幼「いーや!これは譲れないよ、妹ちゃん!」
妹「だから、それはこっちの台詞だよ、幼お姉ちゃん!」
幼「ぐぐぐぐぐ!」
妹「ぬぬぬぬぬ!」
幼「枕は絶対に私が貰う!」
妹「駄目だから!枕は…枕は!」
妹「お兄ちゃんの匂いが一番染み付いてる…」
妹「超重要アイテムなんだから!」
幼「いいじゃん!新しい枕、買ってきたんだから!」
幼「交換させて貰うよっ!」
妹「そんなの、家族として許可できません!」
幼「妹ちゃんは歯ブラシと言う国宝級のアイテムを」
幼「毎朝、男が使った後に使う権利を取ったでしょ?」
妹「それは、ジャンケンに勝ったから…」
幼「次は私の番でしょ!」
幼「代わりばんこに、欲しい物をゲットする」
幼「そう言う約束でしょ?」
妹「そ、そうだけど…」
幼「そんな訳で、この枕は私の物です!」
妹「く、悔しいっ…」
妹「歯ブラシの次は絶対枕だと思ってたのにー!」
幼「ふっふっふ。歯ブラシとトレードしようか?」
妹「それはヤだ!」
妹「お兄ちゃんとの間接キスを…みすみす手放す訳がない!」
幼(…いつでも出来るじゃん!ってツッコミはしない方がいいよね)
幼「さ、次は妹ちゃんの番だよ!」
妹「衣服類は駄目なんだよね…」
幼「そうだよ。決めたじゃん!」
妹「次、お兄ちゃんを感じられる物…」
幼「さぁさぁ!早く早く!」
妹「それじゃあ…」
ガサゴソ
妹「お兄ちゃんがとある目的の為に使用したと思われる…」
妹「この秘蔵の本を頂きます!」
幼「あっ!男ってば、そんな所に隠してたんだ?」
妹「フフフ。実はお兄ちゃんはね」
妹「片付けに困る物は、何でもかんでも」
妹「このアマゾンの大箱の中に入れるってクセがあるんだよ!」
幼「押入れの中にそんな素敵ボックスがあったとは…」
妹「幼お姉ちゃん…この本、見てみる?」
幼「え?」
妹「私は前に一度見たから…」
幼「い、いいの?」
妹「…はい、どうぞ」
幼「そ、それじゃあ…」
妹「お兄ちゃんの好みはそんな感じみたいだよ?」
幼「…」
ペラッ
幼「…」
ペラッ
妹「…どう?幼お姉ちゃん」
妹「絶望した?」
幼「男って、こう言うのが好みなんだ…」
ペラッ
妹「幻滅した?」
幼「……」
幼「ふがーーーーーー!」
ビリビリビリ
幼「何だ、こんなもーーーん!」
ビリビリ
妹「ちょ、ちょっと!幼お姉ちゃん!落ち着いて!」
幼「こんな脂肪のカタマリがなんだー!!」
ビリビリ
幼「む、胸くらい!私だって、無くはないもん!」
ビリビリバシッ
妹「わ、私が取った物なのに!」
幼「こんな毒物、男の目に触れさせるべきじゃないよ!」
幼「妹ちゃんだって、そう思うでしょう?」
妹「そ、それはそうだけど…」
幼「ていうか、一時休戦だよ!妹ちゃん!」
妹「え?」
幼「その男ボックスの中身を全部検証していこう!」
妹「えぇー?」
幼「妹ちゃんはその箱の中身を全部知ってるの?」
妹「ううん。全然」
妹「実は前にちらっと見ただけで…」
妹「この本…の残骸以外は、ほとんど何が入ってるか知らないよ?」
幼「それじゃ、一つづつ、見て行こう!」
妹「えー?」
幼「…男の事、知りたくないの?」
妹「し、知りたい!お兄ちゃんの事、もっと…」
幼「じゃあ、やろうよ!一緒に!」
妹「おー!」
・
・
幼「まずは…コレだっ!」
妹「…しょっぱなから、ヘビーな物掴んだね、幼お姉ちゃん」
幼「我ながら、なんと言う引きの強さ…」
妹「何のラベルも貼られていないdvd…」
幼「しかも10枚も…」
妹「これってやっぱりアレかな?」
幼「おそらくね…」
妹「…見てみる?」
幼「コレは見るしかないっしょ!」
妹「オッケー!」
妹「それじゃ、テレビスイッチオン!」
ポチ
妹「そしてdvdプレイヤー起動!」
ポチ
幼「ドキドキするね、妹ちゃん!」
妹「それじゃ、行くよ…再生!」
ピッ!
