リポーター『はいはーい、こちら、スクランブル交差点です』

リポーター『まだ空は明るいのですが、ここはたくさんの若者であふれています』

リポーター『それも私服やスーツではなく、見てください、この様子を』

リポーター『おばけ、おばけ、おばけ』

リポーター『魔女、ミイラ、ゾンビ、あ、あそこにはフランケンシュタインの怪物もいますね』

男性アナ「うわあ、すごいですね」

リポーター『街は仮装した若者で賑わっています』

リポーター『皆さん、この日の為に準備をしてきたのでしょうか』

リポーター『ちょっとお話を聞いてみましょう』

リポーター『こんにちは、それはなんのコスプレですか？』

『あうあうあぁー、うぅああああー』

リポーター『あ、ゾンビですねー』

リポーター『なりきってますねー』

『ぅぅっぅうおおおおおー、ぁうぁううああー』

リポーター『あははは、とても迫力がありますね』

男性アナ「ちょっと放送コードギリギリですかね」

女性アナ「グロテスクですね、ええ」

リポーター『おおっと、血が吹き出ましたよ！　これはすごい！』

男性アナ「……」

リポーター『あ、こちらの人にも聞いてみましょう』

リポーター『こんにちはー、あなたはなんですか？』

『ふはははは、私はドラキュラ公爵だ』

リポーター『あれ、まだ日が高いのに出てきて大丈夫ですか？』

『……』

リポーター『あ、あはは、タフなドラキュラさんでした』

男性アナ「これは手厳しい」

女性アナ「にんにくも好きそうな顔してましたね」

リポーター『あ、こちらの方は？』

『魔女でーっす』

『うぃーっす』

リポーター『あらら、可愛らしい魔女のお二人さんですよー』

『てくまくまやこーん』

『うぇーい』

リポーター『？』

男性アナ「リポーターさんは世代じゃないみたいですね」

女性アナ「ですねえ」

男性「あれ、わかる人？」

女性アナ「あ」

『これあげるー！』

『うぇぇえーい！』

リポーター『あら、ありがとうございますー』

リポーター『魔女の帽子もらっちゃいましたよー』

リポーター『似合います？』

女性アナ「あ、あれいいなあ」

男性アナ「可愛らしいですね」

リポーター『えくすぺくと・ぱとろーなむ！』

リポーター『守護霊よ、来たれ！』

男性アナ「あ、ああいう世代なんですね」ｼﾐｼﾞﾐ

女性アナ「若いですねえ」ｼﾐｼﾞﾐ

リポーター『おっとこれはメジャーな日本の幽霊ですねー』

『うらめしやー』

リポーター『あなたはどんな恨みを持って幽霊になったんですかー？』

『あ、えっと、会社が倒産してヒモにも逃げられて自殺した女の幽霊って感じっす』

リポーター『あはは、重ーい』

男性アナ「言い方軽ーい」

女性アナ「現代で死んだ人もあのスタイルになるんですねえ」

リポーター『うーん、これはなんでしょうか』

『エイリアンですー』

『プレデターですー』

リポーター『おお、地球外生命体ですねー』

『キシャー』

『ウォォエエエー』

リポーター『キャー寄生されるー』

男性アナ「楽しそうですね」

女性アナ「粘液がまたリアルですね」

リポーター『おっと、あちらの方がなんだか賑やかです』

リポーター『ちょっと近づいてみたいと思います』

男性アナ「なんでしょう、激しい光が見えますね」

女性アナ「大丈夫でしょうか」

リポーター『なにやらお坊さんと幽霊のバトルが始まったようです』

男性アナ「はい？」

『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏』

『ぐぐぐううぅぅぅぅうおおおおおおおおお』

リポーター『幽霊が苦しんでします！　ピンチです！』

『南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経南無妙法蓮華経』

『ぅぅぅおおおおお憎い憎い憎い憎い憎いぃぃぃいいいいい』

『ナムサーン！！！！！』

『あーーーーーーーー！！！！！』

バシュウウンン

リポーター『え？』

リポーター『な、なにが起こったんでしょうか！？』

リポーター『幽霊が消えました！』

男性アナ「え？」

女性アナ「な、なにかのショーでしょうか」

男性アナ「駄洒落を言っている場合ではありませんよ」

女性アナ「ちょ、違いますよ！」

リポーター『あ！　あちらの方で火柱が！』

リポーター『白装束の人が、十字架で戦っています！』

リポーター『相手は……なんでしょう、ちょっとよくわからない妖怪です！』

『priez pour nous pauvres pecheurs』

『ゥゥゥォオオオオオオオオオオオオ！！！！！』

『maintenant et a l'heure de notre mort』

『グググゥゥゥゥウウウオオオオアアアアア！！！！！』

『Amen!!!!!』

パンッッ！！！

リポーター『ひっ！　は、はじけ飛びました！』

ゴォォオオオッッ！！！

リポーター『も、燃えています！　これはイベントなのでしょうか！　それとも現実なのでしょうか！』

リポーター『ああっゾンビの集団です！』

リポーター『いち、にい、さん、かなりの数です！　数え切れません！』

ダンッ！　ダンッ！　ダンッ！

リポーター『ああ！　ゾンビたちが倒れていきます！　血を吹き出しています！　血は赤色をしています！』

リポーター『あれは演出なのでしょうか！　本当に無事なのでしょうか！』

女性アナ「ゾンビはヘッドショットで。基本ですね」

男性アナ「え？」

リポーター『こ、ここは危険です！　私たちも離れたいと思います！』

リポーター『なのでいったんスタジオにお返ししたいと思いますっ！』

男性アナ「この状況で返されましたよ」

女性アナ「若者たちの活気があふれる映像でしたねえ」

男性アナ「活気で済ませて大丈夫なのでしょうか」

女性アナ「あっ、今度は魔女が火あぶりにされているようですねえ」

男性アナ「……」

女性アナ「あっリポーターも狙われてますねえ」

男性アナ「……」

女性アナ「あの帽子は受け取るべきではなかったみたいですねえ」

男性アナ「……」

女性アナ「さて、明日から十一月ですね」

女性アナ「寒波が近づいていますので、防寒には皆さんお気をつけくださいね」

女性アナ「あっ、ハロウィンでもありますので、暴漢にもお気をつけくださいね」

女性アナ「特に除霊してきそうな方には、ね」

男性アナ「……」

女性アナ「では、ニュースSS、お別れの時間になりました」

男性アナ「ま、また明日……」

女性アナ「……」ﾆｯｺﾘ

男性アナ「あの、今日ってほんとはなにする日だっけ？」

女性アナ「さあ？」



★おしまい★