先生「1+1は?」
男生徒(以下、男)「普通は2だろう」
先生「普通は?」
男「だが、1になることも、3になることもあっていいと思う」
女生徒(以下、女)「同意」
先生「もうやだこの子たち」
先生「なんでそう思うの?」
男「だってさ、0.5って概数にすれば1じゃん」
先生「・・・うん」
男「じゃあ0.5+0.5=1で、1+1=1になるじゃん」
先生「なりません」
女「じゃあ、1.4って概数にすれば」
先生「それもなりません」
男「なんでだよ!」
先生「そりゃあ概数だから!」
男「100歩譲って、整数の時は1+1=2が成り立つとしていいよ」
先生「譲って、って・・・」
女「リンゴが一個ありました、さらに1個追加しました、合計何個? に対して、2以外の答えを突き付けるのはさすがにナンセンスだしね」
男「だが、実数の範囲まで拡張すればどうだろう」
先生「実数の範囲内でも1+1=2です!」
男「じゃあ、まず聞いてくれ」
先生「はい」
男「先生は、完璧な1gを作り出せますか?」
先生「はい?」
男「たとえば、こんな問題があったとします」
男「砂糖が1gありました。さらに1g足したらどうなりますか」
先生「2g」
男「そこで、です」
男「先生は完璧な1gをつくれますか」
男「1.00000000001gだったとしても、それを1gと表記する以上概数ですよね?」
男「ならば、先生がさっき言った『概数だから成り立たない』は成り立たない」
先生「・・・」
男「1g、と表記した以上、有効数字は1桁。0.5から1.4までの値はすべて1なんです」
男「なら、1+1は1~3の自由な値をとれますよね?」
女「男君さすが!」
先生「」
先生「じゃあ、逆に考えさせてみるわ」
男「お願いします」
先生「あなたたちの言った通り、0.5から1.4までの好きな数をとるとします」
女「はい」
先生「ここで、小数点以下1桁としますね」
先生「そこで、0.5+0.5から1.4+1.4まで、すべてやったら、どうなるでしょう」
男「いまやります」
男「0.5+0.6、0.5+0.7・・・」
先生「10×10の100通りの答えが出てくるんだけど」
先生「そこで、四捨五入して1になる数はたった15個しかないわ」
先生「3になるのは10個」
先生「つまり、75%の確率で1+1は2になるわ」
先生「ちなみにそれらの平均値は1.9になるわ」
先生「なかなか2に近い値を取ってると思うのだけれども」
女「むう」
先生「100歩譲って1+1が2にならない可能性もあるとしていいけど」
先生「大半は2になることは知っておいてくださいね」
男「うむむ」
―2―
先生「鶴と亀が合わせて100匹居まして、足の数は合計で300本だったそうです」
先生「亀は何匹居ましたか」
女「先生!」
先生「はい」
女「亀が足を引っこめていた場合、それはカウントしたんですか?」
先生「」
先生「・・・したんじゃないでしょうか」
男「鶴って足を『4』みたいにして立ってることがあると思うんですけど、それも2本としてカウントしたんですか?」
先生「そうだと思います」
女「カウント中に鶴が飛んで行ってしまっていたリスクは考えなくていいんですか?」
先生「そんなの考えなくていいです!!」
男「そもそもなんで、合計の数と足の数を数えられたのに、亀の数は数えられなかったんですか」
先生「うーん・・・なんか馬鹿なコンピューターでも使ったんじゃないかな」
男「馬鹿なコンピューターなのに足を引っこめた亀や足を『4』の字にした鶴の足をちゃんと区別できたんですか」
先生「できたんでしょう」
男「必要なのは亀の数なのに、それを数えずに全体の数と足の数だけ数えた依頼主に非があると思うんですが」
男「なんで上から目線で『亀は何匹ですか』とか聞きやがるんですか?」
女「『私の力ではどうにもならなかったので、お忙しいところ申し訳ありませんが、亀の数が何匹かご教授願えませんか』位の丁寧さが欲しいですね」
先生「あなたたちの学力を試すものだから!」
男「ちなみに、醜い鶴の子とかがいて、実は鶴じゃなかったから計算が合わなくなる、みたいなことはないんですか」
先生「ありません」
男「そもそも、足の数はどうやって定義しているんでしょうか」
先生「亀は4本、鶴は2本でしょう」
男「それならば、足の数を数えるときに区別できたんじゃないですか?」
先生「もう数えちゃったので・・・」
女「先生、マリオのノコノコみたいに2足歩行してる亀は何本足って数えるんですか」
先生「そんな亀はいません!」
女「先生、足を引っこめてる亀かと思って足をカウントしたのに、実は抜け殻だったってことは考えないんですか?」
先生「・・・マリオと違って亀は甲羅と体を分離できません!」
男「その50匹の鶴と亀が大人しくしてなくて、同じ個体を2回カウントしてしまっていたりはしないんですか」
先生「そこら辺は厳重に注意してるでしょう、コンピューターですし・・・」
