八幡「やべぇμ'sかわいい」 (226)
~奉仕部室~
八幡「うーす」ガチャ
八幡「ってまだ誰も来てねぇのか、珍しいな」
八幡「本読んで待って…そういや持ってきてるやつはさっき読み終えちまったんだった…」
八幡「…」
八幡「アレ観て待ってよう」
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~数分後~
結衣「優美子たちと話してたらちょっと遅くなっちゃったよー!」
結衣「ゆきのんは用事があるから遅れるって連絡あったからいないと思うけど、ヒッキーはもういるかな?」
結衣「やっはろー!!」ガチャ
八幡「…」
結衣「ヒッキーいた!やっはろー!」
八幡「…」
結衣「…なんで無視!?ひど…ってイヤホンして動画観てる…?」
八幡「…」ニヤッ
結衣「…なんかにやけてる…キモいよヒッキー…」
八幡「…」
結衣「…もうヒッキー!!?」ツクエドン‼︎
八幡「うおっ!!?お前いつの間に!?」
結衣「今来たんだよ!それより何観てたの?ニヤニヤしててキモかったよ」
八幡「来て早々キモいとか言うなよ…泣くぞ」
結衣「ご、ごめん…で、何観てたの?」
八幡「μ'sのPVだ」
結衣「みゅーず…?石鹸?」
八幡「違うわ!スクールアイドルだ、知ってるだろ?」
結衣「あぁそっちね!!」
八幡「普通そうだろ…」
結衣「あたしも好きだよμ's!可愛いよねぇ」
八幡「可愛いなんてもんじゃねぇ、彼女たちはそのグループ名の通り天から舞い降りた女神なんだ…」
結衣「ベタ惚れだ!?……ところでヒッキーは9人の中で誰が一番好き?」
八幡「そうだな…俺はかよちんだな」
結衣「あぁ花陽ちゃん可愛いよね 八幡「なんと言ってもあの体から滲み出ている優しさ…画面を通してでも俺を癒してくれる…彼女なら俺のような人間ですら優しく接してくれる、そんな気すらしてくる」
結衣「なんか語り出したよぉ…」
八幡「そして高校一年生とは思えないあのバスト…公式プロフィールでは82とされているが絶対もっとある」
結衣「ば、バストって…///てかなんでそんなの覚えてるのさ…」
八幡「は?バストのみならずスリーサイズ9人全員分覚えているが?というか血液型や趣味等のプロフィールは全て暗記している。むしろお前してないの?」
結衣「してないよ!!普通しないよ!!」
八幡「お前は誰が好きなんだ?」
結衣「あたしは穂乃果ちゃん!!あのてんしんまんらん?なところがいいよね!」
八幡「天真爛漫な。穂乃果ちゃんか、なんかすげぇ分かるわ。性格もお前と結構似てるかもな、あとチョンマゲの位置とか」
結衣「チョンマゲじゃないし!あたしのはおだんご!!」
八幡「さいですか」
雪乃「ごめんなさい、遅れてしまって」ガチャ
結衣「あ、ゆきのんやっはろー」
八幡「うーす。お前が遅れるなんて珍しいな、なんかあったのか?」
結衣「先生にお手伝い頼まれたから遅れるって言ってたじゃん」
八幡「聞いてないが」
雪乃「あら、言わなかったかしら?」
八幡「ひどい…」
八幡「なんの手伝いだったんだ?」
雪乃「なんだか新しい部活動の申請が多数あったらしくて、その処理をね」
結衣「なんの部活なの?」
雪乃「なんだかよく分からないのだけれど、スクールアイドル部、なんて言ってたかしら」
八幡「は?」
八幡「…雪ノ下、その部活の申請は承認されたのか?」
雪乃「まだ正式に決定はされてないのだけれど本当に申請の数が多くて…おそらくされるだろうとのことだったわよ」
結衣「すごいねヒッキー!!ウチの学校からもμ'sみたいな可愛いスクールアイドルが…」
八幡「…」
結衣「ヒッキー?」
八幡「…馬鹿野郎がぁ!!!」
結衣「うえっ!?」
八幡「ウチの学校の女子なんかがあの女神達に敵うと思うのか!?いや、敵わないね!!」
結衣「ひどい言われようだ!?…あたしもその女子に含まれてるの…?」
八幡「無論、当然だ」
結衣「最低!!ヒッキーの馬鹿!!変態!!アイドルオタク!!」
八幡「ひどい言われようだ!?」
雪乃「…さっきからそのスクールアイドルというものについて話しているみたいだけれど、一体どういうものなの?」
八幡「え、お前スクールアイドル知らねぇの?」
雪乃「えぇ、あまりそういうものには興味がないの」
八幡「なんだと貴様!!あの神聖な存在をそういうもの呼ばわりだと?許さんぞ!!」
雪乃「うるさいわよ」ギロッ
八幡「スイマセン」
今日はここまでにこ
八幡「まぁ要するに、部活として学校の名を背負ってアイドル活動をするってわけだ。他の部活みたいに大会もあるしな」
雪乃「大会もあるの?」
八幡「あぁ、年に一度ラブライブという大会が開かれる。いわゆる全国大会ってやつだな」
結衣「すっごい盛り上がるんだよ!!あたしも観に行きたかったなぁ~、来年は受験勉強とかで行けないだろうし…」
八幡「お前から受験勉強という言葉が出るとはな……てか知らねぇのか?今年度はもう一回ラブライブが開催されるんだぞ?」
結衣「えっ!?そうなの!!?」
八幡「おう、これで前回奇しくもエントリーを辞退してしまったμ'sを見ることができる。なんかテンション上がってきた」
雪乃「そのミューズ、というのは?」
八幡「最近人気急上昇中の東京のスクールアイドルだ。前回のラブライブは出場圏内にいたのになぜかエントリーを辞退してな…あのときは俺もかなり荒れたもんだぜ」
雪乃「そんなに人気なのね、スクールアイドルって。全く知らなかったわ」
八幡「まぁたしかにお前はそういう流行とかには疎そうだな」
結衣「雑誌とかでも特集組まれたりしてるんだよ!あ、この前はテレビでもやってた!!」
雪乃「へぇ、すごいのね。少し甘く見ていたわ」
八幡「PV観てみるか?」
雪乃「PVまであるのね……少し興味があるわ」
八幡「じゃあ……この曲だな」
タシカナイマヨリモーアタラシイユメーツカマエタイー♪
…ダイスキ‼︎
結衣「んーやっぱ可愛い!!」
八幡「どうだった?素晴らしいだろ?」
雪乃「…」
八幡「…雪ノ下?」
雪乃「はっ…え、えぇなんというか…私が想像していたものよりもずっとしっかりしているわ」
八幡「彼女達は作詞作曲から衣装作りまで全部自分達でこなすからな。ある意味本物のアイドルより真剣かもな」
雪乃「そうなのね…ただ…やはり私はちょっと…」
結衣「ゆきのんはあんまり好きじゃない?」
雪乃「決して嫌いというわけではないのだけれど、なんというかその…」
八幡「まぁキャラじゃないわな。お前がアイドル好きとかなんか想像つかないし」
雪乃「!」
雪乃「…えぇ、そういうことよ」
八幡「じゃ、とりあえず今日はPV観て時間潰すかなー」
結衣「あれ?今日は本じゃないの?」
八幡「さっき読み終えちまったんだよ。それに俺もμ'sを応援する者として、さらに深く研究しておかないとな」
結衣「研究って……じゃああたしも一緒に観ていい?」
八幡「えー、仕方ねぇなぁ」
デモアタシアライズモスキナンダヨネー
ナンダトキサマ‼︎ウラギリモノメ‼︎
雪乃「…」
~数日後・奉仕部室~
平塚「やぁ諸君、元気にやってるか?」ガチャ
雪乃「先生、ノックを」
平塚「あぁすまんすまん」
雪乃「…それで、なにか御用ですか?…もしかして警察の方が通報を受けてそこの不審な男を連行しに来たとか」
八幡「おい、嫌な冗談はよせ。割とまじでありそうだから」
雪乃「あら、冗談ではなかったのだけれど」
八幡「まじか」
平塚「はぁ、相変わらずだな君らは……今日は依頼を持ってきたんだ」
八幡「…」ハァ
平塚「そこ、あからさまに嫌そうな顔をするな」
結衣「それで、どんな依頼なんですか?ていうか依頼主は?」
平塚「依頼主は誰か…と聞かれると少し難しいんだが…強いて言うなら今回の依頼主は、学校かな?」
雪乃「どういうことですか?」
平塚「雪ノ下、お前には先日、部活動設立の申請書の手伝いをしてもらっただろ?あれについてだ」
平塚「職員会議での話し合いの末、申請多数ということでスクールアイドル部の設立が承認されたんだ」
雪乃「…」
結衣「わぁ…!!すごい!!」
八幡「フン、爆死する様が容易に想像できるわ」
結衣「まだ言ってるし…」
平塚「爆死、か…そこまで辿り着けばいいんだがな」ハァ
八幡「どういうことっすか」
平塚「先日雪ノ下に手伝ってもらって処理したのは部活動『設立』の申請書だ。そして今回承認されたのが部活動の『設立』」
平塚「ここまではいい、しかし問題はここからだ」
3人「?」
平塚「申請書を提出したのだから、もちろん自分がアイドルをやる気でいるのかと思い、提出した者に集合をかけてみたら…」
平塚「1人も自分でアイドルをやろうという者はいなかった」
結衣「えっ!?どういうこと!?」
雪乃「…つまり、今人気のスクールアイドルを自分の学校でもやってくれれば、それを見ている自分達は楽しめる」
八幡「要するに、他人がやってるのは見たいけど、自分でやるのは恥ずかしいから嫌だ、とかそんな感じだろ」
平塚「察しがよくて助かる。大方そんなところだろうな」
雪乃「でもそれなら、設立自体を取り消せばいいのでは?」
平塚「まぁそうなんだが……ここからは少し申し訳ないと言うか、情けない話なんだが…」
平塚「学校としても、今流行りのスクールアイドルをウチでもやってくれると、来年度の新入生の呼び込みや学校の売名といった点で利益があるんだ」
雪乃「…なるほど」
八幡「大人の汚い事情だな」
平塚「…正直言い返せないな」
結衣「でもそういうのって平塚先生じゃなくて、校長先生とかああいう上の人が決めたことじゃないんですか?先生は悪くないですよ!」
八幡「もっとも、俺も平塚先生が悪いなんて微塵も思ってないですけどね」
平塚「そう言ってくれると助かるよ」
雪乃「それで依頼というのは?…もしかして私たちにアイドルをやれとか…」
結衣「えっ!?嘘!!?ムリムリ、あたしなんかじゃ無理だよー!!」
平塚「いや、さすがにそこまで無理は言わないさ。ただ…」
結衣「…ただ?」
平塚「君たちには、スクールアイドル部の部員を勧誘してもらいたい」
今日はここまでにこ
雪乃「勧誘…ですか」
平塚「もちろん君達に丸投げするつもりはない。私たち教員も呼びかけ等していくつもりだし、掲示用の書類も作成済みだ」
平塚「ただやはり、こういうことは私たち大人に言われるよりも、年の近いよく見知った者に言われた方が説得力もあると思うのでな」
雪乃「…でもその依頼は、本来の部の方針ともあまり噛み合っていない気がするのですが」
平塚「それも重々承知している。それについても、今回に関しては本当に申し訳なく思っている」
平塚「…しかし学校も必死でな。本来ならしっかりと部員が集まってから部を設立するのだが、今回は特例ということだ」
平塚「どうか頼まれてくれないだろうか、雪ノ下」
八幡(面倒なことになってんだな。なんか先生もかわいそうだ)
雪乃「……はぁ…わかりました、引き受けましょう」
平塚「!!…ありがとう雪ノ下」
雪乃「それで、期限はあるのですか?」
平塚「あぁ、あまりダラダラと長く続けていても逆効果だということでな、期限は来週いっぱいとのことだ」
平塚「それと、最低でも5人、勧誘してもらいたい」
八幡「5人、か…割とキツイかもな」
平塚「そこをなんとか頑張ってほしい。私も出来る限り手伝うのでな」
平塚「それでは、よろしく頼む……聞き飽きただろうが、申し訳ない……失礼する」ガチャ