・
・
3時間後
幼「…」
妹「…」
幼「私の幼馴染は何て物を隠してるんだろう…」
妹「信じられない、お兄ちゃんてば…」
幼「…世界の可愛い猫100選」
妹「…しかもパート10まで」
幼「男が犬より猫派とは知ってたけど…」
幼「まさかこんな物に手を出していたとはね」
妹「何だろう、この気持ち」
妹「ホッとしたような、ガッカリしたような…」
幼「解る!解るよ、妹ちゃん!私も同じ気持ちだよ!」
妹「だよね?だよね?」
妹「まったく!ウチのお兄ちゃんときたら!」
幼「つ、次!次行ってみよう!」
妹「次は…て、手紙?」
幼「!」
妹「『男君へ』…綺麗な字だね」
ペラッ
妹「…女さんて誰?」
幼「女さん?ほんとに?」
妹「んー。聞いたことあるような…」
幼「ウチの学校の生徒会長だよ!」
妹「あぁ、あの美人の!?」
幼「ま、まさか…女さんからのラブレター?」
妹「あ、ありえる!お兄ちゃん、カッコ良いから!」
妹「あ、これ、封が切られてる…」
幼「中身見よう!早く早く!」
妹「う、うん!」
ガサガサ
妹「『男君へ。突然こんなお手紙を出してごめんなさい』」
妹「『男君の迷惑になるんじゃないかとは思いますが』」
妹「『私はもう、自分の気持ちを抑えきれません』」
妹「『私は男君の事が好きです』」
幼「…」
妹「『真剣にお付き合いして欲しいです』」
妹「『それでは、お返事をお待ちしてます。女より』」
幼「…」
妹「…」
ビリーーーーーッ
幼「ちょ!」
妹「むきゃーーーーー!」
ビリビリビリ
幼「妹ちゃん!ストップ!ストップ!」
妹「何が『気持ちを抑えきれません』だ!」
ビリビリ
妹「私なんか、ずっと抑えたまんまだよ!」
妹「なんだー!こんな物ー!」
ビリビリバサーッ
ハラハラハラ
幼「紙吹雪って、桜吹雪に似て、綺麗ね…」
妹「…うん」
幼「…」
妹「…」
幼「いやいや!それにしても!」
幼「まさか、女さんからこんな手紙を貰ってたなんて…」
妹「はっ!?まさか、今日のお出かけも!?」
幼「いや、部活の合宿だから、その心配はないよ」
妹「だ、だよね?」
幼「大丈夫、男は明日の昼まで帰って来ないよ」
・
・
幼「なんかさぁ…」
妹「…うん、何か、ねぇ?」
幼「最初の3品はインパクトあったけど、他は…ねぇ?」
妹「ムシキングのカード15枚」
幼「スピードラーニングのお試しcd」
妹「ポケットモンスターピカチュウとゲームボーイカラー」
幼「全然使ってないスケッチブック」
妹「全然使ってないっぽい櫛」
幼「使ってない水彩色鉛筆」
妹「使ってないっぽい手鏡」
幼「…」
妹「…」
幼「他にも色々入ってるけど…」
幼「これ、ゴミ箱じゃないの?」
妹「で、でもエッチな本が入ってたんだよ?」
幼「だ、だよね。ラブレターも入ってたし…」
妹「それにしても、他が…ゴミっていうか、使わない物…みたいな?」
幼「そして最後に残ったコレ…」
妹「ね?」
幼「なんだろう、この小さな木箱…」
妹「これだけ、鍵が付いてるね」
幼「鍵の在り処知らない?妹ちゃん」
妹「うーん、多分だけど…部屋には無いかも」
幼「ひょっとして、持ち歩いてる…とか?」
妹「きっとそうだよ。財布の中に入れてるとかだよ」
幼「…中身、見たくない?」
妹「見たいね…」
幼「何が入ってるのかなー」
ブンブン
ガサガサ
幼「意外と軽いし、音からすると、紙っぽい」
妹「また誰かからのラブレターとか?」
幼「!」
妹「さっき破った女さんからのは本命じゃなかったからで…」
妹「この中に入っているのが本命の女の子からで…」
妹「絶対、誰にも見られたくない…とか?」
幼「妹ちゃん!大至急、鈍器を用意して!」
妹「わかった!取ってくる!」
・
・
妹「はい、幼お姉ちゃん、コレ!」
幼「これは…バールの様な…バール!」
妹「普段何に使うのかわかんないけど、あって良かった。バール!」
幼「フフフ…これさえあれば、木の箱なんて!」
妹「いっけぇー!幼お姉ちゃん!」
幼「今こそ唱える魔法の言葉!」
幼「開けー!ゴマッ!」
ブンッ!
ガツッ!
バラバラバラ…
妹「幼お姉ちゃん、別に箱をバラバラにしなくても」
妹「鍵だけ壊せば良かったんじゃない?」
幼「もう壊しちゃったんだから、気にしない!」
幼「さぁ、中身を拝見!」
ガサゴソ
妹「あ、やっぱり手紙っぽい!手紙が入ってるみたいだよ!」
幼「私の男に手を出すのは誰だー!」
妹「私のお兄ちゃんにちょっかい出すのは誰だー!」
妹「ん?2通あるみたい」
幼「それは…手紙のやり取りをしてるって事だね?」
妹「そうだねっ!」
幼「許せない!誰からの手紙?」
妹「それじゃ、こっちの手紙、私が読むから」
妹「幼お姉ちゃんはこっちの手紙読んで」
幼「オッケー!」
妹「こっちの封筒、幼稚だなぁ。今時キティちゃんて」
幼「ハローキティ、良いじゃん!」
妹「えー。幼お姉ちゃん、センスないー」
幼「なんだとぅ!」
幼「…って、今はそれは良いから!」
妹「そうだね、読んでみよう!」
妹「封筒には…『男君へ』か」
妹「何だか、随分幼稚な字だなぁ」
妹「差出人は…書いてないか…」
