暁「本当のレディーになったからには!!!!」 (187)
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暁「本当のレディーを目指して!!!」
暁「本当のレディーを目指して!!!」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1433560812/)
よくわかる前回までのあらすじ
レディとは筋肉である
※方向がわからず右往左往する姿をお楽しみ下さい
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1433677504
深海棲艦との戦いが終わり
暁が元の姿にも戻れるようになり
鎮守府の艦娘たちは皆安心していた
もちろん一応は戦闘の訓練もしていたが
しかしそれでも気を緩めるなと言うほうが無茶な話である
しかしこの時 気づく者はいなかった
レディと同格の存在が
いや レディと同格以上の存在が
この鎮守府から生まれようとしていることを
気づく者はいなかった
なぜならその者は
一週間たらずでレディと同等以上にまで登りつめたからである
暁の衝撃を隠れ蓑にして
その者は狙っていた
真のレディを越える時を
?「ソノモンの悪夢みせてあげる」
ソノモンってなんだよ!(怒) ソロモンだよすいませんした
暁「深海棲艦が襲われてるですって!?」
北方棲姫「ダレカハワカラナイケド、トニカクオソワレテヒンシニナッタ。
デモアカツキヲシラナイモナノドイナイカラ…」
暁「…犯人の狙いは私って事ね。真のレディとして、見過ごすわけにはいかないわ!!!」
翌日 暁は海の上を高速でパトロールしていた
真のレディとして戦いは起こしてはいけない
起こる前に止めるのがレディというものだ
しかし一方で暁には不安があった
犯人は暁を知っているはず 暁の力量を知っているはず
それでもなお戦いを挑むという事は
暁(敵はすでに私と同じ次元にいる…!!
本当はさらに筋肉をつけて備えたいんだけど…本当のレディとして、そうも言ってられないのよね…!!)
少しして暁は足を止めた
目の前には何者かが 深海棲艦を痛めつけている様子
暁は思わず声を荒げた
何故ならその顔は
暁にとって見慣れた顔で
同じ鎮守府の仲間だったから
暁「どうしてあなたが…………ッッそんな事をしているのッッッッ!!!!!!」
その者が暁以上になった経緯はひどく単純
ステロイドである
しかしその量が尋常ではない
並の人間ならとっくに死んでいる量
摂取のしすぎで 最早効いているのかも怪しい量
時に身体は過剰な拒絶反応を示したが
彼女は苦痛を抑える鎮静剤のように ステロイドを摂取し続けた
ある時訪れた死の間際
彼女は生と死の狭間で ある不思議な夢を見た
暁への レディへの
力への渇望
それが彼女を埋め尽くし 果ては食い尽くす
そんな夢
彼女が死に打ち勝った時
彼女は境地にたどり着いた
真のレディと同格以上の存在
人でありながら 人であらざる者
真のレディとは 異なる者
真のレディと並びえる者など居ない
誰もがそう思っていた
しかし違った
居たのである
レディとは別の経緯から
レディとは別の理由から
レディよりはるか高みの境地を目指した者
真のレディと同じ次元の住人とは?
真のレディより高みを目指す者とは?
真の
淑女
彼女の名は金剛
真の淑女の境地に たどり着いた者である
淑女は
レディとは程遠い
淑女は
紳士とは程遠い
お知らせ
平日に毎日更新は出来るかどうか微妙です
更新しても深夜になると思います
あと安心してください(?)
金剛以外も出ますよ
どういう形で出るかは知らんけど
暁「何で…何でなの金剛さん!私たち、最初の頃から頑張ってきたじゃない…提督と一緒に…頑張ってきたじゃない…」
金剛「提…督………
そう、確か、そうだったネ………
でも暁、あなたに分かりますカ?真の淑女になったという事は
それをくだらない細事だと認識した、という事ネ」
金剛は 提督が艦隊を指揮し始めた最初期からいた
歴戦の勇士であり 提督を長く支えてきた艦娘であった
彼女は提督を想っていたし 提督を支えてあげたいと思っていた
ある日彼女が見たのは 足りぬ財に頭を抱える提督であった
その原因を金剛は知っていた 己の実力不足
自分が勝てないから 自分がただやられて資材を減らしてしまっているのだから
提督はあんなに困っているんだ
それから彼女は ひたすらに自分を鍛えた
ただ提督のために
ただ愛する人にために
いつからだろう
手段が目的へと変わったのは
決定的だったのは 真のレディとなった暁を見た時であった
その時彼女は思った 自分の今までやってきた事は何だったのか?
結局何も変わっていない 自分は半年間提督に何をしてきた?
何も していない 出来ていない
力 力が欲しい 無力な自分を変える力
純粋な力への渇望 執着
いつしか彼女の目から 提督の姿が消えていった
本当に提督を愛していたのか?
金剛にとってそんな質問 今となってはどうでもいい事 取るに足らない事
真の淑女には そうでなくてはなれぬ
必要ないのだ 真の淑女には
力以外 何も必要ないのだ
真のレディと真の淑女には大きな隔たりがある
真のレディに必要なのは心と筋肉 言うまでもない
真の淑女に必要なもの これも同じく心と筋肉
しかし真のレディが誰かを守るための筋肉ならば
真の淑女はただ力を高めるための筋肉である
真の淑女に必要な心は 力への執着
それだけである
自然の摂理は弱肉強食 それは人でも同じはず
戦いを止める? 笑止
強者が弱者のために戦うなど滑稽極まる
分かるだろう?
真の淑女とはそういうものである
ちなみに英国の国歌とされる女王陛下万歳(God save the Queen)
あまり知られてはいないが
その女王陛下とは 真の淑女を指すのではないかというのは 一部では著名である
また 産業革命は 真の淑女の力への渇望から起こったものだというのは 一部では常識とされる
えっと…皆さんに質問があります
僕は何を書いているんでしょう
レディとは 淑女とは 筋肉で 神のような存在なんです
僕の理解の外です
一応この先も考えているんですが…えっと…その…
霧の中にいる気分です 阪神ファンってこういう気持ちだったんですね
何が言いたいかというとですね 話がぐっちゃぐちゃでも見逃してください
ハッキリしているのは筋肉なくしてレディ無しということくらいです
金剛「C’mon girl!力は、強者との戦いで使ってこその力!!!!!
そのために私は!!!お前を呼んだんだヨ暁ィ!!!!!」
暁(じゅっ…純粋戦士か…!!!!)
金剛「これがッッッ!!!真の淑女というものだッッッ!!!!!!」(ムキィィィ)
それはまるで金剛力士を 何倍もビルドアップしたような筋肉
暁は僅かにひるんだが、しかし引くわけにもいかない
暁「分かったわ…真のレディとして!!その挑戦を断るわけにはいかないッッッ!!!!!」(ムキィィ)
金剛「ムウ…ッッッ!!!!」(ムキィィィ)
暁「ヌゥゥ…ッッッ!!!!」(ムキィィ)
二人は睨み合っている それだけに見える
しかし忘れてはいけない 二人は我々とは違う次元にいるのだ
動物達の危険予知能力には目を見張るものがある
地震が起こる前 動物達は奇行を起こす
危機を予知してのものとされる
今二人の下にある海
すなわち太平洋から動物達の姿が消えたのは
間違いなく二人の闘争に原因があった
真のレディと真の淑女の戦いとは
そういうものである
レディ暁(つ…強いッッッ!!!!このままでは確実に押し切られるッッッ!!!!ならばッッッ…)
暁が行ったのは ボディービルダーなどが行うサイドチェスト
並の人間なら 筋肉を強調するだけにとどまるが
断言しよう
真のレディのサイドチェストとは兵器である
馬鹿な そう思ったかもしれぬ
しかしさながらそれは 目の前で照りつける太陽
常人では一秒たりとて耐えられぬ
サイドチェストとは筋肉の強調 そして筋肉とは真のレディの武器
筋肉×筋肉の式は?
言うまでもなし 無敵である
相手が真の淑女という点を除けば、であるが
淑女金剛「girl、一つ教授してあげまショウ…
私たちの戦闘では、そんなものはただの挨拶でしかないネッッッ!!!!」
金剛が行ったのは 同じくサイドチェスト
暁との違いを言えば
金剛の方が 上だという事くらいである
レディ暁(こっ…これほどとはッッッ…!!!)
暁は真のレディになって初めて 汗をかいた
これまで自分は 格下としか対戦しなかった
しかし きっと真のレディとは
こんな相手から こんな強者から
仲間を守るものであると 暁は確信した
金剛に立ち向かう覚悟を決めた
かのアインシュタインは
「第四次世界大戦はおそらく人々は棒と石を持って戦うだろう」
と予言したとされる
原始的な戦いの道具 棒と石
しかしもう一つ ずっと古代から戦いの道具として
いや もっと純粋な 闘争の手段として確かにあるものがある
素手での闘争である
古代ギリシャ時代にあったとされるパンクラチオン
僅かに存在していたルールは まさしく格闘技としての証
それから現代に至るまで
人類は 格闘技を進化させ続けてきた
原始的な 素手での戦いを 求め続けてきた
その理由はきっと 闘争の根源であるから
何も無くとも 素手での戦いは可能
素手での戦いは 規模が小さい
きっと戦争においては 優先度は低い
しかし二人はその限りではない
核と核をぶつけるようなものである
原始の時代より続く闘争法こそ 至高にして最強
そこに兵器などの不純物は入る隙さえない
真のレディと真の淑女との戦闘とは
そういうものである
割とシリアス(?)になってしまいます
バトル物にシフトしたからかな…? タカヤもびっくりの方向転換
でもこんな時のために新しくスレを立てたんだからこのままでもいいよね
金剛編の後は皆お待ちかねのあの艦娘だよ
その後はまたまた皆お待ちかねのあの艦娘だよ
登場が何日後になるかは分かんないけどね
鉄拳 鉄のように固い拳
これは当然比喩である
しかし真の淑女と真のレディにとって
鉄拳という言葉では力不足
二人の殴り合いは
戦艦大和と戦艦アイオワが ゼロ距離で主砲を撃ち合う
否
それ以上のものである
レディ暁「ちぇりゃァァッッッ!!!!!」(バギィッッッ!!!)
淑女金剛「ムゥッッ……キャオラァッッッ!!!!!」(ドグゥゥゥッッッ!!!!)
レディ暁「ぐはぁぉ…ッッッ……!!!」
諸君は股間を強打した事があるだろうか あるいは家具の角に小指をぶつけたでも良い
二人が味わっているのは それを超える痛み
歯にフッ化水素酸を塗布してしまったら あまりの痛みに死亡したという例もあるが
二人が受ける痛みはそれ以上
真のレディと真の淑女でなければ耐えられぬ痛み
そもそも二人の防御力は桁違いである
RPGを真正面から受けても その筋肉の鎧に傷一つつくことはない
言わば最強の盾
それを貫かんとする最強の矛 拳
生きるも死ぬも全ては己の身体一つで決まる
それが真のレディと真の淑女との戦いである
ちなみに作者は昔、ブランコの周りの柵を綱渡りのように歩いて遊んでいたところ、足を滑らせ股間を強打し、悶絶した記憶があります。
金玉は内臓です。注意しましょう。
筋肉はどうやってつくか?
その理由とされるのが超回復とされる理論である
傷ついた筋肉は同じ轍を踏まぬよう 回復した時にさらに強靭になるというものである
また 人は100%の力はよほどの局面でなければ出せぬとされる
筋肉が悲鳴をあげてしまうからだ
しかし真のレディと真の淑女との戦いとは 常に火事場である
筋肉を極限まで酷使し続ける 100%を出し続けねばならぬ
真のレディも 真の淑女も 回復力は常人の比ではない
筋肉を酷使させながら 筋肉を回復させながら 戦う
結果筋肉は戦いながら増大していく
互いが互いを高めあい 限界を限界でなくす
戦闘をしながら強くなっているのだ
ミックスアップ
そう語られるものである
しかし回復も 筋肉の酷使も どれほどエネルギーを使うことか
永久機関など 夢物語でしかない
永久に動き続けられる物など無し 確実に終わりがある
それは二人も例外ではない
万物不変の法則
決着の時は
近い
人間の意識は0.5秒間無意識とされる
つまり 「危ないッッ」 と思ってから0.5秒後に 脳は重い腰をあげる
真のレディともなればそれよりも早くレスポンスが可能ではあるが
ノータイムとまではいかないのである
それは神そのもの
金剛の拳は そんな無意識の時間に飛んでくる
レディ暁(来るッッッ……かもしれないッッッ……いつ来るかは分からないがッッッ…とにかく耐えるしかないッッッ……)
来た 金剛の拳
しかし 暁は限界であった
耐えきれぬと暁の膝が落ちる
しかしそれこそが幸運 金剛の拳は暁の頭上を飛んで行った
限界を超えた死闘の証が今 確かに暁の勝利への道を繋いだのだ
レディ暁(来たッッッ………勝機ッッッ…!!!今ならカウンター…ここで決めるッッッ!!!!)