八幡「…なんだか厄介なことを頼まれたな」
雪乃「仕方ないわ、学校として動いている計画なのだもの」
結衣「今日は金曜だから、月曜から勧誘していくとして…1日1人入部させなきゃいけないんだね!」
八幡「あぁ、なかなかシビアな条件だ」
雪乃「引き受けてしまったのだから仕方ないわ、やるからにはちゃんとやりましょう」
雪乃「由比ヶ浜さんの言った通り実際に勧誘するのは来週からにして、今日は作戦会議をしましょう」
結衣「うーん…誰彼構わず声かけてみる?」
八幡「別にいいけど、俺には無理だぞ。コミュ障の俺にはハードルが高すぎる」
雪乃「それに、誰彼構わず、というのは危険だわ。仮にもアイドルの勧誘なのだから、それなりの容姿と個性を持ち合わせている人でないと」
八幡「ていうか見ず知らずの人間にいきなり『アイドルやってみない?』なんておかしいだろ」
結衣「そうだよね…じゃあ私達の知ってる人がいいのかなぁ」
八幡「…」
八幡「…心当たりがないこともないが」
結衣「えっ?誰?」
雪乃「聞かせてもらえるかしら」
八幡「あぁ…戸つk「真面目にお願いね」
八幡「…冗談だよ……あいつだよあいつ」
結衣「…あいつ?」
~翌週月曜日・放課後~
結衣「よし!!じゃあ今日から勧誘だ!早速行こう!!」
八幡「なんでそんなに張り切ってんだよ…」
結衣「だって楽しみじゃない?アイドルのスカウトだよ?私達のスカウトで、A-RISEみたいな超人気アイドルがウチの学校からも…!!」
八幡「ないない、ありえないね」
結衣「もう~またそんなこと言って~」プクー
雪乃「さぁ、早く行きましょう。時間は限られているわ」
雪乃「彼女なら生徒会室にいるはずよ」
~生徒会室前~
八幡「なぜか緊張する」
雪乃「失礼します」コンコンガチャ
いろは「あれ?雪ノ下先輩に結衣先輩、あと……誰??」
八幡「おい」
雪乃「気にしないで、いないものと思ってくれていいわ」
八幡「あ、なんか涙出そう」
いろは「それで、なにか御用ですか?」
雪乃「えぇ、一色さんに話があるの。少し時間いいかしら?」
いろは「はい!大丈夫ですよー!」
雪乃「ありがとう、それではウチの部室までついてきて来てもらえるかしら」
いろは「わかりました!」
~奉仕部室~
いろは「それで、お話ってなんですか?」
雪乃「それについては比企谷くんが説明するわ」
八幡「えっなんで俺?」
雪乃「彼女を勧誘したいと言ったのは貴方でしょう?なら貴方が説明するのが筋というものよ」
八幡「…まぁ別にいいけど」
いろは「勧誘って…?ま、まさか恋人への勧誘ですか無理ですごめんなさいさすがに急すぎてまだ心の準備が出来てないです」
八幡「ちげぇよ…なんでいきなりフられなきゃいけないんだ…」
八幡「まぁなんというか……単刀直入に言おう、アイドルやってみないか?」
いろは「え?」
八幡(一色の表情が一瞬にして固まった…そして一転、何言ってんだこいつきめぇ、みたいな顔をしている)
いろは「…アイドルって、どういうことですか?はっ、まさか新手のプロポーズですかすみませんいきなりはキツイですせめて段階を踏んでからにしてくださいお願いします」
八幡「なんでこの短時間で2回もフられてんだ俺」
いろは「まぁそれは冗談として…ホントにどういうことですか?返答によっては通報します」
八幡「なんでだよ……一色お前、スクールアイドルって知ってるだろ?」
いろは「え?もちろんですよ。今大人気ですからね~」
八幡「実は、ウチの学校にもスクールアイドル部ができたんだ」
いろは「ホントですか!?」
八幡「あぁ、しかし部員が足りなくてな、今勧誘してるんだ」
いろは「へぇ~そうなんですかぁ……でもなんで先輩達が勧誘を?……まさか先輩もアイドルを…?」
八幡「んなわけあるか。ちょっと色々あって、奉仕部にそういう依頼が来たんだ」
いろは「ですよねー、もし先輩がアイドルなんてやったらネットとかで叩かれまくりですよー」
八幡「くそっ否定できねぇ…!!」
雪乃「それで、どうかしら一色さん。アイドルをやってみないかしら?」
結衣「いろはちゃん可愛いから絶対似合うよ!!」
八幡「どうだ一色、やってみないか?」
八幡(まぁさすがに考える時間とか必要だとは思うが)
一色「いいですよ?」
八幡「だよな、さすがにいきなりそんなこと言われても戸惑……え?」
八幡「す、すまん一色、今なんて…」
いろは「だーかーらー、アイドルやってもいいですよって言ったんですっ!!」プクー
八幡(まじかよ…随分あっさりだったな)
結衣「ほ、ホントに!?ありがとういろはちゃん!!」
いろは「いやー私も女の子ですからね~、やっぱりアイドルとかには憧れちゃいますよ!!」
雪乃「…」
いろは「ところで他の部員さんは誰なんですか?」
八幡「今のところお前一人だ」
いろは「えっ!?いきなりソロデビューですか!?さすがにハードル高すぎますよぉ~!!」
八幡「ソロデビューってなんだよ。まぁ実際ちょっと状況は厳しいんだ。今週末までにあと4人入部させないと部の設立自体がなかったことになっちまう」
いろは「そうなんですか…じゃあ私も協力しますよ!!クラスの子に声かけてみたりしてみます!」
雪乃「そうしてくれるととても助かるわ、ありがとう一色さん」
いろは「いえいえ~。私がアイドルになった暁には、日本中、いや世界中の皆さんを私の魅力でメロメロにしちゃいますよ!!」
八幡「自分で言っちゃったよこの子…」
八幡「まぁ何はともあれ、一人入部してくれたな」
雪乃「えぇ、そうね。この調子であと4人スムーズに行けばいいのだけれど」
結衣「あっ次の勧誘相手のことなんだけど、あたし一人思いついたんだ!」
八幡「ほぅ、誰だよ」
結衣「えっとね、ウチのクラスの…!!」
今日はここまでにこ
~翌日放課後・教室~
ワイワイガヤガヤ
八幡(さて、勧誘だな……しかし…由比ヶ浜の案自体は悪くはないと思うんだが…あいつがアイドルをやってくれるとは正直思えないんだよなぁ)
八幡(…即断られる未来が見える)
結衣「ヒッキー!早く行こっ!!早くしないとサキサキ帰っちゃうよ!!」
八幡「あぁ…そうだな」
八幡「なぁ川崎、ちょっといいか?」
沙希「?…なに?」
八幡「ちょっと話があるんだ。悪いがウチの部室まで来てくれないか?」
沙希「はぁ?話ならここでも出来るだろ。なんでわざわざそんなところまで行かなきゃ行けないのさ」
八幡「なんつーか…大事な話なんだ。だからここではちょっとな…」
沙希「!…だ、大事な話?」
八幡「…あぁ」
沙希「…」
沙希「はぁ…分かったよ」
沙希(大事な話って…一体なんの…)
~奉仕部室~
八幡「連れてきたぞ」ガチャ
雪乃「ご苦労様。こんにちは川崎さん」
沙希「…こんにちは」
雪乃「比企谷くん、お願い」
八幡「…あぁ」
沙希「で…大事な話って?」
八幡「あぁ、それなんだがな…」
沙希「…」
八幡「あの…」
沙希「…」ドキドキ
八幡「アイドルやらないか?」
沙希「…」
沙希「…」ガタッスタスタ
八幡「待ってくれ!無言で帰ろうとしないでくれ!!」
沙希「…はぁ、いきなりなに言ってんの?あんた頭大丈夫かい?」
八幡「たしかに目は腐っているが脳みそまでは腐ってない」
沙希「…で、どういうことなのさ」
八幡「スクールアイドルって知ってるか?」
沙希「!!…あぁ、知ってるよ」
八幡「ウチの学校にもできたんだよ、アイドル部が」
沙希「……へえ。で、もしかしてあたしにアイドルやれって言ってんのかい?」
八幡「あぁ」
沙希「お断りだね」
八幡(ほらやっぱりー、だから八幡言ったじゃないのー)
雪乃「そこをなんとかお願いできないかしら、川崎さん」
沙希「…無理だね、なんであんた達がそんなことしてるのか知らないけど、他を当たってくれ」
結衣「えー!!絶対アイドル似合うと思うのに!!」
沙希「!!…あたしには無理だよ、力になれなくて悪いね、じゃあね」ガチャ
バタン
八幡「…」
結衣「…」
雪乃「…やはり一色さんのときのようにはいかないわね」
八幡「…まぁこれが普通の反応だと思うぞ」
雪乃「どうしたものかしら…」
コンコンガチャ
いろは「こんにちはー!」
結衣「あっいろはちゃん!」
雪乃「こんにちは一色さん、どうしたのかしら?」
いろは「いやー、どんな状況かなぁと思いまして」
八幡「今さっきウチのクラスの奴を誘ってみたんだが、断られちまった」
いろは「そうですか……私も一応ウチの学年のクラスは全部聞いて回ってみたんですが、一人もやってくれるって人はいなかったです…」
雪乃「そう…」
いろは「『私じゃ無理だよー』とか『恥ずかしいから…』とか言うばっかりで…もう、みんな自分に自信なさすぎるんですよ!!」
八幡「お前みたいに自信ありすぎるのもどうかと思うけどな」
いろは「私くらいが丁度いいんですよー!…ウチの学校の女の子、外見は結構いい人多いと思うんですけどねー」
八幡「まぁ外見だけがよくてもな」チラッ
雪乃「なぜこっちを見るのかしら。引きちぎるわよ」
八幡「こえーよ」
八幡「何はともあれ、これで一年生は全滅ってことか…」
雪乃「受験を控えている三年生を誘うわけにもいかないし…」
結衣「てことは、あたし達の学年でなんとかしなくちゃいけないってことかぁ…」
八幡「厳しいな」
いろは「はぁ、一体どうしたら…」
結衣「どうしたらいいの…」
沙希「…」スタスタ
八幡『アイドルやらないか?』
沙希(…)
沙希(……アイドルなんて、あたしが出来るわけ…)
沙希(…)
・
・
・
・
・
・
~一週間前~
京華「ねぇさーちゃん!!」
沙希「ん?どうしたの?」
京華「さーちゃんの学校には、スクールアイドルないの?」
沙希「えっ?…そういえばウチの学校にはないね」
京華「えーないのー…?さーちゃんがアイドルしてるところ見たかったなー…」
沙希「えっ!?あ、あたしがアイドル!!?」
京華「うん!!さーちゃんが歌ったり踊ったりしてるの見たい!!」
沙希「そ、そんな…あたしには無理だよ」
京華「えーそんなことないよー」
・
・
・
・
・
・
沙希(…)
沙希(あたしがアイドルなんて、そんなの…)
京華『さーちゃんが歌ったり踊ったりしてるの見たい!!』
沙希(…)
沙希「ただいまー」ガチャ
京華「あ、さーちゃんおかえり!!」
沙希「ただいま、けーちゃん」ニコッ
八幡『アイドルやらないか?』
沙希「…」
沙希「ねぇ、けーちゃん…」
京華「うん?どうしたの?」
沙希「…もし、もしさ、あたしがアイドルやるって言ったら…けーちゃん喜ぶ?」
京華「!!うん!すごい喜ぶ!!」ニコニコ
沙希「!!」
京華「らいぶとか、絶対見に行く!!」ニコニコ
沙希「……そっか」ニコッ
京華「さーちゃんアイドルやるの?」
沙希「……ふふっどうだろうね?」
沙希(……よし)
~翌朝~
八幡(…眠い)
八幡(遅くまでμ'sのライブ映像観てたせいでめちゃくちゃ眠い……最近ことりちゃんの魅力に気づき始めたんだよな…)
八幡(…)
八幡(…昨日は結局あの後なんの進展もなく下校時間になっちまったんだよな)
八幡「…これはそろそろヤバイかもな」ボソッ
「ねぇ」
八幡「ん?」フリムキ
八幡「川崎?どうした?」
沙希「あの、さ…あの…」///
八幡(…川崎が顔を赤くして俯いている。えっなにこれもしかして告白?えっいきなりすぎない?まだ心の準備が…)
沙希「昨日のことなんだけど…」
八幡「昨日?」
八幡(…スクールアイドルの話か?)