幼「…」
妹「ん?どうしたの?幼お姉ちゃん?」
妹「そっちも同じ?」
幼「ね、ねぇ、妹ちゃん…私達、ひょっとして…」
幼「と、とんでもない事、してるんじゃないかな?」
妹「えっ?何が?」
幼「妹ちゃん、シルバニアファミリー好きだよね?」
妹「うん、大好きだよ。知ってるでしょ?」
幼「…こっちの封筒、シルバニアの封筒なんだけど」
妹「むっ!センスあるな!こいつ!」
幼「宛先…『お兄ちゃんへ』って書いてある…」
妹「はっ?えっ?」
妹「ちょ、ちょっとそれ見せて!」
幼「はい!って言うか、そっちの封筒見せて!」
妹「…」
幼「…」
妹「これ、たぶん私が昔書いた手紙だ…」
幼「こっちは私が書いた手紙…だと思う」
妹「…はっ!?私達、大変な事しちゃったんじゃあ?」
幼「だからそう言ったでしょ!?」
妹「…ひょっとしたらだけど」
妹「お、お兄ちゃんに怒られるんじゃないかな?」
幼「…あの温厚な男が、怒る訳ないよ、あはは」
妹「そ、そうかな?そうだよね?」
妹「お兄ちゃん、優しいもんね?あはは」
幼「そうだよ、あはは」
幼・妹「……」
幼・妹「…そんな訳ないっ!」
幼「ど、どうしよう?」
妹「そんな事言われても…」
妹「あ!この木箱を粉々にしたのは、幼お姉ちゃんだからね!」
幼「ズルい!バールを用意したのは妹ちゃんじゃない!」
妹「私は言われた通りに鈍器を用意しただけだもん!」
妹「私は悪くない!」
幼「それを言うなら…」
幼「女さんからの手紙を、ビリビリ破いたのは妹ちゃんだからね!」
妹「うっ…し、証拠が無いよ!」
幼「それなら、私も証拠なんてないよ!」
妹「大体、最初に本を破いちゃったのは幼お姉ちゃんでしょ!」
幼「妹ちゃんがあの本を出して来なければこんな事には!」
幼・妹「…」
幼「男に嫌われるかも…」
妹「お兄ちゃんに嫌われるかも…」
幼「そんなの嫌だ!」
妹「私だって嫌だよ!」
幼・妹「…どうしよう?」
幼「…だ、だいたい、妹ちゃんが邪魔しなければこんな事には…」
妹「幼お姉ちゃんが、お兄ちゃんの部屋に不法侵入しなければ…」
幼「私は純粋に男の匂いがする物が欲しかっただけだもん!」
妹「それは不純だよ!何で泥棒行為が純粋なの?」
幼「不純じゃないし、泥棒じゃない!」
幼「男への愛ゆえに取った、純粋な行為だよっ!」
妹「お兄ちゃんへの愛なら、私の方がっ!」
幼「いいや、私の方が!」
妹「絶対私の方がお兄ちゃんの事、愛してるよ!」
幼「いやいやいや。妹ちゃん、男の実の妹でしょ?」
幼「前にも討論したけども」
幼「愛って感じてるのは勘違いだよ!」
幼「家族の愛と男女の愛を勘違いしてるよっ?」
妹「さ、最近知ったんだけど」
妹「私達、実は義理の兄妹なんだよ…」
幼「え?マジで?マジで?」
妹「…」
幼「…妹ちゃん、それは妹ちゃんの脳内設定じゃない?」
妹「…そ、それでも!お兄ちゃんを愛してるもんっ!」
幼「愛の大きさは私の方が大きいよ!」
幼「男は渡さない!」
妹「譲れないっ!」
幼「こっちの台詞っ!」
妹「いーや!これだけは譲れないよ、幼お姉ちゃん!」
幼「だから、それはこっちの台詞だよ、妹ちゃん!」
妹「ぐぐぐぐぐ!」
幼「ぬぬぬぬぬ!」
ドサッ
男「お、お前ら、人の部屋で何やってんだ…?」
幼・妹「!!!!!」
幼「おおおお男!?」
妹「おおおお兄ちゃん!?」
幼「な、何で?合宿は?」
男「あ、合宿は延期になったんだ」
男「台風近付いてきたからな」
男「星が見えないんじゃ、天文部の合宿は出来んさ」
幼「へ、へー。そ、そうなんだ?」
男「幼、携帯、不携帯?繋がらなかったけど」
幼「う、うん。自分の部屋に置きっぱです」
男「皆心配してたぞ。後で謝っとけよ?」
幼「う、うん、ごめんね。ちゃんと皆にはメールしておくよ」
男「そうしろ」
男「あ、いや、そんな事より…」
妹「お、おかえり、お兄ちゃん!」
男「ん。ただいま、妹」
妹「お兄ちゃん、アイス食べたくない?」
妹「あずきバー買ってあるよ!好きでしょ?あずきバー!」
男「…あずきバーは頂く」
男「だが俺は誤魔化されないぞ!?」
男「まずは!この状況を説明しろ!」
幼・妹「…」
男「て言うか、なんだこの惨状は!」
男「正直に言いなさいっ!」
幼「…あ、あの」
妹「お、お兄ちゃんの部屋を漁りました」
妹「幼お姉ちゃんの提案で!」
幼「あ、ズルい!妹ちゃんもノリノリだったのに!」
妹「私は幼お姉ちゃんの暴走を止めようとしたんだよ!」
男「…二人とも、ちょっとそこに正座!」
幼・妹「…はい」
・
・
男「…で?どうしてこうなった?」
男「言い訳はいらんから、ちゃんと『説明』を、な?」
幼・妹(お、怒ってる…)
幼「あ、あの、まず私がね、男の私物をぬすー…んじゃなくて」
幼「男の使ってる枕をね、新しい物にしようと思ってね」
男「ん?枕?」
幼「とにかく!ベランダ伝いに部屋に入ったの」
男「…それだけでもう犯罪行為だよな」
男「まぁ幼が勝手に部屋に入って来るのはいつもの事だけどな」
幼「それはちょっと横に置いておいて!」
男「…で?」
幼「そしたら、部屋に居た妹ちゃんと鉢合わせて…」