しかし
暁の腕は上がらなかった
レディ暁(何故…この根性無し…勝利はすぐそこじゃないッッッ…)
暁の認識は誤りであった
根性などもう無意味 カラッポである
いくら凄いエンジンを積んだスーパーカーでも
エンジンが無ければ走れない タイヤがパンクしていては走れない
ガス欠の原因は 体格の差
すなわち 筋容量の差であった
僅かな
しかし 確実な差
金剛は笑った
強敵との死闘は 真の淑女にとって至高の喜び
長かった しかし 素晴らしかった
今自分は 真の淑女になって初めて満たされた
暁は絶望した
気を抜いた瞬間 糸の切れたマリオネットのように
倒れてしまいそうだった
しかし己にもプライドがある
勝負を最後まで 捨てるわけにはいかない
淑女金剛(こんなにも満たされた事があっただろうか
極上の料理を口に入れた時の比ではない 徹夜をした後に時間を忘れて眠りについた時の比ではない
恋をした時の比ではない
尊敬する人間は? と聞かれたら、私は躊躇わずにこう答えるだろう。それは東洋の小さな島国にいる―――小さなレディだと!!
ありがとう―――あなたの名は生涯忘れない―――)
淑女金剛「Good-bye lady 暁…!!」
気を失う刹那 暁が最後に見たのは
満足そうに笑う金剛と
自らに迫る拳であった
翌日
そこには港の大型船を持ち上げようとする暁の姿があった
何も知らぬ者から見れば奇怪、滑稽なものである
提督「一体いつから…ああしているのかね?」
吹雪「半日ほどです…」
神通「いくらなんでも非効率ですあんなの…!自分を追い込むにもほどがある…
エネルギーが空っぽだから傷も癒えていないのに、さらにエネルギーを削ろうだなんて…ただの自傷行為でしかありません…!」
提督「イヤ、それでいいのかもしれない…真のレディとはそうやって辿り着く奇跡なのだろう」
夕立「でも、200kgのバーベルを上げるのにも苦戦してたっぽいよ…?」
大和「見ていられない…」
加賀「提督から何か進言して頂けないでしょうか…」
提督「フム…」
提督は 暁のそばに近寄った
提督「暁…そう根を詰めても逆効果だ。今は休め…」
レディ暁「……………」
提督「金剛が艦隊から姿を消したぞ」
レディ暁「!!!」(ピクンッ)
響「い、今大型船が動かなかったか!?」
川内「ありえない!半分死に体みたいなモンだぞ!?大型船が何トンあると…」
提督「ただし暁に伝言がある」
レディ暁「!!!!!」(ギ…ギギィ…)
時雨「200kg上げるのにも苦戦してた?…冗談きついね…」
雷「違う…!回復している…!ありえない…死闘で全てを使い果たしたはずっ…」
提督「言いたい事はあるだろう。しかしそれは私を倒さねば届かぬ事。強くなったらまた戦おう。条件はモチロンベストコンディション。
…これが金剛からの伝言だ。」
電「お、大型船を持ち上げた!?」
明石「それだけじゃない…!!」
間宮「さ、さらにスクワットまでも……!!」
大淀「一体、何故っ…!」
語る言葉は不要 ただ何かを言うなれば…
提督は艦娘の方を振り返り 顔全体に 喜色を浮かべてこう言った
提督「スゴイね レディ♡」
よっしゃー! 金剛編いったん終わり!
本当は金剛編で終わる予定だったんだけど、そういえばまだ艦娘出せるなって事でこんな結果になったよ。
そうだよ まだ終わんないんだよ
という訳で応援よろしくね。
ちなみにこのSSの真似をしても強くなれるとは限らないぞ!
※本編とは関係ありません
瑞鳳「さあ、今日も提督に卵焼き作らなくっちゃ!!まず卵を割って…(コシャッ)
あ゛。…しまった、筋肉をつけすぎた弊害でうっかり卵の殻を砕いちゃった…」
瑞鳳(いや、待って…普段はお箸で あ~ん♪ って食べさせているけれど…
手に卵がべっとりと付いたこの状態なら…お箸で食べさせるよりも、もっと良い事になる…!!
提督は私の指を赤ん坊のように舐め、卵焼きを食らう……
直接卵焼きを食べてもらう……そうか!これよ!
卵焼きの秘伝、掴んだり…!!そのためには…)
瑞鳳「これだぁぁぁぁ!!!!!」(ジュゥゥゥ)
肉の焼ける匂いが部屋に立ち込める
フライパンで卵に塗れた手を焼く
筋肉と卵の夢の共演が生み出すものは何か
真の卵焼きである
瑞鳳は確信した これこそが卵焼きの極致であると
瑞鳳(勝った……!!!もはや私はただ料理が上手いというチンケな存在を超えたっ…!!)
翌日
瑞鳳「提督、私の作った玉子焼き………食べりゅぅ?」
瑞鳳には大きな確信があった 瑞鳳流卵焼き あみ出したり
提督はさぞ喜ぶであろうという確信 揺るぎ無し
提督「…なあ瑞鳳……スマン、俺が未熟なせいで……疲れているんだろう、ゆっくり休んでくれ………」
瑞鳳「あれぇ!?」
暁「……大丈夫?えっと………その手、治そうか?」
瑞鳳「いい……今は一人にしてぇ……
はぁ……今度からは普通に作ろう…」
その後瑞鳳は筋肉を生かし 料理の腕がグングン上がっていくのであるが
それはまた別の話
※本編とは関係ありません
那珂「漢隊のアイドルッッッ那珂ちゃんだよォうッッッ!!!!!」(ムキムキムキッ)
那珂を取り囲むのは 大勢のファン
昔よりもはるかに多くなった
那珂は変わった 昔に比べて はるかに筋肉が増えた
まるでトップボディービルダーのごとくに
提督「俺が思うに、あれこそが真のアイドルにふさわしいのでは無いだろうか?」
神通「そんなことは無いと思いますけど…」
提督「いや、アイドルに求められている事を考えればすぐに分かる。
まずルックス。これはもう、筋肉に憧れというか、筋肉を悪く思う男などいやしないから問題ない。
次に歌。これは筋肉をつける事で声量がアップし、結果歌も上手くなる。問題なし。
ダンスはどうだ?筋肉をつける事により身体能力が上がり、ダンスのレベルも上がる。素晴らしい。
最後に処女性。あの筋肉だから、ただのチャラ男ではどうにも出来ん。付き合った男はそれはもういい男だろう。素直に祝福出来る。
…なんだ良い事づくめじゃないか!!アイドルは皆ああなるべきなんだよ!!」
川内「そんな事でAKB総選挙のような事をしてみてよ。ボディビル会場になっちゃうね。」
提督「スピーチの代わりにポージングを決める……何だ、良さそうじゃないか。」
神通「ただの地獄絵図だと思いますけどね……」
実際に想像して判断すると良い
アイドルに筋肉は必要か否か
※本編です
川内「人食い熊ぁ?」
長門「ああ、何人も殺されてしまったらしい。早急に処理せねばならないんだが…暁が修行のため鎮守府を離れているのでな、お前達に頼んだのだ。」
熊野「しかし、そういう手合は猟師などに処理されるのではなくて?」
陸奥「眉間、あるでしょ?そこが熊の弱点らしいんだけど…
それがね、そこに銃弾が当たっても何ともなかったらしくて…」
夕立「それで夕立達に熊退治しろって事っぽい?」
陸奥「艦娘も土木工事やら仕事が多いから…この人数で何とかしてもらうのが一番なのよ、ごめんね。」
球磨「それはいいとして何で球磨にもオーダーするクマ!?この人選からそこはかとない悪意を感じるクマァ!!」
長門「何故だ?」
球磨「何故って…熊に球磨と熊野だから……熊に球磨と熊野……
な、何でこんな空気になるクマ!?球磨が悪いクマ!?」
熊野「……出撃の前に余裕なのは良い事ですわ」
陸奥「だいたいそうなら球磨、熊野、三隈、筑摩、阿武隈と揃えるわよ」
球磨「…あっ!確かに!」(ポン)
川内「そもそも熊退治なんかに艦娘4人もいるかね…」
夕立「素敵なパーティになるとは思えないっぽい~」
慢心が死につながる事もある
そういう意味で 四人に死の香りが漂っている事は否定できない
しかし心配は無用
今 確かに 真のレディや真の淑女と同じ次元に立とうという者が
生まれようとしているのである
川内「情報じゃこのあたりみたいだ。手分けして探そう。」
夕立「襲われたりしないっぽい~?」
球磨「襲われたりしても、こっちは兵器。近代兵器が熊に遅れをとるはずがないクマ。」
熊野「しかし、銃が効かない熊。油断は禁物ですわ。」
四人バラバラで捜索を始めてどのくらい経っただろうか
突如 砲撃の音がなった
戦闘の開始を告げる鐘である
皆一同に砲撃の音がした場所へ急ぐ
川内「くあっ…」
夕立「川内さん!!熊は……嘘……
…じょ、冗談きついっぽいぃ…」
熊と最初に会ったのは 川内だった
次いで助太刀に来た夕立が遭遇
異形であった 常軌を逸したそのサイズ
その風格 もはや熊ではない
トンビが鷹を生むかのように 突然変異でもしたのかと言いたくなるような
圧倒的な暴力がそこにはあった
火薬の臭いが 夕立の鼻をつく
川内「悪い夢だ…これは…化け物め…!砲撃は…直撃したはずなのに………!!」
熊野「皆さん!!大丈夫ですか!!?」
夕立「!!!熊野さん、危ない!!!」
熊はターゲットを 川内から熊野に変えた
それは川内の攻撃を受けて 取るに足らないと判断したからだろうか
とにかく熊は 動き出す
その巨体は信じられぬ速さで
熊野に襲い掛かった
熊野は不思議に思った
危ない? 何故?
向かってくるあの熊は 確かに大きい
しかし遅い
まるで遅い
新幹線から見える風景のように
スローモーション
なんだ? その振りかぶった爪は
まさか
攻撃しようとしているのか?
遅い 弱い
避けるまでもない
なんだ まだ爪はそこか
退屈だ
ここでパンチをしたらどうなるんだろう?
カウンターになるのかな
この火薬の臭い この熊 砲撃を食らったな
それで傷がつかないなら 拳一つでどうにかなるものではないか
あれ まだ動いていない
それならもう 興味本位で 一発だけ
軽く からかった友人を戒めるように
軽く 一発だけ
瞬間 破裂音が辺りに響き
熊も 川内も 夕立も
熊野の右手を見失い
熊は後方にはじけ飛んだ
何で俺は熊を相手にしたんだ
ややこしくて仕方ない
冒頭の球磨の件書きたかっただけだろ…
>>69
メリットとデメリットが釣り合ってなさすぎワロタ
これから少しシリアス入れたら熊と熊野と球磨の駄洒落3FWにシリアス崩されちゃうよぉ…ふぇぇ…
まあ熊にさっさと退場してもらえば良いだけの話だし問題ないんですが
皆もリスクマネジメントはしようね
川内「今、今のは…熊野がやったのか…?」
夕立「砲撃も効かなかったような熊を…素手で…!?」
別に熊野が殴るところを見たわけではない
かすかなピースを繋ぎ合わせるとそういう結論に至ったというだけ
確証はなかった
しかし前例はあった
真のレディという前例が
何より驚いたのは熊野であった
確かに鍛えていたとはいえ これほどになるとは思ってもいなかった
そもそも
戦うためにつけた筋肉ではない
熊野は戸惑っていたが
しかしこれは任務
仕留めなければならない
今の熊野に戦闘への恐れはなく
頭を悩ませるものがあるとするなら
それは相手の仕留め方である
苦しませるための力ではないのだ
熊野は躊躇っていた 相手を傷つける事を
それはすなわち
まだ彼女が完全に覚醒していないという事
覚醒が完了していないとはいえ その強さ
動物である熊でさえ
いや 野生の存在である熊だからこそ
この場の誰よりも その力の差が分かった
熊はその場から一歩引いた所で 足を止めた
自分は強かった 敵う者などいなかった
最強
その誇りが そのプライドが
彼をこれまで絶対王者たらしめていた
引けば命は助かる しかしプライドは? 誇りは?
それを失った瞬間 自分が自分でなくなる
一体その先の生にどれほどの価値があろうか
負け犬で終わるなど我慢ならなかった
勝者として生まれてきたからには 死ぬまで勝者であり続けねばならぬ
それが責務
引けぬ
熊野「見事」
相手が引かない
自分との差を分かっていても引かない
その事を知ると
熊野も覚悟を決めた
熊野「その覚悟、その誇り
承りましてよ」
腰を落とし 右拳を矢のように引き絞る
たったそれだけの行為が
ひどく美しく映った
恋をした相手の一挙手一投足 全てが魅力的に感じるものであるが
熊野はそれよりもずっと美しかった
完成された美
真のレディと比べるのもいかがなものだが
しかし美しさに関しては真のレディを超えていた
皆が目を奪われる
季節は 冬
しかし熊野の周りは春の日差しを浴びたように
春の穏やかな息吹をその身に受けたように
植物も動物も
身を切るような寒さを忘れていた
冬の厳しさなど そこにはなかった
植物は感情を持たぬというが しかしクラシックを聞かせると良く育つという
それと同じように
物を言わぬ者達が皆歓喜の渦に包まれた
もし植物達に足があったら 手があったら
感動の余りに 踊りに身を委ねていただろう
これが夏であったら
蝉も 鳥も 求愛の歌を奏で 辺りはきっと騒がしい しかしそれは心地の良い騒がしさ
熊野の美しさとは 芸術性だけでなく
活力を与える美しさ そこに人間もそれ以外もない
真のレディと同格な存在とは
そういうものである
真のお嬢様ということか。
熊野にとって戦いとは
忌み嫌い 避けるべき対象
しかし今回は 相手が相手
不殺の心構えとは 相手を助け味方を殺すようなものである
敵を生かせば味方を殺す
ならばどうする 相手を苦しまずに仕留める
自分にはその力がある
やらねば ならない
熊野は大きく息を吸い ありったけの力を込めた
熊野「とぉぉぉぉぉぉあう!!!!!」(ゴゥッッッ)
人類の進歩がどれだけ進もうと どれだけ高性能なハイスピードカメラが作られようと
どんなスローでさえ 熊野の拳を捉える事は出来まい
速さはそのまま 威力となる
その拳圧は無駄な破壊を一切せず
熊に風穴を開けるのみであった
剣の達人は 切ってから何歩か歩いた時に初めて 相手に切られたことを気づかせるというが
熊野の拳は 一切を相手に悟らせなかった
ダメージを食らった事も 死んだことさえも
生から死へ
段差のない変化
そして熊は 安らかに眠りにつくように
死に気づかぬように その場に倒れた
誇り高い獣であった
熊野(嗚呼、私の力は、筋肉はきっと…こんな風に使うためのものではないはずなのに…)
任務そのものは達成したにも関わらず 熊野は悲しい目をしていた
熊野「とぉぉぉぉぉぉあう!!!!!」(CV若本)
…嘘です。脳内再生は各自ご自由にどうぞ
元の艦娘のままでもよし、あるいは完全に男の声でもよし。
でも声が完全に男になってるって…
もしかしてそれって…艦これじゃない!?
