが、この程度か」
ヒーロー「ぐぅ……強い……!」
女首領「さぁ、橋の上から落としてくれる!」バシッ
ヒーロー「うわぁぁぁ……!」
女首領「フッ、この高さでは助かるまい」
手下「やりましたねえ!」
数日後――
ヒーロー「待ていっ! 悪党ども!」ザッ
女首領「む!? 貴様は橋から落としたはず!」
ヒーロー「川に落ちたから、どうにか助かったのさ!」
女首領「くそっ……!」
……
女首領「今度こそ終わりだな」
ヒーロー「がはっ……! 俺の必殺技が通用しない……!」
女首領「このビルの上から落としてくれる!」ドゴッ
ヒーロー「うわぁぁぁ……!」
女首領「フッ、この高さでは助かるまい」
手下「ひゃっほう!」
数日後――
ヒーロー「お前たち、悪いことはやめろ!」バッ
女首領「なんだと!? ビルから落としたはずなのに!」
ヒーロー「下に大きなマットを積んでるトラックが止まってて、助かったのさ!」
女首領「しぶとい奴め!」
……
女首領「さてと、トドメを刺してやる」
ヒーロー「うぐぐ……無念……」
女首領「この飛行船から落としてくれる!」ポイッ
ヒーロー「うわぁぁぁ……!」
女首領「フッ、この高さでは助かるまい」
手下「おっしゃるとおり!」
数日後――
ヒーロー「今日こそ決着をつけよう!」シュザッ
女首領「ヒーロー!? 飛行船から落としたはずなのに!」
ヒーロー「海に落ちたおかげで、なんとか助かることができたのさ!」
女首領「なんという悪運の強いヤツだ……!」
こんなことを繰り返すうち、ついにヒーローは女首領をアジト最上階へ追い詰めた。
女首領「私ももはやここまでか……」
女首領「しぶとい上に、こうもパワーアップを繰り返されてはな……」
ヒーロー「さぁ、観念しろ!」
女首領「観念などするか!」
手下「ひええ……首領サマがやられちまう! どうすりゃいいんだ!?」
女首領「しかし……貴様にはいいことを教えてもらった!」
ヒーロー「いいこと?」
女首領「それは――」
女首領「こういう時は高いところから落ちれば、助かって逃げられるということをだ!」
女首領「たあっ!」ピョンッ
ヒーロー「なにっ!?」
手下「首領サマァッ!」
ヒュゥゥゥゥ……
女首領(フフフ、きっとこの下にはなんらかのクッションがあって、私は助かる!)
女首領(――はずなのだが……)
ヒュゥゥゥゥ……
女首領(もしかして、これってこのまま死ぬ流れじゃない?)
女首領(下にあるのって、どう見てもコンクリートだし……)
女首領(このままじゃ私、潰れたトマトみたいになっちゃうわ!)
女首領「いやぁぁぁぁぁぁっ!」
――ガシッ!
女首領「えっ!?」
ヒーロー「ふぅ……どうにか先回りして受け止められたな」
女首領「な、なぜだ……なぜ助けた!?」
ヒーロー「それは……お前は救いようがない悪ではないと思っていたからだ」
女首領「!」ギクッ
ヒーロー「お前は悪党とはいえ、決して弱い人たちには手を出さなかったし」
ヒーロー「俺を突き落とす時も、俺の生命力なら死にはしないと思っていた……ちがうか?」
女首領「ううっ……」
女首領(そこまで見抜かれてたなんて……恥ずかしい……)
ヒーロー「女首領……」
女首領「な、なんだ!」
ヒーロー「えぇと、その……これからは正義の味方となって、俺を助けてくれないか」
ヒーロー「俺の……相棒になってくれないか?」
女首領「……」
女首領「わ、分かった……! そこまでいうのなら……相棒に……なってやる!」
手下「……落ちたな」ニヤッ
おわり
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