男「妹、お前は俺の部屋で何をしてたんだ?」
妹「お兄ちゃんのベッドで寝ようかなと…」
男「自分の部屋で寝りゃいいだろ。なんで俺の部屋?」
妹「お兄ちゃんの匂いをかごー…じゃなくて」
妹「わ、私の部屋、エアコン壊れちゃって、暑くってさ」
男「ほほう、そうなのか?」
妹「う、うん…」
男「それで、二人、鉢合わせして、どうなったんだ?」
妹「幼お姉ちゃんが、お兄ちゃんの枕を持って行こうとしてたから」
妹「口論になってー、その結果ー、ジャンケン勝負になってー」
妹「それで私が勝ったから…お兄ちゃんの歯ブラシ使用権を取って」
男「は?」
幼「で、次は私の番って事で、枕を…」
男「ちょっと待って!二人とも!」
幼・妹「はい」
男「俺の歯ブラシと枕をどうするつもりだったの?」
妹「歯ブラシは、毎朝お兄ちゃんが使った後に使うに決まってるじゃない?」
幼「枕は匂いを嗅ぐに決まってるじゃん?」
男「決まってるのかよ!」
男「て言うか、もうツッコミどころが多すぎて…」
男「何から言っていいのか、訳わからんが…」
男「歯ブラシも枕も、俺の物だ!勝手に取引するな!」
幼「ま、枕はね?新しいのちゃんと用意してあるから!」
男「問題はそこじゃねえよ!匂い嗅ぐって何だ!?」
幼「自分の部屋でも、大好きな男の匂いを感じていたいんだよぅ」
男「なっ!?」
妹「それを言うなら私だって!」
男「な、何が?」
妹「大好きなお兄ちゃんの使用済歯ブラシを使って」
妹「朝から幸せな気分に包まれたいんだよ!」
男「ふ、二人とも…な、何を…」
幼「え?私達、今変な事言った?」
妹「え?別に普通の事しか言ってないよね?」
男「二人とも、俺の事が好きだったのか?」
幼「え?昔から好きだけど?」
妹「私もだけど?」
男「な、なんでそんな大切な事を、そんなあっさり言えるんだ?」
幼・妹「えっ?」
男「幼、一応聞くけど…俺に好きだって言ってくれた事あったっけ?」
幼「え?」
男「俺、初めて好きって言われたと思うんだけど…」
幼「え?そうだっけ?」
男「…そうだよ」
幼「…そうだったかなー。私の気持ち、伝えたと思うんだけどなー」
男「妹!」
妹「は、はい!」
男「さらりと好きって言ってたけど…俺たちは兄妹だぞ?」
妹「そんな事わかってるよ、お兄ちゃん」
男「義理とかじゃなくて、血の繋がった、実の兄妹だぞ?」
妹「…でも、昔、結婚してくれるって言ったじゃん!」
男「そんな事言う訳ないだろ!?」
男「それにもう高校生なんだから、それが無理な話しだって事くらい…」
妹「あ、愛は地球を救うんだよ、お兄ちゃん!」
男「は?」
妹「だから、愛さえあれば、ちっぽけな2人くらい救ってくれるよ!」
男「…」
妹「それに、私も物心ついてから」
妹「ちゃーんとお兄ちゃんに気持ちを伝えたと思うんだけど…」
男「いーや、聞いてない」
男「二人が俺の事を、その…好きだったなんて聞いてないぞ!?」
幼「んー。約束したと思うんだけどなぁ」
妹「私もー。結婚してって言ったと思うんだけどなぁ」
男「いくら俺が物覚え悪くても…そんな事言われたらさすがに忘れないだろう」
男「それにもしそんな告白されたとしたら、返事するはずだろ?」
幼「んー確かに…でも何か引っかかるなぁ…」
妹「私も…何だろう、何が引っかかってるのかなぁ…」
男「あの、と、取り敢えず、さ」
幼「ん?」
男「俺も幼の事、その…昔から好きなんだけど、さ?」
幼「マジで!?」
男「は、はい、マジです…よ?」
幼「やったー!!!!!!」
ピョンピョン
幼「じゃ、これからは、只のお隣さんじゃなくて」
幼「カレシ・カノジョの関係って事で良いの?」
男「おぅ…幼さえ良ければ、俺と付き合って欲しいです…よ?」
幼「もちろん答えはイエスだよ!やったー!」
妹「ちょっと待ったーーー!!!」
男・幼「え?」
妹「私をモブ扱いしないで!」
妹「私もお兄ちゃんと結婚の約束したもん!」
妹「それに愛の深さなら、幼お姉ちゃんにだって負けないもん!」
男「あのなぁ、妹。さっきも言ったけど、俺たち実の兄妹だぞ?」
男「結婚なんて出来る訳ないだろ?」
男「お前の事は、妹としては好きだけど」
男「異性としては見られない」
妹「そ、そんな…それじゃ今までのアピールは…」
男「アピール?」
妹「さりげなーく、妹物の漫画を机の上に置いてみたり」
妹「さりげなーく、屈んで勝負パンツ見せてみたり」
妹「さりげなーく、風呂上りにばったり鉢合わせしたり」
妹「さりげなーく、寝てるお兄ちゃんの耳元で愛を囁いたり」
妹「さりげなーく、寝てるお兄ちゃんのほっぺにチューしてみたり?」
男「おい、最後の二つは聞き逃せねーぞ?」
幼「そ、そうだよ!寝てる隙にチューなんて!ズルい!」
妹「確かに寝てるお兄ちゃんにチューしたけど…」
妹「わ、私の気持ちは…全然伝わって無かった…」
妹「幼お姉ちゃんの方がズルい!ズルい!」
幼「したのはほっぺだけでしょうね?」
幼「男のファーストキスは私の物なんだから!」
妹「…」
ジーーーー
男「何だ?妹」
妹「えいっ!」
チュッ!