きっかけは何であったろうか
熊野はとにかく美を追求してきた
休日は服を工夫し お洒落な重巡として恥じる事など何もなかった
しかしある日 熊野は駆逐艦たちの雑談を耳にした
電「熊野さん、休日はいつも服が変わってるけど…何だか大変そうなのです」
お洒落とは大変なものなのだと思った瞬間
熊野はハッとした
美とは 薄皮一枚で変容するような下らぬものなのかと
真の美とは 自身を高める事によってのみたどり着けるものではないかと
しかしどうしたらいいのかは分からなかった
エステだってしてるし睡眠にも気を使っている
これ以上にどうしたらいいか 熊野は知らなかった
否 熊野だけではない 皆も知らぬ
鈴谷も知らなかった しかしそれを気にかけてはいないようだった
現状維持が美なのか それが美というものなのか
そう悩む熊野に道を示したのは
真のレディの姿だった
凡夫には決してたどり着けぬ
筋肉という選択肢
これが熊野の道を明るく照らした
あれこそが 美というものである
しかし 自分は違う
違う道を行ける
美麗な顔にたおやかな体
美しいとされる女性像
誰もが羨み 男なら好ましいと思う理想像
しかしそれには限界が存在する
あくまでの母としての美 女としての美
極論を言えば
男を欲情させるために用意された機能的な美でしかない
これが一体どうして真の美であると言えようか
人間としての美しさの片面でしかないのである
しかし美麗な顔に屈強な筋肉ならどうか?
人間の真の美への到達 顔と身体の調和
それは顔と肉体の美の足し算でも
男と女の美の足し算でもない
累乗である
熊野は身体のシルエットが変わるほどの筋肉は無かったが
しかしトップアスリートのような
実に鮮麗な筋肉を身に着けた
真のレディは仲間を守るための筋肉
真の淑女は究極の力にたどり着くための筋肉
熊野は
真のお嬢様の筋肉は
美に到達するための筋肉である
生半可な美ではない 絶対的な美
お洒落とは
自らを高めることで 自ずから生まれてくるものにすぎない
ただの付属であると 熊野は悟った
>>76をパクリました。ごめんね。
最初は誠のレディとかにしようかなとか思ってたけど、そうなると熊野の肩書が浮いちゃうんでこうしました。
ありがとう>>76
真の~シリーズも次で最後だと思うよ。枠がもう無いんだよね
川内「いやしかし、まさか熊野まで化け物に片足突っ込むなんてねえ……いやあ凄いもんだ」
球磨「遅れたせいで見過ごしたクマ…あああ見たかったクマァ……」
熊野「ふふふ、また見る機会くらいありますわ」
夕立「もうそろそろ鎮守府が見えてくるっぽーい!」
その時 熊野を除く三人に異変が起こる
感じたのは途方もない重圧
まるで頭を掴まれ地に叩き付けられたように
頭を垂れ 絶対的な力に許しを請うかのように
足も手も頭も
まるで這うかのように無様に海面に擦り付ける他ない
直視出来ない
巨大過ぎる暴力の気配を
恐ろしさに汗が止まらない
鎮守府の方から何かを感じる
大きすぎて おぞましすぎて
ひたすらに大きな黒の波動である
熊野「なっ…皆さ…!!」
夕立「わ、私たちの事よりっ…は、早く鎮守府に……」
川内「これだけ離れてこれほどという事はっ……」
球磨「鎮守府にいる艦娘達がまずいクマっ………」
熊野「!!」
熊野は走り出した
一切を躊躇することなしに
というのも 熊野自身も薄々悟っていて
余裕の一切が無くなっていたのだ
相手は自分より強いかもしれぬという事を
肌を焼くようなその殺気に
熊野は吐き気を覚えていた
自分でこれほどならば 皆は一体どれほど恐ろしいのか
そう考えた時
熊野の足は一層の速さを得ていた
これから強敵と対峙するのだという 恐れも無かった
熊野の快足は 鎮守府にたどり着くまでに一分という時間すら必要としなかった
熊野が鎮守府に到着した時
人の気配は欠片もなかった
もっとおどろおどろしい何かで 消されてしまっていた
しかしその邪気はある意味好都合
他の何よりも雄弁に 熊野に場所を示してくれていたために
熊野は迷う事無くその元凶の元へとたどり着く事に成功する
しかしそこで熊野を待っていたのは予想など出来るはずもない人物
?「驚いたわね……私の前に、立って現れる者がいるとは……私と同格の存在…ただのデマだとは思っていたけど…」
その艦娘は 熊野が
否 この鎮守府の誰もが 会ったこともない艦娘なのだから
ビスマルク「わざわざこんな極東まで足を運んだ甲斐、あったというものね。ねえ、そう思わない、テイトク、さん?」
彼女の周りには鎮守府中の艦娘と 提督の姿
その格好はまさに 許しを請うかのように額を地に擦り付ける
弱き者が行う無条件降伏
土下座の姿勢である
提督は ビスマルクに呼び掛けられ無力な小動物のように体をビクリと反応させた
いったいどうして彼を責められようか
熊に素手で立ち向かう愚か者はいても マグマに 地震に
素手で立ち向かう馬鹿者はいない
超常現象物の怪
自然現象といった 人間の手ではどうする事も出来ない猛威
彼女はすでにその領域に達していた
否 物をも言わぬ自然現象とは決定的に違う点がある
それは自身の意思を明確に持っていること
逆鱗に触れればこの鎮守府 無事では済まぬ
その極限が 提督に抗う術を用意させなかった
しかし抗う術など最初から無いに等しい
彼女と同次元の存在でなければ
どんな策を用いようとも絶対に倒せない
波紋無しで柱の男に挑む事など単なる自殺行為である
もっとも彼女達は 柱の男よりもさらに神話側ではあるが
提督範馬勇次郎説とかこの物語が終わっちゃうだろ!いい加減にしろ!
落ちてくる飛行機を一人で止めたり放射能を蹴りで払ったり眉間を撃たれてもなんやかんやで無事だったりする提督は見てみたい
>>96
そういうSSって探せば結構あると思うけどなあ
熊野「お、お止めなさい!」
ビスマルク「止める…?…何を?」
熊野「その露骨なまでの殺気、あなたほどの者が制御出来ないはずありませんわ。今すぐお止めなさい!止めないなら……!」
ビスマルク「止めないなら、何?」
熊野はその先の発言を躊躇った
言えば矛は己へ向く 勝機があるかと言えば無しに近い
しかしここで皆を見殺しにするなど出来ない
提督も艦娘達も顔が青い 嘔吐寸前である
ここに熊野の覚悟は完了した
熊野「これ以上皆を怯えさせるというなら、私が相手になりますわ!」
ビスマルク「怯えさせるだなんて……失礼な事をいうのね…ねえ、テイトク?」
提督「は、はいぃっ……」
ビスマルク「私、甘いものが食べたくなってきたわ。ねえ、テイトク。用意してくれても、いいのよ?」
熊野「なっ…!あなた…!提督!こんな戯言聞く必要ありませんわ!」
ビスマルク「ふふふ…強制はしていないわ…ねえ、テイトク?良いのよ?私のために働いても。」
ビスマルクの目は 人に物を請う時の目ではない
人を殺す時のような
慈悲も配慮も一切ない恐ろしい目である
提督が従うのも仕方がない事である
何故なら 提督は 刃を首に押し当てられ 拳銃を頭に突き付けられ
要求を呑まねば殺す と言われたように思えたからである
熊野「止めろおぉぉぉぉぉ!!!!!」
ビスマルク「ふふふ…私の狙いは最初から…お前のような存在と決めている!!!」
熊野もビスマルクも臨戦態勢に入った
熊野は前も言ったようにアスリートのような筋肉であるが
ビスマルクはまさしく格闘家の純粋筋肉のソレであった
例えば 霊長類最強の男と言われた
アレクサンドルカレリンのような
しかしさらに それにおとぎ話の如き超人的力を付加してある筋肉
熊野(動かない…ッッ!!捉えたッッッ!!!!)
熊野が拳を振るおうとする瞬間 ビスマルクはただそこに立っているだけであった
熊野が判断材料としたのはコンマの瞬間であるが
しかしこの次元の存在はコンマの差で命のやり取りが平然と行われる世界
自身が攻撃準備に入っているのに相手が動かないという事は
50m走と100m走のタイムを比べるようなものである
いや そのはずだった
瞬間 突如として熊野の顔が後方へと吹き飛んだ
全く予想もせぬ展開
瞬きの瞬間 アリがゾウになったような衝撃
熊野は一瞬混乱したが しかしすぐに冷静になった
熊野(拳による攻撃ではない…ッッ!ガードされないよう腕には留意してた!食らった箇所からするに……
おそらく右のハイキックッッッ!!!と、いう事は……ッッッ!!!)
この次元の戦いにおいて 基本的にかわすという選択肢はほぼ無い
速すぎてお互いの攻撃が見切れないためである
そのためターン制のように 均衡が破られぬ限り交互に攻撃する戦いになるものだが
しかしこれでは話が違ってくる
基本 殴る事よりも蹴りの方が強い
それを採択しないのは隙が生じる可能性があるからであり
コンマの隙は そのまま自ら均衡を破る自殺行為でしかないが
ビスマルクは 拳と何ら変わらぬ蹴り
隙の一切を生まぬが 威力は上の 究極の蹴りである
熊野は頬をつたう汗を止める事かなわなかった
ならば熊野はどうするか
ビスマルクのような蹴りは すぐに身に着ける事の出来るような遊戯ではない
やるしかないのだ
蹴りを超える威力の拳を
生み出すしかないのだ
ボクシングは大地を蹴る格闘技である
故にボクシングに蹴り技は存在する
誰が言ったかは分からないが
現在確かに存在する言霊である
多くの人間はその言葉に侮蔑の感情を寄せる
出来るわけがない と
しかし本当にそうだろうか?
その純粋な疑念が哲学の本流であり
そして人類の叡智を加速させるのだ
基本的な蹴りには軸足と蹴り足がある
しかし拳による打撃には
両足と さらに拳が使えるのである
片足で軸足分の力
さらに片足で蹴り足分の力
そこに拳というプラスアルファの力
最早蹴り技の優位性は消える
確かにボクシングに蹴り技は無いのかもしれない
そう そこにあるのは蹴り技以上のKOパンチである
鎮守府の
今この場に居合わせた艦娘達は 二人の戦いを捉える事かなわず
大砲を発射した時のような轟音が聞こえるのみ
しかし そう例えば
意中の相手の部屋など その恋の相手が居たという痕跡があれば
それで事足りる事も無きにしもあらず
皆少しだけ見る事が出来た熊野の美を思い起こし
しかし熊野の苛烈な美は 凡人の脳内では100%に思い起こせるほどチンケではない
しかしそれでも
戦火の中で人が上質の音楽を愛でるように
ビスマルクの異様な重圧を紛らわせようと 必死に思い描く
事実として ビスマルクの重圧は和らいでいた
力を外に放出するのではなく
内部に溜め 敵を討ち果たすために使う
熊野は ビスマルクの高みへ登りつめる
彼女の拳は
確かに ビスマルクの灯を打ち消さんとしていた
踊るように敵を討ち果たし
踊るように 戦いなど無かったかのように
華麗なる勝利
それこそが熊野に 真のお嬢様というものに課せられた生き様
そういうものである
彼女達のような極致にたどり着くというのは
熊野とビスマルクの戦いが始まって一分ほどが経った
並の人間に言わせればたかが一分 しかし
二人にとっては永遠にも似た感覚
お互いに消耗していた
ビスマルクは勝負を焦る
焦る時に頼るもの
それは己が最も得意とする技
ビスマルクは何度も右のハイキックを繰り出したが
熊野が避ける事が出来たのなんて一度もない
ビスマルク「シッッッッ!!!!」
ビスマルクが頼ったのは そんな右のハイキック
勝利を呼び込む絶対的の威力のある まさに必殺
だが
その足は 熊野を捉えはしなかった
奇跡か それとも必然か
確実なのは 熊野はビスマルクの攻撃を読みきって
そして 躱し ビスマルクの懐に潜り込んだ
瞬間 一閃
左の拳がビスマルクの肝臓目がけ レールガンのごとく放たれる
並の人間が食らえば 骨すら 肉片一片すら残らぬそのリバーブロー
放たれた 間違いない
当たる 終わる
この勝負
何故か
熊野の万力をこめたその一撃
ビスマルクに届かぬのは何故か
熊野(あり…えないッッ……ありえないありえないありえないッッッ!!!!まさかッッッ!!!!
