モバP「だりやすかれんの作戦会議」 (31)



―――事務所


加蓮「ねぇ泰葉~」


泰葉「ん、なぁに加蓮?」

加蓮「もうすぐバレンタインだね」

泰葉「うん、そうね。イベントのお渡し会、楽しみ……♪」

加蓮「ふふ、私も。――それもなんだけど、もうひとつ大事なこと、あるじゃない?」

泰葉「大事なこと……ああ、Pさんへのプレゼント?」

加蓮「そう、それ♪」

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泰葉「やっぱり、出来合いの物より手作りの方がいいよね……」

加蓮「ん、だよね。買ってきて『はいどうぞ』じゃ、あんまりだし。お店のチョコなら私が食べたいもん」

泰葉「ふふっ、じゃあ友チョコってことで買ってあげる」

加蓮「ほんと? やった♪ 私も泰葉にあげるね、友チョコ」

泰葉「もちろん李衣菜にもね。なにがいいかな……?」

加蓮「あげないと拗ねちゃうもんね~、ふふふ♪」

泰葉「拗ねはしないだろうけど……ふふっ」

加蓮「李衣菜にはてきとーでいいんじゃない? チョコの原料とか、ロックだって言っとけば喜びそう」

泰葉「もう、かわいそうでしょ……。というか、原料――カカオって売ってるの?」

加蓮「さぁ? 私は見たことないなぁ」

泰葉「ネットなら注文出来るのかな……って、これじゃ本当にカカオをプレゼントするみたいじゃない」

加蓮「あはは。ダメかな?」

泰葉「ダメです」

加蓮「ふふ、はーい」

泰葉「手っ取り早く、小分けになってるチョコをみんなで買ったらいいと思うんだけど……どう?」

加蓮「あ、それもいいかも。友チョコならそれくらい気軽でいいよね」

泰葉「うん、じゃあまた今度、3人でお出かけしようね」

加蓮「うんっ。ふふっ、楽しみ~♪」

泰葉「ふふ……♪」


加蓮「じゃなくて、私はPさんにプレゼントするならどんなチョコがいいか、って話をしたかったんだ。そうだったそうだった」

泰葉「あ……忘れてた。私たちのは別にあとでいいよね」

加蓮「こほん。まず手作りなのは確定として」

泰葉「うん」

加蓮「ただね。板チョコを溶かして型に流して固めました、だと気持ちこもってない気がするの」

泰葉「そうかな……。Pさんなら、それでも喜んでくれそうだけど」

加蓮「ダメダメ、そんなのじゃ私たちの感謝と愛は伝わんないっ」

泰葉「愛……」

加蓮「そう、愛。ラブね、ラブ」


泰葉「……ちょっと恥ずかしい……」

加蓮「うー……私も言ってて恥ずかしくなった」

泰葉「あ、愛はともかく。たしかにちゃんとしたものを作らないとダメよね」

加蓮「う、うん。って言っても、なに作ればいいか全然思いつかないんだよね……」

泰葉「んー……」


泰葉「……あ、たとえば」

加蓮「たとえば?」

泰葉「私なら、ドールハウス作ったりしてるから……チョコで小さなお家作ってみるとか。……すごく難しそうだけど」

加蓮「おー……。私だったらネイル趣味だから、…………ネイルってどうやってチョコで表現すればいいの?」

泰葉「ネイルを……うーん」

加蓮「ネイル、ネイルでしょ……ネイルでチョコを表現するのは出来るけど、逆は……」

泰葉「チョコで出来た付け爪……とか」

加蓮「……あげるときどうするのよ」


泰葉「…………」

加蓮「…………」


泰葉「…………ゆ、指を差し出して……」カァァ…

加蓮「待ってそれすんごいイヤらしい絵になる」

泰葉「な、無し! 今のは無しで!」

加蓮「泰葉は指をぺろぺろしてもらいたい、っと……」

泰葉「ち、ちがっ……違う、違うもん……!」ペシペシ

加蓮「ふふっ、必死~♪」