男・幼「!!!!!!」
男「い、妹、今…お前!」
妹「これで、少しは異性として意識してもらえた?」
男「あ、アホか!そんな、意識なんて出来る訳ないだろ!」
男「それに、俺のファーストキス…うぉぉ」
男「実の妹に、キスされた…何と言う罪悪感…」
妹「…私、初めてのキスは、絶対お兄ちゃんとしたかったんだもん!」
男「俺たちは実の兄妹だぞ?」
男「こんなの…お前…駄目に決まってるだろ」
幼「ゼ…サ…イ」
男「え?幼、なんだって?」
幼「ぜっったい、許さないっ!」
妹「な、何よ!やる気?」
幼「ズキュゥゥゥゥゥン!」
チューーーーッ
男「…ぷっは!お、幼、お前まで何してんの!?」
幼「男のファーストキスは奪われたけど…」
幼「セカンド、サード、ショートから、センター、レフト、ライトまで」
幼「あとのキスは全部私のもの!」
男「お、落ち着け、幼!」
幼「何よ!出来立てホヤホヤの彼女と、キス出来て嬉しくないの?」
男「い、いや、嬉しいけど…こんな、何の風情もなく、無理やりに…」
妹「幼お姉ちゃんズルい!私は軽く触れる程度のキスだったのに!」
幼「妹ちゃんの方がズルい!強引にキスするなんて!」
妹「協定違反だよ、幼お姉ちゃん!」
幼「こっちの台詞だよ、妹ちゃん!」
幼「こんな時、どっちが先にするかはジャンケンでしょ!」
幼「協定で決めたのに!」
男「…は?協定?どう言う事?」
妹「妹・幼の共同戦線協定!」
幼「違うよ!幼・妹の共同戦線協定だよ!」
男「…あの、ちゃんと説明してくれよ」
妹「私達2人とも、お兄ちゃんの事が好きで好きで」
妹「大好きだから…」
幼「男の事が大切だから、いくつかの決め事を、ね」
男「それが協定?どんな事を決めたんだ?」
妹「お兄ちゃんが嫌がる事はしない…とか」
幼「意見が対立した時はジャンケンで決める…とか」
妹「あとは…衣服の持ち出しはしない…とか?」
男「…ちょっと、また最後のやつ聞き逃せないんだけど」
男「ひょっとして、一時期俺のtシャツが無くなってたのは…」
妹「私達が取りました…」
幼「男が気付いたみたいだから、ちゃんと洗濯して戻したよ!」
男「そう言う事だったか…」
幼「でもこれからはそんな事もなくなるかもよ!」
幼「何て言ったって、私たちもう付き合ってるんだもんね?」
男「お、おぅ、何かそう言われると照れるな」
妹「…」
妹「お兄ちゃん、幼お姉ちゃん、二人に提案!提案があります!」
男「ん?何だよ、提案って」
妹「三人!三人で幸せになろうよ!!」
男「は?」
妹「幼お姉ちゃんは私の事嫌い?」
幼「い、いや、嫌いじゃないけど?」
妹「お兄ちゃんは私の事好き?」
男「兄妹として、家族としてなら、好きだぞ?」
妹「それじゃあ!」
妹「今は無理でも…三人で一緒に暮らせば、きっと!」
男「きっと、何だよ…」
妹「愛が芽生えると思う!」
男「小学生か!俺はお前の事、家族としてしか見られん!」
妹「そんな、断言しなくても…」
妹「幼お姉ちゃんはどう?」
幼「うーん。私は…」
幼「私はずっと男の隣りに居られればそれで良いし」
幼「それに、妹ちゃんの事、嫌いじゃないし」
幼「男の一番が私なら、三人で一緒にって言う提案、悪くないと思う」
妹「さっすが、幼お姉ちゃん!話しが解る!」
男「いやいやいやいや」
男「それは駄目だろ!実の兄妹だぞ?」
幼「愛があれば万事解決じゃない?」
妹「そうだよそうだよ!」
男「何も解決しねーよ!駄目だろ!て言うか、嫌だ!」
幼「そんなに強く拒否しなくてもいいじゃん、男」
妹「そうだそうだー!」
幼「恋する乙女の気持ちを少しは汲んでも良いんじゃない?」
妹「そうだそうだー!」
男「家族を異性として見れるか!」
男「例えばだ、幼」
男「お前、おじさんと結婚したいと思うか?」
幼「え?私のお父さん?嫌だよ、そんなの」
男「俺が言いたいのはそう言う事だ!無理だろ、絶対!」
妹「…こんなに好きなのに…うぅ…グスッ」
男「妹…」
妹「約束もしたのに…グスッ」
男「それは気のせいだ。俺は二人から告白なんてされてない」
幼「いや、それは私も…告白はしたよ!」
幼「返事は覚えてないけど、結婚して下さいって伝えたよ!」
男「いや、聞いてない。断言するけど、聞いてないぞ?」
男「…ん?」
幼「な、何?」
男「よく見たら、俺の部屋、色んな物が散乱してるよな」
幼「う…」
男「ただ漁っただけじゃないな?」
幼「えっと、最初はね、押入れの中の男ボックスの中から…」
男「おい、男ボックスってなんだよ…って、アレか!アマゾンの箱か!」
幼「…うん」
男「あれの中を見たのか…」
妹「お兄ちゃんがあの箱の中に、色んな物をしまってるって事は知ってたから」