八幡「別に気にしなくていいぞ。いきなりあんなこと言われたら誰だってああ言「違くて!!」
八幡「えっ?」
沙希「……るよ…」ボソボソ
八幡「ん?」
沙希「だから…やるってば」ボソッ
八幡「すまん川崎、よく聞こえないんだが…」
沙希「だから、アイドルやるって言ってるの!!!」///
八幡「えっまじで?」
沙希「…ふんっ」/// スタスタ
八幡(…)
八幡(行っちゃったよ…)
八幡(……まぁとりあえず二人目のメンバーが確保できたってことで…いいのかな?)
沙希「……ふふっ」ニコリ
今日はここまでにこ
~放課後・奉仕部室~
雪乃「そう、川崎さんが…よかったわ」
八幡「あまりにも急でびっくりしたがな、どんな心境の変化があったんだか」
結衣「よかった~これであと三人だね!」
雪乃「えぇ、兆しが見えてきたわ」
八幡「さてどうするか…俺は正直知り合いっつう知り合いがいないからな……てかもう知ってる人いないわ」
結衣「どんだけ少ないのさ…あんなに人いるのに…」
雪乃「そこの男と同じというのは誠に遺憾なのだけれど、私も思いつく人がもう…」
八幡「てなわけで由比ヶ浜、お前だけが頼りだ」
結衣「うぇえ!?あたし!?」
八幡「俺と雪ノ下はぼっちだからな、そもそも学年にどんな奴がいるのかとか興味ないし」
雪乃「あなたと一緒にしないでもらえるかしら、虫酸が走るわ。袋に詰めてゴミ収集車に放り投げるわよ」
八幡「最近罵倒の切れ味が増してる。辛い」
結衣「う~ん、そう言われてもなぁ~」
結衣「…」
結衣「…あっ」
八幡「おっ、思いついたか?」
結衣「うん、一応…やってくれるかわかんないけど…」
結衣「…優美子、どうかなぁ…?」
雪乃「…」
八幡「三浦、か…」
八幡「…まぁ容姿は申し分ないかもな、ちょっとケバいけど」
結衣「それに、優美子歌も上手いんだよ!!テニスやってたから運動神経もいいし、たぶんダンスも大丈夫!!」
雪乃「まぁそういった点では向いているのかもしれないのだけれど、危惧すべきは…」
八幡「あぁ…あいつが入部すると、部が内部崩壊する気が…」
結衣「そ、そんなことないよ!!優美子ああ見えて結構優しいところあるんだよ!!」
雪乃「まぁ、誘ってみる価値はあるかしら。正直好き嫌いしていられるほど余裕はないもの」
八幡「そうだな、とりあえず誘ってみるか」
結衣「よしっ!決まりだねっ!」
結衣「優美子ならまだ教室にいるかも…行ってみよっか」
雪乃「えぇそうね」
八幡(…なんて言うだろうな、いきなりアイドルやらないかなんて言われて……あ、なんか想像してたら怖くなってきた)
~教室~
ガヤガヤ
八幡(結構残ってる奴らいるんだな…用がないんならとっとと帰りゃいいのに)
結衣「優美子は…あ、いた」
優美子「…」ポチポチ
八幡(…一人で席に座ってケータイいじってる…いやホント帰ればいいのに)
結衣「優美子ー!!」
優美子「ん?結衣?どうしたん…てなんでヒキオと…」
優美子「…」
雪乃「こんにちは、三浦さん」
優美子「……なんか用?」
雪乃「少しお話があるの。部室まで来てもらえるかしら?」
優美子「…ここじゃダメなわけ?」
雪乃「私達は別に構わないけれど、教室に残っている他の人達に話を聞かれて困るのは貴方かもしれないわよ?」
優美子「…」ギロリ
雪乃「…」ジッ
優美子「…チッ、わかったよ」
八幡(ふえぇ…八幡こわいよぉ…)
~奉仕部室~
優美子「で?なんなのさ」
雪乃「比企谷くんが説明するわ」
八幡「なんで俺が説明役みたいになってんだよ」
雪乃「なにか不満でも?」
八幡「いえ、ないです…」
八幡(はぁ…今までより慎重に行こう…)
八幡「あの、三浦さん」
優美子「普通に呼べし」
八幡「…三浦、スクールアイドルって知ってるか?」
優美子「知ってるけど、それがなに?」
八幡「…ウチの学校にもできたんだよ、アイドル部」
優美子「あっそ、で?」ギロッ
八幡(ふえぇ…目をまともに合わせられないよぉ…)
八幡「…で、色々あって俺ら奉仕部が部員を勧誘してるんだが…」
優美子「長い。結局なにが言いたいわけ?」
八幡「…」
八幡「アイドルやりませんか?」
優美子「は?」ギロッ
八幡(あ、もう無理泣きそう)
今日はここまでにこ
優美子「意味わかんないんだけど。てかなんであーしなの?」
結衣「優美子歌上手いじゃん?あと運動神経もいいから向いてるかなーって…」
優美子「…ふーん」
優美子「…」
八幡(なんだか考え込んでるみたいだ)
八幡(…思ってたよりも案外乗り気、なのか…?)
優美子「…そもそもなんで結衣達が勧誘してんの?」
結衣「平塚先生に依頼されたんだよ!」
優美子「それだけ?」
結衣「え?それだけって?」
優美子「結衣はやんないの?」
結衣「なにを?」
優美子「アイドル」
結衣「えぇっ!?」
結衣「あ、あたしはやらないよ!!あたしは勧誘だけ!!」
優美子「なーんだ、じゃああーしもやんない」
八幡「…」
雪乃「…」
結衣「え?」
優美子「結衣もやるってんならあーしもやってもいいかなーなんて思ってたけど、やんないならいいや。仲良い人いないとつまんないし」
結衣「えぇそんなぁ~…」
八幡(そう来たか…)
八幡(いやしかしこれはチャンスだ。上手くやれば一気に二人もメンバーを確保できる)
八幡(そうすればあとは残り一人、かなり楽になってくる)チラッ
雪乃「…」
八幡(…おそらく雪ノ下も同じことを考えてるだろう、ならここは…)
八幡「…由比ヶ浜」
結衣「?…なぁにヒッキー?」
八幡「お前もやったらどうだ?アイドル」
結衣「ゔぇぇえ!!?」
雪乃「…」
結衣「ひ、ヒッキーまで急にどうしたのさ!!?優美子を勧誘してたはずなのに!!」
八幡「その三浦が、お前と一緒だったらやってもいいって言ってるんだ。ならお前がやらない手はないだろう」
結衣「えぇ……でもあたしなんかじゃ…」
八幡(……)
八幡「大丈夫だ、お前はアイドル向いてると思うぞ。俺が保証する」
結衣「!?…そ、そうかな…」///
優美子「…」
八幡(もう一押しだな)
結衣「で、でも…もしアイドルになったとして、あたしなんかを応援してくれる人、いるのかな…」
八幡「…俺がしてやるよ、絶対」
結衣「え……あ…」//////
八幡(…ちょっとカッコつけすぎたか、なんか恥ずかしくなってきた…)
結衣「…う……」///
優美子「…ヒキオって意外と大胆だね」
雪乃「正直少し引いたわ」
八幡「…なんでだよ、俺は俺の思ったことを言っただけだ」
八幡(もう追求しないでくれ、恥ずかしい)
結衣「ひ、一晩だけ考えさせて!!明日結論出すから!!」
雪乃「えぇ構わないわよ。三浦さんもそれでいいかしら?」
優美子「…別にいいよ」
結衣(…うぅ、どうしよ)///
~夜~
結衣(うーどうしたらいんだろ…でもあたしがやらないと優美子はやってくれないし…)
結衣(優美子が入ってくれなかったら正直もうメンバーを揃えるのは……)
結衣(やるしかないのかなぁ…でも、やっぱり恥ずかしいよぉ~)
結衣(……)
八幡『お前はアイドル向いてると思うぞ』
結衣(うっ…)
八幡『…俺がしてやるよ、絶対』
結衣「うぅー」///
結衣「…ヒッキーのバカ…」///
結衣(……)
結衣(……よし決めた!!)