泰葉「もう、もうっ! じゃあ加蓮ならどうするの!」

加蓮「ふふ、私なら……んーと、ネイルを飾り付けたケーキ、とか?」

泰葉「本物のネイル? ……食べるときは取り除かないといけないよね?」

加蓮「ま、いちいち取るの面倒だよね……それこそ、チョコでネイルチップ作っちゃうとか?」

泰葉「…………」プクー

加蓮「えへへ、直接爪に付けなきゃいい話だし。そんな膨れないでよ、泰葉♪」

泰葉「むぅ……加蓮のばか」

加蓮「ふふ、でも指ぺろもいいんじゃなーい?」

泰葉「~~っ!」ペシッ

加蓮「あは、ごめんごめんっ」

泰葉「ネイル案は却下で」ムスッ

加蓮「えー、そんなぁ」

泰葉「……というか、李衣菜のことも考えないと」

加蓮「そだね。李衣菜要素も入れないとね」

泰葉「李衣菜の要素……。ロック……ギター?」

加蓮「うんうん。そこそこ弾けるようになってきたみたいだしいいと思う」

泰葉「ギターと言えば……ギターピック?」

加蓮「じゃあピック型のチョコ?」

泰葉「……ネイル型と大差無いような」

加蓮「体に付けないだけいいとおm」

泰葉「次言ったら爪を割ります」

加蓮「こわっ!?」

泰葉「ふんっ」

加蓮「はー怖い怖い……ふふっ」

泰葉「もっと真面目に考えましょうよ……」

加蓮「連想ゲーム始めたの泰葉でしょー?」

泰葉「う、そうでした……」

加蓮「でも、泰葉はドールハウス、私はネイルで、李衣菜はピック。いい感じに私たち要素、揃ったね」

泰葉「……それをどうやってチョコで表現するのか、全く見当がつかないんだけれど……」

加蓮「うん、私も全っ然思いつかない。あはは」

泰葉「うーん……」

加蓮「ドールハウスってチョコで出来るものなの? そもそもの話」

泰葉「お菓子の家のような物なら……小さいのならなんとか。時間かかると思うけど」

加蓮「わ、出来るんだ……出来るならやりたいよね、やっぱり」

泰葉「ふふ。何事も挑戦、ね」

加蓮「うん。……あ! ならさ、その中に小さなチョコ入れたりって出来ないかな?」

泰葉「入れ物にするってこと? そっか、それいいかも……」

加蓮「ね、いいアイデア♪ 中のチョコはネイルとかピックとかで……!」

泰葉「ぴ、ピック型はともかく、ネイル型は小さすぎる気がする……いまさらだけど」

加蓮「んー、それもそっか……じゃ、中身はピックチョコで決定?」

泰葉「ネイルはどうするの?」

加蓮「……どうしよ。私、いらない子? しくしく」

泰葉「なに言ってるの、もう……」クスッ

加蓮「えへへ」

加蓮「んー、どこかに私要素を……」

泰葉「ネイル……マニキュア……爪……」ブツブツ…

加蓮「また連想ゲームしてるし。ふふっ」

泰葉「…………」ピタッ

加蓮「ん、あれ? 止まった」


泰葉「……爪を……」

加蓮「? 爪を?」


泰葉「入れ、る……?」

加蓮「爪を入れる」

泰葉「…………」

加蓮「……なにに?」


泰葉「…………」

加蓮「…………」


泰葉「……チョコに?」

加蓮「…………」


泰葉「…………」

加蓮「…………」


「「……ダメダメダメダメダメダメ!!??」」

加蓮「バカ!? バカなの泰葉!?」

泰葉「ごめんなさいごめんなさい! ちょっと頭を過ぎっただけで!」

加蓮「嫌がらせの域だよもう! むしろ歪んだ愛情!?」

泰葉「愛なの!? それって愛……!?」

加蓮「あ、愛なんじゃ、ない……? こう、自分の一部を食べてもらいたい、とか……そんな欲求が……」

泰葉「ご、ごくり……!」


加蓮「あああああ違う違う違う違う!!」

泰葉「落ち着いて加蓮!!」

加蓮「はぁ……はぁ……!!」