妹「あの…えーと、あのー、ね?」
男「何だ?」
幼「…あの…本が、ね?」
妹「う、うん。本を、ね?」
男「あぁ…あの本、見た訳ね」
幼「あまりにもムカつく内容だったので、ビリビリ破っちゃった…」
男「え?破っちゃったの?」
幼「ごめんなさい…」
男「まぁ、勝手に破り捨てるのは駄目だけど…」
男「謝ってくれたから、許すよ」
幼「え?良いの?」
男「えー…実はあの本はですね」
男「友の奴が勝手に置いていったものであってですね」
男「決して俺の趣味ではないのです」
幼「なぁんだ、良かったぁ…」
男「だからもう謝らなくても良いよ、幼」
幼「でも、あの…女さんからの手紙とか…」
男「あれも読んだのか?」
妹「ビリビリに破いちゃった…」
男「は?あれも破っちゃったのか…」
妹「ごめんなさい…」
男「まぁ、良いよ」
幼「え?破って紙吹雪にしちゃったんだよ?」
男「…床に散乱してるのはそれか」
男「アレね。友の奴のイタズラだよ」
幼「え?」
男「大体、女さんが俺なんて相手にする訳ないだろ」
妹「そんな事無いよ!お似合いのカップルだよ!」
幼「そうそう!美男美女で、お似合いだよ!」
男「え?何?二人は、俺と女さんをくっつけたいの?」
妹「や!決してそう言う意味ではなく!」
幼「そうそう!そう言う邪な意味ではなく!」
男「…まぁ、とにかくだな」
男「あのアマゾンのダンボール箱の中に入っていた物は」
男「ほとんどが処分に困って、ただ持っていただけの物だよ」
幼「あの、世界の可愛い猫100選も?」
男「あ、あれは数少ない、大事な物です」
男「まったく…こんなに散らかして…」
幼「あの…その…」
幼「ごめんなさい!」
男「え?もう謝らなくていいよ、幼」
男「勝手に部屋の中を漁られるのは良い気分しねーけどさ」
男「そんな事ふっ飛ばす位、良い事があったんだから」
幼「それでも、今のうちに謝っておくよ…ごめんね、男」
妹「私も。ごめん、お兄ちゃん」
男「だから、もう良いってば、二人とも」
幼「男ボックスの中に、木箱が入ってたんだけど」
男「あぁ、アレも数少ない大事な物の一つだぞ」
男「アマゾンの箱の中に戻したのか?」
妹「あ、あれは…その…」
男「ん?」
幼「もう、この世には存在しないんだよ…」
男「は?」
幼「鍵がかかってたかけど、中身見たかったんで…」
妹「バールで、粉々にしちゃった…」
男「!!!!!!!」
幼「え?そんなに驚く所?」
男「そりゃ驚くだろ!はぁ!?粉々にした?」
妹「その、部屋の隅にあるのが元木箱です…」
男「な、中身は?手紙が入ってただろ?」
男「あれも破ったのか?」
幼・妹「…コレ」
スッ
男「お前ら、それ、読んだのか?」
男「読んだのか?」
幼「よ、読んでないよ」
男「…」
妹「私も、幼お姉ちゃんも中身は読んでないけど…」
妹「これ、私達が書いた手紙だよね?」
男「…そうだよ」
幼「それ、なんで鍵付きの箱に入れてあったの?」
男「…大事な物だからだよ」
男「て言うか、二人とも、覚えてないのかよ?」
幼・妹「…すいません」
男「『この手紙、男くんの18歳の誕生日に読んで』って」
男「そしたら妹が幼を引っ張ってって、自分の部屋に連れて行って…」
男「戻ってきたら『私も書いた!』って言って」
妹「…それじゃ私、小3の時の話しだよね?」
妹「覚えてない…大好きなお兄ちゃんの事なのに…」
男「ともかく、2人から手紙貰ってさ」
男「大事な物だから木箱に入れて、鍵をかけたんだ」
男「鍵は俺の財布の中にちゃんとあったのに…」
チャラッ
幼「あっ!」
妹「え?な、何?幼お姉ちゃん?」
男「どうした幼?」
幼「約束、思い出した…」
男「え?」
幼「この手紙の中身も、あの時何があったのかも、全部思い出した!」
妹「本当に?」
幼「その鍵についてるキーホルダーで、思い出した…」
妹「何て書いてあるの?」
幼「私も妹ちゃんも、同じ事が書いてあるよ…」
男「そうなん?」
幼「うん。今、完全に思い出したわー」
幼「本当は18歳の誕生日に読んで欲しかったけど…」
幼「もう良いや!今ここで読んでよ、男!」
男「え?今?良いの?あと2ヶ月で18歳ですけど?」
幼「あいや!今こそ!今こそ好機ですぞ!今読んだ方が良いですぞ、殿!」
男「まぁ、書いた本人が良いって言うなら…んじゃ読むぞ?」
妹「何が書いてあるの?」
幼「すぐ解るよ、妹ちゃん」
男「…」
ペリペリ
ガサガサ
ペラッ
男「…ぁ」
幼「…解った?」
男「…ぉぉ」
妹「何なに?何て書いてあるの?」
男「…て言うかコレ、妹の手紙も同じ内容なの?」
幼「うん、そうだよ」
妹「ねぇ!見せてよ!」
男「ん、見せても?」
幼「いいよ」
