二宮飛鳥「──星光の舞台」 (16)
飛鳥・ありす「「失礼するよ(します」」
P「おお、二人ともよく来てくれたな。ささ、とりあえずそこに座ってくれ」
ありす「はい」
飛鳥「……しかし、要件もなしに『部署の部屋まで来てくれ』とだけ告げて、オフ中のボク達を呼び出すとは……本当にキミは勝手な男だね」
ありす「それでホイホイ出てきてしまう私達も大概だと思いますけどね……自分で言うのも何ですが」
P「ああ、悪い悪い。……んでまぁ、一体何でお前達二人を呼んだか、なんだが……」ガサゴソ
P「……これを見て貰えるか?」
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飛鳥「……タブレット端末?」
ありす「これは確か、先月発売された新モデルですね。……まさか、これの自慢をする為に私達を?(ジト目」
P「んな訳ないだろ……とりあえず、これをスリープモードから復帰させて見てくれ」
飛鳥「? ああ──……」ポチッ
飛鳥「……これは──」
ありす「……? どうしたんですか?」ヒョイッ
ありす「……『スターライトステージ(仮) 体験版』……ゲームのタイトル画面ですか?」
飛鳥「画面に描かれているのは……ニュージェネレーションズの三人と、それに杏さんときらりさんか」
ありす「プロデューサーさん、これは一体?」
P「一言で言うなら、うちの事務所のアイドルを使ったリズムゲームだな」
飛鳥「……ここ最近、昼休みや仕事終わりに泉と一緒に何かやってると思ったけど……まさか、こんなものを作っていたとはね」
<せーいっぱいーかがやくー♪
ありす「あ、デモ画面……へえ、プレイ中はポリゴンで描画されたアイドル達がバックで踊ってくれるんだ……さすがにHDの据え置き機のそれと比べると幾らか見劣りしますが、それでも再現度は十分に高いですね」
飛鳥「プログラムを担当したのは十中八九泉の方だろうから……つまり、このポリゴンの制作はプロデューサーが?」
P「ああ。ま、昔とった杵柄って奴だな」
飛鳥「ふうん……まぁ、それはさておき。もしかして……否、もしかしなくても、今日ボク達を呼んだのは……」
ありす「……このゲームのテストプレイをさせるため、ですね?」
P「オフコース。お前ら二人は本当に察しが良くて助かるよ」
飛鳥「これだけ判断材料を与えられてその解答に辿り着くことができないヒトなんて、そうそう居ないと思うけれど……」
ありす「しかし、何で私達二人をプレイヤーに選んだんですか? 別に、テストプレイなら社員の人や他のアイドルに頼んだっていいと思うんですが」
P「これは今の所ウチの事務所の中でも極秘で進めてる企画でな……例え社員や所属アイドルとはいえど、残念ながらそうそう気軽に話すことはできんのだな、これが」
P「でもその点、お前らは俺が直接担当してるアイドルだから、監視の目も十分に行き届くし……何より二人とも口も義理も堅いからな」
P「部長や常務と話し合って、まあお前達になら話しても大丈夫だろうって結論に至った訳よ」
飛鳥「……光栄だね。まさかキミに、そこまで買われていたとは──……理解(わか)った。その役目、引き受けよう」
ありす「私もやります。……あの、その……別に、Pさんの信頼に応えたいとか、そういう意図はありませんからね。ただ単に、このゲームがどんなものなのか気になっただけなんですから」
P「ツンデレ乙」
飛鳥「ふふ……ありすは照れ顔も本当に可愛らしいね」
ありす「ちょ、誰がツンデレですか! 飛鳥さんも、そんな生暖かい目で見ないでくださいっ!」
飛鳥「さて、それじゃあプレイを始めるとしようか」
P「ああ、とりあえず適当に画面をタッチしてみてくれ。そうすればゲームがスタートする筈だから」
飛鳥「ん、了解した」
ありす「二人とも、無視しないでくださーい!」
…………
………
飛鳥「お、始まったみたいだね。……これは……ボクとありす、それに……」
ありす「乃々さんと小梅さん、晴さんですか……」
飛鳥「タイトルやデモにいたメンツが一人もいないんだけど……何でプレイアブルキャラがこの五人なんだい?」
P「趣味」
飛鳥「ああ、そう……」
ありす「……これは喜ぶべきなのか、恥ずかしがるべきなのか、悩むところですね」
P「ま、それよりも……そろそろゲームの方に集中した方がいいんじゃないか?」
<おーねがいー しんでれらー♪