結衣「あたし、やっぱりやる…やるったらやる!!!」
今日はここまでにこ
~翌朝~
八幡(ね、眠い…)
八幡(またμ'sのライブ映像を観ていたせいでほとんど寝てねぇ…)
八幡(それにしてもこの前のハロウィンイベントはヤバかったなぁ。あの衣装可愛すぎるだろ)
八幡(それに曲もいい。あのイントロ、すごくテンションが上がる)
八幡(しかしあのライブのMVPは俺的にはまきちゃんだったな。あの手叩いてるとこのまきちゃん、破壊力高すぎだろ)
八幡(…まぁみんな可愛いんですけどね)
結衣「ヒッキー!!」
八幡「ん?どうした由比ヶ浜」
結衣「あたし、やることにしたよ!アイドル!」
八幡「おぉそうか、そりゃよかった」
八幡(あんなカッコつけといてやらないとか言われたらもう立ち直れないからな俺)
結衣「だ、だから、ヒッキーも約束守ってね…?」///
八幡「あ?約束?」
結衣「そうだよ!!あたしがアイドルなったら、その、応援してくれるって!!!」///
結衣「まさか忘れたの!?」
八幡「…あ~あれね。忘れてねぇよ。わかったわかった、ちゃんとしてやるよ」
結衣「む…なんか適当……じゃああたし、優美子に伝えてくるね!じゃあね!」タタタ
八幡(……)
八幡「まったく、朝から元気だなあいつは」
八幡(これであと一人…どうすっかねぇ)
~放課後・奉仕部室~
雪乃「これであと一人になったわね」
八幡「あぁ」
結衣「でもあと一人、今日ずっと考えてたんだけど全然浮かばないんだよねぇ…」
雪乃「…」
雪乃「…私もよ」
八幡「…」
平塚「やぁ、調子はどうかな?」ガチャ
雪乃「…」ジー
平塚「あ、あぁノックか、すまんすまん」
八幡「あと一人ってとこまでは行きました。でも最後の一人がなかなか見つからなくて」
平塚「そうか…いや、ここまでやってくれただけでも本当にありがたいよ」
八幡「なんなら先生やりませんか?女子高生の中に一人だけ年増がいるってのもなかなかおもしr」
平塚「ふんっ!!」シュッ
八幡「ぐはぁあっ!!?」ドゴォ
結衣「…わぁ、痛そう…」
雪乃「自業自得ね」
八幡「し、死ぬ……」
平塚「冗談はさておき…今のところメンバーは誰なんだ?」
雪乃「一年の一色さんに、二年の川崎さん、三浦さん、それと由比ヶ浜さんです」
平塚「ん?」
結衣「どうしたんですか?」
平塚「君はやらないのか?雪ノ下」
雪ノ下「…」
結衣「あぁ!たしかに!!ゆきのんも一緒にやればいいんだ!!」
八幡「…」
平塚「どうだ雪ノ下、今までは勧誘する側だったが、君自身がやるというのは…」
雪乃「いいえ、私はやりません」
八幡「…」
結衣「えぇなんで!?ゆきのんもやろうよ!ゆきのんなんでも出来るから、アイドルも大丈夫だよ!」
平塚「私も、君なら全く問題ないと思うが」
雪乃「…」
雪乃「…いえ、私は……私には、無理です」
八幡「…」
平塚「そうか…まぁ私は頼んでいる側だから、あまり強くは言えないな」
結衣「うーん、ゆきのんがいたら人気出ると思うけどなー」
平塚「では私はこれで。ここまで頑張ってくれてありがとう。…結局なにも出来なくてすまなかったな…」
平塚「あと少し、どうか頑張ってくれ。では」ガチャ
雪乃(……)
八幡「…」
結衣「んー、じゃあどうしよっか…明日が期限だし、そろそろ勧誘する人くらいは決めておかないとまずいよね…」
雪乃「…えぇそうね、急がなくては」
・
・
・
・
八幡(結局、あれからなんの進展もなくお開きになった)
八幡(ただ明日は、放課後にウチの部室に既定メンバーを集めて話し合うということになった)
八幡(全員が集まることでなにか案が出るかもしれないとのことだ…まぁ正直崖っ淵での苦し紛れの案だ)
八幡(……だが…)
八幡(活路は、ある。俺の予想が正しければだが…)
八幡(…あいつが本当に思ってることなんて分からない。俺の勘違いの可能性だってある)
八幡(それでも俺は…)
八幡(あいつの心からの本当の気持ちを、信じてみたい)
今日はここまでにこ
~翌日放課後・奉仕部室~
雪乃「これで全員集まったわね」
いろは「はい!」
沙希・優美子「……」
八幡(…改めて面子を見てみると、なんかすげぇな。まぁ個性豊かでいいんじゃないでしょうか、はい)
沙希「それで、メンバーは揃ったの?」
雪乃「いいえ、残念ながら一人足りないわ。だから今日は集まってもらったの」
雪乃「急で申し訳ないのだけれど、誰か思い当たる人はいないかしら?」
沙希「思い当たる人、ねぇ…」
優美子「……」カンガエチュウ
結衣「んー…やっぱりあたしはもう思いつかないよ~」
いろは「私も…」
八幡(…あくまで俺の案は最終手段だ。誰かが代わりの案を出してくれるならそれはそれでいいんだが…)
一同「……」
八幡(…無理そうだな)
八幡(よし…)
八幡「…なぁ」
雪乃「なにか案があるの?」
八幡「あぁ、そうだ」
結衣「えっだれだれ??」
八幡「……」
八幡「ここはやっぱり戸塚を…」
雪乃「……」ギロッ
八幡(こわっ)
結衣「また彩ちゃん!?ヒッキーどんだけ彩ちゃんのこと好きなのさ!!それに彩ちゃんは男の子でしょ!!」
八幡「いや、想像してみろ由比ヶ浜。アイドルのフリフリの衣装を着ている戸塚を」
結衣「うーん…」モワモワ
八幡「な?いけるだろ?」
結衣「た、たしかに…!」
雪乃「駄目よ由比ヶ浜さん、その変態の言うことに惑わされては」
いろは「先輩キモいです…」
優美子「キモっ」
沙希「…気持ち悪い」
結衣「はっ!?そ、そうだよヒッキー!!ヒッキーまじキモい!!」
八幡「ちょっと冗談言っただけなのにこの有様だよ」
八幡「…冗談はさておきだな」
いろは「先輩オススメの人、気になります!」
八幡「まぁ、その…」
一同「……」
八幡「あのー…」
雪乃「なにを勿体ぶっているのかしら。早く言いなさい」
八幡「……はぁ」
八幡「雪ノ下、俺はお前が適任だと思う」
雪乃「…!!」
雪乃「……」
いろは「あぁたしかに!完全に盲点でした!雪ノ下先輩ならきっと完璧にこなせますよ!!」
結衣「あ…」
沙希「……」
優美子「……」
雪乃「…比企谷くん、貴方は昨日の話し合いのとき寝ていたのかしら?」
雪乃「私は言ったはずよ、やりたくないと」
八幡「…いいや、それはお前の本心じゃないだろ」
雪乃「!!」
雪乃「……」
八幡「なにも俺だって、なんの考えもなしに言ったわけじゃない」
八幡「容姿やらなにやら、アイドルに必要なものをお前が持っていると思ったから言ったんだ」
雪乃「……」
八幡「そしてなにより…」
八幡「アイドルをやってみたい、という大きな気持ちを持っていると思ったから言ったんだ」
雪乃「……」
結衣「ゆきのん…アイドルやりたかったの…?」
一同「……」
雪乃「…なにを言っているのかしら比企谷くん。妄想もそこまでにしておきなさい」
八幡(ふぅ…こいつも素直じゃねぇな。もっとも、俺に言われたくはないだろうが)
八幡「ここ最近のお前の様子を見てれば分かるさ。なんだかんだ言って、ずっと一緒にやってきたんだからな」
雪乃「……」
結衣(…全然わかんなかった…)
八幡「……」
雪乃「……」
いろは「雪ノ下先輩!一緒にやりましょうよ!」
結衣「そうだよゆきのん!やりたいんならやらなきゃ損だよ!こんなチャンスもうないよ!!」
雪乃「……」
八幡(…ここまで来たら、あとは雪ノ下自身が決めることだ。俺たち外野がどうこう出来ることでもない)
雪乃「私は…」
一同「……」
雪乃「…それでも私は…私なんかには出来ない」
今日はここまでにこ
八幡「……」
沙希「…どうして、そこまで頑なに拒むの?なにか理由があるのかい?」
雪乃「……私にはアイドルなんて…」
八幡「似合わない…ってか?」
雪乃「……」
雪乃「…えぇ、そうよ。比企谷くん、貴方も言っていたでしょう?」
雪乃「アイドルなんて、キャラじゃないって」
八幡「あ……」
八幡『まぁキャラじゃないわな。お前がアイドル好きとかなんか想像つかないし』
八幡(…そういやそんなことも言ったっけなぁ…)
八幡(何気なく言ったつもりだったけど……気にしてたのか…?)
雪乃「だから私はアイドルなんて向いてないわ……ごめんなさい」
一同「……」
八幡(……)
八幡(今なら胸を張って100パーセントそうだと言い切れる)
八幡(雪ノ下、こいつはここにいる他の誰よりも、アイドルをやってみたいって思ってる)
八幡(…でも自分に自信がなくて、あと一歩を踏み出せずにいる)
八幡(『今までの自分』という殻を壊せずに、その殻の中で縮こまってしまっている)
八幡(…なんつーか、本当にこいつらしくないな)
八幡(なにかキッカケを与えることで、その殻を破ってくれると…自分の気持ちに素直になってくれると、そう思っていたが…)
八幡(俺じゃ役不足だったか…)
八幡(もう…)
八幡(もう、雪ノ下を入部させるのは…無理だ)
結衣(ゆきのん…)
優美子「……」
雪乃「…さぁ、時間がないわ。早くもう一人見つけないと…」
優美子「…ねぇ」
雪乃「…なにかしら、三浦さん」
優美子「…似合うとか似合わないとか、キャラじゃないだとか、それってそんなに重要なことなわけ?」
雪乃「……」
優美子「……」
優美子「…アンタの……アンタの本当にやりたいことは?」
雪乃「っ……」
雪乃「…私の、やりたいこと…」
八幡「……」
雪乃(…私は、本当は……)
雪乃「でも……私がアイドルなんて、おかしいでしょう」
雪乃(…そう、おかしいのよ…こんな私がスクールアイドルなんて……)
八幡「……」
優美子「あぁもうまどろっこしいなぁ!」
優美子「やってみればいいじゃん!!特に理由なんて必要ない!!」
雪乃「!」
優美子「…やりたいからやってみる……本当にやりたいことって、そんな感じで始まるんじゃないの?」
雪乃「!!」
雪乃「……」
優美子「……」
結衣「優美子…」
いろは「……」
沙希「……」
八幡(…俺が言えなかった、本当に言いたかったことまで、三浦が全部言ってくれたな…)
八幡(まさか三浦がここまで必死になってくれるとはな…)
八幡(…ありがとう)
雪乃「…まさか貴方にそんなことを言われる日が来るとは夢にも思ってなかったわ」
優美子「…ふん」プイッ
雪乃(やりたいからやってみる…ね…)
雪乃「……」
雪乃「みんな、私のわがままに付き合わせてしまって申し訳なかったわ」
雪乃「…そして、ありがとう」
優美子「……」
雪乃「私、やるわ。スクールアイドル」
八幡(!!)