男「馬鹿なコンピューターなのにですか」
先生「そうです」
女「先生、もし鶴がorzのポーズをとっていたら、4本足って数えますか?」
先生「数えません!!」
男「ウミガメとリクガメの区別はしなくていいんですか?」
先生「いいです!」
女「先生・・・」
先生「しつこい!!」
先生「じゃあ、同義の質問に変えましょう」
先生「1つ4円のガムと1つ2円のラムネ菓子を合わせて100個買い、合計金額は300円でした、ガムは何個買いましたか」
男「先生、消費税は」
先生「税込みです」
女「先生、50個もガム買って、食べきれるんですか」
先生「友達がいっぱいいたんでしょう」
男「2円のラムネが菓子ってどこで売ってますか?」
先生「知りません!!」
先生「どうやら、突っ込みは底を尽きたようですね」
男「うむむ」
女「先生」
女「これ、鶴と亀じゃないですけど、つるかめ算でいいんですか」
先生「構いません!」
―3―
先生「太郎君の家から学校まで2kmです。太郎君は100m毎分で学校へ向かいます。」
先生「太郎君が家を出て10分後、お母さんが忘れものに気付き、300m毎分の自転車で追いかけました。」
先生「太郎君に追い付くのは家から何mのところでしょう。また、太郎君が家を出て何分後ですか」
女「先生」
先生「はい」
女「坂道とか階段とかあったら、歩くのが遅くなると思うんですけど」
先生「なかった、という前提で」
男「曲がり角でもスピードが変わると思います」
先生「まっすぐだったとしましょう」
女「自転車って、加速するのに何秒か掛かると思うんですけど」
先生「お母さんが神で、一瞬で最高速まで加速したとしましょう」
男「その時点ですでに現実的じゃないですね」
女「先生、残り2,30m位になったら、お母さんが呼べば太郎君立ち止まってくれると思いませんか」
先生「えっと・・・、太郎君はノイズキャンセリング機能付きのイヤホンを耳にさしていた、どうですか」
女「先生、お母さんの自転車は停止する時も一瞬なんですか」
先生「でしょう」
女「でも、自転車って乗る位置から前に70cm位あるじゃないですか、前輪とか籠とか」
女「お母さんが乗っている位置と太郎君の位置が同じになるまで最高速出してたら太郎君撥ねちゃいませんか」
先生「太郎君の少し奥を走っていれば問題ないでしょう」
男「だったら、同じ玄関から出た以上、お母さんは少し斜めに走ったことになりますよね」
先生「誤差です、気にしません」
男「ちなみに太郎君は何を忘れたんですか」
先生「筆箱、でどうでしょう」
男「それは、かごの中に入れて運搬した、とみていいですか」
先生「いいでしょう」
女「分速300m、つまり時速18kmで走っている物体が一瞬のうちに止まったら、かごの中のもの、ぶっ飛ばないでしょうか」
先生「ひったくり防止ネットが付いていて、飛び出さなかった」
男「通学途中に友達と出会って、別ルートを通り、お母さんと出会えないって可能性は」
先生「太郎君はぼっちだったので、そんなことはありません」
女「仮にも先生がそんなこと言っちゃいけません」
先生「ごめんなさい」
男「ちょっと走りたい気分になって、急に太郎君が走り出した可能性は」
先生「ございません」
女「途中で筆箱を忘れたことに気づいて取りに戻ってくる可能性は」
先生「無いです!」
男「途中のコンビニに飲み物か何かを買いに行く可能性は?」
先生「さっきから可能性可能性ってやめませんか」
男「生き物である以上、可能性を排除することはできないと思います」
先生「わかりました、問題を変えましょう」
先生「分速100cmで動く球が出発して10分後、分速300cmで動く球をその10cm隣で1つ目の球に平行に発射しました。」
先生「ここで、球は0cm地点ですでに加速は終わっており、等速直線運動をしているとします」
先生「途中、坂や段差など抵抗は一切なく、等速直線運動を続けるものとします」
先生「1つ目の球と2つ目の球が並ぶのは何cm地点で、1つ目が出発してから何分後でしょう」
男「ふむ」
先生「これならどう!」
男「途中、風が吹く可能性もないとしていいんですよね」
先生「そうです!やっと理解してくれ」
女「実験中、地震が発生する可能性もないですか?」
先生「そんなこと考えてたらきりがないでしょう!」
男「そりゃそうですけど」
男「じゃあ15分後、150cm地点」
先生「せいかいっ!!」
女「まぁ、正解自体は出題後10秒でわかってたけどね」
先生「なんで言わないの!」
女「だって、『残念!太郎君は途中で道草食っていたので、もっと近い位置で出会います!』なんて言われたら悔しいじゃないですか」
先生「言うわけありません!!」
男「だろうな」
以上です
数学が嫌い過ぎて建てた
後悔はしている
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