妹「何何?『18才の男君へ』」
妹「『お誕生日おめでとうございます』」
妹「『18才になった男君の隣りに、まだ私が居るなら』」
妹「『私と結婚して下さい』…はぁ?」
妹「これ、幼お姉ちゃんからのプロポーズ?」
幼「…うん」
妹「あっ!」
幼「思い出したみたいだね?」
妹「…うん」
妹「そうだ、あの時…」
幼「男の誕生日プレゼントに」
幼「私が結婚して下さいって手紙に書いたって言ったら」
幼「妹ちゃんも書くって言い出して…」
幼「同じ内容の手紙書いたんだよ…」
男「…」
ペリペリ
ガサガサ
ペラッ
男「『カッコ良いお兄ちゃんへ』」
男「『18才のお誕生日おめでとう』」
男「『私は幼お姉ちゃんと違って、ずっとそばにいるから』」
男「『私とけっこんして下さい』」
男「…」
幼「…これが引っかかってたんだ」
妹「私も、約束したつもりになってた…」
男「都合の良い所だけ覚えてたんだな、二人とも…」
男「一番大事な事を忘れてたんだから、な?」
妹「ねぇ、お兄ちゃん」
幼「男っ!」
幼・妹「どっちが好きなの?」
男「はぁ?」
男「そんなのさっき答え出ただろ?」
男「俺は昔から幼の事が好きなんだよっ!」
幼「そ、そんなにはっきり言われると照れる…」
幼「でも嬉しいっ!」
ギュッ
男「…俺も想いが通じて、嬉しいよ、幼」
ギュッ
妹「…また変な空気作って!駄目だからねっ!」
妹「禁止禁止!その雰囲気は全面禁止です!」
妹「抱き合うのも禁止!」
グイグイ
幼「うふふ。妹ちゃんったら」
妹「…まだだよ!まだ勝負はついてないっ!」
男「勝負も何も…」
妹「ブラジル!ブラジル人になろうよ、お兄ちゃん、幼お姉ちゃん!」
男・幼「は?」
妹「ブラジルでね、三人婚っていうのが成立したらしいのっ!」
男「…それがどうした」
妹「ブラジルに亡命して、三人で幸せになろうよっ!」
男「亡命って…」
幼「ねぇ、妹ちゃん」
妹「し、幸せな結末になりそうでしょ?」
幼「三人婚の話しは私もニュースで見たけどさ」
幼「…ブラジルは兄妹で結婚は出来るの?」
妹「そ、それは…知らないけど」
幼「なら、どこに行っても一緒だよ、妹ちゃん」
幼「だったら、ここでいいじゃん」
妹「え?」
幼「私は男を譲るつもりは一切ないけど」
幼「妹ちゃんも男の事が好きなのは解るからさ」
幼「ここで出来る事をすればいいんじゃないかな」
男「幼…」
妹「幼お姉ちゃん…」
妹「やっぱり私、幼お姉ちゃんの事も大好きっ」
ギュッ
幼「うふふ。本当に可愛い妹だよ、妹ちゃんは」
ナデナデ
男「…これで、いいのか?」
・
・
・
幼「…」
男「…」
妹「お兄ちゃん…大好きぃ…」
幼「…」
幼「ドラァ!起きろ!二人ともー!」
男「…んぁ?」
妹「…んー?うるさいなぁ…」
幼「目を覚ませ、二人ともぉあぁ!」
男「…ん?あぁ、幼、おはようー」
妹「んにゃー。まだ眠い…」
幼「5秒以内に覚醒しろ!でないと二人ともハッ倒す!」
男「朝から、何怒ってるんだよ…って、妹?」
妹「…もう少しだけ、寝かせてよぅ」
ギュッ
幼「男!これ、どう言う事なの?」
男「何で俺と妹が同じベッドで寝てるんだ?」
幼「私が説明して欲しいんですけどっ!」
妹「お兄ちゃん、昨夜は凄かったね…」
幼「男、あんた、まさか…」
男「待て、幼!俺にも訳がわからんっ!」
妹「くふふ。幼お姉ちゃん、お先に失礼しましたよ?」
幼「…世の中にはね、言って良い冗談と悪い冗談があるのよ、妹ちゃん?」
プルプル
男「落ち着け!幼!俺は断じて…」
男「て言うか、妹!離れろ!いつまで抱きついてるんだ!アホ!」
幼「そうだよ、妹ちゃんっ!男から離れてっ!」
グイッ
妹「あぁん…」
幼「…ドラァ!説明しろ、このアホ兄妹がぁ!」
男「いや、説明も何も…」
妹「幼お姉ちゃん。だから、ね?」
幼「…何よ、その『お察しください』みたいな顔!」
妹「口で言わないと、解らない?」
幼「…いや、待って。説明しなくても解った!」
幼「夜中にこっそり男のベッドに潜り込んだね?」
妹「ち、違うよ?私たちは昨夜未明、ついに気持ちも身体も結ばれて…」
男「おい!妹!嘘をつくな!」
男「俺は何もしてない!」
男「昨日から言ってるだろ?俺はお前に恋愛感情は持てない!」
妹「これから徐々に、恋愛感情を持ってもらえるように、私は行動する!」
妹「ここで出来る事をやれば良いって、幼お姉ちゃんも言ってたじゃん!」
幼「言ったけど!こんな夜這いみたいな事は駄目!」
妹「地の利を活かしただけじゃん!」
妹「だって、これくらいしないと、お兄ちゃんは私を見てくれないし…」
幼「…解った」
男「おい、幼!そこは解らなくていいだろ?」
幼「男!今日の夜は、寝る時、窓の鍵開けといて!」