泰葉「い、一旦深呼吸しましょう。深呼吸」

加蓮「う、うん……すぅー……」

泰葉「はぁー……」

加蓮「すぅー……はぁー……」

泰葉「すぅー……はぁー……」


加蓮「……よし。落ち着いた。落ち着いたったら落ち着いた」

泰葉「気持ち切り替えていきましょう、ええ」

加蓮「そもそも」

泰葉「うん」

加蓮「爪なんか入れたらバレるでしょ。ガリっていきそうだし」

泰葉「そうね」

加蓮「ならさ」

泰葉「ええ」


加蓮「ヤスリで粉状にしたらいいんじゃない?」

泰葉「なるほど」



加蓮「だからなんで話広げるの泰葉! バカ!!」バンッ

泰葉「広げたの加蓮じゃない!!」



がちゃり


李衣菜「ただいま戻りました~。……2人ともなに騒いでるの? 外まで声聞こえてきたんだけど」


加蓮「李衣菜! 泰葉が!」

泰葉「私のせいにしないで加蓮!?」


ぎゃーぎゃー!


李衣菜「ほ、ほんとになにしてんの……?」



―――


李衣菜「――うん、普通にドン引き。どんな流れで異物混入の話になるの……」

泰葉「だ、だって……」

加蓮「Pさんに素敵なバレンタインチョコをあげたくて……」

李衣菜「そりゃ分かるけど……。まぁでも、チョコハウスにピックチョコって発想はいいと思うな。へへへ」

加蓮「で、でしょ? あとは私要素だけなのっ」

李衣菜「加蓮要素かぁ。んー、コーンフレークをネイルに見立てるとか? それをピックチョコに乗っけて……」

泰葉「あ、そうか……全部チョコレートにする必要ないものね」

加蓮「フレークネイルっていうのもあるし、いいかも?」

李衣菜「へぇ、あるんだ? ならそれでいこっか。フレークにいろんな色のチョコペンでデコったりさ!」

加蓮「わ、楽しそう♪」

泰葉「ふふ……李衣菜のおかげで形になったね」

加蓮「李衣菜、女子力高いもんねー。私オシャレとかは自信あるけど、料理はまるでダメだし」

泰葉「ふふ。加蓮、いつもコーディネートありがとう」

李衣菜「あはは、私も助かってるよ加蓮。ありがとね」

加蓮「え、えへへ……。そんなおだてたって、友チョコしか出ないよ?」テレ…


李衣菜「……爪入り?」ヒソヒソ

泰葉「加蓮、ちょっと重いところあるから有り得る……」ヒソヒソ…

加蓮「今の感動を返しなさいよアンタたち」

加蓮「やるわけないでしょ! っていうかさっき一緒に買いに行くって約束したでしょ友チョコは!」

李衣菜「あ、そうなの?」

泰葉「ええ、李衣菜が来る前に。ふふっ、李衣菜も一緒に行こうね」

李衣菜「うん! へへ、加蓮が変な行動しないように監視しなきゃ♪」

泰葉「そうね……♪」

加蓮「だからなんにもしないってば!?」

李衣菜「チョコの材料とかも揃えないとね、もう日もないし」

泰葉「うん、いつがいいかな……この日空いてる?」

加蓮「はぁ、もう……。えっと、私はラジオ収録だけだから大丈夫だよ」

李衣菜「うん、私も午後なら夕方のレッスンまで時間あるよ!」

泰葉「ん、それじゃ――」


泰葉「Pさんのために、最高のバレンタインチョコ、作りましょう!」

「「おーっ!」」



李衣菜「――あ、加蓮。作る前にちゃんと爪切って、ちゃんと捨てときなよ? 絶対だからね?」

加蓮「だーかーらぁー……!」

泰葉「くすくす♪」



おわり

というお話だったのさ
今年のバレンタインチョコはみんな凝ってるよね

だりやすかれん3回目のバレンタインSSにもなるともうネタがなかなか見つからない……
投下ペース自体落ちてきたし、これからはまったり進行でやりたい

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