クマノミ♂「僕らは嵌められていたんだ!」クマノミ♀「うん」(40)

クマノミ♂「僕は……僕は大変なことに気が付いてしまった……!」

クマノミ♀「どうしたの?」

クマノミ♂「僕らはやつらにずっと騙されていたんだ!」

クマノミ♀「やつらって、誰に?」

クマノミ♂「やつらさ!」

イソギンチャク「ゆらゆら」←やつら

クマノミ♀「そうなんだ」

クマノミ♂「そうなんだよ!」

クマノミ♀「あ、からだに海草ついてるよ。とってあげるね」

クマノミ♂「ありがとう」

クマノミ♀「それで、騙されてたって?」

クマノミ♂「あ、うん。……やつらは僕らを食べるつもりなんだ!」

クマノミ♀「そうなんだ」

クマノミ♂「そうなんだよ! そうだ……考えてみれば、そうだよ。こんなに近くに餌が泳いでいるのに、貪欲なやつらが手を出さない理由はないんだ……」

クマノミ♀「でもわたしたち、食べられてないよ?」

クマノミ♂「これから食べられるんだ! 油断したところを襲うつもりなんだ!」

クマノミ♀「そうなんだね」

クマノミ♂「そうなんだよ!」

クマノミ♀「あ、まだ海草ついてるよ」ヨイショ

クマノミ♂「あ、ほんとだ」

クマノミ♀「それならわたしたち、早く逃げないといけないね」

クマノミ♂「え?」

クマノミ♀「イソギンチャクがわたしたちを食べちゃうんでしょ?」

クマノミ♂「あ、ああ! そうなんだよ! 早く逃げないと!」

クマノミ♀「どこに逃げるの? 珊瑚礁の外は危ないよ」

クマノミ♂「どこかそこらへんさ!」

クマノミ♀「うん。でも逃げるなら安全なところに行かないと、天敵に食べられちゃうよ?」

クマノミ♂「僕が君を守ってあげるさ!」

クマノミ♀「わあ、嬉しいな。ありがとう」

クマノミ♂「へへへ……」

クマノミ♀「じゃあ、安全な珊瑚の近くを通って行かなくちゃね」

クマノミ♂「え? うん! そうだね! ……あ、ああっ! 触手に近づいたらだめだよ! 危ないよ!」

クマノミ♀「あ、そうなんだ」スイー

クマノミ♂「そうなんだよ! まったく、しっかりしてくれよ!」

クマノミ♀「ごめんね」

クマノミ♂「うん、君が食べられちゃうと僕が悲しいじゃないか!」

クマノミ♀「そうなんだ。えへへ」

クマノミ♂「へへへ」

クマノミ♀「あ、餌が落ちてきたよ」

クマノミ♂「うん、一緒に食べようよ!」

クマノミ♀「うん」

クマノミ♀「あ、背中にイソギンチャクの触手あたってるよ?」

クマノミ♂「え? そのようだけど……」

クマノミ♀「イソギンチャクはわたしたちを食べようとしてるんだよね」

クマノミ♂「ああ!? しまった、そうだった! く、危うく騙されるとこだった!」スイスイ

クマノミ♀「危なかったね」

クマノミ♂「ああ……本当に。君のおかげで助かったよ」

クマノミ♀「うん。どういたしまして」

クマノミ♂「くそう、こいつめ。僕たちを騙そうたって! そうはいかないぞ!」

クマノミ♀「あ、まだ海草ついてるよ」

クマノミ♂「あれ? まだついてたの?」

クマノミ♀「もう。わたしがとってあげるね」

クマノミ♂「ごめん、助かるよ」

クマノミ♂「ああ、お腹がいっぱいだからなんだか眠くなってきたなあ」ユラユラ

クマノミ♀「眠っちゃう前に外に行かないとね」

クマノミ♂「外に? 君、何か用事があるのかい?」

クマノミ♀「イソギンチャクがわたしたちを食べようとしてるから、ここを離れないといけないんでしょ?」

クマノミ♂「あ……ああ! そうなんだよ! まったく、やつらと来たら!」

クマノミ♀「それで、珊瑚の傍を通ってどこかへ逃げるつもりだったよね」

クマノミ♂「あ、ああ! そうだね! 早く逃げないと! さあ、行こう!」

クマノミ♀「あ、ちょっと待っててね」スイー

クマノミ♂「うん、どうしたの?」

クマノミ♀「よいしょ、よいしょ」

クマノミ♂「この辺りの岩をどけて、どうしたんだい?」

クマノミ♀「ないしょ」

中断。夜になったらまた続き書くよ!