男「は?」
幼「今夜は私の番だから!」
男「駄目だ駄目だ!」
男「今日からは、部屋の鍵全部閉めて寝る!」
妹「そ、そんな!唯一の私の有利な条件が…」
幼「私は彼女なんだから、良いでしょ?」
男「駄目ったら駄目!」
男「幼とは…もうちょっと時間をかけて」
男「普通にデートとかして、二人の時間を一歩づつ進めて行きたい!」
男「ちゃんと男女として、お付き合いしていきたい!」
幼「男…」
妹「わ、私は?私は?お兄ちゃん!」
男「何度も言うが、お前は家族だ!」
男「それ以上の感情は持てない!」
妹「私も幼お姉ちゃんと同じように、一歩づつ進んで行こうよ!」
男「それは、無理だって、何回も言ってるだろう」
男「いい加減聞き分けてくれよ、妹」
妹「…私、絶対諦めないから!」
妹「そりゃ兄妹の壁は高くて厚いかもしれないけど…」
妹「お兄ちゃん以上の男の子なんて居ないよ!」
妹「私だって一歩づつ、進むんだから!」
男「妹…」
幼「妹ちゃん…」
妹「あーーーーー!もう!!」
妹「まずはこの微妙な空気をぶっ壊す!」
妹「それが私の第一歩!」
男「い、妹?」
妹「どーーーーん!」
ギュッ
ドサッ
男「…重い。妹、どいてくれ」
幼「妹ちゃん、暑い。そんなに抱きつかれたら、暑いよ」
妹「…もうちょっとだけ、このままで…三人で楽しく…」
幼「妹ちゃん…」
妹「ね?幼お姉ちゃん?」
幼「ふふふ。まぁ、男の事は譲れないけどね!」
妹「こっちの台詞だよ、幼お姉ちゃんっ!」
男「俺の意見は聞かねーのかよ!」
幼「ふふ。そんな事より、二人とも…」
幼「そろそろ準備しないと、遅刻しちゃうかもよ?」
男「げ!もうこんな時間か!」
妹「やばっ!早く着替えなきゃ!」
バタバタ
ガチャッ
バタン
男「幼、俺も着替えるから、外で待っててくれよ」
幼「えへへ。着替え手伝ってあげようか?」
男「な、何いってんの、お前」
幼「冗談だよ冗談!」
幼「でも…tシャツは脱ぐでしょ?」
男「あぁ、妹に抱きつかれてたから、寝汗かいちまったな」
幼「それじゃそのtシャツ私にちょうだい!」
男「は?」
幼「男の匂いが染み付いたtシャツ…yes!yes!yes!」
男「イエスじゃねえよ!アホか!」
男「だいたい…これからは一番近くで匂いも嗅げるじゃねーか」
ギュッ
幼「それはそうだけど、さ」
男「…大好きだぞ、幼」
幼「…私もだよ、男」
チュッ
幼「…でもまぁ、それはそれ、これはこれ!」
男「え?」
幼「早くtシャツ脱いで!」
男「は?だから…」
幼「男…tシャツにはね、tシャツの良さが、あるんだよ!」
男「はぁ」
バンッ!
妹「その通りだよお兄ちゃん!」
妹「肌着には肌着の良さがあるんだよ!」
男「…妹、着替えるの早いな…髪はボサボサだけど」
妹「そしてそのtシャツは私にちょうだい!」
男「は?」
幼「ダメだから!」
妹「譲れない!」
幼「こっちの台詞!」
男「おい!いい加減にしろ!二人とも!変態か!」
幼「そうだよ!」
男「え?」
妹「私たち、二人とも、匂いフェチだよ!」
男「え?マジで?」
幼・妹「マジで!」
男「な、なんで二人ともそんなにあっさりと…」
男「自分の特殊な性癖をカミングアウト出来るんだよ!」
幼「だって隠しててもいつかバレるし!」
妹「うんうん!」
幼「なら、今のうちに、私の事もっと知って欲しいよ!」
妹「私も!」
幼「だから早くtシャツ!」
グイグイ
妹「やー!私のだから!」
グイグイ
男「お、おい…」
男「おい止めろ!二人とも!」
男「止めろってば!」
男「あの、ねぇ?二人とも?」
男「ちょ…ホント、やめて!」
男「や、破れる!破れちゃうから!」
男「ちょ…今、ズボンは関係な…」
男「い、いやぁぁぁーらめぇぇぇぇ!」
おわり
これで終わりです
久々に投下出来て興奮気味です
支援してくれた人ありがとうございました
次スレは
幼馴染「…男のこと好きかなー」
ってタイトルで立てると思います
見かけたら読んでくれると嬉しいです
では。
読んでくれた人、本当にありがとうございます
妹出してみたら、止まらなくなっちゃって
10回くらい書き直しました
幼馴染も良いけど、妹も良いよね…
乙
これってなんかの続きだったりするの?
>>126
何かの続きではないです
今まで幼馴染と男しか出ないssばっか書いてたんで
思いつきで妹を出してみたんです
もし似てるのあったらすみません
蛇足ですが、次の次に書くssは以前書いた物の続編になる予定です
では!
続編になるならぜひ前スレを教えてほしい
読んどくから
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