結衣「ほんとっ!?やったぁ!!信じてたよゆきのーん!!」ダキッ
雪乃「ちょ、ちょっと由比ヶ浜さん、苦しいわ」ダキツカレ
いろは「いやぁよかったですー!!空気が重すぎて死んじゃうところでしたよー!!」
八幡「んな大げさな…」
八幡(まぁたしかにどうなることかとは思ったがなぁ)
沙希「ふぅ…なんだかどっと疲れたよ…」
優美子「はぁ…なんであーしがあんな…」
雪乃「三浦さん」
優美子「…なに?」
雪乃「ありがとう」フフッ
優美子「…はっ、あーしは別にアンタのために言ったんじゃないよ。あのままアンタがやらなかったら部自体がなくなっちゃうと思っただけだから」
雪乃「そういうとこにしておくわ」
優美子「ふんっ」
平塚「お、勢揃いだな」ガチャ
雪乃「ノックを」
平塚「あぁ、そうだったな。どうも習慣付かなくてな…」
八幡(そういうところも、結婚出来ない理由の一つなんだろうなぁ)
平塚「比企谷、今なにか失礼なことを思わなかったか?」
八幡「ナニモオモッテマセン」
八幡(ひえぇ~)
平塚「それで、メンバーは揃ったか?雪ノ下」
雪乃「はい、なんとか」
平塚「そうか…いや、感謝してもしきれないな。ありがとう」
平塚「結局最後のメンバーは誰になったんだ?」
雪乃「…私です」
平塚「ほぅ、結局君がやることになったのか」
八幡「ゴネたり拗ねたりで大変でしたよ」
雪乃「黙りなさい。元はと言えば貴方に責任があるのよ」
八幡「なんでだよ」
雪乃「貴方がキャラじゃないなんて言うからこんなことになったのよ。少しは反省しなさい」
八幡「要するにアレだろ?誰も誘ってくれなかったから寂しかったんだろ?なかなか可愛いとこあるなお前」
雪乃「張り倒すわよ」
八幡「あーこわいこわい」
八幡(それにしても…本当によかった)
・
・
・
平塚「部室等の準備はこちらでしておく。まぁおそらく顧問は私ということになるだろう」
八幡「先生も忙しいですね」
平塚「まぁ私は若手だからな。色々と仕事を押し付けられてしまうんだよ。若手だからな」
八幡(いい自虐ネタだ!誰か貰ってあげて!!)
平塚「正式な部活動だからな、部長を決めなくてはならないんだが…誰がいいかな」
結衣「うーん…やっぱりこういうのはゆきのんじゃない?」
いろは「私も賛成でーす!」
雪乃「ちょっと、そんな急に言われても…」
優美子「あーしも別にいいと思うけど」
沙希「あたしも異論はないよ」
八幡「無論、俺もだ」
平塚「…と言っているがどうかな?雪ノ下」
雪乃「…はぁ、わかりました」
平塚「よし、決まりだな」
平塚「我が校のスクールアイドル部は、部員5名、マネージャー1名という形でこれから活動を始める!!」
結衣・いろは「おーーーっ!!!」
八幡「…ん?」
八幡「…先生、そのマネージャーってのは…」
平塚「もちろん君のことだ、比企谷」
八幡「……」
八幡(…まぁそんな気はしてたが…)
八幡「どうせ拒否権はないんでしょう?」
平塚「よくわかってるじゃないか」
八幡「はぁ…」
八幡(めんどくさい…)
平塚「しばらくの間奉仕部の活動は休止にしよう。やると決めたからにはしっかり集中してやってもらいたいからな」
雪乃「わかりました」
結衣「あの奉仕部の時間がなくなっちゃうのかぁ。なんか寂しくなるね…」
雪乃「…なにも廃部になるわけではないわ。大丈夫よ由比ヶ浜さん」
結衣「…そうだよね!また三人でワイワイやろうね、ヒッキーも!!」
八幡「別にワイワイはやってなかったと思うが…」
・
・
・
・
・
・
八幡(とりあえず、スクールアイドル部としての活動は来週からと言うことで今日は解散になった)
八幡(まず俺たちは、もうすぐ控えているラブライブ地区予選に向けて練習していくことになった)
八幡(…最初はアイドル部について否定的だった俺だが、正直なところ、なんだか楽しみにしている自分もいる)
八幡(……まぁマネージャーとしてサポートしつつも、暖かく見守っていくとしますか)
今日はここまでにこ
とりあえずひと段落つきましたにこ
まだ続きますにこ
ここからも読んで頂けると幸いですにこ
ありがとうございましたにこ
~一週間後・放課後~
ワイワイガヤガヤ
八幡「さて、部活だな」
八幡(あれから一週間。俺たちスクールアイドル部は既に練習を開始していた)
八幡(と言っても全員アイドル活動なんてしたことがあるわけがなく、基礎的なことしかまだやっていないが)
八幡(ダンスの基本的なステップだったり、発声練習だったりそんな感じだ)
八幡(ちなみに練習場所は学校の屋上だ。なんとあのμ'sも屋上で練習しているらしい。なんかテンション上がるにゃー)
八幡(ただ今日は、雪ノ下がメンバー全員で話し合いたいことがあるということで部室集合になっている)
八幡(部室は結局奉仕部の部室を使うことになった。まぁなんだかんだ居心地いいから助かる)
結衣「ヒッキー!早く行こっ!!」
優美子「ヒキオ遅いし。待ってんだけどー」
沙希「……」
八幡(最近はこんな感じでみんな一緒に部活に向かう)
八幡(…ちょっと前の俺からしたら信じられんな)
八幡「すまん今行く」
~奉仕部室~
結衣「やっはろー!」ガチャ
いろは「やっはろー!です!」
雪乃「こんにちは…あら、一人知らない人がいるわね。ごめんなさい、入部希望は締め切ってしまったの」
八幡「だってよ由比ヶ浜」
結衣「あたし!?絶対ヒッキーのことだから!」
八幡「ですよね」
雪乃「さて、これで全員集まったわね」
いろは「話し合いってなんですかー?」
八幡(…まぁだいたい察しはつくがな)
雪乃「この一週間、基礎練習を積み重ねてきてだいぶそれらしい動きが出来るようになってきたわ」
結衣「みんな頑張ってるもんね!」
雪乃「えぇ…でも基礎練習だけしているわけにもいかないわ」
雪乃「ラブライブ地区予選までもあと1ヶ月半。あまり時間はないわ」
いろは「…ということはまさか!!」
雪乃「そろそろ私たちオリジナルの曲について考えていこうと思うの」
八幡(やっぱりな)
結衣「おおー!!なんかワクワクする!ね?サキサキ!」
沙希「あ、あたしは別に…」
優美子「とか言っちゃって、ホントは楽しみなくせに」
沙希「なっ!?…ふん、あんたこそ」
優美子「…ふっ」
八幡(今のところメンバー同士の仲もいい。正直心配していたが、その心配ももう無用だろう)
八幡「でも相当大変だぞ。作詞作曲衣装に振り付け、やらなきゃいけないことは山ほどある」
結衣「あ、そうだよね…」
雪乃「比企谷くんの言う通りよ」
雪乃「だから今日は、曲作りについて分担を決めようと思うの」
いろは「分担、ですか!」
雪乃「えぇ。さすがに一人になんでも押し付けてしまうわけにはいかないわ」
雪乃「分担するのは、作詞、作曲、衣装作り、振り付けの四つよ」
優美子「衣装と振り付けはともかくとして…作詞作曲なんて出来る人いんの?」
雪乃「作曲についてなのだけれど、私昔ピアノを習っていたことがあるからなんとか出来ると思うわ」
結衣「すごい!!ゆきのん作曲出来るの!?」
雪乃「あまり本格的なものはやったことはないけれど、頑張ってみるわ」
いろは「さすが雪ノ下先輩!どこぞの目の腐った先輩とは大違いですね!」
八幡「なんで俺と比較したの?イミワカンナイ」
雪乃「それで、あとの三つなのだけれど誰か出来ないかしら?」
短いけど今日はここまでにゃ
沙希「…あたし手芸が趣味だから衣装作れるかも」
いろは「へぇー!沙希先輩って手芸するんですか!」
優美子「意外と可愛らしい趣味してんね」
沙希「べ、別に手芸くらい誰でもするでしょ」
八幡(誰でもはしないと思うけどな)
雪乃「じゃあ衣装作りは川崎さんにお願いするわ……でもさすがに一人で五人分を作るのはキツイかしら…」
いろは「あっ、じゃあ私が手伝いますよ!」
雪乃「一色さんが?」
いろは「はい!私こう見えて結構手先器用なんです!」
雪乃「…ということなのだけれど、それでいいかしら川崎さん?」
沙希「手伝ってくれるんならありがたいよ。あたしはそれで構わないよ」
いろは「よーっし、頑張りましょうね沙希先輩!!」
沙希「はいはい」フッ
八幡(ゆりゆりしてきた)
優美子「じゃああーしが振り付け考えるよ」
八幡「え、まじで?」
優美子「なんか文句あんの?」
八幡「イイエアリマセン」
結衣「優美子振り付けなんて出来るの!?すごい!!」
優美子「やったことはないけどなんか割といけそうじゃん?スクールアイドルの動画とか結構見てるし」
いろは「優美子先輩もなんだかんだアイドルに憧れてたんですね!」
沙希「意外と可愛らしい趣味してんね」ニヤニヤ
優美子「う、うっさい!!別に憧れてないし!!ただ暇つぶしに見てただけだし!!」
八幡(こいつら仲良いな)
雪乃「なら振り付けは三浦さんにお願いするわ」
雪乃「あとは作詞だけれど、あと手が空いているのは……」
八幡「俺と由比ヶ浜だな……でも…」チラッ
結衣「う、うぅ~…作詞、かぁ…」
八幡「まぁ由比ヶ浜には無理だな」
結衣「うっ」
雪乃「そうね…由比ヶ浜に任せたらなんだかまずい気がするわ」
結衣「ゆ、ゆきのんまで~!!」
雪乃「作詞は比企谷くんにやってもらうしかないわね」
八幡「作詞ねぇ…言うまでもないだろうが、やったことないからどうなっても知らんぞ?」
八幡(まぁ中学生の頃ポエムなんて書いてたりしたが…今思い出すだけで恥ずかしくて顔から火が出そうだ)
八幡(あの厨二感満載のノート…あれが世に出るくらいだったら死んだほうがマシだ)
雪乃「それでも由比ヶ浜さんよりはマシでしょう」
結衣「うわーん!!ゆきのんヒドイよー!!」
雪乃「ごめんなさい、悪気はないのよ」
結衣「嘘だぁ~…」
八幡「分かった引き受ける。ただあんまり期待すんじゃねぇぞ」
いろは「先輩の書く歌ですか…変な歌詞入れないでくださいね?」
八幡「変な歌詞ってなんだよ。普通の歌詞しか書かねぇよ。なんなら普通すぎてつまらないまである」
いろは「それはそれで嫌です…」
雪乃「とにかく、これで分担は決まったわね」
結衣「あ、あたしは!?あたしだけ何も仕事ないよ!?」
雪乃「由比ヶ浜さんは、その…」