布石か全てはッッッ!!!!私を欺くためだけに張り巡らせた!!!!!罠かッッッ!!!!)
熊野の必殺の拳は ビスマルクに捕獲されている
左腕で 確かに 握られている
全ては
ビスマルクの掌の中
ビスマルクにとって 右のハイキックは何でもない
数ある技の一つであった
躱される事 懐に潜り込まれる事
全て想定内
いや そのために放たれたハイキック
ビスマルクは熊野を力任せに引き寄せ
前傾姿勢の熊野の胴回りを 両腕に回してクラッチ
そして熊野を 相手を天高く持ち上げる
パワーボムのような
しかし それは 余りに速く
相手に受け身などとらせる気など無い
ただ相手を殺すためだけに放たれた パワーボム
熊野は味わう
地面に叩き付けられたのではない
この 薄皮のような大地のはるか6378000メートル下
この雄々しい地球の真中心にあるたしかな物体
地底の底の底 ずっとずっと深く深く
絶対的な この地球の 核の硬さを!!
ビスマルク「Danke、楽しかったわ…そしてさようならッッッ!!!!」
ビスマルクはまるで
父とのキャッチボールを楽しむ無邪気な子供のように
いとも軽々と熊野を空中に放り投げた
熊野に抵抗する力はまだない
回復が 間に合わない
ビスマルクは構えた
右足をゆっくりと
今度は外さない
死神の鎌は 二度振られる
落下してくる熊野に
まるで空手家がバットをへし折るかのように
ビスマルクの蹴りが炸裂した
あまりにも無常な
そして不要なはずの
終戦の鐘
本来この勝負 パワーボムの時点で 大勢は決した
それはきっと 熊野も ビスマルクも
分かっていたことだろう
しかしビスマルクが加減する事は無かった
落下する熊野に合わせた本気の蹴り
それは実に彼女らしい冷徹なもの
そこに相手への配慮など 必要のないもの
熊野「ぅぁっ…ぁぁっ……」
息はある
しかし指一本動かす事も出来ない
ビスマルク(殺すつもりで蹴ったのだけど、タフね…
…いや、そうでなくては。来た価値がないというもの)
今や鎮守府は 絶望の底にいた
熊野が倒れ 最早次なる標的は自分達だ
熊野の心配より先に 自分の生命の心配をするのが当然のこと
蛇に睨まれた蛙のように押し黙る
下剋上は 期待出来そうもない
鎮守府屈指の火力をもつ大和であれ ビスマルクの筋肉の鎧に傷一つつけられない
最早彼らに出来る事は 祈る事だけ
祈り すがる
この超常現象を前にすれば どのような史上最強も頭を垂れる
ああどうか神様 いらっしゃるなら救いの手を…
不意に部屋に光が差した
普通の人間なら この魔窟のような雰囲気に入ろうなどと思うものか
違う 人間ではない
人間であって 人間ではない
皆が見知ったあの顔
祈りは届いた
神ではなく 真のレディーに
暁「これは一体どういう事かしら…?…ねえ、そこのあなた。…不作法な客が…いたものね……!!!」
ビスマルク「へえ、また随分と。小さいのが、来たものね。」
今日はここで終わっとく。
うーん、文章量多いとやっぱ見にくいかな?
1レスに書く文章をもうちょっと抑えてみようかな…?
暁は熊野の側まで悠然と近寄る ビスマルクなど眼中にないかのように
暁「むんっ!!」
熊野「うぁ…あれ?傷が…いや、体力が…完全に治った…?」
暁「これくらい、レディの嗜みよ。
…さて、そこのあなた。この鎮守府の惨状、あなたが起こしたのかしら?」
脅す というような聞き方ではない
ただ 道を聞くかのようにへりくだった聞き方でもない
ただ堂々と 討論で相手の意見に質問を投げかけるように
暁は聞いた
ビスマルク「…それなら、そこのテイトクに聞いてみたら?ねえテイトク。私が犯人なのかしら?正直に、答えていいのよ?」
言っている事に信頼が持てない
認めない ビスマルクはきっと認めない 正直に言えば己はどうなるのか…
提督は反吐を吐く一歩手前だった
座っている事すら限界 内臓達は一様に悲鳴をあげ
処刑台でギロチンの落下を待つしかないような
絶対的に追い詰められた状況
ビスマルク「ねえ、テイトク…?」
提督「あ…あぁ…ひぃぃ……」
ビスマルクの声はまさに美しい女性そのものだったが
提督にとっては魔王の声
死を突き付けられた上での要求など
提督だけではない この世の誰もが この無言の要求
沈黙の威圧
断れるはずもない
暁「司令官」
暁の凛とした声に 提督はハッと頭を上げた
暁「私はレディ。真のレディ。司令官、私はあなたの味方。恐れる事なんてないの。」
母が子供を慰めるような声
間違いなく 提督は救われた
すくむような恐怖も 屈服していた心も
今や無縁のもの
暁の声は 提督に勇気を与えた
提督「す、少なくとも…熊野はそいつにやられた…!」
暁「そう、ありがとう司令官…さて、何か言う事でもある?」
ビスマルク「ば……かな………」
ビスマルク(馬鹿な……馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!あのような凡夫が私の支配に抵抗したと言うの!?
ありえない!!そうよありえないわ!!!私はいつだってこの力で全てを制圧してきた!!!
このビスマルクは、誕生した時から純粋な帝王なのよ!!!!私に逆らう者などドイツでだって………!!)
真のレディは 仲間を守る力
真の淑女は 力をさらに求めるための力
真のお嬢様は 究極の美に到達するための力
ビスマルクは
真の貴婦人の力は 他のあらゆる者を屈服するための力
圧倒的恐怖で屈服させ 自らの都合のいいように使役する力
彼女はこの力で ドイツの頂点にたったのだ
従わぬ者などいなかった 全ては自分の思うがまま
自分の思うがままに人は動く
世間知らずのマリーアントワネットのように 人は彼女の思うがまま
しかし
ビスマルク(こいつは……私の怨敵だ……自分だけではない、他人に干渉し、私の支配の力を届かなくする……
この国には私のような巨大な力があると聞いてここまで来た……今まで通りに私の手となり足とさせるために……
ただこいつは……こいつだけは!!!!ここで始末しなければならない!!!!!)
今まさに 激突しようとしていた
ビスマルクと暁が
圧倒的な力と力が
ビスマルク『ねえあなた…ずっとそのままの格好ね…顔を上げたら?』
プリンツ『ぴぃ!?と、とんでもないです!び、ビスマルク姉様を直視するだなんてそんな恐れ多い…』
嘘である 彼女の額には汗が見受けられた
恐怖から 彼女は頭を上げられなかった
ビスマルクもそれくらいは分かっていた
ビスマルク(ふん…何ともまた、足並み揃えて使えない連中ばかりね。人の上に立つ、人を使う。
気分が良いし、生きがいでもあるけど………もう少し使える人材が欲しい所ではあるわね…
そう、いずれは、このドイツの誇る超弩級戦艦のネームシップビスマルクが、世界を制す時のためにも…)
プリンツ『そ、そう言えば…日本という国に…ビスマルク姉様のような、規格外の強さの艦娘が……いるとか…いないとか……』
ビスマルク『私と…同じ…?』
プリンツ『ひぃ!!う、噂です!!単なる噂です!』
ビスマルク『……私と…同格…?………Danke。
…オイゲン、少し留守にするわ。後は頼んだわよ。』
プリンツ『ええっ!?』
ビスマルク『少しよ。ほんの少し。もし反乱が起きたら全員始末する事。分かったかしら?』
プリンツ『え?…ぁ了解です!』
反乱を気に掛ける必要などあるのかと プリンツ・オイゲンは思った
反乱を起こしたその先に 何が待っているのだろうか
あるのは絶対的な死だけだ
反乱を起こして ドイツを乗っ取って 軍を乗っ取って
それでビスマルクに戦いを挑む?
笑止
兵器程度いくら並べたところで
ビスマルクの前では無いも同然
故にドイツに派閥は無く 完全に統一され
そしてビスマルクは政治の能力も極めて高く
それはまさに ドイツが世界に誇る 鉄血宰相ビスマルク
そういった意味で ドイツは極めて平和であった
これはビスマルク 真の貴婦人によるものである事は
ドイツの誰もが疑わなかった
そのビスマルクが
並ぶものなど一人もいなかったビスマルクの足が今 震えている
ビスマルク(馬鹿なっ…!私の肉体を、私の実力を!全て知った上で警鐘を鳴らすか、この身体は…!たかが、こんな小さな小娘に…!)
暁「…今引くというなら追撃はしないわ。早くここから消えて。」
ビスマルク(……引く?…引く…ですって?この誇り高きドイツのビスマルクに…
相手に背を見せ、惨めったらしく逃走しろと…!?この…私に!!)
ビスマルクは生まれた時から強者であった
その血に流れる帝王の系譜か
あるいはビスマルク自身の強烈なプライドか
何かが彼女に闘争の構えをとらせた
暁「…仕方ないわね…なら見せてあげるわ…真のレディというものをォォォ!!!!!」(ムキィィィィ)
そこに現れたのは 恐るべき筋肉を身に着けた暁
前の筋肉が戯れに見えるほどの圧倒的な量
ボディービルダーの筋肉が空洞に見えるほど圧倒的な質
詳しくは到底語れない
言語を超え 人間を超えた彼女の筋肉
語ること すなわちそれは彼女への侮辱
とにかく暁は
まさにビスマルクが完全に見上げるほどに高くなった
その筋肉は圧倒的であり
その筋肉は絶対的であり
その筋肉は超越的であり
その筋肉は神話的であった
鎮守府の皆は一転 土気色のどんよりとした顔から 悩みなど何も無い晴れやかな顔になり
讃美歌の一つでも 高らかに歌い上げたいほどの高揚感を味わっていた
最早ビスマルクの絶対的な支配は消え あらゆるものは自由に酔いしれる
重苦しい雲が晴れてゆく 季節外れなほどの 雲一つない快天と 爽やかな風
気候すら 彼女達の後を行く
真のレディが真の貴婦人の威圧を消し去り
真のお嬢様が活力を与えた
真のレディ達とはそういうものである
ビスマルク「…古来より王とは、絶対的な力の象徴…」
レディ暁「……?」
ビスマルク「絶対王政以外の王に価値などない…あるのは傀儡としての役目のみ…
帝王たる者が力不足では勤まらんというわけだ…
帝王に敗北も!逃走も!あってはならぬ!!!
常勝!!!不敗!!!それこそが我が覇道!!!!!
東洋の小娘よ!!!貴様も我が覇道の礎となるがいいッッッ!!!!」
レディ暁「敗北も…圧倒的な力も…とうに味わっているのよッッッ!!!!!」
暁の筋肉は肥大なように見えるが
しかしそのスピードは圧倒的である
ビスマルクより先に 暁の拳が顔面を捉えた
確かに威力は凄まじい 前よりはるかに凄まじい
だがこの次元での戦闘に一撃決着など無い 致命傷を与える事すらあるかどうかである
しかしこの一撃で ビスマルクの膝が落ちる
ビスマルク(……!!何ィ……馬鹿な!!!ここに来てッッッ…!!!先程の闘争のダメージが来たというのかッッ!!!)
このビスマルクの認識は誤りである
アドレナリン
興奮状態の際に分泌されるものであり
その場に限り 怪我の痛みなどを忘れさせてくれる
これは彼女達にも同様に当てはまり
戦いのダメージというのは 戦いの中では気付かない
熊野との戦いのダメージは突如来たわけでも無く
最初から 一撃受けただけでガタが来る状態に
ビスマルクが気づかなかっただけ
ビスマルクは生まれついての強者
苦戦した経験などないが故 自らの危機に疎い
レディ暁「なるほど、あなたと熊野さんとの戦闘は…ほとんど引き分けという事で決着がついたみたいね。
…これ以上は無意味よ。国へ帰りなさい、あなたにも仲間がいるでしょう?」
ビスマルク「無意味…?国へ帰れ……? 私を侮蔑するのかッッッ!!!!!
逃走とは敗北より恥ずべき事!!!!!死よりもありえぬ事!!!!!
この帝王、逃走などという言葉とは相容れぬ!!!!! 負けが決まっているだと…?
馬鹿が!!!!その程度の!!!!そんな下らぬ理由で引けるものか!!!!」
レディ暁「…成程、ね…
……ごめんなさいね、熊野さん…」
熊野「…え?…何を謝る事が…
………!!…ええ、ぞんぶんにどうぞ。」
熊野は笑った 暁の真意を読んだからだ
それはせっかく熊野が積み上げたものを全て崩すような事だったが
熊野は怒るどころか腹もたたなかった
暁に 真のレディに絶対の信頼をおいていたから
レディ暁「むぅんッッッ!!!!」
ビスマルク「………!!!こ、これは………!!」
レディ暁「あなたを回復させた……完全にね。その余りに傲慢なプライド、見事。
このまま私に背を向けて帰るも良し。そして私に向かってくるも良し。
向かってくるなら……真のレディとしてッッッ!!!!!全力を持ってお相手しようッッッッ!!!!!!!!!