飛鳥「ん、ああ──……っ!?」
ありす「? どうしたんですか、飛鳥さん……って、何ですか、この譜面は!?」
飛鳥「ぐ、おぉっ──……!」カチャカチャカチャカチャ
P「まだ開発の序盤も序盤だからな。残念ながらまだ最高難度の譜面しか完成してないのよねぇ」
飛鳥「そういう事は早く言ってくれないか! ……く、HPが──」
<……力及ばず、か。まあ、これもまた、必然なのだろうね──
ありす「……ダメだったみたいですね」
P「だな」
飛鳥「…………」
ありす「……それじゃあ、飛鳥さんの弔い合戦と洒落込むとしましょうか。……正直、私もこれをクリアできるとは思いませんが……」
飛鳥「…………」
ありす「飛鳥さん?」
飛鳥「すまない、ありす──」ポチッ
ありす「へ?」
飛鳥「……もう少し、ボクにチャレンジさせては貰えないだろうか」
…………
………
ありす「まだですか、飛鳥さん……もう、かれこれ数時間は経過してるんですけど……」
飛鳥「────」カチャカチャカチャカチャ
P「聞こえてないみたいだな」
ありす「……あんな必死な形相を浮かべてる飛鳥さん、初めて見ましたよ……飛鳥さんって、意外と負けず嫌いなんですね」
P「……お前が言うな(ボソッ」
ありす「……何か言いましたか?」
P「いや別に」
飛鳥「────! よしっ!」ターンッ
<──見てくれたかい、プロデューサー。ボクのセカイを──
P「……終わったみたいだな」
ありす「ですね……」
飛鳥「…………ふぅ」
P「どうだ。飛鳥、プレイした感想は」
飛鳥「……音ゲーとしての完成度は高いと思うよ。これをどういう形態で配信するつもりなのかは理解らないけれど……数千円の買い切り型アプリにしても、十分に売れるだろうと確信できるね」
P「ふむふむ。そうかそうか、そいつは重畳だな」
飛鳥「あと──」
P「……うん?」
飛鳥「……人にプレイをさせるのは、最低でも難易度変更ができるようになってからにしてくれ」
P「…………ああ」
ありす「さて、と。それじゃあ今度は私の番ですね」
飛鳥「ん……ああ、悪かったね、ありす。つい意地になって、長いことタブレットを専有してしまって──……」
ありす「いえ、お気になさらず」
ありす「……飛鳥さんのプレイを後ろからずっと眺めていたお陰で、この曲については大方理解できました……今の私なら、一発クリアも容易いです!」
P(フラグかな)
飛鳥(フラグだね)
…………
………
ありす「ちょ、待──こんなの、指二本で回せる訳ないでしょう……っ」
ありす「ちょっとこの辺、フリック入力が多すぎじゃないですか!?」
ありす「くぅ……何度やってもこの部分がノーミスで抜けられません……!」
ありす「今の、ちゃんとタイミングは合ってたはずなのに……!」
…………
………
その後、ありすも飛鳥同様、何時間もプレイを続け──……
ようやくギリギリでノルマクリアを達成した頃には、門限を完全に超過。
二人揃って寮監に平謝りするハメになり、プロデューサーも監督不行届で常務に叱られたとさ。
おわり
おまけ
菜々「へぇ、リズムゲームですか!」
P「ええ。……奈々さんはこの手のゲームを遊んだ経験はおありですか?」
菜々「勿論ありますよっ! 特にナナはパラッパラッパーが好きでしたね……小学生の頃、学校から帰っては遊び倒して……ハッ!」
ありす「パラッパラッパーって……確か、初代PSのソフトじゃ……」
飛鳥「ボクが生まれるよりも更に前のタイトルだね。ボクも、戦闘城塞マスラヲというライトノベルに影響されて中古で買って遊んだ事はあるけれど……」
菜々「ち、違うんです! その、元々はお父さんが持ってたソフトで……それを借りて遊んでいただけですから!」
P「…………」
P「『リズムのゲームなんてあったっけ?』」
菜々「『パラッパラッパー、お楽しみに!』……あっ」
P「…………」
菜々「ち、違……そう、ニコニコ動画! ニコニコ動画で見ただけなんです! 決してリアルタイムで見てたとか、そういう訳じゃあ……!」
飛鳥「…………」
ありす「…………」
菜々「ちょっと、誰か何か言ってくださいよーっ!」
今度こそおわり
デレステ楽しいけど担当アイドルの大半が未実装なのが辛い
飛鳥実装はやくwはやくwはやくw
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