八幡「…まぁなんだ、別にいいんじゃないか?むしろ本来のアイドル活動に専念できるし…うん」
結衣「あたしいらない子!?」ガーン‼︎
雪乃「…じゃあ由比ヶ浜さんは人手が足りなくて困っているところを助ける助っ人ということにしましょう」
結衣「助っ人かぁ…うん分かったよ…」ショボン
優美子「ま、まぁそんなに落ち込むことないっしょ」
いろは「そ、そうですよ!助っ人も立派な仕事です!」
結衣「…うん、そうだよね!」
結衣「あたし、助っ人頑張るよ!!」
八幡「お、おう…」
八幡(…まぁポジティブなのはいいことだよね…)
雪乃「今日はもう終わりにしましょう。各自、分担された仕事についてしっかり考えてきてください」
一同「はーい」
八幡(…予選まで時間もないし、あまりタラタラやってられないな…)
八幡(…また忙しくなりそうだ)ハァ
・
・
・
~夜~
八幡「とりあえず俺が歌詞を完成させないと雪ノ下は曲を作れないだろうしな…」
八幡「やるか…」ハァ
八幡「あいつらのイメージ的にあんまりキャピキャピしたのは無理だろうな…一色と由比ヶ浜は置いといて」
八幡「仮にそんな歌詞作ろうものなら凄まじい罵倒が待っているだろう」
八幡「となると、落ち着いた感じの曲か…」
八幡「だがしかし!!」
八幡「ただ落ち着いているだけではダメだ。落ち着いた曲調の中でも盛り上がるところは盛り上がる、そんな歌詞にしなければならん」
八幡「単調な曲は聴いていて楽しくないからな」
八幡「うーん……そうなるとこんなワードを入れれば…」カキカキ
八幡「…いやこっちの方が」カキカキカキカキ
コンナカンジカ
イヤチガウナモットコウ…イヤチガウ‼︎
アートツカワイイ
・
・
・
・
・
・
チュンチュンアサダヨ
八幡「で、できた…!!」
八幡「結局一睡もしとらん…でもなんだかんだあまり辛くはなかったな」
八幡「結構楽しいもんだな……ただやはり眠い…」
八幡「幸い今日は土曜だから学校はないが…屋上で練習はあるんだよな」
八幡「…もう今から寝る時間はないな…支度するか…」
小町「お兄ちゃんおはよー!!…ってどうしたの!?いつも以上に目が腐っててなんかもう死にそう!!」ガチャ
八幡「朝っぱらから酷いなお前…ちょっと徹夜して作業してた」
小町「なんの作業?」
八幡「アイドル部の件だ。新曲の作詞を頼まれてな。なんとか一晩で書き上げた」
小町「一晩で!?それって相当すごくない?」
八幡「まぁよく考えたらそうだな。我ながらよくやったよ」
八幡(確かにこんな短時間で一曲書き上げるって相当すごくないか?畑○貴さんもびっくりだよ)
小町「小町にも読ませてよ!!」
八幡「えーなんか恥ずかしい…」
小町「どうせ後で見ることになるんだからいいじゃん!小町がチェックしてあげるよ!」
八幡「…しゃあねぇなぁ、はい」ペラッ
小町「どれどれ…」フムフム
八幡(さて…これで『お兄ちゃんセンスないね!代わってもらった方がいいよ!』なんて言われたら八幡自殺しちゃう!)
小町「……」
八幡「…ど、どうだ…?」
小町「これは…」
小町「…これ本当にお兄ちゃんが書いたの…?」
八幡「そうだが…やっぱ変か?」
小町「すごいよお兄ちゃん!!小町感動したよ!!」
八幡「……」
八幡「えっまじで?」
小町「お兄ちゃん作詞のセンスあるんじゃない?プロの人が書いたみたいだよ!」
八幡「なんかそこまで褒められるとさすがに照れるな…」
小町「これならきっといい曲できるよ!」
八幡「そうかね」
八幡(とりあえず幸先はいい感じだな。あとはメンバーの奴らに見せてみないとな)
八幡(…自信湧いてきたぞ)
~屋上~
八幡「うーす」ガチャ
結衣「あっヒッキーやっはろ…ってすごい隈!!どうしたの!?」
雪乃「由比ヶ浜さん離れて。早く頭を撃ち抜かないと…」
八幡「俺はゾンビじゃねぇ」
いろは「それにしてもヤバイですね、なんか禍々しいです」
優美子「まじヒキオって感じ」
八幡「もうちょっと心配してくれよ、泣くぞ」
沙希「で、なんでそんなことになってんの?」
八幡「作詞だよ。徹夜して書き上げてきた。ほらこれ」ペラッ
結衣「えっ!!一晩で書き上げたの!?」
八幡「あぁ。なんか途中からペンが止まらなかった」
雪乃「出来るだけ早い方が嬉しかったけれど…まさかここまで早いとはね」
八幡「ま、俺はお前らと違って実際踊ったりしてるわけじゃないからこんくらいしないとな」
雪乃「読んでもいいかしら?」
八幡「構わんぞ。ちなみに小町のお墨付きだから割と自信がある」
一同「ふむふむ…」ヨミヨミ
・
・
・
雪乃「…ありがとう比企谷くん」ペラッ
八幡「おう。で、どうだった?」
八幡(…やはりいざ感想を聞くとなるとちょっと怖いな。どうか罵倒が飛んできませんように…)
雪乃「…驚いたわ、貴方がこんな歌詞を書けるなんて」
八幡「…褒め言葉として受け取るぞ」
雪乃「えぇ、なかなかいい曲になりそうだわ」フフッ
いろは「先輩すごいです!見直しましたよ!」
八幡「さいですか。てかいつのまに見直されなきゃいけないほど俺の評価は落ちていたんだ」
優美子「ヒキオがこの歌詞書いてるとこ想像するとなんかウケる」ハハハ
八幡「おい」
結衣「ヒッキーすごいね!!」
八幡「由比ヶ浜にはちょっと難しい言葉をたくさん使っちゃったかもな。すまん」
結衣「うぅ~またそうやって馬鹿にしてー!!ヒッキーのアホ!ゾンビ!」
八幡「ゾンビはやめろ」
沙希「…タイトルは?書かれてないけど」
八幡「それは曲が完成してから決めようと思ってな。だからまだ決めてないんだ」
雪乃「それじゃあこの歌詞に合うように今日から曲を考えてくるわ」
雪乃「とりあえずこれについては置いておいて、練習を始めましょうか」
一同「はーい」
・
・
・
雪乃「ふぅ……じゃあ今日はもう終わりにしましょう」
いろは「あー疲れましたぁー!!相変わらずキツかったですー!!」
八幡「まぁ予選まで時間がないからな。これくらいやんないと駄目だろ」
いろは「むっ、先輩なんてさっき私たちが必死に練習してる途中寝そうになってたじゃないですか!」
優美子「は?まじ?うわーヒキオないわ」
八幡「な、なにを言ってるんだ、そんなわけないだろ。そもそもゾンビに睡眠は不要だ」
沙希「自分で言っちゃってるし…」
結衣「ゆきのん、早く帰ろ!!」
雪乃「ごめんなさい由比ヶ浜さん。今日は学校に残って、音楽室のピアノを借りて作曲の作業をしたいの」
結衣「そっかぁ…じゃあ作曲頑張ってね!」
雪乃「えぇ」
八幡「ほどほどにな。調子に乗ると俺みたいになるぞ」
雪乃「貴方のようになるのなら私は死を選ぶわ」
八幡「そうかい。…まぁ頑張れよ、じゃあな」
雪乃「さようなら」
結衣「じゃああたしたちも先に帰ってるね!ばいばい!!」
雪乃「えぇ、また明日」
~音楽室~
雪乃「さて…始めましょうか」
雪乃「比企谷くんが書いてくれた歌詞は、どちらかというとバラード系の落ち着いた曲の方が合っているかしら」
雪乃「彼なりにしっかり考えて書いてくれたみたいね」
雪乃「…となるとこんな曲調で…」~♪
雪乃「…なんだか合わないわ」
モットコンナカンジデ
~♪
…チガウワネコウカシラ
~♫
……
・
・
・
~翌日・屋上~
雪乃「おはよう」ガチャ
結衣「やっはろーゆきのん!!作曲の方はどう?」
雪乃「比企谷くんのように1日で完成させるのはさすがに無理だったけれど、曲のイメージは掴めたし、あと数日で完成すると思うわ」
結衣「そっか!やっぱりすごいねゆきのんは!!」
雪乃「そんなにたいしたことじゃないわよ」
八幡「なんだ、お前のことだから俺みたいに多少無茶してでも1日で作ってくるのかと思ったぞ」
雪乃「さすがに貴方のように人間であることを捨ててまで1日で完成させる気力はなかったわ」
八幡「別に捨ててないんですけどね」
~数日後・放課後~
八幡(今日は屋上じゃなくて部室に集合らしい)
八幡(ということは…ついに完成したってことか)
結衣「ヒッキー早く行こ!」
八幡「おう」
結衣「ねぇねぇなんで今日は部室集合なんだろ?」
優美子「えー普通分かるっしょ」
結衣「え!優美子分かるの!?」
沙希「だいたい察しつくでしょ」
八幡「まぁ由比ヶ浜だからな。期待するだけ無駄だ」
結衣「またそうやって馬鹿にして!!」プンプン
八幡「アホの子は置いといて早く行こうぜ」
結衣「誰がアホの子だー!!」
~部室~
雪乃「全員揃ったわね」
いろは「もしかして雪ノ下先輩…ついに…!!」
雪乃「えぇ、曲が完成したわ」
結衣「わぁ!ついにあたしたちのオリジナルの曲ができたんだね!!」ワーイ‼︎
雪乃「それで、録音して音楽プレーヤーに入れてきたのだけど…」
いろは「早く聴きたいです!」
雪乃「…じゃあ再生するわね」ポチッ
~~♪ ~~♫
一同「おー!!」
八幡(すげぇ、ちゃんとした曲になってる…それにしてもこの歌声は…)
結衣「これってゆきのんの声だよね?すごい綺麗!」
雪乃「さすがにちょっと恥ずかしいわね…」
八幡(…曲を作るだけじゃなく歌ってくれたみたいだ。なんかめちゃくちゃ上手い)
八幡(それに…自分が書いた歌詞に曲が付くっていうのはなんだか嬉しいな)
~…♪
雪乃「……どうかしら?」
結衣「すごい!すごいよゆきのん!!」
いろは「プロの人の曲となんら遜色ないです!!」
優美子「なかなかいいんじゃない?」
沙希「あたしも好きだよこういう曲」
八幡「同じく」
雪乃「そう、よかったわ」ホッ
優美子「じゃああーし今日から振り付け考えてくるよ」
沙希「あたしも曲に合うような衣装、今日から作ってくよ」
いろは「おっ、ついに私たちの出番ですね!一緒に頑張りましょうね沙希先輩!!」
八幡「気合い入ってんなー」
いろは「当然です!先輩もいつまでも死んだような顔してないでシャキッとしてください!!」
八幡「すまん、元からこういう顔だ」
センパイキモイデス‼︎
ソレナー
イキナリナンダヨナクゾ
ワイワイ
結衣「……」
結衣(…あたしは…)
~翌日・放課後~
結衣(はぁ…あたしだけ他のみんなと違って決まった仕事がないから、なんだか申し訳ないなぁ…)
結衣(…でも、あたしは助っ人ってことになってるんだし、手伝えることがあったら手伝わないと!)