それが私が示す敵への敬意ィィッッッ!!!!!!!
鎮守府を守るッッッ!!!!相手に敬意を示し討ち果たすッッッ!!!!!!!
真のレディたるものッッッ!!!!!!同時にやる事など容易いッッッ!!!!!!」(ムキィィッッッッッッ!!!!!!!!)
暁の筋肉がさらに凄みを増す
寝る子は育つというが
一つは真理であり 一つは間違い極まりない
その理論が当てはまるのは かつての非力な暁のような凡人だけ
しかし真のレディに睡眠など必要なし
起きているだけで筋肉が溢れる
人口爆発も真っ青の右肩上がり
24時間 いやそれ以上の鍛錬を可能とした真のレディの筋肉
人智を超えるなど 安っぽい言葉で済ませてよいものか
ビスマルク「参ったわね…相手に情けをかけられるようじゃ、この勝負に勝っても負けても、私は満たされない…
だからあなたには確実にッッ……勝たねばならないわねぇッッッ!!!!!!」
突如として襲うビスマルクの右のハイキック
その死神の鎌は暁の首を刈り取るか…
否 暁はビクともしない
万年を生きたのかというほど太い 丸太のようなその首に
刃は入らず
レディ暁「ローキックに行くとフェイントを挟んで右のハイ……
その他にもたくさんの細かなフェイントが何個あったかしら?
10や20じゃ効かないかしらね…
目線の入れ方、足の動かし方、重心移動の仕方…
どれをとってもハイレベルで、私も完全に不意をつかれたけど……小手先じゃ私は倒せないわよッッッ!!!!」
ビスマルク(随分とフェイントを入れたけど…あの刹那にあそこまで見切るとはッッッ……!!!!
やはり相当な相手……!!)
一般に 身体が大きいイコール遅いというイメージが付きまとう
確かに行き過ぎた筋肉は 動きを遅くする
これは事実
格闘家たちがボディビルのような肥大な筋肉をしていない事からも分かる
ただ 彼女達の次元の住人は
皆一様に モンスターエンジンを標準搭載している
それをどう生かすかは数あれど
神の境界線ギリギリのスピード 出せる速度にも限界がある
真のレディと同じ次元にいる者は 全員がその速度を出せるのだ
エンジンが同じなら そこで差が出るのはマシン性能
つまり筋肉である
暁が金剛に敗北した要因は間違いなく筋肉であるし
ビスマルクの攻撃が暁に効かないのも間違いなく筋肉である
もちろんビスマルクにも勝機は有る
先程の蹴りは例えるなら
100m走と野球とサッカーと将棋とチェスを平行して行ったようなもの
熊野との戦闘も 例えるなら 日本刀の峰で撲殺しようとしただけ
つまり本気は見せていない
いや ビスマルクが己の実力を測れていないだけ
そう言った方が正しいか
とりあえず今日は終わり。
ぶっちゃけこの先あんまり決まってないよぉ~ひぃー!
どっちの格も落とさないようにしなきゃ(使命感)
もうわけがわからないよ
>>126
こっちも良く分かってないんだよ……良く分かんないけど、よく頑張ります
>>127
よく分かんないけど、よく分かんないまま頑張ります。と言いたかったけど誤字ったよ
ちょっとメタパニかかってるけど明日にはとけてるだろうし明日投稿する予定です
ビスマルクと暁の戦闘開始から30秒ほどすると
その差は顕著に現れた
応酬 応酬なのだ
高度な技術 高度な筋肉の応酬のはずなのだ
しかしどうだ
ビスマルクが圧倒的に押されている
ビスマルクが弱い訳では決してない
暁が 真のレディーが深化しただけである
だがここで
今まで経験したことの無い未曾有の危機
どうあがいても勝てないという絶対の敗北の予感が
ビスマルクに眠る王の波動を 目覚めさせた
帝王に逃走は無く
制圧前進あるのみ
ビスマルクは放った
これまでと同じような蹴り
暁ですらかわす事は至難
真のレディーは筋肉を盛り上がらせ
反撃の準備をする
しかしその蹴り 空を切る
いや 空だけではない
暁の身体を過ぎて行ったはずの蹴りは
次の瞬間 まるで研ぎ澄まされた日本刀のように
バッサリと 暁の身体を切り
彼女の身体から血が噴き出した
瞬間
真のレディーの顔に浮かぶは 驚愕の色
あまりの出来事に 暁は大きく距離をあけた
レディ暁(こっ…これはッッッ…!!!いかなる兵器であっても傷一つつかないように鍛え上げた筋肉の鎧がッッッ…切られているッッッ……!!!!)
そう切った 切ったのだ
足刀
本来は部位 技を示すのだが
ビスマルクの蹴りは まさに読んで字の如く
両断するのだ 自らの足で
鍛え抜かれた大業物
暁の筋肉の鎧を切る事がどれほどのものか
例えば そう我々が
鉄骨作りの建物の 錆も傷一つも無い主柱を
道具も無しに両断するくらいには難度が高い
しかし それを乗り越えなければ
彼女達の次元には到達できぬというもの
暁の傷はすぐに治ったものの
初撃で骨まで到達したという事は
レディ暁(心臓を両断されては分が悪い………ッッッ!!!!死にはしないがッッ回復は長引きッッッ
その時点で決着がつきかねないッッッッ!!!!!!)
暁は汗をかいた
この次元の戦に 一撃で致命傷を与えうる攻撃など今までに無かったが
ビスマルクは手に入れたのだ
一撃必殺と呼ばれるような
まさに奥義を
アハトアハトが敵の手にあるのに突撃する 勇猛ではなく無謀な歩兵に待つのは死
暁は飛び込む事を躊躇する
射程に入る事を恐れはしないが
しかし距離を縮めて 致命傷になってはどうにもならない
暁の中途半端な思考の隙をつくように
ビスマルクのローキックがさく裂した
両断まではいかなくとも 足の骨を 鍛え抜かれた筋肉ごと
豆腐のように切るその妖刀のごとき切れ味
暁は反撃を試みるが 回復にコンマを費やし
足を切られて 踏み込めず
この戦いに コンマの隙は永劫の隙
ビスマルクは次の攻撃体制に入った
二回攻撃するという事がどれほど恐ろしいか
どれほど意味を持つか
ビスマルクも暁もぼろぼろであった
最早決着は時間の問題
かなり前から限界であったが
この次元の勝負は 限界からかなりの時間を必要とする
極限状態の中で成長している
否 極限状態だからこそ成長出来るのかもしれぬ
ビスマルクの右の蹴りが まさに暁を捉えんと唸るようであった
冬の寒さを穿つようなその一閃
業物のように光を弾くような光沢が
まるでそこにあるかのような 輝かしくもまがまがしいその足
暁の切られた足は回復している
だがまさに この勝負の決着
まさに今 つこうとしている
暁に死神の鎌が審判を下さんとするばかりであった
しかし暁の行動は ビスマルクを 熊野を
驚愕させる
暁は迫る死を前にどうするか?
襲い掛かる死をどうかわすか?
暁は引かなかった
逆に 暁は逆に
前進したのだ
防御態勢を一切とらずにただ走った
無謀すぎる
地雷原でタップダンスをするほうが生き残る確率は高い
だが だが死神の鎌は止まった
暁を捉えたのは大腿の部分
足の付け根から膝までの 股に近い部位
そこは切れ味も悪く 力もほとんどこめられない部分
まさに ビスマルクを破る最善の策
暁のボディブローがビスマルクを捉える
悶絶しながら拳で応戦するも 暁の左手で足を捕獲されているために
力が全く入っていない 暁にダメージなど入らぬ悪あがきであった
そう悪あがき
限界ギリギリの状態で戦っていたビスマルクは
返す刀で受けた暁の拳を顔面に受け
そこでついに意識を失った
だが熊野は この場に居た熊野だけは
この勝負の決着に納得が出来ずにいた
熊野(相手の腰が落ちた訳ではない………まさに見事。見事なまでに、ダメージを感じさせない戦いぶりでしたわ
……そう、要因は相手ではない………
暁さんは、暁さんは相手の攻撃とほぼ同時に動き出した!!その状態から!
……当たった箇所があんな場所?振った刀と同時に動いた人間が!刀の鍔を掴むようなもの!!!
ありえない!!!そう、ありえない……通常ならば………
まさか………まさか暁さんは…………
……いや、よしましょう……今はただ、勝利を祝わなければ………)
ビスマルク「かはぁっっ……」
レディ暁「!!!!!」
熊野「!!!!!」
ビスマルクが血を吐き出した
命が危ういような血の吹き方である
暁は駆け寄ろうとしたが 足が動かない
真のレディーの回復も万能ではない
自分の体力が無ければ 相手を回復出来ない
今の暁に ビスマルクを治す事は出来なかった
暁も限界であり ここで回復などすれば死も見えうる
提督「お、おい、大丈夫か!!」
真っ先に駆け付けたのは あれほどビスマルクを恐れていた提督だった
いや 今も恐れている
心は今も恐れているが 身体が勝手に動いていた
ビスマルク「こ……こうそ……く………しゅ…」
提督「こ、高速修復材だな!!待ってろ今……」
熊野「大丈夫、すでにとってきましたわ。」
ビスマルク「か………かして………」
熊野「え…?かけるのではないの…?」
熊野は戸惑いながらもビスマルクに渡すと
ビスマルクはバケツを担いでその中身を豪快に飲みだした
高速修復材は一瞬で空になり ビスマルクは空になったバケツを乱暴に放り投げた
あれほど瀕死だったビスマルクも すでに回復していた
提督「こ、高速修復材って飲んで大丈夫なのか……?」
ビスマルク「砂糖水みたいなもんよ」
熊野「赤城さん曰く、どぶ川のような味がするみたいですわ」
提督「おい、飲むなよ」
赤城「よ、酔っていたものですから……味も全然覚えてませんよ!回復も確かしませんでしたし!」
ビスマルク「エネルギーさえ取れれば、後は自力で回復出来るから問題ないのよ」
提督「知らずの内に無くなってた高速修復材の犯人が見つかって何よりだ。
赤城は後で鳳翔さんからのお説教を楽しみにしておくように。」
赤城「嫌だぁぁ……最近筋肉をつけ始めた鳳翔さんのお説教だなんて考えたくないぃぃ………加賀さん助けて!!」
加賀「グッドラック。あなたほどの英傑、忘れるはずもありません」
赤城「」
ビスマルク「愉快な艦隊ね……規律は良くないみたいだけど」
暁「心配ないわ。プライベートと仕事は皆分けてるんだから」
そこに現れたのは ビスマルクと同じく 熊野から高速修復材をもらって回復した暁の姿だった
ビスマルク「…私の負けね。私より強い存在なんて、いるとは思わなかった。」
暁「……驚いたわ。大腿で受け止めて、完璧に封じたと思った。
まさか最後の瞬間、左手を切り破って肋骨まで切るとはね。……紙一重よ。」
ビスマルク「いいのよ、謙遜しなくても。負けは負け。」
ビスマルクは重い腰を上げると 大きなため息をこぼした
ビスマルク「ふぅ……ドイツに持って帰る土産が、敗北の経験だけとは、何とも悲しいわね……」
暁「お土産……そうだわ!ちょっと待ってて!!
…じゃーん!暁特製カレー!甘くて、とっても美味しいのよ!」
一瞬姿を消した暁が次に見えた時 その手に持っていたものは暁が作ったカレー
手作りと思われる表紙には 何とも可愛らしい動物達のイラストが描いてあった
ビスマルクはそれを見て 見下した笑いを浮かべた
ビスマルク「ぷっ…甘いのが好きなの?子供ね……はあお気の毒。何が真のレディーよ、甘いもの以外も食べたらどう?」
暁「しっ…真のレディーが好き嫌いするわけないじゃないっ……」
ビスマルク「あら、それはますます気の毒ねぇ…強さの代償に大切な何かを失ったのね……
例えば舌の成長、とかね」
暁「あっ…あなたもアイスとか?甘いものとか?頼んでたそうじゃない………」
ビスマルク「でも私辛いほうが好きよ?私夏は辛くて冬は甘ーいアイスなんかが食べたくなるのよ
それに何、この表紙?へえ……小学生の絵日記みたいねぇ……え、もしかしてあなたが書いたの?」
レディ暁「へっ……へぇ~…相手のやる事なす事否定するのが大人なのねぇ~
あ~子供でよかった~。あなたのような悲しい大人になる所だったわ~」
ビスマルク「何よッッッッ!!!!!」(ムキッッ)
レディ暁「そっちこそッッッッ!!!!!!」(ムキィィィィィ)
熊野「同族嫌悪……美しくありませんわね…
全く、あの調子で真のレディーやら真の貴婦人と言えるものか……
死闘で疲れ切ってるのでしょうか?」
提督「いやでも凄く仲良さそうなんだが……まるで似たもの兄弟の微笑ましいケンカみたいなさぁ……」
熊野「あ、流血沙汰」
提督「前言撤回」
ビスマルク「ぐぬぬ……」
暁「ぬぐぐ……」
熊野「二人ともおよしになって。どうしたんですか暁さん、あなたらしくもない…」
暁「……分かんない……」
暁は理由も分からずビスマルクに腹を立てているが
例えば他の人には優しくできても 兄弟を見ると何故か腹が立ってしまうような
きっとそういう何でもない 我々と変わらない理由
可愛らしいが きっとそんな精神的な面が
神への到達を妨げる
ただその精神的な面を克服した暁が 暁と呼べるのかは分からない
ビスマルク「………まあ、収穫もたくさんあったわ。これからドイツは日本を贔屓にしてあげるから。感謝なさい。
帰るわ。私ドイツという国のトップだもの。忙しいのよ。それじゃ。」
実に淡泊な 誰にも心を開かぬビスマルクの言葉
それも一つの帝王学なのかもしれない
暁「……また来なさい。多少は歓迎してあげる。」
ビスマルク「………ヨーロッパに来る時は、ドイツにおいでなさい。もてなしてあげるわ、私がね。」
それからビスマルクは日本を去った
別れの挨拶としては素気なかったが
ビスマルクは最後に笑みを見せた
帝王としてではなく 一人のビスマルクとして
暁は素直になれなかった
真のレディーとしての暁ではなく 一人の暁として
きっと この出会いは
意味があった
そう 断言しよう
彼女達は スタートラインに立てたのだ
かつての自分
深くに眠っていた自分を引き起こす
真のレディーがさらなる深化を遂げる際
きっとそれは欠かせない
※鳳翔さんのお説教
鳳翔「赤城さん、駄目ですよ?軍の物を私用で使っちゃ……」
赤城「そう、そう、そう、その通りです!私が悪い!もうしません!だからお願いです許してください!!」
鳳翔「…反省しているみたいだし……」
赤城「……それじゃあ!!」(パァァァァァ…)
鳳翔「もう……おいたは………」(ムキィィィッッッ)(ギリギリギリ……)
母である
その筋肉 母である
その包み込むような暖かさは間違いなく母であった
彼女はデコピンを引き絞る
その圧倒的な力に空気が金切声をあげていた
母 母である
その勇壮さは 間違いなく母である
子供を躾ける母である
鳳翔「滅(め)ッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!(コウゥゥッッッ!!!!!)
