『バトルファクトリー』
ルカリオ「……ほんとにやるのか?」
ゲンガー「あぁ。今日を逃したら、次に機会が訪れるのか、分かったもんじゃない」
ゲンガー「大丈夫、うまくやるさ。計画通りいけば、必ずここから抜け出せる」
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ルカリオ「……心がわりする気は、ないんだな」
ゲンガー「……何度も言っただろ?俺はもう……この施設にいたい、と思えなくなっちまったんだ」
ルカリオ「……そうか。ならば、もう止めはしないさ」
ルカリオ「気をつけてな……また、必ず会おう」
ゲンガー「おう。それまでしっかりおとなしくしてろよ」
ゲンガー「じゃ、またな………」
ゲンガー(--タマゴから生まれたとき、俺はすでに親の手元にはいなかった)
ゲンガー(覚えているのは、けたたましいほどの機械音が辺りに響く、どこまでも暗い部屋が俺のゆりかごだったことぐらい)
ゲンガー(そっから自分がゲンガーになるまでのことは、すっかり忘れていた……というよりも、記憶から消されていた、の方が正しいか)
ゲンガー(そういう場所だったんだよ。ずっと普通だと思ってた、俺が生まれ育ったこの施設--『バトルファクトリー』ってのは……)
ゲンガー「離せ!離せ!」
俺「お前は駄目だ、早くメガストーンを受けとれ お前はどうでもいいぞ」
ルカリオ「………」
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ゲンガー「……っ……」
???「--気分はどうだ?」
ゲンガー「………ここは……?」
???「ファクトリーボックスと呼ばれる空間。今日からお前の家となるところだ」
ゲンガー「ファクトリー……ボックス……?」
???「…まだファクトリーすら分からないか……これはすまなかった」
???「……自己紹介が遅れたな。ワシはフーディン」
フーディン「この空間内部のお目付けやくをしておる」
フーディン「さて、どこから話したものか……お前さん、バトルフロンティアはわかるか?」
ゲンガー「……いや」
フーディン「それもそうか……ならば最初から話そう」
フーディン「ここはバトルフロンティアという大規模なバトル施設の一つ、バトルファクトリーと言う場所」
フーディン「その場所でお前さんは生まれ、今ここにおる」
フーディン「さっき言った通り、ここはお前さんの家であり、また仕事の場でもある」
ゲンガー「……仕事とは?」
フーディン「ここはバトル施設の一角……ならばやることはおのずと決まるじゃろう?」
ゲンガー「……バトルか……」
フーディン「正解じゃ。では、軽く設備の説明でもしておこう」
フーディン「ここはお前さんの家、といったが正確には部屋じゃな。この空間には他のポケモン達もすんでおり、そのうちの一つにお前さんがすんでおる訳じゃ」
フーディン「お前さんがイメージをすれば、この部屋はお前さんの思い通りに作りあげられる。お腹が空いたと思えば、食料が出る。眠たいと思ったら辺りが暗くもなる。
まぁワシがおらんなった後にでもいろいろ試してみるがいい」
ゲンガー「他のポケモン、とは……」
フーディン「あとから何匹かには逢わせる予定じゃ。心の準備はしておいたほうがいいぞ」
ゲンガー「……分かった」
フーディン「さて、ここからは仕事の話じゃ。ここでのお前さんの仕事がバトルすることなのは理解出来たと思うが、いつそれをするのか」
フーディン「ほれ、そこを見てみい。日付と時間が列記されとるじゃろ」
フーディン「それがお前さんの仕事の開始時間、バトルに参加しはじめるる時間じゃな。仕事間はまちまちじゃが、1時間以上は必ずあいとる
フーディン「これはバトルへの参加時間がまちまちじゃからこうなっとる。ひと区切りは必ず1時間以内だから、どんなに忙しくとも必ず少しは休めるようになっとる訳じゃ」
フーディン「ここにきたばかりじゃと、あまり時間の感覚がないと思うが……まぁそのうち慣れるさ」
フーディン「簡単にはこんな感じじゃ。どれ、何か質問はあるか?」
ゲンガー「……その時間の横にかかれている文字は……?」
フーディン「おぉ、忘れとった。これは……」
???「新入りはいるかー!!」
ゲンガー「」ビクッ
フーディン「なんじゃい騒がしい……まだここの説明の途中じゃぞ」
???「はぁ?まだそれやってるのかよ、フーディンさん。新入り来るたびに毎回忙しいなぁ」
???「ここの生活なんて慣れだよ、慣れ。あとは気合いと根性だな、うん」
フーディン「おぬしはいつもそればっかりじゃのう……」
ゲンガー「……あの……」
???「あぁ、悪い悪い。自己紹介が遅れたな」
ヘルガー「俺はヘルガー。よろしくな、新入り」
ゲンガー「……よ、よろしく……」
ヘルガー「つー訳でフーディンさん、こいつ借りてくぜ」
フーディン「待て、わしは何もまだ聞いてないぞ」
ヘルガー「言わなくてもわかんだろ。新入りが来たんだからパーッと打ち上げしねぇと、だろ?フーディンさんもやろうって言ってたじゃねぇか」
フーディン「少しこの場にならしてから、と言ったはずだが?」
ヘルガー「もう慣れた、慣れたって。なぁ新入り?」
ゲンガー「……えっ……えと、……」
ヘルガー「なんだぁ?ビクビクしやがって。こういうときはどっしり構えときゃいいんだよ、どっしりと!!」
ゲンガー「……は……」ビクッ
フーディン「やめんか、馬鹿者。怯えとるじゃろうが」ガツン
ヘルガー「痛!!」
フーディン「まったく……もうどうせみなも集まっとるんじゃろう?」
ヘルガー「じゃないとここに新入りを呼びにこないっつーの」
フーディン「はぁ……仕方ない。ゲンガー、悪いが話はあとにして先にこいつについてってくれんか?」
ゲンガー「…………」コクン
ヘルガー「よっしゃ!!じゃあさっさと行くぜ!!俺のとこきてくれたらいいから、すぐこいよ!!」ヒュン
ゲンガー「……ここにいる人みんなあんな感じなのか……?」
フーディン「みながみなあやつみたいな奴ではないさ。みな多種多様、十人十色の性格じゃよ」
フーディン「お前さんみたいな臆病なやつもおるしの。気にするな」
ゲンガー「……いってくる」テクテク
フーディン「待て待て。どこへ行く?」
ゲンガー「……ヘルガーさんのところに……」
フーディン「歩いてか?……いや、わしの説明不足じゃったか……」
ゲンガー「?」
フーディン「ここはお前さんの部屋で思い通りに作りあげられる。それはこの空間内ならどこでも同じ」
フーディン「つまり、お前さんがあやつのとこに行きたいと願えば、一瞬でヘルガーのとこへいけるというわけじゃ」
フーディン「あやつがここへ一瞬で現れたのもそういった理由。ほれ、少しいのってみぃ。わしもすぐ行くから」
ゲンガー「…………」コクン
ゲンガー(……ヘルガーのところへ!!)
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