結衣「優美子!なにか振り付け考えるので手伝えることないかな?」
優美子「んー…特に今のところはないかなー。結構順調に進んでるから」
優美子「もう一番の振り付けまで終わってるし、たぶんあーし一人で大丈夫だよ」
結衣「そ、そっかぁ…」
結衣(うぅ…)
結衣「さ、サキサキ!!衣装のことで手伝ってほしいことない?なんでも言って!!」
沙希「…なんでもねぇ…」
沙希「…とは言っても衣装作りは元からあたしといろはで二人いるし、そもそも他のみんなと違って衣装は本番までに完成してればいいからそんなに急ぐ必要もないし」
沙希「たぶん手を借りることはないと思う」
結衣「……」
沙希「…どうしたの?」
結衣「…ううん、なんでもないよ!!衣装作り頑張ってね!!」タタタッ‼︎
沙希「……どうしたんだろ」
結衣(……)
結衣(…あたしじゃみんなの役には立てないのかなぁ…)
・
・
・
雪乃「それじゃあ練習を始めましょう」
優美子「あっ、ちょっといい?」
雪乃「なにかしら?三浦さん」
優美子「振り付けのことなんだけど…とりあえず一番の振り付けは終わったんだ」
優美子「だから今日から早速その練習を始めたいんだけど」
雪乃「そう、分かったわ」
雪乃「じゃあ今日からしばらくは三浦さんに任せるわ」
優美子「ありがと」
八幡(こいつらももうつまんないことで喧嘩することもなくなったな)
八幡(部活設立からまだそんなに時間は経ってないが、仲間意識みたいなもんが芽生えたのかな。いいことだ)
優美子「フォーメーションまで考えてきたから人それぞれ違う振り付けのところもあるんだけど、とりあえず今日は全員同じ振り付けのところの練習するから」
優美子「じゃ、踊ってみるからちょっと見てて」
~♪
・
・
・
・
・
・
~…♪
優美子「ま、こんな感じ」フゥ
いろは「おぉ!いい感じですね!!」
雪乃「えぇ、曲とよく合っていていいと思うわ」
優美子「ふっ、あーしが考えたんだから当然っしょ」
八幡(三浦の意外な才能が発揮されたな。すごいいい感じだ)
八幡(…ていうかこの部活の人たち俺を含めてめちゃくちゃ有能じゃない?自分で言うのもなんだけど)
八幡(将来その道のプロになれるんじゃないか?まぁ俺は専業主夫志望ですけどね!)
優美子「じゃ、ゆっくりやってくから覚えてー」
一同「はーい」
・
・
・
優美子「1!2!3!4!…ストップ!結衣なんか今のところステップおかしい」
結衣「あっ、ご、ごめん!!」
いろは「ドンマイです結衣先輩!」
結衣「う、うんありがと!」
結衣(うぅ、なかなか上手く出来ないなぁ…)
八幡(みんないい感じだけど由比ヶ浜がちょっと遅れを取ってるな)
八幡(まぁ頑張ってるのはすごい分かるんたけど)
優美子「じゃあ今度は曲に合わせていくよ」
~♪
結衣(うっ、曲に合わせてだと余計に上手くいかない…)グラッ
優美子「ストップ。結衣今のとこ全然違ったよ」
結衣「ごめん!…どんなんだっけ…?」
優美子「もっとこうやって……」タタッ
結衣(なかなかダンスを覚えられない…みんなに迷惑かけちゃってるなぁ)シュン
八幡「……」
優美子「よし、じゃあもう一回!」
・
・
・
~夜~
結衣「はぁ…今日はダメダメだったなぁ…」
結衣「みんなすごいよ…すぐダンス覚えられてしかも上手く踊れるんだもん…」
結衣「…このままじゃあたしみんなに迷惑かけるばっかりで、ホントにいらない子になっちゃう…」
結衣「……」
結衣「やっぱり向いてないのかな、アイドルなんて…」
結衣「…ううん、こんな弱気じゃ駄目だよね。出来ないんだったらもっと練習しなくちゃ!」
結衣「とりあえずあたしは体力ないから、ランニングとかした方がいいかな…」
結衣「よし!思い立ったらすぐ実行だよ!早速行ってこよう!!」タタタッ
結衣「ランニングが終わったら今日のダンスの復習!よーし頑張るぞ!!」オーー
~翌日~
優美子「5!6!7!8!…うんいい感じだね」
優美子「結衣も昨日よりよくなったんじゃない?」
結衣「そうかな?ありがと!!」
結衣(よし、この調子で頑張んなきゃ…!)
優美子「じゃあ新しいとこやろっか。踊ってみるから覚えてねー」
結衣(あ、新しいところ…?)
・
・
・
優美子「1!2!3!…結衣遅れてるよ」
結衣「は、はい!」タタッ
結衣(駄目だ…新しいダンスになると急に出来なくなっちゃう…)
~夜~
結衣「…今日も結局駄目だったなぁ…」
結衣「あのあと昨日のダンスもやったけど、動揺しちゃってまた上手く出来なかったし…」
結衣「みんな励ましてくれてるけど、ホントは迷惑に感じてるんだろうな…」
結衣「…うぅ」ジワッ
八幡『お前はアイドル向いてると思うぞ。俺が保証する』
結衣(…弱気になっちゃ駄目だよね)
結衣「もっと練習しなくちゃ…!」
結衣「そうだ!明日から昼休みも一人で練習しよう!!」
結衣「弱気でいるなんてらしくないよね、ヒッキー」
~翌日~
キンコーンカンコーン
結衣(よしっ昼休みだ!早弁したからご飯は大丈夫!)
結衣(とは言ってもさすがに教室では出来ないよね…屋上も人がいるだろうし…)
結衣(となると…あそこかな!)タタタッ
八幡(さーて、いつものベストプレイスで飯食うか)スタスタ
・
・
・
八幡「ふぅ…やっぱここは最高だな。騒々しい世界から完全に解放される」
八幡(…それにしても、アイドル部の活動が始まってからもう半月か。早いもんだなぁ)
八幡(予選まであと一ヶ月ってところか。大丈夫なのかねぇ)
八幡(まぁみんな頑張ってるからな。歌も結構上手いしダンスの覚えもいいし)
八幡(…ただちょっと由比ヶ浜が心配だな)
八幡(別にあいつが下手くそってわけじゃない。あいつはよく頑張ってるんだが…周りが上手すぎる)
八幡(未経験者のはずなのになんであんなに上手いのか怖くなってくるくらいだ)
八幡(だからなんだか縮こまっちまってる感じなんだよな)
八幡(…もっと自信を持っていいのにな…)
~♪
八幡「…ん?…なんか音楽が聞こえる」スタッ
八幡(それにこの曲は…)スタスタ
八幡(こっちの方から聞こえるな)
八幡(…ここか)チラッ
八幡(!!)
結衣「いち、に、さん、し…はぁ、はぁ」タタッ
八幡(…由比ヶ浜)
結衣「ふぅ!キツイなぁ~…でもだんだん出来るようになってきた!」
結衣「あともう一踏ん張りだ!!」
結衣「いち、に、さん、し…!!」タタッ
八幡(…そうか、あいつはあいつなりに考えてたんだな)
八幡(だったら俺がどうこう言える問題でもないな)
八幡(…これなら心配も無用だな)クルッスタスタ
八幡「…頑張れよ」ボソッ
~数日後・夜~
結衣「ふぅ、自主練のおかげかだんだんみんなに付いていけるようになってきた!…のかなぁ…」
結衣「ダンスは覚えられてきたけど、正直まだまだ足りないよね…」
結衣「本番は歌も歌いながら踊らなきゃいけないんだし…」
結衣「…考えてても仕方ないか!今はやれることをやるだけだよ!!」
結衣「よし、日課のランニングだ!」
結衣「今日もがんば…あっ」ガチャ
ポツポツ
結衣「雨…どうしよう…」
結衣「…でもそんなに強くないし…これくらいなら大丈夫だよね」
結衣「よし行くぞっ!」タタタッ‼︎
ザーザーッ
~翌朝~
ジリリリリリ
ガチャ
結衣「んー、もう朝ぁ…」
結衣「…はっ、あんまりダラダラしてたら朝練に遅れちゃう!急がなきゃ…」クラッ
ドサッ
結衣「…あ、あれ?なんかフラフラするなぁ…」
結衣「昨日雨の中走ったのがまずかったのかな…」ボーッ
結衣「でも…ただでさえみんなより下手で迷惑かけてるのに、学校休んじゃったらもっと置いてかれちゃう…」
結衣「…我慢しなくちゃ」スタッ
~屋上~
結衣「やっはろー!」ガチャ
沙希「おはよ…ってアンタ顔色悪くない?大丈夫?」
優美子「ホントだ。熱でもあんじゃない?」
結衣「だ、大丈夫だよ!ちょっと風邪気味なだけだから!!」
いろは「結衣先輩…無理しない方がいいですよ…?」
結衣「大丈夫だって!みんな心配性だね!」
結衣「あたしは元気だよ!ありがとね!」
八幡「……」
雪乃「それじゃあ始めましょう。今日は昨日の復習からいきましょうか」
雪乃「…由比ヶ浜さん、無理はしないでね?」
結衣「うん!大丈夫!!」ハァハァ…
八幡(…由比ヶ浜はああ言ってるが…誰がどう見ても体調が悪そうだ…)
八幡(…嫌な予感がする)
雪乃「比企谷くん、カウントをお願い」
八幡「…おう」
八幡「1、2、3、4…」
八幡(みんなもうダンスはほぼ完璧だな。あとは細かいところを修正するだけだ)
八幡(…しかし…)
結衣「はぁ…はぁ…」フラッ
八幡(ホントに大丈夫かあいつ…?そろそろ休ませた方が…)
結衣(うっ、なんだかいつもよりすごく息が上がっちゃう……なんか、苦しいな…)ハァハァ
結衣(でも…こんなところで止まってられないよ…我慢しないと…)クラッ
結衣(あれ…?)