クマノミ♂「準備は済んだ? さあ、行こうか!」

クマノミ♀「うん」

クマノミ♂「大丈夫だよ! 心配ないよ!」

クマノミ♀「うん、そうだね」

クマノミ♂「まずはあそこの赤いの珊瑚ところまで行ってみよう!」スイー

クマノミ♀「わあ、楽しそうだね」スイー

クマノミ♂「ばか! これは遊びじゃないんだぞ! イソギンチャクの罠を出し抜く逃避行だ!」

クマノミ♀「うん。ごめんね」

クマノミ♂「さあ、気を付けてね、そこにいっぱい突き出た岩があるから。ぶつかったりしたら大変だ!」

クマノミ♀「うん。でも、すごく入り組んでるね」

クマノミ♂「いや、大丈夫さ! イソギンチャクの間をぬって行こう! なんせ僕らはクマノミだからね!」

クマノミ♀「でも、イソギンチャクはわたしたちを食べようとしてるんだよね」

クマノミ♂「え? あ、ああ! そうさ! まったく、こいつらときたら、安全そうに見えて実はとても危険なんだ!」

クマノミ♀「じゃあ、こっちの岩の少ない方から行こうよ」

クマノミ♂「うん、それがいいみたいだ。じゃあ、行くよ、ついてきて!」スイー

クマノミ♀「うん、ついていくね」スイー

クマノミ♂「ああっ、そこ、イソギンチャクの触手があるよ!?」

クマノミ♀「あ、ほんとだね」スイ

クマノミ♂「もう、君ったら、しっかりしてくれよ!」スイー

クマノミ♀「うん。気を付けるよ。ごめんね」スイー


どうやら>>1は飽きてしまったようです

クマノミ♀「あ、見て、綺麗な珊瑚だよ」スイスイ

クマノミ♂「……」キョロキョロ

クマノミ♀「わあ、大きなナマコだねえ」スイスイ

ナマコ「この通り、ちょうど良いサイズですから、携帯電話の代わりにもなりますよ」ブルブル

クマノミ♀「わあ、すごいな」

クマノミ♂「……」キョロキョロ

クマノミ♀「なにしてるの?」

クマノミ♂「天敵が来ないか、警戒してるんだ! 君が襲われたりしたら大変だ!」

クマノミ♀「ありがとう。気を付けてね」

クマノミ♂「うん!」キョロキョロ

クマノミ♀「珊瑚礁のトンネル、とっても綺麗だね」スイスイ

クマノミ♂「……」キョロキョロ

クマノミ♀「わっ、みて。向こうのウミユリ」

クマノミ♂「と、止まって!」

クマノミ♀「どうしたの?」

クマノミ♂「あ、危ないところだった……。君の目の前の水、透明だろ? クラゲがいるかもしれない! 間一髪だった!」

クマノミ♀「間一髪だね。助けてくれてありがとう」

クマノミ♂「もう、気を付けてくれよ! 君はおっちょこちょいだから」

クマノミ♀「うん、おっちょこちょいでごめんね」

クマノミ♂「……」スイスイ

クマノミ♀「わあ、柔らかそうな海草だね」スイスイ

クマノミ♂「あ、危ないっ!」

クマノミ♀「どうしたの?」

クマノミ♂「それは罠だ! きっと海草の中にウツボが潜んでるんだ! 危機一髪だった!」

クマノミ♀「危機一髪だったね。助けてくれてありがとう」

クマノミ♂「もう、全く君は! こんな罠にも気が付かないなんて、ぽーっとしてるなあ」

クマノミ♀「うん、ぽーっとしててごめんね」

クマノミ♂「……」スイスイ

クマノミ♀「……」スイスイ

クマノミ♂「あ、待って!」

クマノミ♀「うん、わたし待ったよ」

