以前書いた 娘「セック――」 男「言わせねーよ!?」 の続編です。
グーグルで検索してもらえば、まとめで読めると思います。
ものすっごいスローペースで何個か短編を書いてこうと思ってます。
それではスタート。
大学の練習試合で復帰、そしてプロデビュー。
大学は中退という事になってしまったが、今となってはその選択が間違いでは無かったと断言できる。
日本のリーグでの二年間があったからこそ、俺は今この場所で輝けるのだから。
――スペイン。熱狂的な、サッカーの国。
そこで俺はプロの選手として文字通り『活躍』していた。
――短編1『妹と少年』――
~ある日、試合後~
記者「あ、兄選手! 個人の記録としては2アシスト、チームは4-2と快勝でしたが今のお気持ちは!?」
チームに入ってから一度だって、記者に捕まらずにこの通路を通れた事が無いな。そんな事を思いながらも足を止めた。
兄「あー……まあ、アシストに関しては、うまくシュートしてくれた選手のお陰としか言えないです。それよりも二点を与えてしまった事を反省して、
修正して行きたいですね。中盤の底、ボランチっていう重要なポジションを負かされているので」
記者「代表戦を間近に控えていますが、意気込みは!?」
兄「時差もあるし、その辺りをうまく調整しながら望みたいですね。じゃあ、急ぐんで続きはまた今度で」
そろそろ顔を覚えてしまった日本人記者達に軽く手を振りながら歩き出す。
まあ、急いでると言ってもちょっと友達と飯を食いに行くだけなんだけどな。
~とある日本料理店にて~
セバスチャン「いやー、ホントにセック――」
兄「おい」
セバスチャン「ん? なんだよ? 俺はただ日頃の欲求不満を叫ぼうとしただけだよ」
きょとんとした表情で小指を鼻に突っ込みながら醤油差しを傾けるセバスチャン。
くっきりとした顔立ちだろうが、ブルーの双眼が透き通っていようが、綺麗な金髪が輝いていようが……こいつはいつだって下品な言動で全てを台無しにする。
セバスチャン「というかアニーは気にしすぎだぜ? ここ日本じゃ無いんだから全然下ネタとか言ってもいーんだって」
兄「いや、セック――えーとアノ言葉は英語だし、大体世界の何処でだって通じるだろうが」
何度目とも知れない俺の注意。しかし、セバスチャンは全く納得した様子もなくサーモンを食べ続けている」
セバスチャン「まあ細かいことはいいじゃん。というか意味が分かったとしてもみんな下ネタくらい気にしないって~」
セバスチャンは箸を置いて、唐突に片手をあげた。
なんだ?
セバスチャン「たとえばさ~」
そういって、息を深く吸う。そして――
セバスチャン「タイショー!!!! オ●ンコ一丁!!!」
兄「おい!!!! お前何いってやがるんだ!」
セバスチャン「オマン●だよ! おーいタイショー!! ●マンコくださーい!!!!」
こいつ頭おかしいのか!? というか声がでかすぎてみんなスゲーみてるよ!
大将「オマチー! オ●ンコイッチョウ!!!」
兄「なんかキター!!」
白い甚平を纏ったもろスペイン人のヒゲ面のオッサンがダッシュでやってきた。
手には小皿。
その小皿に載った一品は――
兄「アワビ――だな……」
セバスチャン「俺が教えてあげたんだぜ~、この日本語」
大将とサムアップを交わすセバスチャン。こういう時は本当にいい顔で笑いやがる。
兄「はぁーなんかもう……」
こう言う奴は憎めないよな。なんて、また鼻をほじりながらヘラヘラしている友人を見ながら思う。
まあ、じゃあ今日ぐらいはこいつのノリに付き合ってやってもいいかな。なんて思ってしまった。
少し恥ずかしいが……うん、何事も挑戦だ!
兄「えーと、じゃあ……・俺も、その……オ●ンコ一丁!」
大将は笑顔で頷いて――
大将「ハァ? イヤ、フザケテルンデスカ?」
おい。
セバスチャン「うわ……さすがにそういうドギツイ下ネタは無いわ……」
こいつら……。
兄「言わせるんじゃねーよ!!!!!!!!!!」
そんな感じで。
友人との夕餉の時間を過ごすのだった。
~食後、セバスチャンの車の中~
綺麗な容姿を持ちながら、どことなくアホな雰囲気を放つこの男。
名前はセバスチャン。俺と同い年。
関係はチームメイト同士、そしてプライベートでも遊んだりする友達。
日本人の母親を持つセバスチャンは、小学校時代の殆どを日本で過ごし、今でも日本語を堪能に操る。
丁度一年前、通訳を付けずにこの国にやってきた俺。 今では日常会話ぐらいなら現地語でも問題無いのだが、その当時の俺にとってセバスチャンはすごく心強い存在だった。
ヘラヘラしているだけではなく、まあ少しは頼りになる男。俺の評価はそんな感じだった。
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