バタッ‼︎
八幡「…!!由比ヶ浜!!」
雪乃「由比ヶ浜さん…!!」
結衣(あれ…なんであたし寝てるんだろ…)
結衣(早く踊んないと…)
結衣(…でも…なんか……意識が……)
結衣(……)
・
・
・
・
・
・
結衣(……)
結衣「……ん…」パチリ
結衣「ここは……?」
結衣(あれ?なんであたしこんなところに寝てるの…?)
八幡「気がついたか…よかったよかった」
結衣「ひ、ヒッキー!?なんで!?」
八幡「なんでって言われてもな…お前が急に倒れたから、俺がここまで運んできたんだ」
結衣「?…ここどこ?」
八幡「そりゃ保健室だろ」
結衣(あっ……そうだ、あたし具合悪くなって倒れたんだった…)
八幡「ったく、だから今日は練習やめとけって言ったのに…」
結衣「…ごめん…」
結衣(……)
結衣「…他のみんなは?」
八幡「とっくに授業受けてるよ。なんか保健室の先生が出張で居ないから、俺が付き添ってたってわけだ」
八幡「みんなめちゃくちゃ心配してたぞ」
結衣「…そっか」
結衣「ヒッキーが看病してくれたの…?」
八幡「まぁな。小町で経験があるからそこまで手間取らなかったつもりだがな」
結衣「…ごめんね…」
八幡「……なんで謝るんだ」
結衣「…だってあたし、結局またみんなに迷惑かけちゃったから…」
八幡「……」
八幡「……」
結衣「分かってるんだ…あたしが部活で一番お荷物で、足引っ張っちゃってるってこと…」
八幡(……)
結衣「みんなに比べてダンスも下手だし、歌もダメダメ…ビジュアルだってそう。みんなすごい可愛いんだもん」
結衣「…でも、やるって決めたからには最後までちゃんとやりたい…そう思って、なんとかみんなについていこうって、あたしなりに頑張ってはみたんだけど…」
結衣「…ふふっ、結局こうやってまた迷惑かけちゃった」
八幡「……」
結衣「衣装作りとか作詞とか、そういうのすらあたし手伝えなくて…」
結衣「…みんな優しいから口には出さないけど、きっと心の中では、あたしのことを足手まといだって思ってるんじゃないかな」ジワッ
結衣「…仕方ないよ、だってあたし、こんなにダメな子なんだもん」ポロポロ
八幡「由比ヶ浜…」
結衣「…あたし、もうみんなに迷惑かけたくないんだ。だから……」
結衣「部活、やめるよ…」
八幡「!!…ちょっと待て由比ヶ浜、冷静になれ」
結衣「…部活の設立には5人必要だったけど、活動は4人いれば許してくれるよね。奉仕部は3人だったし…」
八幡「由比ヶ浜、落ち着け。そういうのはもっとしっかり考えてから…」
結衣「…いいんだよヒッキー!」ニコッ
八幡「!!」
結衣「あたしがいなくなっても、みんなはやっていけるよ!むしろいない方が絶対いいって!!」アハハ
八幡(……)
結衣「…あっでもアイドル活動はすごい楽しかったよ?へたっぴだったけど、踊るのも歌うのも好きだったし!!」
結衣「あの4人ならきっとA-RISEみたいな超人気グループになれるよ!」
八幡(由比ヶ浜…)
結衣「…まぁでも、ホントはみんなと続けたかったな、スクールアイドル」
結衣「今まであんな風に仲間と一緒に全力で頑張るってことがあんまりなかったから…目標ができて嬉しかったんだ」
結衣「…でももう迷惑はかけたくないから…」ジワッ
八幡「……」
結衣「…ダメだなぁ、すぐ涙が出て来ちゃうよ…あはは」ポロポロ
八幡(……)
八幡「……誰も…」
結衣「……?」
八幡「誰もお前のことを足手まといだなんて思っちゃいねぇよ」
結衣「…ヒッキーは優しいから、そう言ってくれるんだよね」
八幡「そんなんじゃない。俺は心の底から、自信を持って言える。」
八幡「俺は足手まといなんかじゃない、絶対に」
結衣「……」
訂正
結衣「…ヒッキーは優しいから、そう言ってくれるんだよね」
八幡「そんなんじゃない。俺は心の底から、自信を持って言える。」
八幡「お前は足手まといなんかじゃない、絶対に」
結衣「……」
結衣「……」
八幡「俺はお前が他の誰よりも練習を頑張ってたのを知ってる」
結衣「…でも…」
八幡「昼休みに毎日、ダンスの練習をしてたのも知ってる」
結衣「!!」
八幡「練習での休憩の時間にまで、一人でステップの確認をしてたのも知ってる」
結衣「……」
八幡「放課後の練習、誰よりも早く来て歌
の練習してたのも知ってる」
結衣「……」ジワッ
八幡「練習で出来ないところが出てきたとき、次の日には絶対に完璧に出来るようになってたことも知ってる」
結衣「……」ポロポロ
八幡「お前がアイドル好きだってこと、俺は知ってる」
結衣「…うっ…ひぐっ…」ポロポロ
八幡「そんなに頑張り屋で、アイドルが大好きなお前のどこが足手まといだってんだ」
八幡「もし仮にお前のことをそんな風に言う奴がいるんだったら、俺はそいつを許さない」
八幡「どんな奴だろうが、思いっきりぶん殴ってやる」
結衣「…うぅ、ヒッキー…」ポロポロ
八幡「…だから、もう泣くな。元気が取り柄のお前が、そんな顔しててどうすんだよ」
結衣「…うん…」グスッ
八幡「それにだ。俺はもちろん、他の4人だって、お前のことを迷惑だなんて思ってない」
八幡「みんなだって、お前が頑張ってること、よく分かってる」
結衣「そうかな…?」グスッ
八幡「ああ……それに…あれだ」
結衣「…あれって…?」
八幡「…言っただろ、お前のファンになってやるって。デビュー前にやめちまったらどうしようもねぇだろ?」
結衣「!!…ふふっ、そうだねヒッキー」
八幡「まぁ部活としても、貴重なおバカキャラのお前を失うわけにはいかないんだよ」
結衣「バカじゃないし!ヒッキーのバカ!!せっかく感動的な雰囲気だったのに!!」
八幡「自分で言うな」
八幡(よかった…なんとか説得できたみたいだ…)
八幡(ふっ…全く、世話の焼ける奴だ)
キーコーンカーンコーン
八幡「おっ、一限が終わったな。たぶんあいつらすぐ来るだろ」
結衣「あっ、ごめんヒッキー…あたしのせいで授業出れなくて…」
八幡「だから気にすんなって。合法的にサボれてむしろ最高だぜ」
八幡(…まぁ正直授業受けないとテストとかヤバいんだけどなぁ…)
ガラッ!
いろは「結衣先輩!!大丈夫ですか!?」
結衣「うん、大丈夫だよ!心配かけちゃってごめんね」
沙希「ホントだよ全く……って、あんた目ぇ真っ赤だよ?泣きはらしたみたいに…」
雪乃「本当ね…まさか、その男に何かされたのね…!!」
八幡「おい、なぜそうなる」
優美子「は?まじで?…許せないんだけど」
八幡「落ち着け、俺は何もしてない」
いろは「先輩…弱ってる女の子を襲うなんて…」
沙希「…信じらんない」
八幡「おい待て。なぜそういう方向で話が進んでるんだ」
優美子「早く結衣から離れろし。こっち来い」グイッ
八幡「ぐえっ。ま、待て。ホントに何もしてないんだ!!」ズルズル
沙希「まだこんなこと言ってるし」
八幡「いやだってマジで…」
雪乃「もしもし、警察ですか?いま婦女暴行の現行現場に……」
八幡「おい!!待て!マジで通報してんじやねぇか!!やめろ!」
いろは「あたし誰か先生呼んできます!!」
八幡「やめろぉぉぉおおおおお!!!」
結衣「あわわ…」オロオロ
オレハナニモシテナインダァァァ‼︎‼︎
・
・
・
・
・
・
八幡「はぁ…えらい目にあった…」
結衣「な、なんかごめんヒッキー…」
八幡「いや別にお前のせいじゃないが……危うく人生詰むところだったぜ」
八幡(まぁ既に詰んでるようなもんですけどね)
結衣「……」
結衣「ヒッキー…」
八幡「あ?」
結衣「…ありがとね!!」ニコッ
八幡「……」
結衣「ヒッキーがいなかったら、あたしホントに部活やめてたと思うから」
八幡「…まぁ、なんだ。当然のことをしたまでだ」
結衣「それでも、あたしは嬉しかったよ!!」
八幡「…そうかい」
結衣「それに…あたしのファンになってくれるって約束、ちゃんと覚えててくれたことも!」
八幡「…あぁ、まぁ、あれは…な」
八幡(自ら黒歴史を掘り返しちまった…恥ずかしい…)
結衣「あたし、もう絶対諦めたりしないから!!」
結衣「ヒッキーを、あたしの最初のファンにしてあげるためにも!!」
八幡「…おう」フッ
結衣「…じゃああたし帰るね!また明日!」
八幡「まだ完全に治ってないんだから、無理すんなよ」
結衣「うん!ありがと!ばいばい!!」タタタッ
八幡「…やっぱあいつは笑顔じゃないとな」
結衣(……)
結衣(…また明日から、頑張るぞ!!)
結衣「ファイトだよ!!あたし!!」
今日はここまでにゃ
最近投下出来なくて申し訳なかったにゃ
それではまた後日にゃ
このSSまとめへのコメント
頑張ってください!!!
いつも楽しみに待ってます!
自作歌詞が気になるw支援!
楽しみにしてますが、いくら何でも更新遅すぎる気が・・・ひょっとして、何かあったのでしょうか?少し心配ですね。
続きがないならば完結にすればいいと思うんで・・・