……ですよ?」
赤城「は………はぃぃぃ…………」
デコピンは赤城の目の前で止まった
瞬間 赤城が感じたのは死であった
対戦車ライフルが肩口をかすめたかのような衝撃
一体どんな戦場に行けばこれほどの恐怖 味わえようか
これ以上ない躾けである
いや それでは語弊があるか
鳳翔は優しく注意し 格好だけで留めたつもりだった
しかし彼女は力をつけすぎたようで
それが結果的に 赤城をきつくきつく戒めた
加賀「……どうしたの?食が進んでいないようだけど……」
赤城「い、いや、食べていると幸せですが……戦いが無いのでは、こんなにエネルギーは必要ないかな、と………」
加賀「…?へんな赤城さん………」
次回は週末になります。たぶん。
ある日
提督「暁よ。すまん、超大型船をジェンガのように積み上げてスクワットしているところ申し訳ない。」
暁「むんっ……ただのウォームアップよ。心配いらないわ。それで、どうしたっていうの?」
提督「ああ、どうやら巨大隕石が地球直撃コースらしくてな。公にされてはいないが、ヒッソリと人類滅亡の危機だ。」
暁「分かった。何とかしろって事でしょ?」
提督「そういう事だ。いつもすまん、お前にばかり負担をかけて…
一人では厳しいなら熊野にも声をかける。」
暁「見てみないと何とも言えないわね…どんな見た目なの?」
提督「これがその隕石の写真だよ。」
暁「成程……さて、どこかしらね……」
そう言って暁は空を見上げた
いや昼間に 宇宙を見る
彼女の目はどこまでとらえているのだろうか
少なくとも 太陽系くらいなら彼女の目の射程距離だ
暁「見つけた」
提督「どうだ?」
暁「とりあえず今日は無理そうね。距離が離れすぎてる。たとえここから壊せても、破片が周囲に飛び散っちゃうかも。」
提督「うむむ…暁が言うのでは仕方ないな……」
暁「まあ明日になったらっ……………ッッッ!!!!!」
提督「…どうした?」
暁は宇宙で何かを見たのか 突然遠く彼方の海を見据えた
遠くて 近い 大西洋
暁「馬鹿な…………!!!!!」
提督「暁……?どうした!?何があった?」
暁「いや、分からない……ただ、隕石は壊れたわ。破片を飛び散らす事無く……」
暁(分からない……ただ、ビスマルクとはまた違う……そう、この異質は覚えのあるもの……
私が完全な敗北を味わった相手……
差は……まだ縮まってはいないみたいね……)
ビスマルク「……驚いたわね、拳圧だけで彼方の隕石を壊すだなんて。しかも5発同時で破片を掃除するときた。」
金剛「……これぐらいしか、出来る事はないデース。今の私に、力以外は何もない。空っぽ、そういう存在なんですヨ…」
ビスマルク「良い事じゃない。存在にとって最も大切なのは力よ。それ以外は全て細事、力の後に付いてくる。
羨ましい限りね。私も勉強みたいな時間の無駄な事していないで力をつけとけば良かった。」
金剛「fmm…ビスマルクは面白い事を言いますネ。」
ビスマルク「……あら、どこに行くの?」
金剛「日本。……あそこには、色々なものを忘れてきましたからネー…
思い出しにでも、行くとするネ。good bye.さようなら、ビスマルク。」
ビスマルク「……ええ、それじゃ。」
ビスマルク(ああ確かに空っぽ、空っぽだわ…何も見えていない。コンゴウの瞳には何も映っていない…
それは完全に濁りきって……あの日本の鎮守府の二人のような輝きは無くて……
……きっとそれが、彼女の強さ……
私じゃ、きっとコンゴウには勝てないでしょうね。
力を求めて全てを捨てるには……私には捨てきれないものが多すぎる……
いいえもしかしたらコンゴウは……そんな状態でも、いえ、そんな状態から全てを捨てたからこそ、あの力を得たのかもしれないわね……)
ビスマルクには 金剛の背中から恐ろしいほどの力の気配を感じ取っていたが
しかし彼女には 金剛の背中が何故か小さく見えた
力が全てと言うが
果たして 全てである力を手にした者が幸福と感じているかは
当事者以外に分かるものではない
※番外編
提督「むんっ…!むんっ…!」
暁「あら司令官。へぇ~!珍しいわね筋トレだなんて!」
提督「やはり俺も男であり、軍人だからな!今までやってなかったの自分を恥じるばかりだ!」
吹雪「あはは……デスクワークばかりですから、仕方ないかと…」
暁「いい事よ!それじゃあ、真のレディーの暁が司令官を手伝ってあげるんだから!」
提督「ええ~っ……?」
暁「別にズルを手伝おうってワケじゃないわよ?
筋肉は超回復━つまりは一度傷ついた筋肉が同じ轍を踏まないために
━まあ、骨折から治ったら骨が太くなったとか、骨を切って骨を延長させて身長を伸ばすような手術なんかと似た感じで
━とにかく一回筋肉をズタボロにした後、回復する時により筋肉がつくってわけだけど…
つまりは私の、真のレディーの力によって、司令官の自然回復能力を超活性化させようという事よ!」
足柄「……それじゃあ、一日中トレーニングが出来るという事ね?」
暁「まあそれは厳しいかもしれないけど、とりあえず筋肉痛を恐れてトレーニングする必要はなくなるわよ!」
提督「すごいじゃないか……!よし、今までの遅れを取り戻すためにも一日中鍛えるとするか!」
鳳翔「まあ素敵です提督…ナイスマッスル!!」
那珂「ナイスマッスル!!!」
提督「ありがとう皆……ナイスマッスル!!!」
望月「……おいおいおいおいぃー……!!
どうしてくれんのさ、やだよあたし報告行ったら司令官がサワヤカな汗かきながら筋トレに勤しむ姿毎回見るのなんてさ!」(ボソボソ)
初雪「限りなく……暑苦しい……自宅松岡修造なんて嫌だ……溶ける………」
雷「でもこんな便利な事、皆に使ってないってことは、それ相応のリスクとかあるんじゃない?」(ボソボソ)
暁「……一つだけ、ね。とにもかくにも燃費が悪くて。エネルギーの補給がすごく大事になるのよ、それはもう。
いつでも解除は出来るけど……解除する時はちょっと体に負担がね……早い話がすっごい筋肉痛になるのよね……」(ボソボソ)
北上「ははあ、人間大和の出来上がりって事だねえ。こればっかりは同情するよ提督……
ご愁傷様、食糧難だけは起こさないでよ…」(ボソボソ)
暁「……まあ、もって一週間かもね……」(ボソボソ)
吹雪「でもお二人ともそこまで食べませんよね……あんなに凄い力があるのに、何でですか?」(ボソボソ)
暁「真のレディーは省エネなのよ」(ボソボソ)
夕立「これは見事に参考にならないっぽいぃ~…」(ボソボソ)
熊野「……私たちは0から何かを生み出す事は出来ませんが、1を100にする事は出来る…
まあ、僅かなエネルギーでも十二分に力を発揮できるし、多く食べればいいって事でも無いですわ。
とにもかくにも特殊、という事ですわね。」(ボソボソ)
響「分かったような……分からないような……」
提督「たとえ平和な世であろうと、深海棲艦という前例ある限り、軍に停滞は無い!!という事で川内を改二にしたぞ!!
……しかし最近夜が静かだ。あいつの声が聞こえんというのはどうも、セミの声を聞かんと夏気分にならないのに似ているな。」
神通「提督、姉さんの改二姿はご覧になられましたか?」
提督「ああ、何だか忍者みたいだったな…」
神通「そうなんです。姉さん、どうも忍者作品に影響されたらしくて……それであんなに静かに……」
提督「忍者作品……なるほど、ニンジャをスレイヤーなあれだな?」
神通「違います」
提督「分かった、それじゃあナルトだろう!」
神通「違います」
提督「じゃあなんだ!バジリスクか!?ハットリくんか!?忍空か?忍たま乱太郎か!?もしかして閃乱カグラか!?」
神通「違います」
提督「分からん、お手上げだ!答えをくれ!」
神通「リュウハヤブサです」
提督「超忍路線かよ………あいつと真逆だろう……」
神通「だから多分、長くは持たないとは思いますけど……」
提督「この鎮守府は人外のバーゲンセールやってんじゃないんだぞ………」
ビスマルクとの死闘から1年
ここは深海棲艦のすみか
レ級「モウカンムスドモガ、デカイカオスルノモコレマデダ!!ワタシトヲキュウハコンナニツヨクナッタ!!
カンムスドモゴトキニオクレヲトルモノカ!!ナア、アンタラモソウオモウダロ?」
戦艦水鬼「……ソウカ、オマエハアノトキ、アノバニイナンダナ……」
暁が一人で深海棲艦相手に立ち向かい屈服させた歴史的なあの日
実は深海棲艦は二手に別れていた
一方は正面から戦い
もう一方は合図があれば鎮守府を背後から一気に接近し奇襲する
結果は合図の前に降伏 というものだったが
北方棲姫「……ソレジャアカナワナイヨ…アイツラノツヨサ、ワカッテルカライエル。」
レ級「…フザケルナ!!マエマデカンムスドモナンカ、テキジャナカッタジャナイカ!!!
ソウサ、ソウサ、ソウナンダ!!ワタシタチガウエデ!!カンムスドモハシタ!!
セイタイピラミッドハソウヤッテデキテルンダ!!!!」
戦艦水鬼「ムテキカンタイモ、イツマデモチョウテンニタッテイタワケジャナイ。
カワルノサ、ジダイハナ……イツマデチョウテンニイルツモリダ。
オワッタノサ、ヒトツノジダイガナ………」
レ級「ソンナフザケタコト……!!ミトメロッテ、イウノカヨ……!!」
港湾棲姫「スクナクトモ、イマノママジャカテナイヨ……
イヤ、コノママタンレンヲツヅケテモカテルカドウカ……」
真のレディ達とは ただただ筋肉をつけるだけでは到達出来ぬ境地
強靭な筋肉とはただの最低条件にすぎぬ
愚直な鍛錬のみでは 決して到達できぬ境地
人を超えるとはそういう事だ
レ級「オクビョウモノドモガ………!!!イクゾレキュウ!!カンムスドモニメニモノミセテクレル!!!
ソコデミテイロ!!!キサマラハワタシヲアガメルコトニナル!!!カツテノエイガヲトリモドシタ、エイユウトシテナ!!!」
戦艦水鬼「オイマテ!!!バカ!!!