クマノミ♂「君の背中に海草がはり付いてるよ!」

クマノミ♀「あ、ほんとだね」

クマノミ♂「しかたないなあ、僕がとってあげるよ」ヨイショ

クマノミ♀「ありがとう」

クマノミ♂「まったく、海草なんて、そうそうついたりするものではないのに」

クマノミ♀「うん、ごめんね」

クマノミ♂「もう。さ、早く行こうよ!」

クマノミ♀「お散歩の続きだね」

クマノミ♂「そう、そう。あっちの珊瑚もきれいだよ!」

クマノミ♀「お散歩、楽しいね」スイスイ

クマノミ♂「うん!」スイスイ

クマノミ♀「おうちに帰ってきたね」

クマノミ♂「ふう、疲れたよ」

クマノミ♀「ここで寝てもいいんだよ?」

クマノミ♂「そうだねえ。ここには天敵がくる心配はないし。イソギンチャクがあるからね」

クマノミ♀「イソギンチャクって、わたしたちを食べないんだよね?」

クマノミ♂「何を言ってるんだい。当たり前じゃないか。だって僕らはクマノミだもの。君はうっかり屋さんだなあ」

クマノミ♀「そうだね。うっかり屋さんでごめんね」

クマノミ♂「ふわあ……そろそろ寝ようかなあ」

クマノミ♀「わたしもいっしょに寝るね」

クマノミ♂「あ」

クマノミ♀「どうしたの?」

クマノミ♂「そういえば、君、ごそごそと岩をどけてたんだけど、何してたの?」

クマノミ♀「あ、覚えてたんだ」

クマノミ♂「覚えてるさ。もう、僕はそんなにバカじゃないよ? 失礼だなあ」

クマノミ♀「うん。ごめんね」

クマノミ♂「で、結局教えてくれないのかい?」

クマノミ♀「うーん。まあ、いっか。あのね、もうすぐ繁殖期だから、産卵場所つくってたの」

クマノミ♂「あっ」

クマノミ♀「えへへ」

クマノミ♂「子育て一緒に頑張ろうね!」

クマノミ♀「うん、がんばろうね」


おしまい

クマノミっておいしそうだよね!
内容が短かったので、もうしばらくしたらオマケ投下するね!

乙♪

途中で喰われちゃうかと思ったわ

ちなみにクマノミはイソギンチャクに喰われるどころか逆にイソギンチャクの触手を喰っちゃうらしい…(;´д`)

>>23
クマノミは基本的に相利ではなく片利共生だからね
でも一応、クマノミの死骸をイソギンチャクが喰ったという話があるから、イソギンチャク側にとっても死骸が喰えるという点では……

おまけ

ライオン・ハイエナ「働いたら負けかなって思ってる」

父ライオン「……」ゴロゴロ

子ライオン「……」

父ライオン「……」プゥ

子ライオン「……おい」

父ライオン「……なにかようか? ああ、小便か」

子ライオン「……働かなくていいのかよ」

父ライオン「え?」ホジホジ

子ライオン「てめえ! なめてんのかクソ親父!」ガー!

父ライオン「人生舐め腐ってます」

子ライオン「……」プルプル

子ライオン「……お前、母ちゃんは働いてるんだぞ」

父ライオン「え?」

子「だからッ! おかん働いてるのになんでお前はいつもいつもそうなんだよッ!」

父ライオン「おお」

子ライオン「おお、じゃねえよッ! ~~~ッ! あああああああああああああもう早く死んでくれないかなこいつ」

ハイエナ「そうですなあ、今日も奥様の寝床は芳しく、わたくしもお天道様も喜んでおりますよ」クンクン

子ライオン「おいてめえ」ガブッ!

