まこっちゃんと柿ピー (8)
柿ピー「まこっちゃん、起きろ。朝だぞ」
ガバチョと布団を剥がされて、寒そうなまこっちゃん。
目を閉じたまま必死に布団を捜しますが、一向に見つかりません。
このまま、まこっちゃんは凍え死んでしまうのでしょうか?
いえ、そんなことはありません。
まこっちゃんは哺乳類なので、恒温動物なのです。
まこっちゃん「柿ピー、布団返して。下半身が寒いよ。死ぬよ」
柿ピー「だからその意味不明なあだ名はヤメロ。それから早くパンツを履け」
柿ピーにお尻を蹴っ飛ばされ、まこっちゃんは渋々パンツを履きました。
本当は履きたくなんかないのです。
でも柿ピーを怒らせると怖いので、まこっちゃんは履いたのでした。
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***
柿ピー「今日はいい天気だな。絶好のお出かけ日和だ」
眠すぎて意識が飛んで行ってしまいそうなまこっちゃんと朝食をとりながら、柿ピーはそう呟きました。
まこっちゃんは勿論、聞いてなんかいません。
さっきも言った通り、まこっちゃんは眠いのです。
なんで眠いのかと言うと、早朝6時までまこっちゃんはエロゲをやっていたのです。
でもそんなことがバレたら柿ピーにぶっ殺されるので、まこっちゃんは決してそれを口にはしません。
柿ピー「どこか行きたいとこは無いか? 私は映画を観に行きたいんだが……。今上映中の犬のやつがすごく泣けるそうだ」
柿ピーは乙女なので、そういった感動ものの映画を観たいと思いました。
それに対し、まこっちゃんは乙女ではありませんでした。
まこっちゃんは映画なんか観に行くくらいならストリップ小屋に行く方がマシだと考えています。
でも今はそれどころではありません。
何度も言ってるように、まこっちゃんは眠いのです。
実質3時間しか寝ていないのだから当たり前です。
誰もまこっちゃんを責めることなど出来ないのでした。
まこっちゃん「柿ピー、俺は昨日残業で全然寝てないんだ。今日はゆっくり寝かせておくれ」
柿ピー「嘘こけ。昨日は定時の5分前に帰ってきて速攻でパソコンしてたろ」
まこっちゃん「うん……。でも眠いのはホントなんだ。頼むよ」
柿ピー「なんでそんなに眠いんだ?」
まこっちゃん「だって6時までエロゲしてたから……」
決して口にしないかと思われたその事実は、いともたやすく本人の口から洩れていきました。
まこっちゃんは怒った柿ピーにビンタされ、ディスクを叩き割られ、挙句の果てにハードから消去させられてしまいました。
***
まこっちゃん「うぅ……酷いや柿ピー……」
柿ピー「うるさい、反省しろ。ああいうエロいのはもう、やっちゃだめだぞ」
まこっちゃん「善処します……」
柿ピーの運転する軽自動車の助手席で、うなだれるまこっちゃん。
でも次第に眠くなってきたようです。
まこっちゃんは静かに寝息をたてはじめました。
エロい夢でも見ているのでしょうか?
その通り、エロい夢を見ているのです。
***
柿ピー「着いたぞ。ほら、いい加減眼を覚ませ」
車内から引きずり出されたまこっちゃんが目を開けると、そこには映画館がありました。
その映画館の隣にはなんと、ストリップ小屋がありました。
まこっちゃんはびっくりして、おもわず中に入っていってしまいそうになりましたが、柿ピーにゲンコツを貰ったので諦めました。
まこっちゃん「柿ピー、俺、こういうお涙ちょうだいものは苦手なんだけど……」
チケットを買おうとする柿ピーに、まこっちゃんはそう言いました。
柿ピー「えぇ~……? じゃあ何が見たいんだ?」
まこっちゃん「そうだなぁ……。しいて言えばあの小屋、何があるのか気になるんだけどなぁ……」
まこっちゃんが指さした先には、例のストリップ小屋がありました。
そうです、まこっちゃんは諦めてなんかいなかったのです。
でももう一発、本気のゲンコツを貰って、まこっちゃんは諦める決心をしました。
柿ピー「飲み物とかポップコーンとかいる?」
まこっちゃん「別にいいや」
柿ピー「そうか……ってパンツを脱ぐな、この馬鹿!」
突如パンツを脱ぎ始めたまこっちゃんを、柿ピーはグーで殴り飛ばしました。
周りの人たちはびっくり。
まこっちゃんは鼻血を出してぐったり。
柿ピーはこんなのと結婚してしまったことを深く後悔しました。
***
まこっちゃん「ねぇ柿ピー、この映画、クソつまんない」
柿ピー「静かにしろ、今いいとこなんだから」
涙と鼻水を垂れ流しながら、柿ピーは画面を見つめています。
まこっちゃんが周りを見回すと、全員泣いています。
まこっちゃんはそっと、柿ピーのバッグに手を伸ばしました。
中に入っているお財布をもって、ストリップ小屋に行こうと思ったのです。
ですが、柿ピーに手をがっしりと掴まれて、思うように盗れません。
まこっちゃんは途方に暮れてしまいました。
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