……オノレケイソツナ、キサマノアサハカナコウドウ、トンダフレンドリーファイアダ……!!!」
北方棲姫「トニカクオワナイト!!……アアア、ドウシヨウ………」
提督「ふいーっ……わざわざ東京まで行ってやる事が会議とはなぁ……肩がこるよ。」
吹雪「あはは……帰ったら、私が肩を揉みますよ。それまで我慢して下さいね」
鎮守府は東京から少し離れた地方にある
今日は定期的に行われる軍の会議であった
提督と 護衛の吹雪の二人きり
彼らの鎮守府は 圧倒的に平和で 予算にも余裕があるので
新たな戦力を補充しつつ 色々な地域でボランティア的な活動をしている
それゆえ人手が足りぬ事もしょっちゅうだ
だから護衛がたった一人で
だから襲われる事に無防備で
だから悲劇が待ちうける
ヲ級「……ミツケタ」
レ級「ナニヲダ?」
ヲ級が指さす先にあるのは提督と吹雪
狩りの 獲物
レ級「オイオイアレハ………マイッタナ、コレハツイテル。
イクゾヲキュウ!ヒトジチニトレバ、アイツラノカチハアガルッテモンダ…!」
彼を知り己を知れば百戦殆うからず
孫子の兵法である
敵を知り己を知れば百戦危うからずとも言うが
レ級はどうだろうか
人質をとったところで 暁に勝てるものだろうか
また孫子はこうも言う
小敵の堅きは大敵の擒なり
つまり 弱いのに無理をすると強い敵にやられてしまうという事である
レ級は小敵となるのだろうか
大敵は暁なのだろうか
提督「鎮守府まではまだまだかかりそうだ……っ!」
レ級「ウゴクナヨドッチモサァ……ワカルダロ、イッテルコト?」
強襲 まさに奇襲
提督達の頭に突然死が突き付けられる
砲塔が唸るように熱を帯びる
動けば殺すと警告するかのように
吹雪「な、何ですかあなた達は…!ど、独断行動…?」
レ級「ドクダンコウドウデモアリ……コレハシンカイセイカンノイシデモアル……ワタシハソウオモウネ。」
提督「…そうかい、良かったよ、深海棲艦との同盟を破棄せずに済みそうでな…!」
レ級「ドウメイダト………?…フザケルナヨキサマァ!!」
提督「かはぁ……!!」
レ級の蹴りが提督の腹部をえぐった
折れた たった一撃で何本か骨が折れたのは確実だった
格闘家に蹴られてもこれほどのダメージはないだろう
レ級「フザケルナ!!ナニガドウメイダナニガ……ザコノ、カスノキサマラナンカガ!!!シンカイセイカントタイトウダト……
オモイアガルナァ!!!ニンゲンモカンムスモ!!!シタダ!!!カスダ!!!
ソウダ、シンカイセイカンハイツダッテカッテキタ…キサマラゴトキニ!!マケルハズガナインダ!!!
ワタシハイツダッテカッテキタ……シンカイセイカンハサイキョウナンダヨ……カンムスゴトキトハチガウ……
ソレヲオマエラガァ!!!ナニヲカンチガイシテルンダ!!!キサマラッ……!!」
レ級は蹴りを止めた
吹雪がヲ級に砲撃を浴びせ怯ませ 己に砲塔を向けたからだ
それがレ級の逆鱗に触れた
己に対する反逆行動 吹雪に対する怒りはきっと収まらない
吹雪「……!!そんな……馬鹿な……!!まるで効いてない……!!」
レ級「ナンダ、イマノハァ……エエ!?アマリイラツカセルナヨナ……ヲキュウ!!コイツヲトラエトケ!!」
レ級が指示したのは すでに虫の息になっている提督を拘束しておく事
人間が筋肉をつけたとしても限りがある
艦娘が 兵器が 開発された以上歩みを止めるはずの兵器が
筋肉をつけ 限界を超える事に 大きな意味がある
ヲ級が提督を捉え レ級が吹雪の所へ足を進めた時である
彼女は信じられない事を口にした
ヲ級「ヲイ。ニゲテモイイゾ」
ヲ級には提督が気の毒で仕方なかった
力が無いというだけでこれほどの暴力 受ける必要などない
レ級には強者の品性が無く 信じられず 耐えがたい
しかしそれがまた 自分にないものの渇望がまた
ヲ級を引き付けてもいた
提督「で……きる……ものか………て……いとく……が………!!部下の………危機を………見過ご……す……など………!!!
たとえ……這いずってでも……止め……ねば………!!それが………提督………という…………人間だ………!!!!」
激痛に襲われながらも 必死に地面を這うその姿に
ヲ級は止める事が出来なかった
息をのんでいた 目を奪われていた
吹雪「うぐぁ………!!うぅ……」
レ級「オモイシレ!!!オモイシレェ!!!オノレノムリョクサヲッ………アァ…?」
吹雪を痛めつけるレ級は それを止めた
提督が レ級の足にしがみついて止めに来たから
その行為 癇に障る
レ級は羽虫を振り払うかのように提督を引きはがし
吹雪に 今まさにトドメをさそうとした時
その拳は 誰かの手によって掴まれた 止められた
「ストーップ………それ以上は意味ないネー…戦いはこれでfinish。それでいいデース」
レ級の手を止めた人物
それは提督にとって誰より意外で
そして誰が来るより心を震わせる
一体いつぶりの再会なのか
提督「金………剛…………」
金剛「お久しぶりデース、………提督。」
レ級「ナンダオマエ!!!ハナセ、オマエモヤラレタイノカ!!!」
金剛「Wow、元気のいいgirlネー。でもこの手が………提督を………!!……そう思うと腹も立つネ…」
レ級「ガァ……イッテェ……!!オイヲキュウ!!!オマエモコイツトタタカウゾ!!!」
ヲ級「………ホンキデイッテルノカ?」
レ級「ナニ?」
ヲ級「マサカ、テキノチカラモハカレンヲヲウツケダトハナ……オマエ、ワカランノカ。フタリガカリデモカテルアイテジャナイ。
モシソレデモタタカウトイウナラ、ワタシハモウ、オマエトハオサラバダ。」
レ級「ドウイウツモリダ………キサマ……!!」
ヲ級「モトモトキョウミホンイダ。シヌカモシレナイタタカイニ、ツキアッテヤルギムハナイ。」
金剛「Oh……仲間割れですカー?……この手、放した方がいいですカー?」
レ級「ソノマエニ……オマエカラツブシテヤルッテンダヨォ!!!」
金剛「……そういうタイプ、嫌いじゃあないですけどネー……」
その力への渇望 しかしレ級にはそれしかない
何かを捨ててまで得る物ではなく
その渇望に挫折も苦難の荒波もない
提督への 愛
これが無ければ 自分はこうなっていたのだろうか
金剛は 悲しい目をしていた
>>155
ビスマルクとの死闘から1年
ここは深海棲艦のすみか
レ級「モウカンムスドモガ、デカイカオスルノモコレマデダ!!ワタシトヲキュウハコンナニツヨクナッタ!!
カンムスドモゴトキニオクレヲトルモノカ!!ナア、アンタラモソウオモウダロ?」
戦艦水鬼「……ソウカ、オマエハアノトキ、アノバニイナンダナ……」
暁が一人で深海棲艦相手に立ち向かい屈服させた歴史的なあの日
実は深海棲艦は二手に別れていた
一方は正面から戦い
もう一方は合図があれば鎮守府を背後から一気に接近し奇襲する
結果は合図の前に降伏 というものだったが
北方棲姫「……ソレジャアカナワナイヨ…アイツラノツヨサ、ワカッテルカライエル。」
レ級「…フザケルナ!!マエマデカンムスドモナンカ、テキジャナカッタジャナイカ!!!
ソウサ、ソウサ、ソウナンダ!!ワタシタチガウエデ!!カンムスドモハシタ!!
セイタイピラミッドハソウヤッテデキテルンダ!!!!」
戦艦水鬼「ムテキカンタイモ、イツマデモチョウテンニタッテイタワケジャナイ。
カワルノサ、ジダイハナ……イツマデチョウテンニイルツモリダ。
オワッタノサ、ヒトツノジダイガナ………」
レ級「ソンナフザケタコト……!!ミトメロッテ、イウノカヨ……!!」
港湾棲姫「スクナクトモ、イマノママジャカテナイヨ……
イヤ、コノママタンレンヲツヅケテモカテルカドウカ……」
真のレディ達とは ただただ筋肉をつけるだけでは到達出来ぬ境地
強靭な筋肉とはただの最低条件にすぎぬ
愚直な鍛錬のみでは 決して到達できぬ境地
人を超えるとはそういう事だ
レ級「オクビョウモノドモガ………!!!イクゾヲキュウ!!カンムスドモニメニモノミセテクレル!!!
ソコデミテイロ!!!キサマラハワタシヲアガメルコトニナル!!!カツテノエイガヲトリモドシタ、エイユウトシテナ!!!」
戦艦水鬼「オイマテ!!!バカ!!!
……オノレケイソツナ、キサマノアサハカナコウドウ、トンダフレンドリーファイアダ……!!!」
北方棲姫「トニカクオワナイト!!……アアア、ドウシヨウ………」
結論から言えば
金剛の一撃にレ級は耐えられなかった
それは仕方がない事 まさに次元が違うのだから
地を這う蟻が どうやって空を駆ける鷹に勝てるものか
その刃 届く事はない
港湾棲姫「………!!オソカッタカ……!!」
暁「これは………!!」
吹雪が砲撃を行う前 僅かな隙を見つけて出した救援信号
それが伝わるまでのタイムラグにより 少し遅れて到着した暁
レ級達を追ってきた深海棲艦が一堂に会する
戦艦水鬼「スマンナアカツキ、コレハコイツノドクダンダガ……ワレワレニモセキニンガアル」
暁「……どうしてこんな行動を?」
北方棲姫「マケタコトガナカッタカラ……シンカイセイカンコソガゼッタイキョウシャダト。カンムスニハイボクナド、アッテハナラナイ。
…ソウ、センソウガオワッタイマデモオモッテイル……」
暁「……そうか…あんな決着のつけ方だったもの。そういう事が起こってもおかしくなかったのに………
……これは私のミスでもあるわ…今回は… ………むぅん!!……司令官、どうする?」
提督「お、治った。……そうさなあ、とにかく深海棲艦は今回のような事が起こらないように頼む。
もし煮え切らない奴がいたら、ウチの艦隊がお相手すると言ってくれ!今回はそれで終わりだ。」
戦艦水鬼「ワカッタ…………カンシャスルゾ、テイトク……ソレジャアナ。」
暁「………それじゃ川内さん。司令官達を送ってあげて。」
川内「任せて」
提督「うおっ、いつの間に………」
夜戦とは 静かに 素早く 鮮やかに 隠密に 相手を屠るもの
その夜戦好きの川内が どうして気配を消す事が出来ない事があろうか
金剛がレ級を倒す場面みたかったな。
深海棲艦がその場を去り 提督達も鎮守府に帰っていった
残されたのは 二人
二人はおのずと海へ向かっていた
陸は戦場には狭すぎる
二人 そう
金剛と 暁
真の淑女と 真のレディ
力を欲したが故の力と 仲間を守るための力
どちらも純粋な 力への理由によって生まれ
この次元の存在の中でも 戦闘に特化した二人
生物の頂上決戦 そう呼んでも差支え無し
暁「金剛さん……あなた………どこを見ているの?」
二人が戦場 太平洋に着いた時 暁は疑問を口にした
金剛は 提督を見ていて しかし提督を見ていない
金剛は 暁を見ていて しかし暁を見ていない
視界に入ってはいても それに引き付けられてはいない
もっと別の 何か大きな物を
金剛はずっと見ていた
金剛「渇望………」
暁「………?」
金剛「そう、渇望………それはあなたへの渇望であり……同時に力への渇望………
嗚呼、この時間…実に、実に……long,long,long,long,long……ずっと、ずっと前から…待ちわびていた………
渇いて仕方ない………飢えて仕方ない………対等な闘争による…聖なる血を………!!!
暁、あなたに分かりますカ?この無性な渇き……ただただ闘争を、力を求め続けるこの本能……!!
全身にウジでも湧いたよう……かきむしりたくて仕方なかった……力を………闘争を………
望んで望んで望んで望んで、恋い焦がれて恋い焦がれて恋い焦がれて………
他の誰かじゃ駄目……あなたでないと……まるで恋したようでしたヨ………本当に、本当に、長かった………」
暁「…そう…あなたが見ていたのは力……私の、力だったわけね」
金剛「そう力……その力との、決着……?ああ、なんてもったいない……いや、いい………今は全てを忘れて………
この極上の闘争をッッッ!!!!Let's enjoyィィ!!!!楽しもうじゃないか暁ィッッッ!!!!」(ムキィィィィッッッッッッ)
暁「それがあなたの望みだというなら………真のレディーとして!!!!全力を持って答えようッッッ!!!!」(ムキッッッッッッッッッッ)
>>163 確かに
>>162の前
レ級が猛然と 金剛に襲い掛かる
艦娘は兵器であるが 深海棲艦は基本的にその上を行く
その拳の威力 速さ
常人に見切れるものではない
ただ 金剛から見た景色では
実に遅い 時が止まったかのように遅い
しかしそれでも 金剛は避けなかった
レ級が 自分の攻撃を受けても 相手が全く反応が無いのに驚いた瞬間
金剛の拳が レ級の顎をかすめた
力を緩めて 緩めて
まるで我々が トランプタワーの最上段に取り組む時に 力を極限まで加えないように
しかしそれで十分 金剛ならば十分
レ級の脳は無防備での攻撃に抵抗できずに揺れ
操り人形の糸が切れたように
レ級は音なくその場に倒れた
レ級へのフォローは本編終わってからになると思います……
やっぱフォローしといた方がいいよね
超規模の決闘は
大気に意思でもあるかのように 空気を震わせる
異変を起こす
そう どうにも
この地球という星は 二人の戦場には狭すぎる
この日 人間も 動物も 植物も手を止め
そして動けなかった
彼方から 焼き尽くすようなその力の波動に
息をする事すら忘れんばかりである
熊野と ビスマルク
真のお嬢様と 真の淑女も
この戦いを見守る
二人はこの頂上決戦に 何の異論も無かった
認めていた 二人の強さを
唸る 唸る
海が吠えるように 荒れ狂う波が二人を飲み込まんとした時
最強を決める大戦の幕が 切って落とされた
太平洋の大海原に 燦然と煌めく二人
その筋肉 その肉体
人の領域を超え 神の足を掴むかのような……
闘争が始まった
金剛の 暁の 拳が相手を捉える
世界が 地球が 耐えられないと嘆くように軋む
この次元の戦いとは 我々の現実時間ではすぐに決着がつく
ただ二人にとっては永遠に感じる
金剛は満たされていた 己が認める強敵と殴り合いながら
砂漠を彷徨う者に 与えられた綺麗な水のように
渇いた心をひたすらに潤す
純粋なる闘争 決闘
嫌悪されるべき暴力などでは決してなく
きっとそれは根源的な 人間的な美しさがある
金剛(嗚呼、願わくばこの時間………いつまでも、いつまでも……永遠に………never,never,never……………
でもきっとそれは叶わない夢………終わりがくる………確実に……近づいてきている………
嗚呼、綺麗だ…………なんて綺麗な力…………私と同じ………純粋な力への欲求から辿り着いた極致…………
もはやこの痛みすら………神聖なる闘争を彩る極上の調味料…………!!!!)