ハイエナ「ぐぺらぁッ!?」

父ライオン「お、屁ぇ出た」プゥ

子ライオン「お前何しに来たよ、ああ? なあ?」

ハイエナ「ちょっとご飯を分けてもらいに」

父ライオン「わしも腹減った」グー

子ライオン「いや、自分でとれよ! なんで毎回毎回うちにたかりにくるんだよ! このズボラ! 変態! 死ね!」

ハイエナ「だってわたくし、ハイエナですから。種的にも振舞い的にも」キリッ

子ライオン「……」ガブッ

ハイエナ「あひぃん!?」

子ライオン「肉塊に変えてやるよ。本能のままに」ガジガジ

親ライオン「おい」

子ライオン「なんだよッ!?」

親ライオン「飯、まだ?」

子ライオン「……」ブチッ


子ライオン「こんのおおおおおおおおドくされ親父があああああああ!!!!」ドドドド

親ライオン「勝った」

子ライオン「負けた……」ボロッ

子ライオン「ちくしょう……ちくしょう……!!」

親ライオン「おお、わし、寝てたのか。おはよう」

ハイエナ「して、奥様の糞尿はどこでしょうか」

親ライオン「ああ、あっちだ」

ハイエナ「いつもすみませんな」

親ライオン「くさいぞ?」

ハイエナ「我々の業界ではご褒美です」

子ライオン「おい、なにしてるんだてめら。おい。おい」

ハイエナ「ハエがたかる程度の香りが熟し頃……」

子ライオン「……」

ハイエナ「あ、勘違いなさらないでください。わたくし、スカベンジャーではありません。ハイエナでございます」

親ライオン「めし」ハラボリボリ

子ライオン「……」

母ライオン「ただいまー」 ズルズル

エサ「」ハジメマシテー

子ライオン「おかえり……」

ハイエナ「これはこれは奥さん。今日もワイルドでございますねえ。……次の排卵日はいつですか? わたくし、分類的は食肉目ですので交尾も可能だと思いますよ。どうですか、ハイエナとライオンの合いの子なんて」

子ライオン「その前に餌になるから安心しろ」

父ライオン「かあさん、めし」

ハイエナ「わたくしもお願いします」

母ライオン「はいはい」

ハイエナ「あっ、何をなさるのですか奥さん、わたくしもごはんをっ」

父ライオン「」バリムシャガツガツ

子ライオン「……」

ハイエナ「いやあ、他人からもらうご飯は最高ですね。え? なんで自分で狩りしないのって? そりゃあわたくし、ハイエナですから。種的にも振舞い的にも」ガツガツ





母ライオン「……あら、おまえ、食べないの?」

子ライオン「……なあ母ちゃん」

母ライオン「なに?」

子ライオン「あのおやじのどこが気に入って交配したのさ」

父ライオン「」ゲプッ

子ライオン「なんで親父は働かないのさ! あんなのライオンじゃねえよ、百獣の王の威厳も何もねえよ!」

母ライオン「あらあら。ああ見えても父さん、結構やるときはやるのよ?」

子ライオン「はあ? ありえねーし」


~縄張り争い~


雄ライオン「ガルルルルルルル」

父ライオン「」シュンッ

雄ライオン「な……消えた……だと?」

父ライオン「」ガシッ

雄ライオン「っ!? いつの間に後ろに……ッ! は、はなせ――」

父ライオン「」ガリボリガリボリッ

雄ライオン「」ボタボタ

父ライオン「……ヒヒッ ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」





母ライオン「ああやって負けた雄の子もろとも皆殺しにするの」

子ライオン「」

母ライオン「かっこいいわよね! お父さん! もうっ、見てよ! あの血塗られた雄の顔と狂気の行動!!!!」イヤンイヤン

父ライオン「ヒョホホホホホホホホホホ」

ハイエナ「……え?」




肉塊「」チーン

父ライオン「チニ...ウエテル...ヒョオオオオオオオオオオオオオ!」バリムシャムシャ

母ライオン「ああ、もうっ! お父さんったら最高だわっ! ああん!」

子ライオン「」

父ライオン「コポォォォォォォォォ!!!!!」ブシャアァ

骨「」

母ライオン「きゃーっ! お父さん、こっち向いてえええ!」キャッキャキャッキャ

子ライオン「」

子ライオン「……す」




子ライオン「すげえええええええええええええええええええええええええええ!」

子ライオン「これが百獣の王!? す、すげえええええええええ! 親父すげええええええええ!」

父ライオン「アガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

子ライオン「母さん、俺、なるよ! 親父みたいな立派な百獣の王に、俺はなる!」

母ライオン「あらあら、がんばんなさい!」

子ライオン「うおおおおおおおおおおおおお! なってやるぜ! なってやるぜええええええええええええ!」


~そして数年後~


子ライオン「……」ゴロゴロ

孫ライオン「……」

子ライオン「……」プゥ

孫ライオン「……おい」

子ライオン「……なにかようか? ああ、大便か」

孫ライオン「……働かなくていいのかよ」

子ライオン「え?」ホジホジ

孫ライオン「てめえ! なめてんのかクソ親父!」ガー!

子ライオン「人生舐め腐ってます」

孫ライオン「……」プルプル



そしてこの後
縄張り争いで子ライオンが宣言通りバーサーカーと化すのはまた別の話である……

完!

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