殴るたびに終わりに近づく
満たされるために 今の満足な夢を壊す
その酷く歪な幸せを 追い求めて 追い求めて
金剛はずっと待っていた 一年間待っていた
それは彼女達にとっては あまりに長すぎる時間
双方己の全てをのせた拳が 幾度となく交錯して
どれくらいたったろう
この美しき戦い その均衡がついに崩れようとしていた
仕方がない事なのだ
どれほど素晴らしい時も いつかは終わる
変化が起きた 見逃すはずもない大きな変化
ビスマルク(暁の腰が落ちた………!!!)
熊野(限界かっ……!!!)
その僅かな隙が命取りになる世界でそれを見せた ということは
そう 最早ダメージを隠す余裕が無くなった 限界の到来
ビスマルク(そう……結局は、力以外の全てを削ぎ落として研ぎ澄ました金剛の方が上をいくのね……)
暁の拳はもう 上がらなかった
全てを使い果たし限界だ
もう終わり 終わりなのだ
この闘争は もう決着がついた
自らに向けて放たれた拳を前に
暁の意識は薄れゆき そして極限まで研ぎ澄まされる
暁(もう駄目………手が上がらない………足も動かない…………
もう、少し触れられただけで、私はもう終わり………ああ、私の……負け………
……あれ、でも…………こんなことって………前もあった………ような………)
金剛の拳は 当たれば勝利は確実だった金剛の拳は空を切った
暁がかわしたのだろうか 金剛がダメージにより狙いが定まらなかったのだろうか
二人にも いや ビスマルクにも 熊野にも 分かる者はいない
ただ確実なのは その空振りが この勝負に大きな意味を持つという事
暁(そうだ………また前と同じ事を繰り返すの……!?嫌だ、嫌だ!!!私は負けるために、今日まで鍛えてきたんじゃないっ………!!!)
それは真のレディーというよりは 駆逐艦暁としての意地
子供っぽい 負けず嫌い
その思いはしかし 子供っぽいからといって 低レベルな願いなどでは決してない
逆に 子供が持つ 人の泥をすすっていない子供だけが持つ
人間 否 生命本来の
それはきっと純粋な願い
それはきっと高尚で
そして暁の究極の肉体と 化学反応を起こす
生命と 神に届きうる生命が
重なり合う
金剛が放つ 二発目の攻撃
だが そこでビスマルクと暁を驚かせることに
それはしかし空を切る
驚愕の余りにビスマルクは立ち上がる
ビスマルク(ばっ……!!馬鹿なっ…!!!!ありえん!!!ありえんありえんありえん!!!!
続いただけだ!!!単なる偶然が、続いただけだ!!!!)
熊野(見せていた……!!その片鱗は……!!!しかし、届くものか!!!?その絞りかすのような体力で!!!どうにかなるものか!!!?)
金剛は驚愕を隠せなかったが 暁は反撃をしてこない
続けて攻撃する
圧倒的な一撃 この限界状態において見事と言うしかないほどに
最初となんら変わらない いや 戦いと最初よりもさらに素晴らしい一撃
だが 暁には当たらなかった
かすかな体力に 空振りは苦難
しかし引けぬ
暁は荒く肩で呼吸をしている 反撃もしてこない
当たれば 倒せる
そう思って金剛は放つ 三発目を
限界を何度も何度も超えて さらに輝きを増したその渾身の一撃は
そう かわすという事自体ありえぬ事
しかしもっとありえない事がある
それを暁はやってみせたのだ
この限界状況で!!
ビスマルク(馬鹿な………!!!馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な!!!!!確かに私は確認した!!!!
暁は金剛が攻撃を繰り出した後から!!!受け止める姿勢に入ったのを!!!!!
そこから金剛の攻撃を止めるという事など!!!!二人の速度に大きな差があったという事!!!!!
ありえない、ありえないありえない!!!!!その意味が!!!!!速度に差が付くという意味が!!!!!
一体何なのか!!!!!!信じられん!!!信じられんがしかし……!!!!!認める他あるまい………!!!)
熊野(人を超え……しかしそこで私たちは、ある場所で長く足踏みしていた………
何か得体の知れない大きな大きな壁に、阻まれているかのように………
しかし届いた……………そう、暁さんは見事に壁を超えて!!そして到達した…………!!!!!
神の…………領域へと……………ッッッ!!!!!!!)
暁「今度は……こっちの番よッッッ!!!!」
暁の拳が 金剛を捉える
起死回生の一撃
真のレディーと真の淑女が戦えば きっとそれは真の淑女が勝つだろう
真の淑女は力以外の全てを捨てて力に没頭するのだ
真のレディーが勝つのは至難
しかし今戦っているのは
暁と 金剛なのだ
金剛(何故……!何故っ………!!?こちらの攻撃は当たらず、ただ食らうばかり……!
圧倒的な差が……力の差が………私と暁の間にあるというのですカ………!?
切り捨てたんだ………何もかも………力のために………私は……!!
それなのに………それなのに……!!)
無常なまでに攻撃は当たらない
速度の次元が違うのだ 捉えられるはずもない
遠巻きに見ても 金剛は攻撃時のみハッキリ見ることが出来ないが
暁は 先刻神の領域に達してから その姿を視認する事は出来ない
暁の攻撃だけが当たる 一方的な展開ではあるものの
しかし暁も限界寸前であり すでにオーバーヒート仕切っている
それでもその身体が動くのは 敗北に抗う執念だろうか
どこまで持つか分からない
この戦いは最早 金剛が先に倒れるか 暁が完全に出し切り沈黙するかしかない
いや その二択しかなくなった はずだった
この決闘を見ていた二人は ほぼ同時にその違和感に気づいた
熊野(……!?金剛さんの姿が………攻撃の時以外でも……ぼやけはじめた……!!私の目では捉えきれなくなった………!!!)
ビスマルク(上がっている………速度が…………!!追いつくつもりか金剛………!!!神の椅子まで………!!!)
暁の攻撃を何度も何度も受け 目は霞む
しかし金剛の拳は次第に 暁の身体に近づいていく 鋭さを増していく
ついに金剛の拳は暁の頬をかすめ 暁の頬から血しぶきが舞う
頬から血が見えるが 回復にあてる体力など残っていない
暁(この恐ろしい底なしの執念………!!!何でこんなに耐えられるっていうの……!!)
迷いが暁の拳を鈍らせたのかは分からないが
金剛は耐えた 暁の攻撃を
金剛が反撃する
金剛は笑っている 心地よくて仕方がない
まさかこれほどまでに極上の闘争になるとは思っていなかった
金剛の拳が 暁を捉えた
到達したのだ 神の場所まで
限界を超えた強敵との死闘がそうさせた
暁がグラつく もうそのまま倒れそうだったが
金剛は追撃を試みる
そう 決着は 完全なる自分の拳で
神速の拳が 死の星が 暁目掛け飛来する
しかし金剛に 手応えは無かった
それどころか 暁が目の前から 消えた
完全に 見失った
だが金剛に驚きはなかった 穏やかな笑みを浮かべていた
金剛(そうか………暁………あなたはそう…神をも…超えるのですネ…………嗚呼、満足ネ…こんな素晴らしい相手と戦えて…満足、ヨ……)
後ろを振り返った金剛を
暁の拳が捉える
それは決着の鐘を鳴らす 最後の一撃
プリンツ「ビスマルク姉様……どうなりましたか、その、勝負は……」
ビスマルク「……ふん、どうやら今回は……あの暁が勝ったみたいね……」
ビスマルク(ただ勝負の最後は………完全に次元が違った戦い…情けない話、何が起こっていたのか、全く分からなかった……
…ドイツをより良くするのも大事な事だけど……………また、鍛えないとね……)
熊野(…美とはきっと、人間の根源的なものにあるものと思ってきましたが……決着の瞬間、二人の間に感じたのは天上の美……
私の美とは違う場所にあり………そしてその輝きは素晴らしいもの………お二人が羨ましいですわ。きっとそれは、一人ではたどり着けませんもの……)
戦艦水鬼「オ、レキュウ。メガサメタカ?」
レ級「……ア?…ア、アア……………アンタ、オブッテクレテイルノカ………」
北方棲姫「ドウシタ、ボウットシテ」
レ級「ナンダカ…ナガイアイダユメヲミテイタキガスル…………ワカッテル、ワタシハマケタンダロ?」
港湾棲姫「……アア。カッテニコウドウシタバツハ、ザンネンダガウケテモラウゾ?」
レ級「アア、ワカッテル、ワカッテルサ…………デモナンダカ……スガスガシイキブンダ……」
レ級の頭から離れない記憶
それが何かは分からないが 夢と呼ぶには あまりに生々しい
非力であるが故に 散々な目にあった
陰口を言われた たくさん怒鳴られた いらない存在だと言われた 無理な仕事を任された 無理やり仕事に行かされた
痛い 苦しい 誰か 誰か 助けて……
そんな呼び声に反応してくれる人は誰もいない
何で?皆、仲間じゃなかったの……?
そうして何だか さびしくて かなしくて つめたくなる
そんな何かは分からない記憶が
レ級を力に猛進させ それ以外を盲目にさせていた
ただその記憶が呼びこむざわつきが 金剛に負けてから レ級の頭からは消えていた
凶行に走らせる呪いの記憶から ただ悲しい記憶へと変わった
レ級「ワルイナ、メイワクカケテ………」
レ級のその意外な言葉に 皆目を丸くしていたが やがて北方棲姫が口を開いた
北方棲姫「シンカイセイカン、ナカマ。ダカラレキュウモナカマ。ナカマナンダカラ、キニシナクテモイイヨ。」
レ級「ソウカ………ソウイウ…………モノナノカナァ……………」
何故こうなるかは分からない 醜い みっともないと思ってはみたものの
レ級は涙を止める事が出来なかった
提督「やあ金剛。目が覚めたか?」
金剛「提………督………!」
金剛が目を覚ますと 提督と二人きり
金剛にとって それは何より嬉しくて そして何よりつらい
金剛「力のために…何もかも捨てたはずなのに……おかしいですネ……提督……私は………」
提督「金剛!俺は……!俺は………!!」
金剛「Stop!!…………Sorry、私はもうこれっきりにシマス……………つい…甘えて…しまいそうになる………」
提督「甘えていいんだ金剛、お前は俺に甘えてくれていいんだ……」
金剛「……提督はずるいネ………でもね提督、私はもう、この生き方を選んだんデース…。修羅の道に…引き返す選択肢なんてない……
……提督、Come on…こっちに来て………
……Burning Love。……………提督、ありがとう…さようなら……」
提督「待ってくれ金剛!!!金剛!!!!」
提督は金剛を引き留める事が出来なかった
ただ頬に刻まれた唇の感触を ただ必死に記憶にとどめるように
頬をさするばかりであった
暁「……それで結局、どうだったの司令官?」
提督「ははは……カッコカリじゃない結婚指輪。用意してたのにさ……渡せなかった。……駄目だなあ、俺……」
暁「…私も、真のレディーとして、あなたたちを幸せにしてあげる事が出来なかった……これじゃあとても、一人前のレディ-にはなれないわね…
二人そろって、未熟者ってわけね……」
提督「ああ、そうだな……金剛は俺と共にいるより修羅の道を選んだ。とんだ未熟者さ。男としても、提督としてもな…」
暁「…ねえ司令官。真のレディーはね、仲間がいてこそ真のレディーなのよ?」
提督「…それが、どうしたんだ?」
暁「一人で出来る事がどれだけあるかは分からないわ。未熟者同士、お互いに支えあって…
二人で、ううん、鎮守府皆で息を合わせて、皆で歩けば…
きっと、ずっと…一人よりは、ちゃんと、しっかり歩けると思うの。」
提督「…俺にとってはさ、暁はもう立派な、一人前のレディーだよ。」
暁「……あなたも、暁にとっては立派な、一人前の司令官よ。」
暁は笑った その顔は幼く あどけなさも残っているが
しかし前よりずっと 大人に見えた
提督「それじゃあ、今は二人で歩こうか。ゆっくりでもさ…」
暁「そうね。…ゆっくり、ゆっくり……
そう、きっと、皆を引っ張るんだとか、ただ守るとかじゃなくて……
ゆっくり、皆と一緒に歩くのが………一人前の真のレディー、なのかもね…」
二人はゆっくり ゆっくり
急ぐことなく 一歩一歩大切にするように
ゆっくり ゆっくり
お互いの歩きを気にかけて 足並みを揃えて
ゆっくり ゆっくり
鎮守府に仲良く歩いて行った
とりあえずこれで完結です。蛇足な部分、変な部分も多かったこのSSを読んで下さってありがとうございます。
HTML化は少ししてからしようと思います。
それでは改めて、ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
超期待している!